どこかが特別悪いわけでもないのに、食事をすると胃がもたれる。
食べた後、食べ物がずっと胃の中に残っているような気がする。
小食で、あっさりしたものばかり食べているはずなのに消化が悪い。
食事をすると胃が重くて気持ち悪くなるから、食べるのが遅い。
病院で診てもらっても「異常なし」と言われる。
・・・このような症状があって、もし、日常的に穀物や野菜を食べているなら、「糖質」を疑って下さい。
具体的に言うと、糖質による「糖化反応」によって胃が弱っているか、糖質を食べる事によって胃の蠕動運動が止まる「糖反射」が原因の確率が高いです。
- 糖質 → 胃の糖化
- 糖質 → 糖反射が起こる
前者の「糖化」については他の記事でも取り上げているので、本記事では後者の「糖反射」についてお話します。
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糖反射とは
「糖反射 とうはんしゃ」とは、名前の通り、糖を食べた時に胃の中で起こる現象です。
どうなるかというと、胃の中に糖質が入った時に胃の動きがピタッと止まるのです。
Wikipediaにはこのように書かれています。
『糖 wikipedia』より引用
ヒトの胃は1分間に約3回ほどのペースで動いているが、胃内に糖が入ると胃の動きが止まることが東京大学での実証試験で判明している。
被験者に砂糖水を飲ませると数十秒間胃腸の動きが完全に静止し、逆に塩水を飲ませると胃腸の動きが急に活性化した。さらにはチューブで直接十二指腸へ糖分を流し込んだ実験でも胃の運動が停止した。
量的には角砂糖の1/4-1/5個くらいで起こる。糖分は唾液、胃液、腸液などで5.4%等張液になり消化吸収されるため大量の糖分の摂取により1時間以上という長時間の停滞が起こるとされる。
糖を飲ませると細胞の動きが緩慢になる反応を東京大学では糖反射と名付けたが、このメカニズムは未だ解明されていない。
多すぎる糖の摂取は細胞にはいわば絶縁物質として作用し、神経信号の伝達を阻害するのではないかと考えられている。また、糖分はカリウムの働きも加味され静脈の弛緩をもたらすとともに血液粘度を上げる。そのため血流の遅滞が起こり、組織や静脈に老廃物が蓄積することで様々な病気が発症することがある。
ここでは「砂糖」ということになっていますが、砂糖に限らず、これを「糖質」を含む食品全般に置き換えて考えてもよいでしょう。
ほとんど多くの人は、かなりの量の糖質を摂っています。
しかし、その糖質で、「糖反射」という現象が起こる事を知っている人は少ないと思います。
ここで、wikipediaに書いてあった特徴を書き出してみます。
- 胃の動きが完全に停止する
- 止まる量は、角砂糖の1/4~1/5くらい
- 大量の糖分の摂取により一時間以上の停滞
- 胃だけでなく、入れた先が十二指腸でも胃の動きが停止する
- メカニズムは解明されていない
- 糖の摂取が細胞に絶縁物質として作用し、神経信号の伝達を阻害している可能性がある
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何故、糖質で胃の動きが止まるのか
Wikipediaを読む限り、「糖反射」のメカニズムは分かっていないことになっています。
しかし、理由はよく分からないけど、糖質は胃の動きを止めるらしい、しかも、十二指腸に入れても胃の動きが停止する
・・・というのは普通じゃない事態です。
異物混入があって、工場の流れが止まったみたいにもとれます。
一流大学の知識などなくても、その答えはだいたい予測がつきます。物事を普通に考えてみて下さい。
例えば、パソコンは無理な作業をしなければサクサク動きます。しかし、そのパソコンの能力を越えるような作業を一度にしたり、重いソフトを入れたりして負担をかけると動きが滞ります。
例えば、DVDプレーヤーに規格違いのディスクを入れると、「ローディング」が続いて先の画面に進みません。
規格が違うものを無理矢理入れるのは良くないという知識があれば、「このディスクは合わないのかな?」と考えることができます。
