- 投稿 2017/10/08
- 分かりやすいシリーズ
私はこれまで集めた情報や経験から、「糖質の摂取は控えた方が健康的だ」と思っています。
なので、これまでは「糖質がどのように体にダメージを与えるのか」・・・その具体例をお話してきました。
ただ、考えてみたら、具体的に「どのくらいだとセーフで、どのくらいから過剰になるのか」について詳しく書いた事はありませんでした。
従って、糖質をどのくらい控えた方が良いのか気になられている方は多いと思います。
一応、糖質制限にはいくつかパターンがあります。
- 山田悟医師の緩い糖質制限
・1食糖質20~40g
- 江部康二医師の糖質制限
・プチ糖質制限(1日糖質120~170g)
・スタンダード糖質制限(1日80~120g)
・スーパー糖質制限(1日30~60g)
- 釜池豊秋医師の糖質ゼロ食
・1日1食、糖質5g以下
どれを選ぶかは、その人その人によります。
私がしているのは、糖質量1日10g以下の糖質制限なので、この中だと「スーパー糖質制限」に近いかなと思っています。
何故私が一日10g以下にしようと思ったかというと、2008年に一度、主食を抜いただけの緩い糖質制限に失敗したからです。失敗の原因が糖質の減らし具合を緩めにした事にあったので、2回目は厳しくしようと思いました。
癌や難病の治療の場合は、徹底的に糖質を制限することを要求されるように、より効果を出したいのであれば、糖質量は少ない方が良いです。
ですが、何も疾患がなくて、そこそこ健康を維持したいのであれば、緩い糖質制限でも問題ないかもしれません。
また、体質的に、いきなり厳しい糖質制限ができない人もいるので、その場合、緩い糖質制限から始めて、少しずつ糖質量を減らして体を慣らしていく・・・という方法もあります。
・・・このように、様々なケースを知った上で、「自分に合った糖質の減らし具合(摂り具合)」を決めるといいのですが、この言い方だと曖昧ですね。
なので、もっと判断基準になるように、具体的に、人間の体にはどのくらいの糖質が必要で、どのぐらいの量から害になるのか・・・についてお話します。
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糖質が少しは必要な理由とは
過去に何度も言っているので、ご存じの方にはくどくて申し訳ないのですが、
糖質は過剰に摂ると害になりますが、「全く必要はない」わけではありません。
糖質は少しは必要です。
ただし、ここでいう「必要」というのは、世の中にいる「糖質は必要だ」と言って、糖質を食べるように勧めているマジョリティの人達とは意味合いが違います。
私の場合は、必要の量が極めて少ないですし、その上「必要だからあえて摂らなくて良い、それ以上摂ったら過剰摂取になる」という間逆の意見です。
このように、マジョリティの人達が考える「必要な糖質量」と、私のような糖質制限をしているマイノリティの考える「必要な糖質量」は違います。
基準が違うのだから、「少し」の感じ方も違うことになります。
なので、糖質制限をしている私の視点から、「必要な糖質量」と、「少し」の概念と根拠をハッキリさせておきます。
まず「人体に糖質が必要な理由」から説明します。
『低糖質ダイエットは危険なのか?中年おやじドクターの実践検証結果報告 糖質は大事な栄養素だからこそ、食べる必要はないのです。』より引用
糖質って、脳のエネルギーとしてとても重要な栄養成分です。それはまちがいありません。
ケトン体がいくら代替してくれるといっても、ケトン体が脳をサポートできるのは目いっぱい頑張って30%程度だと言われます。
geturinさんにご指摘いただきましたが、30%程度というのは3日程度の絶食時の話で、40日間の絶食時には(つまり筋肉を使い尽くして筋肉を用いた糖新生ができなくなった状態では)70%近くまでケトン体が利用されるという計算になるようです。この話で言いたかったこととは関係のない話なのですが、正確ではない記載をしてご迷惑をおかけしました。
残りはやはり、血中のブドウ糖が必要なのです。
ブドウ糖が一定濃度存在しないと、脳はうまく機能しませんし、ミトコンドリアを失った赤血球などは全く機能しません。血糖値が一定以上ないと、脳細胞も働かないし、赤血球も死んでしまいます。
