記事一覧

糖質制限中の外食と頂き物。食生活が違う人との付き合い方。

糖質制限中の外食と頂き物。食生活が違う人との付き合い方。

 

 

糖質制限に限らず、なんらかの食事にこだわっている人は、必ず直面する問題があります。

 

 

 

人との付き合いはどうするのか

 

 

 

・・・です。これは結構悩むと思います。

 

 

 

 

普段「スーパー糖質制限」をしている私ですが、付き合いに関しては結構柔軟です。

 

 

 

今回は「外食」と「お土産」をいただく場合、私がどう対応しているのかをお話しようと思います。

 

 

スポンサーリンク

 

人と外食をする場合

 

 

 

私は普段、糖質を一日10g以下に設定しています。

 

 

 

制限は厳しい方です。

 

 

 

しかし、基本的に外食は、普通に食べます。

 

 

 

ラーメン、カレー、寿司、パスタ、なんでもです。

 

 

 

 

もしや、膠原病神経変性疾患などの病気であれば、絶対にどんな事があっても口にしません。これらは糖質が原因なので、本気で治したいなら糖質を一口も食わないぐらいの覚悟が必要だからです。

 

 

 

 

 

 

 

しかし、私の場合、幸いそこまでではないので、外食、特に人と食事をする時は、普通に食事をします。

 

 

 

ただしこれは、ちょっとぐらいなら糖質の害はないから大丈夫・・・ということではありません。

 

 

 

糖質の害は確かにあります。体に悪いものを摂ったら悪いことには変わりありません。

 

 

 

 

それを分かった上で、たまの付き合いは人との楽しい時間を優先します。

 

 

 

 

そして、それが終わると、また厳格な糖質制限を続けます。

 

 

 

もし外食の回数が頻繁だったら、ダメージが半端ないので考えますが、外食する機会自体が少ないので今のところはこのようにしています。

 

 

 

 

手土産の場合

 

 

 

私が糖質制限している事を知っている人は、私に食べ物を持ってくることはありません。

 

 

 

ですが、たまに事情を知らない人から、お土産を頂く事があります。

 

 

 

ほとんどお菓子ですが、その場合、基本的に一種類につき1個だけ食べて、残りを周囲の人に分けます。

 

 

 

わざわざ買ってきてくれたというのが嬉しいので、頂いた物は必ず食べます。

 

 

 

ですが、申し訳ないので、後日きちんと食事制限をしている事を伝えます。

 

 

 

 

付き合いを優先させる理由

 

 

 

私は長年虚弱体質だったので、健康のありがたみはよく分かっています。

 

 

以前のような体になりたくないので、厳しい食事制限をしています。

 

 

 

健康を大事に思っている私が付き合いで糖質を食べる理由は、周囲の人に気を使わせるのが申し訳ないからです。

 

 

 

私の周りの人は、私が糖質制限をしているのを知っているので、「私が食べられそうなメニューを扱っているお店」にしようとしてくれます。

 

 

 

向こうの方から気を使ってくれるので、さすがに悪いです。

 

 

 

このような気遣いは本当にありがたいので、多少自分の健康を犠牲にしても構わないと思っています。

 

 

 

 

ただし、このような考えは、健康に余裕があるからできるものです。なんらかの病気を治したいなら、迷わず付き合いを犠牲にするべきでしょう。

 

 

命の方が大事だからです。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

チートデイのリスクを知る

 

 

 

私は健康を著しく損ねない範囲で、たまに人との付き合いを優先させることがあります。

 

 

しかしそれは、「たまにはいいよね」と言って頻繁に食べる人とは全く違います。

 

 

 

私は、例え一時的に食べても、その後から確実に制限できるという自信と覚悟があるから、食べています。

 

 

 

また、どのくらいの量を摂ったらヤバイのか引き際も知っていますし、どうやったら糖質の依存を断ち切れるかの方法も知っています。

 

 

 

このようなコントロールができない人は、付き合いで食べるのは失敗の原因になるかもしれません。

 

 

 

お酒やタバコを止めていた人が、1度何かのキッカケで飲んだり吸ったりしたばっかりに、再び止められなくなる・・・という話は珍しくありません。

 

 

 

糖質はこれらと同じ嗜好品なので、同じようになる可能性があります。

 

 

 

世間では、「チートデイ」と言って、食事制限中たまに気休めで好きな物を食べる日を設けることを賞賛していたりしますが、依存性の強い物質は危険です。

 

 

 

他のダイエットならともかく、糖質は「チートデイ」という発想は止めた方がいいです。

 

 

 

禁酒をしている人や、禁煙をしている人が「チートデイ」を設けるでしょうか?

 

 

 

馬鹿げていますよね。

 

 

 

こう言うと、

 

 

 

酒やタバコと、糖質は違うだろ・・・と思われるかもしれません。

 

 

 

 

しかし、残念ですが糖質の別名は「マイルドドラッグ」です。依存性が高いだけでなく、体をゆっくりと破壊します。

 

 

 

 

糖質には禁糖という言葉はありませんが、位置づけとしてはお酒やタバコと同じです。

 

 

 

 

なので、糖質は体に悪い事、再び依存してしまう可能性を分かった上で、気をつけながら摂るべきです。

 

 

 

「チートデイ」という言葉は、「この日だけはチャラ」という、免罪符的な雰囲気を感じます。

 

 

 

しかし、食べた物が体の中で起こる反応は化学反応ですので、「チートデイ」でも同じように起こるものは起きます。

 

 

 

具体的に言うと、糖質を食べる限り、血糖値も上がるし、糖化のリスクも上がります。場合によっては乳酸も発生します。

 

 

 

 

これは厳然たる事実です。

 

 

 

 

そのことをわかった上で摂る方がいいです。タバコやお酒を有害だと分かった上で嗜むのと同じです。

 

 

 

一回糖質を食べた事で「もっと食べたい」となってしまうなら気を抜けません。

 

 

 

しかし、必ずそうならない自信があり、注意して食べるならリスクを最小限に食い止めることができます。

 

 

 

 

次は糖質を摂ると具体的に体にどんな異変が起きるのか私の体験をお話します。

 

 

 

スポンサーリンク

 

糖質で体調不良になる

 

 

私の場合、糖質を摂ると、その量に比例してその翌日から目が異常に痒くなります。

 

 

 

私は糖質を摂っても太らない体質なのですが、これが良くないのです。糖質を脂肪に変換できず、血糖値がなかなか下がらないという状態になります。

 

 

 

その為、体が涙という形で糖を出していると考えられます。

 

 

 

 

 

 

 

従って、なんとしても血糖値を下げなければなりません。

 

 

 

これまで観察したところ、2週間に1回主食を食べるくらいだと(運動必須)、翌日目が痒くなりません。

 

 

 

ですが、それより回数が増えると影響がでます。

 

 

 

正月や盆など、付き合いが頻繁に続くと、私の場合、目が痒くなるだけではなく、関節も鳴りやすくなります。

 

 

 

 

 

 

このように、今は栄養療法で体が丈夫になりましたが、虚弱体質を引きずっているのか、悪いものを食べるとすぐ反応がでます。

 

 

 

だから、止められるのです。

 

 

 

 

では、このダメージを少しでも軽くする為にどうすればいいか。

 

 

次は糖質を摂った時の対策についてお話します。

 

 

 

糖質を摂った時の対処法

 

 

 

糖質を食べた時の対策はこの2つです。

 

 

 

  • 糖質を食べた日はタンパク質や脂質をたくさん食べない

 

  • 糖質を食べたら運動する

 

 

 

その理由を説明します。

 

 

 

普段糖質制限をしている時は、タンパク質や脂質をしっかり摂取しています。

 

 

タンパク質は体の主成分で、脂質はエネルギー源だからです。

 

 

具体的には、食事の他にプロテインとバターを摂っています。

 

 

しかし、何らかの理由で糖質を普通に摂った時は、用心の為に、その日はプロテインもバターも絶対に摂りません。

 

 

 

その理由は、タンパク質、脂質と、糖質を組み合わせてはいけないからです。

 

 

 

タンパク質や脂質だけなら健康的なのですが、これに糖質を組み合わせると、慢性疾患や死亡率が上がります。

 

 

【脂質+タンパク質】は良くて【糖質+脂質+タンパク質】が良くない理由

 

 

 

このような理由があるので、とにかく糖質を食べた日は、あえてタンパク質と脂質は大量に摂りません。

 

 

 

 

炭水化物は消化に悪く、長い間胃の中に留まります、いつ完全に消化されるかわかりません。

 

 

 

消化されないうちに、バターやプロテインを摂取して、胃の中で混ざったら嫌なのでその日は食べないようにしています。

 

 

そして、もう一つの対策が運動です。

 

 

 

目的は血糖値を下げる事です。

 

 

 

むやみに歩き回ったり、筋トレしたり、とにかく少しでも血糖値を下げる為に何でもいいから運動します。

 

 

 

 

(追記)糖質を食べる人が摂っておいた方が良い栄養素

 

 

 

付き合いで糖質を食べる場合、最も効果的な方法を紹介します。

 

 

簡単に言うと、サプリメントを使って摂取した糖質を代謝し切るようにするのです。チャラにはなりませんが、ダメージを最小限に食い止める事ができる方法です。

 

 

ベジタリアンや糖質を止められない人が、健康の為に摂っておきたい栄養素とは

 

 

 

ちなみに、糖の吸収を抑える薬はリスクがあります。

 

 

糖質の吸収を抑える薬やサプリメントを信用することで生じるリスク

 

 

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

卵子が老化する原因と防ぎ方。卵子の質を悪化させない食習慣は、不妊症の改善にも期待できる

卵子が老化する原因と防ぎ方。卵子の質を悪化させない食習慣は、不妊症の改善にも期待できる

 

「卵子には寿命があるので老化する」・・・と言われていますが、世の中には、同じ年齢でも、老化が早い人と、遅い人がいます。

 

 

 

老化のスピードを加速させている原因は色々と考えられますが、かなりのダメージを与えているものがあります。

 

 

それは、「糖質」です。

 

 

卵子の「老化」とは、「卵子の糖化」でもあるのです。

 

 

しかし、その事があまり伝えられていないように思います。

 

 

糖質で卵子が劣化する事を知らない若い女性は、糖質の過食を止めません。致命傷を避けないから、どんどん糖化(細胞の劣化)していきます。

 

 

 

というわけなので、糖質が卵子に与える影響についてお話していきたいと思います。もちろん不妊症とも関係あります。

 

 

スポンサーリンク

 

 

卵子の老化(糖化)とは

 

 

人間の体は常に代謝されているので、細胞も常に入れ替っています。

 

 

 

しかし、入れ替らない細胞もあります。

 

 

 

 

 

それは、「目」と「脳」の細胞、そして、「卵子」です。

 

 

 

 

「卵子」は、女性が胎児の時に創られます。そして、それ以降は新たに創られることはありません。つまり、生まれ持った数が全てというわけです。

 

 

なので、生まれてからは、どんどん減り続けます。また、肌にシミやシワが増えていくように老化していきます。

 

 

 

そして、それに「糖質」が追い討ちをかけます。

 

 

 

なぜ糖質が「卵子」にダメージを与えるのかというと、「卵子」はタンパク質だからです。

 

 

 

そのメカニズムはこうです。

 

 

 

糖質は甘い物だけでなく、穀物や野菜や果物にも含まれています。

 

 

 

どのくらいかと言うと、例えば、ご飯茶碗一杯(150g)で、糖質は55gです。

 

 

 

その為、普通に食事をすると、必要以上の糖を摂ってしまう為、使い切れなかった糖質が体に余ります。

 

 

すると、その余った糖は、体のタンパク質と化学反応を起こして、細胞を劣化させます。これを「糖化」と言います。

 

 

卵子もタンパク質だから「糖化」します。

 

 

そして、これが「老化」です。

 

 

 

『健康+生活卵子の老化から不妊の原因に?卵子の糖化を予防するには』より引用

 

 

卵子の老化をすすめる原因のひとつに「糖化」が関係あることが分かってきました。糖化した卵子は褐色に変色し、体外受精の際に採取した卵子が褐色だった場合には受精しにくいことも知られていました。

 

 

 

一応言っておくと、糖化は「卵子」だけに起こるのではありません。

 

 

人間の体はタンパク質でできているので、卵子以外、骨も、筋肉も、血液も、内臓も、当然「糖化」します。

 

 

どこに影響が表れるかは、その人の遺伝的な弱点によって変わります。ダメージを受けやすい弱いところから症状が表れると思って下さい。

 

 

これは化学反応なので、糖質を摂る限り避けられません。

 

 

卵子は見えないので、「自分は糖化していない」と思う方もいるかもしれませんが、糖質を日常的に食べている人は体のどこかが糖化しているはずです。

 

 

例えば、セルライトがあったり、痔になったり、関節の音が鳴りやすかったり、胃もたれがあったりする人は糖化しています。

 

 

 

さらに、以下の記事を読むと、女性が糖質を過剰摂取すると、「卵子」だけでなく、「胎児」にも影響を与えるようです。

 

 

『D!CULT 自然食品ヘルスケア事業部 AGEは、生まれる前から悪影響。』より引用

 

 

老化を促進する物質が、AGEs(エイジス)という総称で呼ばれます。実は、このAGEは、生まれる前から、たまっている場合が多くなっています。

 

 

妊娠しているお母さんのAGEもへその緒を通して、胎児にAGEが移行することがわかっております。つまり、お母さんの食生活などの乱れで、AGEを溜め込んでいると、その赤ちゃんにも影響が及びます。胎児の時から、健康に障害を与える可能性があります。

 

 

妊娠中は、高血糖になりやすいので、AGEが溜まりやすくなるのが原因です。AGEを母親から多く摂取した場合、生まれて1年ぐらい経過すると検査値に異常を示すことが多いことが知られていますが、赤ちゃんが離乳食を食べるようになると、さらにAGE化が進むようになります。

 

 

現代食の環境は、糖を多く摂取する機会がどうしても多くなっています。赤ちゃんの味覚は、妊娠中の母親が食べていたものに影響されることから、AGEを多く含む食事の場合、赤ちゃんも同じような食事を好むようになります。

 

 

 

「AGEs」というのは、タンパク質の糖化反応によって作られた物質のことで、毒性が強いです。

 

糖化反応(メイラード反応)について分かりやすく説明してみた

 

AGE(終末糖化産物)について分かりやすく説明してみた

 

 

 

「女性の喫煙は子供に影響する」・・・と、昔から言われてきましたが、ハッキリ言って糖質はそれ以上です。

 

 

とくに細胞が入れ替らない卵子の「糖化」は深刻です。重要なところなので、念を押しておきます。

 

 

 

『ひなたぼっこ 漢方の吉村 卵子の糖化について』より引用

 

ただし、体の中で生まれ変わらない細胞があります。

 

心筋とか、脳、そして卵子です。

 

こういった細胞のタンパク質に糖がくっついてしまうとなかなか厄介です。

 

卵子の場合でも一旦糖化してしまうと、それを戻すのは難しいでしょう。

 

卵子の糖化がどの段階で起こるのかはまだ解っていません。

 

ただ、インスリン抵抗性が卵子の質を劣化させ、インスリン抵抗性を改善すると卵子の質も良くなる事から、比較的排卵が近づいて来てから起こる糖化もあると考えられます。日頃から血糖値に注意して、特に夜に澱粉、甘いものなどをとらないようにしていく事が大切と思います。

 

中医学では、糖のようなベタベタしたものを「痰湿」と呼んでいます。痰湿は体の至る所にたまり、色々な病気を引き起こすと言われています。

 

 

一度、「糖化」してしまうと、入れ替る細胞であっても、なかなか治ってくれません。

 

 

先ほど、セルライトも糖化だと言いましたが、あれなど、本当に落ちませんよね。普通の脂肪ではなく「糖化」した脂肪だから落ちにくいのです。

 

 

入れ替る細胞であっても苦労するのですから、入れ替らない細胞が「糖化」するのは、どれほどヤバイことか...

