- 投稿 2018/03/05
- 分かりやすいシリーズ - パーツ別 - 神経 - パーツ別 - 筋肉
乳酸は長い間、疲労の原因と考えられてきたが、実はエネルギー源だから良い物質である
...近年、このような見解が一般的になっています。
しかし、この「乳酸は体に良い物である」というイメージが蔓延するのは良い事ではありません。
何故なら、乳酸の蓄積は慢性疾患の原因になるからです。
乳酸を礼賛することで、このような負の側面が見えなくなってしまいます。
だからもう少し、乳酸についてフェアな説明が必要です。
生体に無駄な機能はありません。
「進化論」を否定していた昆虫学者のファーブルは、生き物は最初から完璧な状態であり、そうでなければ生きることができないと主張していました。
生体に備わっているシステムは、途中から獲得したものではなく、意味があって最初から備わっている・・・ということです。
その理屈から考えると、「乳酸」も全く無駄な存在ではありません。理由があって存在していることになります。
いけないのは、過剰になって蓄積することです。
癌の記事では乳酸の悪い面についてお話したので、今回は、「乳酸は何のために存在しているのか」、そして、「乳酸の良い面だけを利用して蓄積させないようにするにはどうしたらいいのか」についても解説していきます。
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乳酸とは
「乳酸」を理解する為に必要なので、エネルギーの話をします。
生体が生きていく為には、「ATP(エーティーピー)」というエネルギー物質が必要です。
どんな生物でも、これが不足すると慢性疾患になり、無くなると死にます。
この「ATP」は、基本的に細胞内で作られて、細胞内で消費されます。
そして、作る為には材料が必要です。それが、糖質、脂質、タンパク質です。
ATPの材料=糖質、脂質、タンパク質
このうちの「糖質(を分解して生じたブドウ糖)」を材料にエネルギーを生み出す時に、副産物として生じるのが「乳酸」になります。
副産物として生じた「乳酸」は、ディーゼル車から出る煤のようなものです。溜めるようなものではありません。
“酸”とつくように、pH5程度の酸性物質です。
ただし、ブドウ糖を完全代謝すれば「乳酸」は生じません。
完全代謝とは、細胞の中の「ミトコンドリア」で何段階もの代謝をして、二酸化炭素と水に分解することです。そうでなければ「乳酸」になると思って下さい。
では、この乳酸ができる流れをご説明します。
乳酸が生じる仕組み
乳酸の元となるのは、グルコース(ブドウ糖)です。
グルコースは、糖質を含む食事から摂る事もできますし、糖質以外の材料を使って肝臓や腎臓で合成することもできます。
- 食事から摂取
- 肝臓や腎臓で合成(糖新生 とうしんせい)
ちなみに、このグルコースは、癌細胞の大好物です。
ここではイメージしやすいように、食事から糖質を摂ったところから説明します。
ご飯やパン、野菜...等、糖質を摂取すると消化器官でブドウ糖にまで分解されます。
糖質
↓
グルコース(ブドウ糖)
このグルコースが、生体が生きていく上で必要なエネルギー物質ATPを生み出す材料として使われます。
グルコース(ブドウ糖)は、まず細胞の「細胞質基質 さいぼうしつきしつ」というところで、何段階かの反応を経て「ピルビン酸」という物質になります。
グルコース
↓
(何段階か反応)
↓
ピルビン酸
この反応を「解糖系 かいとうけい」と言います。
「解糖系」では、グルコース1分子から、ピルビン酸が2分子できます。
そして、エネルギー物質ATPが2分子できます(※正確には4分子できるのですが、解糖系の反応をする為に始めに2分子を使うので、得たATPは合計2分子になります)。
そして、解糖系の反応で、「NAD」という化合物が「NADH」に変化します。この「NADH」が2分子できます(これについては後で詳しく説明します)。
ここで、解糖系でグルコース1分子から生じるものをまとめます。
ピルビン酸・・・2分子
エネルギー物質ATP・・・2分子
NADH・・・2分子
ATPができたから終わり...ではありません。
乳酸が生じるかどうかは、グルコースが分解されてできた「ピルビン酸」が、この先どうなるかによって決まります。
つまり、ミトコンドリアでも代謝するかどうかです。
細胞質基質では「解糖系」という反応でしたが、
ミトコンドリアで代謝する場合は、「クエン酸回路 くえんさんかいろ」と「電子伝達系 でんしでんたつけい」という反応が起こります。
細胞質基質だけで代謝するより、ミトコンドリアで代謝した方がより多くのATPを作り出すことができます。
前者は「焚き木」のエネルギー、後者は「発電所」のエネルギーに例えられます。
- 解糖系・・・低エネルギー
- 解糖系 → クエン酸回路 → 電子伝達系・・・高エネルギー
で、「ピルビン酸」の進路は2つです。
一つはミトコンドリアで代謝して、より多くのATPを作り出すルート。
もう一つはミトコンドリアでは代謝しない、乳酸が発生するルートです。
左が乳酸が生じるルートですが、以下の条件でそうなります。
- 酸素が不足している
- ビタミンB1を始めとした栄養素の不足
それぞれの理由を説明します。
酸素が不足することでミトコンドリアで代謝できない
ミトコンドリアは多くのATPを作る事ができるのですが、酸素を要求します。
従って酸素がない状態ではミトコンドリアで代謝することはできません。
反対に細胞質気質で行なわれる解糖系は酸素を必要としません。
その為、激しい運動などで酸素が不足するような場合は、ミトコンドリアでの代謝ではなく、解糖系で酸素に頼らずエネルギーを産生します。
その場合、ミトコンドリアで代謝できないので、ピルビン酸は乳酸になります。
ビタミンB1を始めとした栄養素の不足でミトコンドリアで代謝できない
ミトコンドリアで代謝する為には、「補酵素 ほこうそ」が必要になります。
補酵素とは、酵素のサポート役のことで、ビタミンの事をさします。
ピルビン酸がミトコンドリアで代謝する為には、ビタミンB1を始めとしたビタミンB群が必要です。
従って、これらが不足していても、ピルビン酸はミトコンドリアで代謝できないので、乳酸に変換されます。
ここまでが、グルコース → ピルビン酸 → 乳酸 になる条件と流れになります。
では、何故ピルビン酸は乳酸になるのか?
