糖質は依存性が強いだけでなく、過剰に摂取すると害になります。
しかし、そうはいっても「ブドウ糖」は人体にとって必要な栄養素です。その必要な血中のブドウ糖濃度は、全血液約5ℓに対して5gです。
わずかな量ですが、体には「ブドウ糖に依存している細胞」があるので、この一定のブドウ糖がないと生きていけません。
しかし、食事から糖質(ブドウ糖)が全く入ってこないとどうでしょうか。例えば、睡眠等の絶食時、糖質を制限する食事を実践している時等です。
糖が体に入ってこないので血糖値が低下しそうな気がします。
しかし、問題ありません。
生命維持に必要な最低限の血糖値が維持できないのは非常に危険なので、体には血糖を維持するためのシステムが備わっています。それが「グリコーゲン分解」と「糖新生」です。
- グリコーゲン分解
- 糖新生
「グリコーゲン」は、ブドウ糖が複雑に繋がった構造をしており、肝臓や筋肉に貯蔵しています。これを分解してブドウ糖にできるのですが、容量が少ないので早く枯渇してしまいます。
しかし、そうなっても、肝臓や腎臓で、「糖質以外の材料」から糖質(ブドウ糖)を新たに作りだすシステム、「糖新生」があるので安心です。
糖質の摂取が途絶え、さらにグリコーゲンが枯渇しても、「糖新生」によって合成できるので、生きていく為に必要な血液中のブドウ糖の濃度は維持できます。
ただし、良い面ばかりではありません。
優れた「糖新生」の機能ですが、場合によっては高血糖になってしまう事があります。
糖質制限をしていても起こりうる現象なので注意が必要です。
本記事では、糖新生の働きと、それはどのような場合に起こるのかについてお話します。
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糖新生を必要としている細胞
生体は生きていくために、エネルギー物質「ATP」を作り出し、これを使って生命活動を行なっています。
ATP(アデノシン三リン酸)について分かりやすく説明してみた
「ATP」がないと何もできませんし、無くなるとどの生物も死にます。
その「ATP」の元となる材料は、糖質(ブドウ糖)、脂質(脂肪酸)、ケトン体(脂肪酸を分解してできた物質)、タンパク質(アミノ酸)です。
多くの細胞は、これらの材料を燃料にできるのですが、そうではない細胞も存在します。
冒頭で「体にはブドウ糖に依存している細胞がある」と言いましたが、それが以下です。
これらの細胞は、どれもエネルギー代謝が「解糖系」なので、ブドウ糖が必要です。言いかえると、「糖新生」のシステムが必要ということになります。
ではここで、それぞれの細胞について、簡単に解説しておきます。
赤血球
赤血球は、全身の細胞に酸素を届ける仕事をしています。赤血球の細胞内には、発電所である「ミトコンドリア」が存在しません。
従って、「ミトコンドリア」でのエネルギー代謝ではなく、細胞質基質での「解糖系」という発電方法でエネルギーを得ています。「解糖系」のエネルギー源は「ブドウ糖」です。
では、何故赤血球には「ミトコンドリア」がないのか・・・ですが、「ミトコンドリア」は酸素を要求するので、もし赤血球に「ミトコンドリア」があれば、配達用の酸素を運ぶ途中で消費してしまうかもしれません。ない方が都合がいいと考えられます。
グリア細胞
グリア細胞は、神経を構成する「ニューロン」以外の細胞です。
脳の細胞は大きく分けて、思考をする「ニューロン」と、思考をしない「グリア細胞」の2つのタイプがあります。両者は特徴やエネルギー代謝が異なります。
「グリア細胞」の方は、エネルギー産生の99%を「解糖系」に依存しています。つまり、エネルギー源をブドウ糖に依存しているということです。
一方、「ニューロン」は、「ミトコンドリア」の多い細胞で、「ブドウ糖」を材料とする「解糖系」はほぼないそうです。脂肪酸から生成された「ケトン体」や「グリア細胞で発生した乳酸」をエネルギー源にしています。
- 「ニューロン」・・・ケトン体、乳酸(ミトコンドリア)
- 「グリア細胞」・・・ブドウ糖(解糖系)
癌細胞
癌細胞は、正常細胞の何倍もブドウ糖を取り込む細胞です。一見悪者に見えますが、実は、糖質の過剰摂取によって発生した「乳酸」によって酸性化した体を助ける為に役立っています。
癌細胞は「ミトコンドリア」が機能不全になっているので、解糖系によるエネルギー産生に依存(つまり、ブドウ糖に依存)しています。これは過剰になったブドウ糖(乳酸)を処理する為の機能だと考えると辻褄が合います。
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糖新生の仕組み