 

 

また、不妊とも関係しています。

 

 

『島田薬局 「甘いものの食べ過ぎで卵子の質が悪くなる」の根拠』より引用

 

 

肌だけでなく、このAGEsは、女性の卵巣からも発見されており、特に、不妊のなかでも最近多い要因となっているPCOSの方の原因がAGEsであるということを、ウィメンズクリニックの神野正雄先生が、2011年の抗加齢学会で、発表されています。

検索してみると、AGEsが進んだばあい、卵子の色が茶色になるとか、、(これほんと!?)

 

 

 

ちなみに、卵子や卵巣の老化の原因は、糖化を含め6つだそうです。

 

 

『老化がやってきた☆必死の抵抗日記 卵子・卵巣の老化を引き起こす原因』より引用

 

 

 卵子・卵巣の老化を引き起こす原因は、

 

1.成長ホルモンの減少

 

2.エストロゲンの減少

 

3.細胞の酸化

 

4.メラトニンの減少

 

5.DHEAの減少

 

6.終末糖化産物(AGE)の増加

 

 

 

この中で気をつけられるのは、「3.細胞の酸化」と、「6.終末糖化産物(AGE)の増加」です。

 

 

つまり「酸化」「糖化」ですね。

 

 

人間を老化させることで悪名高い「酸化」と「糖化」について触れておきます。

 

 

 

スポンサーリンク

 

「酸化」と「糖化」

 

 

「酸化」と「糖化」は、人間の体にダメージを与えます。

 

 

もちろん、両方防ぐにこしたことはありませんが、特にダメージが大きいのは、私の経験上「糖化」です。

 

 

 

私は糖質制限をする前は、抗酸化に力を入れていて(「糖化」を深刻に捕らえていなかった為)、抗酸化食品を積極的に摂るのはもちろんですが、水素水も飲んでいました。(2年以上)

 

 

以下の記事にも書きましたが、水素水(抗酸化)で、頭痛が治るキッカケになったりと、いい面もありましたが、糖化による体のダメージだけは消せませんでした。

 

目と脳は密接に関係している。慢性的な頭痛の原因と、それが改善した理由とは

 

 

 

まさか、不調の原因が「糖化」だなんて思っていなかったですから、「こんなに気をつけているのに、なんで体が弱いんだろう?」と、ずっと思っていたのです。

 

 

 

その当時は、「バランスの良い食事」や、ベジタリアンやローフードの食事を取り入れたりしていたので、野菜や穀物がメインです。タンパク質や脂質は0ではありませんが、量が少なく、ほぼ糖質ばかりでした。

 

 

 

糖化の症状があちこちにでていたのですが、リンゴによってダメージが大きくなりました。後で知ったのですが、果糖はブドウ糖の10倍糖化するそうです。

 

 

 

半年間、毎日抗酸化食品のリンゴを食べるようにした事で、ある時、糖化の症状、シワが一気にでたのです。お菓子を食べていてもならなかったのに、健康的な果物でなったのでショックでした。

 

 

 

リンゴは抗酸化物質ですが、そのリンゴの果糖で一気に老化したのです。

 

 

抗酸化が虚しくなるぐらいです。

 

ローフーディストやベジタリアンの真実。肉を避け野菜や果物を多く食べる人に見られる肌の特徴と、健康上の問題

 

 

 

その後、「1日10g以下のスーパー糖質制限」に転向した後は、植物性の食品はほぼ摂っていません。水素水も止めました。なので特に「抗酸化」には力を入れていません。

 

 

それにもかかわらず、「糖化」に気をつけただけで、「抗酸化」だけに気をつけていた時よりも体調が改善しました。

 

 

(※もちろん両方気をつけたら良いと思いますが、)「糖化」には特に気をつけた方がいいです。

 

 

 

それに、考えてみて下さい。

 

 

同じダメージを与える物質でも、「酸素」というのは、少なくとも人間の体に必要な物質です。なければ死ぬわけです。必要だけど、害もある・・・そんな物質です。必要なものである以上、ある程度、「酸素の害に対する抵抗力」も機能として備わっているはずです。

 

 

 

しかし、「糖質」はそうではありません。

 

 

 

「糖質」というのは、人間にとって必要ありません。

 

 

 

厳密に言うと必要なのですが、その量は、一説によると5gというレベルです。しかも、人間はその糖を「糖新生」という仕組みによって作り出す事ができるので、それ以上摂ってしまうと毒になります。

 

 

人間の身体に必要な糖質量を血糖値の視点から分かりやすく説明してみた

 

 

 

 

糖質は「人間の体に入ってくる予定のないもの」です。そんな物質に対しては無防備で、より害を受けると考えられます。

 

 

 

過去に何度も言っていますが、人間は、動物食性(肉食)動物だからです。

 

 

「人間が肉食か草食かは、歯を見れば分かる」という説は正しいのか

 

消化に良い食品の嘘。慢性的に胃がもたれる人は糖質の過食を疑え!

 

 

 

 

従って、本来必要のない糖質を、大量に摂ってしまったら、今はなんともなくても、将来ツケがきます。それに、一見糖質が原因じゃないと思われるような症状が、実は「糖化」だったりします。「糖化」の殺傷能力は高いのです。

 

 

 

糖質の毒性は遅効性。体に合わない物を食べると、表面的には問題がなくても水面下では体が劣化する

 

 

スポンサーリンク

 

 

不妊と食事

 

 

 

糖質の害は、ここまで話してきた通りです。

 

 

しかし、「子供を生む予定のある女性」が栄養面で気をつけるべき事はこれだけではありません。

 

 

 

食事は、低糖質を心がけるのはもちろんですが、高タンパク質である必要があります。

 

 

 

パートナーより肉を食べるか、それが無理なら、プロテインを摂るなどして、タンパク質が不足しないよう注意が必要です。

 

 

 

そして、女性だけでなく、夫婦そろって、高たんぱく質、低糖質食が基本です。

 

 

 

「お菓子を食べながら不妊治療」は論外です。音楽プレーヤーで音楽を聴きながら、授業を聞くようなものです。

 

 

 

 

妊娠・出産に特に必要な栄養素は「鉄」と「タンパク質」

 

 

 

そして、もう1つ忘れてはいけないのが「鉄」の存在です。生まれてくる子供の体に影響するからです。

 

 

人間の体にある鉄は、「機能鉄」と「貯蔵鉄」とにザックリ分けられます。

 

鉄の働きについて分かりやすく説明してみた

 

 

 

このうち注目して欲しいのが「貯蔵鉄 ちょぞうてつ」です。

 

 

 

「貯蔵鉄」とは読んで字のごとく、「機能鉄が足りなくなった時の為のストック」です。「貯蔵された鉄が足りているかどうか」が重要です。

 

 

 

この「貯蔵鉄」のことを「フェリチン」と言うのですが、通常の血液検査では測りません(※フェリチンを測って下さいと言う必要があります)

 

 

これが足りていないと、普通の血液検査で貧血と診断されなくても立派な「鉄不足」です。

 

フェリチンと鉄不足について分かりやすく説明してみた

 

 

 

で、話を妊娠・出産に戻しますが、

 

 

 

女性は1回の妊娠出産で「フェリチン」を50失うので、「フェリチン」は、最低50は必要です。

 

 

 

理想は100です。

 

 

 

しかし、女性は生理があるので、鉄を失います。簡単には「フェリチン」は上がりません。

 

 

15歳~50歳の女性の80%は、「フェリチン」30以下だそうです。

 

 

 

ほとんどの女性は、深刻な鉄不足です(※閉経したら回復します)

 

 

 

だから妊娠前に「フェリチン」を最低50にしておく必要があります。

 

 

 

30以下だと不妊になりますし、

 

 

 

もし、それで妊娠・出産できた場合でも、子供が「鉄不足」のまま生まれてしまいます。母親の鉄が足りないと、十分もらえないからです。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、出産によって、フェリチンをゴッソリもっていかれ、鉄が枯渇すると、母親も健康ではいられません。

 

 

 

 

産後うつは、鉄不足が原因です。

 

 

 

 

そうならない為にも、女性は、鉄をしっかり摂っておく必要があります。

 

 

 

そして、鉄の吸収には「タンパク質」がかかせないということも忘れてはいけません。

 

 

 

糖質の過食が招く、卵子や卵巣の老化リスクや、妊娠・出産には鉄タンパクが必要ということについてお話しましたが、これらは、子供を生む女性だけに限った話ではありません。

 

 

 

糖質を控える事、タンパク質や鉄を不足させない事は、全ての人の健康の基本だと言っても過言ではありません。

 

 

 

あらゆる健康法も、糖質を摂っている事で足を引っ張ってしまいますし、また、「鉄タンパク不足」だと、あらゆる健康法も効果が薄れます。

 

 

 

(追記)私が試したところ、鉄の補給は食事よりサプリメントの方が効果的でした。

 

鉄の過剰摂取は危険という考えを改めます。鉄サプリを半年間飲んでみて思う事

 

 

(追記)子供の健康について考えている方は、以下の記事も参考にして下さい。

 

草食系男子が増える原因は、価値観の変化でも女性の強さでもなく、生殖能力に影響を与える環境である

 

 

 

スポンサーリンク

動脈硬化は悪玉コレステロールではなく、動脈壁の劣化が原因だった

動脈硬化が話題になる時、ほとんどの場合、注目されるのは「悪玉コレステロール」です。

 

 

しかし、よく調べてみると、「コレステロール元凶説」はどれも信憑性に欠けていました。

 

 

絶対に悪い結果になるような不自然な条件で実験を行なったり、都合のいいデータだけを根拠に論文をまとめたり・・・と、真面目に真実を追究する姿勢ではありませんでした。

 

科学や論文のインチキはコレステロールが教えてくれる

 

 

そういう歴史があるので、私は「コレステロールを悪く言う」説に対しては常に疑いを持っています。どんな新説であろうとです。

 

 

そもそも、動脈硬化は血管の疾患なので、血管そのものにもっと目を向けるべきではないでしょうか。

 

 

なので、本記事では、「動脈硬化の原因に、本当にコレステロールが関係しているのかどうか」と、「血管はどうやって劣化していくのか」に焦点を当ててお話します。

 

 

スポンサーリンク

 

動脈硬化について

 

本題に入る前に、動脈硬化がどういうものなのか、簡単に説明しておきます。

 

動脈硬化には3タイプあります。

 

 

 

  • アテローム性動脈硬化(粥状動脈硬化)

 

  • 細動脈硬化

 

  • 中膜石灰化硬化(メンケベルグ硬化)

 

 

一般的に言う「動脈硬化」とは、「アテローム性動脈硬化」の事を指している場合が多いです。「脳梗塞」や「心筋梗塞」の原因になります。

 

 

なので、ここからは「アテローム性動脈硬化」に焦点を当てます。

 

 

 

アテローム性動脈硬化とは

 

「アテローム性動脈硬化」は、一言で言うと、血管の中に「お粥状の塊」ができた状態です。

 

その塊の事を、「アテローム性のプラーク(粥状の隆起)」とか、「粥腫(じゅくしゅ)」と呼びます。

 

 

『動脈硬化症 Wikipedia』より引用

 

アテローム性動脈硬化

 

アテローム性動脈硬化とは、動脈の内側に粥状(アテローム性)の隆起(プラーク)が発生する状態。

 

 

「お粥状」・・・といっても、内訳は脂質やカルシウム等です。

 

『アテローム Wikipedia』より引用

 

 

病理学においてアテロームとは、脂質(コレステロールや中性脂肪)、カルシウムや様々な線維性結合組織を含んだ細胞(ほとんどマクロファージ)や細胞の死骸から構成された動脈血管内での蓄積物であり固まりである。

 

心臓や動脈で問題になるアテロームは、通常、粥腫である。

 

アテロームは、不健康な状態であるが、ほとんどの人で見つかっている。

 

 

 

 

アテローム性動脈硬化の成り立ち

 

 

意味を理解したところで、次は「アテローム性動脈硬化」がどのようにしてできるのか説明していきます。

 

以下は、動脈の大まかな構造になります。血管の壁に注目して下さい。

 

 

 

 

動脈硬化に関係があるのは、「内膜」と「中膜の内半分」です。膜はさらに複雑になっていますが、後で詳しく説明しますので、ここではシンプルに考えて下さい。

 

 

そして、以下が一般的に言われている「アテローム性動脈硬化」の成り立ちになります(※つまり、「アテローム性のプラーク」の出来方です)。

 

 

 

①「血管」は血圧が高かったり、喫煙することで内膜の「内皮細胞」が傷つけられる

 

 

②傷ついた「内皮細胞」の隙間から、LDL(悪玉)コレステロールが内膜の内側に入り込んでいく

 

 

③内皮細胞の内側に入り込んだLDLは、活性酸素によって酸化される

 

 

④不要な酸化LDLを排除する為に、単球(白血球の一種)も内膜の内側へ入っていく

 

 

⑤「内皮細胞」の間から内膜へと入り込んだ単球は、「マクロファージ」の姿に変身して掃除を行なう

 

 

 

 

⑥マクロファージは、次々と酸化LDLを食べていくので大きくなる(泡沫細胞という)

 

 

 

 

⑦泡沫細胞が蓄積すると、アテロームになる

 

 

⑧アテロームができると、血管壁が厚くなって、血管内部は狭くなる

 

 

 

泡沫細胞(ほうまつさいぼう)とは、マクロファージが「酸化LDLコレステロール」を溜め込んで「泡状」になった細胞です。これが集まったものが「粥状」のアテロームです。)

 

 

 

あなたは、この過程を読んでどう思われましたか?

