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虚弱体質や慢性疾患を改善させる為に必要な情報や心得について、体験記を交えながらお話します。

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クエン酸回路(TCA回路)について分かりやすく説明してみた

クエン酸回路(TCA回路)について分かりやすく説明してみた

 

本記事では、「クエン酸回路」の流れを、「解糖系」でできた「ピルビン酸」から説明していきます。

 

 

以下の記事をまだお読みでない方は、先にこちらから読むことをオススメします。

 

解糖系について分かりやすく説明してみた

 

 

「解糖系」によって、1分子の「グルコース」から、2分子の「ピルビン酸」が生じました。

 

 

グルコースからピルビン酸

 

 

 

「クエン酸回路」は、ミトコンドリアのマトリックスで起きるので、ピルビン酸は「細胞質基質」から「マトリックス」に移動します。

 

 

ミトコンドリアは、2重の膜で覆われていて、膜は「リン脂質」という油成分でできています。

 

 

そして、「外膜」には、膜を貫通している「ポーリン」と呼ばれる、タンパク質でできた「低分子物質の通路」があります。この通路は分子量5000以下の親水性の分子を通すので、ピルビン酸のような小さな物質は自由に通過できます。

 

 

しかし、「内膜」には「ポーリン」はありません。

 

 

なので、ピルビン酸は、膜に埋め込まれている「ピルビン酸トランスロカーゼ」というタンパク質によって、マトリックスに運ばれます。

 

 

この時、「水素イオン(H+)」も運ばれます。

 

 

 

ピルビン酸輸送

 

 

 

マトリックスで「クエン酸回路」の反応が起きるのですが、

 

その為にはまず、「ピルビン酸」が「アセチルCoA」に変換される必要があります。

 

 

 

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【序章】ピルビン酸 → アセチルCoA

 

 

「CoA こえー」って何だ?・・・という人の為に、先に「CoA」について解説しておきます。

 

 

「CoA」の正式名称は、「コエンザイム A / 和名:補酵素A」です。

 

 

「補酵素 ほこうそ」というのは、「酵素ではないけど、酵素の反応に協力しているサポート役」です。そして、「CoA」の「A」は、最初に発見されたという意味です。

 

 

以下が「CoA」の構造になります。

 

 

CoA(コエンザイムA)

 

 

本記事で使用する絵ですが、通常は、炭素(C)、酸素(O)、水素(H)、窒素(N)、硫黄(S)、リン(P)と書くのですが、英語よりも日本語の方が親しみやすいので漢字にしました。

 

ただし、リン(カタカナだと見栄えがイマイチ)は英語にしました。

 

 

「CoA」は高エネルギーで、様々な基質と結合します。これがくっつくと活性化されるので、その後の反応が進みやすくなります。

 

 

 

「〇〇〇 CoA」・・・という物質は多く、クエン酸回路でも「アセチルCoA」の他に「スクニシルCoA」が登場します。「CoAがついた化合物」は、不安定でエネルギーを放出しやすい状態です。

 

 

 

それでは話を戻します。

 

 

「クエン酸回路」を進めるには、まず「ピルビン酸」を「アセチルCoA」に変えなければなりません。

 

 

この反応の酵素は、「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体(脱水素酵素)」です。

 

 

名前は「脱水素(水素が外れる)」ですが、「脱炭酸(二酸化炭素が外れる)」「CoAによる活性化」の反応も起こす、巨大で複雑な酵素です。だから「複合体」なのです。

 

 

そして、以下が反応が起きる前のそれぞれの状態です。NADの説明は解糖系の記事でお話しました。

 

 

ピルビン酸と酸化型NADとCoA

 

 

反応後、「ピルビン酸」、「CoA」、「酸化型NAD」は、こうなります。

 

 

二酸化炭素と還元型NADHとアセチルCoA

 

 

それぞれがどのように変化したのか、順に説明します。

 

 

「ピルビン酸」からは、炭素が個と、酸素が個外れます。つまり、二酸化炭素(CO2)です。普段私たちが吐いているはここで生じるわけです。

 

 

二酸化炭素(CO2)が取れることを「脱炭酸反応」と言います。

 

 

しかし、今回のように酸化(水素を失う)と同時に脱炭酸する場合は「酸化的脱炭酸反応」と言います。

 

 

そして、残った「ピルビン酸」はこうなりました。

 

 

アセチル基

 

 

これを「アセチル基」と言います。

 

 

これが、先ほど説明した運搬役の「CoA」とくっついて、「アセチルCoA」になります。

 

 

「CoA」の一番左にあった「水素」が外れて、硫黄の横に「アセチル基」がくっつきます。

 

アセチルCoA

 

 

ちなみに、この「アセチルCoA」が省略される時、何故かこのように硫黄(S)を外に出して書きます。

 

 

アセチルCoA省略

 

 

 

そして、酸化型だった「NAD」は、水素を受け取って還元型の「NADH」になります。

 

 

「NAD」と「NADH」については省略していることもあるので、後ほど説明します。

 

「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体」についても省略している部分があるので、後で補足します。

 

 

「アセチル基」は、炭素は「クエン酸回路」で二酸化炭素になり、水素はNADやFADに預けた後、「電子伝達系」を経て水分子になるので、化学的に分解されます。

 

 

それでは、「アセチルCoA」になったので、ここからは「クエン酸回路」のスタートです。

 

 

 

①アセチルCoA → クエン酸

 

 

ここまでの流れを俯瞰でみます。「クエン酸回路」はこのような順番で進みます。

 

 

クエン酸回路

 

 

「クエン酸」から始まるから「クエン酸回路」です。回路という名前の通り、一周して終わりではなく、何度もくるくると回ります。

 

 

まず、「アセチルCoA」は、「オキサロ酢酸」と出会います。ここで出合った「オキサロ酢酸」は、前のクエン酸回路の反応でできた化合物です。

 

 

以下が、「アセチルCoA」と、「オキサロ酢酸」、そして「水分子」です。

 

 

 

アセチルCoAとオキサロ酢酸と水分子

 

 

「クエン酸シンターゼ」という酵素が、これらを基質にして、「クエン酸」と「CoA」を合成します。

 

 

 

クエン酸とCoA

 

 

「アセチルCoA」は、「アセチル基」が外れたことで「CoA」に戻ります。

 

「CoA」は、基質と結合してここまで運んできましたが、あくまでサポート役で、「クエン酸回路」に組み込まれるわけではないので退場します。

 

「クエン酸」だけが次の反応へ進みます。

 

 

クエン酸

 

 

 

 

②クエン酸 → (Cis-アコニット酸) → イソクエン酸

 

 

「クエン酸」から1つの酵素で、2段階の反応が起きます。なので、中間の「Cis-アコニット酸」は省略されることがあります。

 

 

酵素の名前は、「アコニット酸ヒドラターゼ(アコニターゼ)」です。

 

まず、「クエン酸」から「水分子」が出て「Cis-アコニット酸」になります。

 

 

Cis-アコニット酸

 

 

そして、その水分子が加わって、配置が変わる事で「イソクエン酸」になります。

 

 

イソクエン酸と水分子

 

 

イソクエン酸は次の反応に進みます。

 

 

 

③イソクエン酸 → (オキサロコハク酸) → α-ケトグルタル酸

 

 

この反応も「イソクエン酸脱水素酵素(デヒドロゲナーゼ)」という1つの酵素によって、2段階の反応が起きます。なので中間の「オキサロコハク酸」は省略されることがあります。

 

この反応では「脱水素」と「脱炭酸」が起きます。

 

反応前の状態がこちらです。

 

イソクエン酸と酸化型NAD

 

 

酸化型の「NAD」は、「イソクエン酸」の水素を奪って、還元型の「NADH」になります。

 

すると、不安定な「オキサロコハク酸」になります。

 

オキサロコハク酸とNADH

 

 

「オキサロコハク酸」は脱炭酸され、「α-ケトグルタル酸」と「二酸化炭素」が生じます。

 

 

 

α-ケトグルタル酸と二酸化炭素

 

 

「αーグルタル酸」は、「2オキソグルタル酸」とも言います。

 

 

というわけで、「α-ケトグルタル酸」は次の反応に進みます。

 

 

 

④α-ケトグルタル酸 → スクニシルCoA

 

 

ここでは「ピルビン酸 → アセチルCoA」になった時と似たようなことが起きます。

 

以下が反応前の状態です。

 

 

α-ケトグルタル酸と酸化型NADとCoA

 

 

酵素「α-ケトグルタル酸(2-オキソグルタル酸)デヒドロゲナーゼ複合体」によって、「脱水素」と「脱炭酸」が起きます。

 

そして、高エネルギーな補酵素「CoA」がついて、「スクニシルCoA」となります。

 

 

スクニシルCoAと還元型のNADHと二酸化炭素

 

 

構造はこうなっています。

 

スクニシルCoA

 

 

これも長いので、以下のように省略されます。

 

スクニシルCoA省略

 

 

スクニシルCoAは次の反応に進みます。

 

 

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⑤スクニシルCoA → コハク酸

 

 

 

ここで、また新しい物質が出るので、反応の説明の前に先に紹介します。

 

名前は「GTP ジーティーピー」と言って、このような構造になっています。

 

 

GTP(グアノシン三リン酸)

 

 

「グアノシン・トリ・ホスフェート / 和名:グアノシンリン酸」と言い、リン酸基が3つ付いています。

 

 

名前も構造も「ATP」によく似ています。

 

「ATP」は、リン酸が3つくっついていて、リン酸が1つ外れる時にエネルギーが放出され、「ADP」になりますが、「GTP」も3つあるリン酸のうち1つが外れる時にエネルギーが放出されます。

 

こちらがエネルギーが放出された後の「GDP ジーディーピー」です。

 

 

GDP(グアノシン二リン酸)

 

「グアノシン・ジ・ホスフェート / 和名:グアノシンリン酸」と言い、リン酸基は2つです。

 

 

 

それでは話を戻します。

 

以下が反応前の状態です。

 

 

スクニシルCoAとGDPとリン酸

 

この反応で使われる酵素は「スクニシルCoAシンターゼ」です。

 

これによって、「スクニシルCoA」から「CoA」を外す時のエネルギーで、「GDP」と「リン酸」から「GTP」が合成されます。

 

出来上がった「GTP」は、高エネルギーの化合物です。

 