さて、そんなに大事な糖質ですから「毎食50~60%の糖質を食べないと脳が働かなくなってしまいます、命にかかわります!」と、京都大学の某先生なんかは筋肉を誇示しながら世界一受けたい授業で熱弁しておられましたね。
んじゃあ、農耕文明が起こる以前の人類は果実の実る秋以外は脳が働かなくてぼーっとしてたでありますかあ?笑っちゃいますよねえ。
逆なんですよ。脳や赤血球にとってとても大事な栄養成分だからこそ、われわれは食べ続けなくても大丈夫なんです。食事から糖質を摂取しなくても、ほかに食べたたんぱく質や脂肪を使って糖質を生み出せるように、我々の体は設定されています。
大事な栄養素は、そのほとんどを我々が自分自身の体の中で作る仕組みになっているのです。糖質は、肝臓や腎臓での糖新生というプロセスで作るのです。
ポイントはここです。
>ブドウ糖が一定濃度存在しないと、脳はうまく機能しませんし、ミトコンドリアを失った赤血球などは全く機能しません。血糖値が一定以上ないと、脳細胞も働かないし、赤血球も死んでしまいます。
このように、「一定以上の血糖値」が必要なので、糖質が必要というわけです。
では、その「一定」について掘り下げて考えてみたいので、少し、血糖値の話にお付き合い下さい。
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血糖値とは
食事で「糖質」を摂ると、消化酵素の働きによって、「ブドウ糖」にまで分解されます。
糖質
↓
ブドウ糖
「ブドウ糖」は小腸で吸収されることで血液の中に取り込まれます。
すると、血液の中にブドウ糖が入るのですが、その「ブドウ糖の濃度」の事を「血糖 けっとう」と言います。
「血糖値」は、それを数値化したもので、「100cc(1dl)の血液の中に、どのくらいブドウ糖が含まれているか」を表しています。
ただし、冒頭でもお話したように、体は血糖値を「一定の濃度」に保っているので、食事をしなくても(糖質を食べなくても)、常に血中にブドウ糖は存在しています。
次は、血糖値の基準についてお話します。
血糖値の基準はバラバラ
「血液中にブドウ糖がどのくらい含まれているのか」、血糖値の基準についてお話します。
私は糖質制限をしていますが、糖尿病患者ではないので、血糖値についてはかなりアバウトに覚えていました。
しかし、今回記事を書くにあたり正確な数値を書かないといけないので、改めて調べてみると、(大した差ではありませんが)人によって言う事がバラバラなのです。
その原因は、学会ごとに基準が違うからでした。
『血糖値ナビ 血糖値の正常値の一覧表|血糖値異常の体への影響』より引用
血糖値の判断基準は学会ごとに違う
血糖値の判断基準は機関によって違いますので、血糖値に関する主要な2つの機関(日本糖尿病学会、日本人間ドック学会)が定める基準をご紹介します。要注意ラインの区分には違いがありますが、空腹時血糖値が126mg/dLを越えると異常(糖尿病)と判断される点では共通しています。
人間ドック学会の方が少し厳格な数値となっていますがこれは「異常を発見するための検査」で使う基準値である事も関係していると思われます。
こちらの記事を参考に、数値を確かめてみました。
まず、よく使われる「日本糖尿病学会」の基準です。
日本糖尿病学会の場合
参考:一般社団法人 日本糖尿病学会 糖尿病治療ガイド2016-2017(抜粋)
- 正常値・・・・空腹時(100未満)、食後(140未満)
- 正常高値・・・空腹時(110未満)、食後(140未満)
- 境界型・・・・空腹時(110~126未満)、食後(140~200未満)
- 糖尿病・・・・空腹時(126以上)、食後200以上
続いて、「日本人間ドッグ学会」です。こちらの方がシンプルです。
日本人間ドック学会の場合
- 基準範囲・・・(99以下)
- 要注意・・・(100~125)
- 異常・・・(126以上)
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基準が違う理由
基準値が異なる理由ですが、以下のように説明されていました。
『血糖値ナビ 血糖値の正常値の一覧表|血糖値異常の体への影響』より引用
糖尿病学会と人間ドック学会の基準値は違う?