「グリコーゲン」に蓄えられたブドウ糖の量はたいしたことないので、絶食状態が続くと「糖新生」のシステムに切り替わります。
①食事からのブドウ糖の供給が途絶える
↓
②血糖値が下がってくる
↓
③グリコーゲンをブドウ糖に分解して供給
↓
④グリコーゲンが枯渇
↓
⑤糖新生でブドウ糖を合成
食事からの糖が途絶える状況・・・というのは、「絶食時」そして、「糖質制限」などです。
絶食が続いて糖が足りなくなった時に、「糖新生」の材料に使われるのは、自らの筋肉を分解した「糖原性アミノ酸」です(※絶食ですから食事からのアミノ酸供給はありません)。
糖質制限をしている人の場合は、食事からタンパク質を多く摂取するので、これを分解してできた「糖原性アミノ酸」を材料に「糖新生」が行なわれます。しかし、睡眠時等これらが入ってこない時は、自らの筋肉を分解した「糖原性アミノ酸」を「糖新生」の材料にします。
私のように糖質量1日10g以下の厳しい糖質制限をしても大丈夫なのは、「糖新生」があるおかげです。注意することは、タンパク質の摂取量が減ると筋肉の減る量が増えるので、タンパク質を不足させないようにすることです。
ちなみに、糖新生の材料は「糖原性アミノ酸」の他、「グリセロール」、「乳酸」等があります。
糖新生によって合成される糖質量
「糖新生」は、誰の体内でも日常的に起こっている現象です。糖質を控えている人や、飢餓の時の専売特許ではありません。普通に糖質が多い食事をしている人でも空腹時には起こっています。
『Cafe すてきに活ききる 旬(ときめき)亭 糖新生、低血糖 萩原敦』より引用
「糖新生」という言葉の説明を権威の医学書等で閲覧すると、まず、「飢餓時・・」という言葉が冒頭に登場する。
これで、まず騙される。これは権威の騙しの常套手段である。一発目で、読み手を嘘の屁理屈に誘導する。頼みは権威だけである。飢餓時だけに「糖新生」が、特別に起きるわけではない。
わかりやすく言えば、糖質を食って血糖値が上昇している時は、糖新生は抑制されるが、それ以外の空腹時や睡眠時は、肝臓と腎臓でグルコースを毎時6~10g程度、血液中に24時間供給している。
もし、あなたがしっかりとした糖質制限をしているなら、食事中も食後も糖新生は継続しているのである。
脳のグリア細胞の解糖系では、過酷な頭脳労働時は毎時4gぼーっとしている時は、2~3g、睡眠中は2g程度のグルコースの消費がある。
赤血球は、安静時(事務仕事程度)では、毎時2g程度消費されている。
血糖値の標準値を100とすると、体重50キロのヒトで、血中に4gのグルコース量で飽和していることになる。
この初期血糖値の4gと糖新生による追加グルコース6~10g(中間値8をとる)を加算すると、4+8=12 12-(4+2)=6gということで、単純計算でも、血糖値が相当、上昇することになる。
これを抑制するのが、持続的に分泌されている「インスリン基礎分泌」である。
はっきり言って、「糖新生」のグルコース合成の量と「インスリン基礎分泌」の量の均衡が、空腹時血糖値や睡眠時の血糖値を、定めているのである。
したがって、生涯に渡って、糖質ゼロで、食生活を営んでも、糖新生とインスリン基礎分泌の均衡が保たれれば、低血糖にも高血糖にもならないのであり、血糖値の恒常性を完全に維持できるのである。
血糖値の恒常性を破壊し、乱すのが、糖質の摂取による、血糖値の乱高下に他ならない。これが高血糖、高インスリンを呼び、糖尿病、がん、動脈硬化等、万病の温床になるのである。
たとえば、糖尿病になると、インスリン基礎分泌も衰える。
糖新生は、ほとんどの場合衰えないから、空腹時の血糖値が、400とか、500とかになる。
ようするに「糖新生」は、マイペースで、グルコースを忠実にコツコツ合成し続けるのである。
何度も書いているが、インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島β細胞は、肝臓の10分の1の抗酸化能力しかない、稼働させればさせる程、インスリンは枯渇する。
ヒトにとって、本当の恐怖は、インスリン基礎分泌が衰え、空腹時に、血糖値が400とか500とか、になることである。
くどいが、ヒトは、低血糖等になるような状態にならなように万全の態勢を整えているのである。
まさに、健康であれば、低血糖になんかならないのである。低血糖対策は、ヒトの人体においては完全無欠の体制なのである。
例外的に低血糖になるのは、
①糖質を摂取し過ぎて、インスリンがタイムリーに分泌されなくなり、機能性低血糖のような血糖値がある程度下がってから、インスリン追加分泌が始まったりするようなとき。
