- 投稿 2018/03/14
- 分かりやすいシリーズ - 病気
虚弱体質とか、大病をしたことがない人でもなる身近な疾患があります。
「花粉症」や「アトピー性皮膚炎」等のアレルギーです。
なんと、日本人の3人に1人が何らかのアレルギーだそうです。
たかがアレルギー...と軽く考える方もおられるかもしれませんが、これは免疫システムの異常なので立派な病気です。
何故、近年こんなにアレルギーの人が増えてきたのかその理由を知るためには、アレルギーがどんなものなのか知っておく必要があります。
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アレルギーは免疫システムの異常
体には「免疫 めんえき」と言う仕組みが備わっています。「免疫」とはシステムの事で、イメージは防衛軍です。
「免疫」は、体に外敵(異物)が入って来たときに、それを「自分ではない異物だ」と認識してから攻撃をして体を守ります。
- 外敵と自分の組織を正しく区別する
- 外敵を攻撃して守る
そして、外敵を攻撃すると「炎症」と言われる反応が起きます。
「免疫」と「炎症」の違いは、「防衛軍」と「国を守る本土決戦による戦火」です。
免疫・・・防衛軍(守るシステム、能力)
炎症・・・戦火、戦闘(状態、反応)
炎症のパターンはこちらです。
- 赤くなる
- 腫れる
- 熱くなる
- 痛い
- 動かせない等
このシステムが正常に働いていれば、体にとって頼もしい存在です。
しかし、この防衛軍が何らかの理由でおかしくなってしまうことがあります。そうなったら頼もしい防衛軍が自国にダメージを与えてしまうのです。
そして、免疫システムがおかしくなるパターンには「自己免疫疾患 じこめんえきしっかん」と、「アレルギー」があります。
この2つは違います。
「自己免疫疾患」は、「自己」と「非自己」の認識がうまくできなくなって、自己を構成する物質を「外敵(抗原)」と勘違いして攻撃をしてしまう疾患です。
免疫が「これは異物だな(自分じゃないな)」と判断して、敵として攻撃するので、体はダメージを受けます。
「慢性関節リウマチ」や、「膠原病」等です。
「膠原病 こうげんびょう」の話をすると、「高い所でなるやつ?」と聞かれることが多いです。それは、「高山病 こうざんびょう」です。
「膠原」とはコラーゲンのことです。そして、膠原病とは全身に炎症が起こる病気で、世間では、難病ということになっています。本当は糖質の過剰摂取が主な原因なのですが、それを無視しているので、原因は分かっていない...とされています。
以下の記事に膠原病について書いています。
以上が「自己免疫疾患」です。
「アレルギー」は、「自己」と「非自己」の認識には問題がありません。攻撃対象は「自己」ではなく、外敵です。
ただし、外敵に対して過剰に反応します。それによって、体に不都合が起こるのです。
「気管支ぜんそく」、「アトピー性皮膚炎」、「花粉症」等です。
以下が「アレルギー」と「自己免疫疾患」の違いです。
- 自己免疫疾患・・・自己と非自己の認識が狂う、自己を攻撃
- アレルギー・・・・・・・自己と非自己の認識は正常、外敵を過剰に攻撃
本記事のテーマは「アレルギー」ですので、後者についての話になります。
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アレルギーに関わる細胞
アレルギーのメカニズムについてお話する前に、関係する細胞を紹介します。
マクロファージ
「マクロファージ」は、白血球の「単球」が成長した姿の1つです。
「マクロファージ」は、外敵を見つけると、食べることで処理します。これを「貪食 どんしょく」とか「食作用」と言います。
さらに、取り込んだ敵の情報を「ヘルパーT細胞」に伝える役目も果たします。
樹状細胞
白血球の「単球」から成長したのが「樹状細胞 じゅじょうさいぼう」です。
外敵を取り込んで、その情報を「ヘルパーT細胞」に伝えます。マクロファージと似ていますが、情報を伝達する能力はこの樹状細胞の方が優れています。
なので情報屋です。
顆粒球
「顆粒球」は顕微鏡で見ると、多くの顆粒があります。
貪食能力を持っていて、3タイプあります。
肥満(マスト)細胞
紛らわしいことに、太いからこの名前がついているのですが、「肥満」とは全く関係ない細胞です。
ではどんな細胞なのかというと、大きな特徴がこちらです。