糖尿病学会というのは、糖尿病の研究のために創設された団体であり「研究結果を臨床に還元」する事が目的となっています。こちらで出している数値は治療研究の中から設置された数値と言えます。
一方、人間ドック学会が出した報告は過去に人間ドックを受診した人のデータを元に肥満度や生活習慣や検診結果の数値から「健康と思われる人」のデータを抽出し、そのグループの数値の「分布範囲」から基準値を割り出しています。つまり「健康と思われる人の数値があるのはこの範囲である」事を示していますが「この範囲であれば健康である」と保障するものではありません。
健康診断で用いられる基準値と、実際の診断で用いられる基準は完全に同一ではありませんので検査の数字が問題無くても体調がおかしいと感じる事があれば医師に相談し、必要があれば追加の検査を受ける事も必要です。
また、血糖値の基準について探してみると、こんな意見もありました。
『All About 血糖値の正常値って、どの位のこと?』より引用
血糖値の「正常値」って?
初めて自己血糖測定をすると、あまりの変動の大きさに驚きます。
そこで血糖測定器の取扱説明書で正常値を調べてみると、なんとどこにも書いてありません。
なぜ低過ぎる、正常、高過ぎるを教えてくれないの?
耐糖能障害のない健康な人では、食後45~60分に血糖がピークになりますが、140mg/dlを超えることはあまりありません。そして、2~3時間後に食前値に戻ります。
日本糖尿病学会の血糖コントロール指標では、合併症予防の観点からHbA1cの目標値を7%未満にすると食前血糖値を140mg/dl未満、食後2時間血糖値180mg/dl未満をおおよその目安にしてます。
一般の病院の血液検査では食前(空腹時)のみに正常値(基準値)を70~110mg/dl未満に設定しているようですが、検査施設によって数値は変わることもあります。
以前は日本糖尿病学会の空腹時血糖値は80~110mg/dl未満が「優」の評価、100~130mg/dl未満を「良」と評していました。血糖管理目標は患者によって異なるのでこの区分けがなくなりましたが参考になると思います。
70mg/dl未満は低血糖のゾーンになります。
以上のことから、空腹時血糖値80~110mg/dl未満、食後2時間血糖値80~140mg/dl未満が正常値と考えられますね。食事療法と運動療法だけの人はこのベストスコアが目標値です。
基準が違うので、どれを参考にしていいか迷うところですが、
これらの情報を元に、「人間の血液に含まれるブドウ糖の量」について考えていきたいと思います。
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血液中に必要な糖質量は5g
「〇〇mg/dl」・・・等という数値を言われても、ピンと来ない方も大勢いると思います。血糖値を測る習慣がない人にとっては、あまり意識しない数字や単位だからです。
そこで、「血液中のブドウ糖濃度」がどのくらいだと好ましいのか、「血糖値以外の表現」で語られている記事を2つ紹介します。
『ケトン体が人類を救う 糖質制限でなぜ健康になるのか / 著者:宗田哲男』より引用
全血液中の糖質はティースプーン1杯
アメリカのデューク大学生活習慣医学クリニックの患者教育で教えられていることをご紹介しましょう。
ここでは、「スプーン1杯の砂糖」で教育です。
カロリーなんでどこにも出てきません。カロリー神話の国=日本の糖尿病教育では考えられないことです。
糖質制限は、今ではアメリカもイギリスも認め、スウェーデンでは国を挙げて取り組み始めています。
デューク大学のウェストマン准教授のクリニックの壁には、ティースプーン1杯の砂糖の写真が飾られており、その横には以下の文言が書かれています。
〇正常な全血液中の血糖値はスプーン1杯未満
〇健康な空腹時血糖値の上限は100mg/dl
〇ヒトの全血量はおよそ5ℓ
〇ティースプーン1杯で砂糖5g
さあ、計算しましょう・・・・・・
〇100mg/dl=1000mg/L → 5ℓの血中には5000mgの砂糖=ティースプーン1杯の砂糖
ウェストマン准教授は、たとえ1日20gに糖質を制限しても、なお体内血液中の4倍量に相当することを、つね日ごろから患者に教えているといいます。
「これは自分の血糖値と体内の全血量を知っていれば簡単に計算できますが、意外と認識されていない人体の科学です。通常のコカ・コーラ1本には、ティースプーン7杯分の砂糖が含まれています。毎日コカ・コーラを2ℓ飲んでインスリンを使用している患者がこれを知り、糖質を制限したところ、インスリンを打つ必要がなくなったという経験がありました。思慮深い患者にとってはこうした知識が最高の教育になる可能性があります」
同准教授は毎月患者が自由参加できるサポート会を開催し、糖質制限による食事療法の継続に尽力しています。我々も見習いたいものですね!