 

 

私は①の「内膜の傷が悪い」と思うのですが、

 

②以降の「LDL(悪玉)コレステロールが悪い」と考える人も多いのではないでしょうか。「コレステロール元凶説」は根強いですからね。

 

 

なので、先に「LDLコレステロール」について話をします。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

コレステロールとは

 

テレビ等で「LDLコレステロール」が紹介される時、その絵は悪者のように描かれています。あのせいで、「LDLコレステロール」に対しておかしな先入観を持っている人は少なくないと思います。

 

なので、コレステロールがどういうものなのかを説明します。

 

 

コレステロールは、血液の中に単体で存在しているのではありません。コレステロールは、中性脂肪やタンパク質(アポタンパクと言う)とセットになって存在しています。

 

このセットを「リポタンパク」と呼びます。

 

このような姿で血液の中に存在しているのは理由があります。

 

血液は水分で、コレステロールは脂です。水と脂は馴染みません。

 

 

だから、水と馴染みにくい「エステル型コレステロール」と「中性脂肪」は、比較的水と馴染みやすい「遊離型コレステロール」「リン脂質」「アポたんぱく」にくるまれることによって、血液の中に存在しているというわけです。

 

 

 

 

 

日常的に使われている「善玉コレステロール」とか、「悪玉コレステロール」といった言葉は、この加工された「リポタンパク」のことを指していて、「コレステロール分子」自体を指しているわけではありません。

 

 

リポタンパクの種類

 

 

このリポタンパク(一般的に言うコレステロール)は、善玉と悪玉の他にもいくつかあります。

 

 

  • (カイロミクロン(キロミクロン)/ 英語:chylomicron)

 

  • (超低比重リポタンパク / 英語:Very-Low-Density Lipoprotein cholesterol)

 

  • (中間比重リポタンパク / 英語:Iintermediate Density Lipoprotein cholesterol)

 

  • (低比重・リポタンパク /英語:Low-Density Lipoprotein cholesterol)→ 悪玉コレステロール

 

  • (高比重リポタンパク / 英語:High Density Lipoprotein cholesterol)→ 善玉コレステロール

 

 

 

 

脂質の比率密度合成される場所によって、このように分けられています。

 

様々なサイトを参考に、それぞれのサイズを図にしておきました。一番小さいのが善玉と呼ばれる「HDLコレステロール」です。

 

 

 

 

で、本題は悪玉と呼ばれる「LDLコレステロール」・・・でしたね。

 

なので、次は先ほど書いた、アテローム性動脈硬化の成り立ちのこの部分を詳しくみていきます。

 

 

②傷ついた「内皮細胞」の隙間から、LDL(悪玉)コレステロールが内膜の内側に入り込んでいく

 

 

 

有益なLDLコレステロールが悪いと言われる理由

 

ここからはリポタンパクの中で2番目に小さい「LDLコレステロール(ロウ・デンシティ・リポプロテイン・コレステロール)」が本当に悪いのか検証していきます。

 

 

冒頭でもお話した通り、私はこのコレステロールの話は胡散臭いと思っているので、調べたことを解説しますが、基本信じていないので文章的に「断言」する形をとっておりません(その理由は後で述べます)。なので、「こんなことが世間で言われているんだな」・・・という感覚でお読み下さい。

 

 

LDLコレステロールは「悪玉」などと呼ばれていますが、「新鮮なコレステロールを全身に配達する」という体にとって重要な役割を担っています。

 

良い仕事をしているのです。

 

 

よくよく調べてみると、「LDLコレステロール」そのものが悪いのではなく、「変性したLDLコレステロール」が悪いのだそうです。

 

 

 

〇 正常なLDLコレステロール

 

× 変性したLDLコレステロール

 

 

そして、「変性したコレステロール」にもいくつかパターンがあるみたいですが、多くは活性酸素によって酸化したLDLコレステロールだそうです。

 

 

「正常なLDLコレステロール」は、マクロファージに相手にされませんので、先ほどお話した「泡沫細胞」を作ることはありません。

 

しかし、「酸化したLDLコレステロール」は毒性が強く、マクロファージから見ると有害物質なので、食べられます。すると、「泡沫細胞」を作って動脈硬化を進行させてしまいます。

 

 

「酸化LDLコレステロール」が危険視されているのは、以上の理由からです。

 

では、何故、LDLコレステロールは酸化してしまうのか・・・その理由が気になると思うので解説します。

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

 

LDLコレステロールが酸化する理由

 

 

実は、「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールは、2種類あるそうです。

 

 

 

  • 通常サイズの LDLコレステロール

 

  • 小型サイズの LDLコレステロール(small dense LDL スモール・デンス・LDL)

 

 

後者を、悪玉コレステロールと呼びます。

 

そして「小型LDLコレステロール」が「超悪玉」と言われる根拠が以下になります。

 

 

『川村内科診療所 脂質代謝系 2015年5月19日 火曜日 小型LDLの重要性 平野勉教授』より引用

 

① 血液中に滞在する時間が、通常のLDLの場合は平均2日なのに比べ、5日と長いこと

 

② 血管壁のプロテオグリカンに付着しやすいこと

 

③ 小型の粒子なので血管内皮下に侵入しやすいこと

 

④ 通常のLDL粒子に比較してコレステロール含有量が少ないが、それ以外にも脂溶性の抗酸化ビタミンなどの抗酸化物質が乏しいため酸化されやすい

 

⑤ 酸化されるとマクロファージに取り込まれ、泡沫化し、動脈硬化層へと進展していく

 

 

「プロテオグリカン」とは、多糖類を含むタンパク質の一つです。細胞と細胞をつなぎ合わせたり、細胞を保護する働きがあります。

 

 

『生研 small, dense LDL はなぜ動脈硬化惹起性が強いのでしょうか?』より引用

 

small, dense LDL(sd LDL)は、LDL を異化する LDL レセプターに対する親和性が低下しており、血中滞在時間の長いことが知られています。

 

一般的に正常サイズの LDL の血中滞在時間は2日、sd LDL のそれは5日と言われています。このため、sd LDLは血管壁と接触する機会が多いと言えますが、それ自身が小型であることと相まって血管壁に侵入しやすく、酸化変性というストレスにさらされやすいという側面を有しています。

 

さらにこの酸化ストレスに対して、正常サイズの LDL はビタミン E やユビキノール10といった抗酸化物質によって保護されていますが、sd LDL は抗酸化物質に乏しく酸化変性を受けやすいという特徴も有しています。

 

以上のことから、sd LDLはアテローム性動脈硬化の主因である酸化LDLの良き原料と考えられています。

 

 

「小型LDLコレステロールの特徴」と、それによる不都合な展開を完結にまとめるとこうなります。

 

 

  • 滞在時間が長い → 血管壁と接触する機会が多い

 

  • サイズが小さい → 血管壁に侵入しやすく、侵入した先で酸化される

 

  • 抗酸化物質が乏しい → 活性酸素に対する防御力が弱いので酸化しやすい

 

 

「小型LDLコレステロール」は、このような条件がそろっているので、毒性の強い「酸化コレステロール」になりやすいというわけです。だから「超悪玉」と言われています。

 

 

「小型LDLコレステロール」は、よく「小型だから悪い」と言われていますが、厳密に言うと「内皮細胞に入ると酸化するから悪い」ということになります。

 

 

以上が「LDLコレステロールは動脈硬化の原因になる」・・・と悪く言われる所以です。

 

 

しかし、忘れてはいけません。

 

酸化コレステロールは泡沫細胞の蓄積を招くので「アテローム性動脈硬化」を進展させますが、あくまで二次的なものです。

 

コレステロールの前に注目しなければいけない過程があります。

 

それが、最初に起こる「内膜の傷」です。

 

 

 

内膜の傷

 

 

確かに、酸化コレステロールは良くない性質をもっています。

 

しかし、元になった「小型LDLコレステロール」を溜めない事が動脈硬化を防ぐ一番の方法か・・・というと、私はそうは思いません。

 

コレステロールに気をつけるよりも、①の血管そのものの健康に気をつける方が、根本的な解決に繋がると思うのです。

 

 

その根拠をお話します。ここでもう一度、「アテローム性動脈硬化」の流れを見て下さい。

 

 

 

①「血管」は血圧が高かったり、喫煙することで内膜の「内皮細胞」が傷つけられる

 

 

②傷ついた「内皮細胞」の隙間から、LDL(悪玉)コレステロールが内膜の内側に入り込んでいく

 

 

③内皮細胞の内側に入り込んだLDLは、活性酸素によって酸化される

 

 

・・・

 

 

そもそも、①が起こらなければ「内皮細胞」は傷つかないということになりますよね。

 

そして、「内皮細胞」が傷つかなければ、「小型LDLコレステロール」が隙間から入ることもありません。

 

 

そして、LDLコレステロールの酸化は「内皮細胞」に入り込んだ先で起きるので、入り込まなければ酸化LDLコレステロールは作られない・・・ということになります。

 

 

マクロファージは「酸化LDLコレステロール」にならなければ攻撃してこないそうなので、その後の「泡沫細胞」になる展開も起こりません。

 

 

結局、元をたどれば「血管にLDLが入ってしまう傷ができる事」、「内皮細胞に入ってしまう事」が悪いのであって、「小型LDLコレステロールが悪い」・・・というのはなんか違うような気がします。コレステロールに関する説はインチキが多いので、無駄に大騒ぎしすぎかなと思います。

 

しかし、既に内皮細胞に傷が多い人は、小型LDLが入り込む確率が増しますし、そうなれば酸化してマクロファージの攻撃対象ですから、どうにもなりません。その場合は小型LDLコレステロールを減らす努力をした方が良いでしょう。

 

 

 

また、「小型だから内皮細胞に入りやすい」・・・ということですが、それを言うなら「HDL(善玉)コレステロール」も小型です。何故こちらは内皮細胞に入っていかないのか・・・

 

 

謎はありますが、とりあえずコレステロールの話は置いておいて、ここからは「血管の状態」に注目します。

 

 

 

 

血管の状態に注目する

 

 

「動脈硬化」という疾患は「血管の症状」なので、そこを流れている「コレステロール」に注目するよりも、「血管の質」そのものに目を付ける方が理に適った分析だと思います。

 

 

動脈硬化を予防したい人は、コレステロールの心配をする前に、血管の質が悪くならないような生活を心がけた方が良いでしょう。

 

しかし、その為には、何故、血管の質が悪くなるのかについて知っておく必要があります。

 

 

まずは、コレステロールから頭を切り替える為に以下をお読み下さい。

 

 

『日本人よコレステロールを恐れるな / 著者:長谷川元治』より引用

 

「コレステロールが高い=動脈硬化」ではない。

 

 

みなさんが健康診断などを受けたとき、コレステロールが高いと、動脈硬化を起こしている(あるいは起こすおそれがある)と言われます。しかし、実はここに大きな落とし穴があるのです。

 

 

たとえば、高血圧かどうかを調べるときには血圧そのものを測定します。その結果、血圧の値が高かった人がすなわち高血圧ということになります。血圧が高いことを高血圧というのですから、これはあたりまえです。

 

 

ところが、動脈硬化の場合は違います。血管の病変であるにもかかわらず、血管そのものをなんらかの形で検査。測定するのではなく、血中コレステロールという“別のもの”を測って、間接的に診断を下しているにすぎません。

 

 

これば、血管そのものの状態を直接調べる簡易な検査法が少なく、行なう場合には特別な機器や技術が必要だったため、会社や地域の健康診断や人間ドックなどで実施しにくかったという事情もあるでしょう。

 

 

しかし、その結果、不幸なことに「コレステロールが高い=動脈硬化」という図式が世の中に浸透してしまいました。

 

 

本来、血中コレステロールが高いということは、血液中にコレステロールが多いという状態を示しているにすぎず、それ以上でも以下でもありません。

 

 

血管の状態そのものは調べていないのですから、動脈硬化かどうかはほんとうにはわからないはずです。にもかかわらず、わかったことにしている、つまり動脈硬化を起こしている(起こすおそれがある)とみなしているのが現在行なわれている検査・診断であるといえるでしょう。

 

 

実際には、コレステロールが高くても動脈硬化を起こさない例があり、逆にコレステロールが低くても動脈硬化を起こしている例も多いことがさまざまな研究・調査によって、また私自身の研究によっても明らかになっています。

 

 

(p37~38p)

 

 

こちらは、1998年に出版された本です。言うまでもありませんが、あの当時「動脈硬化はコレステロールが原因ではない」という説を唱えるのは凄いことです。

 

 

ですが、ここに書かれてある内容は、考えたら当たり前のことです。小学生でも分かる理屈ではないでしょうか。

 

 

しかし、みんなが「動脈硬化=コレステロール」と言うと、なんとなく「そうかな・・・」と思うようになるのです。

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

動脈硬化の定義

 

動脈硬化が何かよく分かっていないと原因もわかりません。

 

 

なので、まず動脈硬化の定義をハッキリさせます。

 

 

血管の“しなやかに伸び、力強く復元する”という機能が失われる。

 

動脈硬化とは何かという問題を考えるとき、二つの側面からのアプローチがあります。

 

一つは“血管機能”の面から論じる場合、もう一つは“病理組織学”の面から検討した場合です。

 

このうち、血管機能の面から動脈硬化を論じるのは、実はそれほどむずかしいことではありません。一言で言えば、動脈が本体持っている「しなやかに伸び、力強く復元する」という機能が低下し、失われた状態を動脈硬化と呼ぶのです。

 

 

(中略)

 

 

正常な動脈、よい動脈とは何でしょうか。

 

 

医学的にいろいろな側面から表現することはできますが、要はこの“しなやかに伸び、力強く復元する”機能を維持しているということに尽きるでしょう。

 

 

動脈硬化を起こすと、血管はこのような機能を失ってしまいます。

 

 

実際、不幸にも亡くなられたかたがたの大動脈をとり出し、手で引っぱってみると、正常な血管は柔らかくて、よく伸びるのですが、動脈硬化を起こした血管はガチガチに硬く、まったく伸びません。

 

 

こうした状態では、動脈は血液を全身のすみずみまでつつがなく送り届けるという大事な役目を果たすことができなくなってしまいます。

 

 

(139p~142p)

 

 

機能的に良い動脈がどういう状態か分かったので、次は顕微鏡を使って病気の細胞と組織を検査する「病理組織学」から見た動脈硬化の定義をみていきます。

 

 

冒頭でも少し解説しましたが、動脈壁は、「内膜」、「中膜」、「外膜」の3つに分けられます。

 

 

 

 

この構造を頭に入れた上で続きをお読み下さい。

 

 

動脈硬化とは血管の組織が“病的老化”を起こした状態。

 

 

一方、病理組織学の面から見た場合はどうでしょうか。こちらは実はなかなかむずかしい問題なのですが、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。

 

 

動脈の血管壁の組織は、内膜、中膜、外膜という三つの層を重ね合わせた形でできています。

 

 

このうち、動脈硬化に関係が深いのは内膜と中膜(の内側半分)です。図23に正常な動脈の断面拡大図を示しました。

 

 

 

 

内膜は表面のタンパク膜、内皮細胞、内弾性板(エラスチン)から成り立っており、そのうちの内皮細胞は一層で構成されています。

 

 

中膜は平滑筋細胞を中心として、弾性繊維という太い線維性のタンパク質(エラスチン)、細い線維性のタンパク質(コラーゲン)、それらの間を埋めるしなやかなゼリー状、にわか状のタンパク成分(グリコサミノグリカンス、糖タンパク)によって構成されています。

 

 

動脈の「しなやかに伸び、力強く復元する」というすばらしい機能を担っているのはこれらの材料です。

 

 

エラスチンは平滑筋細胞の間に繊維状に分布しており、「しなやかに伸びる」という機能を専門に受け持っています。

 

 

一方、コラーゲンはエラスチンの要所、要所に密着して存在しており、「力強く復元する」という機能を受け持っています。細胞やゼリー状、にわか状のタンパク成分はこの二つの機能がスムーズに働くように、いわば手助けをします。

 

 

年をとるにつれて、これら動脈壁を構成する成分の形と質は徐々に劣化し、その機能もしだいに低下してきます。

 

 

したがって、結果として動脈は硬くなってきますが、そのとき“病的な成分”が発生していなければまだ「生理的老化」の段階であり、動脈硬化を起こしているとは言えません。

 

 

それに対して動脈壁に“病的な成分”が発生している場合を「病的老化」と呼び、私はこれをイコール動脈硬化と定義しています。

 

 

上の画像を参考に、「内膜」と「中膜」の構造をシンプルにしておきます。

 

まずは、「内膜」です。水色の部分は後で説明しますので、ここでは以下の名前を覚えて下さい。

 

 

 

 

 

 

次は「内膜」です。

 

 

 

 

 

 

それぞれの役割をまとめます。

 

 

  • エラスチン・・・「しなやかに伸びる」機能

 

  • コラーゲン・・・「力強く復元する」機能

 

  • 細胞・ゼリー状・にわか状のタンパク成分・・・2つの機能のサポート

 

 

 