②糖尿病の治療を、 糖質制限で行わず、糖質をわざわざ摂取して、血糖値を上昇させ、インスリン等を用いて、過度に血糖値を下げ過ぎてしまった時。
健康なヒトが、普通の生活をしている中で、低血糖が起きることはない。糖質制限をしたり、昼食にありつけなかったくらいで、低血糖になるようなことは絶対にないのである。
ここが重要である。
ここを知らないと、「糖質制限は低血糖になる!」「糖質制限は危険である!」という単純な嘘に簡単に騙されるのである。
ポイントとなる数値をまとめます。
- 人間の血液は4~5ℓ、それ含まれるグルコースは4~5g
- 空腹時、糖質制限中、「糖新生」で供給されるグルコースは、毎時6~10g
- 中枢神経(脳)の「グリア細胞」は、毎時3~4gのグルコースを消費
- 赤血球は毎時2gのグルコースを消費
消費する量に対して、「糖新生」によって作られる量の方が多いことがわかります。糖質を食べなくてもこの状態です。もし「インスリン」が無かったり、機能していなかったら簡単に血糖値は上がってしまいます。
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血糖値の調節
「インスリン」とは、上がった血糖値を下げる作用のあるホルモンです。
常に分泌され、一定の量が保たれているのを「基礎分泌」。
血糖値が上がった時に、下げるために追加で分泌されるのが「追加分泌」です。
分泌のボリュームを図で表すとこんな感じです。
「基礎分泌」は生命維持に必要ですが、「追加分泌」は高いほど有害で病気のリスクが増えます。健康維持の為には「追加分泌」を出さない生活が良いのです。
一方、血糖値が下がってきた時に、「グリコーゲン分解」と「糖新生」を促進させるホルモンが「グルカゴン」です。
「インスリン」は上がった血糖値を下げる作用がありますが、「グルカゴン」は下がった血糖値を上げる作用があります。
ちなみに、血糖値を上げるホルモンは「グルカゴン」を含めて全部で5種類ありますが、血糖値を下げるホルモンは「インスリン」だけです。
血糖を上げるホルモン
- グルカゴン(膵臓のランゲルハンス島・a細胞)
- 甲状腺ホルモン(甲状腺)
- 成長ホルモン(脳下垂体)
- アドレナリン(副腎髄質)
- コルチゾール(副腎皮質)
血糖値を下げるホルモン
- インスリン(膵臓のランゲルハンス島・β細胞)
血糖値を上げる仕組みが5に対して、血糖値を下げる仕組みが1です。
体は、血糖値を上げるのは得意だけど、血糖値を下げるのは得意ではないということです。
夏井睦医師が、アクセルが5つあるのに、ブレーキが1つしかない車だと表現されていますが、正にその通りで、誰がどうみてもアンバランスです。
5つあれば、どれか1つ壊れてもなんとかなりますが、1つしかない場合、壊れた時困るわけです。
体がこのようなシステムになっているということは、ブレーキは酷使する前提で作られていないと考えられます。
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グルカゴンとインスリンとは
「グリコーゲン分解」と「糖新生」を促進させる「グルカゴン」は、血糖値を下げる「インスリン」と同じ膵臓のランゲルハンス島で作られています。
こちらが「ランゲルハンス島」の拡大図です。インスリンは「β細胞」で作られますが、グルカゴンは「α細胞」から作られます。
「糖新生」を促進させ血糖値を上げる「グルカゴン」の効力と、血糖値を下げる「インスリン」の効力
この2つのバランスが崩れなければいいわけです。分かりやすくする為に、単純に考えてみます。
「グルカゴン」の分泌と、「インスリン」の分泌が同量なら血糖値は安定しますが、
「グルカゴン」の分泌が「インスリン」の分泌より上回れば血糖値は上昇します。
反対に、「グルカゴン」の分泌より「インスリン」の分泌の方が上回れば血糖値は下がります。
というわけで、ここで話を「糖新生」に戻します。
タンパク質の摂取で高血糖になる原因
糖質制限をしているのに血糖値を測ったら数値が高くてがっかりした・・・という話を時々目にするので、糖質制限をしているのに血糖値が上がる理由についてお話します。
考えられるのが、タンパク質摂取によって起こった「糖新生」です。
栄養素には直接血糖値を上昇させるものと、糖新生によって間接的に血糖値が上昇するものがあります。前者は「糖質」で、後者は「タンパク質」です。
「タンパク質」は直接的には血糖値を上げませんが、「糖新生」の材料になります。「糖新生」で、ブドウ糖が合成されてしまうと、場合によっては高血糖になるので注意が必要です。
残念ですが、「糖新生」によって血糖値が上がりすぎると、食事から糖質を摂っているのと変わらないことになります。