そして、「GTP」はリン酸が3つあるわけですが、このうちの1つを「ADP」に与えます。この時使われる酵素は「ヌクレオシド2リン酸キナーゼ」です。

 

 

GTPのリン酸をADPに

 

リン酸をあげたことで「GTP」は「GDP」になり、「ADP」は、リン酸3つの「ATP」になります。つまり、「ATP」が合成されたということです。

 

そして、「スクニシルCoA」は「コハク酸」になります。

 

コハク酸

 

 

「コハク酸」は次の反応に進みます。

 

 

 

⑥コハク酸 → フマル酸

 

 

ここで、また違う物質がでてきます。

 

「FAD エフエーディー」という補酵素です。構造は以下になります。

 

酸化型FAD

 

 

「フラビン・アデニン・ジヌクレオチド」と言い、「NAD」と同じで、水素(の持つ電子)の預かり役「電子伝達体」です。

 

 

酸化型の「NAD」は、水素を預かることで、還元型の「NADH」になりましたが、「FAD」も酸化型が水素を預かると、還元型の「FADH2」になります。

 

 

還元型FADH2

 

 

 

「FADH2」の「2」という数字については、最後に補足という形で説明します。

 

 

では、話を反応に戻します。

 

以下が反応前の「コハク酸」と酸化型の「FAD」です。

 

 

コハク酸と酸化型FAD

 

 

脱水素(酸化還元)酵素である「コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体」によって、「コハク酸」は「FAD」に水素を渡します。

 

すると、「FAD」は還元型の「FADH2」になり、「コハク酸」は「フマル酸」になります。

 

 

 

フマル酸と還元型FADH2

 

 

こちらが構造になります。

 

 

フマル酸

 

 

 

「フマル酸」は次の反応に進みます。

 

なお、この反応で使われた酵素「コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体」は、電子伝達系の「複合体Ⅱ(コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体)」と同じものです。

 

 

 

 

⑦フマル酸 → リンゴ酸

 

 

この反応では、「フマル酸ヒドラターゼ(フマラーゼ)」という酵素が使われます。

 

「フマル酸」に水分子(H2O)が加わります。

 

 

フマル酸と水分子

 

 

すると、「リンゴ酸」になります。

 

 

リンゴ酸

 

 

「リンゴ酸」は次の反応に進みます。

 

 

 

⑧リンゴ酸 → オキサロ酢酸

 

 

「クエン酸回路」最後の反応です。

 

この反応で使われる酵素は「リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(脱水素酵素)」です。

 

以下が反応前の状態です。

 

リンゴ酸と酸化型NAD

 

 

「リンゴ酸」が酸化型の「NAD」に水素を預けると、「NAD」は「NADH」に、そして、「リンゴ酸」は「オキサロ酢酸」になりました。

 

 

オキサロ酢酸と還元型のNADH

 

 

以下が、「オキサロ酢酸」です。

 

 

オキサロ酢酸

 

 

これで「クエン酸回路」を一周したことになります。

こうしてできた「オキサロ酢酸」が、また次の「アセチルCoA」と反応するわけです。

 

 

 

ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体について補足

 

 

「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体」は、「複合体」とついているように、3つの酵素(E1、E2、E3)が集まった複雑な構造をしています。以下が1~3の酵素の名前です。

 

 

 

  • E1・・・ピルビン酸デヒドロゲナーゼ

 

  • E2・・・ジヒドロリポイルトランスアセチラーゼ

 

  • E3・・・ジヒドロリポイルデヒドロゲナーゼ

 

 

 

そして、複数の補酵素が必要です。

 

 

アセチル基を受け取る「CoA」、水素原子を受け取る「NAD」の他にも、「FAD」、「チアミン2リン酸」、「α-リポ酸」が、酵素のサポートをします。

 

 

栄養の話になるのですが、

 

 

「CoA」の合成には、「ビタミンB5(パントテン酸」が、

 

 

「NAD」の合成には、「ビタミンB3(ナイアシン)」が、

 

 

「FAD」の合成には、「ビタミンB2(リボフラビン)」が、

 

 

「チアミン2リン酸(チアミンピロリン酸)」の合成には、「ビタミンB1(チアミン)」が、

 

 

 

それぞれ必要になってきます。

 

 

E1の「ピルビン酸デヒドロゲナーゼ」の補酵素「チアミン2リン酸」は、「ビタミンB1」の活性型です。

 

 

「ピルビン酸」→「アセチルCoA」に変える為に必要な補酵素は1つではありませんが、「ビタミンB1」が強調されるのは、複合体の中の最初の反応に必要だからでしょう。

 

でも、他の補酵素も必要です。

 

従って、この代謝を止めないためにも、ビタミンB群のサプリを飲むといいわけです。

 

例えばこれ。

 

 

ビタミンB群のサプリメント

 

 

B群が足りなくなるとどんな不具合が起きるのか、沢山のB群が必要な体質については以下の記事に書きました。

 

 

ベジタリアンや糖質を止められない人が、健康の為に摂っておきたい栄養素とは

 

癌細胞と癌家系について分かりやすく説明してみた

 

 

そして、「α-リポ酸」は、ビタミン様物質(ビタミンに似た有機化合物)です。

 

 

話がそれましたが、「ピルビン酸」を「アセチルCoA」に変えるには、厳密には3つの酵素と、5つの補酵素が必要ということになります。

 

 

具体的にどういう流れでそうなるのか調べたのですが、人によって説明が食い違っていたり、それ以前に、私でも理解できる文章で書かれたものが見つからなかったので、分かり次第書き加えたいと思います。

 

 

また、「④α-ケトグルタル酸 → スクニシルCoA」で働く酵素、「α-ケトグルタル酸(2-オキソグルタル酸)デヒドロゲナーゼ複合体」も、3つの酵素から構成される複合体で、やはり5つの補酵素が必要になります。

 

 

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NADとFADについて

 

 

電子伝達体の「NAD」と「FAD」についての補足になります。

 

 

ここまでは省略していたのですが、酸化型の「NAD」は、正確には「NAD」の右上に「+」と書きます。このプラスは、「プラスの電荷を帯びている」という意味です。

 

「NAD」の相手、「イソクエン酸」を例に説明します。

 

 

「イソクエン酸」は、水素が8ですが、このうちの2つが外れます。

 

 

 

イソクエン酸とNAD+

 

 

 

この外れた「水素原子」の構造はこのようになっています。

 

 

 

水素原子

 

 

プラスの電気を帯びた「陽子(プロトン)」の周囲を、マイナスの電気を帯びた「電子(エレクトロン)」が衛星のように回っています。

 

 

ちなみに、水素原子には「中性子」はありません。

 

 

「陽子」が1個と「電子」が1個のペア・・・これが「水素原子」です。

 

従って、「基質から水素が2個外れる」ということは、

 

 

電子2つと陽子2つ

 

 

プラスの「陽子」が2つ、マイナスの「電子」が2つ外れるということになります。

 

で、「NAD+」の方は、プラスの電気を帯びています。「窒素+」のところです。

 

 

NAD+

 

 

「NAD+」は、「電子(-)」つと、「陽子(+)」つを受け取ります。水素原子がくっついて、「窒素+」が「電子(-)」によって還元されます。

 

還元型に変わると、電気的に中性になります。

 

ですが、1つ「陽子(+)」が余ります。

 

 

NADH+H+

 

 

この「電子を失った水素」の事を「H+」、「水素イオン」、「プロトン」等と言います。

 

 

従って、「還元型のNADH」は、厳密には「NADH + H+」のセットということになります(※「H+」は遊離します)

 

 

調べていると、情報源によって、酸化型は「NAD」と書かれていたり、「NAD+」と書かれていたり、また還元型は、「NADH」と書かれていたり、「NADH2」と書かれていたり、統一感がありません。「+」の意味、「2」の意味も、説明が回りくどくて何が言いたいのか分かりにくいものがほとんどで、納得するのに時間がかかりました。一番分かりやすかったのは以下の本です。

 

 

『イラスト 基礎からわかる生化学―構造・酵素・代謝 / 著者:坂本 順司』より引用

 

ナイアシンは分子中でアミドの形で存在しており、このニコチンアミド環がまさに酸化還元のおこる場所である。

 

酸化型では正電気を帯びており、電子(e-)2つと水素イオン(H+)1つを受け取って還元型に変わると、電気的に中性となる。

 

(中略)

 

酸化還元反応でNADやNADPの相手となる有機酸などの基質は、多くの場合2つの水素原子、いいかえると2つの e- と2つの H+ を解離・結合する。したがって両者が反応すると H+ が1つ遊離(逆反応の場合は吸収)される

 

(167p~168p)

 

 

そして、「FAD」について説明します。

 

 

酸化型の「NAD+」は、「電子(-)」つと、「陽子(+)」つを受け取るのですが、

 

酸化型の「FAD」は、「電子(-)」つと、「陽子(+)」つを受け取ります。なので、「NAD」のように陽子は余りません。

 

 

「コハク酸」で説明します。

 

 

コハク酸とFAD

 

 

 

コハク酸の「水素原子」が2つ外れるので、「電子」2つ、「陽子」2つが外れるということになります。

 

 

一方、酸化型の「FAD」は、「電子」2つと、「陽子」2つを受け取るので、「水素原子が2つ結合した」ことになります。

 

 

FADH2

 

 

従って、「FADH2」となります。

 

 

フラビンもナイアシン誘導体と同様、2電子酸化還元をおこなう補酵素である。ただしNADやNADPとは違い、2つの e- と同時に H+ も2つ授受するので、H+ が遊離・吸収されることはない

 

(169p~170P)

 

 

 

クエン酸回路のおさらい

 

 

クエン酸回路によって生じたものをまとめます。

 

 

【序章】ピルビン酸 → アセチルCoA

 

二酸化炭素(CO2)

 

①アセチルCoA → クエン酸

 

 

②クエン酸 → (Cis-アコニット酸) → イソクエン酸

 

 

③イソクエン酸 → (オキサロコハク酸) → α-ケトグルタル酸

 

NADH

 

二酸化炭素(CO2)

 

 

④α-ケトグルタル酸 → スクニシルCoA

 

NADH

 

二酸化炭素(CO2)

 

⑤スクニシルCoA → コハク酸

 

ATP

 