次はそのことについて説明します。
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ピルビン酸が乳酸になる理由とは
ピルビン酸が乳酸になるのは理由があります。
それを理解する為には、まず「NAD」について知っておく必要があります。
NAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)は、全ての生物に存在する補酵素です。
「NAD」は、水素を外す「脱水素酵素」の補酵素(サポート役)で、水素(の持つ電子)を預かる働きをします。
このような働きをする物質を「電子伝達体 でんしでんたつたい」と言います。
- 水素を外す働き・・・脱水素酵素(酵素)
- 外した水素を預かる・・・NAD(補酵素)
水素(の持つ電子)を預かる前が「NAD」です。これを酸化型と言います。
そして、水素(の持つ電子)を預かった後が「NADH」になります。これを還元型と言います。
「酸化」とは、電子や水素を失うこと、「還元」とは電子や水素を得ることです。
つまり、NADが水素を預かってNADHになるのが還元で、NADHが水素を失ってNADに戻るのが酸化です。
解糖系では、グルコースからピルビン酸になるまでに「NAD」が還元されて、「NADH」になります。
正確に言うと、「グリセルアルデヒド3リン酸」から「1.3-ビスホスホグリセリン酸」になる反応で、酸化型の「NAD」は、水素(の持つ電子)を預かって「NADH」になります。
詳しい説明は以下の記事に書いています。
NADは、正確には「NAD+」、
NADHは、正確には「NADH + H+」と表記します。
ですが、ここではシンプルに「NAD」と「NADH」と書きます。その理由が知りたい方は以下の記事をご覧下さい。
NAD → NADH
こうして解糖系では、NADがNADHに還元されるわけですが、このNADは体内にそう多くありません。
NADHに変わってばかりだったら、NADが枯渇してしまいます。
そうなっては、解糖系も続きません。
なので、還元された「NADH」を、再び「NAD」に戻す必要があります。
それがピルビン酸が「乳酸」に変換される理由です。
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NADHからNADへ戻す方法
ピルビン酸を生成するまでが「解糖系」です。
その後、その「解糖系」でできた「NADH」を「NAD」に戻す方法はいくつかあります。
生物の種類や、酸素があるかないか...によって、以下のように分類できます。
- 好気呼吸
- 嫌気呼吸
詳しく説明します。
解糖系で還元された「NADH」は、もしこの後ミトコンドリアで代謝されるのであれば、「電子伝達系 でんしでんたつけい」という反応で利用されます。
そこで「NADH」は、預かった水素を渡して(酸化して)、「NAD」に戻ります。
このミトコンドリアでの反応は酸素が必要なので「好気呼吸 こうきこきゅう」と言います。この反応では、乳酸は発生しません。
しかし、ミトコンドリアで代謝されない場合もあります。これは酸素を必要としないので「嫌気呼吸 けんきこきゅう」と言います。
この場合は、別の方法で「NADH」を「NAD」に戻します。
どうするかというと、「NADH」が預かった水素を「ピルビン酸」に押し付つけます。
この反応を進める酵素を「乳酸脱水素酵素 にゅうさんだっすいそこうそ」と言います。
「NADH」は、持っていた水素を手放したことで「NAD」に戻るのです。
しかし、水素を押し付けられた(還元)ピルビン酸は、乳酸になります。
こうやって「NADH」の水素をピルビン酸に押し付けて「NAD」を再生させるわけですが、植物が行なう「アルコール発酵」や、乳酸菌が行なう「乳酸発酵」もこれに属します。
この再生の仕組みがあるおかげで、解糖系がストップすることはありません。
『心の病は食事で治す / 著者:生田哲』より引用
血液中の乳酸レベルの上昇が原因で発生する不安障害
糖類と疲労物質である乳酸のレベルには密接な関係がある。
その関係は、砂糖や精製されたデンプンを食べれば食べるほど、乳酸レベルが上がることだ。
では、乳酸レベルが上がると、疲労を感じる以外にどんな問題が発生するのか。
カルシウムは脳の興奮を抑えるはたらきがある。
このカルシウムにくっつくのが乳酸。
このため、カルシウムに乳酸がくっついた分だけ、血液中のカルシウムレベルが下がる。こうして脳の興奮が抑えられなくなり、不安になる。
たとえば、低カルシウム状態は乳酸ナトリウムを注射することによって人工的につくり出すことができる。このとき、脳の興奮が高まり、不安障害の症状が現れる。
乳酸から水素が取り除かれる(酸化する)とピルビン酸ができる。この反対に、ピルビン酸に水素がくっつく(還元する)と乳酸ができる。
