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重度の花粉症の人も糖質制限や栄養療法で改善できる

この春で糖質制限を始めてからまる3年になりました。

 

 

 

糖質制限によって体質が改善して、様々な不調が改善しましたが、花粉症もその一つです。

 

 

 

これは、最初の年に治りました。

 

 

 

ちなみに、私の花粉症はスギではなく、9~10月頃のブタクサでした。これが半年も経たないうちに治ったのです。

 

 

 

その年だけではなく、翌年も、その翌年も全く花粉症にはなりませんでした。

 

 

 

完治です。

 

 

 

それまでも健康に気をつけていましたが、何をやっても改善しなかったので嬉しかったです。

 

 

 

でも「糖質制限で花粉症が治った」という話はわりとよく聞く話です。

 

 

 

完治する場合もあれば、症状が軽くなる場合もあります。それは、糖質をどれだけ制限したか・・・にもよるでしょう。

 

 

 

私は、1日の糖質量が10g以下なので、制限としては厳しい方です。これで完治しましたが、もし制限が緩かったらどうなっていたか分かりません。

 

 

 

 

 

 

こちらの記事では、「ブタクサの花粉症が治った」という話はしましたが、「何故、糖質制限をすると花粉症が改善するのか」・・・というメカニズムについては追求していませんでした。

 

 

 

なので今回は、花粉症を始めとしたアレルギーが何故糖質制限で治るのか、そして、花粉症を改善する為に必要な栄養の話をします。

 

 

 

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アレルギーは根本的な原因を取り除いて完治させることを目指すべきである

 

 

花粉を避けたり、症状を抑えたりする対策が人気です。

 

 

 

しかし、将来的な事を考えると、原因を枝葉の物質に求めてそれを叩くのではなく、本質を理解し改善するという発想が大事です。

 

 

 

 

「花粉症」等、なんらかのアレルギー症状がある人は、別のアレルギーにもなりやすいです。

 

 

 

それは、アレルギー物質は異なっても「アレルギー反応のメカニズム」は同じだからです。

 

 

 

「今は花粉症だけ」・・・という人も、アレルギーになる土壌が体の中に整っているわけですから、別のアレルギー予備軍と言えます。

 

 

 

つまり、不健康です。

 

 

 

その為、アレルギーが起こる本質的な問題を解決していくことが重要なのです。

 

 

 

 

目に見えない小さい異物を避けようとしたり、クスリで一つ一つを叩くより、効率もいいですし、無駄な時間やお金を使わなくて済みます。

 

 

 

それに、一生懸命異物を避けたところで、それは本当の原因ではありません。

 

 

 

花粉症の本当の原因は花粉ではない

 

 

花粉は「原因」ではなく「キッカケ」です。

 

 

花粉が原因だと過程した場合、辻褄の合わない事がでてきます。

 

 

まず、その事を表した話を紹介します。

 

 

 

『アレルギーの9割は腸で治る クスリに頼らない免疫力のつくり方 / 著者:藤田紘一郎』より引用

 

―スギ花粉は昔のほうが多かった!

 

 

スギをはじめヒノキ、ブタクサ等さまざまな植物の花粉がアレルゲンとなって、くしゃみや鼻水、目のかゆみなどを起こす花粉症は、どんどん低年齢化が進んでいます。

 

 

その背景には、大気汚染による免疫増強因子の増加や、都市化および住環境の変化、スギの植生・花粉飛散量の増加など、さまざまな因子が関与していると言われてきました。

 

 

でも本当にそうでしょうか。

 

 

大気汚染はフィルターなどの技術のない昔のほうがひどく、スギ花粉だって昔から飛んでいます。

 

 

その頃に花粉症になる人はほとんどいなかったのですから、これらの理由は少し説得力に欠けます。

 

 

私は回虫をはじめとする「寄生虫感染率が急減したこと」が大きな要因だと考えています。

 

 

私が子どものときは、みんなスギ花粉まみれでした。

 

 

スギ鉄砲といって、竹筒でスギの実をパチンと撃つ遊びのために、花粉でまっ黄色になりながらスギの実をたくさん拾い集めたものです。

 

 

女の子に「金髪にしてあげるよ」と言って、花粉を髪の毛いっぱい塗ってあげたこともあります。

 

 

女の子にモテたい一心で編み出した遊びですが、女の子にも非常に喜ばれました。

 

 

私たちの時代は、誰も彼もそんなふうにスギ花粉まみれでしたが、子供たちは誰も花粉症にはなりませんでした。

 

 

 

(49p~51p)

 

 

 

 

 

もし原因が花粉なら、昔の子供達の方が花粉症が多いはずですが、花粉症の歴史は浅く、日本で報告されたのは1961年だそうです。

 

 

 

 

ちなみに、ティッシュペーパーが開発されたのは第一次大戦中です。アメリカで一般向けに販売されたのは1924年、日本では1953年に発売が開始されています。

 

ティシュペーパーがない時代に花粉症があったら大変だったでしょうね...。

 

 

花粉が原因ではないとしたら、本当の原因は何なのか...

 

 

次はその事についてお話します。

 

 

 

 

花粉症の原因は栄養失調

 

 

 

糖質制限で花粉症が治ったという話をしましたが、治るには理由があります。

 

 

 

アレルギーを引き起こす物質である「抗原(花粉)」はキッカケ、花粉症を始めとしたアレルギーの本当の原因は「質的な栄養失調」です。

 

 

 

「質的な栄養失調」とは、以下のような状態を指します。

 

 

 

糖質過多・タンパク質不足・脂質不足・ビタミン不足・ミネラル不足

 

 

 

 

「栄養はバランスが大事」・・・と言って、「食事バランスガイド」をお手本に食べると必ずこうなります。

 

 

 

ほとんどの人が質的な栄養失調ですが、

 

 

中でも特にいけないのが糖質過多です。

 

 

 

「バランスの良い食事」では、穀物や野菜の摂取量が多めになります。

 

 

 

意識していない人も多いと思いますが、普通にご飯と和食のおかずを3食食べている人は、1日の糖質量が200g近くになります。

 

 

 

ちなみに糖質制限をする前の私は、230~260gの糖質を摂っていました(お菓子ばっかり、菓子パンばっかり...という暴飲暴食をしていたわけではありません。ご飯に野菜を中心としたバランスの良いメニューを食べていてこうなりました)。

 

 

 

しかし、1日に必要な糖質量はごくわずかです。200gはとんでもないです。

 

 

 

 

 

 

 

 

このような食生活は、動物食性動物である人間の体には負担が大きすぎます。

 

 

 

これだけ沢山の糖質を摂ったら、体の中で色々と問題が生じます。

 

 

 

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血糖値の仕組み

 

 

 

糖質はどのようにしてアレルギーの原因になるか説明していきます。

 

 

その為には「血糖値を調節する仕組み」を知らなくてはなりません。

 

 

 

血糖値は「血液中のブドウ糖の濃度」のことで、これを調節しているのが「上がった血糖値を下げるホルモン」と、「下がった血糖値を上げるホルモン」です。

 

 

 

  • 血糖値を下げるホルモン

 

  • 血糖値を上げるホルモン

 

 

 

 

血糖値を下げるホルモンは「インスリン」です。

 

 

「膵臓」の「ランゲルハンス島」の「β細胞」から分泌されます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

インスリンは、少量が常に分泌されています。これを「基礎分泌」と言います。

 

 

 

「基礎分泌」は、生命の維持に必要です。

 

 

 

そして、食事等で血糖値が上がった場合は、さらに追加で分泌されます。これを「追加分泌」と言います。

 

 

 

「追加分泌」は、多い程有害です。病気の原因になるので、「追加分泌」を出さないのが健康的です。

 

 

 

 

 

 

 

血糖値を下げるホルモンは、「インスリン」だけです。

 

 

 

一方、血糖値を上げるホルモンは数種類あります。以下が血糖値を上げるホルモンとそれが作られる場所です。

 

 

 

  • グルカゴン(膵臓のランゲルハンス島・a細胞)

 

  • 甲状腺ホルモン(甲状腺)

 

  • 成長ホルモン(脳下垂体)

 

  • アドレナリン(副腎髄質)

 

  • コルチゾール(副腎皮質)

 

 

 

人間以外の生物もこのように「血糖値を下げるホルモン:1」に対して「上げるホルモン:複数」です。

 

 

 

生物は血糖値を下げることは得意ではないということです。

 

 

 

 

『炭水化物が人類を滅ぼす【最終解答編】 植物vs.ヒトの全人類史 / 著者:夏井睦』より引用

 

 

 

生物の体は、多数のホルモンが生体機能を調節することで恒常性を維持しているが、特徴的なのは、拮抗ホルモンが必ず存在することだ。

 

 

タンパク質でいえば分解ホルモンと合成ホルモンの両方があり、またそれぞれに、1種類ではなく複数のホルモン群が機能している。

 

 

拮抗ホルモンが存在する理由は、一つの機能が暴走しないためのセーフティーネットであり、また、同じ機能のホルモンが複数存在する理由は、一つのホルモンに異常が起きても機能がストップしないためのバックアップシステムだ。

 

 

ところが、血糖調節(降下)に関連するホルモンだけが、この原則から外れていて、バックアップシステムが存在しないのだ。

 

 

血糖を上昇させるホルモンにはグルカゴン、コルチゾール、アドレナリン、甲状腺ホルモン、成長ホルモンの5種類が存在し、脳が血糖値低下を感知すると、副腎、膵臓、下垂体、甲状腺に働きかけ、副腎はアドレナリンとコルチゾールを、膵臓はグルカゴンを、下垂体は成長ホルモンを、そして甲状腺は甲状腺ホルモンを分泌し、血糖値をすばやく正常値に戻す。

 

 

つまり、5種類のホルモン分泌が全てストップでもしない限り、低血糖状態が続くことはない。

 

 

低血糖に対してはまさに鉄壁の備えである。

 

 

だが、高血糖に対する対策は超手薄だ。

 

 

何しろ、ホルモンは「インスリン」たった1つしかないのだ(これはヒトだけでなく他の生物でも同様)。

 

 

つまり、血糖降下機能に関してはバックアップシステムがなく、もしインスリン分泌に異常が起きたら、血糖値を下げる手段はないのである。

 

 

あなたが天地創造の神なら、こんな間抜けで脆弱な生物を創るだろうか。

 

 

これは前著でも書いたが、この血糖調節ホルモン数のアンバランスぶりをたとえていえば、アクセルが5つあるのにブレーキは1つしかない車みたいなものである。

 

 

このような車を運転する時、あなたはブレーキを踏みまくるだろうか?

 

 

しないはずだ。

 

 

1つしかないブレーキが壊れたら、車を止める手段がなくなるからだ。

 

 

ヒトやペットが容易に糖尿病になるのは、1つしかないブレーキを踏みまくっているからに他ならない。

 

 

それでは、血糖を下げるホルモンは1つしかなく、高血糖という危機的状況に対する備えがお粗末なのはなぜか。考えられうる理由は1つしかない。

 

自然界では血糖値が低下することはあっても、血糖が上昇することはありえない状況だからだ。

 

 

だから生命体は、起こりうる低血糖を予測して、鉄壁の「血糖上昇システム」を予め組み込んでおいたが、一方、血糖の上昇は絶対に起こらない現象なので、「血糖降下システム」は準備しなかったのだ。

 

 

沖縄の住宅に暖房設備がなく、アラスカの住宅にクーラーがないのと同じだ。

 

 

(65~67p)

 

 

 

1つのブレーキ(インスリン)に、

 

 

5つのアクセル(グルカゴン、甲状腺ホルモン、成長ホルモン、アドレナリン、コルチゾール)。

 

 

 

アレルギーは、このうちの「コルチゾール」が出なくなることが影響しています。

 

 

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血糖値を上げるコルチゾールとは

 

 

「コルチゾール」の別名は、「ヒドロコルチゾン」です。

 

 

 

このコルチゾールは、「副腎皮質 ふくじんひしつ」から分泌されます。

 

 

 

その場所ですが、まず腎臓があります。

 

 

 

 

 

で、その上にある小さいのが「副腎」です。

 

 

 

 

「副腎」は、ホルモンを分泌する器官の1つです。

 

 

 

 

 

 

「被膜」の中の構造は、外側の「副腎皮質 ふくじんひしつ」と、内側の「副腎髄質 ふくじんずいしつ」の2層になっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして、外側の「副腎皮質」の構造は層です。

 

 

外側から「球状層 きゅうじょうそう」「束状層 そくじょうそう」「網状層 もうじょうそう」と言います。

 

 

 

 

 

コルチゾールは、「束状層」から分泌されます。

 

 

ちなみに、血糖値を上げるホルモンである「アドレナリン」は「髄質」から分泌されます。

 

 

 

 

 

そして、コルチゾールの働きを一部紹介します。

 

 

 

  • 糖新生(糖質以外の物質からブドウ糖を合成する)

 

  • タンパク質代謝

 

  • 脂質代謝

 

  • 抗炎症作用

 

  • 神経系に作用する

 

 

 

 

このうちの「抗炎症作用」に注目して下さい。

 

 

 

糖質が原因でアレルギーになる

 

 

 

糖質を摂取すると血糖値が上がります。

 

 

まず上がりすぎた血糖値を下げるために「インスリン」が分泌されます。

 

 

 

インスリンが出て血糖値が下がるのはいいですが、下がりすぎた血糖値を上げなければいけないので(下がりすぎの方が危険)、その為のホルモンが分泌されます。

 

 

 

当然、「コルチゾール」も分泌されます。

 

 

 

 

上がった血糖値を下げるために、過剰にインスリンが分泌されると「膵臓」が疲弊することはよく知られています。

 

 

同じように、下がった血糖値を上げる為に、過剰にコルチゾールが分泌されると「副腎」も疲弊します。

 

 

 

日常的に糖質を摂取する人はこれの繰り返しです。主食を食べる人は1日3回です。

 

 

 

その結果、「コルチゾール」が出なくなります。

 

 

 

 

「コルチゾール」には抗炎症作用があるので、これが出なくなるとアレルギー物質に対応できなくなります。

 

 

 

対策は、糖質を制限して副腎を疲れさせない事です。

 

 

 

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副腎の疲労と免疫システムの関係

 

 

 

副腎が疲労するのは、糖質だけではなくストレスも関係しています。

 

 

副腎が疲労した場合、免疫システムに与える影響が以下の記事に分かりやすく書かれています。

 

 

 

『病気の治療所 副腎疲労症候群とアレルギー疾患の関係』より引用

 

 

 

アレルギー症状がある人は副腎が弱い

 

 

上記のことをもう少し詳しく述べていきます。

 

 

アレルギー症状がおこるメカニズムは、脳が大きく関与しています。体に異物が侵入してきたと判断した際に、脳は、「ヒスタミンなど異物に攻撃を仕掛ける物質」を放出するように命令します。

 

 

特に、過去に病気になったり、過度のストレスを受けたりした人は、副腎が弱り体内が臆病になっているため、体を異物から守るためにヒスタミンなどの物質が過剰に放出されます。

 

 

ヒスタミンなどが放出されると、異物を処理する際に炎症反応がでます。このことを一般的にアレルギー症状といいます。

 

 

ここでヒスタミンについて簡単に説明します。

 

 

①動物の細胞内に広く存在する化学物質である

 

 

②普段は細胞内でおとなしくしているが、アレルゲンや長期にわたる薬の服用により活性化する

 

 

③血管を拡張させ、アレルゲンに対応する白血球などを患部に集めやすくする

 

 

④ヒスタミンの作用により、白血球はアレルゲンを攻撃することで炎症症状がでる

 

 

このように、異物が体内に入ってきた際に、脳の命令により放出される物質がヒスタミンです。

 

 

ただヒスタミンが過剰に活性化されるとアレルギー症状の原因となります。

 

 

 

副腎疲労がさらに副腎を疲弊さす

 

 

アレルギー症状がでる原因の1つに、ヒスタミンが関係することはお伝えしました。

 

 

そのヒスタミンの放出量は、副腎の疲弊の度合いと関係します。

 

 

副腎が疲弊していると体は臆病になるため、必要以上のヒスタミンを放出し、アレルゲンから体を守ろうとします。

 

 

しかし、ヒスタミンが多く放出されると炎症反応が強くでます。

 

 

そこで、ヒスタミンの放出量を調整しているのが、副腎が造るコルチゾールです。

 

 

皮肉にも副腎が弱るとヒスタミンが多く放出され、またそのヒスタミンの量を調節するために副腎がコルチゾールを造らねばならず、副腎は更に疲弊してしまいます。

 

 

そして、このような状態が続くと副腎が造るコルチゾールの濃度・質が低下してしまい、ヒスタミンの分泌量をコントロールできなくなります。

 

 

そして、ヒスタミンが過剰に放出されてしまい、アレルギー症状を抑えられなくなります。

 

 

 

 

以下は、副腎と「自己免疫疾患」の関係についてですが、「アレルギー」と同じように免疫システムの異常で起こる疾患なので、アレルギーと共通する部分もあります。

 

 

 

『病気の治療所 副腎疲労症候群と自己免疫疾患の関係』より引用

 

 

副腎が造るコルチゾールの濃度・質が低下すると、白血球に属するリンパ球やナチュラルキラー(NK)、またはマクロファージなどの異物と戦う物質の働きをコントロールできなくなります。

 

 

その結果、免疫が過剰になったり低下したりします。

 

 

免疫のコントロールができなくなることから、慢性の炎症症状が続いたり自己免疫疾になったりすることがあります。

 

 

ここでは、副腎疲労症候群と自己免疫疾患について述べていきますが、その前に副腎疲労症候群と「慢性の炎症体質」の関係を先にお読みください。

 

 

悪さをしない細菌・ウイルスも攻撃してしまう

 

 

副腎が健康であれば、白血球は体に宿っている細菌・ウイルスに対し一定の許容量を設定しています。

 

 

例えば「ある細菌が5000匹に増えたら攻撃しよう」とか「あるウイルスが30000匹に増えたら攻撃しよう」など、設定以上に細菌・ウイルスが増えないか監視をして、数を安定化させる働きをしています。

 

 

しかし、副腎疲労症候群になると、白血球の働きをコントロールすることが難しくなります。その結果、体を守ろうという働きが強まり、細菌・ウイルスに対して過剰な攻撃を仕掛けてしまいます。

 

 

上記したように、「ある細菌が5000匹になったら攻撃しよう」という設定が狂いだし、例えば細菌が2500匹という少ない数にもかかわらず攻撃を開始します。

 

 

また、腸内細菌など体内のいたる場所に常在している細菌・ウイルスは、通常は体に対して炎症を引き起こすような悪さをしません。

 

 

しかし、副腎が弱って白血球のコントロールが乱れると、その常在菌に対しても攻撃を仕掛けてしまいます。

 

 

 

その証拠に、最近特に増えている自己免疫疾患に潰瘍性大腸炎があります。

 

 

この症状は過剰になった白血球が腸内に宿っている細菌・ウイルスを攻撃してしまうことで発症します。

 

 

(中略)

 

 

最近、自己免疫疾患が急増しています

 

 

私は長い間、副腎疲労症候群を診てきましたが、最近特に多い症状が潰瘍性大腸炎です。その他にも、原因不明の関節炎や線維筋痛症(せんいきんつうしょう)があります。

 

 

潰瘍性大腸炎では、大腸に常在する腸内細菌を白血球が敵と勘違いして、攻撃を仕掛けてしまいます。

 

 

そのことにより、正常な腸壁の細胞に傷がつき、出血を伴います。人の体の免疫を担う白血球の約70%は、腸に存在しているといわれています。

 

 

「腸管免疫説」を唱えている方々は、「免疫の中心は腸である。腸をきれいに! 腸内細菌がすべてである!」など、腸の大切さを訴えています。

 

 

しかし、免疫(白血球)70%が存在している腸になぜ、クローン病や潰瘍性大腸炎の病気が発症するのでしょうか?