⑥コハク酸 → フマル酸

 

FADH2

 

⑦フマル酸 → リンゴ酸

 

 

⑧リンゴ酸 → オキサロ酢酸

 

NADH

 

 

 

そして、本記事に使用した絵は、以下の動画を参考にしました。分かりやすいアニメーションなのでオススメです。

 

 

 

 

こちらも合わせて見て下さい。

 

 

 

 

次は「電子伝達系」についてお話します。

 

 

電子伝達系(呼吸鎖)について分かりやすく説明してみた①複合体Ⅰ~Ⅱへ続く

 

 

 

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解糖系について分かりやすく説明してみた

解糖系について分かりやすく説明してみた

 

以前、エネルギー代謝の「解糖系」、「クエン酸回路」、「電子伝達系」、それによって産生される「ATP」について記事にしたのですが、内容は全体に軽く触れる程度でした。

 

なので、「解糖系」、「クエン酸回路」、「電子伝達系」を小分けにして、以前より細かく説明していきます。本記事は、そのうちの「解糖系」について取り上げます

 

 

先に簡略化した以下の記事をお読みいただいた方が、今回の話がスムーズに理解できると思います。

 

ATP(アデノシン三リン酸)について分かりやすく説明してみた

 

 

エネルギー代謝について分かりやすく説明してみた

 

 

 

そして、この記事の説明に使っている絵ですが、

 

 

普通は原子を、C(炭素)、O(酸素)、H(水素)、N(窒素)・・・と、アルファベットで書くのですが、私は英語だとピンとこないので漢字にしました。ただし、カタカナだとしっくりこなかったので、リンだけは「P」にしました。

 

 

化学が得意な人には邪道な表記で申し訳ないのですが、大目に見ていただけると嬉しいです。

 

それでは本題に入ります。

 

 

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解糖系とは

 

「解糖系」とは、糖を分解する経路の事で、10段階の反応からなります。糖は「ブドウ糖(グルコース)」のことです。これまでは、

 

 

グルコース

(何段階か反応)

ピルビン酸

 

 

・・・と、かなり省略して説明していましたが、今回はこの間の説明になります。

 

 

「解糖系」で得られるのは、エネルギー物質「ATP」が2分子と、電子伝達体の「NADH」が2分子です。

 

 

 

ATP・・・2分子

 

NADH・・・2分子

 

 

そして、「グルコース」1分子から、「ピルビン酸」は2分子できます。

 

なので出発点は「グルコース」です。

 

 

①グルコース → グルコース6リン酸

 

以下がグルコースの構造です。

 

 

グルコース

 

 

まず、「グルコース」が、リン酸基を付けられる「リン酸化」という反応によって、「グルコース-6-リン酸」になります。

 

ただし、

 

解糖系の目的は「ATP」を得る為ですが、その為にはまず一番最初に「ATP」を1分子使います。

 

「ATP」を作る為に、「ATP」を使うわけです。世間ではこれを「投資」と言います。

 

そして、こちらがエネルギー物質「ATP」の構造です。

 

ATP(アデノシン三リン酸)

 

「アデノシン・トリ・ホスフェート / 和名:アデノシンリン酸」という名前の通り、リン酸基が3つ付いています。

 

 

「3があるなら他の数字もあるのか」と思われるでしょうが、当然あります。「トリ(3)」と、「ジ(2)」と、「モノ(1)」です。

 

 

 

リン酸1つ・・・AMP

 

リン酸2つ・・・ADP

 

リン酸3つ・・・ATP

 

 

今回登場するのは「ATP」と「ADP」です。前者が「エネルギーが蓄えられている状態」で、後者が「エネルギーを放出した状態」です。

 

以下の、「1と2の間」、「2と3の間」のところは、「高エネルギーリン酸結合」と言います。

 

 

ATPの高エネルギーリン酸結合

 

 

「ATP⇔ADP」の場合、3と2の間が結合する(ADPをATPに変換する)とエネルギーが蓄えられ、結合部分が外れる(ATPがADPに変換される)とエネルギーが放出される仕組みになっています。

 

生体はこのエネルギーを利用して生命活動を行なっているのです。

 

 

ATP(3) ⇔ ADP(2)

 

 

ちなみに、ATPに蓄えられたエネルギーの使用期限は短いので、合成されても、すぐに消費されます。そして再びエネルギーが蓄えられます。

 

 

それでは、話を「グルコース」に戻します。

 

「解糖系」では、まずこのATPの「リン酸基」が外れて、「グルコース」に付けられます。

 

グルコースとATP

 

 

すると、エネルギーを放出した「ATP」は、「ADP」となり、「グルコース」は「グルコース-6-リン酸」になります。

 

 

グルコース-6-リン酸

 

 

「グルコース」にはなかったリン酸がくっついています。

 

そして、この反応に使われる酵素は「ヘキソナーゼ」と言います。へきそ(hexo-)とは「6」のことで、六炭糖を指します。

 

「ヘキソナーゼ」のように、基質(元の物質)から何かを切り離して、それを別の基質にくっつける酵素のことを「転移酵素」と言います。

 

 

ただし、酸素と水素は別で、これらを転移させる酵素は「酸化還元酵素」と言います。

 

 

そして、「グルコース-6リン酸」は、次の反応へと進みます。

 

 

 

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②グルコース6リン酸 → フルクトース6リン酸

 

次に「異性化」という反応が起きます。「異性化反応」では、原子の種類や数は減ったり増えたりせずに、場所だけ変わります。

 

この反応で使われる酵素は、「グルコース-6-リン酸イソメラーゼ(異性化酵素)」です。

 

 

「グルコース-6-リン酸」は、「フルクトース-6-リン酸」に変化します。

 

 

フルクトース-6-リン酸

 

「グルコース-6-リン酸」も、C6 H13 O9 P。

 

「フルクトース-6-リン酸」も、C6 H13 O9 P なので、数は変わっていません。

 

「フルクトース-6-リン酸」は次の反応へ進みます。

 

 

 

③フルクトース6リン酸 → フルクトース1.6-ビスリン酸

 

 

次は再び「リン酸化」が起きます。つまり、投資をしなければいけないので、ここでもまたATPを使います。

 

フルクトース-6-リン酸とATP

 

 

この反応の酵素は、「ホスホフルクトキナーゼ」です。

 

これにより、「ATP」は「ADP」となり、「フルクトース-6-リン酸」は「フルクトース-1,6-ビスリン酸」になります。

 

 

フルクトース-1,6-ビスリン酸

 

 

リン酸を2つ手に入れました。

 

「フルクトース-1,6-ビスリン酸」は次の反応に進みます。

 

 

④フルクトース1.6-ビスリン酸 → ジヒドロキシアセトンリン酸 & グリセルアルデヒド三リン酸

 

これまで足したり入れ替えたりしてきましたが、次の反応は開裂です。これにより6炭糖が3炭糖に割れます。

 

この反応で使われるのは、水を加えることなく切断する「脱離酵素」で、「アルドラーゼ」と言います。大雑把ですが、だいたいこの辺りから真っ二つです。

 

 

フルクトース-1、6-ビスリン酸のアルドラーゼによる開裂

 

 

そうしてできたのがこちらの2つです。ただ割れただけでなく、配置も少し変わっています。

 

 

グリセルアルデヒド-3-リン酸とジヒドロキシアセトンリン酸

 

 

この2つは、原子の数や種類は同じですが、配置が違います。

 

「グリセルアルデヒド-3-リン酸」は次へ進むことができるのですが、「ジヒドロキシアセトンリン酸」はこの状態だと進めません。

 

 

なので、「ジヒドロキシアセトンリン酸」は、もう一度反応して「グリセルアルデヒド-3-リン酸」になります。

 

それが、次の反応です。

 

 

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⑤グリセルアルデヒド-3-リン酸 → ジヒドロキシアセトンリン酸

 

「ジヒドロキシアセトンリン酸」を「グリセルアルデヒド-3-リン酸」に変える酵素は、「トリオースリン酸イソメラーゼ」です。これによって異性化が起きます。

 

 

 

  • グルセルアルデヒド-3-リン酸

 

  • ジヒドロキシアセトンリン酸 → グリセルアルデヒド-3-リン酸

 

 

こうして、2つの「グリセルアルデヒド-3-リン酸」が生成されました。

 

 

2つのグリセルアルデヒド-3-リン酸

 

 

この反応によって2分子になってしまったので、これ以降は、グルコース1分子あたりの中間代謝物は2倍になります。

 

1分子だけ描きますが、後で計算する時に2倍にします。

 

というわけで「グリセルアルデヒド-3-リン酸」は、次の反応に進みます。

 

 

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⑥グリセルアルデヒド3リン酸 → 1.3-ビスホスホグリセリン酸

 

 

ここでは、新たな物質が登場するのでちょっとややこしくなります。その名は「NAD えぬえーでぃー」です。

 

 

酸化型NAD

 

 

正式名は、「ニコチンアミド・アデニン・ジヌクレオチド(NAD)」です。「脱水素酵素」の補酵素(サポート役)になります。

 

この「NAD」には、水素(のもつ電子)を預かる働きがあります。

 

 

このような化合物の事を「電子伝達体 でんしでんたつたい」と言います。

 

 

上のイラストは、「酸化型」といって水素を預かる前の状態です。

 

 

「酸化 さんか」とは、「電子を失う事」、「水素を失う事」です。

 

逆に、「電子を得る事」、「水素と化合する事」を「還元 かんげん」と言います。

 

 

そして、「酸化型」があるということは、「還元型」もあるということです。それが「NADH」です。

 

 

還元型NADH

 

 

「NADH」は還元型なので、水素(電子)を預かった状態です。どこかに水素がついていますので探してみて下さい。

 

 

実は「NAD → NADH」は、説明を省略している部分があります。詳しいことは「クエン酸回路」の記事でお話します。

 

 

それでは、話を「グリセルアルデヒド-3-リン酸」に戻します。

 

「グリセルアルデヒド-3-リン酸」を「1,3-ビスホスホグリセリン酸」にするには、「脱水素」と「リン酸化」という2つの反応が同時に起きます。

 

ここで使われる酵素は、「グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ」です。

 

 

「脱水素」を行なう酵素を「脱水素酵素」というのですが、英語だと「デヒドロゲナーゼ(de-hydrogen-ase)」です。

 