このように生体ではピルビン酸と乳酸は互いに行ったり来たりしている。
これを化学では平衡状態にあるという。
この平衡は、特定の物質を大量に摂取するとピルビン酸が減少し、乳酸が増える方向に移動する。
その特定の物質というのは、砂糖、カフェイン、アルコールである。これらの物質を多くとると、乳酸が血液中に蓄積し、疲労と不安が発生する。
幸運なことに、マグネシウム、カルシウム、ナイアシンは、この平衡をピルビン酸が増える方向に移行させる。
マグネシウムは不安をやわらげ、ナイアシンは乳酸から水素を奪いピルビン酸にする化学反応を助け、乳酸レベルを下げることで、不安の発生を抑える。
ここまでの話を要約します。
「乳酸」とは、ブドウ糖がピルビン酸に分解されて、ピルビン酸がミトコンドリアで代謝されない場合に、解糖系を止めないためにNADHをNADに戻す為に生じる物質です。
ブドウ糖ですから、元はご飯やパン、甘い物、野菜等...の糖質です。
乳酸はpH5程度の酸性物質なので、これが大量に増えると血液が酸性化して、最悪「乳酸アシドーシス」、それを回避するために体が対応した結果が癌や慢性疾患です。
乳酸が生じる理由が分かったところで、次はこの生じた乳酸がどうなるか説明していきます。
乳酸は肝臓に運ばれて、20%はピルビン酸に戻されてミトコンドリアの「クエン酸回路」に入ります。そして、80%はブドウ糖に戻されて再利用されます。
- 20%・・・ピルビン酸になってクエン酸回路へ
- 80%・・・乳酸を材料にしてブドウ糖を合成する
次は80%の、乳酸を材料にブドウ糖を合成する流れについて説明します。
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コリ回路
近年では「乳酸は悪くない、乳酸はエネルギー源だ」と言う意見が主流になっています。
このように、乳酸のメリットばかりを強調し、乳酸の害をなかったことにしてしまうような表現は問題があると思っているのですが、乳酸がエネルギーになるという部分は間違いではありません。
乳酸がエネルギー源として活用される流れについて説明します。
グルコース(ブドウ糖)が代謝されてピルビン酸になり、ミトコンドリアで代謝できない場合に乳酸になるわけですが、
この乳酸は、血液にのって肝臓に運ばれます。
そして、肝臓で乳酸は「糖新生 とうしんせい」という反応によって再び「グルコース」に再生されます。
「糖新生」とは、糖質以外の材料からブドウ糖を作り出す仕組みのことです。「糖新生」はどこでもできるのではなく、肝臓や腎臓で行なわれます。
糖質を食事から摂取しなくても大丈夫なのは、この「糖新生」があるお陰です。
糖新生について詳しくは以下の記事をご覧下さい。
以下が乳酸からの「糖新生」の流れになります。
そして、乳酸が発生し、エネルギーとして利用される流れはこうです。
①筋肉や赤血球でグルコースが代謝されて乳酸が生じる
↓
②生じた乳酸は血液にのって肝臓(や腎臓)に運ばれる
↓
③乳酸は「糖新生」によってグルコースに変換される
↓
④グルコースは血液に放出され再び赤血球や筋肉のエネルギーになる
↓
⑤①~繰り返し
このように、赤血球や筋肉 ⇔ 肝臓・・・と異なる臓器を行き来します。
この反応を「コリ回路」と言います。
このように、通常は生じた乳酸は再利用されるので、「乳酸はエネルギー源だから良い物質だ、めでたし、めでたし...」
・・・と言いたくなりますが、気になる点があります。
糖新生を行なうにもエネルギーが必要だからです。
解糖系では、グルコースからピルビン酸まででATPは2分子作られますが、その結果生じた乳酸をグルコースに再利用するにはATPを6分子も使ってしまいます。
これでは、マイナスATPです。
ちなみに、「糖新生」でグルコース1分子を合成する為に必要なATPは、材料によって異なり、どこからスタートするかによって違います。
- ピルビン酸から・・・・6分子のATP
- クエン酸回路から・・・4分子のATP
- グリセロールから・・・2分子のATP
ピルビン酸からスタートする乳酸は、糖新生のなかでも最もATPを使う材料だと言えます。
乳酸を再利用する時の方がエネルギーを消費するのです。
『Wikipedia コリ回路』より引用
回路
筋肉が激しい運動の際短い時間に大量のエネルギーを必要とすると、筋肉細胞は嫌気的なグルコース分解を行って大量のアデノシン三リン酸 (ATP) を作り出す。
この際に副産物として生成された乳酸が血液の流れに乗って肝臓に運ばれて、乳酸脱水素酵素によってピルビン酸に変換され、その後糖新生によってグルコースが再生される。
グルコースは血中に放出されて赤血球や筋肉で再びエネルギーとして使われる。
ATPの数を見てみると、1回あたり嫌気呼吸で2分子のATPが生成し、糖新生で6分子のATPが消費されるため、正味4分子のATPが減少している。