1日に糖質が170g必要と言っている日本糖尿病学会幹部がいますが、だいぶ違いますね。(メディカルトリビューン紙より)
(266p)
血糖値が一定以上ないと、脳細胞も働かず、赤血球も死ぬとのことでしたが、これを読むと、その量はごく僅かだという事が分かります。
ティースプーン1杯程度あれば十分なのです。
『ウェブ一丁目図書館 ブドウ糖は脳の唯一の栄養ではない!ケトン体こそ脳の主要エネルギーだ。』より引用
糖質過剰は血管にダメージを与える
ところで人間の血液中にはブドウ糖が含まれていますが、その量はどの程度かご存知でしょうか?
毎年、定期健診を受けている方なら血糖値の基準値を見たことがあるはずです。でも、その基準値が一体何を意味しているのかなんて、ほとんどの人が意識していないでしょう。おそらく多くの人が、単に基準値の範囲内だったから問題なしと、さらっと読み流し、その意味を考えていないと思います。
血糖値は、80~100mg/dlの範囲内に保たれているのが正常です。
この基準値は、血液1デシリットル(dl)当たり血糖(ブドウ糖)が80~100ミリグラム(mg)に維持されていなければならないということです。
1dlを100グラムとした場合、血液100グラムに対して血糖は0.08~0.10グラムが正常値となります。
つまり、血液の0.08%~0.10%しか糖質が含まれていないのです。
人間の血液の総量は4~5リットル程度です。
仮に5リットルとした場合、一人の人間の血液の中にはわずか5グラム程度しか糖質は含まれていないのです。
高血糖は体全体の細胞のダメージとなるため、これだけ低いレベルで維持されなければならないんですね。
茶碗一杯のご飯には55グラムの糖質が含まれています。実に血糖の10倍程度の量です。これを10分や20で食べ終わったら、多量の糖質が血管内に流れ込み危険な状況になることは容易に想像できるでしょう。
そのため、大量の糖質が血管内に入ってきたとき、すい臓からインスリンが追加分泌されて、血糖を血管の外に出します。そして、血管の外に出た血糖は、一部は筋肉にグリコーゲンとして貯蔵されますが、多くは脂肪細胞に取り込まれ中性脂肪に変わってしまいます。
糖質をたくさん摂取すると太ると言われているのは、こういうことなのです。
最初に言ったように、「少し」は人によって感じ方が違います。
「少ししか食べていない」
・・・と言いながら、茶碗にしっかりご飯をついでいる人は多いのですが、これを読むと、「少し」だと思っていた量が、実は全然少しじゃなかった事が分かると思います。
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血糖値120以上で免疫力が下がる
さて、ここで再び「血糖値」の話に戻します。
血糖値は下がりすぎたらダメですが、上がりすぎてもダメです。
高血糖は血管を傷つけますし、上がりすぎた血糖値を下げる為に、「インスリン」というホルモンが大量に分泌されるのですが、それによって「低血糖」になる場合があるからです。
しかも、それだけでなく、免疫力を下げてしまうのです。
血液は液体の部分の「血しょう」と、固形の「血球」に分けられます。
で、「血球」には、「白血球 はっけっきゅう」、「赤血球 せっけっきゅう」、「血小板 けっしょうばん」があります。
免疫機能は「白血球」のお仕事になります。
そして、ビタミンCで有名な「ライナス・ポーリング」博士が言うには、
血糖値が120を超えると、白血球の免疫力の75%が失われ、それが100%に戻るまでに5~7時間かかる。
・・・のだそうです。
残念ながら和訳にはなっていないそうですが、英語で検索すると沢山ヒットするそうなので英語の得意な方は調べてみて下さい。
一応、他の方が日本語で説明された記事を調べてみると、
白血球等の免疫系はブドウ糖に弱く、高血糖の環境だと活力を失ってしまうのだそうです。
それが120という数値なのです。
『横ちゃんのきまま日記 血糖値の上昇が免疫力の低下を招く』より引用
【糖は免疫システムを下げる】
これは何十年も前から知られて来たことです。 1970年代にはもう、研究者の間で、白血球が病原菌や細菌を貪食するためにビタミンCを必要としていることが分かりました。
白血球は、その周りと比べて50倍ものビタミンCを必要とするので、それを溜め込まなくてはならないのです。