“hydrogen”は水素、“de”は外す、脱するという意味です。

 

 

そして、「リン酸化」も起きるので、パーツである「リン酸(Pi)」も必要です。

 

 

リン酸

 

 

流れは、

 

 

グリセルアルデヒド-3-リン酸とリン酸とNAD

 

 

「グリセルアルデヒド-3-リン酸」から水素が外れ、「NAD(酸化型)」に預けられます。

 

同時に、どこから表れたのか不明ですが、「リン酸」が「グリセルアルデヒド-3-リン酸」にくっつきます。

 

すると、「NAD」は「NADH(還元型)」となり、

 

 

1,3-ビスホスホグリセリン酸とNADH

 

 

「グリセルアルデヒド-3-リン酸」は「1,3-ビスホスホグリセリン酸」になります。

 

 

1,3-ビスホスホグリセリン酸

 

 

リン酸が2つになった「1.3-ビスホスホグリセリン酸」は次の反応に進みます。

 

 

 

⑦1.3-ビスホスホグリセリン酸 → 3ホスホグリセリン酸

 

ここでは「ホスホグリセリン酸キナーゼ」という転移酵素を使います。

 

「1.3-ビスホスホグリセリン酸」は、2つあるリン酸のうちの1つを「ADP」にあげます。

 

「ATP」の説明をした時に少しお話しましたが、こちらが「ADP」の構造になります。

 

ADP(アデノシン二リン酸)

 

「アデノシン・ジ・ホスフェート / 和名:アデノシンリン酸)」と読み、“Di(ジ)”というのは、数字の2です。

 

リン酸が2つあるということを表しています。

 

これに、更にリン酸が1つ加わると、「アデノシン・トリ・ホスフェート / 和名:アデノシンリン酸」、つまり「ATP」になるわけです。

 

もう一度言いますが、「ADP」から「ATP」になることで「高エネルギーリン酸結合」の部分にエネルギーが蓄えられます。

 

では話を戻します。

 

「ADP」は「1.3-ビスホスホグリセリン酸」からリン酸を1つもらいます。

 

1,3-ビスホスホグリセリン酸とADP

 

 

これで「ATP」が1つできました。

 

 

3-ホスホグリセリン酸とATP

 

一方、リン酸を譲った「1.3-ビスホスホグリセリン酸」は、「3-ホスホグリセリン酸」になりました。

 

 

3-ホスホグリセリン酸

 

 

「3-ホスホグリセリン酸」は次の反応に進みます。

 

 

⑧3ホスホグリセリン酸 → 2ホスホグリセリン酸

 

次は異性化です。原子の数や種類は変わらず、配置が変わります。

 

ここで使われる酵素は「ホスホグリセリン酸ムターゼ」です。それにより、「3-ホスホグリセリン酸」は「2-ホスホグリセリン酸」になります。

 

 

2-ホスホグリセリン酸

 

 

「2-ホスホグリセリン酸」は次の反応に進みます。

 

 

⑨2ホスホグリセリン酸 → ホスホエノールピルビン酸

 

この反応では、除去付加酵素の「エノラーゼ」が使われます。これによって「2-ホスホグリセリン酸」の脱水が起きます。

 

酸素1、水素2(つまり水分子)が脱離します。

 

その結果、「ホスホエノールピルビン酸」になります。

 

ホスホエノールピルビン酸と水分子

 

 

「ホスホエノールピルビン酸」は次の反応に進みます。

 

 

⑩ホスホエノールピルビン酸 → ピルビン酸

 

「ホスホエネールピルビン酸」にはリン酸がついています。これを「ADP」にあげて「ATP」を合成します。

 

使われるのは転移酵素の「ピルビン酸キナーゼ」です。

 

 

ホスホエノールピルビン酸とADP

 

 

「ADP」は、リン酸をもらって「ATP」になり、

 

 

ピルビン酸とATP

 

 

「ホスホエノールピルビン酸」は、リン酸を外したことで「ピルビン酸」になりました。

 

ピルビン酸

 

 

 

解糖系によって得られたもの

 

「解糖系」の流れを振り返ります。

 

2倍で計算しています。

 

1分子の「グルコース」から、10段階の反応を経て、2分子の「ピルビン酸」になり、

 

 

グルコースからピルビン酸

 

 

「グリセルアルデヒド3リン酸」から「1.3-ビスホスホグリセリン酸」になる反応で、水素(の持つ電子)を預かった「NADH」が2分子できました。

 

 

NADH2分子

 

 

この水素は、ミトコンドリアの内膜で起こる「電子伝達系」で使われます。

 

そして、目的の「ATP」は、「1.3-ビスホスホグリセリン酸 → 3ホスホグリセリン酸」の反応で分子、「ホスホエノールピルビン酸 → ピルビン酸」の反応で分子得られたので、合計分子ということになります。

 

 

しかし、最初に2分子投資しているので、それを引くと、「解糖系」で得られるATPは2分子ということになります。

 

 

ATP2分子

 

 

本記事の絵は、主に以下の動画を参考にしました。英語は分からないのですが、非常に丁寧に描かれていて感動しました。

 

動画の方が分かりやすいので、見る事をオススメします。

 

 

 

 

 

クエン酸回路(TCA回路)について分かりやすく説明してみたへ続く

 

 

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「脳のエネルギー源はブドウ糖なので糖質をしっかり摂りましょう」と言う人が語らない話

「脳のエネルギー源はブドウ糖なので糖質をしっかり摂りましょう」と言う人が語らない話

 

脳の細胞は大きくわけるとつのタイプがあります。「ニューロン」と「グリア細胞」です。

 

 

この2つは、特徴やエネルギー代謝が異なります。

 

 

「ニューロン(別名:神経細胞)」とは、思考する細胞です。

 

一方「グリア細胞(別名:神経膠細胞)」は、「ニューロン」の補助役で、思考しない細胞です。

 

 

 

  • ニューロン・・・思考する

 

  • グリア細胞・・・思考しない、ニューロンの補助

 

 

 

この2つの細胞は数でいったら、「グリア細胞」が圧倒的に多いです。その数、「ニューロン」の十倍~数十倍です。

 

 

10倍という説があったり、50倍という説があります。

 

 

 

というわけで、この2つの細胞がどのようにしてエネルギー代謝を行なっているのか、また、脳にはブドウ糖がどのくらい必要なのか詳しく解説していきます。

 

 

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エネルギー源が違う「ニューロン」と「グリア細胞」

 

 

いきなりですが、結論です。

 

 

思考を司る「ニューロン」のエネルギー源は、「ケトン体」と、グリア細胞のエネルギー代謝で生じた「乳酸」です。

 

 

一方、思考を司らない「グリア細胞」のエネルギー源は、「ブドウ糖」になります。

 

 

  • 「ニューロン」・・・ケトン体、乳酸

 

  • 「グリア細胞」・・・ブドウ糖

 

 

この事実だけを見たら、「脳細胞の大多数を占めるグリア細胞のエネルギー源がブドウ糖だから、脳のエネルギー源はブドウ糖と言えるな」・・・と考えられなくもないです。

 

 

しかし、「思考する細胞」と「思考しない細胞」では、どちらが脳と言えるのか・・・と考えたら、やはり思考する方です。

 

 

例えば、アシスタントの助けがないと作業が完了できなかったとしても、アシスタントの数が多かったとしても、漫画の作者(作品の脳)は、アシスタントではなく「漫画家」です。

 

 

アシスタントは漫画の作者、漫画の顔ではありません。

 

 

同じように、「グリア細胞」の助けが必要であっても、脳の主役は、やはり思考する「ニューロン」だと言えます。

 

 

そのように考えると、思考する「ニューロン」のエネルギー源はブドウ糖ではないのですから、やはり「脳のエネルギー源はブドウ糖だ」というのは、誤解を与える意見であると言わざるを得ません。

 

 

 

ここから、「ニューロン」と「グリア細胞」の違いについて説明します。

 

 

ニューロンの特徴

 

 

まずは「ニューロン(神経細胞)」の簡単な紹介をします。

 

 

 

ニューロン

 

 

放射線状に広がった突起を「樹状突起 じゅじょうとっき」といって、情報の入力部分になります。

 

 

そして、長く伸びた軸の先端が出力部分になります。

 

 

この細胞がいくつも連続して情報のバケツリレーをしているというわけです。

 

 

このような感じで。

 

 

 

ニューロン

 

 

情報の流れは、

 

 

「樹状突起」→「軸索」→「軸索の末端」 → 「隣のニューロン」 ・・・の連続です。

 

 

そして、「ニューロン」と「ニューロン」の連結部分を「シナプス」と言います。

 

 

 

シナプス

 

 

 

「シナプス」は繋がっていません。

 

 

電気信号が先端までくると、そこから「神経伝達物質」という化学物質が分泌されて、次の「ニューロン」に伝わる仕組みになっています。

 

 

 

シナプスと神経伝達物質

 

 

 

特徴を把握したので、次は「ニューロン」のエネルギー代謝に焦点を当てます。

 

 

 

ニューロンのエネルギー代謝

 

 

「ニューロン」は、ミトコンドリアの多い細胞です。

 

 

ニューロン

 

 

ミトコンドリアとは細胞内にある発電所のようなものです。

 

 

ミトコンドリアでは「クエン酸回路」、そして「電子伝達系」という反応によってエネルギー物質「ATP」を作ります。

 

 

ATP、解糖系、クエン酸回路、電子伝達系については以下の記事で説明しています。

 

 

ATP(アデノシン三リン酸)について分かりやすく説明してみた

 

エネルギー代謝について分かりやすく説明してみた

 

 

 

エネルギーの材料は、脂肪酸から生成された「ケトン体」や、「グリア細胞で発生した乳酸」になります。

 

 

「ニューロン」には、「ブドウ糖」を材料とするエネルギー代謝である「解糖系」はほぼないそうです。

 

 

 

ミトコンドリアのエネルギー代謝

 

 

 

ミトコンドリアでの代謝に依存しているので、ニューロンのエネルギー代謝は「高エネルギー」ということになります。

 

 

「ニューロン」のように、ミトコンドリア主体の細胞は、生涯にわたって細胞分裂をしないのが特徴です。

 

 

 

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グリア細胞の特徴(中枢神経系)

 

 

神経には「中枢神経系(脳と脊髄からなる神経)」と、「末梢神経系(脳と脊髄以外の神経)」があります。

 