このためコリ回路はエネルギー消費系(同化過程)である。
重要性
コリ回路の重要性は、嫌気的な条件下で筋肉の乳酸アシドーシスを防ぐところにある。
乳酸は化学反応の末端であり、酵素によってピルビン酸に変換される他ない。
コリ回路の重要性は、嫌気的な条件下で筋肉の乳酸アシドーシスを防ぐことにある・・・と書いてあるので、
乳酸の変換は、エネルギーとしてあてにすることがメインではなく、あくまで、NADHをNADに戻す為の変換、乳酸アシドーシスの回避の為の変換・・・という意味合いが強いのではと考えられます。
乳酸が発生して、コリ回路でグルコースに変換すればするほどエネルギー物質「ATP」が減っていくわけですから、優れたエネルギー源とは言えません。
ちなみに、マイナスATP...と聞くと、私はこの話を思い出します。
『精神科医こてつ名誉院長のブログ グルコースと脂肪酸、ATPで考える』より引用
2)嫌気性解糖だけではATP不足で生きてゆけない
B1不足の脚気ではピルビン酸をアセチルCoAに変換できない
好気性解糖に入れないため、米を食べれば食べるほどマイナスATPとなる
ATP作成のため体内の脂肪酸と筋肉を燃焼させるが、それが尽きれば痩せ細って死亡する
ガンも同じ、ガンは嫌気性解糖のみを行うためマイナスATPとなる
体内の脂肪酸と筋肉を燃焼させるが、それが尽きれば痩せ細って死亡する
やはり、脂肪酸を十分量摂取することが必要
「乳酸はエネルギー物質だから悪くない」という話になってはいますが、
生じた乳酸をエネルギーに変換すればするほどATPが減る・・・というのは疲労の原因じゃないのかと突っ込みたくなります。
このような側面がある以上、乳酸はエネルギーとして頼りすぎてはいけないということです。
次は、乳酸をエネルギー源に変える為に必要な要素があるので、そのことについてお話しておきます。
それは、「乳酸脱水素酵素」と、そのサポートをする補酵素「NAD / NADH」です。
乳酸脱水素酵素とナイアシン
乳酸をエネルギー源にする為には、まず、乳酸をピルビン酸に変換する必要があります。
ここで、ピルビン酸を乳酸にする時に働いた「乳酸脱水素酵素(乳酸デヒドロゲナーゼ)」が働きます。
これは、ピルビン酸と乳酸を相互変換する酵素で、全ての細胞にあります。
補酵素は電子伝達体の「NAD / NADH」です。
乳酸脱水素酵素は、「糖新生」では、乳酸をピルビン酸に変換します。
乳酸
↓
ピルビン酸
「乳酸脱水素酵素 にゅうさんだっすいそこうそ」は、血液検査では「LDH(lactate dehydrogenase)」と表示されています。
基準値は120~240なのですが、これが低すぎると、乳酸をエネルギーにする力が弱いので「糖新生」が上手く機能しません。その場合、乳酸がたまりやすいです。
- 200台前半・・・疲れやすい
- 140未満・・・ナイアシン欠乏が深刻
LDH値が基準値よりも高い場合は、以下が考えられます。高すぎるのも問題です。
急性肝炎、肝硬変、急性心筋梗塞、悪性貧血、悪性腫瘍、白血病、悪性リンパ腫、その他激しい運動、溶血...等
LDHが不足する原因は「タンパク質不足」と「ナイアシン不足」が考えられます。
というのも、「乳酸脱水素酵素」は酵素です。
酵素はタンパク質でできているので、タンパク質が不足すると、当然酵素も不足します。
そして、「乳酸脱水素酵素」の補酵素は、「NAD / NADH」です。
この合成には「ナイアシン(ビタミンB3)」が必要です。その為、ナイアシン不足でも働きが低下します。
乳酸を変換させるには、酵素であるタンパク質と、補酵素であるナイアシンを不足させないようにする必要があります。
- 乳酸脱水素酵素の材料・・・タンパク質
- 補酵素NADの元・・・・・ナイアシン
ここまで、乳酸をグルコースに変換することでエネルギーにする話をしてきました。
一方で、乳酸には別のエネルギーの使い方があるので、それについてもお話しておきます。
この乳酸をエネルギーにする細胞がいるのです。
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乳酸をエネルギー源にするニューロン(神経細胞)
乳酸の効果的な使われ方を知るために、脳の細胞のエネルギー代謝の仕組みについてお話します。
脳の細胞は大きくわけて2種類あります。
「ニューロン(神経細胞)」と「グリア細胞」です。
以下が「ニューロン(神経細胞)」です。思考する細胞で、ミトコンドリアが多いです。
一方、「グリア細胞」は「ニューロン(神経細胞)」のサポート役で、思考はしません。ただし、数はニューロンの10倍以上だそうです。
「グリア細胞」はいくつか種類があり、「中枢神経系」と「末梢神経系」で少し異なります。
- ニューロン(神経細胞)・・・思考する
- グリア細胞・・・・・・・・・思考しない
