- 投稿 2018/10/01
- 注意 - パーツ別 - 甲状腺
糖質制限中に「低T3症候群」になった場合の主な対策がこちらです。
- タンパク質をしっかり摂取する
- 筋肉量を増やす
- 脂質もしっかり摂取する
- 糖質を一時的に摂取する(緩い糖質制限から慣らしていく)
この方法で、改善するケースがほとんどですが、本記事では補足として、「低T3症候群」になる原因や対策を、前回とは違った角度から考えていきます。
前回の記事を読まれていない方は、先に以下の記事を読まれた方が分かりやすいと思います。
糖質制限の副作用?抜け毛、冷え、だるい...低T3症候群になりやすい人の特徴とは
「低T3症候群」を語るには「甲状腺ホルモン」の知識は避けて通れないので、まずはそちらから簡単に説明して、その後、本題に入ります。
既にご存じの方は飛ばして下さい。
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甲状腺と甲状腺ホルモン
「甲状腺 こうじょうせん」は、喉仏のすぐ下の位置にあります。
これは「内分泌器官 ないぶんぴつきかん」の1つで、「甲状腺ホルモン」を作っています。
「甲状腺ホルモン」には、代謝を活発にする働きがあります。
その為、このホルモンの分泌が過剰になると、代謝が過剰になるような症状が表れます。以下は一例です。
- イライラする
- 暑がりになる
- 脈が速くなる
- 動悸が続く
- 手が震える
このような状態を「甲状腺機能亢進症 こうじょうせん きのう こうしんしょう」と言います。内分泌疾患です。
反対に、このホルモンの分泌が少ないと、代謝が低下するような症状が表れます。以下は一例です。
- 体温の低下
- だるい
- 汗をかかない
- 脈が遅くなる
このような状態を、「甲状腺機能低下症 こうじょうせん きのう ていかしょう」と言います。内分泌疾患です。
で、これに似ているとされるのが「低T3症候群」です。こちらはエネルギーが入ってこない時の生体反応と言われているので疾患ではありません。
甲状腺ホルモンの種類と働き
「甲状腺ホルモン」の主原料は、ミネラルの一種「ヨード(ヨウ素)」で、このようになっています。
サイログロブリン + ヨード → 甲状腺ホルモン
「サイログロブリン」とは、甲状腺濾胞細胞(こうじょうせん・ろほう・さいぼう)のみでつくられる糖蛋白の事です。
「濾胞」とは、動物の組織にある、多数の細胞からなる「完全に閉じた袋状の構造物」の事で、中に分泌物が溜まります。
甲状腺ホルモンには種類があります。
- Thyroxine(サイロキシン)・・・T4
- Triiodothyronine(トリヨードサイロニン)・・・T3
この2つは、ヨードの数が違います。ちなみに、ヨードの元素記号は、I(iodine / アイアダイン)です。
次に「T4」と「T3」の特徴を説明します。
(T4)
- 量が多い。活性が弱いが、安定している。
- 「T4」は、甲状腺でのみで作られる
- トリヨードサイロニン(T3)の前駆体
- 代謝量の制御や、成長に影響を与える
(T3)
- 量は少ないが、活性があり、T4の10倍強力。【T3>T4】
- 体温、成長、心拍数等に関与している。
- 「T3」は、血液中の約20%が甲状腺から分泌され、残りは標的臓器で「T4」→「T3」へ変換される。
甲状腺ホルモンをコントロールする甲状腺刺激ホルモン
先に説明した「T4」や「T3」は、「甲状腺刺激ホルモン」によってコントロールされています。
「甲状腺刺激ホルモン」は、脳下垂体(のうかすいたい)から分泌されています。
「甲状腺刺激ホルモン」は、英語で「Thyroid Stimulating Hormone サイロイド スティミュレイティング ホルモン」、略して(TSH)です。
「甲状腺ホルモン」は、以下のような流れでコントロールされています。
「脳下垂体」から甲状腺刺激ホルモンが分泌される
↓
「甲状腺」が刺激されて、甲状腺ホルモンが分泌される
で、以下のように増えたり減ったりする仕組みになっています。
- 血液中の「甲状腺ホルモン」の量が増えると、脳下垂体からの「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」の分泌が抑えられる
- 血液中に「甲状腺ホルモン」の量が減少すると、脳下垂体からの「甲状腺刺激ホルモン(TSH)」の分泌が増える
で、症状が似ている「甲状腺機能低下症」と「低T3症候群」は、血液検査では以下のような違いがあります。
- FT3が低い・FT4が低い・TSHが高い…甲状腺機能低下症
- FT3が低い・FT4は正常・TSHが正常…低T3症候群
「F」というのは、「Free(遊離している)」という意味です。「T4」と「T3」は、検査では遊離しているものを調べます。詳しくは以下の記事で述べています。
甲状腺ホルモンの働きと、甲状腺機能低下症とLowT3症候群の違いについて分かりやすく説明してみた
「FT3」と「FT4」は、通常は一緒に変動するようなのですが、「FT3」だけが低い状態が「低T3症候群」です。
何故そうなるのかについては、後ほど説明します。
省略した部分もありますが、簡単に「T4」、「T3」、「TSH」の説明をしたので、ここからは本題である「低T3症候群」の対策について考えていきます。
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低T3症候群と甲状腺機能低下症
「低T3症候群」について調べていると、生体反応なので疾患ではない...という意見もありますが、一方で「低T3症候群」を放っておくと、本当に「甲状腺機能低下症」になるので気をつけた方が良いという意見もありました。
確かに「甲状腺機能低下症」と共通しているところがあるので、関連はありそうです。
なので、本屋や図書館でその理由を探しているのですが、「低T3症候群」の情報はほとんどありません。甲状腺に関係する病気が書かれている本にもです。
例えば、以下は300ページ近くある生化学の本ですが、「甲状腺ホルモン」に関する記述はこのようになっています。
『基礎から学ぶ生化学 改訂第2版 編集:奥恒行・山田和彦』より引用
C.甲状腺
1)甲状腺ホルモン
甲状腺はトリヨードチロニン(T3)とチロキシン(T4)の2つのホルモンの混合物を分泌する(図4C-6).