年をとって、これらの成分、質、機能が低下したら、動脈は硬くなりますが、以下の違いがあります。

 

 

 

動脈壁に病的な成分が発生していない状態(動脈硬化を起こしていない)

 

 

動脈壁に病的な成分が発生している状態(動脈硬化と定義)

 

 

 

後者が「動脈硬化」です。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

動脈硬化のプロセス

 

 

定義がハッキリしたところで、次は動脈硬化になるプロセスです。

 

 

さっきの「アテローム性動脈硬化」のプロセスの説明では見られなかった話なので、楽しんで読んで下さい。

 

 

病的老化のプロセスを簡単に説明しましょう。図24―①、②をごらんになると、よりわかりやすいと思います。

 

 

 

 

まず細胞、生理的なエラスチン、コラーゲンが破壊され、形がくずれ、量的にも減少してきます。その間を埋めているゼリー状、にわか状のタンパク成分もやはり破壊され、量が減ってきます。

 

 

このとき、エラスチンは壊れるだけですが、コラーゲンはしだいに変性したものがつくられてきます。簡単にいうと、質のよいコラーゲンと悪いコラーゲンのうち、悪いコラーゲンがふえてくるのです。

 

 

それとともに病的なゼリー状、にわか状の成分も塊状にふえてきます。こうしたまったく機能をなさないさまざまな病的なタンパク質が増加するうちに、細胞は異常にふくれ上がり、のちに萎縮し、ついには消失して(死んで)しまいます。

 

 

そして、最後にこれらの現象に輪をかけるように、血管壁に大量のコレステロールやカルシウムが集まり、アテロームや石灰化が形成されるのです。

 

 

 

 

このように血管壁の組織を構成する主な成分が破壊され、減少、消失し、病的な成分が発生、増加した結果、動脈は本来持っている機能をついには失ってしまいます。

 

 

つまり、しなやかに伸びなくなり、力強く復元しなくなるのです。病理組織学の視点から論じた場合、動脈硬化はまさにこの病的老化が起きた時点をもって始まると言ってよいでしょう。

 

 

(143p~147p)

 

 

 

 

「病理組織学」の視点で見た動脈硬化のプロセスを簡単にまとめるとこうなります。

 

 

 

①エラスチン、コラーゲン、ゼリー状、にわか状のタンパク成分が破壊され形が崩れ、量が減少する

 

 

②変性したコラーゲンが増え、病的なゼリー状、にわか状の成分は塊状に増える

 

 

③病的なタンパク質の増加によって細胞が膨れ、萎縮、消失する

 

 

④血管壁に大量のコレステロールやカルシウムが集まる

 

 

⑤アテロームや石灰化が形成される

 

 

⑥動脈は本来持っている機能を失う

 

 

 

 

どうでしょう。

 

 

先に紹介した「アテローム性動脈硬化」になるプロセスとは、ちょっと違いますね。

 

 

一般的な「アテローム性動脈硬化」の説明は、動脈壁が傷つく様子を軽く触る程度で、その後の「コレステロールが~」ばかりを強調していました。

 

 

しかし、こちらの説明では、諸悪の根源である動脈壁の変性ぶりが丁寧に描写されています。私はここがミソだと思っています。

 

 

コレステロールと関係なく動脈の変性は起こるのです。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

動脈硬化になることで失われる機能

 

 

動脈硬化になると、どんな不都合な事が起こるのかみていきましょう。

 

 

血管は「栄養呼吸」を行なっています。

 

 

しかし、病的な老化(動脈硬化)をしたものは、その機能を失ってしまうのです。以下はその実験の様子です。

 

 

私達の体を構成する組織はすべからく、栄養分や酸素をとり入れて、かわりに浪費物を排出する「栄養呼吸」を行なっています。

 

 

動脈壁のように常に動きつづけている組織の場合には、なおさらこの栄養呼吸が非常に活発に行なわれていることが予想されます。もしそうでなければ、動脈壁の組織は疲労とエネルギー不足に陥って、伸び縮みを繰り返しつづける“激務”にはとても耐えきれないはずだからです。

 

 

では、動脈壁の組織の栄養呼吸はどのような仕組みになっているのでしょうか。実は、これが動脈硬化の発生する原因を知るうえで重要なポイントになります。私たちは次のような実験を行いました。

 

 

まず人間(や動物)の動脈組織を短く切ってとり出し、それを人工心臓を中心とした特殊な装置にとりつけます。

 

 

この装置は心臓の拍動や血液を生体同様に再現する仕組みになっており、作動させると脈動流が起きて、溶液が管腔の中に送り出され、動脈の口径は体内にあるときと同様に広がったり、元に戻ったりを繰り返します。このとき、動脈の組織に必要な栄養素をとかした液体(よく見えるように着色してある)を送り出して、どうなるかを観察してみたのです。

 

 

すると、正常な動脈(や生理的老化を起こしている動脈)では、口径が広がったときに溶液が血管壁の組織に十分に吸い込まれ、元に戻るときに溶液が吐き出されることが確認できました。血管壁の断面図でいうと、中膜組織の内側半分にまで深く溶液は出入りしています。

 

 

つまり、動脈壁はその伸び縮みに連動して、実に活発に栄養呼吸を繰り返していることがわかったわけです。心臓は1日に10~11万回は拍動しますから、動脈の栄養呼吸も同じ回数だけ行なわれていることになります。

 

 

では、動脈硬化=病的老化を起こしている動脈の場合はどうだったでしょうか。同様の実験を行なってみたところ、栄養液は血管壁の組織表面の浅いところに貯留して(たまって)しまい、そこから奥には入っていきませんでした。

 

 

つまり、栄養呼吸が障害されているか、ほとんど行なえなくなっていたのです。肺呼吸になぞらえて言うと、“浅く息を吸い、浅く息を吐く”といった、まるで呼吸困難に陥った重症の肺炎のような呼吸の仕方でした。

 

 

このような状態では動脈壁の組織は栄養不足に陥ってボロボロになっていくのは当然だと言えるでしょう。

 

 

病的な老化を起こしている動脈

 

 

栄養呼吸が障害される

 

 

血管が栄養不足でボロボロ

 

 

 

・・・悪循環ですね。

 

 

ところで、もう一度言いますが、この本は1998年、今から約20年前に書かれています。

 

 

従って、所々「LDLコレステロール=悪者」という当時の概念で話を展開されていますが、「LDLコレステロールは悪くない」と事実が分かる前なので、考慮して続きを読んで下さい。

 

 

さらに、私たちは着色した「LDLコレステロール」をとかした液を使って同様の実験を行なってみました。LDLコレステロールは俗に“悪玉コレステロール”と呼ばれ、動脈壁の中に侵入してアテロームをつくる原因となり、ひいては動脈硬化を引き起こす元凶であると一般には言われているものです。

 

 

実験の結果、正常な動脈では、LDLコレステロールはまったくといってよいほど血管壁の中には侵入できませんでした。もちろん栄養呼吸は活発に行なわれているのですが、LDLコレステロールは入っていきません。

 

 

それに対して、動脈硬化を起こしている血管では、LDLコレステロールがまるで土足で人の家に踏み込むように、血管壁の組織の中に侵入していったのです。しかも、組織内に入ったLDLコレステロールはそこに居ついてしまって、外に出てくることはありませんでした。

 

 

以上の結果をまとめてみますと、正常な動脈ではスムーズに栄養呼吸が行なわれており、必要な栄養素は組織の中にとり入れられますが、LDLコレステロールは侵入できません。つまり、必要な成分は入れて、害になる成分は撃退するという一種の「取捨選択機能」(バリア)が働いているわけです。

 

 

一方、動脈硬化=病的老化を起こしている動脈では栄養呼吸はほとんど行なわれておらず、必要な栄養素を組織内にとり入れることができませんが、逆にLDLコレステロールはどんどん侵入していきます。

 

 

つまり、動脈がもともと持っているはずの取捨選択機能が壊れているわけです。

 

 

(148p~151p)

 

 

 

 

血管壁の組織の中にLDLコレステロールが入るのは良くないそうです。この点は先ほどの「アテローム性動脈硬化」の説明と同じです。

 

 

内皮細胞の中に入ると酸化されてしまいますから。

 

 

でも、ふと思いました。

 

 

「血管壁の組織の中にLDLコレステロールが入るのは良くない」・・・と言うと「入らない方がいい物質=害」と考え、「やっぱりLDLコレステロールは悪いんだ」と結論づけてしまうかもしれません。

 

 

「悪玉」という概念があると、そういう発想につながりやすいです。

 

 

しかし、「入らない方が良い」からといって、必ずしもそれが「害」だからとは限りません。

 

 

例えば、「水」は体にとって必要です。

 

 

胃の中に入れば有益ですが、肺の中に入ったら有害です。「肺に入ると悪いから、水は体に悪い」・・・ということにはなりませんよね。

 

 

それと同じように、血管壁の組織の中に「LDLコレステロール」が入らないようになっている、または、入ったら都合が悪い現象が起きるのは、

 

 

単純に、「LDLコレステロールは血管壁の組織の中に機能的に相応しくないだけ」・・・ともとれるわけです。

 

 

従って、私は小型だろうが普通サイズだろうが、以下のように捉えています。

 

 

 

×  LDLコレステロール=有害成分

 

 

〇  LDLコレステロール=正常な血管壁の組織には不要成分

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

タンパク成分の膜の存在

 

 

血液中を流れる「LDLコレステロール」が、内膜の内皮細胞の中に入ったら良くありません。

 

 

次は、血液に面している「内膜」の構造に焦点を当てます。

 

 

動脈壁の内膜の表面には「内皮細胞」がびっしり綺麗に並んでいます。

 

 

 

 

 

 

この「内皮細胞」が血液と触れている・・・と思われるかもしれませんが、そうでもないようです。

 

 

実は、「内皮細胞」の上にが存在しています。

 

 

血液に触れているのは「タンパク成分の膜」です。

 

 

 

私たちは「走査電子顕微鏡」という何千、何万倍という倍率で、しかも組織を立体的に見ることができる高性能の顕微鏡で、動物や人間の動脈をつぶさに観察しました。

 

 

その結果、動脈壁のいちばん内側、つまり血液と接している面にゼリー状、にわか状のタンパク成分(グリコサミノグリカンス、糖タンパク)でできた「膜」を発見しました。

 

 

(中略)

 

 

私たちがこの膜を発見したのは、動物実験がきっかけでした。

 

 

麻酔をしたウサギの心臓が拍動しているうちに、ごくわずかの固定液を血液中に流します。

 

 

そして、走査電子顕微鏡で動脈の組織を観察したところ、明らかに内皮細胞群の直上に膜が一面一様に存在することを確認できたのです。内皮細胞が無数に並んでいる様子を拡大してみると、まるで“キャベツ畑”のようですが、この膜はあたかも霜などの害からキャベツを守るために張られたビニールシートのようにも見えます。

 

 

その後、固定液の用い方など、実験や観察の方法にさらに工夫を重ね、他の動物や人間のいろいろな動脈の血管壁にも同様の膜が存在することを突き止めました。

 

 

(中略)

 

 

しかも、その後の研究で、タンパク膜は動脈壁の表面だけでなく、組織内のすみずみにまで張りめぐらされていることもわかりました。

 

 

先に述べた平滑筋細胞やエラスチン、コラーゲンなどの間を埋めるしなやかなゼリー状、にわか状のタンパク成分が、こうした膜の働きをつかさどっているのです。

 

 

この膜がかなり重要な役割をするのです。

 

 

しかし、「タンパク成分の膜が存在している」とハッキリと書かれている本がある一方で、「血液に触れているのは内皮細胞である」とタンパク膜がなかったかのように書かれている情報源があります。どちらかというとこちらの方が多いです。例えば、

 

 

『一生切れない、詰まらない「強い血管」をつくる本 著者:島田 和幸』より引用

 

 

内皮細胞の“バリア機能”と“活性化機能”

 

 

血管病のメカニズムを知ると、血圧や血糖値、LDLコレステロール値が高い人は、「このままでは危ないかも・・・」と不安な気分になってしまうかもしれません。

 

 

しかし、血管は、若返りが可能な器官です。

 

 

疲れて老化しかけた血管も、セルフケアで強くよみがえらせることができ、それによって怖い血管病も防げるのです!

 

 

その生まれ変わりのカギを握るのが、“内皮細胞”です。

 

 

血管壁の最も内側に位置する内皮細胞は、一層の細胞だけが並ぶ薄い層ですが、血管内腔(血管の内側の空洞)との境にあるので、血管内を流れる血液につねに接しています。

 

 

そのため、血液と血管壁の仲介者のような役割を持ち、血管を守り、強くするよう働いているのです。

 

 

バリア機能は「防壁機能」とも呼べるもので、血液中に存在する成分が血管壁内に侵入するのを防いでいます。

 

 

血液の循環を川の流れにたとえると、内皮細胞は、川の水があふれないように保ち、よどみない流れを促す堤防のようなものです。

 

 

一方、活性化機能は、内皮細胞自身が作る物質に関係しています。

 

 

内皮細胞は、防壁となって血管壁を守るだけでなく、血管を健康に保つための物質を自らが生み出し、活用しているのです。

 

 

そのおもな物質が“NO(一酸化窒素)”です。NOは排気ガスにも含まれていますが、人の体内で生み出されるNOはとても良い働きをします。

 

 

その驚くべき作用を発見した研究者はノーベル賞をもらったほどです。

 

 

内皮細胞から生まれたNOは血管壁に良い刺激を与え、血管壁を広げるよう働きます。すると、血圧が下がり、血管の負担が減ってきます。

 

 

また、NOが血液中に放出されると、血液がかたまりにくくなり、脳梗塞や心筋梗塞の引き金になる血栓(血のかたまり)ができにくくなります。

 

 

そのため、内皮細胞がイキイキしていると、血管自体も若さと強さを保てます。

 

 

逆に、内皮細胞が疲れていると、本来の役割を果たせなくなり、血管の老化が早まって、40代や50代でも血管病に襲われてしまうのです。

 

 

つまり、内皮細胞をどうケアするかが、血管ケアの最大のカギとなるのです。

 

 

違いをまとめてみます。

 

 

 

  • 内皮細胞は血液に常に接していると書かれている

 

  • 「バリア機能」の事には触れるが「タンパク成分の膜」は触れない

 

  • 「活性化機能」について書かれている

 

 

 

気になるのは、「タンパク成分の膜」について触れられていない事です。他にもネットや本を色々探したのですが、どの情報にも書かれていません。

 

 

その後、「膜の名前が変わった」のか、「やっぱり膜はなかったことになった」のかは分かりませんが、「内皮細胞は血液に接している」というものばかりです。

 

 

 

長谷川氏の本には、私たちは発見したと、

 

 

「その後、固定液の用い方など、実験や観察の方法にさらに工夫を重ね、他の動物や人間のいろいろな動脈の血管壁にも同様の膜が存在することを突き止めました。」

 

 

・・・と、膜が存在していると具体的に書いてあるので、何故その他の情報に、「タンパク成分の膜」のことが記されていないのか不思議です。

 

 

しかも、「図23 正常な動脈壁の断面拡大図」には膜がハッキリと描かれています。

 

 

スッキリしませんが、先に進みます。

 

 

スポンサーリンク

 

 

タンパク膜の役割

 

再び長谷川氏の話に戻ります。

 

 

「タンパク成分の膜」が存在していて、どういう役割を果たしているのかをみていきます。

 

 

動脈というと堅固なゴムチューブのようなものを思い浮かべがちですが、実は拡大して見ると動脈壁の組織はスポンジのような構造になっており、無数の微小な管孔(通路)が動脈内腔(血液と接する部分)に開口しています。