「脳にはブドウ糖が必要」と言われていますが、実は、ブドウ糖をエネルギーにしているのは、考える細胞「ニューロンで」はなく、「グリア細胞」の方なのです。
「ニューロン」のエネルギー源は、ブドウ糖ではなく、「ケトン体」と、「グリア細胞のエネルギー代謝で生じた乳酸」になります。
- ニューロンのエネルギー源・・・ケトン体、乳酸
- グリア細胞のエネルギー源・・・ブドウ糖
『体内年齢がよみがえる科学 ケトン体革命―究極のアンチエイジング理論― / 著者:佐藤拓巳』より引用
脳内でブドウ糖を取り込むのは、実は神経細胞ではない。
その周囲に数多くあるグリア細胞である。
グリア細胞はブドウ糖を取り込んで、乳酸という最も代謝しやすい分子に変換し、神経細胞に渡す。
この過程は鳥の親がヒナに、半分消化した食物を吐き出して与えるのとよく似ている。
神経細胞は、鳥のヒナと同じように大変に世話のかかる細胞なのである。
実は成人の脳では神経細胞の10倍の数ほどのグリア細胞があり、脳は神経細胞の臓器ではなく、グリア細胞の臓器なのだ。
しかも、乳酸が神経細胞のエネルギー基質となる。
グリア細胞で行なわれる「ブドウ糖から乳酸への転換」はゆっくりとしか進まない。
従って血中のブドウ糖を増やしても、神経細胞に渡される乳酸の量は殆ど変わらない。
だから頭脳労働するからといって糖質を体内に投入しても、神経活動はまず増加しない。それどころか、低血糖症が起こり、神経活動が抑制されるのである。意図とは逆の結果が表れることになる。
これに対してケトン体は、グリア細胞における化学変換が必要ない。
ケトン体は直接神経細胞のミトコンドリアに取り込まれて、神経細胞の働きを上げることができる。
絶食の経験のある人ならわかるが、絶食をして3日後くらいから、頭がさえて、アイディアがどんどん生まれるようになることがある。
これは肝臓で大量のケトン体が生産されて、脳にある神経細胞のミトコンドリアに直接作用するからである。
(28p~30p)
図にするとこんな感じです。
脳では、「グリア細胞」がグルコースを代謝して生じた乳酸を、「ニューロン」がエネルギー源にする・・・という仕組みになっています。
このような関係が筋肉でもあります。
グリア細胞にあたるのが「速筋」、神経細胞にあたるのが「遅筋」です。
というわけなので、次に乳酸と筋肉の話をします。
速筋と遅筋
筋肉は、「速筋」と「遅筋」の2タイプがあり、両者は性質が違います。
速筋の働きとエネルギー源
「速筋 そっきん」とは、瞬間的に大きな力を出す筋肉です。イメージとしては、ヒラメが獲物をパクッと捕らえる時のような動きです。
人間がする運動で言うと、全速力で走ったり、ジャンプしたり、重いものを持ち上げたりする動きです。
「速筋」のエネルギー源は糖質です。
しかし、筋肉に少ししかなく、すぐに枯渇してしまうので、長く力を出し続けることはできません。
どちらかというと、いざという時に使う筋肉なので、長時間の乱用には向いていないです。
従って普段使いの筋肉ではありません。ヒラメに限らず、獲物を瞬間的に仕留める動物は、動く時までじーっとしていますし、普段ぐうたら寝ていたりします。
フルパワーはずっと続かないということです。
速筋の特徴
- 瞬間的に大きな力を出す(収縮の速度が速い)
- 長時間の使用は向かない
- エネルギー源は糖質
速筋は白い色をしているので、別名は「白筋」です。
「ミオグロビン」という酸素を貯蔵する赤色のタンパク質が少ないので、白い色をしています。ちなみに、ヒラメは白いです。
遅筋の働きとエネルギー源
「遅筋 ちきん」とは、力は小さくて長時間運動を続ける事ができる筋肉です。運動のイメージは、ゆったりと泳ぎ続けるマグロのような動きです。
人間がする運動でいうと、ジョギングやエアロビクスや水泳等です。
「遅筋」のエネルギー源は、「脂肪」と「速筋で発生した乳酸」です。
遅筋の特徴
- 力が小さい(収縮の速度が遅い)
- 長時間の使用に向いている為普段使いできる
- エネルギー源は脂肪と乳酸
遅筋は赤い色をしているので、別名は「赤筋」と言います。
赤色のタンパク質(酸素を貯蔵するミオグロビン)を多く含んでいるからです。遅筋の動きが多いマグロは、ミオグロビンが多いので赤身が多いです。
遅筋は、ミトコンドリアが多いです。
・・・はい。これらの特徴は、「ニューロン(神経細胞)」と「グリア細胞」の関係と似ていますね。
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乳酸をエネルギー源にする遅筋
ここで、話を乳酸に戻します。
「グリア細胞」のエネルギー代謝で発生した「乳酸」を、「ニューロン」がエネルギー源にするように、
「速筋」で生じた乳酸は、「遅筋」に運ばれてエネルギー源として活用する仕組みになっています。
- 速筋のエネルギー源・・・糖質
- 遅筋のエネルギー源・・・脂肪、乳酸