 

 

免疫が強いなら、そのような病気には罹らないはずです。

 

 

しかし、上記したように、クローン病や潰瘍性大腸炎は増加の一途です。

 

 

なぜ、そうなるのかというと、免疫が強すぎ、過剰になっているからです。

 

 

 

しかし、そのことが分からず、世間では「免疫力を上げるサプリメント」や「免疫力を上がる食事法」など、免疫を上げましょう! の大合唱です。

 

 

免疫は下がり過ぎても上がり過ぎても健康は維持できません。

 

 

ちなみに、「腸管免疫説」を唱える人達は、「腸に悪いから動物性食品を控えろ」と言ったり、反対に、食物繊維が多いから野菜を食べるようにすすめてきます。

 

 

しかし、現在の野菜は品種改良されて糖度が高くなっています。

 

 

食物繊維を目的に野菜をバクバク食べると、確実に高血糖になってインスリン、コルチゾール等が大量に分泌されます。

 

 

元、野菜をたくさん食べていて糖質過多の症状があちこちに出ていたので断言します。

 

 

野菜には糖質が含まれているので、油断して食べると糖質の悪影響を受けます。

 

 

私はスーパー糖質制限で花粉症が治りましたが、それまではバランスの良い食事でした。内容は野菜多めに、肉よりも魚介類や甲殻類が多かったです。

 

 

食品添加物や遺伝子組み換え食品を避けたりしていたのですが、それでも花粉症が楽になったことはありませんでした。

 

 

 

野菜を食べていてもこれです。

 

 

糖質過多による副腎の疲弊から免疫システムはおかしくなります。

 

 

 

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花粉症対策はサプリメント

 

 

私は糖質制限だけで花粉症が完治したので問題はないのですが、世の中には糖質を制限できない人もいます。

 

 

 

ここからは、そんな人達がどうやったら花粉症の症状が楽になるかについて話をします。

 

 

方法は不足している栄養素をサプリで補う事です。

 

 

ただ、これは私が試していないので理論中心です。

 

 

花粉症の改善に有効的だと思われる栄養素がこちらです。

 

 

 

 

  • タンパク質

 

  • ビタミンD

 

  • ビタミンA

 

  • 亜鉛

 

 

 

理由を順番に説明していきます。

 

 

 

タンパク質

 

 

タンパク質は体の材料なので、これが少ないと、どんな健康法も効果が落ちます。

 

臓器だけでなく、「免疫細胞」もタンパク質でできています。

 

そして、化学反応を進める「酵素」もタンパク質です。

 

 

ビタミンやミネラルを摂取する前に、タンパク質をしっかり摂っている事が前提です。

 

 

 

ビタミンD

 

 

免疫システムに不可欠でアレルギーが劇的に改善する...と言われているのがこのビタミンDです。

 

 

ビタミンDには、免疫の過剰反応を抑える働きがあります。

 

 

最近、「ビタミンDのサプリメントで花粉症が治った」という話をネットや本等で見聞きする事が増えました。

 

 

私も花粉症があったら試してみたいですが、既に完治してしまったので試せません。

 

 

ビタミンDは、日光を浴びて自分の体で合成することができますし、食事からも摂取することができます。

 

 

しかし、疾患に効果がある程の量を毎日補うとなると大変です。なので、サプリメントからの摂取が圧倒的に効率が良いです。

 

 

 

成人男性は、1日に3000IU~5000IUのビタミンDを消費するそうです。

 

 

 

「IU アイユー」とは脂溶性のビタミンに用いられる単位です。現在は「μg マイクログラム」が使われています。

 

1μg = 40IU

 

 

 

 

以下のような注意点もあります。

 

 

『サーファーに花粉症はいない / 著者:斉藤糧三』より引用

 

 

ただし、次の3つの病態については、ビタミンD補充を注意すべきです。

 

 

・サルコイドーシスなどの肉芽腫性疾患(石灰化を助長するおそれあり慎重投与)

 

 

・リンパ腫、ライム病、腎臓病など高カルシウム血症をきたす疾病(血中カルシウム濃度の増大のおそれあり)

 

 

・ヒドロクロロチアジド(利尿剤)服用時(血中カルシウム濃度の増大のおそれあり)

 

 

(122~123p)

 

 

 

 

ビタミンA

 

 

「ビタミンD」を摂取する場合は、「ビタミンA」を意識して摂取すると良いです。

 

 

同時に使う事で効果が高まるからです。

 

 

 

『花粉症は1週間で治る! / 著者:溝口徹』より引用

 

 

ビタミンAはビタミンDの受容体に結合することが知られ、以前はビタミンDの作用を減弱させるのではないかと考えられていましたが、実際にはビタミンDとビタミンAを同時に使う事によって互いの効果を高め合うことがわかりました。

 

 

 

 

ビタミンAはビタミンDの受容体に結合...については以下に詳しく書いてあります。

 

 

 

 

『サーファーに花粉症はいない / 著者:斉藤糧三』より引用

 

ビタミンDは通常、脂肪や肝臓に備蓄され、血液中に放出されるのですが、充足していない場合、ビタミンD摂取後6時間くらいで血中濃度が下がってしまいます。

 

 

そのため、飲み始めは1回に4000IU摂取しても、数時間で鼻づまりが戻ってくるのでした。

 

 

「1日1万IU以下の摂取で異常があった報告はない」とあったので、1日2回4000IUずつ摂取しました。

 

 

1週間、2週間するうちにだんだん、“切れてきた”(血中濃度が低下した)時の症状が軽くなっていったのでした。

 

 

3週間くらいで、波がなくなったので、1日1回4000IUに減量しました。

 

 

ちょうどそのくらいの時期に、夜間、雨の自動車運転時に、車線などがとても見えにくくなることを自覚しました。

 

 

また、とても目が乾くという症状が現われました。

 

 

私は栄養療法を専門にしていたので、ビタミンA欠乏症による夜盲症と眼球乾燥症状とわかりました。

 

 

しかし、私はビタミンAはサプリメントから1日5000IU日常的に摂取していたので、欠乏ではなくて、ビタミンAとビタミンDの細胞が核の受容体を共有していることによる、相対的な欠乏と理解しました(これに関しては、充分に解明されておらず、現時点ではあくまで仮説です/124ページ「コラム7」参照)。

 

 

(19~21p)

 

 

ちなみに、そのコラムがこちら。

 

 

ビタミンD摂取時の相対的ビタミンA欠乏にご注意!

 

 

プロローグで私自信の経験としても述べましたが、ビタミンDのサプリメントを摂取すると、相対的なビタミンA欠乏症、具体的には夜に目が見えにくくなる夜盲症や、眼球結膜の乾燥(ドライアイ)の症状が出ることがあります。

 

 

ビタミンA欠乏の症状として、夜盲症は有名ですが、ドライアイはあまり知られていません。

 

 

ビタミンAは、皮膚や目の角膜などのターンオーバー(新陳代謝)に必須のビタミンで、欠乏すると上皮の機能低下が起こります。

 

 

目の場合は、眼球の乾燥感として自覚されます。

 

 

その他、ビタミンA欠乏で起こる身近な病気といえば、ニキビです。ニキビの中でも、いわゆる「白ニキビ」。ちゃんとした皮脂腺が形成されない。角質のターンオーバーが適切でない。これらが重なって皮脂腺がつまることで起こるニキビ。

 

 

その原因もビタミンA欠乏です。

 

 

また、目の中の遇角で房水の通りが悪くなることで、眼圧が上がるのが緑内障ですが、ビタミンA欠乏による遇角機能の異常を指摘する医師もいます。

 

 

 

ところで、ビタミンAはニンジンなどに含まれるβカロテンから体内で合成できることになっているので、一般的には欠乏は起きないことになっています。

 

 

しかし実際は、βカロテンからビタミンAの合成がうまくできない体質の方がいることがわかっています。

 

 

またビタミンAを豊富に含有している食品は、レバーやウナギなど、あまり日常的に摂取されない食材なので、実はふだんの生活で気付かないうちにビタミンA欠乏になっていることは少なくありません。

 

 

しかし、この認識は一般的ではないので、市販のサプリメントにもβカロテンは入っているけれど、ビタミンAは入っていないことが、ほとんどです。

 

 

 

当時、私は自分の設計したサプリメントを摂っていて、1日5000IUのビタミンAを摂取していました。

 

 

ビタミンA欠乏になるはずはないので「なんで目が乾くのだろう?」と不思議に思いました。

 

 

ビタミンDの副作用を調べても、夜盲症やドライアイについては触れられていません。

 

 

実は脂溶性ビタミンであるビタミンAとビタミンDは、核内受容体といって、どちらも細胞の核の部分に直接届いて仕事をするスーパーファミリーと呼ばれていて、そのメッセージを受け取るところが共通です。

 

 

つまり、受容体(レセプター)が共通なのです。

 

 

その結果、ビタミンDが受容された分、ビタミンAがレセプターに受容してもらう機会が減って、相対的なビタミンA欠乏が起きてしまったのです。

 

 

受容体をコンビニのレジにたとえると、レジが1つのコンビニにビタミンDさんが列を作ってしまい、ビタミンAさんの会計が先送りされてしまったわけです。

 

 

ビタミンDサプリメントを摂取した場合、経験的にこの相対的ビタミンA欠乏症は1ヶ月ほどで緩和され、落ち着いていきます。

 

 

(124~125p)

 

 

 

 

亜鉛

 

 

亜鉛は免疫の働きを高めます。

 

 

 

  • 免疫システムの主役である「白血球」を増殖する

 

  • ビタミンAの利用効率を高め粘膜を丈夫にする

 

  • 体内の炎症を抑制する働きがある

 

 

 

 

免疫システムにとって必要な亜鉛ですが、精子の生成に消費されるので、男性は不足しやすい栄養素です。

 

 

 

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一般的な花粉症対策のリスク

 

 

最後に薬で症状を抑える事のリスクについて触れておきます。

 

 

 

私は「ビタミンやミネラルはサプリメントで摂った方が良い」という話をよくするのですが、こう言うと、栄養は食事から摂るのが良いとか、副作用が心配...といった声がかえってきます。

 

 

 

でも多くの人が使っている薬の方がリスクがあります。

 

 

 

 

 

『病気の治療所 副腎疲労症候群と自己免疫疾患の関係』より引用

 

 

一般的に病院で処方される薬は、過剰になっている免疫(白血球)にアプローチするものです。

 

 

その薬の1つに、白血球の働きを抑え込むように作られたものがあります。いわゆるステロイド系のものです。ステロイド系の薬の特徴をまとめます

 

 

①感覚器官を麻痺させ、臓器・器官にはびこった異物の存在を脳に知らせない

 

②白血球の働きを抑制することにより、異物への攻撃を妨げる

 

③血管を異常収縮させ、ヒスタミンの放出を抑える

 

 

 

上記の作用で、ステロイド系の薬を使うと見事に炎症がおさまります。しかし、臓器・器官にはびこった細菌・ウイルス、または体外から侵入してきた化学物質などに作用しているものではありません。

 

 

 

攻撃側に停戦命令をだしているだけです。

 

 

 

しかし、ステロイド系の薬には副作用があるため、長期服用することに抵抗があります。

 

 

そこで、ある程度炎症症状が治まると薬の服用を中止します。

 

 

ここで、ステロイド系の薬の服用を中止した場合に、体内ではどのような現象が起こるのかをまとめてみます。

 

 

①薬を服用中は白血球の働きが抑制されていたが、服用を中止すると白血球の働きが過剰になる

 

②過剰なった白血球は、体内に増殖した細菌・ウイルスを以前にまして攻撃することにより、炎症症状がおこる

 

 

 

ステロイド系の薬は一種の麻薬です。

 

 

安易に使うと、その薬を止めるのにとても苦労をします。

 

 

しかし、現代医学では、軽い咳や花粉症、または軽い皮膚炎であっても簡単にステロイド系の薬を処方します。

 

 

その背景には「炎症を止めてほしい患者」と「炎症を止めないと悪評を言われるのを嫌がる医師」と双方の思惑があります。

 

 

 

「急性のネフローゼ」や「ヘルペスが眼内にはびこって失明の恐れがある」などの場合に、ステロイド系の薬を使うことには異論はありません。しかし、そのような病気になる背景の説明がないことに私は疑問を感じます。

 

 

 

花粉症の対策は、糖質を制限したり、サプリを使った方が効率よく安全だと思います。

 

 

 

もう1つ言っておくと、糖質によって血糖値が上がり「インスリン」が分泌された後、下がりすぎた血糖値を上げる為に「コルチゾール」などが分泌されます。

 

 

これらのホルモンに必要な主な材料は「アミノ酸」、補酵素の「ビタミンB群」、「亜鉛」、「マグネシウム」等です。

 

 

 

糖質を過剰に摂取すると、これらが減るので、たくさん合成しなければなりません。

 

 

 

そのたびに材料のタンパク質、ビタミン、ミネラルが消費される、不足するというわけです。

 

 

 

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アレルギーと抗体について分かりやすく説明してみた

 

 

虚弱体質とか、大病をしたことがない人でもなる身近な疾患があります。

 

 

 

「花粉症」や「アトピー性皮膚炎」等のアレルギーです。

 

 

 

なんと、日本人の3人に1人が何らかのアレルギーだそうです。

 

 

 

たかがアレルギー...と軽く考える方もおられるかもしれませんが、これは免疫システムの異常なので立派な病気です。

 

 

 

何故、近年こんなにアレルギーの人が増えてきたのかその理由を知るためには、アレルギーがどんなものなのか知っておく必要があります。

 

 

 

 

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アレルギーは免疫システムの異常

 

 

 

体には「免疫 めんえき」と言う仕組みが備わっています。「免疫」とはシステムの事で、イメージは防衛軍です。

 

 

 

「免疫」は、体に外敵(異物)が入って来たときに、それを「自分ではない異物だ」と認識してから攻撃をして体を守ります。

 

 

 

  • 外敵と自分の組織を正しく区別する

 

  • 外敵を攻撃して守る

 

 

 

免疫の仕組みについては、以下の記事で述べました。

 

白血球と免疫の仕組みについて分かりやすく説明してみた

 

 

 

 

そして、外敵を攻撃すると「炎症」と言われる反応が起きます。

 

 

 

「免疫」と「炎症」の違いは、「防衛軍」と「国を守る本土決戦による戦火」です。

 

 

 

 

免疫・・・防衛軍(守るシステム、能力)

 

炎症・・・戦火、戦闘(状態、反応)

 

 

 

 

炎症のパターンはこちらです。

 

 

 

  • 赤くなる

 

  • 腫れる

 

  • 熱くなる

 

  • 痛い

 

  • 動かせない等

 

 

 

 

このシステムが正常に働いていれば、体にとって頼もしい存在です。

 

 

 

しかし、この防衛軍が何らかの理由でおかしくなってしまうことがあります。そうなったら頼もしい防衛軍が自国にダメージを与えてしまうのです。

 

 

 

 

そして、免疫システムがおかしくなるパターンには「自己免疫疾患 じこめんえきしっかん」と、「アレルギー」があります。

 

 

 

この2つは違います。

 

 

 

「自己免疫疾患」は、「自己」と「非自己」の認識がうまくできなくなって、自己を構成する物質を「外敵(抗原)」と勘違いして攻撃をしてしまう疾患です。

 

 

免疫が「これは異物だな(自分じゃないな)」と判断して、敵として攻撃するので、体はダメージを受けます。

 

 

 

「慢性関節リウマチ」や、「膠原病」等です。

 

 

 

 

「膠原病 こうげんびょう」の話をすると、「高い所でなるやつ?」と聞かれることが多いです。それは、「高山病 こうざんびょう」です。

 

「膠原」とはコラーゲンのことです。そして、膠原病とは全身に炎症が起こる病気で、世間では、難病ということになっています。本当は糖質の過剰摂取が主な原因なのですが、それを無視しているので、原因は分かっていない...とされています。

 

 

以下の記事に膠原病について書いています。

 

 

炎症と自己免疫疾患について分かりやすく説明してみた

 

 

 

以上が「自己免疫疾患」です。

 

 

 

「アレルギー」は、「自己」と「非自己」の認識には問題がありません。攻撃対象は「自己」ではなく、外敵です。

 

 

 

ただし、外敵に対して過剰に反応します。それによって、体に不都合が起こるのです。

 

 

 

 

「気管支ぜんそく」、「アトピー性皮膚炎」、「花粉症」等です。

 

 

 

 

以下が「アレルギー」と「自己免疫疾患」の違いです。

 

 

 

  • 自己免疫疾患・・・自己と非自己の認識が狂う、自己を攻撃

 

  • アレルギー・・・・・・・自己と非自己の認識は正常、外敵を過剰に攻撃

 

 

 

 

本記事のテーマは「アレルギー」ですので、後者についての話になります。

 

 

 

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アレルギーに関わる細胞

 

 

アレルギーのメカニズムについてお話する前に、関係する細胞を紹介します。

 

 

 

 

 

 

マクロファージ

 

 

「マクロファージ」は、白血球の「単球」が成長した姿の1つです。

 

 

 

 

 

「マクロファージ」は、外敵を見つけると、食べることで処理します。これを「貪食 どんしょく」とか「食作用」と言います。

 

 

さらに、取り込んだ敵の情報を「ヘルパーT細胞」に伝える役目も果たします。

 

 

 

 

樹状細胞

 

 

白血球の「単球」から成長したのが「樹状細胞 じゅじょうさいぼう」です。

 

 

 

 

外敵を取り込んで、その情報を「ヘルパーT細胞」に伝えます。マクロファージと似ていますが、情報を伝達する能力はこの樹状細胞の方が優れています。

 

 

なので情報屋です。

 

 

 

顆粒球

 

 

「顆粒球」は顕微鏡で見ると、多くの顆粒があります。

 

貪食能力を持っていて、3タイプあります。

 

 

 

 

 

 

 

肥満(マスト)細胞

 

紛らわしいことに、太いからこの名前がついているのですが、「肥満」とは全く関係ない細胞です。

 

 

ではどんな細胞なのかというと、大きな特徴がこちらです。

 

 

 

 

細胞の表面には「IgE」という「抗体」の定常部と結合する「受容体(レセプター)」がたくさんあります(※「IgE」、「抗体」については後で詳しく説明します)

 

 

 

 

「受容体」とは、何らかの刺激を受け取る「受信機」みたいなものです。

 

 

 

 

そして、肥満細胞の中には「化学物質を含んだ顆粒」がたくさん入っています。異物を見つけると、顆粒中の化学物質を放出して排除しようとします。

 

 

 

ちなみに肥満細胞が放出する物質はこちらです。

 

 

 

『慢性膀胱炎・間質性膀胱炎・膀胱頚部硬化症 マスト細胞(肥満細胞)の存在意義』より引用

 

 

1.ヒスタミン

 

アレルギー反応に関与する代表的刺激成分。血管透過性を高め、いろいろな血液中の成分を漏れ出させる作用があります。風邪薬にはヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン剤が一般的に含まれています。また膀胱などの内臓の平滑筋を収縮させる作用もあります。

 

 

2.ヘパリン

 

血液をサラサラにする成分。赤血球・白血球やリンパ球が血小板の作用で固まらないようにしています。血液透析の際に、血液が固まらないように回路の中に注入される薬剤として有名。

 

 

3.プロスタグランディン

 

炎症物質としては有名な成分。血管拡張作用と赤血球柔軟作用があります。消炎鎮痛剤は、この成分を抑制する働きで、痛みを抑えます。消炎鎮痛剤で急性胃炎や胃潰瘍の副作用が有名ですが、プロスタグランディンの働きを抑えることで毛細血管の流れを悪くして胃粘膜細胞の血液栄養供給が低下するからです。

 

 

4.サイトカイン

 

アレルギー反応や免疫システムに関与する様々な細胞(リンパ球)の働きの強さと期間を調節し、情報交換を媒介するための成分です。物質的には、ホルモン様低分子タンパク質です。

 

IL(インターロイキン)-3:造血前駆細胞の促進

 

IL-4:B細胞の活性化

 

IL-5:B細胞の分化増殖、好酸球の分化増殖

 

IL-6:B細胞の分化増殖、発熱

 

IL-10:マクロファージ活性の抑制

 

IL-13:B細胞の分化増殖

 

I-309:好中球・マクロファージ・血管平滑筋細胞の遊走と活性化

 

GM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)

 

TNF-α(腫瘍壊死因子):好中球遊走、細胞接着因子活性化

 

 

 

5.ケモカイン

 

白血球やリンパ球の遊走を促す作用のある成分がケモカインと呼ばれ、サイトカインに分類される場合もあります。

 

CXCL-8(旧名IL-8):好中球遊走・活性化

 

 

 

 

 

この肥満細胞の他の特徴が以下です。

 

 

  • 造血幹細胞由来の血球系細胞

 

 

