- 投稿 2016/11/25
- 分かりやすいシリーズ - 栄養 - 鉄
「鉄」は必須ミネラルの中でも、特に重要な役割を果たしています。
鉄不足にならないように、積極的に摂りたいところですが、過剰摂取は危険なので、そのことについて触れておきます。
スポンサーリンク
鉄は再利用される
鉄は、生命の維持に欠かせない栄養素です。
体内の鉄は大切なのでリサイクル機能があります。
赤血球は寿命を迎えると、脾臓で壊されます。
この時、他の成分は分解されて排出されますが、「ヘモグロビン」に含まれていた鉄のほとんどは再利用されるのです。
このように、鉄は生命の維持に欠かせないからこそ、体の外に逃がさないシステムになっています。
鉄を摂りすぎてしまったら
「鉄の働き」は、大きく分けて3つです。
- 機能鉄 ・・・体の機能をサポート
- 貯蔵鉄 ・・・鉄を保存して、無くなった時に使う
- 組織鉄 ・・・爪や髪や皮膚等の組織に含まれている
この中でも重要なのが、生命の維持にかかわる機能鉄です。
機能鉄の一つである「ヘモグロビン」は、酸素を運搬しなければなりません。従って、鉄のほとんどは優先的に赤血球(の中のヘモグロビン)を造る為に使われます。
その残りが「貯蔵鉄」や「組織鉄」に回されます。
なので、鉄が不足した時には、それ以外の優先順位の低いところから減っていきます。順番は、以下のようになります。
①貯蔵鉄
↓
②血清鉄
↓
③材料である血清鉄がない為ヘモグロビンが造れない(貧血)
みての通り「貯蔵鉄 ちょぞうてつ」はストックですので、真っ先に減っていきます。
財布のお金がなくなった時に、銀行の貯金を切り崩して、手元の財布のお金は0にしないようにするのと似ていますね。
この「貯蔵鉄」は、肝臓、脾臓、筋肉等にあります。これらが正規の貯蔵場所です。
もし鉄を過剰に取ると、貯蔵するところが一杯になります。
すると、「本来貯蔵すべきでない箇所」にも鉄が貯蔵されます。
こうなると、「鉄を外に逃がさないシステム」は逆効果です。過剰分の鉄の排出が難しくなります。
では、鉄はどれくらい摂ったらヤバイのでしょうか。
スポンサーリンク
鉄の許容量と、それを越えた場合の症状
鉄の許容量が以下になります。
『wikipedia 鉄』より引用
鉄分の許容量
米国科学アカデミーが公表している DRI 指数によれば、ヒトが1日のうちに許容できる鉄分は、大人で45 mg、14歳以下の子供は40 mgまでである。
摂取量が体重1 kgあたり20 mgを超えると鉄中毒の症状を呈する。鉄の致死量は体重1 kgあたり60 mgである。
6歳以下の子供が鉄中毒で死亡する主な原因として、硫酸鉄を含んだ大人向けの錠剤を飲み過ぎるケースがあげられる。
なお、遺伝的な要因により、鉄の吸収ができない人々もいる。
第六染色体のHLA-H遺伝子に缺陥を持つ人は、過剰に鉄を摂取するとヘモクロマトーシスなどの鉄分過剰症になり、肝臓あるいは心臓に異変を来す事がある。
ヘモクロマトーシスを患う人は、白人では全体の0.3 - 0.8 %と推定されているが、多くの人は自分が鉄過剰症であることに気づいていないため、一般に鉄分補給のための錠剤を摂取する場合は、特に鉄欠乏症でない限り、医師に相談することが望ましい。
大人で45 mg、14歳以下の子供は40 mgまでである・・・とあります。
この記事の下の「レバー100gに含まれているビタミン・ミネラルの表」によると、レバー100gあたりに、鉄は9mg含まれています。
ということは、45gの鉄をレバーから摂ろうとしたら、レバー500gを食べる必要があるということです。
普通はレバーを500gも食べません。
従って、普通に食事から鉄を摂る場合、過剰摂取の心配はないでしょう。特殊な病気の人を除いては...。
過剰摂取でなる病気
先程説明したように、鉄の過剰摂取で余分な鉄が蓄積していくと、以下のような病気に発展します。
- 心筋症
- 心不全
- 肝硬変
- 糖尿病
これらの病気になるまで、これといった症状がないのだそうです。
しかし、一度にたくさん摂りすぎた場合は、下痢・便秘・吐き気・嘔吐等の胃腸症状が急性の症状として出るそうです。