これらのホルモンは甲状腺で合成されたタンパク質であるチログロブリンのチロシン残基がヨウ素化された後、加水分解を受けて遊離し、T3やT4となり血中に分泌される.
分泌されたT3やT4はチロシン結合グロブリンやアルブミンなどと結合することにより標的組織に輸送される.
甲状腺ホルモンは酸素消費を増し、核における遺伝情報発現の調節、脂肪分解や糖新生の促進、代謝亢進、交感神経賦活作用などの生理作用を有する.
2)カルシトニン
カルシトニン(CT)は甲状腺のC濾胞傍細胞から分泌される血清カルシウム低下作用をもつペプチドである.
このホルモンは骨吸収を抑制し、骨からのカルシウムとリンの溶失を減少させることにより血清カルシウムイオンを低下させる.
機能的にはパラトルモン(PTH)に拮抗する.
(161~162p)
「rT3」の事など、全く書かれていません。
生理学の本には、「T4」や「T3」の他に「rT3」がある...というところまでは書かれているものの(それすらもないものがほとんど)、それ以降の話、例えば、「T4」から「rT3」に変換されてしまう理由等は書かれていないのです。
もっと分厚い本になら書いてあるのかもしれませんが、そういう本でないと見つけられないというのはおかしな話です。
この「低T3症候群」という状態は、飢餓状態やダイエットでもなるので比較的身近な現象です。
それなのに、あまりに情報がなさすぎます。
また、「rT3」は検査もお粗末で、医師も気付かない事があるそうです。
『ドクター牧瀬のサプリメント・クリニック 隠れ甲状腺機能低下症』より引用
こういった、現代に蔓延する、不定愁訴的な症状は、甲状腺の機能低下に由来することが多々あります。 医者はいちおう甲状腺機能低下も疑い、その検査をします。
しかし、たいがいは正常とでてくるのです。
ところが、この正常というのがくせもので、正常範囲下限ぎりぎりの正常から、上限ぎりぎりの正常まであります。
そして、ふつうの甲状腺の血液検査ではかるのはTSH(甲状腺刺激ホルモン)、T3(トリヨードサイロニン)、T4(テトラヨードサイロニン)くらいです。
「 rT3(リバースT3)」は測定しません。
甲状腺のホルモンは「T4」、「T3」、それと「rT3」の3種類があります。
その中で、活性の強いのが「T3」です。
「rT3」は、「T3」の鏡像の異性体です。rはreverse (裏返す)のrです。 その活性は「T3」と比べるとほとんどありません。
従って、「T3」が甲状腺ホルモンとしての主な働きをしているといえます。
ところが、通常の検査では、「rT3」は「T3」と同じにみなされ、「T3」として検査結果がでてきます。
すると、いくら活性のない「rT3」が多く、活性の強い「T3」が少なくても、検査としては異常なしということがときどきおこりえるのです。
しかも、「TSH」も正常とでてくることがあるのです。
ただ、残念ながら日本では、このrT3の検査は普通のクリニックや病院では行われません。
(中略)
おそらく、うつ病、あるいは慢性疲労症候群、あるいは更年期障害と診断されている人たちの中には「ReverseT3」が多い状態の人がけっこういると推測されます。
肝臓の弱い人、腎臓に問題がある人、糖尿病が進行している人、神経性食欲不振症の人なども、「ReverseT3」が多くなる可能性が高いので、注意が必要です。
ダイエットや飢餓は誰でもなる可能性があるのに、一般的な書籍にも載っておらず、検査されず、原因が分からなくて身体の不具合に悩まされる
...この環境は「鉄不足(フェリチンの不足)」とよく似ています。
鉄不足は、生理のある女性では誰でもなる可能性があるのに、一般的な書籍ではあまり扱われず、一般の病院では貯蔵鉄を調べる「フェリチン」の検査はされません。
その結果、多くの女性が、鉄不足に起因する身体の不調に悩まされているわけです。
このような状況は病人を増やします。ちょっと伝えれば済むことなのに、それをしないのですから悪質です。
「低T3症候群」は、このような環境です。
- 甲状腺機能低下症と低T3症候群は似ている
- 低T3症候群の情報がない
- 検査も充実していない
で、問題は「甲状腺機能低下症と低T3症候群は似ている」というところです。
以下の記事では、両者の違いを書いたのですが、
甲状腺ホルモンの働きと、甲状腺機能低下症とLowT3症候群の違いについて分かりやすく説明してみた
調べていると、「甲状腺機能低下症」と「低T3症候群」は、「疾患」と「生体反応」という違いはありますが、関連しているところもあると感じます。
なので、情報がまとまりにくいです。
また、痩せ型の女性で、30年以上糖質中心の食生活をおくってきた私は、「低T3症候群」になりやすい条件を揃えているのですが、いきなり糖質10g以下の糖質制限の実践でも「低T3症候群」にならなかったので、これを解決した経験がありません。
...この状態で記事にするのは難しいと考えたのですが、断片的ではあっても、今現在「低T3症候群」で困っている人にはヒントになると思うので、分かっている対策を紹介します。
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T4がreverseT3に変換される
2種類の「甲状腺ホルモン」を紹介しました。
- T4
- T3
ここでは、先ほどの引用記事にでてきた「reverse(リバース)T3」について説明しておきます。