 

 

栄養素などの血液成分はこの微小管孔を通って動脈壁組織の奥深くまで入っていくのですが、管孔(かんこう)の開口部も内側もすべて取捨選択機能を持ったゼリー状、にわか状のタンパク膜でおおわれており、そこでもまた、こまかな栄養呼吸が行なわれているのです。

 

 

これら動脈壁内外のタンパク膜が正常でしっかりしていれば、動脈壁の栄養呼吸はスムーズに行なわれ、必要な栄養分はとり入れられて、かわりに老廃物は排出されます。また、LDLコレステロールなどの有害な成分はシャットアウトされます。

 

 

逆に膜の質が悪くなったり、あるいは壊れたりすると動脈壁の栄養呼吸は十分に行なわれず、必要な栄養分がとり入れられなくなり、老廃物もきちんと排出できなくなります。

 

 

その結果、動脈壁の組織は栄養不足に陥ってボロボロになり、さらにはLDLコレステロールなどの有害成分も侵入してくるのです。

 

 

 

タンパク膜の役割です。

 

 

  • 栄養呼吸(栄養を取り込み、老廃物を排出)

 

  • 不要成分をシャットアウトするバリア機能

 

 

情報源によって、ところどころ食い違いますが、血管壁が「不要な成分をシャットアウトするバリア機能」を持っていることは確かです。

 

 

 

sdLDLコレステロールが酸化される場所

 

 

「バリア機能」は重要です。

 

 

100歩譲って「sd(小型)LDLコレステロール」が悪かったとしても、膜の不具合(バリア機能に問題)がなければ中に入れないので問題はないようです。

 

 

何故なら、「小型LDLコレステロール」は、血液内で酸化されるのではなく、膜に入った後で酸化されるからです。

 

 

以下の動画の0:37でも、酸化は動脈壁の内部の化学反応で起こると説明されています。その部分を文字起こししてみました。

 

 

コレステロール、脂肪、細胞はいきせい生物など、血中内を移動する物質は動脈壁の損傷領域の内部で蓄積します。

 

蓄積した物質内で起こる化学反応によりコレステロール分子は酸化されます。

 

 

 

動画がこちらです。

 

 

 

 

 

 

極端に言えば、膜がきちんと機能していて、動脈壁に入らなければ酸化されないので、血液の中に「小型LDLコレステロール」が多かろうが少なかろうが問題はありません。

 

 

少なくとも、理論上はそういう事になります。

 

 

 

(膜があると守られているので、LDLも単球も中には入れない)

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

電気化学的な面から見た動脈硬化

 

 

余計なものが中に入らないように守ってくれている「タンパク成分の膜」ですが、どうやって不要な成分をシャットアウトしているのか、もしこれが壊れたらどうなるのかを、みていきます。

 

 

少し話がむずかしくなりますが、動脈硬化の発生・進行を電気化学的な面から説明してみましょう。

 

 

赤血球や白血球、リンパ球、血小板をはじめ、LDLコレステロールなどの有害成分も含めて、すべての血液の有形成分はマイナスの電気を帯びています。

 

 

一方、動脈壁のタンパク膜は正常な状態では電気的にはほとんどゼロ、つまりプラスもマイナスも帯びていない状態です。

 

 

したがって、血液中の成分と動脈壁のタンパク膜とは電気的にお互いに反発し合うので、くっつくことはありません。

 

 

ところが、このタンパク膜は質が悪くなったり、壊れたりすると、急速にプラスに荷電してくるのです。

 

 

そうなると、マイナス電気を帯びている血液成分とお互いに引き合うようになりますから、それらの成分がタンパク膜の表面に集まってきて、たくさんくっついてしまいます。

 

 

こうした状態がつづくと、いろいろな余計な成分が膜の上に蓄積し、さらに病的なコラーゲンなども膜の上に雑草のように生えてきて、やがて厚くて硬い層ができ上がります。

 

 

タンパク膜や内皮細胞はその下にいわば“生き埋め”になってしまうわけですから窒息状態になり、破壊され、ついには消失してしまいます。

 

 

そして、膜の消失した部分から分子量の小さいLDLコレステロールなどの有害な成分がどんどん動脈壁の中に入り込むようになるのです。

 

 

 

電気の状態を図にしてみました。

 

 

 

 

 

 

つまり、こういうことです。

 

 

 

①左の「正常な膜」だと血液中の成分はくっつかない

 

 

②膜が劣化すると、膜と血液中の成分はくっつく

 

 

③余計な成分が膜の上に蓄積する

 

 

④タンパク膜や内皮細胞は、窒息、破壊、消失する

 

 

⑤壊れたところから分子量の小さいLDLコレステロールが侵入

 

 

 

 

ただし、この電荷の話は分からないことが多いです。

 

 

「血液中の成分の電荷」と「動脈壁の電荷」について色々調べていたらこんな話もありました。

 

 

『CRCグループ リポ蛋白分画の検査法の違いを教えてください。』より引用

 

 

また、リポ蛋白はその表面に存在するアポ蛋白のアミノ酸残基を反映して陰性に荷電しています。

 

この陰性荷電はLDL、VLDL、HDLの順に増加し、CMはほとんど荷電が認められません。

 

 

 

「LDLコレステロール」は他のリポタンパクに比べてあまり陰性に荷電していない・・・ともとれます。

 

 

で、悪玉である「LDLコレステロール」より、善玉である「HDLコレステロール」の方が陰性が強いということは、善玉は正常なタンパク膜にくっつきにくい・・・ということになります。

 

 

でも膜が劣化してプラスに変わったらくっつきます。

 

 

 

そして、以下は間逆です。

 

 

『脂質異常症(高脂血症)』より引用

 

 

LDLはプラスに荷電している。

 

 

一方、平滑筋細胞や内皮細胞において産生される糖タンパクであるプロテオグリカンはかなり強くマイナスに荷電している(プロテオグリカンは細胞外基質である)。

 

 

プラスに荷電したLDLがマイナスに荷電したプロテオグリカン(糖鎖の部位)に引き付けられるように強固に結合すると、LDLの構成タンパクであるApo-Bタンパクは構造変化して血管壁から外へ出ることはない。

 

 

なんと、いきなり「LDLはプラスに荷電している」・・・ときました。

 

 

そうすると「正常なタンパク膜(ほどんどゼロ)」の時より、「劣化したタンパク膜(プラス)」の時の方が反発してよりくっつきにくくなる気がします。

 

 

しかし、ちょっと気になったのが、以下の部分です。

 

 

 

>平滑筋細胞や内皮細胞において産生される糖タンパクであるプロテオグリカンはかなり強くマイナスに荷電している(プロテオグリカンは細胞外基質である)。

 

 

 

「プロテオグリカン」・・・

 

 

内皮細胞の上にある「たんぱく成分の膜」膜は、「グリコサミノグリカンス、糖タンパクで出来た膜」と説明がありました。

 

 

一応「グルコサミノグリカンス」と「プロテオグリカン」について調べてみました。

 

 

『グリコサミノグリカン wikipedia』より引用

 

グリコサミノグリカン(glycosaminoglycan)は、長鎖の通常枝分れがみられない多糖。動物の結合組織を中心にあらゆる組織に普遍的に存在する。狭義のムコ多糖。GAGと略される。

 

 

硫酸基が付加した2糖の繰り返し構造からなる。

 

 

うち1つはアミノ糖(ガラクトサミン、グルコサミン)であり、もう1つはウロン酸(グルクロン酸、イズロン酸)またはガラクトースである。

 

 

多数の硫酸基とカルボキシル基を持つために、強く負に帯電している。

 

 

多くのグリコサミノグリカンは、プロテオグリカンとしてコアタンパク質と呼ばれる核となるタンパク質に付加した形で存在している。唯一の例外は、ヒアルロン酸であり、プロテオグリカンとしては存在していない。

 

 

「グルコサミノグリカンス」は強く負に帯電しているとのことです。

 

 

『プロテオグリカン wikipedia』より引用

 

プロテオグリカンは、動物成分の多糖類(グリコサミノグリカン:glycosaminoglycan)の研究中に見つけ出された成分である。

 

 

グリコサミノグリカンとしては、ヒアルロン酸や軟骨から分離されたコンドロイチン硫酸(1889)などが有名であるが、これらのグリコサミノグリカンの構造解析を行っている中で、1970年にグリコサミノグリカンとコアタンパク質(CoreProtein)が一定の結合様式で結合した糖タンパク質が発見され、プロテオグリカンと命名された。

 

 

イマイチ何が言いたいのかよく分からない説明ですが、

 

 

グルコサミノグリカン + タンパク質 = プロテオグリカン

 

 

・・・ということなので、「プロテオグリカン」とは、「タンパク膜」のことを指しているのでしょう。ハッキリ「膜」と言えばいいのにと思います。

 

それを踏まえた上で、以下の部分をもう一度読みます。

 

 

>平滑筋細胞や内皮細胞において産生される糖タンパクであるプロテオグリカンはかなり強くマイナスに荷電している(プロテオグリカンは細胞外基質である)。

 

 

「グルコサミノグリカン」が強く負に帯電しているので、この「プロテオグリカン」は強くマイナス・・・ということだと思うのですが、

 

 

そうすると、最初に紹介した「グルコサミノグリカンスと糖タンパクでできているタンパク膜は、電気的にほとんどゼロ」という話と食い違います。

 

 

混乱してきたので図にします。

 

 

「正常な膜」を「ほとんどゼロ」から「マイナス」に、血液中の成分の中の「LDLコレステロール」だけを「マイナス」から「プラス」に変えると、

 

 

「血液中の成分」と「タンパク成分の膜」がくっつくか、くっつかないかの話が、先ほどと違ってきます。

 

 

 

 

仮に正常な「タンパク膜」が強いマイナスと過程して、さらに、「LDLコレステロール」もプラスと仮定したら、「LDLコレステロール」と正常な「タンパク膜」はくっつきます。

 

 

でも、「タンパク膜」が劣化してプラスになれば、「LDLがコレステロール」がプラスだった場合は反発することになります。

 

 

膜が傷ついていても「LDLコレステロール」が中に入りにくいことになります。

 

 

どっちが本当なのかよく分からないですね。

 

 

検証のしようがないので、とりあえず「電荷」の件は保留にします。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

カルシウムによる石灰化

 

 

タンパク成分の膜が壊れると問題が起こります。

 

 

その一つが、組織の「石灰化」です。

 

 

もう一つ、ここでたいへん興味深い現象が起きることがあります。台風などで河川の堤防が決壊すると、そのときは本格的な修理をしている余裕などはありませんから、応急処置として破壊された部分に砂袋などを積み重ねます。

 

 

実はこれと似たようなことが動脈の組織で起きるのです。

 

 

タンパク膜の質が悪くなって動脈壁が栄養不足に陥ると、組織を構成している重要な成分であるエラスチンやコラーゲンの新陳代謝も低下し、作り替えが行なわれなくなって、やがては壊れて量が減ってきます。すると、組織はあわてて手近にある他の材料で代用して、このすき間を埋めようとするのです。

 

 

その代用品がカルシウムです。

 

 

血液中のカルシウムイオンが組織内にとり込まれて、リン酸カルシウムとなり、エラスチンやコラーゲンがあった場所を埋めるのに使われてしまいます。動脈硬化が進行すると、組織の石灰化(リン酸カルシウムの沈着)が見られるのは、こうした理由からなのです(146ページ・図24―②参照)。

 

 

このように、動脈硬化が起きるそもそもの原因は、動脈壁内外に存在するタンパク膜の形態や機能が悪くなることにほかなりません。

 

 

動脈硬化を引き起こす“主役”はこのタンパク膜の変性や破壊であり、コレステロールやカルシウムも関係はしていますが、あくまでも途中から加わる“脇役”にすぎないのです。

 

 

タンパク膜の変性がなぜ起きるのかについては現在研究中ですが、遺伝的素因にさまざまな要因が加わって生じるものと思われます。

 

 

したがって、血中のコレステロール濃度がどんなに高くても、膜が正常である限り動脈硬化は発生せず、LDLコレステロールが動脈壁にくっついたり侵入したりすることもありません。逆に血中のコレステロール濃度が低くても、膜の質が悪くなれば動脈硬化は発生し、LDLコレステロールも動脈壁にくっついたり侵入したりするのです。

 

 

これは、高脂血症でも動脈硬化を起こさない例がたくさんあり、逆にコレステロール値が低くても動脈硬化を起こす人が非常に多いという、これまでに多くの臨床研究で得られている結果とも一致しています。

 

 

(151~158p)

 

 

動脈硬化の原因ですが、

 

 

>動脈硬化を引き起こす“主役”はこのタンパク膜の変性や破壊であり、コレステロールやカルシウムも関係はしていますが、あくまでも途中から加わる“脇役”にすぎないのです。

 

 

とあります。

 

 

 

これが答えです。

 

 

つまり、動脈硬化を根本的に防ぐには、タンパク膜の変性や破壊を防がなければならないというわけです。カルシウム対策は二の次ということです。

 

 

しかし、

 

 

>タンパク膜の変性がなぜ起きるのかについては現在研究中ですが

 

 

・・・とあるように、「変性の具体的な原因」までは、この時点で判明していないようです。

 

 

先ほども言ったように、ネットや本で調べても、書かれているのは、文章、イラスト共に動脈壁の「内皮細胞」までで、その上の「タンパク膜」について触れられていません。

 

 

そして、動脈硬化の説明は、「膜が壊れたところ」からスタートしているので、膜が変性する具体的な理由も見つかりませんでした。

 

 

「タバコ」、「ストレス」、「老化」、「何らかの原因で...」・・・とかなり曖昧です。

 

 

なので、私が「タンパク膜」が変性してしまう理由についてお話します。

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

タンパク質の変性

 

 

タンパク質はデリケートな分子です。従って、何かの「影響」によって、立体構造が変化し、性質が変わってしまうのです。

 

 

これを「タンパク質の変性」と言います。

 

 

「影響」とは、例えば、加熱、攪拌、酸、アルカリ、尿素などです。

 

 

そして、「糖質」もタンパク質を変性させます。これを「糖化反応」と言います。

 

 

変性の原因の中でも大きいのが「糖化反応による変性」です。その理由は、あらゆる有害物質の中で「糖質」が最も取り込む量が多いからです。

 

 

「糖質」は血管に炎症を起こす原因にもなりますが、体のタンパク質を変性させる原因にもなります。

 

 

で、「タンパク成分の膜」ですから、当然糖化対象でしょう。さらに言えば「エラスチン」と「コラーゲン」と「細胞」もタンパク質ですから、糖化対象です。

 

 

糖質をバクバク食べていれば、血管を構成するタンパク質は糖化します。

 

 

だから、動脈硬化ではなく「動脈糖化」です。

 

 

私は長年糖質過多だったので、糖化によって体がボロボロになりました。その為、多くの人に糖化の危険性について知ってもらいたいと思っているのですが、現代の医療関係者でも「糖化」にはほとんど触れません。

 

 

この本が出版された1998年は、「糖化」という概念は広がっていませんでした。だから、「タンパク膜」が変性する可能性として「糖化」は考え付かなかったのだと思います。

 

 

しかし、この本に「糖化」という単語はでてきませんが、それを思わせる記述がいくつも書いてありました。

 

 

「糖化によって「タンパク膜」が変性破壊された」・・・と考えれば整合性がとれます。

 

 

糖質を大量に食べている人なら、「糖化」が起きても不思議ではないのです。

 

 

「糖化反応」は血管だけに起こるわけではありません。関節、肌、内臓、卵子・・・等、全身に起こります。症状は一見「老化」に似ています。具体的にどうなるか知りたい方は以下の記事をお読み下さい。

 

 

糖化反応(メイラード反応)について分かりやすく説明してみた

 

 

ちなみに血液検査で測る「ヘモグロビンA1c」ですが、あれは、タンパク質である「ヘモグロビン」に糖がどれぐらいくっついているかを測っているのです。糖質は、血管だけでなく、血液成分にも影響を与えるのです。

 

 

 

動脈硬化の対策

 

 

動脈硬化の一番の予防は、体のタンパク質を変性させたり、炎症の原因になる「糖質」を控えることです。

 

 

その上で、既にバリア機能のあるタンパク膜が壊れている人は、「小型LDLコレステロール」を減らす努力も必要です。

 

 

「酸化」と「糖化」を防ぐ為に...