細胞の表面には「IgE」という「抗体」の定常部と結合する「受容体(レセプター)」がたくさんあります(※「IgE」、「抗体」については後で詳しく説明します)。
「受容体」とは、何らかの刺激を受け取る「受信機」みたいなものです。
そして、肥満細胞の中には「化学物質を含んだ顆粒」がたくさん入っています。異物を見つけると、顆粒中の化学物質を放出して排除しようとします。
ちなみに肥満細胞が放出する物質はこちらです。
『慢性膀胱炎・間質性膀胱炎・膀胱頚部硬化症 マスト細胞(肥満細胞)の存在意義』より引用
1.ヒスタミン
アレルギー反応に関与する代表的刺激成分。血管透過性を高め、いろいろな血液中の成分を漏れ出させる作用があります。風邪薬にはヒスタミンの作用を抑える抗ヒスタミン剤が一般的に含まれています。また膀胱などの内臓の平滑筋を収縮させる作用もあります。
2.ヘパリン
血液をサラサラにする成分。赤血球・白血球やリンパ球が血小板の作用で固まらないようにしています。血液透析の際に、血液が固まらないように回路の中に注入される薬剤として有名。
3.プロスタグランディン
炎症物質としては有名な成分。血管拡張作用と赤血球柔軟作用があります。消炎鎮痛剤は、この成分を抑制する働きで、痛みを抑えます。消炎鎮痛剤で急性胃炎や胃潰瘍の副作用が有名ですが、プロスタグランディンの働きを抑えることで毛細血管の流れを悪くして胃粘膜細胞の血液栄養供給が低下するからです。
4.サイトカイン
アレルギー反応や免疫システムに関与する様々な細胞(リンパ球)の働きの強さと期間を調節し、情報交換を媒介するための成分です。物質的には、ホルモン様低分子タンパク質です。
IL(インターロイキン)-3:造血前駆細胞の促進
IL-4:B細胞の活性化
IL-5:B細胞の分化増殖、好酸球の分化増殖
IL-6:B細胞の分化増殖、発熱
IL-10:マクロファージ活性の抑制
IL-13:B細胞の分化増殖
I-309:好中球・マクロファージ・血管平滑筋細胞の遊走と活性化
GM-CSF(マクロファージコロニー刺激因子)
TNF-α(腫瘍壊死因子):好中球遊走、細胞接着因子活性化
5.ケモカイン
白血球やリンパ球の遊走を促す作用のある成分がケモカインと呼ばれ、サイトカインに分類される場合もあります。
CXCL-8(旧名IL-8):好中球遊走・活性化
この肥満細胞の他の特徴が以下です。
- 造血幹細胞由来の血球系細胞
- マクロファージや樹状細胞のように血管の周りや、粘膜など、いろんな組織に存在している。
- 「蕁麻疹」はこのマスト細胞の活性化が原因
ナチュラルキラー(NK)細胞
体をパトロールして、敵を発見したら、自分の判断で攻撃します。
T細胞
免疫システムの特殊部隊で、知的な働きをします。
「T細胞」は数種類あって、それぞれ役割が違います。
- 免疫の司令官・・・ヘルパーT細胞
- 免疫のスナイパー・・・キラーT細胞
- 免疫のストッパー・・・サプレッサーT細胞
ちなみに、「ヘルパーT細胞」も何種類かあります。
B細胞
「B細胞」は、特定の敵に効く「抗体 こうたい」というミサイルを作る工兵です。
これを「T細胞」の指令で製造します。
ここからは、このB細胞が作る「抗体」について説明します。これがアレルギーに関わっているからです。
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抗体を産生するB細胞とは
抗体は、「B細胞」が分化してできた「形質細胞」が造ります。
「B細胞」について簡単に説明します。
血液は、液体である「血しょう」と、「赤血球」、「白血球」、「血小板」にわけられます。
「白血球」の一種が「リンパ球」です。
で、リンパ球の一種が「B細胞」です。
「B細胞」は、「ヘルパーT細胞」の指令を受けて、「抗体」を使って、異物を捕獲して攻撃します。
作られた「抗体」は、対になる外敵とくっつきます。そして外敵を沈殿・凝縮させるのです。
このように、抗体と敵(抗原)が結合すると、それが目印となって、マクロファージが強力に食べようとします。このように食細胞の食欲を促す働きを「オプソニン化」と言います。
というわけなので、武器とはいっても、「抗体」が直接敵を破壊(分解)するわけではありません。
「抗体」は、水に溶けやすいタンパク質で、血液中や体液中に存在しています。
なので、これを「体液性免疫 たいえきせいめんえき」と言います。