「食細胞指数」と呼ばれるものがありますが、それは、特定のマクロファージ(大食細胞)やリンパ球がどのぐらい早く病原菌や細菌、ウイルス、がん細胞を食べてしまうか、ということを表す指標です。
1970年代に、白血球が大量のビタミンCを必要とすること、それは一般的な風邪と闘うために必要だということをライナス・ポーリング博士が発見しました。
グルコースとビタミンCが、似たような生化学的構造を持っていることは知っていますが、では糖レベルが上がるとどうなるでしょうか? それらは、お互いに細胞に入ろうと拮抗するのです。(競合阻害的)
ということは、血中に糖がたくさんあると、それだけ細胞に入れるビタミンCも少なくなるということです。
血糖値が120では、食細胞指数が75%も下がってしまいます。
ですから、砂糖と食べると、免疫システムがどれだけ下がるかを考えてみてください。
ここで我々は病気というものの根幹に少しだけ迫ることが出来ます。 どんな病気についてかは関係ないのです、普通の風邪であろうが、心血管疾患、ガン、骨粗鬆症であろうが、病気の始まりというのは、いつも細胞レベル、分子レベルで起こってくるということ、その場合、インスリンが病気の直接の原因になっているか、それに近いものである。
さらにこのようなことも書かれていました。
『横ちゃんのきまま日記 血糖値の上昇が免疫力の低下を招く』より引用
萩原 敦さんのFBより転載
~血糖値の上昇が免疫力の低下を招く~
(血糖値の数値から客観的な免疫力評価の数値を探る)
英語圏の文献で、我々の免疫力の客観的な評価をする場合に、lymphocytic index(リンパ球指数)とかphagocytic index(食細胞指数)なる指標を用い、血糖値の上昇値と関連付けて、記述されていることをよく見かける。
この「食細胞指数」や「リンパ球指数」という言葉自体、我が国ではあまり一般的ではないようです。
(中略)
たとえば、
「血糖値が120を超えると食細胞指数的な免疫力の評価をすると、約75%の免疫力がダウンする。」
この説は、ライナス・ポーリング博士が、はじめて世に知らしめた説だそうです。
ポーリング博士も研究に値する人物です。後日、改めて、彼についての言及もします。
つい先ごろ、比嘉さんという方のFBで、高血糖の赤血球を映像にして投稿されていましたが、その内容は、ひじょうに素晴らしいもので、血糖値が上昇すると、赤血球同士がくっついて、「連携を組み」、血管の中で、あろうことか、「血流をせき止め」、「血流を立ち往生」させることを示していました。
となると、免疫力の要である「白血球(食細胞やリンパ球他)」も「赤血球の通せん坊」にあい、免疫力を発揮できなくなる云々と述べていました。
この血糖値120と言う数値が、血流を悪化させる「赤血球通せん坊」作戦が、効果を発揮し、顕著になる数値(ボーダーライン)なんだろうと思います。
血糖値を120以上に上げたくないですが、ここでちょっと、血糖値の基準値を思い出して下さい。
「日本糖尿病学会」の正常値は、空腹時(100未満)、食後(140未満)
「日本人間ドック学会」の基準範囲は、(99以下)
「日本糖尿病学会」では、「糖尿病」という視点で考えられているので、食後血糖値が140未満までは正常とのことですが、「免疫機能」の面から考えるとアウトです。
このブログでは、「ご飯を中心におかずを食べる」日本人の食事スタイルは、糖質過多になると何度もお話してきましたが、おそらく日本人の多くは食事の度に血糖値が120を越えていると考えられます。
和食は素材の味を生かした料理だという嘘と、日本人が不健康な白米を止められないワケ
血糖値が120を超えると、白血球の免疫力の75%が失われ、それが100%に戻るまでに、5~7時間かかるのだとしたら、毎食ご飯を食べる人は、1日のほとんどの時間を、本来の免疫力の25%で乗り切っている・・・ということになります。
そのような食生活では、当然、感染症にも弱くなります。
インフルエンザ等の感染症の予防は食事が重要です。免疫力を弱らせる食品とは
そうならない為にも、血糖値を上げないように気をつけた方が良いのです。
というわけで、次は血糖値が上がる原因について簡単にお話します。