では、どんな時に「糖新生」が過剰になってしまうのかですが、「糖新生」によって血糖値が上がるケースは様々なので、「糖尿病のケース」か、「糖尿病じゃないケース」に分けて説明します。
まずは糖尿病の人のケースから説明します。こちらは「インスリン」と「グルカゴン」が関係しています。
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糖尿病が原因で、「糖新生」で血糖値が高くなるケース
「インスリン」は、「糖新生」を抑制する働きがあります。
糖尿病には「β細胞が壊れてインスリンが分泌されなくなってしまった1型」と、
「インスリンの分泌が少なくなったり、体がインスリンにあまり反応しなくなってしまった2型」があります。
・・・このように、糖尿病は「インスリン」が正常に分泌されない状態です。それが原因で以下のようになります。
1型糖尿病
内因性(自分の体で作られた)インスリンが0の人は、当然ながらインスリンは分泌できません。従って、このタイプの人が「タンパク質」を摂取すると、グルカゴンだけが分泌されます。
抑える作用がないので、血糖値は上昇します。
2型糖尿病
内因性(自分の体で作られた)インスリンが不足したり効きが悪い場合も、やはり抑える作用が弱いので、グルカゴンの分泌量が勝ってしまい、血糖値が上昇します。
また、糖尿病予備軍の人もタンパク質摂取による「糖新生」で血糖値が上昇します。
糖質制限中に起こる暁現象
糖尿病の場合、厳しい糖質制限をしても血糖値が下がらない事があります。
『ドクター江部の糖尿病徒然日記 糖毒、糖新生、暁現象、糖質制限食、薬物療法。』より引用
1ヶ月間のスーパー糖質制限食実践でも血糖値が下がらないなら、糖毒状態に陥っている可能性があります。
① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→筋肉細胞レベルでのインスリン抵抗性増大
高血糖があると①と②が体内で生じます。
インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。
≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫
この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。
一日の血糖値の日内変動が、常に180~200mg/dlを超えていると糖毒状態となります。
なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。
糖尿病の罹病歴が4~5年くらいなら、「スーパー糖質制限食」で食後高血糖がリアルタイムに改善し、さらに早朝空腹時血糖値も改善し糖毒状態が解除されることがほとんどです。
しかし、10年近い糖尿病歴があると、「スーパー糖質制限食」で食後高血糖はリアルタイムに改善したとしても、一日を通して、180~200mg/dlを切ってこない状況になります。
こうなるとなかなか糖毒も解除されないし、早朝空腹時血糖値も、180~200mg/dlを切れない状態が持続します。
1回の食事の糖質量が、10~20g以下の糖質制限食でも、早朝空腹時血糖値が198~200mg以上あるのは、夜中の糖新生が過剰になっていると考えられます。
糖尿病がない人は、夜中に肝臓が糖新生を開始してもインスリンがリアルタイムに反応して、糖新生を制御します。
しかし糖尿人においては、インスリン作用が不足しているため糖新生を制御できません。
2型糖尿人において、眠前11時頃の血糖値が100mg/dlくらいでも朝起きて測定すると、夜中に何にも食べていないのに、120~130mg/dlになることがあり、これを暁現象と呼びます。
「糖新生」自体は悪いことではありません。必要な機能です。
しかし、糖尿病等、なんらかの原因で過剰になってしまう事が問題なのです。
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その他が原因で「糖新生」で血糖値が高くなるケース
糖尿病じゃなくても、「糖新生」が過剰に起こってしまうケースがあります。例えば以下のようなケースです。
- カテコールアミンのですぎ
- 交感神経の優位(良くない感情)
これは私のようにスーパー糖質制限を行なっていて、糖尿病ではない人も注意が必要です。
『藤川徳美医師 Facebook 2015年7月20日』より引用
食事で糖質を摂らなくても、糖新生によってグルコースが作られます
低血糖になるとグルカゴンが分泌され、糖新生が行われます