  • マクロファージや樹状細胞のように血管の周りや、粘膜など、いろんな組織に存在している。

 

 

  • 「蕁麻疹」はこのマスト細胞の活性化が原因

 

 

 

ナチュラルキラー(NK)細胞

 

 

 

 

体をパトロールして、敵を発見したら、自分の判断で攻撃します。

 

 

 

T細胞

 

免疫システムの特殊部隊で、知的な働きをします。

 

「T細胞」は数種類あって、それぞれ役割が違います。

 

 

 

 

 

  • 免疫の司令官・・・ヘルパーT細胞

 

  • 免疫のスナイパー・・・キラーT細胞

 

  • 免疫のストッパー・・・サプレッサーT細胞

 

 

 

ちなみに、「ヘルパーT細胞」も何種類かあります。

 

 

 

 

B細胞

 

 

 

 

 

「B細胞」は、特定の敵に効く「抗体 こうたい」というミサイルを作る工兵です。

 

 

これを「T細胞」の指令で製造します。

 

 

ここからは、このB細胞が作る「抗体」について説明します。これがアレルギーに関わっているからです。

 

 

 

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抗体を産生するB細胞とは

 

 

抗体は、「B細胞」が分化してできた「形質細胞」が造ります。

 

 

 

 

 

 

「B細胞」について簡単に説明します。

 

 

 

 

血液は、液体である「血しょう」と、「赤血球」、「白血球」、「血小板」にわけられます。

 

 

 

 

 

「白血球」の一種が「リンパ球」です。

 

 

 

 

 

 

で、リンパ球の一種が「B細胞」です。

 

 

 

 

 

 

 

「B細胞」は、「ヘルパーT細胞」の指令を受けて、「抗体」を使って、異物を捕獲して攻撃します。

 

 

 

 

作られた「抗体」は、対になる外敵とくっつきます。そして外敵を沈殿・凝縮させるのです。

 

 

 

 

このように、抗体と敵(抗原)が結合すると、それが目印となって、マクロファージが強力に食べようとします。このように食細胞の食欲を促す働きを「オプソニン化」と言います。

 

 

 

 

というわけなので、武器とはいっても、「抗体」が直接敵を破壊(分解)するわけではありません。

 

 

 

 

 

「抗体」は、水に溶けやすいタンパク質で、血液中や体液中に存在しています。

 

 

 

なので、これを「体液性免疫 たいえきせいめんえき」と言います。

 

 

 

これに対して、「キラーT細胞」は、「抗体」を使わず細胞が直接異物を攻撃します。これを「細胞性免疫 さいぼうせいめんえき」と言います。

 

 

 

  • B細胞・・・抗体を使用=体液性免疫

 

  • キラーT細胞・・・細胞が直接攻撃=細胞性免疫

 

 

 

前者は武器を使った攻撃、後者は武器を使わない攻撃のイメージです。

 

 

 

ちなみに、「B細胞」の「B」とは、骨髄(Bone Marrow)で分化する・・・という意味です。一方、「T細胞」の「T」は、胸腺(Thymus)です。

 

 

次に「抗体」について解説します。

 

 

 

抗体の構造

 

 

 

外敵や自己の成分ではない物質のことを「抗原 こうげん(アレルゲン)」と言います。

 

 

 

「抗原」には、細菌、ウイルス、カビ、そして、本来体に害がない物質である花粉、食品...等があります。

 

 

 

外敵、非自己 = 抗原

 

 

 

そして、体に抗原が入ってきた時に、対抗して体を守ろうとする物質のことを「抗体 こうたい 」と言います。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

別名は「免疫グロブリン immunoglobulin(イムノ グロブリン)」で、「Ig(アイジー)」と略されます。

 

 

 

 

抗体 = 免疫グロブリン = Ig

 

 

 

「抗体」は、リンパ球の一種「B細胞」が造る「誘導ミサイル」です。

 

 

 

侵入してきた「抗原」のタンパク質の立体構造を原形にして作られます。

 

 

 

 

この抗体(免疫グロブリン)はつの部品でできています。ここでは、「IgG」という抗体を例にします。

 

 

 

 

 

 

 

 

「H鎖」と呼ばれる長いペプチド鎖と、「L鎖」と呼ばれる短いペプチド鎖が2本ずつです。

 

 

全体は「Y」の形をしています。

 

 

抗体は、「糖タンパク分子」です。

 

 

 

  • H鎖 Heavy Chain 重鎖)

 

  • L鎖 Light Chain 軽鎖)

 

 

また、上の部分は「可変部 かへんぶ」、下の部分を「定常部 ていじょうぶ」と呼びます。

 

 

 

 

 

 

抗原と結合するのは「可変部」です。

 

 

 

 

 

「可変部」は、抗体ごとにアミノ酸配列が異なります。

 

 

 

この部分は多様性があります。「抗原」の形とかみ合うような構造で、鍵と鍵穴の関係に例えられます。

 

 

 

従って、1つの抗体が、形の合わない抗原と結合することはありません。

 

 

 

 

 

 

この仕組みのおかげで、誘導ミサイルのように「狙った抗原」をピンポイントで攻撃できるのです。これを「抗原抗体反応」と言います。

 

 

 

 

そして、「抗体」の下の「定常部」は、「食細胞」や「肥満細胞」に結合する部分です。

 

 

 

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抗体の働きと種類

 

 

 

「抗体」の働きはこちらです。

 

 

 

  • オプソニン化・・・抗原にくっついて、食細胞の食欲を促す

 

  • 抗原の中和(無毒化)・・・抗原の周りを取り囲んで、毒素を中和する

 

  • 補体を活性化して細菌の細胞膜を破壊する

 

  • 炎症

 

 

 

 

抗体の「可変部」はオーダーメイドなので、「ペアになる抗原」ごとにバラバラです。

 

 

そして、このような違いとは別に、抗体(Ig)には種類があります。

 

 

人間の抗体は種類です。

 

 

 

  • IgM(アイジー・エム)

 

  • IgA(アイジー・エー)

 

  • IgG(アイジー・ジー)

 

  • IgD(アイジー・ディー)

 

  • IgE(アイジー・イー)

 

 

 

抗原が体内に侵入した場合、最初に「IgM」が作られて対応します。

 

 

粘膜では「IgA」が、粘膜以外の部分では「IgG」が戦います。この2つがメインとなって抗原の中和(無毒化)を担当します。

 

 

「IgD」は、B細胞表面に存在しているのですが、その役割はまだよく分かっていません。

 

 

そして、「アレルギー」の主役とも言える「IgE」が炎症を起こして戦います。この現象には「肥満細胞」が関わっています。

 

 

 

 

ちなみに「IgE」の量は、有名なわりに、抗体の中でも少ないです。

 

 

 

それぞれの性質を簡単にまとめます。

 

 

 

なお、イラストの細かい部分は諸説紛々としており、どれが正しいのか分かりません。その為、一番シンプルなものを採用しました。かなり簡略化しているので、ご了承下さい。なお、「IgD」、「IgE」、「IgG」は同じ形をしているように描かれたものが多いので、ここでも同じようにしました。

 

 

 

 

 

 

Ig M

 

 

 

 

 

「IgM」の特徴が以下になります。

 

 

  • 免疫グロブリンの中で最も分子量が大きい

 

  • 5つ結合しているので捕獲力が強い

 

 

  • 「IgM」は、抗原が侵入した時に最初に作られる抗体

 

  • 「B細胞」の受容体として働く

 

  • 「T細胞」の指示がなくても分泌

 

  • 赤ちゃんが始めて作れるようになる抗体

 

 

 

 

Ig A

 

 

 

 

 

粘膜に抗原が侵入した場合、この「IgA」が抗原と戦います。

 

 

特徴は、抗原(外敵)を鼻水、涙、痰等でなんでもくるんで外に出すことです。ここが、特定の敵に反応する「IgE」抗体と違います。

 

 

 

 

この「IgA」抗体がたくさんあって、粘膜で抗原を防ぎきることができれば、アレルギーの主役である「IgE」が働く機会が減るので、炎症が発生しにくくなります。

 

 

逆に「IgA」が少ないと、抗原のさらなる侵入を許してしまうので、「IgE」の仕事を増やします。つまり、アレルギーの症状が酷くなります。

 

 

 

ちなみに、「IgA」が作られる為には「ビタミンA」が必要です。

 

 

 

「IgA」の特徴が以下になります。

 

 

  • 「血清型IgA」と、「分泌型IgA」の2つある

 

 

  • 分泌型は、血液中より粘膜の分泌液(気管支分泌液、唾液、涙、鼻汁、腸管分泌液、前立腺液、腟分泌液)に多く含まれていて、細菌などの侵入を防いでいる

 

 

  • 母乳の主な免疫物質

 

 

  • 腸に多く存在しているので、腸粘膜に不調があると「IgA」が減少する。その結果、普段何も起こらない食材にアレルギー反応が起こったり、下痢になったり、風邪をひきやすくなったりする

 

 

Ig G

 

 

 

 

 

「IgG」の特徴が以下になります。

 

 

  • 「IgM」よりも遅れて産生される

 

  • 「T細胞」の指示がないと作れない

 

  • 血液中の抗体の中で最も数が多い

 

  • 細菌や毒素と結合する能力が高い

 

  • 血中に留まる時間が長い

 

  • 抗体の中で唯一胎盤を通過できるので胎児に移行し、赤ちゃんの免疫が発達するまで守る

 

  • 「オプソニン化」や「中和」の作用が強い

 

 

 

 

Ig D

 

 

 

 

 

「リンパ球」表面に「受容体」として存在しています。

 

 

詳しくは、まだよく分かっていないそうです。

 

 

 

 

IgE

 

 

 

 

 

「花粉症の検査」で測定するのが「IgE」の血中濃度です。

 

 

「IgE」の特徴が以下になります。

 

 

  • 非常に量が少ない抗体

 

  • 気道、消化管粘膜、リンパ節等で作られる

 

  • 花粉症、アトピー、気管支喘息に関わっている抗体

 

  • 「IgE」が作られると、「好塩基球」や「肥満細胞(マスト細胞)」に結合してアレルギー反応を起こす

 

  • 寄生虫を防御すると考えられている

 

 

 

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アレルギーの種類

 

 

アレルギーに関わる細胞や、抗体についてお話したので、ここからはアレルギーの仕組みについて説明します。

 

 

 

アレルギー反応はタイプあります。

 

 

 

異物が侵入してから数分~8時間以内に起こるものを「即時型 そくじがた」、24時間以上経ってから起きるものを「遅延型 ちえんがた」と言います。

 

 

 

 

  • 即時型・・・数分~8時間以内で起こる

 

  • 遅延型・・・24時間以上経って起こる

 

 

 

花粉症や気管支喘息等、アレルギーの多くは「即時型」です。そして、これには「IgE」が関わっています。

 

 

 

ちなみに、食物アレルギーは「即時型」と「遅延型」があり、前者は「IgE」が関わっていて、後者は「IgG」が関わっています。

 

 

 

それだけでなく、「アレルギー」は、アレルギーが起こるメカニズムごとに、大きくⅠ~Ⅴの型に分けられています。

 

 

 

「即時型アレルギー」はⅠ~Ⅲに分類され、「遅延型アレルギー」はⅣ型になります。

 

 

 

V型は、Ⅱ型アレルギーの特別な形なので、Ⅱ型に含む場合もあります。

 

 

 

 

 

  • Ⅰ型アレルギー・・・(即時型  アナフィラキシー型)

 

 

  • Ⅱ型アレルギー・・・(細胞障害型 細胞融解型)

 

 

  • Ⅲ型アレルギー・・・(免疫複合体型 Arthus型)

 

 

  • Ⅳ型アレルギー・・・(遅延型 細胞性免疫 ツベルクリン型)

 

 

  • Ⅴ型アレルギー・・・(刺激型)

 

 

 

一般的に多くの人が「アレルギー」と呼んでいるのは、Ⅰ型のアレルギーの事です。

 

 

 

というわけなので、この分類でいくと「花粉症」や「蕁麻疹」は、「Ⅰ型アレルギー」になります。

 

 

 

 

ちなみに、「アトピー性皮膚炎」は、Ⅰ型とⅣ型の混合です。

 

 

 

そして、最初に説明した「自己免疫疾患」が、「アレルギー(Ⅱ、Ⅲ型)」に分類されることがあります。

 

 

 

「抗体の種類」といい、「アレルギーの型」といい、複雑になっているので、このへんで混乱して読むのを止めてしまう方もいるかもしれません。

 

 

 

なので、ここでもっとシンプルに考えましょう。

 

 

 

『アレルギーの9割は腸で治る クスリに頼らない免疫力のつくり方 / 著者:藤田紘一郎』より引用

 

 

 

みなさんのなかには「アレルギーという言葉はさまざまな症状に使われて、使い方が混乱している」と思っている人が多いと思います。

 

 

 

確かに各種アレルギーはそれぞれ、原因となる物質や、症状の現われる場所が異なります。そういう意味では、個々のアレルギー病は別の病気のように見えます。

 

 

けれども、アレルギーが起こる仕組みは、実は全部同じなのです。

 

 

 

たとえるなら、お茶のようなものです。

 

 

 

お茶の木そのものは1種類で、その葉っぱが製法によって緑茶になったり、紅茶になったり、烏龍茶になったりします。

 

 

 

もちろん一口にお茶の木といっても、植物分類学的には多くの種類がありますが、「緑茶の木」とか「紅茶の木」といった木はありません。

 

 

 

それと同じで、アレルギーにはいろいろな種類・症状がありますが、「人間の体内で起こっていること」自体は同じなのです。

 

 

(4~5p)

 

 

アレルギーを「木」、原因物質や症状を「葉っぱ」に例えています。

 

 

アレルゲンという「葉っぱの製法」が違うだけで、アレルギー反応が起こるメカニズムは同じです。

 

 

 

従って、「葉っぱ」にあたる何かのアレルギーがある人は、別のアレルギーを持っていることは珍しくありません。

 

 

 

本質である木そのもを解決する必要があるのです。

 

 

 

 

ちなみに、私も「ブタクサ」のアレルギーだけでなく、「ハウスダスト」、「シカカイ(ハーブ)」のアレルギーがあります。

 

 

 

このうち治ったのは「ブタクサ」だけです。

 

 

 

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Ⅰ型のアレルギー

 

 

Ⅰ型アレルギーは、液性免疫なので「抗体」が関わっています。「IgE」抗体です。

 

 

 

抗原と接触してから数分~1時間半以内に症状がでます。

 

 

まず、抗原が始めて体内に侵入します。

 

 

 

抗原は「樹状細胞」などに取り込まれて、その情報が「ヘルパーT細胞」に伝えられます。

 

 

 

 

「ヘルパーT細胞」は、抗体を作る働きのある「B細胞」に指令を出します。

 

 

 

 

情報を元に、「形質細胞」がその抗原に合った「IgE」抗体を作ります。

 

 

 

 

 

次に、その「IgE」抗体は、粘膜などに存在する「肥満細胞」に結合します。

 

 

 

 

 

これを「アレルゲンに感作された状態」と言います

 

 

 

 

ここからは、同じ抗原の2回目以降の侵入となります。

 

 

 

ノコノコと抗原が侵入してきて、「肥満細胞に結合したIgE抗体」に結合します。

 

 

 

 

 

 

それが引き金となって、「肥満細胞」は顆粒を放出します。

 

 

 

 

 

 

顆粒の中にあるヒスタミン等の化学伝達物質がばら撒かれることによって、周囲の組織は以下のような状況になります。

 

 

 

  • 血管透過性の亢進

 

 

 

  • 気管支平滑筋の収縮

 

 

 

  • 粘液分泌の亢進

 

 

 

これが「Ⅰ型アレルギー」の流れになります。

 

 

 

アレルギー体質の人は、「IgE」を作りやすく、肥満細胞の細胞膜上にたくさんの抗体を持っているようです。

 

 

 

 

ちなみに、即時型フードアレルギーは、Ⅰ型です。

 

 

 

 

Ⅱ型のアレルギー

 

 

 

Ⅱ型アレルギーは、「自分の細胞を破壊してしまうアレルギー」です。

 

 

液性免疫なので「抗体」が関わっています。抗体の種類は「IgM」と「IgG」です。

 

 

 

正常であれば、免疫は自分の細胞を攻撃しません。

 

 

薬剤や感染等が原因で、細胞や組織を抗原として認識し、それに対して抗体(IgMとIgG)が生産されてしまいます。その結果、自分の細胞を攻撃します。

 

 

 

 

「自己の細胞表面」が抗原と認識されて、そこに抗体が結びつく

 

 

それを「好中球」や「マクロファージ」が攻撃して傷つける

 

 

 

 

その為、細胞傷害型アレルギーと呼ばれます。

 

 

反応は急性なので即時型です。

 

 

 

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Ⅲ型のアレルギー

 

 

Ⅲ型アレルギーは、液性免疫なので「抗体」が関わっています。

 

 

「体液に溶けた抗原(可溶性抗原 かようせいこうげん)」と、「IgG」と、「補体」の反応で起こるアレルギーです。

 

 

 

 

「抗原抗体複合体」に「補体」が結合します。それが目印となって「食細胞」が処理をします。

 

 

しかし、この「免疫複合体」が、持続的な感染や、自己免疫疾患などによって過剰に作られると問題が起きます。

 

 

「免疫複合体」の量が食細胞の処理能力を上回ると、生体内を移動して、それが組織や臓器に沈着します。

 

 

 

それが原因で、肥満細胞を刺激します。

 

 

 

すると、その場所で、肥満細胞から化学伝達物質が放出されてアレルギー反応が起きます。

 

 

 

その為、免疫複合型アレルギーと呼ばれます。

 

 

反応は即時型です。

 

 

遅延型フードアレルギーはこのⅢ型です。

 

 

 

 

Ⅳ型のアレルギー

 

Ⅳ型アレルギーは、細胞性免疫なので、「抗体」は関わっていません。

 

 

このアレルギーは、司令官である「T細胞」や、「マクロファージ」が関わっています。

 

 

「T細胞」が放出する「サイトカイン」が、マクロファージを活性化し、炎症を起こします。

 

 

これは「T細胞」の活性化に時間がかかるため反応が遅いので「遅延型」です。

 

 

ツベルクリン反応はⅣ型です。

 

 

Ⅴ型のアレルギー

 

 

自分の組織や細胞を「抗原」と認識してしまうⅡ型アレルギーの特殊な形がⅤ型アレルギーです。

 

 

Ⅱ型との違いは、「抗原」がホルモン等の受容体(レセプター)であることです。

 

 

 

受容体が抗原になる + 抗体

 

 

 

そして、Ⅱ型は細胞傷害型アレルギーでしたが、

 

 

 

Ⅴ型は細胞の機能を低下、あるいは亢進させます。前者は「重症筋無力症」、後者は「グレーブス病(バセドウ病)」です。

 

 

 

刺激型アレルギーとも呼ばれます。

 

 

 

 

Ⅰ型アレルギーの花粉症

 

 

アレルギーの種類について色々と説明してきましたが、多くの人がなっているのがⅠ型の花粉症だと思います。

 

 

次はこの花粉症の原因や対策についてお話します。

 

 

重度の花粉症の人も糖質制限や栄養療法で改善できる

 

 

 

 

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白血球と免疫の仕組みについて分かりやすく説明してみた

 

 

血液に含まれている「白血球 はっけっきゅう」は、アメーバー状の細胞です。

 

 

 

 

この白血球が、防衛軍のように、身体を外敵から守っています。

 

 

 

このように言うと大げさな表現だと思われるかもしれませんが、実際に、身体は常に外敵にさらされているのです。

 

 

 

その証拠に、生体が死ぬと、死後数日で腐敗します。

 

 

 

何故、腐敗するのか...