ところが、そのような考えが全くなく、「いや、読みこまないはずはない。どんなディスクも読み込むはずだ」と思っていたら、その現象に悩むはめになります。
・・・このように、ある事象が滞る場合は、なんらかの負担がかかっていると考えられるわけです。
糖質を入れて、胃の動きが止まるのは、それが胃にとって負担だからです。
角砂糖1個にも満たない量で、一時間以上止まるという意味のない停滞なので、そう考えるのが自然です。
では、「何故、胃にとって負担なのか」というと、人間は「動物食性(肉食)動物」だからです。
これは大事です。ここを押えているかどうかで、見解がガラッと変わります。
よく「うどんやお粥、など植物性の食品は消化に良くて、動物性の食品は消化に悪い」と言われます。
しかし、実際に吐いて検証してみると、動物性の食品は30分程度で消え、植物性の食品はいつまでも胃の中に残っているのです。
にも関わらず定説では、
植物性の食品=消化に良い
動物性の食品=消化に悪い
・・・ということになっています。
このような前提で考えるから、糖質が胃で止まっているのを見て「何故だろう?」・・・となるのです。
しかし、以下のような人間の体の構造を知った上で、
植物性の食品=消化に悪い
動物性の食品=消化に良い
糖質が胃の動きを止める現象がある事を知れば、「そりゃそうでしょうね」で終わりです。
1秒で分かります。
「糖反射」が起こると、中身がそのままで動きが止まるわけですから、胃は重くなるし、しんどくなります。
糖質は胃に負担をかけているのです。
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糖質は胃に負担をかけるのか
ここでちょっと私の話をします。
今は1日10g以下のスーパー糖質制限をしているので、毎日、肉、卵、バター、プロテイン、時々魚介類をたくさん食べていますが、ほんの2年前までは、食後30分は立てない、油っこいものを食べると胃が気持ち悪くなるという状態で、サプリメントの「酵素」が手放せませんでした。
私程胃が弱い人は周囲にはいませんでした。どれぐらい酷かったかというと、食が細い年配者以上です。
胃に大きな疾患を抱えているわけではありません。特に普通の人のように肉が食べられないのです。ポテトチップスを一度に一袋食べられない程油も苦手でした。
胃が弱いので、動物性のものは魚が多めで、ほとんど、穀物や野菜が多めの食事をしていました。酵素を取り入れようとローフードの食事を参考に作っていたので、消化に良い食事でした。
しかし、どんなに工夫をしても改善されません。胃下垂で、食後立てなくなる程しんどかったので、これは体質だから、一生付き合わなければならないと思っていました。
それが、糖質制限を始めて2ヶ月しないうちに、肉、卵、バター・・・等の動物性食品を摂っても平気になりました。食後立てないということはありません。
それまで、植物性の食品をどんなに捏ね繰り回しても、消化がスムーズになることは無かったのですが、動物性食品に変えただけであっさり変わったのです。
実は、食べると気持ち悪くなる、胃が重い、胃下垂・・・という現象は、糖質による「胃の糖化」です。
以下の記事に詳しく書いたのですが、胃が糖化していると「胃を傷つけた糖質はいくらでも食べられるのに、肉や脂は気持ち悪くなる」という現象が起きます。
ちなみに、「胃下垂」は重度の糖化です。
だから、糖質をそこそこ食べながら・・・だと、気持ちが悪くて肉や脂が食べられません。胃が弱いと、糖質制限ができないので、まずは糖化の悪化を食い止める為に、徹底的に糖質を減らしました。
その結果、肉や脂を食べても気持ち悪くなる事もなくなりました。
「糖化」が改善したおかげで、今は胃もたれや、食後苦しくなるということも全くありません。ただし「胃下垂」はまだ治っていません。
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糖質制限をしていても、糖質を食べると...