これに対して、「キラーT細胞」は、「抗体」を使わず細胞が直接異物を攻撃します。これを「細胞性免疫 さいぼうせいめんえき」と言います。
- B細胞・・・抗体を使用=体液性免疫
- キラーT細胞・・・細胞が直接攻撃=細胞性免疫
前者は武器を使った攻撃、後者は武器を使わない攻撃のイメージです。
次に「抗体」について解説します。
抗体の構造
外敵や自己の成分ではない物質のことを「抗原 こうげん(アレルゲン)」と言います。
「抗原」には、細菌、ウイルス、カビ、そして、本来体に害がない物質である花粉、食品...等があります。
外敵、非自己 = 抗原
そして、体に抗原が入ってきた時に、対抗して体を守ろうとする物質のことを「抗体 こうたい 」と言います。
別名は「免疫グロブリン immunoglobulin(イムノ グロブリン)」で、「Ig(アイジー)」と略されます。
抗体 = 免疫グロブリン = Ig
「抗体」は、リンパ球の一種「B細胞」が造る「誘導ミサイル」です。
侵入してきた「抗原」のタンパク質の立体構造を原形にして作られます。
この抗体(免疫グロブリン)は4つの部品でできています。ここでは、「IgG」という抗体を例にします。
「H鎖」と呼ばれる長いペプチド鎖と、「L鎖」と呼ばれる短いペプチド鎖が2本ずつです。
全体は「Y」の形をしています。
抗体は、「糖タンパク分子」です。
- H鎖 (Heavy Chain 重鎖)
- L鎖 (Light Chain 軽鎖)
また、上の部分は「可変部 かへんぶ」、下の部分を「定常部 ていじょうぶ」と呼びます。
抗原と結合するのは「可変部」です。
「可変部」は、抗体ごとにアミノ酸配列が異なります。
この部分は多様性があります。「抗原」の形とかみ合うような構造で、鍵と鍵穴の関係に例えられます。
従って、1つの抗体が、形の合わない抗原と結合することはありません。
この仕組みのおかげで、誘導ミサイルのように「狙った抗原」をピンポイントで攻撃できるのです。これを「抗原抗体反応」と言います。
そして、「抗体」の下の「定常部」は、「食細胞」や「肥満細胞」に結合する部分です。
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抗体の働きと種類
「抗体」の働きはこちらです。
- オプソニン化・・・抗原にくっついて、食細胞の食欲を促す
- 抗原の中和(無毒化)・・・抗原の周りを取り囲んで、毒素を中和する
- 補体を活性化して細菌の細胞膜を破壊する
- 炎症
抗体の「可変部」はオーダーメイドなので、「ペアになる抗原」ごとにバラバラです。
そして、このような違いとは別に、抗体(Ig)には種類があります。
人間の抗体は5種類です。
- IgM(アイジー・エム)
- IgA(アイジー・エー)
- IgG(アイジー・ジー)
- IgD(アイジー・ディー)
- IgE(アイジー・イー)
抗原が体内に侵入した場合、最初に「IgM」が作られて対応します。
粘膜では「IgA」が、粘膜以外の部分では「IgG」が戦います。この2つがメインとなって抗原の中和(無毒化)を担当します。
「IgD」は、B細胞表面に存在しているのですが、その役割はまだよく分かっていません。
そして、「アレルギー」の主役とも言える「IgE」が炎症を起こして戦います。この現象には「肥満細胞」が関わっています。
ちなみに「IgE」の量は、有名なわりに、抗体の中でも少ないです。
それぞれの性質を簡単にまとめます。
Ig M
「IgM」の特徴が以下になります。
- 免疫グロブリンの中で最も分子量が大きい
- 5つ結合しているので捕獲力が強い
- 「IgM」は、抗原が侵入した時に最初に作られる抗体
- 「B細胞」の受容体として働く
- 「T細胞」の指示がなくても分泌
- 赤ちゃんが始めて作れるようになる抗体
Ig A
粘膜に抗原が侵入した場合、この「IgA」が抗原と戦います。
特徴は、抗原(外敵)を鼻水、涙、痰等でなんでもくるんで外に出すことです。ここが、特定の敵に反応する「IgE」抗体と違います。
この「IgA」抗体がたくさんあって、粘膜で抗原を防ぎきることができれば、アレルギーの主役である「IgE」が働く機会が減るので、炎症が発生しにくくなります。
逆に「IgA」が少ないと、抗原のさらなる侵入を許してしまうので、「IgE」の仕事を増やします。つまり、アレルギーの症状が酷くなります。
ちなみに、「IgA」が作られる為には「ビタミンA」が必要です。
「IgA」の特徴が以下になります。