で、中枢神経に存在する「グリア細胞」は種類あるのですが、それぞれ、どんな細胞なのか簡単に紹介します。

 

 

上衣細胞

 

 

まずは「上衣細胞 じょういさいぼう」です。

 

 

上衣細胞

 

 

この細胞は、脳室の壁を構成しています。

 

 

「脳室」は、嗅脳室、側脳室、第三脳室、中脳水道、第四脳室、脊髄中心管です。

 

 

 

アストロサイト

 

 

次は「アストロサイト」です。

 

 

 

アストロサイト

 

 

 

この「アストロサイト」の機能は複数あります。近年、研究が進んで新たな機能が発見されているようですが、メインの機能がこちらです。

 

 

 

  • 構造面でニューロンのネットワークを支える

 

  • 物質輸送を介し、アストロサイト周辺の条件を調節する

 

  • 毛細血管の周囲を取り囲んで「血液脳関門 」を形成する

 

 

このうちの、「血液脳関門 けつえきのうかんもん」について説明します。

 

 

通常の毛細血管の「内皮細胞 ないひさいぼう」には隙間があるので、様々な物質が血管の内外を自由に出入りできます。

 

しかし、脳の毛細血管の「内皮細胞」はちょっと違っていて、有害物質が入らないように関所のような機能があります。それが「血液脳関門」で、英語名は響きがよく「lood-rain arrier ブラッド-ブレインバリア」と言います。

 

「アストロサイト」の足の突起は、BBBの外側を構成しています。こんな感じで。

 

 

 

アストロサイトと血液脳関門

 

 

この関門を通過できるのは「酸素」、「ブドウ糖」、「ケトン体」、「一部のアミノ酸やビタミン」、「アルコール」等、「分子量が小さい物質」や、「脂溶性で細胞膜を通過できる物質」です。

 

 

 

以前、「水素水を飲んだら頭痛が消えた」という話をしたことがあります。「水素」は物質の中で一番小さい分子なので、「血液脳関門」を通過することができるので、それで効果があったのでしょう。

 

目と脳は密接に関係している。慢性的な頭痛の原因と、それが改善した理由とは

 

 

 

 

ミクログリア

 

 

次は「ミクログリア」です。

 

 

ミクログリア

 

 

「ミクログリア」は小型の細胞で、ニューロン、アストロサイト、血管内皮細胞などに接しています。

 

中枢系の免疫が担当です。また、神経細胞が死んだ時に死骸を食べて処理する機能もあります。

 

 

 

オリゴデンドロサイト

 

 

次は「オリゴデンドロサイト」です。

 

 

オリゴデンドロサイト

 

 

「オリゴデンドロサイト」は、「ニューロン」の軸索に巻きついていて、電気信号を効率よく伝える為の「絶縁体(※電気を伝えない物体)」の役割を果たしています。

 

 

 

グリア細胞の特徴(末梢神経系)

 

 

ここまで、中枢神経系の4種類の「グリア細胞」を紹介しましたが、補足で、末梢神経系の「グリア細胞」も紹介しておきます。

 

 

 

シュワン細胞

 

 

「シュワン細胞」は、軸索に巻きついています。

 

 

シュワン細胞

 

 

 

衛星細胞

 

 

「衛星細胞」というのもあります。

 

 

 

衛星細胞

 

 

 

 

では、ここからは「グリア細胞」のエネルギー代謝の説明に入っていきます。

 

 

 

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グリア細胞のエネルギー代謝

 

 

思考をしない「グリア細胞」は、エネルギー産生の99%を「解糖系」に依存しています(※つまり、エネルギー源をブドウ糖に依存しているということです)。ミトコンドリアに依存している「ニューロン」と逆ですね。

 

 

 

解糖系のエネルギー代謝

 

 

 

「グリア細胞」に必要なブドウ糖は、毎時3~4gです。

 

 

「ニューロン」と「グリア細胞」の違いをまとめます。

 

 

 

  • 「ニューロン」・・・ケトン体、乳酸(ミトコンドリア)

 

  • 「グリア細胞」・・・ブドウ糖(解糖系)

 

 

 

ここで注目していただきたいのが、ブドウ糖(グルコース)をエネルギー源とする解糖系に依存する「グリア細胞」は、乳酸が発生するということです。

 

 

 

 

グリア細胞の解糖系で生じた乳酸

 

 

「ニューロン」のエネルギー源は、「ケトン体」と「解糖系で発生した乳酸」でした。ケトン体が足りなくなった時に、乳酸をエネルギー源として利用するのです。

 

 

「グリア細胞」で発生した乳酸は、「乳酸トランスポーター」によって「ニューロン」に運ばれます。そして、乳酸はピルビン酸に変換され、酸素と共にミトコンドリアに取り込まれてエネルギーを産生します。

 

 

 

グリア細胞で発生した乳酸

 

 

乳酸トランスポーターがニューロンに運ぶ

 

 

乳酸はピルビン酸に変換される

 

 

ピルビン酸はミトコンドリアに取り込まれる

 

 

エネルギー産生

 

 

 

「ブドウ糖(グルコース)の代謝によって生じた乳酸をエネルギー源にしているのだから、「ニューロン」もブドウ糖が必要じゃないか」・・・と、思われた人もいるかもしれません。

 

 

しかし、これだけで「糖質の摂取は必要なんだ」と結論付けるのは早いです。

 

 

「グリア細胞」のブドウ糖も、「糖新生(肝臓や腎臓で、糖質以外の材料から糖質を作るシステム)」でまかなうことができるからです。

 

 

 

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グリア細胞に必要な糖質量

 

 

体は肝臓や腎臓で、糖質以外の材料からブドウ糖(グルコース)を合成することができます。

 

 

肝臓と腎臓

 

 

その合成経路については以下の記事で説明しました

 

 

糖新生の仕組みについて分かりやすく説明してみた

 

 

 

どのぐらいの量が合成できるのかというと、毎時g~10g(小さじ1~2)です。

 

 

『Cafe すてきに活ききる 旬(ときめき)亭 糖新生、低血糖 萩原敦』より引用

 

 

飢餓時だけに「糖新生」が、特別に起きるわけではない。

 

 

わかりやすく言えば、糖質を食って血糖値が上昇している時は、糖新生は抑制されるが、それ以外の空腹時や睡眠時は、肝臓と腎臓でグルコースを毎時6~10g程度、血液中に24時間供給している。

 

 

もし、あなたがしっかりとした糖質制限をしているなら、食事中も食後も糖新生は継続しているのである。

 

 

脳のグリア細胞の解糖系では、過酷な頭脳労働時は毎時4gぼーっとしている時は、2~3g、睡眠中は2g程度のグルコースの消費がある。

 

 

赤血球は、安静時(事務仕事程度)では、毎時2g程度消費されている。

 

 

血糖値の標準値を100とすると、体重50キロのヒトで、血中に4gのグルコース量で飽和していることになる。

 

 

この初期血糖値の4gと糖新生による追加グルコース6~10g(中間値8をとる)を加算すると、4+8=12 12-(4+2)=6gということで、単純計算でも、血糖値が相当、上昇することになる。

 

 

これを抑制するのが、持続的に分泌されている「インスリン基礎分泌」である。

 

 

はっきり言って、「糖新生」のグルコース合成の量と「インスリン基礎分泌」の量の均衡が、空腹時血糖値や睡眠時の血糖値を、定めているのである。

 

 

したがって、生涯に渡って、糖質ゼロで、食生活を営んでも、糖新生とインスリン基礎分泌の均衡が保たれれば、低血糖にも高血糖にもならないのであり、血糖値の恒常性を完全に維持できるのである。

 

 

グリア細胞や赤血球には(ブドウ糖)グルコースが必要ですが、食事から摂らなくても十分足りることがお分かりいただけると思います。

 

 

  • 基礎血糖(血液4~5リットルに対し、4~5g)

 

  • 絶食時、糖質制限時、糖新生で合成されるグルコース(毎時6~8g)

 

  • 脳のグリア細胞のグルコース消費量(毎時2~4g)

 

  • 赤血球のグルコース消費量(毎時2g程度)

 

 

 

消費の量よりも、糖新生で作られる量の方が多いのです。

 

 

以前、糖新生まできちんと説明せず、「グリア細胞はケトン体が利用できないから砂糖を摂った方が良い」・・・という意見を見たので油断なりません。

 

 

一応、糖質を過剰に摂る事で、脳にどんな影響があるのか紹介しておきます。

 

 

 

脳腫瘍の原因

 

 

糖新生で必要な糖質量がまかなえるということは既に説明しました。では、「脳にはブドウ糖が必要である」を真に受けて糖質を食べるとどうなるか、リスクについてお話します。

 

注意すべきなのは、「乳酸の蓄積」「糖化」です。

 

乳酸を処理するシステムは体に備わっていますが、過剰になれば、やはり、どの細胞も同じ末路を辿ります。

 

 

詳しくは以下の癌の記事で説明したのですが、

 

癌細胞と癌家系について分かりやすく説明してみた

 

【注意】癌の本質を理解していないと症状が悪化する治療法を選択します

 

 

人間の血液は、pH7.35~7.45に保たれているのが正常です。

 

 

数値が小さくなると酸性になるのですが、pH7.3以下になると機能低下になり、pH7.1以下になると死の危険があります。

 

 

で、問題の「乳酸」ですが、酸とつくように pH 程度の酸性物質です。これが蓄積すると、血液のpHが酸性に傾いていきます。それによってミトコンドリアが機能不全になり、場合によっては細胞が癌化します。

 

 

癌細胞は正常細胞の何倍もブドウ糖を取り込む細胞です。従って、癌は酸性に傾いた体を救うために過剰な糖(乳酸)を処理していると考えられます。

 

 

それは脳の細胞も同じことです。

 

 

糖質の過剰供給で乳酸が発生し、「グリア細胞」が癌化したのが脳腫瘍です。

 

 

解糖系がほぼなく乳酸が発生しない「ニューロン」は癌化しません。

 

 

また、「ニューロン」はほとんど細胞分裂しませんが、「グリア細胞」には分裂、増殖能力があります。

 

 

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アルツハイマーと認知症

 

 

「乳酸」の蓄積も体に不具合をもたらしますが、「糖化」の症状もあなどれません。

 