前回の記事でも紹介しましたが、「rT3」は、ダイエット、飢餓、冬眠前などの栄養不足の時に、体の代謝を下げてエネルギーロスの少ない状態に変えようとするホルモンでした。
で「低T3症候群」は、「T4」が「T3」ではなく、省エネホルモンである「rT3」に変換されてしまった状態です。
- T3・・・活性型
- rT3・・・非活性型 ←
では、「T3」と「rT3」はどう違うのかというと、構造はそんなに違いません。
元になった「T4」は、ヨードが4つついています。これが「脱ヨード酵素」の働きによって、ヨードの1つが外れて「T3」に変換されます。
で、その外れる位置が違うと「rT3」になる...というわけです。
ちなみに、この変換は、肝臓や腎臓等、標的臓器で行なわれます。
甲状腺から「T4」が分泌される
↓
血液にのって運ばれる
↓
標的臓器に到着して「T3」に変換される
「低T3症候群」は、この標的臓器での変換がおかしい状態で、元になった「T4」は分泌されています。
一方、「甲状腺機能低下症」は、「T4」も、そこから変換される「T3」も低下します。
- 甲状腺機能低下症・・・T3とT4の分泌量が減る
- 低T3症候群・・・(T4 → T3)への変換が抑えられている
なので、「低T3症候群」にならないようにするには、「rT3」に変換されるようなことをしない事、また、「T4」から「T3」に上手く変換できるようにすればいいわけです。
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T4からT3へ変換されるようにするには
「低T3症候群」は、甲状腺ホルモンの問題が大きいです。
で、「T4 → T3」に正常に変換されない条件をシンプルに考えるとこうなります。
- 材料不足
- 標的臓器の変換ミス(変換されない、間違った変換)
- 標的臓器自体の不具合
これらが正常に戻るようにすれば改善するはずです。
糖質制限によって、ここに挙げた問題が起きるのだとしたら、やはり、解決は栄養療法になります。
糖質制限は慢性疾患を改善させる為に非常に効果がありますが、完璧ではありません。
糖質制限の最大のメリットは、「糖質」の害を抑えられる事と、身体の構成成分の大部分を占める「タンパク質」と「脂質」を十分得られることです。
また「脂質」は身体の構成成分にもなりますが、エネルギー物質「ATP」を多く作る事もできます。
しかし、現代の食料をとりまく環境には問題があるので、糖質制限の実践によって、一部のビタミン、ミネラルが不足してしまう事も事実です。
糖質制限をしていても、ビタミン・ミネラルが不足すれば代謝に問題が生じます。
なので、その不足している栄養素が何かを見極めて、補うことが重要です。
「何が不足しているのか」を見つけるのが大変なので、そのヒントになりそうな話をいくつか紹介します。
なお、本記事で説明する対策は、「甲状腺機能低下症」、「低T3症候群」の両方に関係している場合もありますが、そもそも「甲状腺ホルモン」の問題なので、共通している事があっても不思議ではありません。
主原料のヨウ素(ヨード)不足
「低T3症候群」は「T3」が低い状態です。「T4」から「T3」への変換が上手くいかないので、「T4」は足りていると考えられます。
なので、「低T3症候群」の話をする時は、「T4」は足りている...という前提で語っていくつもりですが、一応、これがなかったらどうなるのかもお話しておきます。
もし、変換の前の状態である「T4」が不足していれば、「T3」を作ることもできません。つまり、どちらも生成できない事になります。
両方減るのは、「甲状腺機能低下症」です。
で、「甲状腺ホルモン」の主原料はヨウ素(ヨード)です。
糖質制限を実践している人で、肉食がメインの人は、ヨウ素不足になる可能性があります。
ヨウ素が多く含まれている海産物を食べなければ、半年ほどでヨウ素不足になるそうです。
材料がなければ、「T4」も「T3」も不足する事になるので注意が必要です。
これに該当する場合は、ヨウ素(ヨード)を補う必要があります。
ただし、摂取のし過ぎも注意です。それによって甲状腺の機能に不具合が生じることもあります。
単体のミネラルの過剰摂取は慎重にするべきです。
酵素の材料はタンパク質
「T4」→「T3」へ変えるには、4つのヨードから1つのヨードを外して変換させる「脱ヨード酵素」が必要です。
この「脱ヨード酵素」は種類があります。
- 1型(D1)
- 2型(D2)
- 3型(D3)
...ということは、ここでも酵素の材料である「タンパク質」が重要になってきます。
『藤川徳美医師 fecebook 2018年2月24日』より引用
タンパク質が十分あれば、タンパク質の同化と異化(動的平衡)が活性化する。
酵素反応が活性化する。
主酵素はタンパク質、補酵素はビタミンとミネラル。
つまり、タンパク質が十分量あると、ビタミンとミネラルの効果が出る。
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ミネラル不足
主酵素である「タンパク質」が足りていても安泰ではありません。
補因子である「ミネラル」、補酵素である「ビタミン」が不足すれば反応は滞ります。
『歯科医師の考える健康生活 ライナス・ポーリング氏「すべての不快感や疾患、病気の根本を探るとミネラル欠乏にたどり着く」』より引用
2月10日の投稿がきっかけ
https://www.facebook.com/junichi.takahashi.372
糖質制限で失敗する方はカロリー不足もあるが、ミネラル欠乏が主体ではないか?