 

 

『AGEエージーイー牧田クリニック AGEとは?』より引用

 

 

AGEは2つの仕組みで、アテロームによる動脈硬化を進行させます。

 

 

動脈硬化の最初の引き金になるのは、血液中に増えすぎた悪玉コレステロールの血管への蓄積です。

 

 

血管に蓄積した悪玉コレステロールは、AGEによる悪玉修飾を受けます。悪玉修飾を受けた悪玉コレステロールは、処理をするために出動したマクロファージに摂り込まれて「泡沫細胞」となります。この泡沫細胞がアテロームをつくったり、動脈の内側を厚くしたりするのです。これが第1の仕組みです。

 

 

もう1つ、AGEには血管に対する直接的な悪影響もあります。

 

 

血管の内側にある「血管内皮細胞」には、AGEをキャッチするアンテナ(受容体)があります。この受容体にAGEが結合すると、動脈硬化を進め炎症反応がおこります。

 

 

AGEとは「終末糖化産物」の事です。

 

 

AGE(終末糖化産物)について分かりやすく説明してみた

 

 

 

そして、もう一つ大事なことがあります。

 

それは、タンパク質を増やす事です。その根拠が以下になります。

 

 

 

ご存じのように、生体の臓器や器官はすべてタンパク質でできていますが、このタンパク質を合成しているのは臓器や器官に存在する細胞です。

 

 

動脈壁の組織においても、細胞は栄養呼吸によってとり入れられた栄養分に養われながらタンパク質を合成し、日々新陳代謝を営んでいます。

 

 

血管の構造や機能を正常に保つためには、こうした細胞による新しいタンパク質の合成が活発に行なわれ、老化や障害を起こしたタンパク質との交換がきちんと行なわれていることが必要です。

 

 

さらに注目すべきなのは、栄養呼吸をつかさどっている動脈壁内外のタンパク膜自体も動脈壁の細胞によって合成されているという点です。

 

 

動脈硬化を防ぐためには、このタンパク膜の新陳代謝がスムーズに行なわれ、常にリフレッシュされていることがいちばん重要となります。

 

 

(179~180p)

 

 

タンパク質は体の材料なので、体の修復の為には、絶対必要です。

 

 

今回紹介した長谷川氏の本ですが、1998年の時点で、コレステロールと動脈硬化は関係ない事、糖質を減らした方が良い事を述べられています。

 

 

それだけでなく、中高年が肉を減らすのは大間違い、タンパク質+脂質の割合を50%ぐらいにはした方が良いとも言われています。

 

 

当時の私が読んだら「何言ってんの?」と思ったでしょうが、今考えると糖質制限の概念もなかったこの時代に、このような主張をするのは凄いと思います。

 

 

長谷川氏は、血管を研究する人なので、動脈硬化の「血管の状態」を詳しく述べられていてとても参考になりました。

 

 

現在、動脈硬化を研究している学者には、大きく分けて三つのグループがあります。

 

 

一つは、主に血液を研究しているグループで、簡単にいうと、血液中に含まれる成分やその作用などを明らかにすることによって、動脈硬化の原因を突き止めようとしています。

 

 

血液に含まれる成分を研究するのがいわば本職で、得意分野ですから、その成分の一つである血中コレステロールに注目しがちな傾向があります。「コレステロール元凶説」を唱える学者の多くは、このグループの人たちです。

 

 

二つ目は、血管壁の表面の細胞(内皮細胞)や組織内の細胞(平滑筋細胞)をとり出して培養し、その生態や病態を観察・研究するグループです。

ただし、この場合も主としてウサギの細胞を実験の対象としており、病態をつくり出すためにはコレステロールなどを負荷する方法が用いられます。結局は、一つ目のグループの研究と連動していることが多く、「コレステロール元凶説」を裏づけることをその研究の目的としていると言ってよいでしょう。

 

 

三つ目は、主に血管そのものを研究しているグループです。血管を構成している材料、血管の状態や働きなどを検討することによって、動脈硬化の原因をさぐっていきます。私自身はこちらのグループに入るでしょう。

 

 

問題は、現状では前の二つのグループのほうが圧倒的に人数が多いということです。

 

 

血液研究グループ+細胞培養研究グループが9・5に対して、血管研究グループは0・5ぐらいの割合でしょうか。

 

 

そのため、どうしても血液研究グループや細胞培養研究グループのほうが力も強く、声も大きくなりがちで、「コレステロール元凶説」が有力になったという背景もあるのです。

 

 

(43~44p)

 

 

20年近く経っているので、現在の状況は分かりませんが、貴重な、血管そのものを研究しているグループに属する人の意見です。

 

 

長くなるので、最初は要約しようかと思ったのですが、私が分かったような事を言うよりも、直接血管を観察している人の主張をそのまま紹介した方が説得力があるので、引用をメインにしました。

 

 

改めて動脈硬化の原因について考える

 

 

本気で動脈硬化を避けたいのであれば、血管を傷つけない事、その原因になる糖質の量に気をつけることです。

 

 

しかし、動脈硬化の原因を探していると、内皮細胞が傷つくのは、高血圧、糖尿病、喫煙、ストレス・・・とサラッと流し、コレステロールの小難しい話に突入します。判で押したようにこのパターンが多いです。

 

 

 

コレステロールが悪い

 

 

悪玉LDLが悪い

 

 

小型LDLが悪い

 

 

 

・・・と、コレステロールに関しては細かい話をするくせに、肝心なところにダメージを与えるであろう「糖質が与える影響」についてはほぼ無視です。

 

 

糖尿病、高血圧・・・ときたら、もう一歩踏み込んで「糖質」をあげないとおかしいわけです。コレステロールを追求する時の勢いと違います。

 

 

ちなみに、90%の人がなる「本態性高血圧」は糖質が原因です。

 

 

血圧と、本態性高血圧の原因について分かりやすく説明してみた

 

 

コレステロールを下げる薬を飲んでいる人は多いようですが、根本的な原因である血管を傷つける糖質をバクバク食べていたら、血管はボロボロになります。

 

 

スポンサーリンク

 

どんな厳格なベジタリアンでも、動物性食品を食べている可能性がある

 

 

私は昔、野菜が中心の食生活をしていたので、ベジタリアンのレシピ本や、動画をよく見ていました(今でも、なんとか肉料理にアレンジできないかなと思って、時々見ています)。

 

 

 

 

そのテクニックは見事で、「植物性の食品だけで、よくここまで多彩な料理ができるな」と関心します。

 

 

 

しかし、

 

 

 

「味覚」や、「食の楽しみ」は多彩なテクニックで誤魔化せても、「植物性食品に足りない栄養素」だけは誤魔化せません。

 

 

 

「動物性食品からしか得られない栄養素」があるのですが、厳格なベジタリアンは、それを「一切摂らない」という事になります。

 

 

 

それで、生きているので、「不思議だなぁ」と思っていたのです。

 

 

 

しかし、調べてみると、そんな厳格なベジタリアンでも、実はわずかの動物性食品を食べていました。

 

 

スポンサーリンク

 

 

食品に含まれている虫がタンパク源

 

 

 

ベジタリアンは、植物は必ず食べます。

 

 

 

この植物にはが付着しているのです。

 

 

 

 

閲覧注意 :ここから先は潔癖症の人や、虫が嫌いな人は読まない方が良いです。神経の太い方のみご覧下さい。

 

 

 

『カラパイア 不思議と謎の大冒険 知らずに食べていることもある。身近な食品の中に潜む10の虫(昆虫注意)』より引用

 

 

 

アメリカでは、食虫の習慣のない一般の人たちでも、知らず知らずのうちに毎年およそ450グラムほどの虫を口にしているという。

 

 

こちらのサイトの情報によると、

 

 

 

1. アザミウマ(缶詰、冷凍野菜など)

 

2. アブラムシ(冷凍野菜)

 

3. ダニ(穀物、冷凍野菜)

 

4. ウジ(マッシュルーム、缶詰 冷凍食品、トマトペーストなど)

 

5. ミバエ(柑橘系のジュース)

 

6. アメリカタバコガ(スイートコーンの缶詰)

 

7. ササゲシギゾウムシ(ササゲやエンドウの缶詰)

 

8. イモムシ、毛虫(冷凍ホウレンソウ、加工食品)

 

9. コクゾウムシ(お米)

 

10. ガイマイデオキスイ(ドライフルーツ)

 

 

 

加工食品でさえ、これらの虫が入っているそうです。

 

 

 

異物混入だと騒いでも、どんなに加工技術が上がっても、これを避けるのは不可能だと思います。

 

 

クリーンな工場で作られたものでこれなら、普通に野菜を買ってきて家で調理している人は、これ以上の「虫付きの野菜」を口にしている可能性があります。

 

 

引用元では、生鮮食品の方が洗えるから良いと書いてありますが、私的には生鮮食品の方が虫ついている気がします。

 

 

 

根菜類なら、皮を剥いて洗えば除去できますが、葉物は微妙です。洗いにくいところがあるからです。

 

 

 

 

私も以前、卵付きの水菜を買った事があります。

 

 

水菜の葉っぱに無数の白い粒粒がついていたのです。

 

 

 

気持ち悪くなって何の卵かネットで調べたのですが、見つかりませんでした。

 

 

 

それは水に浸けたり流したりしたくらいでは落ちなかったので、葉っぱをちぎって捨てました。

 

 

 

たまたま目に留まったところに卵がついていたから気が付いたのであって、もし場所がズレていれば、気付かずに食べていたと思います。

 

 

 

そういう事が2回あって水菜を生で食べられなくなりました。水菜のサラダは好きだったのですが・・・。

 

 

 

1回くらいなら、偶然として見なかったことに出来るのですが、2回目見て常習性を確認すると「また卵があるんじゃないか」と思うようになります。

 

 

 

私はしっかり時間をかけて洗う方です。

 

 

 

しかし、それでも取りきれていないのです。私より大雑把にチャッ、チャッと洗う人は、絶対取りきれていないと思います。

 

 

 

なので、全ての人間が、野菜を通して虫からタンパク質や脂質を摂っていることになります。野菜だけ食べているつもりでもです。

 

 

 

 

『食と文化の謎 /著者:マーヴィン・ハリス/訳:板橋作美』より引用

 

 

しかし、蛋白質としての高品質性と濃縮性は、人類が動物性食物にかくも強くひきつけられることの、単なる栄養上の一理由にすぎず、一番重要な理由というわけではない。

 

 

獣肉、魚肉、鶏肉、乳製品は、また、ヴィタミンA、すべてのB、Eなどのヴィタミン供給源であり、それらを濃密に含有している。

 

 

そして、唯一のヴィタミンB12源であり、これが不足すると悪性貧血や神経失調症、精神障害行動をまねく。

 

 

完全な菜食主義者がヴィタミンB12欠乏症にまったくかからないとしたら、それは、かれらが食べる植物性植物に昆虫の残骸がまじっているか、ある種のコバルト消化バクテリアが入っているからであり、ほかの理由は考えられない。

 

 

インドからイギリスに移住したヒンドゥー教徒菜食主義者が悪性貧血罹患率の増加に悩むのはそのためであると説明できる。

 

 

イギリスでは、殺虫剤を使用し、また果物や野菜をよく洗うので、ヴィタミンB12供給源が一掃されてしまうのだ。

 

 

菜食主義者は、また、くる病、つまりヴィタミンD欠乏によっておきる骨格変形の病気にかかりやすい。

 

 

ふつうは、皮膚にふりそそぐ日光の活動によって、ヴィタミンDを十分に得られる。

 

 

しかし、高緯度で冬が長く、霧がかかったり曇の日が多いところでは、食事中のヴィタミンDが決定的な役割をはたしており、動物性食品、とくに卵、魚、レバーは最善の供給源である。

 

 

動物性食物は、また、一日にふつう必要とされる量を十分にまかなえるだけのヴィタミンCも含有している。

 

 

エスキモーは、動物の肉と骨髄を豊富にとることによって、完全に肉だけの食事でありながら、壊血病その他のヴィタミンC欠乏症にほとんどかかることなく、きわめて良好な健康状態を維持していた。(最近では、外部のひとたちとの接触によって、甘いものや澱粉をとるようになった結果、エスキモーの健康と食事は悪くなっている)。

 

 

(36p~37p)

 

 

1988年の古い本です。

 

 

スポンサーリンク

 

 

昆虫食は珍しくない

 

 

 

野菜を虫ごと食べるのは、「厳格なベジタリアン」に限った話ではありません。

 

 

 

「昔の日本人」は、肉の摂取量が今よりも少なかったですが、「どこから動物性食品の栄養素を摂っていたか」というと、やはり「虫」でしょう(獣や魚も含め)。

 

 

 

「昔の人」は、「今の人」みたいに神経質じゃありませんから、今以上に野菜に付着した虫を食べていたと思います。

 

 

 

以前、知人の経営する喫茶店のカウンターで、「ブロッコリーやカリフラワーは、中に虫が入っているかもしれないから嫌いだ」と話していたら、後ろのテーブルに座っていた知らないおじいさんに「虫がついているような野菜じゃないとダメだ、少々食べても大丈夫だ」と怒られた事があります。

 

 

まるで、普通に虫を食べているかのような発言です。

 

 

 

テレビをつけたら、除菌殺菌という言葉が、必ずと言っていいほど聞こえてきます。

 

 

 

現代の日本人は、昔の人に比べて潔癖症です。虫に対する免疫もありません。

 

 

 

動物性食品を避けるのは難しい

 

 

 

ベジタリアンは動物性食品を摂っていない、昔の日本人は動物性の食品をほとんど摂らなかった

 

 

・・・ように見えても

 

 

 

本人に「動物性食品(虫)を食べた」という自覚があろうとなかろうと、「野菜に付着した虫」からタンパク質・脂質を摂取している可能性は十分あります。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

科学や論文のインチキはコレステロールが教えてくれる

 

「コレステロールが高い」と言われたら、多くの人は以下のように連想するのではないでしょうか。

 

 

コレステロールが高い → 動脈硬化 → 心筋梗塞や脳梗塞 → 死

 

 

そして、「脂質=悪」というイメージもあるので、その反動で、野菜や果物などの植物性の食品を「ヘルシー」と言って有難がる・・・

 

まだまだそんな人は多いですね。

 

脂質はとても大切な栄養素なのですが、この間違った思い込みのせいで、脂質を控える人が後を経ちません。

 

一度定着した常識は、なかなか覆らないものです。

 

 

本記事では、その元となった「コレステロール元凶説」の信憑性についてお話します。

 

 

本題に入る前に、簡単にコレステロールの説明をします。

 

 

スポンサーリンク

 

 