以下を読むと、速筋と遅筋のエネルギー代謝の違いがよく分かります。長いので3分割にします。
佐藤さん、2時間は無理ですよ。
人間の体内に留め置ける、糖の量は、たかだか、50キロの人で、「500グラム未満」ですから、学者によったら、もっと少ないという学者もいますからね、それらが、普通に、500グラムだけで、血糖や、筋肉や、脳等で代謝される分と、肝臓の備蓄分等で、2時間は無理でしょう。
いくらブドウ糖添加の水分を要所要所で、補給しても、「有酸素運動」の基本は、「脂質」ですから・・そもそも、「糖は嫌気的解糖作用の時だけ代謝される」のですよ。
有酸素の時は、脂質なんですよ。
40キロを嫌気的解糖作用でやっていたら、乳酸地獄になって、コリ回路も間に合わないから、筋肉痛で走れなくなりますよ。それ以前に、呼吸しないと死んでしまう。
呼吸してるっていうことは、酸素と脂質でミトコンドリアでエネルギーを使ってるということなんですよ。
アスリートの人は、「嫌気的解糖」の本当の意味を理解していない人が、多いですね。
「※酸素を使わないで、速筋を利用するときに、糖が代謝され乳酸が分泌されるのです。」「息をとめた時だけ、糖を代謝するのです。」
逆に言えば、「呼吸していたら、筋肉内では、糖は代謝されないのです。」
この大原則をほとんどの人がしらないから、運動の前や、運動中に、スタミナスタミナとか言って、糖を摂取して、調子悪くなるのですよ。
全然違います、糖代謝は、まず①赤血球の解糖系の代謝 ②グリア細胞の解糖系の代謝 ③息を止めて踏ん張るような時、筋肉内の速筋、いわば嫌気的解糖系の代謝 がメインです。
ですから、普通に運動していない時の代謝は、①と②がメインなんです。
重量挙げ等の運動をする時に筋肉の速筋で糖代謝が起きる時以外は、糖は代謝されていないのです。
もっぱら、①と②です。
代謝ではありませんが、備蓄分の糖が肝臓と筋肉と骨等に備蓄されていますが、これらを合わせると、体重50キロの人で、おおよそ500グラム未満なのです。
この数字は一定にしないと、ダメなのです。
だから、糖代謝をターゲットにした、無酸素運動は、ダイエットにはなりません。
何度も言いますが、瞬発力で、無酸素で、嫌気的解糖作用の亢進を引き起こしても、乳酸が分泌されて、コリ回路により、また、筋肉内に糖が戻ってくるのですよ。いたちごっこですし、糖の備蓄分を代謝させても無意味ですし、無駄なことになります。
体内組成の糖の量を一定に保つために、過剰に糖質を摂取した時に、インシュリンが分泌されて、中性脂肪に変換されるのですよ。
糖が変化した中性脂肪をターゲットにするダイエットが正しいダイエットのあり方になるのです。
ダイエットはあくまでも、酸素と脂質で、ミトコンドリアでエネルギーを産生する方式を目指すべきなのです。
無酸素はダイエットになりません。糖代謝を目指したダイエットはダイエットにならないのです。ご理解いただけたでしょうか?
佐藤さんが言うパフォーマンスというのは、いわゆるアスリートのパフォーマンスで、解糖系が入っている、瞬発力+持久力の話ですよ。
私が言ってるのは、駆け引きや、勝負や、自分の記録の更新を狙うような人の話ではないですよ。
健康の為、ダイエットの為、有酸素運動だけで、長距離をマイペースで走ろうという人の話です。
競技志向や、それなりの目標を持った人は、必ず、走っていても酸素を吸っていても、微妙に踏ん張って、無酸素に近い状態が何度も起きるのですよ、その時に糖代謝が起きるのです。
だいたいそういう場合、呼吸が乱れますが、極端な話散歩していても、少しコースを変えて階段を上るようなコースに変えただけで、瞬発力が必要になり、嫌気的解糖が起きるんですよ。
だから、何か目標を持って走る人や、ダイエットだけ、健康の為だけ、と言う人では、同じ有酸素運動でも、その内容は、変わってくるのですよ。
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乳酸の毒性を忘れてはいけない
乳酸はエネルギー源になるので、全く悪いわけではありません。
ですが、たくさんあればいい・・・というわけでもありません。
むしろ、蓄積すると有害なので、こちらの方を警戒するべきです。
例えば、「脳腫瘍」という病気があります。
これは、「ニューロン(神経細胞)」が癌化したものではなく、乳酸を発生させる「グリア細胞」が癌化したものです。
原因は乳酸の蓄積です。
このように、乳酸を処理する仕組みがあるからといっても過剰になると不具合が出てきます。
『ガンの特効薬はミトコンドリア賦活剤 酸化・糖化・炎症・毒・栄養障害は乳酸がカギ』より引用
人体の酸化の1番の原因は、乳酸の蓄積です。
乳酸は具体的な数値を伴って、細胞や血液を酸化させます。
乳酸が細胞をpH5~6に酸化させ、血液をpH7.3以下に酸化させます。