スポンサーリンク
鉄が余る
体の中の鉄は、以下に含まれています。
- ヘモグロビン
- ミオグロビン
- トランスフェリン
- フェリチン
- ヘモシデリン
これらはすべて「たんぱく質」と「鉄」がくっついた形になっています。
タンパク質 + 鉄
例えば「ヘモグロビン」なら、「グロビンというタンパク質」と「ヘムという鉄を含む赤い色素」がくっついた形になっています。
グロビン(たんぱく質) + ヘム(鉄) = ヘモグロビン
で、それぞれ、どこに存在しているのかというと、
- ヘモグロビン → 赤血球の中にある
- ミオグロビン → 筋肉組織の中にある
- トランスフェリン → 血液(血しょう)の中にある
- フェリチン・へモジデリン → (肝細胞内や肝・脾の網内系細胞内)に貯蔵
しかし、「鉄を貯め込むことができるたんぱく質」には限りがあります。
従って、鉄の供給が多すぎた場合、鉄が余ってしまします。
この「タンパク質」のパートナーがいない鉄・・・
これがよろしくないわけです。
タンパク質と結合していない鉄は危険
「タンパク質というパートナーがいない鉄」は、身体の中で「過酸化水素」と化学反応を起こします。
この化学反応が問題で、ヒドロキシラジカルに変化します。
独身の鉄と過酸化水素で誕生した「ヒドロキシラジカル」とは、
ヒドロキシルラジカル (hydroxyl radical) はヒドロキシ基(水酸基)に対応するラジカルである。
•OH と表される。いわゆる活性酸素と呼ばれる分子種のなかでは最も反応性が高く、最も酸化力が強い。
糖質やタンパク質や脂質などあらゆる物質と反応する。
しかし、その反応性の高さゆえ通常の環境下では長時間存在することはできず、生成後速やかに消滅する。
過酸化水素への紫外線の照射や、酸性条件で過酸化水素と二価の鉄化合物を触媒的に反応させる方法(フェントン反応)によって生成される。
酸化力が強力で、寿命は短くて、さらに体内の脂質を酸化させてしまう厄介な活性酸素です。
こういった性質をもつわけですから、発生すれば、当然細胞を傷つけます。
しかも、余った鉄は、
肝臓、心臓、膵臓、胃、脳等に蓄積しやすいそうなので、活性酸素の影響を受けやすいと言えます。
鉄は、不足もヤバイですが、たくさん摂りすぎて体内で余ると良くないのです。
スポンサーリンク
過剰症の原因
鉄過剰の原因は様々です。「病院で処方される鉄剤」や「注射」や「輸血」、そして「鉄を吸収できない人」といったケースです。
ですが、食事で量をオーバーすることは考えられません。
先程紹介した、「レバー100gに含まれる鉄の量」から考えても、常識的な量の食事をしていれば、鉄を摂りすぎることはないと思います。
なので、鉄が過剰になる原因は、サプリメントでしょう。
というわけなので、過剰摂取には注意して下さい。
健康体の人であればサプリメントに頼らなくても食事で十分ではないかと思っています。(※病的な欠乏をしていたら対処は変わってくると思いますが。)
それに食品の方が、鉄以外の栄養素も摂れるのでお得です。
例えばレバーですと、
このように、レバー(食品)からだと、ビタミンやミネラルが色々摂れてしまうわけです。
ちなみに、私は現在、4日連続でレバーを食べています(一日100gくらい)が、少々体が暖かくなったと感じています。最近気温が低いのですが、寒くても、体が暖かいです。
寒さ対策は、「毛細血管を破壊する糖質」を制限し、「脂質」、「タンパク質」を摂り、さらに「鉄」を加えると効果が高くなるのではないかと思います。
一応、これからも観察してみたいと思います。
(追記)この記事を訂正します
この記事は、定説に基づいて、2016年の11月に書いたものです。
この時は、鉄過剰の心配をしていて「サプリは飲まない方が良い」と判断しました。
しかし、その後調べると、口から摂取した鉄は吸収されない仕組みになっていることが分かりました。
そして、鉄のサプリを飲み始めて、食事から鉄を摂る場合と比較したところ、サプリメントの効果が圧倒的でした。
試した結果の話が以下になります。
鉄の過剰摂取は危険という考えを改めます。鉄サプリを半年間飲んでみて思う事へ続く
スポンサーリンク