ケトジェニックで失敗する方も、脂質の代謝にミネラルが必須なのにミネラル不足で結局、ケトン体を悪者にしてしまう。
折角、ケトンの臨床応用を考える風潮が出始めているのに残念。江部先生・宗田先生のご功績を無駄にしてはいけない。
ケトジェニックダイエットがヒトの健康に及ぼす影響について
https://www.jstage.jst.go.jp/article/kagakutoseibutsu/54/9/54_650/_pdf
●糖尿病と微量元素はとても密接
鶏が先か卵が先かだが、原因と結果の混在が多過ぎる。
鉄が過剰だから糖尿病? 糖尿病だから鉄が過剰?
恐いのは、糖尿病でインスリンの過剰分泌や多尿で亜鉛の枯渇が起こり、亜鉛欠乏症の泥縄状態になること。
亜鉛、クロム、マンガン、セレン、バナジウム、カルマグ と糖尿病の関連が分かってないと、糖尿病は理解できない。
SGLT2阻害薬で糖を排出するだけでなく、多尿継続で微量元素はダダ漏れしてないか?
ファスティングで、ミネラル不足に陥っていないか?
酵素ドリンクダイエットだけでは、立派な亜鉛欠乏症の出来上がり。
そして、最も恐いのは間違った糖質制限やダイエット、菜食による微量元素の欠乏。
例えば、亜鉛欠乏になると、甲状腺機能低下にまっしぐら。ヨウ素欠乏だけでない。
微量元素欠乏(特に亜鉛欠乏)と低T3症候群は症状は類似病態。
肉食が嫌なら せめて亜鉛入りプロテインや亜鉛補給の元、糖質制限を。
魚食、オメガ3頼り、脂質代謝依存の方もせめて亜鉛だけでも 適量を弁えたメガで。
「微量元素欠乏(亜鉛欠乏)」と「低T3症候群」の症状が似ているとは...。
ということは「甲状腺機能低下症」とも症状が似ているという事です。
そういえば、子供は亜鉛が欠乏すると成長障害が起きるようですが、成長を促す「甲状腺ホルモン」が不足しても成長に悪影響がでます。
微量元素欠乏(亜鉛欠乏)、低T3症候群、甲状腺機能低下症...表面的には別物ですが、共通している事が多いですね。
まぁ、考え出すときりがないので、ミネラルに話を戻します。
ミネラルと言えば、私は10代の時から糖質制限を始める前まで、健康食品をいくつか摂取していました。
その中にミネラルもあったのですが、糖質制限を始めた時に、糖質制限の効果を確かめる為に全て止めました。
でも、長年飲んでいたので、止めてもミネラルは急には涸渇しなかったのだと思います(※毎月生理があるので、「鉄」は減っていましたが...)。
私がいきなり厳しい糖質制限をして上手くいったのは、それまで飲んでいた健康食品のおかげだと思っていましたが、やはり信憑性がありそうです。
一応、「T3」に関係のあるミネラルを挙げておきます。これらが不足している場合は補った方が良いでしょう。
T4からT3の変換に必要なミネラル
- セレン
- 亜鉛
- マンガン
この中で、マンガンが気になりました。
『ドクター牧瀬のサプリメント・クリニック 甲状腺(こうじょうせん)の病気』より引用
カルシウムを大量に摂取するとマンガンの吸収が阻害されます。
何かの理由でカルシウムのサプリメントをとっている人は、気をつけたほうがいいでしょう。 (私は、骨粗鬆症に対してさえ、カルシウムのサプリメントは推奨しておりません)。
マンガンはセレンとビタミンB2とともに、甲状腺ホルモンのうち、T3という活性の強いほうのホルモンが生成されるのに必要です。 日に3mgほど必要です。
糖質制限でチーズを大量に摂取する人がいます。この場合、チーズに含まれているカルシウムを多く摂取する事になります。
これもマンガンの吸収を阻害することになります。
マンガンはスパイスに多く含まれています。私はスパイスが大好きなので、肉料理にもよく使っているのですが、これも「低T3症候群」にならなかった理由かもしれません。
T3を細胞に運んで細胞が利用できるようにするミネラル
- 鉄
いつも言っていますが、生理がある女性は不足しやすいです。
足りているかどうかは「フェリチン(貯蔵鉄)」を測ります。
食品に含まれている物質が甲状腺に与える影響
食品に含まれている成分が、甲状腺の機能に良い影響を与える場合と、悪い影響を与える場合があります。
例えば、ココナッツオイルは、甲状腺の機能を適切に保つ効果があると言われています(※ただし、そう書かれているサイトを見るのですが、そのメカニズムに触れているものが見つかりませんでした)。
問題は悪い影響を与える物質です。
たまに、「食品に含まれる有害物質に対してどう考えているのか」というメールやコメントをいただくのですが、現在は基本的に、糖質のように1つの毒を大量に摂るわけではないので意識して避けていません。
私は糖質制限をする前は、「人工甘味料」や「遺伝子組み換え食品」や「食品添加物」をできるだけ避ける生活をおくってきました。
しかし、糖質制限を始めてからは、ほとんど避けなくなりました。その理由は以下です。
- 糖質を食べないので、加工品を食べる機会が減ったので避けるまでもない
- 有害物質を避けまくっても糖質を摂取していては健康にはならなかった
- 有害物質を避ける事を優先することで必要な栄養が摂取できなくなる
これは「有害物質は避けなくても大丈夫、安全だ」と言っているのではありません。
避けた方がいいのは分かっていますが、種類が多すぎる上、色んなものに分からないように入っているので、避けるのが事実上無理だから頑張らなくなったのです。