- 「血清型IgA」と、「分泌型IgA」の2つある
- 分泌型は、血液中より粘膜の分泌液(気管支分泌液、唾液、涙、鼻汁、腸管分泌液、前立腺液、腟分泌液)に多く含まれていて、細菌などの侵入を防いでいる
- 母乳の主な免疫物質
- 腸に多く存在しているので、腸粘膜に不調があると「IgA」が減少する。その結果、普段何も起こらない食材にアレルギー反応が起こったり、下痢になったり、風邪をひきやすくなったりする
Ig G
「IgG」の特徴が以下になります。
- 「IgM」よりも遅れて産生される
- 「T細胞」の指示がないと作れない
- 血液中の抗体の中で最も数が多い
- 細菌や毒素と結合する能力が高い
- 血中に留まる時間が長い
- 抗体の中で唯一胎盤を通過できるので胎児に移行し、赤ちゃんの免疫が発達するまで守る
- 「オプソニン化」や「中和」の作用が強い
Ig D
「リンパ球」表面に「受容体」として存在しています。
詳しくは、まだよく分かっていないそうです。
IgE
「花粉症の検査」で測定するのが「IgE」の血中濃度です。
「IgE」の特徴が以下になります。
- 非常に量が少ない抗体
- 気道、消化管粘膜、リンパ節等で作られる
- 花粉症、アトピー、気管支喘息に関わっている抗体
- 「IgE」が作られると、「好塩基球」や「肥満細胞(マスト細胞)」に結合してアレルギー反応を起こす
- 寄生虫を防御すると考えられている
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アレルギーの種類
アレルギーに関わる細胞や、抗体についてお話したので、ここからはアレルギーの仕組みについて説明します。
アレルギー反応は2タイプあります。
異物が侵入してから数分~8時間以内に起こるものを「即時型 そくじがた」、24時間以上経ってから起きるものを「遅延型 ちえんがた」と言います。
- 即時型・・・数分~8時間以内で起こる
- 遅延型・・・24時間以上経って起こる
花粉症や気管支喘息等、アレルギーの多くは「即時型」です。そして、これには「IgE」が関わっています。
それだけでなく、「アレルギー」は、アレルギーが起こるメカニズムごとに、大きくⅠ~Ⅴの型に分けられています。
「即時型アレルギー」はⅠ~Ⅲに分類され、「遅延型アレルギー」はⅣ型になります。
- Ⅰ型アレルギー・・・(即時型 アナフィラキシー型)
- Ⅱ型アレルギー・・・(細胞障害型 細胞融解型)
- Ⅲ型アレルギー・・・(免疫複合体型 Arthus型)
- Ⅳ型アレルギー・・・(遅延型 細胞性免疫 ツベルクリン型)
- Ⅴ型アレルギー・・・(刺激型)
一般的に多くの人が「アレルギー」と呼んでいるのは、Ⅰ型のアレルギーの事です。
というわけなので、この分類でいくと「花粉症」や「蕁麻疹」は、「Ⅰ型アレルギー」になります。
ちなみに、「アトピー性皮膚炎」は、Ⅰ型とⅣ型の混合です。
そして、最初に説明した「自己免疫疾患」が、「アレルギー(Ⅱ、Ⅲ型)」に分類されることがあります。
「抗体の種類」といい、「アレルギーの型」といい、複雑になっているので、このへんで混乱して読むのを止めてしまう方もいるかもしれません。
なので、ここでもっとシンプルに考えましょう。
『アレルギーの9割は腸で治る クスリに頼らない免疫力のつくり方 / 著者:藤田紘一郎』より引用
みなさんのなかには「アレルギーという言葉はさまざまな症状に使われて、使い方が混乱している」と思っている人が多いと思います。
確かに各種アレルギーはそれぞれ、原因となる物質や、症状の現われる場所が異なります。そういう意味では、個々のアレルギー病は別の病気のように見えます。
けれども、アレルギーが起こる仕組みは、実は全部同じなのです。
たとえるなら、お茶のようなものです。
お茶の木そのものは1種類で、その葉っぱが製法によって緑茶になったり、紅茶になったり、烏龍茶になったりします。
もちろん一口にお茶の木といっても、植物分類学的には多くの種類がありますが、「緑茶の木」とか「紅茶の木」といった木はありません。
それと同じで、アレルギーにはいろいろな種類・症状がありますが、「人間の体内で起こっていること」自体は同じなのです。
(4~5p)
アレルギーを「木」、原因物質や症状を「葉っぱ」に例えています。
アレルゲンという「葉っぱの製法」が違うだけで、アレルギー反応が起こるメカニズムは同じです。