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血糖値が上がる原因
血糖値が上がる大きな原因は、ご存じの通り食事です。
ですが、それだけではありません。ネットで「血糖値が上がる原因」を調べるとこれだけ出てきます。
- ストレス
- 薬
- 睡眠不足
- 運動不足
- 肥満
- アルコール
- 飲酒
- 感染症にかかる
- 遺伝
- 加齢
- 炎症
- 疲労
「癌の原因」を彷彿とさせるぐらい、見ての通りなんでもありです。探したら原因がまだまだ出てきそうです。
ここまで多岐にわたると、「どうせ、何をしていても血糖値は上がるんだから食事なんて気をつけても意味ないでしょ」・・・と諦める人がでてきそうですね。
しかし、血糖値が上がる原因として、「食事から摂る糖質」の影響が大きい事には変わりありません。
食事に気をつける事に意味はあるのです。
糖質はどのくらい血糖値を上げるのか
血糖値が上がる原因は複数ありましたが、その中でも特に注意したいのが食事、それも「糖質を多く含む食材」です。
では、具体的にどのぐらいの糖質で血糖値が上がるのか・・・というと、それは、その人の健康状態によって違います。
□ 健康な人・・・・・・糖質1g で血糖値は1mg/dl 上昇する
□ 1型糖尿病患者・・・糖質1g で血糖値は 5mg/dl 上昇する
□ 2型糖尿病患者・・・糖質1g で血糖値は 3mg/dl 上昇する
このように、同じ「糖質1g」でも、上がる血糖値は、糖尿病の有る無しによって変わってきます。
例えば、ご飯茶碗一杯は約150gです。このうち糖質が55.3g含まれています。
これを計算すると、ご飯1杯食べると
- 健康な人・・55.3mg上昇する
- 1型糖尿病患者・・・276.5mg上昇する
- 2型糖尿病患者・・・165.9mg上昇する
・・・ということになります。
血糖値が上がると何が悪いのかというと、先ほどお話した「免疫機能の低下」の他に、「追加インスリン」の影響があります。
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β細胞から分泌されるインスリンの働き
「インスリン」は、上がった血糖値を下げる唯一のホルモンです。
作られる場所は、膵臓の「ランゲルハンス島」にある「β(ベータ)細胞」です。
「膵臓 すいぞう」は、胃の後ろにあります。
「ランゲルハンス島」は、膵臓の中に島状に存在しています。
この島は小さな細胞が集まっているのですが、拡大するとこんな感じです。
ランゲルハンス島の、「α(アルファ)細胞」、「β(ベータ)細胞」、「δ(デルタ)細胞」は、以下のような働きがあります。 ここでは太字にした「インスリン」に注目します。
- α細胞でグルカゴンを分泌・・・血糖値を上げる働き
- β細胞でインスリンを分泌・・・血糖値を下げる働き
- δ細胞でソフトスタチン・・・「インスリン」や「グルカゴン」の分泌を抑える働きがある
「インスリン」は多機能で、「糖質」の代謝だけでなく、「脂質」や「タンパク質」の代謝にも関わっています。
そのうち、ここで押えておきたい働きはこちらです。
- 血液中のブドウ糖を細胞に取り込ませる → エネルギーとして活用される
- 一部のブドウ糖は、グリコーゲン(貯蔵用で容量は少ない)に変換されて肝臓や筋肉にストックする
- 余分なブドウ糖を脂肪組織に取り込ませる(つまり太る)
要するに、血液中の糖を細胞内に取り込ませる事によって血糖値を下げている・・・というわけです。
なので、「インスリン」がないと、糖は血液中に余ることになります。その結果、高血糖になります。
インスリンの分泌量と糖尿病について
「インスリン」は、基本的に少しずつ一定量が一日中出ています。これを「基礎分泌(ベーサル)」と言います。
この「基礎分泌」によって、血液中のブドウ糖の量が常に一定に保たれている・・・というわけです。
「インスリン」は生きていく為に必要なホルモンです。
従って、「基礎分泌」がないと死にます。
そして、「インスリン」は、食事をして血糖値が上がった時には、大量に分泌されます。これを「追加分泌(ボーラス)」と言います。
このように、「インスリン」は、常に出ている「基礎分泌」と、食後に出る「追加分泌」とに分けられます。
ちなみに、「糖尿病」はインスリンに問題が起きて高血糖になる病気です。タイプは以下のように分けられます。