体内の脂質

 

 

人体を構成している物質を多い順に言うと、水分が59%、タンパク質が18%、脂質が17%、無機塩類が5%、その他(炭水化物や核酸)が1%です(※情報源によって微妙にパーセンテージが違ったりするので、だいたいこんなもんだと思って下さい)。

 

 

脂質は3番目に多いですね。

 

そして、脂質は4種類あります。

 

 

 

 

  • 脂肪酸

 

  • 中性脂肪

 

  • リン脂質

 

  • コレステロール

 

 

 

この4種類を「役割」で分けると以下のようになります。

 

 

 

  • 脂肪酸、中性脂肪・・・エネルギー源

 

  • リン脂質、コレステロール・・・体の構成要素、材料

 

 

 

脂質の特徴

 

 

脂質の役割を具体的に説明します。

 

 

エネルギー源としての脂質

 

 

「脂肪酸 しぼうさん」・・・すぐ使えるエネルギー源

「中性脂肪 ちゅうせいしぼう」・・・貯蔵して待機しているエネルギー源

 

 

 

脂肪酸とグリセロールが結びつくと、「中性脂肪」になります。

こうして脂肪細胞の中に蓄えておいて、必要に応じて、また「脂肪酸」に戻ってエネルギーとして使われる・・・というわけです。

 

 

 

 

体の材料としての脂

 

 

「リン脂質」・・・細胞膜の主成分

 

「コレステロール」・・・細胞膜を構成する成分の一つ、ホルモンや胆汁やビタミンDの原料

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

コレステロールとは

 

 

コレステロールは血液中に単体では存在していません。

 

 

コレステロールは、中性脂肪とセットになって、その周囲を「アポタンパク」という名前のタンパク質が囲っています。

 

 

この加工された全体を「リポタンパク」と呼びます。

 

 

そして、「リポタンパク」のことを一般的に「コレステロール」と言ったりするわけです。

 

 

↓英語でも「リポプロテイン・コレステロール」と言います。

 

 

(高比重リポタンパク / 英語:High Density Lipoprotein cholesterol)→ 善玉コレステロール

 

 

(低比重・リポタンパク /英語:Low-Density Lipoprotein cholesterol)→ 悪玉コレステロール

 

 

 

リポタンパクの構造

 

 

リポタンパク = 一般的に言うコレステロール

 

 

・・・ですが、ここでは何故コレステロールは「リポタンパク」に加工されているのか、どんな構造をしているのかについて説明します。

 

 

「主成分が水」である血液の中に、「脂」であるコレステロールは溶けません。

 

 

その為、脂質は、水と相性が良いタンパク質(アポタンパク)と結合することによって水溶性になります。

 

「リポタンパク」という複合体粒子に加工された状態で血液に溶けているというわけです。

 

 

「リポタンパク(一般的に言うコレステロール)」の基本構造は、

 

「アポタンパク」、「トリアシルグリセロール(中性脂肪)」、「リン脂質」、「エステル型コレステロール」、「遊離コレステロール」からなっています。

 

 

 

 

(疎水性)である「エステル型のコレステロール」は、「リポタンパク」の内部に。

(親水性)である「遊離型のコレステロール」は、「リポタンパク」の表面にあります。

 

 

 

ちなみに、

  • 脂肪酸と結合している(疎水性)→ エステル型コレステロール(約70%)

 

  • 脂肪酸と結合していない(比較的親水性)→ 遊離型コレステロール(約30%)

 

 

 

 

リポタンパクの種類

 

 

「リポタンパク」がどんなものか頭に入ったところで、次は「リポタンパク」の種類について説明をします。

 

 

「水に溶けない物質」を「水に溶けやすい物質」で覆っている構造の「リポタンパク」ですが、

 

脂質の比率密度合成される場所によって、以下のように分けられています。

 

 

 

  • (カイロミクロン(キロミクロン)/ 英語:chylomicron)

 

  • (超低比重リポタンパク / 英語:Very-Low-Density Lipoprotein cholesterol)

 

  • (中間比重リポタンパク / 英語:Iintermediate Density Lipoprotein cholesterol)

 

  • (高比重リポタンパク / 英語:High Density Lipoprotein cholesterol)→ 善玉コレステロール

 

  • (低比重・リポタンパク /英語:Low-Density Lipoprotein cholesterol)→ 悪玉コレステロール

 

 

 

 

比重が大きいほど、「アポタンパク質」の割合が高く、「脂質」の割合が低いそうです。

 

 

ここでようやく、有名な「善玉コレステロール」と、「悪玉コレステロール」がでてきました。

 

 

次は、動脈硬化と結び付けられる「悪玉コレステロール」について説明します。

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

善玉コレステロールと悪玉コレステロールの違い

 

 

先程言ったように、「善玉」も「悪玉」も、どちらも脂質の比率や密度の違いはありますが、同じ「リポタンパク」です。

 

ですが、役割はちょっと違います。「悪玉コレステロール」が宅配屋なら、「善玉コレステロール」は回収屋です。

 

 

コレステロールは血流に乗って全身の組織へ届けられます。

 

しかし、生体は常に「新しい組織」と「古い組織」が入れ替っているので、古いコレステロールの回収もしなければなりません。

 

前者の役割を「悪玉」が、後者の役割を「善玉」が担当しているというわけです。

 

 

 

  • 悪玉・・・宅配屋(新鮮なコレステロールを配達)

 

  • 善玉・・・回収屋(古いコレステロールを回収)

 

 

コレステロールは生命を維持するうえで欠かせません。

 

それを必要な場所へ運ぶ「LDLコレステロール」が悪玉ということになっているのです。

 

 

 

LDLが悪玉になった経緯

 

 

体に必要なコレステロールを届ける「LDL」が、何故か悪玉と呼ばれています。

 

 

いい仕事をしてるのにです。

 

 

ここでは、「LDLコレステロール」が悪者にされてしまった根拠を紹介します。

 

 

『100歳まで長生きできるコレステロール革命 / 著者:大櫛陽一』より引用

 

 

LDLは「火事の現場に駆けつけた消防車」だった!

 

では、なぜLDLコレステロールが「悪玉」にされてしまったのか、その理由をお話しましょう。

 

ひと言で言えば、「動脈硬化の犯人」にされてしまったからです。

 

アメリカの死亡原因のトップは心筋梗塞なのですが、この病気は心臓の血管の動脈硬化によって引き起こされると考えられていました。

 

そこで動脈硬化を起こした血管を調べたところ、血管内にLDLコレステロールが見つかりました(※ただし、最近の研究で、わずか1%にすぎないことがわかっています)。それにより、誰もが「LDLコレステロールこそ、動脈硬化の犯人だ」と思い込んでしまったのです。

 

そして、「あいつこそが悪さを働くコレステロールだったんだ」という話になって、「心筋梗塞を防ぐには、悪玉であるLDLコレステロールを減らすほうがいい」という方向へ流れていってしまったわけです。

 

ところが、近年の研究で「別の真犯人」の存在が判明したのです。

 

その真犯人が「血管の炎症」。

 

動脈硬化を起こす本当の原因は血管の炎症であり、LDLコレステロールは、その炎症を修復する目的で細胞膜の材料を届けに集まっていたにすぎないということがわかったのです(Libby P:Scientific American,May,29-37,2002)。

 

かいつまんで説明しましょう。

 

血管に炎症が発生すると、すかさずLDLコレステロールが駆けつけて、血管壁の傷ついた部分を修復します。これで済めば問題はないのですが、炎症が持続的に起こっていると、修復が繰り返されて、その部分がカサブタのように盛り上がってきます。

 

これが「プラーク」と呼ばれる塊。

 

この塊が大きくなると、心筋梗塞や脳梗塞の危険がグッと高まるのです。すなわち、プラークそのものが血液の流れを塞いだり、プラークが破裂して血液が凝固してしまったり、破裂した内容物が流れていって細い血管で詰ったりというもろもろの緊急事態が起こることになるわけです(※もっとも、最近はプラークと動脈硬化の因果関係はもちろん、動脈硬化と心筋梗塞の因果関係をも疑問視する研究が出てきて、心筋梗塞の新の原因は血液凝固と考えられるようになりました)。

 

とにかく、この動脈硬化のプロセスにおいて、LDLコレステロールは、別に悪さを働いているわけでも何でもなく、「細胞膜の修復」という自分の役割を忠実に果たしているだけです。

 

たとえば、火事の現場に消防車が集まってきた場面を思い浮かべてみてください。火事が血管の炎症だとすれば、それを消しにやってきた消防車がLDLコレステロールです。言ってみれば、せっかく火を消しに駆けつけてきたというのに、「たくさん集まっているから火事の原因だ」と勘違いされ、濡れぎぬを着せられてしまったことになります。

 

ちなみに、「本当の火事の原因=血管の炎症」がどうして起こるのかというと、いまのところ、喫煙、トランス脂肪酸、高血糖、極度の肥満(BMI35kg/㎡以上)、ストレス、老化などが要因として挙げられています。こうした要因から起こる血管の炎症がなければ、プラークはできないし、心筋梗塞や脳梗塞にもならないことになります。

 

すなわち、心筋梗塞や脳梗塞の真の原因は血管の炎症であって、コレステロールは、基本的に無関係なのです。

 

むしろ、血管の炎症があるときに、無理にLDLコレステロールを下げてしまうと、細胞膜修復などの体の修復機能が働かなくなってしまうことになります。

 

LDLコレステロールが、これまでいかに「無実の罪」を着せられてきたか、みなさんおわかりいただけましたでしょうか。

 

(21~25p)

 

 

動脈硬化の原因は「炎症」だとハッキリと述べられています。

 

 

流れを簡略化するとこういうことですね。

 

 

 

①「何か」が原因で炎症が起こる

②血管が傷つく

③修復する為にLDLコレステロールが集まる

 

 

 

①~②の過程を無視して③だけを見て「コレステロールが悪い」と判断していたのです。

 

 

 

 

 

 

炎症の原因

 

 

「血管の炎症」の原因は、喫煙、トランス脂肪酸、高血糖、極度の肥満、ストレス、老化・・・と挙げられていましたが、この中でも一番影響が大きいのは高血糖です。

 

 

「喫煙」は嗜好品なので、満遍なく多くの人の原因になるとは考えにくいです。

 

「極度の肥満」も、多くの人に当てはまりません。

 

「ストレス」「老化」はかなり曖昧で、なんとでも言えます。

 

 

これらに比べると、「高血糖」はほとんどの人に当てはまります。ご飯を中心とした糖質過多の食事を好む日本人は、1日3回「高血糖」になります。従って、糖質が原因で血管に炎症が起こっていることになります。

 

 

「トランス脂肪酸」も確かに悪いですが、摂取量は「糖質」ほどではありません。

 

 

「炎症の仕組み」と、「糖質が炎症を起こす理由」については、以下の記事で述べています。

炎症と自己免疫疾患について分かりやすく説明してみた

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

悪者にされた理由は偶然か

 

傷ついた血管を修復していたら、コレステロールは動脈硬化の犯人にされたわけですが、

 

これだけではありません。

 

この話は、いかにも勘違いで間違った・・・みたいな話の展開になっていますが、調べてみると、世の中にはわざとコレステロールを悪者にしようとしているとしか思えないような話がいくつもあります。

 

有名なのは「アンセル・キーズ博士の説」と、「アニスコフのウサギの実験」です。

 

 

アンセル・キーズ博士の説

 

 

まずは「アンセル・キーズ博士の説」からです。

 

以下の動画の2:00以降で述べられています。

 

 

 

 

要約するとこういうことです。

 

アンセル・キーズ博士は、6カ国のデータを使って、「脂肪を摂った量と、心疾患の関係」を調べました。

 

そのデータから得られた結論は、脂質を摂ると心臓病が増えるというものでした。

 

「コレステロール元凶説」の裏づけになったデータですが、これがとんでもないインチキでした。

 

実は博士は、6カ国ではなく22カ国のデータを持っていたのです。

 

22カ国のデータを見ると、心臓病の発生は脂質の摂取量に関係なくランダムに起きているので、真相は「脂質の摂取量と心臓病の関係は全くなかった」のです。

 

 

しかし、脂質の摂取量が低くて、心臓病が少なかった「日本」、脂質の摂取量が多くて、心臓病が多かった「イタリア」や、「カナダ」等、都合のいい6カ国だけを抽出して論文をまとめていたのです。

 

 

 

その論文が大手の雑誌やメディアに取り上げられて定説が作られたのですが、

 

 

「脂質をたくさん食べるけど、心臓病が少なかった国」や、「脂質の摂取量は低いけど心臓病は多い国」を排除して説を作り上げただけですから、手口としては極めて幼稚ですよね。

 

 

これを読む限り、アンセル・キーズ博士が単独でやっている事ではないことがわかります。

 

 

『日本人よコレステロールを恐れるな / 著者:長谷川元治』より引用

 

②コレステロールの研究は公的な研究費の助成を受けやすい。

 

大学の研究室や医学研究所は国から研究費の助成を受けています。どこにいくら研究費を援助するかを決定するのは担当官庁の役人たちですが、彼らもやはり「コレステロール元凶説」は疑うべくもない定説であると考えています。

 

つまり「虚血性心疾患を減らすためにコレステロールの研究をする」というのは役人に理解されやすく、受け入れやすいテーマなため、研究費をとりやすいのです。極端に言えば「コレステロールが悪い」と言いつづけていれば、研究者はお金に困らないですむわけです。

 

ちなみに現在のアメリカでは「コレステロール」「タバコ」「公害」のいずれかをテーマに選ぶと研究費をとりやすく、また世に出やすい、つまり、学会やマスコミに認められやすいといわれています。

 

(40p~41P)

 

しかし、騙す方も騙す方なら、信じる方も信じる方です。

 

私はこのような話を読むたびに、ナチスドイツの宣伝大臣だったゲッべルスの「確かめない奴は必ず騙せる」という言葉を思い出します。

 

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

 

アニスコフのウサギの実験

 

胡散臭い話はまだまだあります。アンセル・キーズ博士よりも前、

 

ロシアのアニスコフ(Anitschkow)という医学者が、1931年に、「動脈硬化とコレステロールが関係している」という報告をしました。

 

こちらは有名ですね。

 

ウサギにコレステロールを多く含む餌を食べさせたら、コレステロールが沈着して動脈硬化が起こった・・・というあの話です。

 

この実験は、「ウサギの体で起こったことは、人間には当てはまらない」として、現在では間違いだった事が知られています。

 

何故、人間に当てはまらないかというと、人間は「動物食性動物」であり、ウサギは「植物食性動物」だからです。

 

これも、ちょっとした間違いだった・・・かのように言われていますが、以下を読むと、偶然間違えたというのは無理があります。

 

人間の場合、小腸で吸収されるコレステロールは一定量以下。

 

食生活とコレステロールについて考えるとき、重要かつ興味深い問題があります。

 

それは、食べ物を通じて口からとったコレステロールと血液中のコレステロールはイコールなのかという問題です。

 

言いかえると、コレステロールを多く摂取すると血中コレステロール値も高くなるのか、ということです。

 

世間では「コレステロールの多い食品を食べると、コレステロール値が上がる」ということは疑いのない事実のように考えられており、高脂血症の人はもちろん、そうでなくても中高年になったら肉や卵などコレステロールの多い食品は控えるようにと言われていますが、これは医学的にほんとうに正しいことなのでしょうか。

 

結論から言うと、こうした“常識”に反して、実はほどんどの人の場合、食事でコレステロールをたくさん摂取したからといって、すぐに血中コレステロール値が上昇するということはありません。