しかし、現実にこれらを摂取して、不具合があるなら積極的に避けた方がいいです。
糖質を制限するあまり、人によって摂取量が増える可能性のある物質が「人工甘味料」です。
私の様に糖質制限の開始とともに、全ての甘味料を諦める選択をする人もいますが、中には、甘味を捨てきれず、人口甘味料を多く摂取する人もいます。
そのような人は、糖質を摂取している人よりも、人工甘味料を多く摂取するかもしれません。
で、人工甘味料の中でも、甲状腺やホルモンに影響があると思われるものがこちらです(まだあるかもしれませんが...)。
アセスルファムK
動物実験で甲状腺異常、肝機能障害が起きています。
スクラロース
スクラロースは、分解されにくい化学物質で、摂取すると全身に回って、ホルモンや免疫システムを乱す可能性があります。
なんでも、この添加物は、新しい農薬を開発中に偶然発見されたそうです。
以下は継続して摂取することで懸念されている症状の一例です。
- 甲状腺の働きの衰え
- 肝臓・脳の肥大
- 肝臓細胞異常
- 卵巣収縮
- 脳腫瘍の増加
- 成長の遅れ
- 赤血球の減少
- マグネシウムとリンの欠乏
...このような話があるので、心当たりのある方は量を調節した方がいいです。
人工甘味料が悪影響を与える...というのは、だいたい想像がつくと思います。農薬を開発中に何故か偶然できた...とか、そんなのばっかりですから。
しかし、一見、健康に良さそうな自然の食品も、甲状腺に悪影響を与える物もあるので注意が必要です。
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大豆製品の摂取量に注意
「低T3症候群」は、「女性」や「痩せた男性」に多い症状です。その理由を食事の視点から考えてみます。
糖質制限をするとタンパク質をたくさん食べる必要がありますが、大豆製品からタンパク質を稼ごうとする人がいます。
大豆はオシャレでヘルシーなイメージが強く、「畑の肉」と言われているからでしょうか。
しかし、大豆製品は曲者です。
大豆は「アンチニュートリエント」を含んでいます。
「アンチニュートリエント」は、「反栄養素」という意味で以下のような働きがあります。
- タンパク質の消化能力の邪魔をする
- カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛...等のミネラルの吸収の邪魔をする
先にタンパク質やミネラルの重要性の話をしているので、これがいかに悪い事かよく分かると思います。
タンパク質の消化吸収能力を邪魔するということは、大豆製品と肉を一緒に食べれば、肉が未消化で腸で発酵して...というあのフレーズを実現化することになります。
また、大豆には甲状腺機能を狂わせる効果があります。
大豆には「イソフラボン」が含まれています。これが甲状腺ホルモンの生産を妨げます。
糖質制限によって、大豆のタンパク質をたくさん摂取すると、どの食事法よりも大豆製品を大量摂取してしまいます。
だってタンパク質をたくさん食べなければいけないですから。
その場合、糖質制限が原因で、甲状腺機能に異常がでる可能性もあります。
動物性の方が植物性よりも良い...と言っているのですが、それでも大豆製品は人気があります。
この傾向は男性よりも女性に多いと感じるのは私だけでしょうか。大豆製品について相談してこられたのはみな女性でした。
ドラッグストアで女性受けするオシャレなパッケージのプロテインが置いてありますが、ソイプロテインの事が多いです。
プロテインバーもソイが多いです。
糖質制限の良さは、動物食性動物である人間の食性に合っているので、身体への負担が少ない事です。
せっかく糖質制限をしているのに動物性ではなく、納豆や豆腐をたっぷり食べ、豆乳を飲み、ソイプロテインを飲む...これでは植物食性動物です。
痩せた男性も人事ではありません。
男性でも胃腸が弱ければ、肉食はキツイです。痩せた人や、ある程度年齢がいった人は、最初のうちはタンパク質を、あっさりした大豆製品から多く摂るかもしれません。
このような男性は、大豆の大量摂取による甲状腺機能の問題が起きやすいと考えられます。
また、そのような男性の体形は、「胃腸が弱い→食が細い→痩せて非筋肉質」の可能性が高いです。ということは、前回説明した筋肉量が少ない事で「低T3症候群」になる可能性もあります。
最近は高たんぱくブームで、スーパーには色んな味の豆乳がならんでいます。豆乳は「健康」という単語と結び付けられていますが、鵜呑みにして大量摂取しないように気をつけましょう。
大豆製品からタンパク質の摂取を続けると、思わぬ不具合が出る可能性があることを知っておいて下さい。
ハッキリ言って、「動物性食品中心の糖質制限」と、「大豆製品中心の糖質制限」は別物です。大豆製品はタンパク質が多くても、おまけ程度に考えた方がよいです。
中にはガゼインアレルギーで、プロテインがダメという方もおられます。
そのような方には、ホエイプロテインでもガゼインのほとんどないWPIが良いと伝えます。
しかし、それがダメなら、ソイをオススメした事もあるのですが、やはり、これは良くないかもしれません。
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コルチゾールの分泌量に問題がある