ミトコンドリアはpH7.35以上の弱アルカリ性でないと活動できないので、乳酸の蓄積によってATP不足と細胞の障害という致命的な不具合を招きます。
ブドウ糖=乳酸×2です。
乳酸はブドウ糖を2つに割っただけの、単純な糖です。
余った糖(乳酸)は、毒性を持ちます。
毒性を発揮した糖は、タンパク質を劣化させ、AGEs(アクリルアミドなど)を作ります。
乳酸の蓄積による劣化が、老化や病気の原因です。
ガン細胞が分泌する乳酸が、慢性炎症の根本原因です。
ミトコンドリア機能不全のガン細胞は、必ず乳酸が蓄積し、大量の乳酸を分泌します。
蓄積した乳酸は、炎症性サイトカインであるIL-6・IL-23・IL-17などを増強し、慢性的な炎症を起こし続けます。
慢性炎症はガン・慢性病の原因であり、細胞を焼き続けて破壊します。
毒と言えば、水銀などの重金属やトランス脂肪酸などの化学物質を想像します。
しかしミトコンドリア毒は、それだけではありません。
体内で作られる「毒性を持った乳酸」が、最も恐ろしい毒です。
毒性で水銀より劣る乳酸ですが、蓄積される量が圧倒的に多いのです。
ワクチンなどに水銀が仕込まれていますが、普通はそんなに水銀を入れ続ける事はありません。
しかし食事の6~8割が精製糖質の現代人は、無尽蔵に乳酸を作り続けています。精製糖質が毒性を持った乳酸に変わることを知らない現代人は、間違った食生活を変えようとしません。
病気になっても病気の原因を入れ続けるので、病気が治るはずもありません。
精製糖質を摂るようになってから、日本は脚気というミトコンドリア病=乳酸アシドーシスに苦しめられてきました。
ビタミン・ミネラルなどを削ぎ落とし、破壊している現代食は、乳酸を溜めるには理想的な食事です。
クエン酸回路や電子伝達系の図を見るとよくわかるのですが、ビタミンB群やミネラルが不足すると、ブドウ糖はクエン酸回路に入れません。
結果的にブドウ糖は乳酸に変わり、細胞や血液に蓄積していきます。
精製糖質を過剰摂取し、ビタミン・ミネラルなどが不足している現代人は、間違いなく栄養障害です。
栄養障害が乳酸の蓄積を生み、病気を蔓延させています。
栄養障害が乳酸を蓄積させ、余った(蓄積した)乳酸が毒性を持ちます。
乳酸が酸化・糖化・炎症を引き起こし、老化・病気の原因です。
乳酸がミトコンドリア機能不全を拡散し、人体を劣化させています。
乳酸という明確なターゲットを意識して、病気の予防・治療をしましょう。
日本にも本気で病気を治す「名医」が増えていますが、まだ「乳酸の毒性」に気付いていない人がほとんどです。
「活性酸素」の陰に隠れて、真の黒幕である「乳酸」に気付けないのです。
「エネルギー源」という局所に注目して評価するのではなく、「蓄積の有害性」を含めた大局を見るべきです。
乳酸の蓄積による慢性疾患が多いのですから、そう断言します。
また、「疲れの原因は乳酸ではなく活性酸素である」・・・という説もありますが、乳酸は活性酸素の原因です。
乳酸が酸化、糖化、炎症を引き起こします。酸化とは活性酸素によって劣化した状態です。
乳酸をなくす方法
乳酸をエネルギー源にする為に、「乳酸脱水素酵素」であるタンパク質と、その補酵素「NAD / NADH」の元であるナイアシンを不足させないようにすることが重要だとお話しましたが、ここでは乳酸をなくす方法を紹介します。
『藤川徳美医師 facebook 2017年3月7日』より引用
筋肉がかたいということは、伸縮がスムーズにゆかず、フィラメントのすべり運動がうまくゆかないことでしょう。
ふつうの人の場合、これは乳酸の蓄積またはフィラメントの酸化によっておこります。
いわゆる筋肉のコリがそうです。
この乳酸をなくす方法は二つあります。
一つは、ビタミンB1によって、これを二酸化炭素と水にまで分解してしまう方法です。
もう一つは、細胞膜の透過性をビタミンEによって正常化して、乳酸を筋肉細胞から外に追い出す方法です。
むろん、両者の併用が理想的なわけで、これは肩凝りをほぐす方法にもなります。
T嬢の場合、筋肉は頻繁に収縮を繰り返しますが、ビタミンB1が不足していれば、そのつど乳酸が発生します。
だから、筋肉がかたくなるのは当然といえるでしょう。
一方、筋肉の収縮にはエネルギーを必要としますが、そのエネルギーは、脂肪酸、グリコーゲン、クレアチンリン酸などから作られます。
筋肉がかたくなっているのは、こういうもののストックが底をついている証拠でもあるのです。
このうちクレアチンリン酸は、ビタミンEがないと、筋肉中に保持されません。
このビタミンがなかったら、クレアチンリン酸は、利用されることなしに、尿に出て行ってしまいます。
それぞれのビタミンの役割をまとめます。
- ビタミンB1・・・乳酸を二酸化炭素と水まで分解する反応に必要
- ビタミンE・・・・乳酸を筋肉細胞から追い出す、クレアチンリン酸を筋肉中に保持する