1型の糖尿病(患者の10%)
何らかの原因によって、膵臓のβ細胞が壊れてしまうことで、ほぼインスリンが分泌されなくなってしまった状態です
元が壊れているので「基礎分泌」も「追加分泌」もどちらも不足しています。
その為、体の外から「インスリン」を補給することが必須です。
2型の糖尿病(患者の90%)
2型糖尿病は、最初は「追加分泌」に問題が生じますが、病気が進行すると「基礎分泌」も障害を受けます。
「インスリンの分泌が少なくなる」、あるいは「体がインスリンにあまり反応しなくなる」状態です。
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インスリンのメリットとデメリット
「インスリン」は、適正量が出て作用されないと体にとって大問題なのですが、実は副作用もあります。多すぎると有害なのです。
インスリンは「肥満ホルモン」と揶揄されたりします。
インスリンには余分なブドウ糖を脂肪組織に取り込ませる働きがあるので、血糖値が上がって「追加インスリン」が出る程太ります。
ただし、私のように糖質をいくら食べても全く太らないタイプの人間もいます。
糖質を過剰摂取していた時代に検査をしなかったので断定はできませんが、太らなかった原因はインスリンに問題があった可能性大です。
しかし、こんなのは序の口です。こちらをご覧下さい。
『ドクター江部の糖尿病徒然日記 インスリンの功罪。』より引用
1)
基礎分泌インスリンは、ヒトの生命維持に必要不可欠です。
2)
スーパー糖質制限食でも、基礎分泌の2~3倍レベルのインスリンは分泌されますし、 追加分泌インスリンも必要不可欠です。
3)
インスリン注射で、1型糖尿病患者の命が助かるようになり、近年、寿命が延びてきました。
4)
過剰なインスリンは、酸化ストレスとなり、がん、老化、動脈硬化、糖尿病合併症、アルツハイマー病などのリスクとなります。
こんばんは。今回はインスリンの功罪について考察してみます。
インスリンには、24時間継続して少量出続けている基礎分泌と、糖質を摂取して血糖値が上昇したときに出る追加分泌の2種類があります。
タンパク質摂取でも少量のインスリンが追加分泌されますが、脂質摂取では、インスリンは追加分泌されません。
これでまず解るのは、食物を摂取していないときでも、人体の代謝には、少量のインスリンが必須ということですね。このインスリンの基礎分泌がなくなったら、人体の代謝全体が崩壊していきます。つまり、基礎分泌のインスリンがないと、全身の高度な代謝失調が生じ、生命の危険があります。
例えば「運動をしたらインスリン非依存的に血糖値がさがる」といっても、インスリン基礎分泌が確保されているのが前提のお話です。
もし、基礎インスリンが不足している状態で運動すれば、運動で血糖値はかえって上昇します。
また、肝臓で行っている糖新生も、基礎インスリンが分泌されていなければ制御不能となり、空腹時血糖値が300mg/dl~400mg/dl、或いはこれ以上にもなります。
また、糖質を食べて血糖値が上昇したとき、追加分泌のインスリンがでなければ、高血糖が持続します。高血糖の持続は糖毒といわれ、膵臓のβ細胞を傷害し、インスリン抵抗性を悪化させます。
(中略)
このようにインスリンは、生命の維持に必須の重要なホルモンであることが確認できました。
また近年、1型糖尿病患者の寿命は延びています。
以下、糖尿病ネットワークから一部抜粋。
http://www.dm-net.co.jp/calendar/2016/024725.php
1975年に米国で行われた調査では1型糖尿病患者の寿命は、健康人に比べて27年短いとされていました。
スコットランドのダンディー大学が2万4,691人の1型糖尿病患者を対象に行った調査では、20代前半の糖尿病患者の予想される平均余命は、健康な人に比べ男性で11.1年、女性で12.9年短いという結果になりました(2015年1月報告)。
このようにインスリンの使用法や種類が改善されたことで、1型糖尿病患者の寿命はかなり改善されてきています。インスリン注射が、おおいに役に立っているわけです。
一方で過剰なインスリンの害にはエビデンスがあります。
たとえ基準値内でも、インスリンの血中濃度が高いほど、アルツハイマー病、がん、肥満、高血圧などのリスクとなります。