 

 

 

それは、この世は細菌や病原体などの外敵だらけだからに他なりません。

 

 

 

もし防御システムが無かったら、すぐに細菌が増殖し、腐敗します。

 

 

 

生きている生体が腐らないのは、細菌や病原菌などの外敵から身を守るシステムが絶えず働いているからなのです。

 

 

 

この防衛システムの事を「免疫反応 めんえきはんのう」と言います。

 

 

 

そして、免疫システムの主役が「白血球」です。

 

 

 

本記事では、白血球の特徴や、免疫のシステムについて説明していきます。

 

 

 

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血液に含まれる白血球

 

 

まずは「白血球」がどんなものなのか説明します。

 

 

 

血液は、液体の「血漿 けっしょう」と、

 

 

 

血球の「血小板 けっしょうばん」、「赤血球 せっけっきゅう」、そして、「白血球」に分けられます。

 

 

 

 

 

 

「白血球」は外敵と戦う免疫システムの主役です。

 

 

 

この免疫に関わる細胞のことを、「免疫細胞 めんえきさいぼう」と呼びます。

 

 

 

 

 

「白血球」は、働きや特徴から、以下のようにさらに細かく分けられます。

 

 

 

 

 

 

大まかに3系統があります。

 

 

  • 顆粒球

 

  • 単球

 

  • リンパ球

 

 

 

「単球」と「リンパ球」は無顆粒球です。

 

 

 

ちなみに、白血球の中で一番数が多いのは顆粒球の「好中球」で、全白血球の約半分を占めます。

 

 

 

 

 

免疫細胞の種類と特徴

 

 

免疫細胞は似たような特徴のものが多いです。似ているもの同士がチームプレーをするので、キャラクターを憶えられないと混乱します。

 

 

 

なので、先に免疫反応で活躍する細胞の紹介をします。

 

 

 

 

まずは「顆粒球 かりゅうきゅう」からです。

 

 

 

 

 

 

 

 

顆粒球とは

 

 

「顆粒球」は、外敵を見つけると、処理する為に食べます。そして、取り込んだ異物を分解します。

 

 

 

 

敵をみつける

 

 

捕食

 

 

消化、分解

 

 

 

 

このような行為を「貪食 どんしょく」とか「食作用 しょくさよう」と言い、

 

 

貪食する細胞の事を「食細胞」、「貪食細胞」と言います。

 

 

 

 

好中球

 

 

 

 

白血球の中で一番多い「好中球 こうちゅうきゅう」は、最前線で戦う突撃兵です。

 

 

アクション系の作品に出てくる数が多い雑魚キャラのイメージです。特徴は以下になります。

 

 

 

 

  • 任務:パトロールと外敵駆除

 

  • 武器:活性酸素

 

  • 攻撃の方法:異物を食べて消化する(貪食)

 

  • 攻撃力:マクロファージと大差ない

 

  • 特殊部隊が偏性するまでの戦闘では、好中球が主力部隊

 

  • 炎症部位で生じた膿は、「好中球」の屍

 

 

 

好酸球

 

 

 

 

「好酸球 こうさんきゅう」の特徴は以下です。

 

 

  • アレルギー反応の制御(ヒスタミンを不活性化)

 

  • 貪食能力は弱い

 

  • 寄生虫と闘うことができる

 

 

 

好塩基球

 

 

 

 

 

詳しい事がよく分かっていない「好塩基球 こうえんききゅう」の特徴は以下です。

 

 

  • 感染とアレルギー反応の両方に関与している

 

  • 数が少ない

 

  • 貪食能力が弱い

 

 

 

 

 

 

単球とは

 

次は「無顆粒球」の「単球 たんきゅう」を紹介します。

 

 

 

 

 

 

単球の核の形は、そら豆や腎臓のようです。

 

 

 

この単球には、変身能力があります。

 

 

 

単球は分化して「マクロファージ」や、「樹状細胞」に成長します。

 

 

 

「分化」とは、単純なものが複雑なものに変わることです。

 

 

 

 

マクロファージ

 

 

 

 

「マクロファージ」は、敵を察知する部隊として体中に配備されています。

 

 

 

 

そして、敵をみつけると捕食、消化し、分解します。「マクロファージ」も食細胞です。

 

 

 

別名は「大食細胞」です。

 

 

 

  • 任務:敵の発見、貪食による処理、捕らえた敵の情報を特殊部隊に伝える

 

 

  • 攻撃力:特殊部隊よりは劣る、貪食が限界に達すると破裂して死ぬ

 

 

 

 

樹状細胞

 

 

次に、マクロファージと似た働きをする「樹状細胞 じゅじょうさいぼう」について説明します。

 

 

 

 

 

 

 

「樹状細胞」の仕事は「諜報」です。

 

 

 

貪食能力をもっているので、異物(抗原)を取り込んでその特徴を「リンパ球」に伝えて、攻撃するように指示を出します。

 

 

 

だから「司令塔」でもあります。

 

 

 

 

このように、特殊部隊に敵の情報を伝える細胞のことを「抗原提示細胞 こうげんていじさいぼう」と言います。

 

 

 

 

 

 

 

「好中球」と「樹状細胞」と「マクロファージ」の違いについて説明します。

 

これらは、敵を食べたり、情報を伝えたり...と、働きが似ているので混乱する人も出てくると思います。

 

 

 

  • 好中球(顆粒球)・・・・・・・・食作用

 

  • 樹状細胞(無顆粒球の単球)・・・食作用、抗原提示細胞

 

  • マクロファージ(無顆粒球の単球)・・・食作用、抗原提示細胞

 

 

 

「好中球」は敵を蹴散らすのが専門、「樹状細胞」は敵の情報を伝達するのが専門、「マクロファージ」は両者の中間です。

 

 

 

特に「樹状細胞」と「マクロファージ」が分かりにくいのですが、違うのは抗原を伝える能力です。この能力(T細胞を活性化させる能力)は、樹状細胞の方が優れています。

 

 

そして、以下のような違いもあります。

 

 

  • 樹状細胞・・・獲得免疫に関与

 

  • マクロファージ・・・自然免疫に関与

 

 

 

 

 

リンパ球とは

 

 

免疫システムの特殊部隊である「リンパ球」は、大きくわけて3つです。

 

 

 

 

 

 

まずは「T細胞」から説明します。

 

 

 

 

T細胞の種類と働き

 

 

 

「T細胞」は、以下のように3つに分けられます。

 

 

 

 

 

 

敵が強くて手に負えない場合、「マクロファージ」は「サイトカイン」というアイテムを使って助っ人を召喚します。

 

 

 

 

それに刺激を受けた「樹状細胞」は、取り込んだ敵の情報を連絡します。

 

 

 

その情報を受け取るのが、他のT細胞に命令を下す権限を持った「ヘルパーT細胞」です。

 

 

 

 

「ヘルパーT細胞」もサイトカインを放出して、スナイパーである「キラーT細胞」に戦闘を命じます。

 

 

 

 

 

 

簡単にまとめると...

 

 

 

「マクロファージ」が援軍を呼ぶ

 

 

「樹状細胞」が敵の情報を伝達

 

 

特殊部隊の「ヘルパーT細胞」がキャッチ

 

 

「キラーT細胞」に攻撃命令

 

 

 

 

 

 

「キラーT細胞」は、「マクロファージ」が倒すことが出来なかった敵でも仕留めることができます。

 

 

 

突撃兵である「好中球」や「マクロファージ」の攻撃は貪食でしたが、特殊部隊である「キラーT細胞」は腕利きのスナイパーなので、敵の細胞を傷つけるような武器を使います。

 

 

 

武器はパーフォリン、グランザイムです。

 

 

 

 

「サプレッサー(レギュラトリー)T細胞」は、免疫反応を抑制する働きがあるようですが、存在が疑問視されているという説があったり、図では省略される事も多いです。

 

 

 

 

 

 

「T細胞」の「T」は、「Thymus(胸腺:タイマス)」という意味です。

胸腺は心臓の上にある小さな器官です。

 

 

この「胸腺士官学校」で、「リンパ球」は特殊訓練を受けて「T細胞」になります。

 

 

 

 

 

 

B細胞の働きと役割

 

 

 

 

 

 

「B細胞」は特殊武器の製造を行なう工兵です。

 

 

 

特殊武器は、「抗体(別名:免疫グロブリン)」と言います。

 

 

 

 

 

ちなみに、最初は出撃準備に時間がかかります。

 

 

 

「B細胞」の「B」は「Bone marrow(骨髄:)」由来です。

 

「T細胞」も「B細胞」も基本的には骨髄の幹細胞で作られる...と言われています。しかし、「B細胞」は胸腺での特殊訓練を受けません。骨髄で分化し、成長すると言われています。

 

 

ただし、「血液が骨髄で造られる」という説は、以下の記事でも説明しましたが、信憑性に欠けます。

 

 

血液と赤血球とヘモグロビンについて分かりやすく説明してみた②

 

 

 

 

ナチュラルキラー(NK)細胞の働きと役割

 

 

 

 

 

「ナチュラルキラー細胞」はリンパ球の一種ですが、抗原の情報を受け取ってから攻撃する「T細胞」や「B細胞」とは異なります。

 

 

 

「T細胞」のように胸腺で特殊訓練も受けませんし、「B細胞」のように相手に合わせて武器を使ったりしません。

 

 

 

特殊部隊...というよりフリーランスの兵士です。

 

 

 

そして、マクロファージ等と同じ「自然免疫」です。

 

 

 

パトロールをして、敵を見つけると迅速に攻撃するのですが、命令を受けず、自分で判断し攻撃します。

 

 

 

殺傷能力は高いです。

 

 

 

他のリンパ球との違い

 

 

  • T細胞とB細胞は抗原の情報を受け取ってから戦闘に加わるが、NK細胞は抗原を必要としない

 

  • 「キラーT細胞」のように胸腺で特殊訓練を受けない

 

  • 「B細胞」のように敵の属性に合わせて戦法(抗体を生産)を変えない

 

  • 生まれたままの状態で攻撃する

 

  • 最初から大きな体で、大量の武器を持ってパトロールし、迅速に殲滅する

 

 

 

 

 

一つ一つの細胞の種類について説明したので、次はこれらが防衛システムでどのような部隊に所属して働いているのかについて説明します。

 

 

 

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自然免疫と獲得免疫

 

 

 

免疫システムのことを「防衛軍」に例えましたが、実は戦闘スタイルの違う2つの部隊に分かれています。それがこちらです。

 

 

 

 

  • 自然免疫(しぜんめんえき)・・・常設部隊

 

  • 獲得免疫(かくとくめんえき)・・・精鋭部隊

 

 

 

 

 

侵略者に対して、一番最初に攻撃を仕掛けるのが常設部隊です。そして、それでも相手が強いなら精鋭部隊が加わる...というシステムになります。

 

 

 

第一部隊である「自然免疫」は、敵をなりふり構わず全力で倒しますが、

 

 

第二部隊である「獲得免疫」は、知的な攻撃を仕掛けます。

 

 

 

 

他にも特徴を述べておきます。

 

 

 

 

第一部隊・自然免疫とは

 

 

「自然免疫」は、最初から備わっている部隊で、攻撃対象は「全ての敵」です。

 

 

 

  • どんな敵に対しても反応が早い

 

 

  • 学習機能がないので、同じ敵を効率よく倒すことができない

 

 

  • 手に負えない時は「獲得免疫」の力を借りる

 

 

  • 貪食細胞(マクロファージ、好中球、樹状細胞)や、NK細胞(リンパ球)の働きによる

 

 

 

 

第二部隊・獲得免疫とは

 

 

獲得した免疫...ですから、敵と戦った経験だけレベルアップしていく部隊です。

 

 

攻撃対象は「特定の敵」です。

 

 

 

  • 脊椎動物にしかない能力

 

 

  • 学習機能があるので敵を分析して、敵の属性に合った攻撃をする

 

 

  • 獲得免疫は、T細胞やB細胞(リンパ球)の働きによる

 

 

 

 

自然免疫の戦術

 

 

ここからは、「自然免疫」の流れについて説明します。

 

 

体は外敵が侵入しにくいように、皮膚や粘膜が外壁となって防御しています。

 

 

しかし、この壁をかいくぐって、敵(抗原)が侵入することもあります。

 

 

 

体をパトロールしていた「好中球」や、「マクロファージ」や、「NK細胞」がこれらを見つけると、攻撃します。

 

 

 

 

ここまでが「自然免疫」です。

 

 

 

 

「自然免疫」は相手が何であろうが「同じ手段」で戦おうとします。例えるなら、相手が剣を持っていても、戦闘機に乗っていても、常に竹ヤリで向かっていくようなもんです。

 

 

 

 

 

これで片付けばよいのですが、場合によっては敵が強すぎたり、数が多すぎたりするわけです。

 

 

 

すると、援軍を派遣するわけですが、その戦闘が「獲得免疫」になります。

 

 

 

 

「自然免疫」だけでは勝てないと悟った「マクロファージ」は、援軍を召喚するために、「サイトカイン」というタンパク質を使います。これは「のろし」とか「警報」みたいなものです。

 

 

 

このように、他の細胞に命令を下したりする物質のことを「シグナル物質」と言います。

 

 

 

「マクロファージ」が「サイトカイン」を放出したことで、「樹状細胞」が刺激されます。

 

 

 

すると、優秀な抗原提示細胞である「樹状細胞」は、「こんな奴がいます」と、取り込んだ敵のデータを伝えます。

 

 

 

その情報を特殊部隊の「ヘルパーT細胞」が受け取り、部下を動かすのです。

 

 

 

 

「樹状細胞」が、「自然免疫」と「獲得免疫」のシステムの橋渡しをしているわけです。

 

 

 

 

「自然免疫」は発見してから攻撃に至るまでが素早いですが、「獲得免疫」は最初は闘うまでに時間がかかります。

 

 

 

しかし、1度攻略した相手は、2度目からは一番効率のよい方法で素早く倒すことができるようになります。

 

 

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獲得免疫の戦術

 

 

ここからは「獲得免疫」の戦術を説明します。

 

 

「獲得免疫」とは、闘えば闘う程強くなるシステムで、パターンあります。

 

 

  • 体液性免疫

 

  • 細胞性免疫

 

 

「体液性免疫」は「抗体」という武器を使った戦い方で、「細胞性免疫」は抗体を使わず、細胞が直接攻撃する戦い方です。

 

 

それぞれの流れをみていきます。

 

 

 

体液性免疫

 

 

一言で言うと、「特定の敵に命中するミサイル」を使った攻撃です。

 

 

敵の情報を受け取った「ヘルパーT細胞」は、それが「敵である」と認識します。

 

 

「ヘルパーT細胞」は、「B細胞」に命令を出します。

 

 

 

 

すると工兵である「B細胞」は、「形質細胞 けいしつさいぼう」に分化します。「形質細胞」の別名は、「抗体産生細胞 こうたいさんせいさいぼう」です。

 

 

 

 

 

 

 

そして、敵の属性に合った「抗体 こうたい」という武器を製造します。

 

 

 

ちなみに、これは敵に合わせたオーダーメイドの武器なので、違う敵には効きません。おまけに、出撃準備には1~2週間の時間がかかります。その間は、他の免疫細胞が時間をかせぐことになります。

 

 

 

「抗体」が完成すると体液に放ちます。

 

 

 

 

 

「抗体」は、水に溶けやすいタンパク質でできていて、血液、リンパ液、涙、唾液、母乳に含まれています。

 

 

 

 

「抗体」は体液が循環するところならどけでもいけるので、「体液性免疫 たいえきせいめんえき」と言います。

 

 

抗体は敵(抗原)と結合すると「抗原抗体複合体」となります。

 

 

 

これが目印となることで、マクロファージに積極的に食べられるようになります。

 

 

 

抗体と抗原がくっつくことで、敵がよりおいしそうに見え、貪食細胞の食欲が増します。これを「オプソニン化」と呼びます。

 

 

 

こうして、抗原が処理された後、抗体を作る「形質細胞」は徐々に減っていきます。

 

 

 

しかし、一部は敵の記録を伝える老兵となって残ります。これを「免疫記憶細胞 めんえききおくさいぼう」と言います。

 

 

 

 

 

抗体を使った「体液性免疫」は、効率よく外敵を駆除することができます。

 

 

 

しかし、問題もあります。

 

 

 

実は、細胞の中に入ってしまった敵(抗原)は攻撃することができないのです。

 

 

 

 

 

「抗体」は細胞膜を通れないからです。

 

 

 

その為、細胞の中に入ってしまった敵を駆除する場合は、別の方法をとります。

 

 

 

細胞性免疫

 

 

 

ウイルスは自力で増殖することができないので、他の生物の細胞に侵入して、その中で増殖します。

 

 

 

 

その為、「ウイルスに感染した細胞」は、ウイルス製造工場と化してしまいます。

 

 

それはまずいので、このウイルスを退治する必要があります。

 

 

しかし、「抗体」は細胞膜を通過できないので、細胞の中のウイルスを攻撃することはできません。

 

 

 

 

 

 

なので、「抗体」は使わず直接攻撃して、汚染された細胞ごと破壊します。

 

 

 

細胞の中の敵を仕留めることができるシステムを「細胞性免疫 さいぼうせいめんえき」と言います。

 

 

 

 

流れはこうです。

 

 

 

敵の情報を受け取った「ヘルパーT細胞」は、それが「敵である」と認識します。

 

 

 

ここまでは「体液性免疫」と同じです。

 

 

 

すると、「ヘルパーT細胞」は、「キラーT細胞」に命令を出します。

 

 

 

 

「キラーT細胞」は増殖し、「マクロファージ」も集まってきます。

 

 

 

 

「キラーT細胞」が、汚染細胞を直接攻撃破壊し、その後は自然免疫の時より強力になった「マクロファージ」が、食べて処理します。

 

 

 

 

 

役目を終えると「キラーT細胞」は減っていきますが、一部は老兵となって、戦いの記録を残します。

 

 

 

 

「体液性免疫」と「細胞性免疫」は連携して働きます。

 

 

 

 

 

 

 

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免疫力が低下する原因になる糖質

 

 

「免疫」は優秀な防衛システムですが、弱点もあります。

 

 

以前もお話しましたが、白血球等の免疫系はブドウ糖に弱いです。

 

 

 

高血糖の環境だと活力を失ってしまうからです。

 

 

血糖値が120以上でそうなります。

 

 

主食を食べる習慣のある人は要注意です。

 

 

 

『横ちゃんのきまま日記 血糖値の上昇が免疫力の低下を招く』より引用

 

 

【糖は免疫システムを下げる】

 

 

これは何十年も前から知られて来たことです。

 

 

1970年代にはもう、研究者の間で、白血球が病原菌や細菌を貪食するためにビタミンCを必要としていることが分かりました。

 

 

白血球は、その周りと比べて50倍ものビタミンCを必要とするので、それを溜め込まなくてはならないのです。

 

 

「食細胞指数」と呼ばれるものがありますが、それは、特定のマクロファージ(大食細胞)やリンパ球がどのぐらい早く病原菌や細菌、ウイルス、がん細胞を食べてしまうか、ということを表す指標です。

 

 

1970年代に、白血球が大量のビタミンCを必要とすること、それは一般的な風邪と闘うために必要だということをライナス・ポーリング博士が発見しました。

 

 

グルコースとビタミンCが、似たような生化学的構造を持っていることは知っていますが、では糖レベルが上がるとどうなるでしょうか? それらは、お互いに細胞に入ろうと拮抗するのです。(競合阻害的)

 

 

ということは、血中に糖がたくさんあると、それだけ細胞に入れるビタミンCも少なくなるということです。

 

 

血糖値が120では、食細胞指数が75%も下がってしまいます。

 

 

ですから、砂糖と食べると、免疫システムがどれだけ下がるかを考えてみてください。

 

 

ここで我々は病気というものの根幹に少しだけ迫ることが出来ます。

 

 

どんな病気についてかは関係ないのです、普通の風邪であろうが、心血管疾患、ガン、骨粗鬆症であろうが、病気の始まりというのは、いつも細胞レベル、分子レベルで起こってくるということ、その場合、インスリンが病気の直接の原因になっているか、それに近いものである。

 

 

 

ちなみに、以下が「グルコース(ブドウ糖)」と「ビタミンC」の構造になります。

 

 

 

 

 

 

『横ちゃんのきまま日記 血糖値の上昇が免疫力の低下を招く』より引用

 

 

萩原 敦さんのFBより転載

 

~血糖値の上昇が免疫力の低下を招く~
 

(血糖値の数値から客観的な免疫力評価の数値を探る)

 

 

 

英語圏の文献で、我々の免疫力の客観的な評価をする場合に、lymphocytic index(リンパ球指数)とかphagocytic index(食細胞指数)なる指標を用い、血糖値の上昇値と関連付けて、記述されていることをよく見かける。

 

この「食細胞指数」や「リンパ球指数」という言葉自体、我が国ではあまり一般的ではないようです。

 

 

(中略)

 

 

たとえば、

 

「血糖値が120を超えると食細胞指数的な免疫力の評価をすると、約75%の免疫力がダウンする。」

 

この説は、ライナス・ポーリング博士が、はじめて世に知らしめた説だそうです。

 

ポーリング博士も研究に値する人物です。後日、改めて、彼についての言及もします。

 

つい先ごろ、比嘉さんという方のFBで、高血糖の赤血球を映像にして投稿されていましたが、その内容は、ひじょうに素晴らしいもので、血糖値が上昇すると、赤血球同士がくっついて、「連携を組み」、血管の中で、あろうことか、「血流をせき止め」、「血流を立ち往生」させることを示していました。

 

 

となると、免疫力の要である「白血球(食細胞やリンパ球他)」も「赤血球の通せん坊」にあい、免疫力を発揮できなくなる云々と述べていました。

 

 

この血糖値120と言う数値が、血流を悪化させる「赤血球通せん坊」作戦が、効果を発揮し、顕著になる数値(ボーダーライン)なんだろうと思います。

 

 

 

 

そして、白血球は細胞なので、タンパク質です。従って糖化反応にも弱いです。

 

インフルエンザ等の感染症の予防は食事が重要です。免疫力を弱らせる食品とは

 

 

 

 

 

免疫の誤作動、自己免疫疾患とアレルギーの違い

 

 

次に、免疫システムに起こる問題について考えてみます。

 

 

 

免疫系の疾患は、大きく分けて2タイプあります。

 

 

 

  • 自己免疫疾患

 

  • アレルギー

 

 

 

 

「自己免疫疾患 じこめんえきしっかん」とは、自分の組織を「敵」と認識して攻撃してしまう疾患です。

 

 

例えるなら「オウンゴール」です。

 

 

 

 

一方「アレルギー」は、害がない異物に対して、過剰に攻撃をしてしまう疾患です。

 

 

例えるなら「過剰防衛」です。無駄な攻撃のせいで周囲の組織に被害が波及します。

 

 

 

 

 

「自己免疫疾患」については以下の記事を、

 

炎症と自己免疫疾患について分かりやすく説明してみた

 

 

 

 

「アレルギー」については以下の記事で説明します。

 

 

アレルギーと抗体について分かりやすく説明してみた

 

重度の花粉症の人も糖質制限や栄養療法で改善できる

 

 

 

 

 

電磁波は免疫力を著しく低下させます。

 

5Gの空間では、生体は健康的な生活を送ることはできません。

 

 

 

 

 

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乳酸のエネルギー源としての働きと、疲労との関係について分かりやすく説明してみた

 

乳酸は長い間、疲労の原因と考えられてきたが、実はエネルギー源だから良い物質である

 

 

...近年、このような見解が一般的になっています。

 

 

 

しかし、この「乳酸は体に良い物である」というイメージが蔓延するのは良い事ではありません。

 

 

 

何故なら、乳酸の蓄積は慢性疾患の原因になるからです。

 

 

 

以下の記事で、乳酸の蓄積によって血液が酸性化することが、細胞が癌化する原因であると説明しました。 

 

 

余命わずかの末期癌患者が退院できたのは病院での栄養療法のおかげだった!