「乳酸は疲労物質ではない」と言われているのですが、このように疲労物質だと仮定してビタミンを使うと効果がでるところをみると、やはり疲労物質ではないか・・・とも思うわけです。
以下の話を読むと特にです。
『精神科医こてつ名誉院長のブログ 三石理論 ビタミンB1 注射の効果』より引用
冬になると、私はスキーを楽しむことにしている。
数年前まで、一行の中に高校生がいた。われわれの仲間は、習慣のようにビタミンB1、100mgの注射を、毎晩やったものだ。
高校生氏は、これをバカにしたように横目で見ていた。
毎日5時間も雪の上を滑っていると、初日はともかく、三日目ぐらいになると、筋肉痛で苦しみだすのが通例といってよい。
ところが、ビタミンB1の大量投与をやっていれば、そういうことにならないのだ。
さすがの若者も、注射の効果を目のあたりに見て、自分にもしてくれと頼むようになった。
このような例は、一つや二つではない。
筋肉疲労の原因物質が乳酸であってみれば、ビタミンB1の効果が期待されてよいわけだ。
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40年前の話なので、医療関係者でなくても注射ができた様子。
B1、100mgの注射はやはりかなり強力です。
以前話したように、注射後1時間以内に体内の乳酸を処理してしまうようです。
つまり、乳酸がなくなるということは、ガンの餌がなくなるということになる。
”糖質はガンの餌”という言葉があるが、正確に記すと”糖質により生じた乳酸がガンの餌”という表現の方が正しいと考えている。
私は現実に起こっている事を重視するので、「乳酸は疲労物質である」という考えを無視することはできません。
以下の記事でも説明しましたが、乳酸の本当の害に気付かせない為に、「疲労」や「筋肉」という局所に目を向けさせることで、乳酸の怖ろしさを煙に巻いている可能性があります。
余命わずかの末期癌患者が退院できたのは病院での栄養療法のおかげだった!
また、そういう説を唱える専門家が脚光を浴びるような社会になっています。
乳酸の害を大したことがないように捕らえている情報に注意した方がいいでしょう。
まとめ
ポイントを整理します。
- ミトコンドリアで代謝できない場合、ピルビン酸は乳酸になる
- ピルビン酸が乳酸に変換される理由は、解糖系で生じた「NADH」を「NAD」に戻す為
- 乳酸をエネルギー源にする為の「コリ回路」は、ATPを4分子失う
- 解糖系に依存した細胞から生じた乳酸は、別の細胞のエネルギー源になる
- 乳酸は酸化、糖化、炎症を引き起こす
- 乳酸をピルビン酸に変える「乳酸脱水素酵素」はタンパク質、補酵素の「NAD / NADH」はナイアシンが材料
- 乳酸をなくすには、ビタミンB1とビタミンEを摂取する
グルコース(ブドウ糖)をエネルギー源にする場合は、以下のようになります。
このブログでは糖質の危険性をうったえているので、「糖質を控えて脂質をエネルギーにする方が良い」・・・と言っています。
しかし、糖質を控えられない人がいます。例えば以下のような方達です。
- 体質的に糖質制限ができない人
- 糖質制限をしているが、付き合いでたまに糖質を食べる人
- 思想の為のベジタリアン
- 家族の食事とは別に糖質制限食を作るのが難しい人
- 仏壇のお供え物を食べる習慣がある人
- 強度の運動をする為にエネルギー源として糖質が必要な人
糖質を摂られる方は、右の代謝し切る方法を選ぶと健康的です。
最悪「乳酸」が発生しても、消費しきれるレベルに抑えるというのもポイントです。ただし、「糖新生」にはATPを6分子消費するので、その点は注意が必要です。
そして、図を見てもらったら分かると思いますが、ミトコンドリアで代謝する場合、「解糖系」と「クエン酸回路」と「電子伝達系」で得られるATPは、合計で38分子です。
しかし、乳酸が発生するルートは、「解糖系」で得られるATPだけになります。グルコース1分子からはATPは2分子なので、少ないです。
低エネルギーなので体温も低くなります(癌患者は35度台です)。
そして、ATPの生産数が少ないので、足りない分を速さで稼ぐ仕組みになっています。その為、「解糖系」は、ミトコンドリアでのATP生産よりも100倍近く速いです。
糖質はすぐにエネルギーになる・・・というのはこの為です。
一見、良い事のように聞こえますが、悪い面もあります。
「解糖系」だけに依存するとエネルギーが足りないので、体はとりあえずATPの数を稼ごうとします。
その為、糖質が止められなくなります。
これは、とりあえずエネルギーをよこせ・・・という体の反応です。
体には乳酸を処理する仕組みがありますが、なるべく溜めないように心がけた方が良いです。
余命わずかの末期癌患者が退院できたのは病院での栄養療法のおかげだった!
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