 

「糖化反応」とは、「余った糖」と「体のタンパク質」が結びついて体温で暖められ、タンパク質が変性する現象のことです。それによって生じた物質が「AGE/AGEs」です。

 

 

「健常な老人」と「アルツハイマー病の患者」の前頭葉を比べると、アルツハイマー病の患者には3倍以上のAGEsが蓄積しているそうです。

 

 

参考:抗糖化コラム アルツハイマー病とAGEs

 

 

このAGEsは、周囲の細胞を攻撃する性質があります。従って、蓄積量が3倍というのはキツイです。

 

AGE(終末糖化産物)について分かりやすく説明してみた

 

 

ちなみに、アルツハイマー病は、「3型の糖尿病」と言われています。

 

 

 

また、「脳血管性認知症」の原因も糖化が関係しています。

 

 

ニューロンの軸索は、「絶縁体」の役目をするカバーで覆われています。「オリゴデンドロサイト」や「シュワン細胞」です。これらを「髄鞘 ずいしょう」、「ミエリン鞘」と言うのですが、認知症の患者さんはこれが薄くなっているそうです。

 

 

『Wikipedia 髄鞘』より引用

 

 

神経科学において髄鞘 (ずいしょう、myelin sheath) は、脊椎動物の多くのニューロンの軸索の周りに存在する絶縁性のリン脂質の層を指す。 ミエリン鞘とも言う。

 

 

コレステロールの豊富な絶縁性の髄鞘で軸索が覆われることにより神経パルスの電導を高速にする機能がある。

 

 

髄鞘はグリア細胞の一種であるシュワン細胞とオリゴデンドロサイト (乏突起または稀突起グリア細胞、en:oligodendrocyte) からなっている。 シュワン細胞は末梢神経系の神経に髄鞘を形成し、一方オリゴデンドロサイトは中枢神経系の神経での髄鞘を形成している。

 

 

髄鞘が薄くなる原因は、「動脈硬化による血流不足で、酸素と栄養が十分に届かないこと」、「ミエリン鞘の糖化」が考えられています。

 

 

 

ちなみに、糖質は動脈硬化の原因にもなります。

 

 

動脈硬化は悪玉コレステロールではなく、動脈壁の劣化が原因だった

 

 

 

 

脳とブドウ糖

 

 

「脳のエネルギー源はブドウ糖」・・・というお決まりのセリフは、情報を小出しにしていて肝心なところが抜け落ちているので、フェアではありません。

 

 

正しくは「脳の「思考をしないグリア細胞」は、エネルギー源をブドウ糖に依存しているが、そのブドウ糖は糖新生で供給できる」です。

 

 

糖質の過剰摂取はリスクがあるので、忘れないようにして下さい。

 

 

 

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糖質制限をしているのに血糖値が高いのは、糖新生が原因かもしれません

 

糖質は依存性が強いだけでなく、過剰に摂取すると害になります。

 

 

しかし、そうはいっても「ブドウ糖」は人体にとって必要な栄養素です。その必要な血中のブドウ糖濃度は、全血液約5ℓに対して5gです。

 

 

 

わずかな量ですが、体には「ブドウ糖に依存している細胞」があるので、この一定のブドウ糖がないと生きていけません。

 

 

 

しかし、食事から糖質(ブドウ糖)が全く入ってこないとどうでしょうか。例えば、睡眠等の絶食時、糖質を制限する食事を実践している時等です。

 

 

 

糖が体に入ってこないので血糖値が低下しそうな気がします。

 

 

 

しかし、問題ありません。

 

 

生命維持に必要な最低限の血糖値が維持できないのは非常に危険なので、体には血糖を維持するためのシステムが備わっています。それが「グリコーゲン分解」と「糖新生」です。

 

 

 

  • グリコーゲン分解

 

  • 糖新生

 

 

 

「グリコーゲン」は、ブドウ糖が複雑に繋がった構造をしており、肝臓や筋肉に貯蔵しています。これを分解してブドウ糖にできるのですが、容量が少ないので早く枯渇してしまいます。

 

 

しかし、そうなっても、肝臓や腎臓で、「糖質以外の材料」から糖質(ブドウ糖)を新たに作りだすシステム、「糖新生」があるので安心です。

 

 

肝臓と腎臓

 

 

糖質の摂取が途絶え、さらにグリコーゲンが枯渇しても、「糖新生」によって合成できるので、生きていく為に必要な血液中のブドウ糖の濃度は維持できます。

 

 

ただし、良い面ばかりではありません。

 

 

優れた「糖新生」の機能ですが、場合によっては高血糖になってしまう事があります。

 

 

糖質制限をしていても起こりうる現象なので注意が必要です。

 

 

本記事では、糖新生の働きと、それはどのような場合に起こるのかについてお話します。

 

 

ちなみに、体内でどのような材料から、どうやってブドウ糖を作るのか・・・という代謝経路の話は、以下の記事で説明しましたので参考にして下さい。

 

 

糖新生の仕組みについて分かりやすく説明してみた

 

 

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糖新生を必要としている細胞

 

 

生体は生きていくために、エネルギー物質「ATP」を作り出し、これを使って生命活動を行なっています。

 

ATP(アデノシン三リン酸)について分かりやすく説明してみた

 

 

「ATP」がないと何もできませんし、無くなるとどの生物も死にます。

 

 

その「ATP」の元となる材料は、糖質(ブドウ糖)、脂質(脂肪酸)、ケトン体(脂肪酸を分解してできた物質)、タンパク質(アミノ酸)です。

 

 

多くの細胞は、これらの材料を燃料にできるのですが、そうではない細胞も存在します。

 

 

冒頭で「体にはブドウ糖に依存している細胞がある」と言いましたが、それが以下です。

 

 

ブドウ糖しか利用できない癌細胞と赤血球とグリア細胞

 

 

 

これらの細胞は、どれもエネルギー代謝が「解糖系」なので、ブドウ糖が必要です。言いかえると、「糖新生」のシステムが必要ということになります。

 

 

 

 

ではここで、それぞれの細胞について、簡単に解説しておきます。

 

 

赤血球

 

赤血球は、全身の細胞に酸素を届ける仕事をしています。赤血球の細胞内には、発電所である「ミトコンドリア」が存在しません。

 

従って、「ミトコンドリア」でのエネルギー代謝ではなく、細胞質基質での「解糖系」という発電方法でエネルギーを得ています。「解糖系」のエネルギー源は「ブドウ糖」です。

 

では、何故赤血球には「ミトコンドリア」がないのか・・・ですが、「ミトコンドリア」は酸素を要求するので、もし赤血球に「ミトコンドリア」があれば、配達用の酸素を運ぶ途中で消費してしまうかもしれません。ない方が都合がいいと考えられます。

 

 

 

 

 

グリア細胞

 

グリア細胞は、神経を構成する「ニューロン」以外の細胞です。

 

脳の細胞は大きく分けて、思考をする「ニューロン」と、思考をしない「グリア細胞」の2つのタイプがあります。両者は特徴やエネルギー代謝が異なります。

 

「グリア細胞」の方は、エネルギー産生の99%を「解糖系」に依存しています。つまり、エネルギー源をブドウ糖に依存しているということです。

 

一方、「ニューロン」は、「ミトコンドリア」の多い細胞で、「ブドウ糖」を材料とする「解糖系」はほぼないそうです。脂肪酸から生成された「ケトン体」や「グリア細胞で発生した乳酸」をエネルギー源にしています。

 

 

 

  • 「ニューロン」・・・ケトン体、乳酸(ミトコンドリア)

 

  • 「グリア細胞」・・・ブドウ糖(解糖系)

 

 

 

「グリア細胞」について、詳しくは以下の記事で話しています。

 

「脳のエネルギー源はブドウ糖なので糖質をしっかり摂りましょう」と言う人が語らない話

 

 

 

癌細胞

 

 

癌細胞は、正常細胞の何倍もブドウ糖を取り込む細胞です。一見悪者に見えますが、実は、糖質の過剰摂取によって発生した「乳酸」によって酸性化した体を助ける為に役立っています。

 

 

癌細胞は「ミトコンドリア」が機能不全になっているので、解糖系によるエネルギー産生に依存(つまり、ブドウ糖に依存)しています。これは過剰になったブドウ糖(乳酸)を処理する為の機能だと考えると辻褄が合います。

 

 

 

 

 

 

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糖新生の仕組み

 

 

「グリコーゲン」に蓄えられたブドウ糖の量はたいしたことないので、絶食状態が続くと「糖新生」のシステムに切り替わります。

 

 

①食事からのブドウ糖の供給が途絶える

 

 

②血糖値が下がってくる

 

 

③グリコーゲンをブドウ糖に分解して供給

 

 

④グリコーゲンが枯渇

 

 

⑤糖新生でブドウ糖を合成

 

 

 

食事からの糖が途絶える状況・・・というのは、「絶食時」そして、「糖質制限」などです。

 

 

絶食が続いて糖が足りなくなった時に、「糖新生」の材料に使われるのは、自らの筋肉を分解した「糖原性アミノ酸」です(※絶食ですから食事からのアミノ酸供給はありません)

 

 

糖質制限をしている人の場合は、食事からタンパク質を多く摂取するので、これを分解してできた「糖原性アミノ酸」を材料に「糖新生」が行なわれます。しかし、睡眠時等これらが入ってこない時は、自らの筋肉を分解した「糖原性アミノ酸」を「糖新生」の材料にします。

 

私のように糖質量1日10g以下の厳しい糖質制限をしても大丈夫なのは、「糖新生」があるおかげです。注意することは、タンパク質の摂取量が減ると筋肉の減る量が増えるので、タンパク質を不足させないようにすることです。

 

 

この「糖新生」は腎臓でも行なわれているのですが、主に肝臓が行なっています。その為「肝硬変」の方は、「糖新生」の機能が落ちているので糖質制限はしてはダメなのです。

 

 

ちなみに、糖新生の材料は「糖原性アミノ酸」の他、「グリセロール」、「乳酸」等があります。

 

 

 

糖新生によって合成される糖質量

 

 

「糖新生」は、誰の体内でも日常的に起こっている現象です。糖質を控えている人や、飢餓の時の専売特許ではありません。普通に糖質が多い食事をしている人でも空腹時には起こっています。

 

 