 

癌細胞と癌家系について分かりやすく説明してみた

 

 

 

乳酸礼賛することで、このような負の側面が見えなくなってしまいます。

 

 

 

だからもう少し、乳酸についてフェアな説明が必要です。

 

 

 

 

 

生体に無駄な機能はありません。

 

 

 

「進化論」を否定していた昆虫学者のファーブルは、生き物は最初から完璧な状態であり、そうでなければ生きることができないと主張していました。

 

 

 

生体に備わっているシステムは、途中から獲得したものではなく、意味があって最初から備わっている・・・ということです。

 

 

 

その理屈から考えると、「乳酸」も全く無駄な存在ではありません。理由があって存在していることになります。

 

 

 

 

いけないのは、過剰になって蓄積することです。

 

 

 

癌の記事では乳酸の悪い面についてお話したので、今回は、「乳酸は何のために存在しているのか」、そして、「乳酸の良い面だけを利用して蓄積させないようにするにはどうしたらいいのか」についても解説していきます。

 

 

 

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乳酸とは

 

 

 

「乳酸」を理解する為に必要なので、エネルギーの話をします。

 

 

 

生体が生きていく為には、「ATP(エーティーピー)」というエネルギー物質が必要です。

 

 

ATP(アデノシン3リン酸)

 

 

 

どんな生物でも、これが不足すると慢性疾患になり、無くなると死にます。

 

 

 

この「ATP」は、基本的に細胞内で作られて、細胞内で消費されます。

 

 

 

そして、作る為には材料が必要です。それが、糖質、脂質、タンパク質です。

 

 

 

 

ATPの材料=糖質、脂質、タンパク質

 

 

 

 

このうちの「糖質(を分解して生じたブドウ糖)」を材料にエネルギーを生み出す時に、副産物として生じるのが「乳酸」になります。

 

 

 

副産物として生じた「乳酸」は、ディーゼル車から出る煤のようなものです。溜めるようなものではありません。

 

 

 

“酸”とつくように、pH程度の酸性物質です。

 

 

 

 

 

ただし、ブドウ糖を完全代謝すれば「乳酸」は生じません。

 

 

 

完全代謝とは、細胞の中の「ミトコンドリア」で何段階もの代謝をして、二酸化炭素と水に分解することです。そうでなければ「乳酸」になると思って下さい。

 

 

 

 

 

では、この乳酸ができる流れをご説明します。

 

 

 

 

乳酸が生じる仕組み

 

 

 

乳酸の元となるのは、グルコース(ブドウ糖)です。

 

 

 

グルコース(ブドウ糖)

 

 

 

 

グルコースは、糖質を含む食事から摂る事もできますし、糖質以外の材料を使って肝臓や腎臓で合成することもできます。

 

 

 

  • 食事から摂取

 

  • 肝臓や腎臓で合成(糖新生 とうしんせい)

 

 

 

ちなみに、このグルコースは、癌細胞の大好物です。

 

 

癌細胞はブドウ糖が好き

 

 

 

 

ここではイメージしやすいように、食事から糖質を摂ったところから説明します。

 

 

 

ご飯やパン、野菜...等、糖質を摂取すると消化器官でブドウ糖にまで分解されます。

 

 

 

 

糖質

 

 

グルコース(ブドウ糖)

 

 

 

 

このグルコースが、生体が生きていく上で必要なエネルギー物質ATPを生み出す材料として使われます。

 

 

 

 

グルコース(ブドウ糖)は、まず細胞の「細胞質基質 さいぼうしつきしつ」というところで、何段階かの反応を経て「ピルビン酸」という物質になります。

 

 

 

 

 

細胞質基質で起こる解糖系

 

 

 

 

 

グルコース

 

 

(何段階か反応)

 

 

ピルビン酸

 

 

 

 

この反応を「解糖系 かいとうけい」と言います。

 

 

 

 

「解糖系」では、グルコース分子から、ピルビン酸が分子できます。

 

 

 

 

解糖系ではグルコース1分子がピルビン酸2分子になる

 

 

 

 

そして、エネルギー物質ATPが分子できます(※正確には4分子できるのですが、解糖系の反応をする為に始めに2分子を使うので、得たATPは合計2分子になります)

 

 

 

 

解糖系でATPは2分子生産される

 

 

 

 

そして、解糖系の反応で、「NAD」という化合物が「NADH」に変化します。この「NADH」が分子できます(これについては後で詳しく説明します)。

 

 

解糖系でNADHは2分子生産される

 

 

 

 

 

ここで、解糖系でグルコース1分子から生じるものをまとめます。

 

 

ピルビン酸・・・2分子

 

エネルギー物質ATP・・・2分子

 

NADH・・・2分子

 

 

 

 

 

 

ATPができたから終わり...ではありません。

 

 

 

乳酸が生じるかどうかは、グルコースが分解されてできた「ピルビン酸」が、この先どうなるかによって決まります。

 

 

 

つまり、ミトコンドリアでも代謝するかどうかです。

 

 

 

細胞質基質では「解糖系」という反応でしたが、

 

 

 

ミトコンドリアで代謝する場合は、「クエン酸回路 くえんさんかいろ」と「電子伝達系 でんしでんたつけい」という反応が起こります。

 

 

 

 

細胞とミトコンドリア

 

 

 

 

細胞質基質だけで代謝するより、ミトコンドリアで代謝した方がより多くのATPを作り出すことができます。

 

 

 

前者は「焚き木」のエネルギー、後者は「発電所」のエネルギーに例えられます。

 

 

 

 

  • 解糖系・・・エネルギー

 

 

  • 解糖系 → クエン酸回路 → 電子伝達系・・・エネルギー

 

 

 

 

で、「ピルビン酸」の進路は2つです。

 

 

 

一つはミトコンドリアで代謝して、より多くのATPを作り出すルート。

 

 

もう一つはミトコンドリアでは代謝しない、乳酸が発生するルートです。

 

 

 

嫌気性解糖と好気性解糖

 

 

 

左が乳酸が生じるルートですが、以下の条件でそうなります。

 

 

  • 酸素が不足している

 

  • ビタミンB1を始めとした栄養素の不足

 

 

 

それぞれの理由を説明します。

 

 

 

酸素が不足することでミトコンドリアで代謝できない

 

 

ミトコンドリアは多くのATPを作る事ができるのですが、酸素を要求します。

 

 

 

従って酸素がない状態ではミトコンドリアで代謝することはできません。

 

 

反対に細胞質気質で行なわれる解糖系は酸素を必要としません。

 

 

 

その為、激しい運動などで酸素が不足するような場合は、ミトコンドリアでの代謝ではなく、解糖系で酸素に頼らずエネルギーを産生します。

 

 

その場合、ミトコンドリアで代謝できないので、ピルビン酸は乳酸になります。

 

 

 

ビタミンB1を始めとした栄養素の不足でミトコンドリアで代謝できない

 

 

ミトコンドリアで代謝する為には、「補酵素 ほこうそ」が必要になります。

 

 

 

補酵素とは、酵素のサポート役のことで、ビタミンの事をさします。

 

 

 

「酵素」は、体内の化学反応を調節する働きがあります。酵素と補酵素が協力して働く場合は、補酵素なしでは反応ができません。

 

 

 

ピルビン酸がミトコンドリアで代謝する為には、ビタミンB1を始めとしたビタミンB群が必要です。

 

 

 

正確には、ビタミンB1、B2、B3(ナイアシン)、ビタミンB5(パントテン酸)、アルファリポ酸です。

 

 

 

従って、これらが不足していても、ピルビン酸はミトコンドリアで代謝できないので、乳酸に変換されます。

 

 

 

 

 

ここまでが、グルコース → ピルビン酸 → 乳酸 になる条件と流れになります。

 

 

 

では、何故ピルビン酸は乳酸になるのか?

 

 

次はそのことについて説明します。

 

 

 

 

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ピルビン酸が乳酸になる理由とは

 

 

 

ピルビン酸が乳酸になるのは理由があります。

 

 

 

 

それを理解する為には、まず「NAD」について知っておく必要があります。

 

 

 

 

 

NAD(ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド)は、全ての生物に存在する補酵素です。

 

 

 

 

「NAD」は、水素を外す「脱水素酵素」の補酵素(サポート役)で、水素(の持つ電子)を預かる働きをします

 

 

 

このような働きをする物質を「電子伝達体 でんしでんたつたい」と言います。

 

 

 

 

  • 水素を外す働き・・・脱水素酵素(酵素)

 

  • 外した水素を預かる・・・NAD(補酵素)

 

 

 

 

 

NAD(酸化型)

 

 

 

水素(の持つ電子)を預かる前が「NAD」です。これを酸化型と言います。

 

 

 

そして、水素(の持つ電子)を預かった後が「NADH」になります。これを還元型と言います。

 

 

 

NADH(還元型)

 

 

 

「酸化」とは、電子や水素を失うこと、「還元」とは電子や水素を得ることです。

 

つまり、NADが水素を預かってNADHになるのが還元で、NADHが水素を失ってNADに戻るのが酸化です。

 

 

 

 

解糖系では、グルコースからピルビン酸になるまでに「NAD」が還元されて、「NADH」になります。

 

 

 

正確に言うと、「グリセルアルデヒド3リン酸」から「1.3-ビスホスホグリセリン酸」になる反応で、酸化型の「NAD」は、水素(の持つ電子)を預かって「NADH」になります。

 

詳しい説明は以下の記事に書いています。

 

 

解糖系について分かりやすく説明してみた

 

 

 

 

NADは、正確には「NAD+」

 

NADHは、正確には「NADH + H+」と表記します。

 

 

ですが、ここではシンプルに「NAD」と「NADH」と書きます。その理由が知りたい方は以下の記事をご覧下さい。

 

 

クエン酸回路(TCA回路)について分かりやすく説明してみた

 

 

 

 

 

NAD → NADH

 

 

 

こうして解糖系では、NADがNADHに還元されるわけですが、このNADは体内にそう多くありません。

 

 

 

NADHに変わってばかりだったら、NADが枯渇してしまいます。

 

 

 

そうなっては、解糖系も続きません。

 

 

 

なので、還元された「NADH」を、再び「NAD」に戻す必要があります。

 

 

 

それがピルビン酸が「乳酸」に変換される理由です。

 

 

 

 

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NADHからNADへ戻す方法

 

 

 

ピルビン酸を生成するまでが「解糖系」です。

 

 

 

その後、その「解糖系」でできた「NADH」を「NAD」に戻す方法はいくつかあります。

 

 

 

生物の種類や、酸素があるかないか...によって、以下のように分類できます。

 

 

 

  • 好気呼吸

 

  • 嫌気呼吸

 

 

 

 

詳しく説明します。

 

 

 

 

解糖系で還元された「NADH」は、もしこの後ミトコンドリアで代謝されるのであれば、「電子伝達系 でんしでんたつけい」という反応で利用されます。

 

 

 

そこで「NADH」は、預かった水素を渡して(酸化して)、「NAD」に戻ります。

 

 

 

 

その流れは、以下の記事でお話しています。

 

電子伝達系(呼吸鎖)について分かりやすく説明してみた①複合体Ⅰ~Ⅱ

 

 

 

このミトコンドリアでの反応は酸素が必要なので「好気呼吸 こうきこきゅう」と言います。この反応では、乳酸は発生しません。

 

 

 

 

しかし、ミトコンドリアで代謝されない場合もあります。これは酸素を必要としないので「嫌気呼吸 けんきこきゅう」と言います。

 

 

 

この場合は、別の方法で「NADH」を「NAD」に戻します。

 

 

 

 

どうするかというと、「NADH」が預かった水素を「ピルビン酸」に押し付つけます。

 

 

 

この反応を進める酵素を「乳酸脱水素酵素 にゅうさんだっすいそこうそ」と言います。

 

 

ピルビン酸とNADH

 

 

 

 

「NADH」は、持っていた水素を手放したことで「NAD」に戻るのです。

 

 

 

しかし、水素を押し付けられた(還元)ピルビン酸は、乳酸になります。

 

 

 

乳酸

 

 

 

 

「乳酸脱水素酵素」は、「ピルビン酸 → 乳酸」だけでなく、「乳酸 → ピルビン酸」の変換もします。詳しくは後で説明します。

 

 

 

 

こうやって「NADH」の水素をピルビン酸に押し付けて「NAD」を再生させるわけですが、植物が行なう「アルコール発酵」や、乳酸菌が行なう「乳酸発酵」もこれに属します。

 

 

 

呼吸

 

 

 

 

 

この再生の仕組みがあるおかげで、解糖系がストップすることはありません。

 

 

 

 

『心の病は食事で治す / 著者:生田哲』より引用

 

 

血液中の乳酸レベルの上昇が原因で発生する不安障害

 

 

糖類と疲労物質である乳酸のレベルには密接な関係がある。

 

 

その関係は、砂糖や精製されたデンプンを食べれば食べるほど、乳酸レベルが上がることだ。

 

 

では、乳酸レベルが上がると、疲労を感じる以外にどんな問題が発生するのか。

 

 

 

カルシウムは脳の興奮を抑えるはたらきがある。

 

 

このカルシウムにくっつくのが乳酸。

 

 

このため、カルシウムに乳酸がくっついた分だけ、血液中のカルシウムレベルが下がる。こうして脳の興奮が抑えられなくなり、不安になる。

 

 

たとえば、低カルシウム状態は乳酸ナトリウムを注射することによって人工的につくり出すことができる。このとき、脳の興奮が高まり、不安障害の症状が現れる。

 

 

乳酸から水素が取り除かれる(酸化する)とピルビン酸ができる。この反対に、ピルビン酸に水素がくっつく(還元する)と乳酸ができる。

 

 

このように生体ではピルビン酸と乳酸は互いに行ったり来たりしている。

 

 

これを化学では平衡状態にあるという。

 

 

この平衡は、特定の物質を大量に摂取するとピルビン酸が減少し、乳酸が増える方向に移動する。

 

 

その特定の物質というのは、砂糖、カフェイン、アルコールである。これらの物質を多くとると、乳酸が血液中に蓄積し、疲労と不安が発生する。

 

 

幸運なことに、マグネシウム、カルシウム、ナイアシンは、この平衡をピルビン酸が増える方向に移行させる。

 

 

マグネシウムは不安をやわらげ、ナイアシンは乳酸から水素を奪いピルビン酸にする化学反応を助け、乳酸レベルを下げることで、不安の発生を抑える。

 

 

 

 

 

ここまでの話を要約します。

 

 

 

「乳酸」とは、ブドウ糖がピルビン酸に分解されて、ピルビン酸がミトコンドリアで代謝されない場合に、解糖系を止めないためにNADHをNADに戻す為に生じる物質です。

 

 

 

ブドウ糖ですから、元はご飯やパン、甘い物、野菜等...の糖質です。

 

 

 

乳酸はpH程度の酸性物質なので、これが大量に増えると血液が酸性化して、最悪「乳酸アシドーシス」、それを回避するために体が対応した結果が癌や慢性疾患です。

 

 

 

乳酸が生じる理由が分かったところで、次はこの生じた乳酸がどうなるか説明していきます。

 

 

 

乳酸は肝臓に運ばれて、20%はピルビン酸に戻されてミトコンドリアの「クエン酸回路」に入ります。そして、80%はブドウ糖に戻されて再利用されます。

 

 

 

 

 

  • 20%・・・ピルビン酸になってクエン酸回路へ

 

  • 80%・・・乳酸を材料にしてブドウ糖を合成する

 

 

 

ただし、先ほども言ったように、ピルビン酸が「クエン酸回路」へ入るには条件が必要です。ミトコンドリアで代謝するには栄養素や酸素が必要です。

 

 

 

次は80%の、乳酸を材料にブドウ糖を合成する流れについて説明します。

 

 

 

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コリ回路

 

 

 

近年では「乳酸は悪くない、乳酸はエネルギー源だ」と言う意見が主流になっています。

 

 

このように、乳酸のメリットばかりを強調し、乳酸の害をなかったことにしてしまうような表現は問題があると思っているのですが、乳酸がエネルギーになるという部分は間違いではありません。

 

 

 

乳酸がエネルギー源として活用される流れについて説明します。

 

 

 

グルコース(ブドウ糖)が代謝されてピルビン酸になり、ミトコンドリアで代謝できない場合に乳酸になるわけですが、

 

 

この乳酸は、血液にのって肝臓に運ばれます。

 

 

 

 

腎臓と肝臓

 

 

 

そして、肝臓で乳酸は「糖新生 とうしんせい」という反応によって再び「グルコース」に再生されます。

 

 

 

 

「糖新生」とは、糖質以外の材料からブドウ糖を作り出す仕組みのことです。「糖新生」はどこでもできるのではなく、肝臓や腎臓で行なわれます。

 

 

糖質を食事から摂取しなくても大丈夫なのは、この「糖新生」があるお陰です。

 

 

糖新生について詳しくは以下の記事をご覧下さい。

 

 

糖新生の仕組みについて分かりやすく説明してみた

 

 

糖質制限をしているのに血糖値が高いのは、糖新生が原因かもしれません

 

 

 

 

以下が乳酸からの「糖新生」の流れになります。

 

 

 

 

 

乳酸を糖新生する経路

 

 

 

 

そして、乳酸が発生し、エネルギーとして利用される流れはこうです。

 

 

 

 

①筋肉や赤血球でグルコースが代謝されて乳酸が生じる

 

 