「T4→T3」の変換には適度な量のコルチゾールが必要です。
コルチゾールとは、「副腎」から分泌される「副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン」の一種です。
「副腎」は腎臓の上にあります。
「コルチゾール」は、ストレスから体を守ったり、糖質、脂質、タンパク質代謝に関与しています。
しかし分泌が過剰になると「T3」の産生が妨げられ、反対に、少なすぎると「rT3」に変換されます。
- コルチゾールが過剰 = T3の産生が妨げられる
- コルチゾールが減少 = rT3に変換される
簡単にその流れをまとめます。
コルチゾールが多すぎる場合
副腎機能が保たれているが、ストレスに反応してコルチゾールが多く出る
↓
「T4→T3」への変換が妨げられて、「T3」が減る
↓
甲状腺機能が低下する
コルチゾールの分泌が低下して、ストレスに対抗できなくなった状態を、「副腎疲労症候群 ふくじんひろうしょうこうぐん」と言います。
コルチゾールが少なすぎる場合
副腎疲労が進行する
↓
コルチゾールが低下する
↓
「T4」は「リバースT3」に変換される
↓
省エネモードになる
参考サイト:慢性疾患本当の原因 副腎疲労度と甲状腺機能の関係
甲状腺機能は副腎の影響を受けます。
従って、原因が副腎、コルチゾールにある場合は、こちらも改善させる必要があります。
というわけなので、コルチゾールの分泌量が増える原因について考えてみます。
コルチゾールの分泌量が増える例
「コルチゾール」は、ストレスや睡眠不足によって分泌量が増加します。
ストレスが多いと、「コルチゾール」が過剰になり、「糖新生 とうしんせい」が亢進し、血糖値が上がります。
すると、糖質制限をしていても高血糖になります。
このような人は、コルチゾールによって「T3」の合成が妨げられます。
「糖新生」とは、腎臓や肝臓で「糖質以外の物質」から糖質を作り出すシステムの事です。
以下の記事では、糖質制限をしている人で、「糖新生」が過剰になるケースについてお話しました。
一応言っておきますが、「糖新生」自体が悪いのではなく、過剰になるのが悪いのです。
糖質制限は低T3症候群になりやすい...と言われています。
その理由の1つに、食品からの糖質摂取が少ないので、その分糖新生が多く働くからというのがあります。
つまり糖質制限では、糖新生の需要が増すから、「コルチゾール」の必要量が増す...という理屈です。
糖質を制限するので糖質が入って来ない
↓
糖質しか利用できない細胞があるので、糖新生で糖質を合成(コルチゾールが必要)
↓
過剰なコルチゾールによって「T3」の合成が抑えられる
↓
低T3症候群の発症
↓
(結論:糖質制限は低T3症候群を発症しやすい)
この部分だけ見ると、糖質制限がいかにもコルチゾールを浪費するように見えます。
「糖質を摂取した方が良さそう」と思ってしまいます。
しかし、それを言うなら、糖質を摂取をしていても、「コルチゾール」は過剰に分泌されます。
食品から摂取した糖質によって上がった血糖値を下げるためにインスリンが出る
↓
血糖値が下がりすぎる
↓
血糖値を上げる為にコルチゾールが分泌される
↓
過剰なコルチゾールによって「T3」の合成が抑えられる
↓
低T3症候群の発症
↓
(結論:糖質の摂取は低T3症候群を発症しやすい)
このように、「糖新生で合成された糖質」でも、「食品からの糖質摂取」でもコルチゾールは増えるので同じことです。
糖質摂取で増えたコルチゾールは「T3」の合成には影響しなくて、「糖新生」で増えたコルチゾールだけが「T3」の合成を抑える...という事はないでしょう。
しかも、コルチゾールには抗炎症作用があります。糖質は炎症を起こすので、糖質の大量摂取によってコルチゾールの需要が増します。
コルチゾールの必要量が増すことで「rT3」に変換され「低T3症候群」になるなら、糖新生だけではなく、糖質摂取も良くないです。
「rT3」に変換させないためには、副腎疲労、その元になるコルチゾールの浪費をなんとかする必要があります。
その対策についてお話します。
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副腎疲労とコルチゾールに関係する栄養素
ここでは、副腎に関連する栄養素を紹介します。
副腎も甲状腺も内分泌器官です。で、内分泌器官といえば「ビタミンE」です。
『藤川徳美医師 facebook 2017年2月21日』より引用
いずれにしても、ビタミンE1はすべての内分泌器官に蓄積されており、これが欠乏すると、精巣、卵巣、副腎などが萎縮し、あるいは変性することが知られている。
ビタミンE1が、すべてのホルモンに関係ありとする根拠は十分にある。
なぜなら、ホルモンはフィードバック的につくられるものときまっているからだ
そして、副腎の働きを強化し、副腎皮質ホルモンの産出を促す働きがあるのが「パントテン酸」です。
パントテン酸は、別名「ビタミンB5」です。
これはアルコールやカフェインで消耗しやすいので、これらをよく飲む人は欠乏しているかもしれません。
そして、副腎皮質ホルモンは、副腎皮質でコレステロールから合成されます。
その他に、タンパク質、ビタミンC、ビタミンEも必要です。
特にビタミンCが重要です。