『Cafe すてきに活ききる 旬(ときめき)亭  糖新生、低血糖 萩原敦』より引用

 

「糖新生」という言葉の説明を権威の医学書等で閲覧すると、まず、「飢餓時・・」という言葉が冒頭に登場する。

 

これで、まず騙される。これは権威の騙しの常套手段である。一発目で、読み手を嘘の屁理屈に誘導する。頼みは権威だけである。飢餓時だけに「糖新生」が、特別に起きるわけではない。

 

わかりやすく言えば、糖質を食って血糖値が上昇している時は、糖新生は抑制されるが、それ以外の空腹時や睡眠時は、肝臓と腎臓でグルコースを毎時6~10g程度、血液中に24時間供給している。

 

もし、あなたがしっかりとした糖質制限をしているなら、食事中も食後も糖新生は継続しているのである。

 

脳のグリア細胞の解糖系では、過酷な頭脳労働時は毎時4gぼーっとしている時は、2~3g、睡眠中は2g程度のグルコースの消費がある。

 

赤血球は、安静時(事務仕事程度)では、毎時2g程度消費されている。

 

血糖値の標準値を100とすると、体重50キロのヒトで、血中に4gのグルコース量で飽和していることになる。

 

この初期血糖値の4gと糖新生による追加グルコース6~10g(中間値8をとる)を加算すると、4+8=12 12-(4+2)=6gということで、単純計算でも、血糖値が相当、上昇することになる。

 

 

これを抑制するのが、持続的に分泌されている「インスリン基礎分泌」である。

 

はっきり言って、「糖新生」のグルコース合成の量と「インスリン基礎分泌」の量の均衡が、空腹時血糖値や睡眠時の血糖値を、定めているのである。

 

したがって、生涯に渡って、糖質ゼロで、食生活を営んでも、糖新生とインスリン基礎分泌の均衡が保たれれば、低血糖にも高血糖にもならないのであり、血糖値の恒常性を完全に維持できるのである。

 

血糖値の恒常性を破壊し、乱すのが、糖質の摂取による、血糖値の乱高下に他ならない。これが高血糖、高インスリンを呼び、糖尿病、がん、動脈硬化等、万病の温床になるのである。

 

たとえば、糖尿病になると、インスリン基礎分泌も衰える。

 

糖新生は、ほとんどの場合衰えないから、空腹時の血糖値が、400とか、500とかになる。

 

ようするに「糖新生」は、マイペースで、グルコースを忠実にコツコツ合成し続けるのである。

 

何度も書いているが、インスリンを分泌する膵臓のランゲルハンス島β細胞は、肝臓の10分の1の抗酸化能力しかない、稼働させればさせる程、インスリンは枯渇する。

 

ヒトにとって、本当の恐怖は、インスリン基礎分泌が衰え、空腹時に、血糖値が400とか500とか、になることである。

 

くどいが、ヒトは、低血糖等になるような状態にならなように万全の態勢を整えているのである。

 

まさに、健康であれば、低血糖になんかならないのである。低血糖対策は、ヒトの人体においては完全無欠の体制なのである。
例外的に低血糖になるのは、

 

①糖質を摂取し過ぎて、インスリンがタイムリーに分泌されなくなり、機能性低血糖のような血糖値がある程度下がってから、インスリン追加分泌が始まったりするようなとき。

 

②糖尿病の治療を、 糖質制限で行わず、糖質をわざわざ摂取して、血糖値を上昇させ、インスリン等を用いて、過度に血糖値を下げ過ぎてしまった時。

 

健康なヒトが、普通の生活をしている中で、低血糖が起きることはない。糖質制限をしたり、昼食にありつけなかったくらいで、低血糖になるようなことは絶対にないのである。

 

ここが重要である。

 

ここを知らないと、「糖質制限は低血糖になる!」「糖質制限は危険である!」という単純な嘘に簡単に騙されるのである。

 

 

ポイントとなる数値をまとめます。

 

 

 

  • 人間の血液は4~5ℓ、それ含まれるグルコースは4~5

 

  • 空腹時、糖質制限中、「糖新生」で供給されるグルコースは、毎時6~10

 

  • 中枢神経(脳)の「グリア細胞」は、毎時3~4gのグルコースを消費

 

  • 赤血球は毎時gのグルコースを消費

 

 

 

消費する量に対して、「糖新生」によって作られる量の方が多いことがわかります。糖質を食べなくてもこの状態です。もし「インスリン」が無かったり、機能していなかったら簡単に血糖値は上がってしまいます。

 

 

 

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血糖値の調節

 

「インスリン」とは、上がった血糖値を下げる作用のあるホルモンです。

 

 

常に分泌され、一定の量が保たれているのを「基礎分泌」

 

血糖値が上がった時に、下げるために追加で分泌されるのが「追加分泌」です。

 

分泌のボリュームを図で表すとこんな感じです。

 

 

 

 

「基礎分泌」は生命維持に必要ですが、「追加分泌」は高いほど有害で病気のリスクが増えます。健康維持の為には「追加分泌」を出さない生活が良いのです。

 

 

一方、血糖値が下がってきた時に、「グリコーゲン分解」と「糖新生」を促進させるホルモンが「グルカゴン」です。

 

 

「インスリン」は上がった血糖値を下げる作用がありますが、「グルカゴン」は下がった血糖値を上げる作用があります。

 

血糖値を下げるインスリンと血糖値を上げるグルカゴン

 

 

 

ちなみに、血糖値を上げるホルモンは「グルカゴン」を含めて全部で5種類ありますが、血糖値を下げるホルモンは「インスリン」だけです。

 

 

 

血糖を上げるホルモン

 

  • グルカゴン(膵臓のランゲルハンス島・a細胞)

 

  • 甲状腺ホルモン(甲状腺)

 

  • 成長ホルモン(脳下垂体)

 

  • アドレナリン(副腎髄質)

 

  • コルチゾール(副腎皮質)

 

 

血糖値を下げるホルモン

 

  • インスリン(膵臓のランゲルハンス島・β細胞)

 

 

 

 

血糖値を上げる仕組みがに対して、血糖値を下げる仕組みがです。

 

体は、血糖値を上げるのは得意だけど、血糖値を下げるのは得意ではないということです。

 

夏井睦医師が、アクセルが5つあるのに、ブレーキが1つしかない車だと表現されていますが、正にその通りで、誰がどうみてもアンバランスです。

 

 

5つあれば、どれか1つ壊れてもなんとかなりますが、1つしかない場合、壊れた時困るわけです。

 

体がこのようなシステムになっているということは、ブレーキは酷使する前提で作られていないと考えられます。

 

 

 

 

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グルカゴンとインスリンとは

 

 

「グリコーゲン分解」と「糖新生」を促進させる「グルカゴン」は、血糖値を下げる「インスリン」と同じ膵臓のランゲルハンス島で作られています。

 

 

膵臓のランゲルハンス島

 

 

こちらが「ランゲルハンス島」の拡大図です。インスリンは「β細胞」で作られますが、グルカゴンは「α細胞」から作られます。

 

 

ランゲルハンス島のβ細胞とα細胞

 

 

 

「糖新生」を促進させ血糖値を上げる「グルカゴン」の効力と、血糖値を下げる「インスリン」の効力

 

 

この2つのバランスが崩れなければいいわけです。分かりやすくする為に、単純に考えてみます。

 

「グルカゴン」の分泌と、「インスリン」の分泌が同量なら血糖値は安定しますが、

 

 

 

 

「グルカゴン」の分泌が「インスリン」の分泌より上回れば血糖値は上昇します。

 

 

 

 

反対に、「グルカゴン」の分泌より「インスリン」の分泌の方が上回れば血糖値は下がります。

 

 

 

というわけで、ここで話を「糖新生」に戻します。

 

 

 

 

タンパク質の摂取で高血糖になる原因

 

 

糖質制限をしているのに血糖値を測ったら数値が高くてがっかりした・・・という話を時々目にするので、糖質制限をしているのに血糖値が上がる理由についてお話します。

 

 

考えられるのが、タンパク質摂取によって起こった「糖新生」です。

 

 

栄養素には直接血糖値を上昇させるものと、糖新生によって間接的に血糖値が上昇するものがあります。前者は「糖質」で、後者は「タンパク質」です。

 

 

「タンパク質」は直接的には血糖値を上げませんが、「糖新生」の材料になります。「糖新生」で、ブドウ糖が合成されてしまうと、場合によっては高血糖になるので注意が必要です。

 

 

残念ですが、「糖新生」によって血糖値が上がりすぎると、食事から糖質を摂っているのと変わらないことになります。

 

 

では、どんな時に「糖新生」が過剰になってしまうのかですが、「糖新生」によって血糖値が上がるケースは様々なので、「糖尿病のケース」か、「糖尿病じゃないケース」に分けて説明します。

 

 

まずは糖尿病の人のケースから説明します。こちらは「インスリン」と「グルカゴン」が関係しています。

 

 

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糖尿病が原因で、「糖新生」で血糖値が高くなるケース

 

 

「インスリン」は、「糖新生」を抑制する働きがあります。

 

糖尿病には「β細胞が壊れてインスリンが分泌されなくなってしまった1型」と、

 

「インスリンの分泌が少なくなったり、体がインスリンにあまり反応しなくなってしまった2型」があります。

 

 

・・・このように、糖尿病は「インスリン」が正常に分泌されない状態です。それが原因で以下のようになります。

 

 

1型糖尿病

 

内因性(自分の体で作られた)インスリンが0の人は、当然ながらインスリンは分泌できません。従って、このタイプの人が「タンパク質」を摂取すると、グルカゴンだけが分泌されます。

 

抑える作用がないので、血糖値は上昇します。

 

 

 

2型糖尿病

 

内因性(自分の体で作られた)インスリンが不足したり効きが悪い場合も、やはり抑える作用が弱いので、グルカゴンの分泌量が勝ってしまい、血糖値が上昇します。

 

 

また、糖尿病予備軍の人もタンパク質摂取による「糖新生」で血糖値が上昇します。

 

 

 

血糖値を下げるインスリンと、血糖値を上げるグルカゴンのバランスがとれている健康な人は、タンパク質を摂取しても血糖値の変化はほとんどありません。

 

 

 

 

 

糖質制限中に起こる暁現象

 

 

糖尿病の場合、厳しい糖質制限をしても血糖値が下がらない事があります。

 

