- 投稿
- 分かりやすいシリーズ - 栄養 - 鉄
人体の血液の量は、成人男性だと体重の約8%、成人女性だと約7%と言われています。
4~5リットルぐらいです。
血管の中を流れている血液は、体中のあらゆる組織に、酸素、水分、栄養分等を供給します。
そして、組織から老廃物を回収します。
本記事は、血液の構成についてお話します。
スポンサーリンク
血液の構成
血液は、血しょう、赤血球、白血球、血小板からできています。
- 血漿(けっしょう)
- 赤血球(せっけっきゅう)
- 白血球(はっけっきゅう)
- 血小板(けっしょうばん)
それぞれを具体的に説明していきます。
試験管の中に血液を入れて、「血液が固まらない薬」を入れて放置すると、以下のような状態になります。
血液は、「液体」と「有形の成分」に分けられます。
血漿と血球
試験管の中の、上の薄い黄色の液体を「血しょう」と呼びます。
「血しょう」は、血液の55%を占めています。
一方、試験管の下に沈殿した有形の成分を「血球 けっきゅう」と呼びます。
血球には、「赤血球」、「白血球」、「血小板」があり、血液の45%を占めています。
そして、血球のほとんどは「赤血球」です。
「白血球」と「血小板」はわずかです。
血球は、「血しょう」という液体の中に浮遊しています。
次は「血しょう」と「血球」の働きについて説明します。
スポンサーリンク
血しょうの働き
血しょう(けっしょう)の働きは以下になります。
- 血液細胞、養分、ホルモン、老廃物を運搬する
- 体内恒常性を維持する
- 血液を凝固させる
- 免疫機能
- 血管外に組織液としてしみだす事ができる。これによって細胞に栄養を供給することができる
ちなみに、「血しょう」の約90%が水分です。
水分の他に、有機物、無機塩類(電解質)が含まれています。
液体である「血しょう」は、薄い黄色です。
しかし、血液は赤です。
赤く見えるのは、血球の「赤血球」があるからです。
スポンサーリンク
血球の働き
血球(けっきゅう)の働きが以下になります。
- 赤血球・・・酸素の運搬を行なう
- 白血球・・・体内に入った細菌や異物と戦って体を守る
- 血小板・・・血液の凝固や止血を行なう
図にするとこうです。
本記事はこのうちの「赤血球の話」をしていきます。
赤血球とは
「赤血球」の3分の2は、水分になります。
水分以外の成分のうち、大部分を占めるのが「ヘモグロビン」です。
割合は、ヘモグロビンが97%、蛋白質が約2%、脂質が約1%です。
先程、「血液が赤く見えるのは赤血球のせいだ」と言いました。なので赤血球の絵を描くと左下の絵のように赤い色になります。
でも、もっと細かいことを言えば、赤血球の色が赤いのは、赤血球の大部分を占めるヘモグロビンが赤だからです。
右下の絵の粒々が「ヘモグロビン」です。赤血球の中に「ヘモグロビン」がたくさんあるので赤く見えます。(左のように赤く見えるのは、右のような構造になっているからです)
赤いヘモグロビンを皮で包んだものが赤血球のイメージです。
この赤い粒々の「ヘモグロビン」のおかげで、体の隅々まで酸素を運ぶことができるのです。
スポンサーリンク
ヘモグロビンとは
ここからは、赤血球の水分以外の大部分、「ヘモグロビン」についてお話します。
血液検査でよく耳にすると思います。
「ヘモグロビン」とは、鉄分を含んだタンパク質です。
鉄を含んだ赤色の色素「ヘム」と、タンパク質でできている「グロビン」からなる物質なので、名前が「ヘモグロビン」です。
血液は体中のあらゆる組織に「酸素」を供給すると言いましたが、厳密に言うと、
「ヘム」の中に含まれている鉄の部分に、酸素がくっつくことで、酸素を運ぶことができるのです。
これが「鉄不足」がよくない理由です。
もし鉄がなければ、酸素がくっつかないので、体に酸素が運べないという事態になります。
すると、体の酸欠で、例えばこんな症状になったりします。
- だるい
- めまいがする
- 眠い
- 集中力の低下
- 動機や息切れ
- 頭痛
「眠い」というのは、脳が体を休ませようとする為眠くなるそうです。
鉄が足りないとフラフラするのは、「鉄が不足する事で、体が酸欠になるから」です。
スポンサーリンク
赤血球とヘモグロビンについてまとめ
赤血球の主な働きは、酸素の運搬です。
赤血球は、「肺で受け取った酸素」を体の隅々の細胞に供給したり、「二酸化炭素」を受け取って肺まで運びます。
運搬の鍵を握るのは、「赤血球」の「ヘモグロビン」です。
「ヘモグロビン」の中に含まれている鉄に、酸素がくっつくので酸素が運べます。
赤血球が車なら、「ヘモグロビン」は座席です。座席がなかったら乗れません。
酸素を乗せた「ヘモグロビン」という座席ごと、赤血球が運搬しているイメージです。
そして、赤血球の中で「ヘモグロビン」が不足した状態を貧血と言います。
ヘモグロビンと、ヘモグロビンA1cの違い
血液検査でよく耳にする「ヘモグロビンA1c えーわんしー」についてお話します。
正常な「ヘモグロビン」に、糖がたんこぶのようにくっついて変質した糖化物質が「ヘモグロビンA1c」です。
この「ヘモグロビンA1c」は、老化物質AGEに変化する一歩手前の物質です。
老化物質なのでこの値は少ない方が良いです。
健康体の人にもありますが、糖尿病の患者さんは「ヘモグロビンA1c」が2~3倍多いのです。
ヘモグロビンA1cについて書いた記事が以下になります。
糖化反応(メイラード反応)について分かりやすく説明してみた
血液と赤血球とヘモグロビンについて分かりやすく説明してみた②へ続く
スポンサーリンク