ところがです。
以前のような、「糖質を食べても気持ち悪くならないが、肉や脂を食べた時は気持ち悪くなる」糖化の症状はありませんが、時々、食事中に一気に食欲がなくなる、食べた後苦しい・・・といった現象が起こります。
それが、「外食をして糖質を食べた時」です。
お正月やお盆等、親戚が集まる席でも普通にみんなと同じ物を食べるのですが、この時も苦しくなります。
消化の具合がいつもと違うとハッキリ分かります。
これは、「糖化」が起こったのではなく「糖反射」が起こっていると思われます。
食欲が落ちる組み合わせ
すでに糖質制限で(胃下垂以外は)胃が完全に治っているので、家で食べる自分で作った料理の場合は、以前のように、食後に苦しくなることも、胃がダメージを受けて気持ち悪いという事もありません。
ですが、外食をすると、少ししか食べていないのに、急に食欲が落ちたり、その次の食事を食べたくなくなるパターンがあることに気が付きましたで、その食事内容が以下になります。
- 多めの糖質
- 多めの糖質+タンパク質・脂質
これらを食べると、今でも決まって消化が悪くなるのです。
「もう食べたくない」が早くきます。塩コショウで食べる焼肉はたくさん食べてもなんともないけど、甘いタレが染み込んだ肉はあまり食べられません。付け合せにある根菜を一緒に食べてもそうなります。
一年以上、たまに人と食事をする際、いろんな食べ物で確認しました。何度試しても、糖質を食べた時、あるいはタンパク質や脂質を食べても、同時に糖質を取ると、元気になった今でも調子が狂うのです。
小さい発見ですが、何度も「自分で作った食事」と「外食」の反応の違いを確認しているので、そういう事なのだと思います。これによって、糖質は負担になるとハッキリと認識しました。
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消化不良になるメニュー
私が観察した外食の食事内容は、ざっくりと以下の3つのパターンにわけられます。
①糖質ばかりを摂る・・・野菜中心のメニュー、アイスクリーム等
②糖質にタンパク質・脂質を組み合わせる・・・ハンバーガー、ラーメン、寿司等
③糖質を徹底的に絶った状態で、タンパク質や脂質を取る・・・焼肉、等
①は、途中で食欲がストップする事はありませんが、食後いつまでも食べた物が胃に残っている感じがします。重たいのです。私の場合、ランチでこのメニューを食べると、夕食は食べる気がなくなります。
②は、途中で食欲がピタッと止まってその後食べられなくなります。やはりランチでこのメニューを食べると、夕食は食べる気がしません。
③は、たくさん食べられるうえに、いっぱい食べてもすぐお腹が軽くなるので夕食は普通に食事がしたくなります。
他人の体では試していませんが、少なくとも自分の体で試す限り、決まってこのパターンになります。
自分の体験だけでも、糖が消化に悪影響を与えているとしか思えないのです。胃が元気になった今でも糖質を食べるとこの調子ですから、以前はもっと酷いことになっていたと想像できます。
胃が弱っていた時は、それが「糖化」なのか「糖反射」なのかも分かりませんでした。
しかし、普段糖質をほとんど食べず、胃が丈夫になった今は、「糖反射」という現象をハッキリと感じることができるのです。
糖反射と人間の食性
胃が「糖化」してなくても、「糖反射」があるので油断できません。
もし人間に糖質が必要で、消化を得意だったらサクサクと処理をするはずです。
しかし、胃が弱かろうが、丈夫だろうが、人間の胃の中に糖分が一定量入ると、胃の動きがピタリと止まるのです。残念ながらそういう仕組みなのです。
このことも、人間が動物食性動物である裏づけになります。
角砂糖だと5分の1、キャラメルだと4分の1個程度の量でそうなるので、大した量じゃありません。
多くの人は、食事も間食も、甘味料の入った水分補給も、この量を下回ることはほとんどありません。ということは、毎回胃の動きが止まっているという事です。
消化が悪いな、重たいなと思った時は「糖反射」を疑ってみて下さい。
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