 

あるいは、上昇したとしても生体として必要な値までにとどまり、それ以上、無制限に上昇することはないのです。

 

これは、動物学的に見て、人間が基本的に「肉食動物」であるということと大きく関係しています。

 

ご存じのように、哺乳動物は「草食動物」と「肉食動物」に大別されます。その違いを簡単にいえば、一方は草を常食とし、他方は肉を常食としているということになるでしょう。

 

セルロースなどの食物繊維を消化する酵素を持っているのが草食動物、持っていないのが肉食動物という分け方もあります。

 

草食動物はウサギ、ヒツジ、ウシ、ゾウなどで、肉食動物はライオン、トラ、ヒョウ、イヌなどであるということはみなさんも知っているでしょう。

 

ウサギに1日1gのコレステロールを与えると、血中コレステロール値が正常の50mg/㎗から急上昇して、500~1500mg/㎗もの超高脂血症になります。

 

ところが、ふつうのイヌ、ネズミなどにいくらコレステロールを与えても高脂血症は発生しません。同様にライオン、トラ、ヒョウにも発生しないでしょう。

 

私は他の記事で、人間は「動物食性動物」であることを述べていますが、その根拠は「消化器官の構造」です。

 

「人間が肉食か草食かは、歯を見れば分かる」という説は正しいのか

 

遺伝子の99%が同じでも、人間とチンパンジーの消化器官の構造は違う

 

 

なので、ここでも、内臓の構造の違いに注目して下さい。

 

まず、動物食性動物の内臓についてです。

 

 

コレステロールを与えて高脂血症を発生する動物と発生しない動物とはどこがどう違うのでしょうか。

 

そのキーポイントは小腸にあります。

 

ウサギにコレステロールを含んだエサを与えると、そのまま小腸に到達し、小腸の粘膜から無差別に吸収されてしまうのです。与えられたコレステロール分だけほぼ100%吸収され、そのまま血液中に放出されて、血液濃度が正常の10倍、20倍、30倍になって超高脂血症が起きてくるわけです。

 

一方、ライオンなど肉食動物はいくらコレステロールを大量に与えても、1回の食餌、1日の食餌量から小腸が吸収するコレステロール量は決まっています。必要な分だけ吸収して、それ以外は便から体外に排出されるので、血中のコレステロールも上昇しません。

 

つまり、肉食動物の場合、小腸におけるコレステロール(脂肪)に対する“バリア”の機能が高いのに対し、草食動物の場合はその機能が低い、もしくはほとんどないのです。

 

私は究極的には、この小腸の取捨選択機能こそが草食動物と肉食動物とを区別する最も重要なポイントだと考えています。

 

人間は肉も魚も野菜も穀類もなんでも食べるため、俗に「雑食動物」などと言われます。しかし、動物学的にいうと、小腸の機能から見て、基本的に肉食動物なのです。

 

個人差はありますが、人間の場合、小腸で吸収されるコレステロールは一定量以下で、100%吸収されるなどということはありません

 

実際、人体実験でバターを毎日1/4ポンド(約113g)、コレステロール量にして毎日20gを与えても高脂血症は発生しなかったという報告もあります。つまり人間の場合もライオンと同様に小腸におけるコレステロールに対する“バリア”の機能が高く、コレステロールを必要な分だけ吸収して、それ以外は便から体外に排出してしまうわけです。

 

また、人間を含む肉食動物では、小腸でコレステロールを多少多めに吸収しても、不要な分は肝臓で分解されてしまうことがわかっています。

 

このことからも、食事でコレステロールをたくさん摂取したからといって、即、血中コレステロール値が上昇するとは考えられません。

 

余談になりますが、以前、私が10ヶ月間つまり約300日の間に脂肪の多いリブロース・ステーキを200回食べたという経験があります。そんなことをしたのは、ステーキが大好物だということもありますが、自分の体を使って、実験してみたかったというのが理由です。その結果、やはり血中コレステロール値が上昇することはありませんでした。

 

(84p~88p)

 

 

 

続いて、植物食性動物「ウサギ」の内臓です。

 

 

一方、草食動物であるウサギもやはり体内でコレステロールを合成しているのですが、人間とは合成している場所が違います。

 

どこで合成していると思いますか?

 

実は驚いたことに盲腸で、なのです。

 

人間の場合は、盲腸は専門的には「遺残器官 いざんきかん」といい、今ではあってもなくてもよい存在ですが、ウサギの盲腸は消化・分解・合成・吸収・便形成まですべて一貫して行なってしまうスーパー器官です。

 

そのため、大きさもウサギの体に比しては大きく、体積もあり、形もまるでカタツムリのような複雑な構造をしています(図11―下)。

 

 

もっとも興味深いのは、口から食べた草や木の芽、皮など、草食動物独自の食物をコレステロールなどの脂肪につくりかえる機能を持っていることです。

 

図11―下はウサギの盲腸の断面図です。

 

小腸の末端は盲腸につながっていますが、断面の内側をよく見ると、らせん状に溝が刻まれており、中心部に向かっています。

 

この内側溝を回転しながら、消化された食べ物が通過するうちに分解・合成・吸収が行なわれます。

 

草や木の芽や皮が盲腸のまん中に行き着くまでに脂肪やタンパク質や糖に変わってしまうのですから不思議というしかありません。

 

さらに驚いたことに、らせんのまん中を今度は便の材料になる残り物が消化・分解された食べ物と逆行して盲腸の入口まで戻り始めるのです。

 

その戻り道で、あのウサギ特有の球形の便が形づくられ、盲腸の出口から分かれて大腸に行き、排便が行なわれます。

 

もちろん、人間の盲腸にはこうした機能はありません。

 

逆に人間やライオン、トラ、ヒョウ、イヌなどの肝臓は、小腸から吸収された栄養分をさらに分解・解毒・合成するなど、いわば化学工場の役目を持っていますが、ウサギの肝臓はそうした作用を持ち合わせていません。

 

ちなみに草食動物であり、反芻動物であるウシの場合は四つある胃袋のうち「第4胃袋」でコレステロールの合成を行なっています。ウシの場合も肝臓でコレステロールを合成しない点はウサギとまったく同様です。

 

このような脂肪をはじめとする栄養代謝のメカニズムから見ても、人間のルーツはまぎれもなく肉食動物だといえるでしょう。

 

第一章の冒頭で、1913年のアニスコフによる実験を皮切りに、ウサギにコレステロールを経口投与して動脈硬化をつくる実験は今でも行なわれており、「コレステロール元凶説」の根拠の一つとなっているということを述べました。

 

しかし、ここまで見てきたように、草食動物と肉食動物では小腸の機能や脂肪代謝の仕組みがあまりに違いすぎます。

 

まぎれもない草食動物であるウサギにコレステロールを食べさせた実験の結果を肉食動物である人間にそのまま適用するのは、まったくナンセンスであるということをあらためて強調しておきたいと思います。

 

(88p~91p)

 

 

 

植物食性動物であるウサギに起こった実験結果を、動物食性動物である人間に当てはめようとするのは無理があります。

 

動物の選択を間違っただけでなく、実験の方法もかなり酷いです。

 

 

 

まず指摘したいのは、これらの一連の実験でウサギに投与されるコレステロールは途方もなく大量だということです。

 

アニスコフの実験でウサギに投与されるコレステロールの量を人間に換算すると、どのくらいになると思いますか?

 

なんと1日に鶏卵ならば40個、牛ロースなら18kgも食べなければならない計算になるのです。こんな食生活が現実的に不可能なことは言うまでもありません。

 

こうした極端な実験の結果を根拠に、コレステロールが動脈硬化を引き起こす元凶であるとするのはあまりに乱暴です。

 

 

なんとしても、コレステロールを悪者にしたいという執念が感じられます。

 

 

医学者が、なんの理由もなく「ウサギにコレステロールを食べさせたらどうなるか」・・・と思い立って、バカみたいに大量の餌をたべさせら動脈硬化になった。コレステロールは悪いんだ・・・

 

と、なったとでもいうのでしょうか。

 

メチャクチャなストーリーです。

 

結果が分かっていたから、あえてウサギを選んだのではないでしょうか。

 

しかも、人間とウサギでは、動脈硬化のタイプまで違うようです。

 

 

さらに重要なのは、コレステロールを大量に与えたときにウサギの動脈に発生するアテロームと、人間の動脈硬化のアテロームでは見た目も構造もまったく違うということです。

 

ウサギのアテロームは、コレステロールをそのまま動脈壁の上に投げ捨てたような感じです。動脈壁の表面にコレステロールがそのままベタベタとくっついており、医学用語で言うところの“沈着”という表現がまさにあてはまります。

 

一方、人間の動脈硬化のアテロームは、表面がタンパク線維でできた模様のものでおおわれていて、その中にコレステロールがたまっているという形です。作ってから何日もたったまんじゅうのように、カチカチの皮の中にあんこ(コレステロール)が入入っている状態と言えばわかりやすいでしょうか。

 

ウサギの動脈硬化の発生は血中コレステロールの濃度に正比例します。つまりウサギを高脂血症にすると必ずといってよいくらい動脈に病変が発生し、コレステロールの沈着が認められ、しかも血中コレステロール値が高くなるほど、その程度はひどくなります。これは大動脈に限らず、頚動脈、脳動脈、冠動脈も同様です。

 

一方、人間はコレステロール値が高いからといって動脈硬化を起こすとは限らず、コレステロールが低くても動脈硬化を起こす例がたくさんあることは、これまで繰り返し述べたとおりです。

 

血中コレステロール濃度が高いほど、動脈にアテロームがより多く多く発生するというような相関関係は認められません。

 

第2章で、草食動物であるウサギと肉食動物である人間では、小腸におけるコレステロールに対する“バリア機能”が違うということを述べました。

 

ウサギの場合は摂取したコレステロールを小腸の粘膜からほぼ100%吸収してしまうが、人間の場合は必要な分だけ吸収して、それ以外は排出してしまうということでした。

 

実は、ウサギと人間とでは小腸だけでなく、動脈におけるコレステロールに対するバリア機能も大きく違うのです。もうお気づきのかたもいるかもしれませんが、このバリア機能に関係してるのが、私たちが発見した動脈壁のタンパク膜です。

 

ウサギの動脈壁にもタンパク膜は存在します。そもそも私たちがこのタンパク膜を発見したのもウサギを使った実験からでした。

 

しかし、もともと草食動物であるウサギのタンパク膜にはコレステロールの侵入を防ぐバリア機能がないか、あってもきわめて弱いのです。いわば素通しの状態なので、血中にコレステロールがふえたらふえただけ、どんどんコレステロールが動脈壁に沈着してアテロームが形成されます。

 

一方、人間の場合、前途したように血中コレステロール濃度が高くても、タンパク膜が正常である限りはコレステロールが動脈壁にくっついたり侵入したりすることは基本的にはありません。

 

これは小腸のバリア機能と同様に、人間がもともと肉食動物であることに由来していると考えられます。

 

以上をまとめますと、まずコレステロールの投与でウサギに発生する動脈硬化と、人間の動脈硬化ではアテロームの構造が違い、まったくタイプが異なります。

 

しかも、動脈のコレステロールに対するバリア機能もウサギと人間とでは大きな差があります。

 

ひと言でいって、人間の動脈硬化を研究するモデル動物としてウサギは適さない部分が多いのです。ウサギと人間との種の違いをきちんと認識したうえで実験を行い、その結果を分析するのならよいのですが、「ウサギを高脂血症にしたら、これこれこういう現象が起こった」ということをそのまま人間にあてはめるのは間違っています。

 

コレステロール添加食をウサギに与えて動脈硬化をつくる実験は今でも盛んに行なわれており、「コレステロール元凶説」を支える根拠の一つとされているわけですが、基本的なところで大きな誤りをおかしていると言わざるをえません。

 

(163p~167p)

 

 

アニスコフの後にアンセル・キーズ博士が説を発表するわけですが、医学者がすげ変わっても、切り口が変わっても、結果的にやっている事は同じです。

 

 

スポンサーリンク

 

 

 

高血圧と似ている話

 

 

以前、高血圧について調べると「歳をとって血圧が上がるのは正常」だということが分かりました。

 

血圧が高いほど健康で長生きできる!原因を根本的に間違えている高血圧の食事や治療

 

実は、コレステロールも同じなのです。

 

 

『100歳まで長生きできるコレステロール革命 著者/大櫛陽一』より引用

 

 

みなさんのなかには、「年をとるとともに、健康診断のコレステロール値が上がってきて、とうとう薬を勧められるようになった」という方もいらしゃるのではないでしょうか。

 

ただ、こういう場合も安易に医師の言葉に従ってはいけないと、私は思っています。なぜなら、加齢とともにコレステロール値が上がってきたのは「異常」ではなく、「正常反応」だと考えているからです。

 

何度も申し上げるように、コレステロールは60兆個の細胞の細胞膜となるのをはじめ、私たちの体の材料として欠かせない物質です。

 

ただ、年齢を重ねていれば、そうした細胞の新陳代謝にも衰えが出てくるでしょうし、免疫力も下がってくるでしょう。だから、こうした老化を補うため、コレステロールが増産されているのです。

 

体の細胞膜を強くし、免疫力を高めることによって、体を防衛してくれているのです。

 

すなわち、年齢とともにコレステロールが増えてくるのは、体にとって自然であり、必要な変化。数値が上がってきているのは、体を老化から守るためだったというわけです。

 

いかがでしょう。そのように考えれば、加齢とともに高くなってきたコレステロール値を薬で下げるという行為が、いかに愚かであるか、おわかりいただけるのではないでしょうか。

 

(55p~58p)

 

 

「老化によって血圧が上がる理由」は、年齢とともに血液を送り続ける力が弱まってくるので、全身に新鮮な血液を送り続ける為に、血圧を少しずつ上げなければならないからでした。つまり、歳を取って血圧が上がるのは元気な証拠でした。

 

そして、この記事に書いてあるように「コレステロール」もまた、歳とともに高くなるのが自然という事です。

 

 

>加齢とともにコレステロール値が上がってきたのは「異常」ではなく、「正常反応」だと考えているからです。

 

 

しかし、「血圧」にしろ、「コレステロール」にしろ、体を守る為に備わった正常な機能を「悪」と決めつけて、薬で無理矢理下げようとしたり、食生活を改めさせたりするわけです。

 

食生活を改善させるのは悪いことではありません。

 

問題はその方向性です。

 

 

 

インチキな知識を元に努力をしても結果は出ない

 

 

「本態性高血圧(高血圧の90%)」の原因は、「塩」になすりつけられていますが、調べてみると「糖質」が原因でした。

 

そして、「コレステロール」は動脈硬化と結び付けられ、その原因を「欧米化した食事」、「ストレス」、「タバコ」等になすりつけられていますが、最も大きな原因と思われるのは「糖質」です。

 

 

高血圧も動脈硬化も、原因が別のものになっているので、本当に気をつけなければならない「糖質」への対応が甘く、関係ない努力をするはめになります。

 

 

本当の原因を知るためには、「嘘の原因」を排除する必要があります。

 

高血圧と糖質の関係については以下の記事でお話しましたので、

 

血圧と、本態性高血圧の原因について分かりやすく説明してみた

 

 

動脈硬化にコレステロールがどこまで関係しているのか、そして、「糖質」がどう影響を与えているのかについては以下の記事でお話します。

 

動脈硬化は悪玉コレステロールではなく、動脈壁の劣化が原因だった

 

動脈硬化を改善・予防する方法を分かりやすく説明してみた

 

 

 

スポンサーリンク