また、高インスリン血症は、酸化ストレスを増加させます。酸化ストレスは、老化・癌・動脈硬化・その他多くの疾患の元凶とされていて、パーキンソン病、狭心症、心筋梗塞、アルツハイマー病などにも酸化ストレスの関与の可能性があります。
ロッテルダム研究によれば、インスリン使用中の糖尿人ではアルツハイマー病の相対危険度は4.3倍です。
Rotterdam研究(Neurology1999:53:1937-1942)
「高齢者糖尿病における、脳血管性痴呆(VD)の相対危険度は2.0倍。
アルツハイマー型痴呆(AD)の相対危険度は1.9倍。
インスリン使用者の相対危険度は4.3倍」
インスリン注射をしている糖尿人は、メトグルコで治療している糖尿人に比べてガンのリスクが1.9倍というカナダの研究もあります。
2005年の第65回米国糖尿病学会、
カナダのSamantha博士等が、10309名の糖尿病患者の研究成果を報告、
その後論文化。コホート研究。
「メトフォルミン(インスリン分泌を促進させない薬)を使用しているグループに比べて、インスリンを注射しているグループは、癌死亡率が1.9倍高まる。SU剤(インスリン分泌促進剤)を内服しているグループは癌死亡率が1.3倍高まる。」
Diabetes Care February 2006 vol. 29 no. 2 254-258
このようにインスリンの弊害を見てみると、インスリンは血糖コントロールができている限り少なければ少ないほど、身体には好ましいことがわかります。
別の言い方をすれば、農耕開始後、精製炭水化物開始後、特に第二次大戦後に世界の食糧事情が良くなってからの糖質の頻回・過剰摂取が、インスリンの頻回・過剰分泌を招き、様々な生活習慣病の元凶となった構造が見えてきます。
こちらの記事は、インスリンの良い面も悪い面も伝えていてフェアかなと思います。
>たとえ基準値内でも、インスリンの血中濃度が高いほど、アルツハイマー病、がん、肥満、高血圧などのリスクとなります。
・・・の「癌」について補足です。
記事の冒頭で糖質制限のパターンをいくつか紹介しました。
どの糖質量を選択するのかは、その人の体質や何を目標にするかによって様々ですが、もし癌の治療をする場合は、追加インスリンを出さない糖質量がポイントになります。
それがどのくらいの量なのかというと、5g以下だそうです。
『facebook 藤川徳美医師 2015年1月10日』より引用
釜池先生によると、10gの糖質負荷にて追加インスリンは出るが、5gの糖質負荷では追加インスリンは出ない、すなわち追加インスリンを出さない5g以下が本来のヒトの食事だそうです
インスリンは血糖コントロールができている限り、少ないほど健康には良いのです。
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人間の体に必要な糖質量を分かりやすく説明
ここまでを整理します。
人間に糖質は必要ですが、その量は僅かです。
人間の血液は4~5ℓ。
その全血液に含まれている糖質量は、小さじ1杯程度(5g)です。
血糖値を上げるのは主に食事、糖質です。血糖値を測定するのが面倒な人は以下を参考にして下さい。
- 健康な人・・・・・・・糖質1g で 1mg/dl 上昇
- 1型糖尿病患者・・・糖質1g で5mg/dl 上昇
- 2型糖尿病患者・・・糖質1g で3mg/dl 上昇
ちなみに、ご飯茶碗一杯は約150gで、糖質は55.3g含まれてているので、ご飯を1杯食べるとこうなります。
- 健康な人・・・・・・55.3mg上昇
- 1型糖尿病患者・・・276.5mg上昇
- 2型糖尿病患者・・・165.9mg上昇
免疫系はブドウ糖に弱いので、血糖値が120mg/dl以上になると、免疫力の75%が低下します。
そして、高血糖になると、それを下げる為に「インスリン」が追加されるのですが、その量が多ければ多い程、慢性疾患になるリスクが増えます。
「追加インスリン」を出さない糖質量は5g以下です。
以上のような、体の中で起こる現象を元に、食べている糖質が多いか少ないかを判断すると良いのではないでしょうか。
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