従って、「葉っぱ」にあたる何かのアレルギーがある人は、別のアレルギーを持っていることは珍しくありません。
本質である木そのもを解決する必要があるのです。
ちなみに、私も「ブタクサ」のアレルギーだけでなく、「ハウスダスト」、「シカカイ(ハーブ)」のアレルギーがあります。
このうち治ったのは「ブタクサ」だけです。
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Ⅰ型のアレルギー
Ⅰ型アレルギーは、液性免疫なので「抗体」が関わっています。「IgE」抗体です。
抗原と接触してから数分~1時間半以内に症状がでます。
まず、抗原が始めて体内に侵入します。
抗原は「樹状細胞」などに取り込まれて、その情報が「ヘルパーT細胞」に伝えられます。
「ヘルパーT細胞」は、抗体を作る働きのある「B細胞」に指令を出します。
情報を元に、「形質細胞」がその抗原に合った「IgE」抗体を作ります。
次に、その「IgE」抗体は、粘膜などに存在する「肥満細胞」に結合します。
これを「アレルゲンに感作された状態」と言います
ここからは、同じ抗原の2回目以降の侵入となります。
ノコノコと抗原が侵入してきて、「肥満細胞に結合したIgE抗体」に結合します。
それが引き金となって、「肥満細胞」は顆粒を放出します。
顆粒の中にあるヒスタミン等の化学伝達物質がばら撒かれることによって、周囲の組織は以下のような状況になります。
- 血管透過性の亢進
- 気管支平滑筋の収縮
- 粘液分泌の亢進
これが「Ⅰ型アレルギー」の流れになります。
ちなみに、即時型フードアレルギーは、Ⅰ型です。
Ⅱ型のアレルギー
Ⅱ型アレルギーは、「自分の細胞を破壊してしまうアレルギー」です。
液性免疫なので「抗体」が関わっています。抗体の種類は「IgM」と「IgG」です。
正常であれば、免疫は自分の細胞を攻撃しません。
薬剤や感染等が原因で、細胞や組織を抗原として認識し、それに対して抗体(IgMとIgG)が生産されてしまいます。その結果、自分の細胞を攻撃します。
「自己の細胞表面」が抗原と認識されて、そこに抗体が結びつく
↓
それを「好中球」や「マクロファージ」が攻撃して傷つける
その為、細胞傷害型アレルギーと呼ばれます。
反応は急性なので即時型です。
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Ⅲ型のアレルギー
Ⅲ型アレルギーは、液性免疫なので「抗体」が関わっています。
「体液に溶けた抗原(可溶性抗原 かようせいこうげん)」と、「IgG」と、「補体」の反応で起こるアレルギーです。
「抗原抗体複合体」に「補体」が結合します。それが目印となって「食細胞」が処理をします。
しかし、この「免疫複合体」が、持続的な感染や、自己免疫疾患などによって過剰に作られると問題が起きます。
「免疫複合体」の量が食細胞の処理能力を上回ると、生体内を移動して、それが組織や臓器に沈着します。
それが原因で、肥満細胞を刺激します。
すると、その場所で、肥満細胞から化学伝達物質が放出されてアレルギー反応が起きます。
その為、免疫複合型アレルギーと呼ばれます。
反応は即時型です。
遅延型フードアレルギーはこのⅢ型です。
Ⅳ型のアレルギー
Ⅳ型アレルギーは、細胞性免疫なので、「抗体」は関わっていません。
このアレルギーは、司令官である「T細胞」や、「マクロファージ」が関わっています。
「T細胞」が放出する「サイトカイン」が、マクロファージを活性化し、炎症を起こします。
これは「T細胞」の活性化に時間がかかるため反応が遅いので「遅延型」です。
ツベルクリン反応はⅣ型です。
Ⅴ型のアレルギー
自分の組織や細胞を「抗原」と認識してしまうⅡ型アレルギーの特殊な形がⅤ型アレルギーです。
Ⅱ型との違いは、「抗原」がホルモン等の受容体(レセプター)であることです。
受容体が抗原になる + 抗体
そして、Ⅱ型は細胞傷害型アレルギーでしたが、
Ⅴ型は細胞の機能を低下、あるいは亢進させます。前者は「重症筋無力症」、後者は「グレーブス病(バセドウ病)」です。
刺激型アレルギーとも呼ばれます。
Ⅰ型アレルギーの花粉症
アレルギーの種類について色々と説明してきましたが、多くの人がなっているのがⅠ型の花粉症だと思います。
次はこの花粉症の原因や対策についてお話します。
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