②生じた乳酸は血液にのって肝臓(や腎臓)に運ばれる

 

 

③乳酸は「糖新生」によってグルコースに変換される

 

 

④グルコースは血液に放出され再び赤血球や筋肉のエネルギーになる

 

 

⑤①~繰り返し

 

 

 

 

このように、赤血球や筋肉 ⇔ 肝臓・・・と異なる臓器を行き来します。

 

 

 

この反応を「コリ回路」と言います。

 

 

 

 

コリ回路

 

 

 

このように、通常は生じた乳酸は再利用されるので、「乳酸はエネルギー源だから良い物質だ、めでたし、めでたし...」

 

 

 

 

・・・と言いたくなりますが、気になる点があります。

 

 

 

糖新生を行なうにもエネルギーが必要だからです。

 

 

 

 

解糖系では、グルコースからピルビン酸まででATPは分子作られますが、その結果生じた乳酸をグルコースに再利用するにはATPを分子も使ってしまいます。

 

 

 

 

これでは、マイナスATPです。

 

 

 

 

ちなみに、「糖新生」でグルコース1分子を合成する為に必要なATPは、材料によって異なり、どこからスタートするかによって違います。

 

 

 

  • ピルビン酸から・・・・分子のATP

 

  • クエン酸回路から・・・分子のATP

 

  • グリセロールから・・・分子のATP

 

 

 

 

 

ピルビン酸からスタートする乳酸は、糖新生のなかでも最もATPを使う材料だと言えます。

 

 

乳酸を再利用する時の方がエネルギーを消費するのです。

 

 

 

『Wikipedia コリ回路』より引用

 

 

回路

 

 

筋肉が激しい運動の際短い時間に大量のエネルギーを必要とすると、筋肉細胞は嫌気的なグルコース分解を行って大量のアデノシン三リン酸 (ATP) を作り出す。

 

 

この際に副産物として生成された乳酸が血液の流れに乗って肝臓に運ばれて、乳酸脱水素酵素によってピルビン酸に変換され、その後糖新生によってグルコースが再生される。

 

 

グルコースは血中に放出されて赤血球や筋肉で再びエネルギーとして使われる。

 

 

 

ATPの数を見てみると、1回あたり嫌気呼吸で2分子のATPが生成し、糖新生で6分子のATPが消費されるため、正味4分子のATPが減少している。

 

 

このためコリ回路はエネルギー消費系(同化過程)である。

 

 

重要性

 

 

コリ回路の重要性は、嫌気的な条件下で筋肉の乳酸アシドーシスを防ぐところにある。

 

 

乳酸は化学反応の末端であり、酵素によってピルビン酸に変換される他ない。

 

 

 

 

「乳酸アシドーシス」とは、乳酸が溜まって、血液の酸性度が高くなりすぎた状態のことです。

 

 

 

コリ回路の重要性は、嫌気的な条件下で筋肉の乳酸アシドーシスを防ぐことにある・・・と書いてあるので、

 

 

 

乳酸の変換は、エネルギーとしてあてにすることがメインではなく、あくまで、NADHをNADに戻す為の変換、乳酸アシドーシスの回避の為の変換・・・という意味合いが強いのではと考えられます。

 

 

 

 

乳酸が発生して、コリ回路でグルコースに変換すればするほどエネルギー物質「ATP」が減っていくわけですから、優れたエネルギー源とは言えません。

 

 

 

 

ちなみに、マイナスATP...と聞くと、私はこの話を思い出します。

 

 

『精神科医こてつ名誉院長のブログ グルコースと脂肪酸、ATPで考える』より引用

 

 

2)嫌気性解糖だけではATP不足で生きてゆけない

 

 

 

B1不足の脚気ではピルビン酸をアセチルCoAに変換できない

 

 

好気性解糖に入れないため、米を食べれば食べるほどマイナスATPとなる

 

 

ATP作成のため体内の脂肪酸と筋肉を燃焼させるが、それが尽きれば痩せ細って死亡する

 

 

 

ガンも同じ、ガンは嫌気性解糖のみを行うためマイナスATPとなる

 

 

体内の脂肪酸と筋肉を燃焼させるが、それが尽きれば痩せ細って死亡する

 

 

やはり、脂肪酸を十分量摂取することが必要

 

 

 

 

「乳酸はエネルギー物質だから悪くない」という話になってはいますが、

 

 

 

生じた乳酸をエネルギーに変換すればするほどATPが減る・・・というのは疲労の原因じゃないのかと突っ込みたくなります。

 

 

 

 

このような側面がある以上、乳酸はエネルギーとして頼りすぎてはいけないということです。

 

 

 

 

次は、乳酸をエネルギー源に変える為に必要な要素があるので、そのことについてお話しておきます。

 

 

 

それは、「乳酸脱水素酵素」と、そのサポートをする補酵素「NAD / NADH」です。

 

 

 

乳酸脱水素酵素とナイアシン

 

 

 

乳酸をエネルギー源にする為には、まず、乳酸をピルビン酸に変換する必要があります。

 

 

ここで、ピルビン酸を乳酸にする時に働いた「乳酸脱水素酵素(乳酸デヒドロゲナーゼ)」が働きます。

 

 

これは、ピルビン酸と乳酸を相互変換する酵素で、全ての細胞にあります。

 

 

補酵素は電子伝達体の「NAD / NADH」です。

 

 

 

乳酸脱水素酵素は、「糖新生」では、乳酸をピルビン酸に変換します。

 

 

 

 

乳酸

 

 

ピルビン酸

 

 

 

 

「乳酸脱水素酵素 にゅうさんだっすいそこうそ」は、血液検査では「LDH(lactate dehydrogenase)」と表示されています。

 

 

 

基準値は120~240なのですが、これが低すぎると、乳酸をエネルギーにする力が弱いので「糖新生」が上手く機能しません。その場合、乳酸がたまりやすいです。

 

 

 

 

  • 200台前半・・・疲れやすい

 

  • 140未満・・・ナイアシン欠乏が深刻

 

 

 

 

LDH値が基準値よりも高い場合は、以下が考えられます。高すぎるのも問題です。

 

急性肝炎、肝硬変、急性心筋梗塞、悪性貧血、悪性腫瘍、白血病、悪性リンパ腫、その他激しい運動、溶血...等

 

 

 

LDHが不足する原因は「タンパク質不足」と「ナイアシン不足」が考えられます。

 

 

というのも、「乳酸脱水素酵素」は酵素です。

 

 

酵素はタンパク質でできているので、タンパク質が不足すると、当然酵素も不足します。

 

 

 

そして、「乳酸脱水素酵素」の補酵素は、「NAD / NADH」です。

 

 

 

この合成には「ナイアシン(ビタミンB3)」が必要です。その為、ナイアシン不足でも働きが低下します。

 

 

 

乳酸を変換させるには、酵素であるタンパク質と、補酵素であるナイアシンを不足させないようにする必要があります。

 

 

 

  • 乳酸脱水素酵素の材料・・・タンパク質

 

  • 補酵素NADの元・・・・・ナイアシン

 

 

 

 

ここまで、乳酸をグルコースに変換することでエネルギーにする話をしてきました。

 

 

 

一方で、乳酸には別のエネルギーの使い方があるので、それについてもお話しておきます。

 

 

 

 

この乳酸をエネルギーにする細胞がいるのです。

 

 

 

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乳酸をエネルギー源にするニューロン(神経細胞)

 

 

 

乳酸の効果的な使われ方を知るために、脳の細胞のエネルギー代謝の仕組みについてお話します。

 

 

 

 

 

脳の細胞は大きくわけて種類あります。

 

 

 

「ニューロン(神経細胞)」と「グリア細胞」です。

 

 

 

以下が「ニューロン(神経細胞)」です。思考する細胞で、ミトコンドリアが多いです。

 

 

ニューロン(神経細胞)

 

 

 

 

一方、「グリア細胞」は「ニューロン(神経細胞)」のサポート役で、思考はしません。ただし、数はニューロンの10倍以上だそうです。

 

 

 

「グリア細胞」はいくつか種類があり、「中枢神経系」と「末梢神経系」で少し異なります。

 

 

 

 

  • ニューロン(神経細胞)・・・思考する

 

  • グリア細胞・・・・・・・・・思考しない

 

 

 

 

 

 

「脳にはブドウ糖が必要」と言われていますが、実は、ブドウ糖をエネルギーにしているのは、考える細胞「ニューロンで」はなく、「グリア細胞」の方なのです。

 

 

 

「ニューロン」のエネルギー源は、ブドウ糖ではなく、「ケトン体」と、「グリア細胞のエネルギー代謝で生じた乳酸」になります。

 

 

 

 

  • ニューロンのエネルギー源・・・ケトン体、乳酸

 

  • グリア細胞のエネルギー源・・・ブドウ糖

 

 

 

 

 

『体内年齢がよみがえる科学 ケトン体革命―究極のアンチエイジング理論― / 著者:佐藤拓巳』より引用

 

 

 

脳内でブドウ糖を取り込むのは、実は神経細胞ではない。

 

 

その周囲に数多くあるグリア細胞である。

 

 

グリア細胞はブドウ糖を取り込んで、乳酸という最も代謝しやすい分子に変換し、神経細胞に渡す。

 

 

 

この過程は鳥の親がヒナに、半分消化した食物を吐き出して与えるのとよく似ている。

 

 

 

神経細胞は、鳥のヒナと同じように大変に世話のかかる細胞なのである。

 

 

 

実は成人の脳では神経細胞の10倍の数ほどのグリア細胞があり、脳は神経細胞の臓器ではなく、グリア細胞の臓器なのだ。

 

 

 

しかも、乳酸が神経細胞のエネルギー基質となる。

 

 

 

グリア細胞で行なわれる「ブドウ糖から乳酸への転換」はゆっくりとしか進まない。
従って血中のブドウ糖を増やしても、神経細胞に渡される乳酸の量は殆ど変わらない。

 

 

だから頭脳労働するからといって糖質を体内に投入しても、神経活動はまず増加しない。それどころか、低血糖症が起こり、神経活動が抑制されるのである。意図とは逆の結果が表れることになる。

 

 

これに対してケトン体は、グリア細胞における化学変換が必要ない。

 

 

ケトン体は直接神経細胞のミトコンドリアに取り込まれて、神経細胞の働きを上げることができる。

 

 

絶食の経験のある人ならわかるが、絶食をして3日後くらいから、頭がさえて、アイディアがどんどん生まれるようになることがある。

 

 

これは肝臓で大量のケトン体が生産されて、脳にある神経細胞のミトコンドリアに直接作用するからである。

 

 

(28p~30p)

 

 

 

図にするとこんな感じです。

 

 

 

 

グリア細胞のエネルギー源はグルコースで神経細胞のエネルギー源は乳酸

 

 

 

脳では、「グリア細胞」がグルコースを代謝して生じた乳酸を、「ニューロン」がエネルギー源にする・・・という仕組みになっています。

 

 

 

このような関係が筋肉でもあります。

 

 

 

グリア細胞にあたるのが「速筋」、神経細胞にあたるのが「遅筋」です。

 

 

 

 

というわけなので、次に乳酸と筋肉の話をします。

 

 

 

 

速筋と遅筋

 

 

 

筋肉は、「速筋」と「遅筋」の2タイプがあり、両者は性質が違います。

 

 

 

 

速筋の働きとエネルギー源

 

 

「速筋 そっきん」とは、瞬間的に大きな力を出す筋肉です。イメージとしては、ヒラメが獲物をパクッと捕らえる時のような動きです。

 

 

 

人間がする運動で言うと、全速力で走ったり、ジャンプしたり、重いものを持ち上げたりする動きです。

 

 

 

「速筋」のエネルギー源は糖質です。

 

 

 

しかし、筋肉に少ししかなく、すぐに枯渇してしまうので、長く力を出し続けることはできません。

 

 

 

どちらかというと、いざという時に使う筋肉なので、長時間の乱用には向いていないです。

 

 

 

従って普段使いの筋肉ではありません。ヒラメに限らず、獲物を瞬間的に仕留める動物は、動く時までじーっとしていますし、普段ぐうたら寝ていたりします。

 

 

 

フルパワーはずっと続かないということです。

 

 

 

速筋の特徴

 

  • 瞬間的に大きな力を出す(収縮の速度が速い)

 

  • 長時間の使用は向かない

 

  • エネルギー源は糖質

 

 

 

速筋は白い色をしているので、別名は「白筋」です。

 

 

 

「ミオグロビン」という酸素を貯蔵する赤色のタンパク質が少ないので、白い色をしています。ちなみに、ヒラメは白いです。

 

 

 

 

 

遅筋の働きとエネルギー源

 

 

 

「遅筋 ちきん」とは、力は小さくて長時間運動を続ける事ができる筋肉です。運動のイメージは、ゆったりと泳ぎ続けるマグロのような動きです。

 

 

 

人間がする運動でいうと、ジョギングやエアロビクスや水泳等です。

 

 

 

「遅筋」のエネルギー源は、「脂肪」と「速筋で発生した乳酸」です。

 

 

 

 

 

遅筋の特徴

 

  • 力が小さい(収縮の速度が遅い)

 

  • 長時間の使用に向いている為普段使いできる

 

  • エネルギー源は脂肪と乳酸

 

 

 

遅筋は赤い色をしているので、別名は「赤筋」と言います。

 

 

赤色のタンパク質(酸素を貯蔵するミオグロビン)を多く含んでいるからです。遅筋の動きが多いマグロは、ミオグロビンが多いので赤身が多いです。

 

 

 

遅筋は、ミトコンドリアが多いです。

 

 

 

 

 

・・・はい。これらの特徴は、「ニューロン(神経細胞)」と「グリア細胞」の関係と似ていますね。

 

 

 

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乳酸をエネルギー源にする遅筋

 

 

 

ここで、話を乳酸に戻します。

 

 

 

「グリア細胞」のエネルギー代謝で発生した「乳酸」を、「ニューロン」がエネルギー源にするように、

 

 

 

 

「速筋」で生じた乳酸は、「遅筋」に運ばれてエネルギー源として活用する仕組みになっています。

 

 

 

 

  • 速筋のエネルギー源・・・糖質

 

  • 遅筋のエネルギー源・・・脂肪、乳酸

 

 

 

 

以下を読むと、速筋と遅筋のエネルギー代謝の違いがよく分かります。長いので3分割にします。

 

 

 

 

『健保のつぶやき さすが萩原さん 素晴らしい』より引用

 

 

佐藤さん、2時間は無理ですよ。

 

 

 

人間の体内に留め置ける、糖の量は、たかだか、50キロの人で、「500グラム未満」ですから、学者によったら、もっと少ないという学者もいますからね、それらが、普通に、500グラムだけで、血糖や、筋肉や、脳等で代謝される分と、肝臓の備蓄分等で、2時間は無理でしょう。

 

 

 

いくらブドウ糖添加の水分を要所要所で、補給しても、「有酸素運動」の基本は、「脂質」ですから・・そもそも、「糖は嫌気的解糖作用の時だけ代謝される」のですよ。

 

 

 

有酸素の時は、脂質なんですよ。

 

 

 

40キロを嫌気的解糖作用でやっていたら、乳酸地獄になって、コリ回路も間に合わないから、筋肉痛で走れなくなりますよ。それ以前に、呼吸しないと死んでしまう。

 

 

 

呼吸してるっていうことは、酸素と脂質でミトコンドリアでエネルギーを使ってるということなんですよ。

 

 

 

アスリートの人は、「嫌気的解糖」の本当の意味を理解していない人が、多いですね。

 

 

 

「※酸素を使わないで、速筋を利用するときに、糖が代謝され乳酸が分泌されるのです。」「息をとめた時だけ、糖を代謝するのです。」

 

 

 

逆に言えば、「呼吸していたら、筋肉内では、糖は代謝されないのです。」

 

 

 

この大原則をほとんどの人がしらないから、運動の前や、運動中に、スタミナスタミナとか言って、糖を摂取して、調子悪くなるのですよ。

 

 

 

 

 

全然違います、糖代謝は、まず①赤血球の解糖系の代謝 ②グリア細胞の解糖系の代謝 ③息を止めて踏ん張るような時、筋肉内の速筋、いわば嫌気的解糖系の代謝 がメインです。

 

 

 

ですから、普通に運動していない時の代謝は、①と②がメインなんです。

 

 

 

重量挙げ等の運動をする時に筋肉の速筋で糖代謝が起きる時以外は、糖は代謝されていないのです。

 

 

 

もっぱら、①と②です。

 

 

 

代謝ではありませんが、備蓄分の糖が肝臓と筋肉と骨等に備蓄されていますが、これらを合わせると、体重50キロの人で、おおよそ500グラム未満なのです。

 

 

 

この数字は一定にしないと、ダメなのです。

 

 

 

だから、糖代謝をターゲットにした、無酸素運動は、ダイエットにはなりません。

 

 

 

何度も言いますが、瞬発力で、無酸素で、嫌気的解糖作用の亢進を引き起こしても、乳酸が分泌されて、コリ回路により、また、筋肉内に糖が戻ってくるのですよ。いたちごっこですし、糖の備蓄分を代謝させても無意味ですし、無駄なことになります。

 

 

 

体内組成の糖の量を一定に保つために、過剰に糖質を摂取した時に、インシュリンが分泌されて、中性脂肪に変換されるのですよ。

 

 

 

糖が変化した中性脂肪をターゲットにするダイエットが正しいダイエットのあり方になるのです。

 

 

 

ダイエットはあくまでも、酸素と脂質で、ミトコンドリアでエネルギーを産生する方式を目指すべきなのです。

 

 

 

無酸素はダイエットになりません。糖代謝を目指したダイエットはダイエットにならないのです。ご理解いただけたでしょうか?