『精神科医こてつ名誉院長のブログ 三石理論 基礎から学ぶビタミンC-5』より引用
ストレスでコルチゾール需要が高まると、ビタミンC需要も数倍に跳ね上がり、ビタミンC不足になる。
ビタミンC不足になると、ATP合成、脂肪酸燃焼、コラーゲン合成に手が回らなくなり、エネルギー障害、代謝障害を生じる。
ストレス過多が慢性疾患を生じる原因の一つは、ビタミンC不足にある。
よく強度の慢性ストレスでがんになったと言う話を聞くが、これもビタミンC不足を介していると言える。
甲状腺ホルモンと睡眠の関係
睡眠に問題があれば、どんな栄養療法をしていても不健康になります。
例えば、「睡眠不足」では糖新生が過剰になるので、糖質制限をしていても高血糖になります。
一方、「睡眠のタイミング」は、甲状腺ホルモンの働きに影響を与えるようです。
『ドクター牧瀬のサプリメント・クリニック 隠れ甲状腺機能低下症』より引用
3)就寝の理想は午後10時までですが、どんなに遅くとも11時までには床に就いください。その分、朝は早くおきてもかまいません。(朝は、寝たいだけ、寝てられてけっこうです)。
どんな病気も夜ふかしすると、非常に治りがよくないのです。それは、成長ホルモンの分泌の関係からです。特に午前0時~午前2時あたり、寝ている間に、成長ホルモンが分泌されます。成長ホルモンは若い人の背丈をのばすだけでなく、他にもさまざま重要な働きをします。
その一つに、甲状腺に関しては、抹消の組織でT4(テトラヨードサイロニン)からT3(トリヨードサイロニン)への変換を促進します。つまり、甲状腺ホルモンを働かすには、早寝が必要なのです。
肝臓での変換
「T4」は、甲状腺のみで作られます。
一方、「T3」の作られ方は2通りあります。
血液中の約20%が甲状腺から分泌されていて、「T4」から変換されて生じるのが80%です。
「T4 → T3」へは、標的臓器で変換されるというのがポイントです。
車でも電化製品でも何でもいいですが、例えば、ある工場で「A」という部品を作ります。
で、その部品をトラックに乗せて道を走り、着いた工場で「A」を加工して「A’」という商品を作るとします。
「A → A’」になることが悪いなら、悪いのは「Aを作った工場」ではなく、「加工した工場」になります。
不良品の「A」をそのまま出荷したとか、運ぶ道中で何か問題が起きる事もあるでしょうが、やはり加工する工場で何か問題があると考えます。
これを「甲状腺ホルモン」に当てはめます。
「T4」が「T3」ではなく「rT3」に変換されることによってなる症状が「低T3症候群」なので、悪いのは「甲状腺」ではなく、「T4の変換の仕方」か、「標的臓器」そのものです。
- T4の変換の仕方が悪い・・・材料(酵素と補酵素)に問題がある
- 標的臓器の不具合・・・臓器によって事情が違う
ここまで述べてきた対策は、前者に関するものでした。
ですが、後者に問題がある場合は対策は1つではありません。何故なら、「標的臓器」とされるのは複数あるので、その臓器がどのように不具合を起こしているのかによって解決策も異なるからです。
変換される標的臓器ですが、調べたところによると、肝、腎、筋肉、中枢神経系、褐色脂肪...等です。
「T4 → T3」へは、主に筋肉で変換されるとか、主に肝臓で変換される...という説が多いです。
ここでは、「肝臓」についてとりあげます。
調べていると、
甲状腺ホルモンは肝臓で「T3」から「T4」に変換される。肝臓にエネルギーが無ければ正常な変換が行なわれず、「T3」が低下し、代謝が低下する・・・だから糖質を摂取した方が良い。何故なら、肝臓の唯一のエネルギーは糖質だから。
...という情報があります。
私はこれを読んでびっくりしたわけです。
...というのも、エネルギーを糖質(ブドウ糖)だけに頼っている細胞は、以下と、筋肉の速筋だけだと思っていたからです。
肝臓はケトン体を作りますが、ケトン体を利用する事はできません。ですが、糖質だけしか利用できない...というのは聞いた事がありませんでした。
で、それが本当かどうか調べてみると、肝臓は「糖質」だけでなく「脂肪酸」もエネルギーに使えるようでした。
『現代ビジネス 医師が教える!健康的に痩せる糖質制限ダイエット「4つのルール」』より引用
ケトン体回路では、まず脂肪細胞の中で中性脂肪が脂肪酸とグリセロールに分解されます。どちらも血液に乗って全身を巡ります。
脂肪酸はそのままでもエネルギーになるので、肝臓へ向かう途中に筋肉などで使われます。70%はここで使われ、残りの脂肪酸が、肝臓に辿り着いて肝臓のエネルギーになります。
でも肝臓はそんなにエネルギーは必要ないので、他におすそわけしますよ〜と「ケトン体」という物質をつくります。
他の臓器でエネルギーとして使えるようにするわけです。もう一方のグリセロールのほうは、肝臓での糖新生によって糖質に変わります。
全く嘘ばっかりでうんざりしますね。
脳はケトン体を使えると認知されてきたのに、「脳はブドウ糖しか使えない」と頑なに言い張って糖質を食べさせようとする人がいますが、あれと同じです。
単純に無知で知らなかったのならともかく、知っているのに重要な情報を隠して理論を展開するわけです。
このように言うと、いやいやメインは糖質だから...と表現を変えてくるかもしれません。
でも、それならそうと、最初からそう言えばいいのです。
嘘がバレそうになった途端、情報を小出しにしてくるような人は信用できません。