興奮ホルモンであるアドレナリン分泌、ストレスホルモンであるコルチゾール(ステロイド)分泌も糖新生を促します
アドレナリン、コルチゾールは元々、ライオンや熊に襲われそうになった時などに分泌されるようになっているのだと思う
怒り、恨み、不安、恐怖、などのネガティブな感情は糖新生を促すということになる
糖新生はかなり個体差が大きいと考えられる
子供の頃の母子分離、虐待を受けるとネガティブ感情を惹起しやすくするため、糖新生反応を生じやすくなり、後々の精神病やガンの原因となり得る
逆に、笑いはがんを防ぐと言われている
常に穏やかでゆったりとした気持ちで過ごすことは過剰な糖新生を抑えるはず
また、睡眠不足も「糖新生」に影響を与えるようです。
『藤川徳美医師 Facebook 2015年11月12日』より引用
睡眠不足では交感神経が持続的に刺激された状態となります
交感神経が刺激されるとアドレナリン、コルチゾールが持続的に分泌されます
そうなると、血管が収縮して血圧が上がります
糖新生が亢進し血糖値を上昇させます
つまり、睡眠不足が改善すれば降圧薬は止めることもできるし、糖尿病薬も減らせるという理屈になります
このように、何をしたら血糖値が上がるのかを知っておくのも、糖質制限を上手く行なう為に必要です。
糖質制限中、糖新生で高血糖にならないように気をつけたいこと
タンパク質は体の材料です。従って、体の悪い部分を修復させる為には、タンパク質の摂取が不可欠になります。
しかし、修復の為にと思って摂取したタンパク質が「糖新生」にばかり使われてしまうこともあるわけです。・・・それは嫌ですよね。
糖質制限をしているのに、何故か血糖値が上がったり、太ったり、だるくなったり、眠たくなったり・・・と、糖質を取っている時と変わらない症状になったら、タンパク質による「糖新生」が起こっている可能性があります。
これが糖質制限に挫折する原因にもなるのですが、このような知識を知っているか知っていないかで全く違います。
回復の為に摂取した大量のタンパク質を、目的どおり修復に使う為に、私は以下の事に気をつけています。
- 脂質の摂取
- 一度に沢山食べるのではなく小分けにして数回で食べる
- プロテインであれば1度に30g以上を摂らない
1度にたくさん食べない・・・というのは、なんとなく理解できると思います。
では、脂質の摂取が「糖新生」とどう関係があるのかというと、
『新井 圭輔医師 facebook 2016年4月4日』より引用
『暁現象を抑える』---世紀の大発見かもしれない。
暁現象が観測される糖尿病患者さんたちの最近の早朝空腹時血糖が抑えられている
How? 『寝る前にバターを食べるそうである』
バター効果? 理論的には説明できそうです。糖新生は、本質的には、余剰タンパク摂取分をエネルギー源である脂肪に変換するためのものと私は信じています。
糖新生を促進する因子は、アミノ酸余剰量 生体には基本的にフィードバックシステムが働きます。最終産物である脂肪濃度の上昇率が糖新生に対して抑制的に働くことは十分に想定可能です。バターを摂取すると、血中中性脂肪濃度の増加率が上昇して、濃度も高くなれば、糖新生に対して負のフィードバックが働くことが考えられます。これは、世紀の大発見かもしれません。
糖新生の最終産物が糖ではなく、脂質であることが、脂質でフィードバックがかかると言う事実をもたらすのです。これはすごく興味深い知見です。
糖新生の本質が、余剰のタンパク摂取分をエネルギー源である脂質として蓄えるための仕組みというのは、現状では定説ではなく、私が唱える仮説です。しかしその仮説が真実である可能性を高めたのが、『脂質による糖新生の抑制』と言う観測事実なのです。とても意義深いものです。
私はスーパー糖質制限を始めた時から夜食にバターを摂っているので、「脂質による糖新生の抑制」には、なるほどと思ってしまいます。
そして、他の対策に、薬もあるのでちょっと紹介しておきます。
糖新生を抑える薬、メトホルミン
癌治療に糖質制限を取り入れる場合は、「メトホルミン」という糖尿病治療薬が使用されます。これは「糖新生」を抑える薬なので、タンパク質がブドウ糖に変換されません。
ブドウ糖は癌を育てるので、治療には、徹底した糖質制限に、点滴はブドウ糖がない「イントラリポス」、そして「メトホルミン」を使う・・・というわけです。
最後に
「糖新生」は必要な機能ですが、過剰になって高血糖になれば、当然体に悪影響が出ます。
なので、そうなる原因と解決策は一通り頭に入れておいた方がいいと思います。
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