 

 

 

 

佐藤さんが言うパフォーマンスというのは、いわゆるアスリートのパフォーマンスで、解糖系が入っている、瞬発力+持久力の話ですよ。

 

 

 

私が言ってるのは、駆け引きや、勝負や、自分の記録の更新を狙うような人の話ではないですよ。

 

 

 

健康の為、ダイエットの為、有酸素運動だけで、長距離をマイペースで走ろうという人の話です。

 

 

 

競技志向や、それなりの目標を持った人は、必ず、走っていても酸素を吸っていても、微妙に踏ん張って、無酸素に近い状態が何度も起きるのですよ、その時に糖代謝が起きるのです。

 

 

 

だいたいそういう場合、呼吸が乱れますが、極端な話散歩していても、少しコースを変えて階段を上るようなコースに変えただけで、瞬発力が必要になり、嫌気的解糖が起きるんですよ。

 

 

 

だから、何か目標を持って走る人や、ダイエットだけ、健康の為だけ、と言う人では、同じ有酸素運動でも、その内容は、変わってくるのですよ。

 

 

 

 

 

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乳酸の毒性を忘れてはいけない

 

 

 

乳酸はエネルギー源になるので、全く悪いわけではありません。

 

 

 

ですが、たくさんあればいい・・・というわけでもありません。

 

 

 

むしろ、蓄積すると有害なので、こちらの方を警戒するべきです。

 

 

 

例えば、「脳腫瘍」という病気があります。

 

 

 

これは、「ニューロン(神経細胞)」が癌化したものではなく、乳酸を発生させる「グリア細胞」が癌化したものです。

 

 

 

原因は乳酸の蓄積です。

 

 

 

 

このように、乳酸を処理する仕組みがあるからといっても過剰になると不具合が出てきます。

 

 

 

 

『ガンの特効薬はミトコンドリア賦活剤 酸化・糖化・炎症・毒・栄養障害は乳酸がカギ』より引用

 

 

人体の酸化の1番の原因は、乳酸の蓄積です。

 

 

乳酸は具体的な数値を伴って、細胞や血液を酸化させます。

 

 

乳酸が細胞をpH5~6に酸化させ、血液をpH7.3以下に酸化させます。

 

 

ミトコンドリアはpH7.35以上の弱アルカリ性でないと活動できないので、乳酸の蓄積によってATP不足と細胞の障害という致命的な不具合を招きます。

 

 

ブドウ糖=乳酸×2です。

 

 

乳酸はブドウ糖を2つに割っただけの、単純な糖です。

 

 

余った糖(乳酸)は、毒性を持ちます。

 

 

毒性を発揮した糖は、タンパク質を劣化させ、AGEs(アクリルアミドなど)を作ります。

 

 

乳酸の蓄積による劣化が、老化や病気の原因です。

 

 

ガン細胞が分泌する乳酸が、慢性炎症の根本原因です。

 

 

ミトコンドリア機能不全のガン細胞は、必ず乳酸が蓄積し、大量の乳酸を分泌します。

 

 

蓄積した乳酸は、炎症性サイトカインであるIL-6・IL-23・IL-17などを増強し、慢性的な炎症を起こし続けます。

 

 

慢性炎症はガン・慢性病の原因であり、細胞を焼き続けて破壊します。

 

 

毒と言えば、水銀などの重金属やトランス脂肪酸などの化学物質を想像します。

 

 

しかしミトコンドリア毒は、それだけではありません。

 

 

体内で作られる「毒性を持った乳酸」が、最も恐ろしい毒です。

 

 

毒性で水銀より劣る乳酸ですが、蓄積される量が圧倒的に多いのです。

 

 

ワクチンなどに水銀が仕込まれていますが、普通はそんなに水銀を入れ続ける事はありません。

 

 

しかし食事の6~8割が精製糖質の現代人は、無尽蔵に乳酸を作り続けています。精製糖質が毒性を持った乳酸に変わることを知らない現代人は、間違った食生活を変えようとしません。

 

 

病気になっても病気の原因を入れ続けるので、病気が治るはずもありません。

 

 

精製糖質を摂るようになってから、日本は脚気というミトコンドリア病=乳酸アシドーシスに苦しめられてきました。

 

 

ビタミン・ミネラルなどを削ぎ落とし、破壊している現代食は、乳酸を溜めるには理想的な食事です。

 

 

クエン酸回路や電子伝達系の図を見るとよくわかるのですが、ビタミンB群やミネラルが不足すると、ブドウ糖はクエン酸回路に入れません。

 

 

結果的にブドウ糖は乳酸に変わり、細胞や血液に蓄積していきます。

 

 

精製糖質を過剰摂取し、ビタミン・ミネラルなどが不足している現代人は、間違いなく栄養障害です。

 

 

栄養障害が乳酸の蓄積を生み、病気を蔓延させています。

 

 

栄養障害が乳酸を蓄積させ、余った(蓄積した)乳酸が毒性を持ちます。

 

 

乳酸が酸化・糖化・炎症を引き起こし、老化・病気の原因です。

 

 

乳酸がミトコンドリア機能不全を拡散し、人体を劣化させています。

 

 

乳酸という明確なターゲットを意識して、病気の予防・治療をしましょう。

 

 

日本にも本気で病気を治す「名医」が増えていますが、まだ「乳酸の毒性」に気付いていない人がほとんどです。

 

 

「活性酸素」の陰に隠れて、真の黒幕である「乳酸」に気付けないのです。

 

 

 

「エネルギー源」という局所に注目して評価するのではなく、「蓄積の有害性」を含めた大局を見るべきです。

 

 

 

乳酸の蓄積による慢性疾患が多いのですから、そう断言します。

 

 

 

 

また、「疲れの原因は乳酸ではなく活性酸素である」・・・という説もありますが、乳酸は活性酸素の原因です。

 

 

 

 

乳酸が酸化、糖化、炎症を引き起こします。酸化とは活性酸素によって劣化した状態です。

 

 

 

 

乳酸をなくす方法

 

 

 

乳酸をエネルギー源にする為に、「乳酸脱水素酵素」であるタンパク質と、その補酵素「NAD / NADH」の元であるナイアシンを不足させないようにすることが重要だとお話しましたが、ここでは乳酸をなくす方法を紹介します。

 

 

 

 

『藤川徳美医師 facebook 2017年3月7日』より引用

 

 

 

筋肉がかたいということは、伸縮がスムーズにゆかず、フィラメントのすべり運動がうまくゆかないことでしょう。

 

 

ふつうの人の場合、これは乳酸の蓄積またはフィラメントの酸化によっておこります。

 

 

いわゆる筋肉のコリがそうです。

 

 

この乳酸をなくす方法は二つあります。

 

 

 

一つは、ビタミンB1によって、これを二酸化炭素と水にまで分解してしまう方法です。

 

 

もう一つは、細胞膜の透過性をビタミンEによって正常化して、乳酸を筋肉細胞から外に追い出す方法です。

 

 

むろん、両者の併用が理想的なわけで、これは肩凝りをほぐす方法にもなります。

 

 

T嬢の場合、筋肉は頻繁に収縮を繰り返しますが、ビタミンB1が不足していれば、そのつど乳酸が発生します。

 

 

だから、筋肉がかたくなるのは当然といえるでしょう。

 

 

一方、筋肉の収縮にはエネルギーを必要としますが、そのエネルギーは、脂肪酸、グリコーゲン、クレアチンリン酸などから作られます。

 

 

筋肉がかたくなっているのは、こういうもののストックが底をついている証拠でもあるのです。

 

 

このうちクレアチンリン酸は、ビタミンEがないと、筋肉中に保持されません。

 

 

このビタミンがなかったら、クレアチンリン酸は、利用されることなしに、尿に出て行ってしまいます。

 

 

 

 

それぞれのビタミンの役割をまとめます。

 

 

 

 

  • ビタミンB1・・・乳酸を二酸化炭素と水まで分解する反応に必要

 

  • ビタミンE・・・・乳酸を筋肉細胞から追い出す、クレアチンリン酸を筋肉中に保持する

 

 

 

「乳酸は疲労物質ではない」と言われているのですが、このように疲労物質だと仮定してビタミンを使うと効果がでるところをみると、やはり疲労物質ではないか・・・とも思うわけです。

 

 

 

 

以下の話を読むと特にです。

 

 

 

『精神科医こてつ名誉院長のブログ 三石理論 ビタミンB1 注射の効果』より引用

 

 

冬になると、私はスキーを楽しむことにしている。

 

 

数年前まで、一行の中に高校生がいた。われわれの仲間は、習慣のようにビタミンB1、100mgの注射を、毎晩やったものだ。

 

 

高校生氏は、これをバカにしたように横目で見ていた。

 

 

毎日5時間も雪の上を滑っていると、初日はともかく、三日目ぐらいになると、筋肉痛で苦しみだすのが通例といってよい。

 

 

ところが、ビタミンB1の大量投与をやっていれば、そういうことにならないのだ。

 

 

さすがの若者も、注射の効果を目のあたりに見て、自分にもしてくれと頼むようになった。

 

 

このような例は、一つや二つではない。

 

 

 

筋肉疲労の原因物質が乳酸であってみれば、ビタミンB1の効果が期待されてよいわけだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

40年前の話なので、医療関係者でなくても注射ができた様子。

 

 

B1、100mgの注射はやはりかなり強力です。

 

 

以前話したように、注射後1時間以内に体内の乳酸を処理してしまうようです。

 

 

つまり、乳酸がなくなるということは、ガンの餌がなくなるということになる。

 

 

 

”糖質はガンの餌”という言葉があるが、正確に記すと”糖質により生じた乳酸がガンの餌”という表現の方が正しいと考えている。

 

 

 

 

私は現実に起こっている事を重視するので、「乳酸は疲労物質である」という考えを無視することはできません。

 

 

 

 

以下の記事でも説明しましたが、乳酸の本当の害に気付かせない為に、「疲労」や「筋肉」という局所に目を向けさせることで、乳酸の怖ろしさを煙に巻いている可能性があります。

 

余命わずかの末期癌患者が退院できたのは病院での栄養療法のおかげだった!

 

 

 

また、そういう説を唱える専門家が脚光を浴びるような社会になっています。

 

 

教育と洗脳は紙一重、確認をしなければどんな学問もただの信仰である

 

 

 

 

乳酸の害を大したことがないように捕らえている情報に注意した方がいいでしょう。

 

 

 

 

 

まとめ

 

 

 

ポイントを整理します。

 

 

 

  • ミトコンドリアで代謝できない場合、ピルビン酸は乳酸になる

 

 

  • ピルビン酸が乳酸に変換される理由は、解糖系で生じた「NADH」を「NAD」に戻す為

 

 

  • 乳酸をエネルギー源にする為の「コリ回路」は、ATPを4分子失う

 

 

  • 解糖系に依存した細胞から生じた乳酸は、別の細胞のエネルギー源になる

 

 

  • 乳酸は酸化、糖化、炎症を引き起こす

 

 

  • 乳酸をピルビン酸に変える「乳酸脱水素酵素」はタンパク質、補酵素の「NAD / NADH」はナイアシンが材料

 

 

  • 乳酸をなくすには、ビタミンB1とビタミンEを摂取する

 

 

 

 

グルコース(ブドウ糖)をエネルギー源にする場合は、以下のようになります。

 

 

 

ピルビン酸から乳酸になる流れ

 

 

 

 

このブログでは糖質の危険性をうったえているので、「糖質を控えて脂質をエネルギーにする方が良い」・・・と言っています。

 

 

 

 

しかし、糖質を控えられない人がいます。例えば以下のような方達です。

 

 

 

  • 体質的に糖質制限ができない人

 

  • 糖質制限をしているが、付き合いでたまに糖質を食べる人

 

  • 思想の為のベジタリアン

 

  • 家族の食事とは別に糖質制限食を作るのが難しい人

 

  • 仏壇のお供え物を食べる習慣がある人

 

  • 強度の運動をする為にエネルギー源として糖質が必要な人

 

 

 

 

糖質を摂られる方は、右の代謝し切る方法を選ぶと健康的です。

 

 

 

具体的な対策は、以下の記事でお話しています。

 

ベジタリアンや糖質を止められない人が、健康の為に摂っておきたい栄養素とは

 

 

 

最悪「乳酸」が発生しても、消費しきれるレベルに抑えるというのもポイントです。ただし、「糖新生」にはATPを6分子消費するので、その点は注意が必要です。

 

 

 

 

 

そして、図を見てもらったら分かると思いますが、ミトコンドリアで代謝する場合、「解糖系」と「クエン酸回路」と「電子伝達系」で得られるATPは、合計で38分子です。

 

 

 

 

しかし、乳酸が発生するルートは、「解糖系」で得られるATPだけになります。グルコース1分子からはATPは2分子なので、少ないです。

 

 

 

 

低エネルギーなので体温も低くなります(癌患者は35度台です)。

 

 

 

 

そして、ATPの生産数が少ないので、足りない分を速さで稼ぐ仕組みになっています。その為、「解糖系」は、ミトコンドリアでのATP生産よりも100倍近く速いです。

 

 

 

 

糖質はすぐにエネルギーになる・・・というのはこの為です。

 

 

 

一見、良い事のように聞こえますが、悪い面もあります。

 

 

 

「解糖系」だけに依存するとエネルギーが足りないので、体はとりあえずATPの数を稼ごうとします。

 

 

 

その為、糖質が止められなくなります。

 

 

 

 

これは、とりあえずエネルギーをよこせ・・・という体の反応です。

 

 

 

 

体には乳酸を処理する仕組みがありますが、なるべく溜めないように心がけた方が良いです。

 

 

 

余命わずかの末期癌患者が退院できたのは病院での栄養療法のおかげだった!

 

 

 

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筋萎縮性側索硬化症やアルツハイマー病等の神経変性疾患に栄養療法が効果的な理由

 

 

ほとんどの人は栄養療法で難病を治療する事に関心を持ちません。

 

 

 

病気は病院で治すもの、薬で治すものという考えだからです。

 

 

 

ですが、癌や膠原病等、治すのが難しい慢性疾患が栄養療法で改善した例がでてきました。

 

余命わずかの末期癌患者が退院できたのは病院での栄養療法のおかげだった!

 

 

 

そして、最近では難病である「多発性硬化症(MS)」がほぼ完治したという話まででてきました。

 

神経難病である多発性硬化症(MS)が半年でほぼ完治した治療法

 

 

 

「難病」と聞くと、凄く難しいと思ってしまいますが、治ったメカニズムを調べると実にシンプルです。

 

 

従って、私は他の難病も栄養療法で改善できると考えています。

 

 

 

そこで、以下の記事で難病である「筋萎縮症 きんいしゅくしょう」について話をしました。

 

 

筋萎縮症という難病の原因と根本的な治療法について考えてみた

 

 

 

本記事はこの続編になります。

 

 

 

「筋萎縮症」とは筋肉が萎縮する病気なのですが、タイプが2種類あります。

 

 

 

一つは「筋肉そのものがダメージを受けて萎縮していく」もの、

 

 

 

そしてもう一つは、「筋肉をコントロールしている神経細胞がダメージを受けて、その結果筋肉が萎縮する」ものです。

 

 

 

結果は同じですが、原因が違います。

 

 

 

「筋萎縮性側索硬化症 きんいしゅくせいそくさくこうかしょう(ALS)」という疾患があるのですが、これは後者で、神経細胞が死んでいく「神経変性疾患」になります。

 

 

 

この疾患の原因や改善方法について調べたのですが、情報が少ないです。

 

 

 

 

そこで、少し大局的にみることにしました。

 

 

 

同じ「神経変性疾患」であるアルツハイマー病や、パーキンソン病は栄養療法で改善したという情報が多いです。

 

 

 

なので、これら「神経変性疾患」の本質をみることで、「筋萎縮性側索硬化症」の原因や改善方法を考えることにしました。

 

 

 

種類が違っても、神経細胞が死ぬという特徴は同じだからです。

 

 

 

『がんの漢方治療と補完・代替医療 銀座東京クリニック 神経変性疾患とケトン食』より引用

 

 

神経変性疾患とは、様々な原因により脳内の様々な部位で神経細胞が病的に死滅してしまうために生じる疾患の総称です。

 

 

疾患ごとに障害を受けやすい神経細胞の種類がある程度決まっており、障害される神経細胞の働きにより疾患の症状が決まります。

 

 

アルツハイマー型認知症は記憶を担当する神経細胞(海馬など)の障害であり、筋萎縮性側索硬化症(ALS)は運動を担当する神経細胞(運動ニューロン)の障害です。

 

 

パーキンソン病は運動を調節する神経細胞のうちドパミン神経の障害で、脊髄小脳変性症は運動を調節する神経細胞のうち小脳などの障害です。

 

 

 

 

 

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神経変性疾患の種類と特徴

 

 

 

「神経変性疾患」は、以下のように分けられます。

 

 

 

  • スムーズな運動が出来なくなる

 

  • 体のバランスが取りにくくなる

 

  • 筋力が低下する

 

  • 認知機能が障害される

 

 

 

 

『順天堂大学医学部付属順天堂医院 脳神経内科 変性疾患部門(変性疾患とは)神経変性疾患とは』より引用

 

 

神経変性疾患とは脳や脊髄にある神経細胞のなかで,ある特定の神経細胞群(例えば認知機能に関係する神経細胞や運動機能に関係する細胞)が徐々に障害を受け脱落してしまう病気です.

 

 

残念ながらまだ原因はわかっていません。脱落してしまう細胞は病気によって異なっています。

 

 

 

大きく分けるとスムーズな運動が出来なくなる病気,体のバランスがとりにくくなる病気,筋力が低下してしまう病気,認知能力が低下してしまう病気などがあげられます.

 

 

1 スムーズな運動が出来なくなる病気:

 

パーキンソン病,パーキンソン症候群(多系統萎縮症,進行性核上性麻痺など)など

 

 

 

2 体のバランスが取りにくくなる病気:

 

脊髄小脳変性症,一部の痙性対麻痺など

 

 

 

3 筋力が低下してしまう病気:

 

筋萎縮性側索硬化症など

 

 

 

4 認知機能が障害されてしまう病気:

 

アルツハイマー病,レビー小体型認知症,皮質基底核変性症など

 

 

神経変性疾患がどのような機序で、なぜ特定の人に起きるのか、始まりはいつなのかも含めてあまりよくわかっていませんが,高齢者に発病しやすい傾向があることから、加齢そのものがリスクであると考えられています.

 

 

患者さんの家族が同じような症状を持っている事は少ないですが(弧発性),一部の患者さんは血のつながった家族の中に同じ症状、もしくは似た症状を持った方がいて遺伝する事が分かっています(家族性)。

 

 

最近の研究の進歩により私たちの施設から世界的にも有名なパーキンソン病の原因遺伝子が発見されましたが、さらに多くの遺伝子、蛋白が世界各国で発見されそれらの機能が調べられています.

 

 

その結果異常な機能を持った蛋白や、必要がなくなった蛋白が分解されずに細胞内にたまってしまい,ミトコンドリアと呼ばれる細胞内でエネルギーを供給する小器官の機能障害、活性酸素を始めとした細胞にとって毒となる成分の暴露が発病に関与するのではないかと考えられています.

 

 

 

>脱落してしまう細胞は病気によって異なっています。

 

 

 

・・・とあるので、どこがダメージを受けるかは、その人の遺伝的な弱点が関係すると思われます。

 

 

 

本質は、どこの神経細胞であれ、そもそも何故神経細胞が壊れるのかです。

 

 

 

 

 

神経細胞(ニューロン)が壊れるわけ

 

 

 

神経細胞は何故壊れるのか・・・

 

 

そのヒントが「認知症の治療は薬より食事改善の方が効果的だ」という話にあります。

 

 

 

『藤川徳美医師 facebook 1月2日』より引用

 

 

高タンパク/低糖質食が継続できればアルツハイマー型認知症は進行しない

 

 

用語の解説;

 

 

HDS-R(長谷川式認知症スケール);日本で最も用いられている認知症テスト、30点満点で20点以下なら認知症。

 

 

数唱;100-7の計算や数字の逆唱などの計算、4点満点でレビー小体病(DLB)では低下しやすく、アルツハイマー型認知症(SDAT)では保持される。

 

 

遅延再生;覚えてもらった三つの言葉を後で思い出してもらう。6点満点でDLBでは保持され、SDATでは低下する。

 

 

MMSE;世界で最も用いられている認知症テスト、30点満点で20点以下なら認知症。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

症例1;70代前半の男性、奥さんとともに来院。

 

H26.9、

 

HDS-R20、数唱4/4、遅延再生2/6。

 

MMSE21。

 

診断、SDAT。

 

 

元々甘い物好き。奥さんに高タンパク/低糖質食を指導し、以後奥さんが食事管理をきっちり行っている。

 

H29.10、

 

HDS-R20、数唱4/4、遅延再生2/6。

 

MMSE21。

 

認知症症状の進行はない。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

症例2;80代前半の女性、娘さんとともに来院。

 

H26.10、

 

HDS-R17、数唱3/4、遅延再生1/6。

 

MMSE22。

 

診断、SDAT。

 

 

元々一人暮らしをしていたが、認知症症状が目立つようになったため娘一家と同居するようになった。娘さんに高タンパク/低糖質食を指導し、以後娘さんが食事管理をきっちり行っている。

 

H29.10、

 

HDS-R26、数唱4/4、遅延再生4/6。

 

MMSE23。

 

認知症症状は改善している。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

SDATは慢性に進行する認知症で、毎年HDS-Rで3点程度ずつ低下すると言われている。

 

 

レミニールなどの抗認知症薬は、認知症を改善させるものではなく、1~2年進行を緩やかにする作用。

 

 

上記の症例でも薬は使用しているが、薬の効果より食事改善の効果が圧倒的に大きいと判断している。

 

 

SDATは最近では3型糖尿病と言われており、糖質の過剰摂取により発症して進行する。

 

 

患者の食歴を聞くと、大盛りご飯に漬け物や、饅頭などの甘い物好きの人がとても多い。何十年もそのような食事をしてきたことが原因である事は明らかであり、年単位で高タンパク/低糖質食を行うと、認知症の進行を抑制でき、改善する場合もある。

 

 

本当言えば、B50、ナイアシン、C、Eなどのメガビタミンを加えればさらに良いはずだが、パラダイムが違いすぎて説明しても理解されそうにないので、まだ実行できていない。

 

 

 

「アルツハイマー型認知症」は、糖質の過剰摂取が原因です。

 

 

 

糖質が認知症を引き起こす理由は、ズバリ糖化です。

 

 

 

骨も皮膚も筋肉も、ホルモンや酵素や神経伝達物質も免疫細胞も・・・体はタンパク質でできています。

 

 

糖質を過剰摂取すると、余った糖が、体のタンパク質と結びついて細胞を変性させます。

 

 

この反応の事を「糖化反応」と言い、

 

 

その反応で最終的に出来る毒性の強い物質のことを「AGE(最終糖化産物)」と言います。

 

 

 

糖質を摂ると、この現象が体のどこで起こっても不思議ではありません。

 