嘘が混じっている以上、
甲状腺ホルモンは肝臓で「T3」から「T4」に変換される。肝臓にエネルギーが無ければ正常な変換が行なわれず、「T3」が低下し、代謝が低下する
...という説はデタラメの可能性が高いです。
肝臓のエネルギーについて特徴をまとめておきます。
- 肝臓はそんなにエネルギーが必要ない
- 肝臓はケトン体を作るが利用はできない
- 肝臓は糖質も脂肪酸も利用できる
肝臓は、糖質がなくても、脂質をしっかり摂取して、それを上手く代謝できていれば、エネルギー不足にはなりません。
もし、肝臓での「T4」から「T3」への変換に何らかの問題があるとすれば、その原因は肝臓のエネルギー不足ではなく、肝臓の機能に問題があって上手く働かない...と考えた方が説明がつきます。
肝臓にダメージがあるとかですね。
でもそれは元々あった機能が壊れている事が悪いので、変換できない本質的な理由にはなりません。どんな優れたシステムも壊れていれば使えませんから。
低T3症候群についてのまとめ
糖質制限によって生じる「低T3症候群」の原因と対策について考えてきました。
- タンパク質をしっかり摂取する
- 筋肉量を増やす
- 脂質もしっかり摂取する
- 糖質を一時的に摂取する(緩い糖質制限から慣らしていく)
- 甲状腺ホルモンの材料を不足させない
- 「T4→T3」への変換に必要な栄養素を不足させない
- 甲状腺の機能にダメージを与えるような有害物質を摂り過ぎない
- 副腎にダメージがないようにする
- 質の良い睡眠を心がける
- 標的臓器に不具合があればそれを解決する
「低T3症候群」の対策は他にもありますが、本記事では「糖質制限を実践していてT3症候群になる理由と対策」について絞りました。
何故、このような断片的な情報の記事になったのかというと、私自身、この症状の全体像がまとまっていないからです。
ここまで読んでいただければお分かりだと思いますが、「低T3症候群」の周辺を調べていると、様々な疾患がからんできます。
原因や対策を考えていくと「甲状腺機能低下症」と「低T3症候群」は、「疾患」と「生体反応」という違いはありますが、やはり共通している部分が多いです。バッサリ区切っていいのか悩みます。
また、以下の記事で紹介した「単純な脂質不足によってフラフラになる」のも、飢餓状態なので「低T3症候群」だと言っても過言ではないでしょう。
疲れてフラフラになる...糖質制限のつもりがカロリー制限に!危険なATP不足とは
さらに、記事中に出てきた「微量元素欠乏(亜鉛欠乏)」は、「低T3症候群」と類似病態です。
また、以下の状態の人は「rT3」が多くなっている可能性が高いそうですが、ということは「低T3症候群」の症状と被るという事です。
- うつ病
- 慢性疲労症候群
- 更年期障害
- 肝臓の弱い人
- 腎臓に問題がある人
- 糖尿病が進行している人
- 神経性食欲不振症の人
ちなみに、「慢性疲労症候群 まんせいひろうしょうこうぐん」ですが、脂肪酸をミトコンドリアに運ぶ「L-カルニチン」が不足するとなる...とも言われています。
甲状腺機能低下症、低T3症候群、脂質不足(カロリー不足)、微量元素欠乏(亜鉛欠乏)、慢性疲労症候群...
このように、お互いが関係し合っていたり、境界線が曖昧で、疾患の名前は違いますが、根っこが同じような気がするのは私だけでしょうか?
このような状況を見て、私は以下の記述を思い出しました。
『ガンの特効薬はミトコンドリア賦活剤 ミトコンドリア異常(低酸素・血液のpH7.3以下)で人は病気になり死ぬ』より引用
血液のpHが7.3以下になる最大の原因は、大量の乳酸が血管に流れ込むからです。
乳酸はpH5程度の酸性物質なので、慢性的に溜まってくると7.4という正常値を、7.3以下に下げてしまいます。
ブドウ糖をエネルギーに変えられなくて、乳酸に変えてしまっている人は、乳酸アシドーシスという体質になっているのです。
ガンも糖尿病も腎不全も肝不全も脚気も重症感染症もてんかんも薬害も、すべてタイプBの乳酸アシドーシスです。
乳酸アシドーシスになるからガンや糖尿病になり、ガンや糖尿病になるから乳酸アシドーシスになります。
医学界の都合で様々な病名が付けられていますが、基本的には「ミトコンドリア病による乳酸アシドーシス」なのです。
乳酸アシドーシスを改善すると様々な病気が治るのは、基本的には同じだからです。
メトホルミンやベンフォチアミンやジクロロ酢酸や水素やテラヘルツ波が万能薬として重宝されるのは、現代病の基本が同じであり、ダブついた乳酸の代謝や還元が重要なのです。
このケースは「乳酸」が原因でしたが、責任の所在が曖昧になるような環境になっています。
この甲状腺関係の不具合も、医学界の都合で様々な名前が付けられているだけで、本質はもっとシンプルなのかもしれません。
今のところ真相は分かりませんが、そんな気がします。
調べれば調べる程、枝葉の情報に踊らされているようで迷います。なので、今後記事を修正、追加すると思います。
「低T3症候群」と「ただのカロリー不足」は境界線が曖昧なのですが、読者さんの体験談は参考になります。
痩せ形で筋肉の少ない男性が糖質制限でフラフラになるケースへ続く
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