 

 

関節が糖化すれば音が鳴りやすくなったり、胃が糖化すれば胃もたれや胃下垂になったり...痔や歯槽膿漏も糖化です。

 

 

 

糖化すると細胞が劣化するので、その部分が弱ります。

 

 

 

神経細胞も例外ではありません。

 

 

 

『リバーシティクリニック総合医療センター 抗糖化コラム 糖化とアルツハイマー』より引用

 

 

アミロイドβという蛋白が何らかの作用を受けて組織に沈着しやすくなり、それが溜まって脳の神経細胞の死滅を引き起こすという考え方が一般的ですが、糖化がアミロイドβの凝集や沈着を促進、加速させているとも考えられています。

 

 

また、糖化によって体内に発生したAGEs(糖化最終生成物)が細胞死(アポトーシス)を引き起こすことも分かっています。

 

 

 

アルツハイマー病に限らず、癌や膠原病など、糖質の過剰摂取によって起きる病気は、何故か「糖質が悪い」ということを無視して病気を解決しようとします。無視とまではいかなくても触れないようにしています。

 

 

 

その為、標準治療を選択する患者は、医師が注意しない糖質を食べながらの治療になるので、根本的に治ることはありません。

 

 

 

病気を作りながら病気を治すというマッチポンプが横行しています。

 

 

 

 

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異常タンパク質の蓄積とは

 

 

 

アルツハイマー型認知症に限らず、神経変性疾患について調べると、

 

 

神経細胞死と、異常タンパク質の蓄積の特徴が書かれています。

 

 

 

  • 神経細胞死

 

 

  • 異常タンパク質の蓄積

 

 

 

気になるのは後者です。

 

 

 

「異常タンパク質の蓄積」について調べると、小難しいことが書かれていますが、糖化でタンパク質が変性しただけじゃないのかと疑ってしまいます。

 

 

 

タンパク質は、数多くの弱い相互作用によって立体構造が保たれています。

 

 

従って、加熱、攪拌、酸、アルカリ・尿素などの変性剤の処理・・・といった影響で、簡単に立体構造が変化したり、性質が変わってしまうのです。

 

 

以下はタンパク質の変性の一例です。

 

 

ゆで卵 + 熱 → ゆで卵

 

牛乳 + 酸 → 凝固

 

卵白 + 攪拌 → メレンゲ

 

 

 

 

 

糖化反応もタンパク質の変性です。

 

 

 

タンパク質 + 糖 + 熱 → 糖化

 

 

 

「熱」というのは体の場合、体温です。

 

 

 

「タンパク質」の部分が、「骨」だったり、「筋肉」だったり、「皮膚」だったり、「内臓」だったり、「神経細胞」だったりするわけです。

 

 

 

「体のタンパク質が変性する」といってもイメージが掴めないと思うので、以前紹介した記事を載せておきます。

 

 

赤血球のヘモグロビンが糖質によって変性するとどうなるか・・・というお話です。

 

 

ちなみに、ヘモグロビンはこれです。もちろんタンパク質です。

 

 

 

 

 

 

『老けたくなければファーストフードを食べるな 老化物質AGEの正体 著者:山岸昌一』より引用

 

 

「ヘモグロビンA1c」が長い時間、高い血糖値の下に置かれると、糖のたんこぶがどんどん増えていきます。

 

 

そして糖まみれになって、最終的には「AGE(終末糖化産物)」という物質に変質していきます。

 

 

AGEの姿として、次のようなイメージを想像してみてください。

 

 

ヘモグロビンというタンパク質の周囲に四方八方からお菓子のように糖がベタベタとくっついた状態です。

 

 

こうなると、もう元のヘモグロビンには戻ることができません。

 

 

ヘモグロビンとは似ても似つかない 〝異常な物質〟 に変質していきます。

 

 

 

やっかいなのはこのAGEという最終的な糖化物質が、なかなか代謝されずに、長期間体内にとどまるという点です。

 

 

 

赤血球が四ヶ月で入れ替わっても、AGEだけは残ってどんどん蓄積されていく。

 

 

長く人間の体にとどまりつづけるということから、「高血糖の記憶」という現象と一致するのではないか。血糖値を元に戻しても、高い血糖値のときと同じように合併症の病気が進行するのは、AGEがそのまま体内にとどまりつづけるからではないか。

 

 

このことを確かめるために、AGEを人工的につくって、人間の細胞にふりかけてみました。

 

 

するとどうでしょう。このAGEは予想通りに細胞を攻撃したり、組織を劣化させ、老化を加速させた。悪さの限りを尽くしたのです。

 

 

そしてひとたびAGEまで進化すると、元のタンパク質には戻らない。

 

 

「ヘモグロビンA1c」は正常なヘモグロビンに置き換わりますが、AGEのほうは二度とヘモグロビンには戻りません。

 

 

その上、長いこと人間の体内にとどまって悪さをする。「高血糖の記憶」という現象も、AGEによってきれいに説明できるわけです。

 

 

(32p~33p)

 

 

 

 

勘の良い方はお気づきだと思いますが、ここに答えが書かれています。

 

 

重要な部分を要約します。

 

 

 

  • AGEはタンパク質の周囲に糖がベタベタとくっついた状態で「異常な物質」

 

  • AGEは元のタンパク質に戻らない

 

  • AGEは、なかなか代謝されずに長期間体内に留まり蓄積される

 

  • AGEは細胞を攻撃したり、組織を劣化させ、老化を加速させるので毒性が強い

 

 

 

最悪です。

 

 

 

私はよく「セルライト」の話をします。体の外側につくので、目で確認できるからです。運動や食事制限をして体が痩せても、何故か「セルライト」はほとんど落ちません。

 

 

 

糖化した組織というのは簡単には戻りません。

 

 

 

これは血液の「ヘモグロビン」の話ですが、「ヘモグロビン」を「神経細胞」に置き換えて考えると恐ろしいですね。

 

 

ちなみに、アルツハイマー病の人の前頭葉を調べると、健康な人に比べて3倍以上のAGEが蓄積しているそうです。

 

 

 

なので、「アルツハイマー型認知症」は、糖質を控える糖質制限が有効的なのです。

 

 

 

そして、この事は理屈が共通している他の神経変性疾患にも当てはまります。

 

 

 

 

付け加えると、糖化だけでなく、酸化にも注意が必要です。

 

 

 

『Dr.GOTOの老化研究所 05-異常たんぱく質はなぜ増えるのか?』より引用

 

 

 

タンパク質が活性酸素に出会うと、主に、そのアミノ酸単位(アミノ酸残基)から出ている側鎖部分が活性酸素と反応して種々の化学変化を起こします。

 

 

化学変化を起こしやすい部分は、機能にかかわりの深いことが多いので生じた酸化修飾タンパク質は、本来の機能を失ってしまう可能性が高いのです。

 

 

 

 

「酸化」と「糖化」のどちらとも気をつける必要がありますが、現代人が真っ先に注意した方がいいのは「糖化」です。

 

 

 

必要な量に対して、摂取する量が多すぎるからです。

 

 

 

 

 

 

 

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異常タンパク質を分解するシステム

 

 

異常なタンパク質を作らないようにすることも大切ですが、できてしまった異常タンパク質をデトックスする事も重要です。

 

 

 

生体を構成するタンパク質は、1度合成されたものがずっと存在するのではなく、合成と分解を繰り返しています。

 

 

この合成と分解のサイクルのことを「代謝回転 たいしゃかいてん」と言います。

 

 

 

表面的には変化があるように見えなくても、体は古くなったものを壊して入れ替える作業を常に行なっているのです。

 

 

 

その為、「代謝回転」が悪くなると不健康です。再生が滞ってもダメですが、破壊が滞ってもダメです。

 

 

 

で、破壊の働きをする「異常タンパク質分解酵素」というのがあります。

 

 

 

『Dr.GOTOの老化研究所 05-異常たんぱく質はなぜ増えるのか?』より引用

 

 

 

 

異常タンパク質蓄積の原因:タンパク質代謝回転の低下

 

 

タンパク質分解酵素というと胃のペプシンや腸のトリプシンなどがよく知られていますが、いずれも細胞外に分泌される消化酵素です。

 

 

細胞内にも、カテプシン・プロテアソーム・カルパインなど何種類ものタンパク質分解酵素が存在します。

 

 

このうち主要な異常タンパク質分解酵素であるプロテアソームの活性は、老齢動物で低下します(図24-2)。

 

 

他のタンパク質分解酵素は、活性があまり変わらないか、逆に増えるものもあります。

 

私たちの研究室では老齢動物のプロテアソームの活性を阻害すると異常タンパク質の分解も抑えられることを明らかにしています。

 

 

興味深いことにプロテア ソームの活性低下は、酵素の量が減ったためではなく、酵素自身が異常化しているためのようです。

 

 

異常タンパク質を分解除去する酵素自身が異常化すれば、他の異常タンパク質の分解が遅くなってしまうのはうなずけます。

 

 

 

このように、「プロテアソーム」というタンパク質分解酵素が、「異常タンパク質」を分解します。

 

 

 

この働きが低下すれば、破壊されるはずの異常タンパク質が破壊されません。

 

 

 

働きが低下する理由は、タンパク質分解酵素が異常化することなので、その理由を考えてみます。

 

 

 

まず、酵素はタンパク質で出来ています。

 

 

 

その為、タンパク質不足や、糖化に弱いです。

 

 

 

例えば、タンパク質不足の人が肉を食べると気持ち悪くなります。

 

 

 

タンパク質や脂質を消化する消化酵素もタンパク質でできているので、タンパク質不足で酵素が不足し、肉を上手く消化できなくなります。

 

 

 

 

タンパク質不足

 

 

消化酵素が不足

 

 

タンパク質を食べてもうまく消化できない

 

 

タンパク質を食べなくなる

 

 

タンパク質不足

 

 

 

 

 

この場合、「タンパク質不足が悪い」とは思わず、「タンパク質が悪い」と勘違いする人が多いです。

 

 

 

 

理屈は同じで、タンパク質不足だと「タンパク質分解酵素」も不足します。

 

 

 

『藤川徳美医師 facebook 2018年1月31日』より引用

 

 

メグビーメールマガジン 2月号 Vol.95、より

 

 

第9章 ~高タンパク食生活の心得も~ -日常生活を例に正しい処方を表示-

 

 

【その不足は全身に悪影響】

 

 

まず、タンパク質の生体における役割を見よう。

 

血液、骨、筋肉、神経、内臓諸器官から皮膚や爪にいたるまで、タンパク質でできていないものはない。

 

 

したがって、それの欠乏があれば、全身的に悪影響が及ぶ。

 

 

生体の代謝をにぎる酵素がすべてタンパク質であることも見のがせない重要なポイントである。タンパク質の欠乏があれば、代謝のスムーズな進行は期待できないといって、過言ではない。

 

 

そしてまたタンパク質は、抗体やインターフェロンなど、感染に対する自衛手段にも利用される。タンパク質が欠乏すれば、細菌やウイルスに対して無防備になるのだ。
生体の代謝には、タンパク質も、糖質も、脂質も参加する。

 

 

それらのすべてが酵素を要求することを考えると、タンパク質の比率が低くては、代謝のスムーズな進行にさしつかえる、という結論をださざるをえなくなる。

 

 

エネルギー源が、糖質・脂質だからといって、これだけを食っていたら、エネルギーさえもつくれない。

 

 

酵素タンパクなしの代謝などは、ありえないからである。

 

 

タンパク質の比率が重要なことは、このような極限のケースを想像すればわかるはずだ。

 

 

 

もっと最悪なのは、タンパク質不足だと古いアミノ酸を使いまわして「代謝回転」が行なわれることです。

 

 

健康の維持には、体の材料であるタンパク質を必要なだけ常に補う必要があります。

 

 

先ほども言ったように、生体はタンパク質を分解したり合成したりを繰り返しています。

 

 

その過程で「古くなったアミノ酸」は捨てられるのですが、タンパク質が不足している人は、古いアミノ酸を再利用します。

 

 

 

『藤川徳美医師 facebook 2017年5月28日』より引用

 

 

タンパク質は作って(同化)は壊して(異化)を繰り返しており、動的平衡状態にある。

 

 

原料が足りないと、三石先生風に言うと、粗末な腎臓、粗末な肝臓、粗末な心臓、粗末な脳、ができてしまう。

 

 

脂質は、細胞膜、ミトコンドリア膜、核膜などの生体膜成分。

 

このものも、同化と異化による動的平衡状態にある。

 

 

体を作る代謝酵素の主酵素はタンパク質。

 

 

代謝酵素の補酵素はビタミン、ミネラル。

 

 

糖質ばかり食べると、体に悪いのは明白。

 

 

小学生でもわかる栄養の話。

 

 

 

タンパク質不足は、粗末な体を作り上げてしまうので、ガラクタのようになります。

 

 

 

古いアミノ酸は変形していることもあるので、そんな材料を使って体を作った場合、下手をすると体の防衛軍である「免疫細胞」に敵とみなされて攻撃されてしまいます。

 

 

 

これが「自己免疫疾患」の原因です。

 

 

詳しくは以下の記事に書いています。

 

 

炎症と自己免疫疾患について分かりやすく説明してみた

 

 

 

タンパク質不足だと、「必要な物が作れない」こともあれば、「廃材を使いまわすことによって粗末な体になってしまう」リスクがあります。

 

 

 

だから、タンパク質は不足させてはいけないのです。

 

 

 

健康維持の為には最低でも体重1kgあたり1gは必要です。体重50kgの人だと50gは必要ということになります。

 

 

病気の改善や美容目的の場合は、さらに量が必要です。

 

 

 

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ケトン食と神経変性疾患

 

 

 

神経細胞を糖化させない為に糖質を制限すること、

 

 

そして、異常タンパク質分解酵素の働きを低下させない為にタンパク質を十分摂取することが大事・・・という話をしてきました。

 

 

 

高タンパク質、低糖質です。

 

 

 

そして、もう一つ付け加えたいのが脂質です。

 

 

 

『がんの漢方治療と補完・代替医療 銀座東京クリニック 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の代替療法』より引用

 

 

【肥満の方が生存期間が長い】

 

 

ALSでは栄養状態が良いほど生存期間が長いことが明らかになっています。

 

 

ALSの動物実験モデルを使った実験では、高脂肪食で運動ニューロンの死滅が減少し、生存期間が20%延長したという報告があります。

 

 

高脂肪食(脂肪47%、炭水化物38%、たんぱく質15%)と普通食(脂肪17%、炭水化物64%、たんぱく質15%)の比較では、普通食の生存期間が180日以下に対して高脂肪食では220日(一部のマウスは270日以上生存)という結果が報告されています。

 

 

BMI(body mass index)とALS患者の生存期間が比例するという報告があります。

 

 

100万人以上を14〜28年間追跡して前向き試験では、標準体重の人より肥満の人の方がALSを発症するリスクは30〜40%低いという結果が報告されています。

 

 

結論的には、少し肥満になるくらいにカロリーオーバーの食事がALSの生存期間を延ばす効果が期待できるということです。

 

 

 

効果が期待できる代替療法として注目されているのが「ケトン食」です。

 

 

 

「ケトン食」とは、摂取エネルギーの60~90%を脂肪で摂る食事法です。脂肪酸を分解して生じたケトン体をエネルギー源として利用します。糖質は極端に減らすという特徴があります。

 

 

 

ケトン食は「アルツハイマー病」に効果があったという話が多いのですが、「筋萎縮性側索硬化症」にも効果があることが報告されています。

 

 

 

場所が違っても神経細胞が死ぬという本質は同じなのです。

 

 

 

では、何故「ケトン食」が神経細胞に良い影響をもたらすのか、その理由です。

 

 

 

『がんの漢方治療と補完・代替医療 銀座東京クリニック 神経変性疾患とケトン食』より引用

 

 

ケトン体はグルコースが枯渇したときに肝臓で脂肪酸が燃焼して産生されます。

 

 

 

ケトン体は血液脳関門を通過し、拡散あるいはモノカルボン酸トランスポーターによって神経細胞内に入り、神経細胞のエネルギー源となります。

 

 

 

グルコースの代替エネルギー源となる以外に、次のような様々なメカニズムで神経細胞を傷害から守る作用があります。

 

 

 

①ケトン体は神経細胞のミトコンドリアを増やし、ケトン体自体がエネルギー源となって神経細胞におけるエネルギー産生を増やす。

 

 

 

②ケトン体は抗炎症作用があり、さらにミトコンドリアにおける活性酸素の産生を減らし酸化障害を軽減する。

 

 

 

③ケトン体はアポトーシスの過程を阻害することによって神経細胞死を抑制する。

 

 

 

④ケトン体はヒストンアセチル化を亢進して認知機能を高める。

 

 

 

ミトコンドリアというのは、細胞内にある発電所です。

 

 

 

ミトコンドリアを使うと、エネルギー物質「ATP」をたくさん作ることができます。

 

 

 

 

 

 

ミトコンドリアが機能不全になることで、細胞が癌化します。

 

 

一方、神経細胞(ニューロン)は、ミトコンドリアの多い細胞です。

 

 

 

 

 

 

普通の細胞のように分裂しないので癌化することはありませんが、再生しないのでダメージを受けて変性したり死滅すると数が減ります。

 

 

 

脳腫瘍は「神経細胞(ニューロン)」が癌化したのではなく、「グリア細胞」が癌化したものです。

 

「脳のエネルギー源はブドウ糖なので糖質をしっかり摂りましょう」と言う人が語らない話

 

 

 

神経変性疾患もミトコンドリアの機能が低下することが影響しているようです。

 

 

 

『がんの漢方治療と補完・代替医療 銀座東京クリニック 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の代替療法』より引用

 

 

 

ALS患者やALSの動物実験モデルの研究から、ALSの発症とその進展の機序にエネルギー代謝の異常が関与していることを示すエビデンスが増えている。

 

 

特に、糖代謝の低下とミトコンドリア機能の異常が中枢神経系組織や筋肉組織のATPの利用を妨げている。

 

 

ALSにおけるミトコンドリア機能の改善を目標にした代謝治療が幾つか試みられており、ALSの機能改善に様々な効果を示している。

 

 

ALSの実験モデルにおいて代謝をターゲットにした治療の効果は、運動障害の発症を遅らせ、運動神経を保護し、生存期間を延長することが明らかになっており、ALSの発症メカニズムに代謝の異常が重要な関与をしていることを示している。

 

 

ALSに対する代謝治療の有効性を検証する比較対照臨床試験を早急に実施する必要がある。

 

 

さらに、ALS患者やALSの動物実験モデルにおけるエネルギー代謝の異常を解明することは、代謝をターゲットにした有効な治療法の開発に必要であり、このような治療法はALSの進行を遅らせ、ALS患者の延命につながる。

 

 

 

神経細胞のエネルギー源はグルコース(ブドウ糖)ですが、ALSの運動ニューロンではグルコースの取込みも代謝も低下し、ミトコンドリアでのATP産生が低下してエネルギー不足になって細胞死が引き起こされているので、ミトコンドリアの働きを高める方法はALSの進行を抑制できるという考えです。

 

 

がん細胞では、解糖系が亢進しミトコンドリアでの酸化的リン酸化が抑制されています。この場合、ミトコンドリアの機能を亢進するとがん細胞は自滅します。

 

 

一方、神経変性疾患では、ミトコンドリアの働きが低下してATP産生が低下して死滅するので、ミトコンドリアの働きを亢進すると、神経細胞死を避けることができるということです。

 

 

 

これを読むと、ミトコンドリアの機能を回復してATPをたくさん作る栄養療法が応用できそうです。

 

 

 

 

神経変性疾患の対策

 

 

筋萎縮性側索硬化症は、他の神経変性疾患の対策と同じように、

 

 

 

糖質を減らし、タンパク質と脂質を摂る糖質制限と、エネルギー代謝を円滑にする為に必要なビタミンやミネラルをサプリメントで必要なだけ摂るのが効果的でしょう。

 

 

 

実際にやってみないと分かりませんが、そういう方法も知っておいた方がいいです。

 

 

 

 

ATP(アデノシン三リン酸)について分かりやすく説明してみた

 

 

エネルギー代謝について分かりやすく説明してみた

 

 

癌細胞と癌家系について分かりやすく説明してみた

 

 

ベジタリアンや糖質を止められない人が、健康の為に摂っておきたい栄養素とは

 

 

 

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