 

『ドクター江部の糖尿病徒然日記 糖毒、糖新生、暁現象、糖質制限食、薬物療法。』より引用

 

1ヶ月間のスーパー糖質制限食実践でも血糖値が下がらないなら、糖毒状態に陥っている可能性があります。

 

① 高血糖の持続→膵臓のランゲルハンス島のβ細胞にダメージ→インスリン分泌低下
② 高血糖の持続→筋肉細胞レベルでのインスリン抵抗性増大

 

高血糖があると①と②が体内で生じます。

インスリン分泌低下と抵抗性増大が生じれば、ますます高血糖となります。

 

≪高血糖の持続→インスリン分泌低下とインスリン抵抗性増大→高血糖の持続→≫

 

この悪循環パターンを、臨床的には「糖毒」 と呼びます。

 

一日の血糖値の日内変動が、常に180~200mg/dlを超えていると糖毒状態となります。

 

なぜ、高血糖自体がインスリン分泌を低下させるのか、インスリン抵抗性を増大させるのか、最先端の研究で調べられてはいるのですが、はっきり言ってまだよくわからないのが現状です。

 

糖尿病の罹病歴が4~5年くらいなら、「スーパー糖質制限食」で食後高血糖がリアルタイムに改善し、さらに早朝空腹時血糖値も改善し糖毒状態が解除されることがほとんどです。

 

しかし、10年近い糖尿病歴があると、「スーパー糖質制限食」で食後高血糖はリアルタイムに改善したとしても、一日を通して、180~200mg/dlを切ってこない状況になります。

 

こうなるとなかなか糖毒も解除されないし、早朝空腹時血糖値も、180~200mg/dlを切れない状態が持続します。

 

1回の食事の糖質量が、10~20g以下の糖質制限食でも、早朝空腹時血糖値が198~200mg以上あるのは、夜中の糖新生が過剰になっていると考えられます。

 

糖尿病がない人は、夜中に肝臓が糖新生を開始してもインスリンがリアルタイムに反応して、糖新生を制御します。

 

しかし糖尿人においては、インスリン作用が不足しているため糖新生を制御できません。

 

2型糖尿人において、眠前11時頃の血糖値が100mg/dlくらいでも朝起きて測定すると、夜中に何にも食べていないのに、120~130mg/dlになることがあり、これを暁現象と呼びます。

 

 

「糖新生」自体は悪いことではありません。必要な機能です。

 

しかし、糖尿病等、なんらかの原因で過剰になってしまう事が問題なのです。

 

 

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その他が原因で「糖新生」で血糖値が高くなるケース

 

 

糖尿病じゃなくても、「糖新生」が過剰に起こってしまうケースがあります。例えば以下のようなケースです。

 

 

  • カテコールアミンのですぎ

 

  • 交感神経の優位(良くない感情)

 

 

「カテコールアミン」とは、ドーパミン、ノルアドレナリン、アドレナリンの総称のことです。

 

 

これは私のようにスーパー糖質制限を行なっていて、糖尿病ではない人も注意が必要です。

 

 

『藤川徳美医師 Facebook 2015年7月20日』より引用

 

食事で糖質を摂らなくても、糖新生によってグルコースが作られます

 

低血糖になるとグルカゴンが分泌され、糖新生が行われます

 

興奮ホルモンであるアドレナリン分泌、ストレスホルモンであるコルチゾール(ステロイド)分泌も糖新生を促します

 

アドレナリン、コルチゾールは元々、ライオンや熊に襲われそうになった時などに分泌されるようになっているのだと思う
怒り、恨み、不安、恐怖、などのネガティブな感情は糖新生を促すということになる

 

糖新生はかなり個体差が大きいと考えられる

 

子供の頃の母子分離、虐待を受けるとネガティブ感情を惹起しやすくするため、糖新生反応を生じやすくなり、後々の精神病やガンの原因となり得る

 

逆に、笑いはがんを防ぐと言われている
常に穏やかでゆったりとした気持ちで過ごすことは過剰な糖新生を抑えるはず

 

 

また、睡眠不足も「糖新生」に影響を与えるようです。

 

 

『藤川徳美医師 Facebook 2015年11月12日』より引用

 

睡眠不足では交感神経が持続的に刺激された状態となります

 

交感神経が刺激されるとアドレナリン、コルチゾールが持続的に分泌されます

 

そうなると、血管が収縮して血圧が上がります

 

糖新生が亢進し血糖値を上昇させます

 

つまり、睡眠不足が改善すれば降圧薬は止めることもできるし、糖尿病薬も減らせるという理屈になります

 

 

このように、何をしたら血糖値が上がるのかを知っておくのも、糖質制限を上手く行なう為に必要です。

 

 

 

 

 

糖質制限中、糖新生で高血糖にならないように気をつけたいこと

 

 

タンパク質は体の材料です。従って、体の悪い部分を修復させる為には、タンパク質の摂取が不可欠になります。

 

 

しかし、修復の為にと思って摂取したタンパク質が「糖新生」にばかり使われてしまうこともあるわけです。・・・それは嫌ですよね。

 

 

糖質制限をしているのに、何故か血糖値が上がったり、太ったり、だるくなったり、眠たくなったり・・・と、糖質を取っている時と変わらない症状になったら、タンパク質による「糖新生」が起こっている可能性があります。

 

 

これが糖質制限に挫折する原因にもなるのですが、このような知識を知っているか知っていないかで全く違います。

 

 

回復の為に摂取した大量のタンパク質を、目的どおり修復に使う為に、私は以下の事に気をつけています。

 

 

 

  • 脂質の摂取

 

  • 一度に沢山食べるのではなく小分けにして数回で食べる

 

  • プロテインであれば1度に30g以上を摂らない

 

 

 

 

1度にたくさん食べない・・・というのは、なんとなく理解できると思います。

 

では、脂質の摂取が「糖新生」とどう関係があるのかというと、

 

 

『新井 圭輔医師 facebook 2016年4月4日』より引用

 

 

『暁現象を抑える』—世紀の大発見かもしれない。

暁現象が観測される糖尿病患者さんたちの最近の早朝空腹時血糖が抑えられている

How? 『寝る前にバターを食べるそうである』

 

 

バター効果? 理論的には説明できそうです。糖新生は、本質的には、余剰タンパク摂取分をエネルギー源である脂肪に変換するためのものと私は信じています。

 

 

糖新生を促進する因子は、アミノ酸余剰量 生体には基本的にフィードバックシステムが働きます。最終産物である脂肪濃度の上昇率が糖新生に対して抑制的に働くことは十分に想定可能です。バターを摂取すると、血中中性脂肪濃度の増加率が上昇して、濃度も高くなれば、糖新生に対して負のフィードバックが働くことが考えられます。これは、世紀の大発見かもしれません。

 

糖新生の最終産物が糖ではなく、脂質であることが、脂質でフィードバックがかかると言う事実をもたらすのです。これはすごく興味深い知見です。

 

糖新生の本質が、余剰のタンパク摂取分をエネルギー源である脂質として蓄えるための仕組みというのは、現状では定説ではなく、私が唱える仮説です。しかしその仮説が真実である可能性を高めたのが、『脂質による糖新生の抑制』と言う観測事実なのです。とても意義深いものです。

 

 

私はスーパー糖質制限を始めた時から夜食にバターを摂っているので、「脂質による糖新生の抑制」には、なるほどと思ってしまいます。

 

 

そして、他の対策に、薬もあるのでちょっと紹介しておきます。

 

 

 

糖新生を抑える薬、メトホルミン

 

 

癌治療に糖質制限を取り入れる場合は、「メトホルミン」という糖尿病治療薬が使用されます。これは「糖新生」を抑える薬なので、タンパク質がブドウ糖に変換されません。

 

 

ブドウ糖は癌を育てるので、治療には、徹底した糖質制限に、点滴はブドウ糖がない「イントラリポス」、そして「メトホルミン」を使う・・・というわけです。

 

 

癌細胞と癌家系について分かりやすく説明してみた

 

 

 

最後に

 

 

「糖新生」は必要な機能ですが、過剰になって高血糖になれば、当然体に悪影響が出ます。

 

 

なので、そうなる原因と解決策は一通り頭に入れておいた方がいいと思います。

 

 

 

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糖新生の仕組みについて分かりやすく説明してみた

栄養には、体内で「合成できるもの」と、「合成できないもの」があります。

 

そして、「体内で合成できないので、外から補わないといけない栄養素」のことを「必須〇〇〇」と呼びます。

 

必須脂肪酸がある「脂質」と、必須アミノ酸がある「タンパク質」は、常に食事で補う必要があります。

 

 

一方、「糖質」には必須糖質というのはありません。糖質は体内で合成することができるので、わざわざ食事から摂る必要はないのです。

 

 

糖質以外の物質から、糖質を合成する事を「糖新生 とうしんせい」と言います。

 

 

この「糖新生」が行なわれる場所は、主に「肝臓」、そして「腎臓」です。

 

 

本記事ではその合成が「どのように」行なわれているのか、シンプルに解説します。

 

 

 

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糖新生と解糖系

 

 

「糖新生」の流れを乱暴に言ってしまうと、エネルギー代謝の「解糖系」の逆行です。

 

 

分からない方の為に、「解糖系 かいとうけい」について簡単に説明します(※ご存じの方は飛ばして下さい)

 

 

「解糖系」とは、グルコース(ブドウ糖)を分解して、ATP(身体で使えるエネルギー)を産生する化学反応のことです。

 

 

ブドウ糖(グルコース)は、細胞の「細胞質基質 さいぼうしつきしつ」に到着します。

 

 

 

細胞質基質の解糖系

 

 

 

 

ここで以下のような反応が起き、エネルギー物質「ATP」が2個作られます。これが「解糖系」です。

 

 

 

 

グルコース

 

 

(何段階か反応)

 

 

ピルビン酸

 

 

 

以下の記事で細かく説明しています。

 

解糖系について分かりやすく説明してみた

 

 

で、「ピルビン酸」まで分解された後どうなるかというと、2パターンあります。

 

 

  • ミトコンドリアでの代謝をせず、「乳酸」を発生させる。

 

  • ミトコンドリアのマトリックスの中に入って「クエン酸回路」という反応が起き、次にミトコンドリアの内膜に進み「電子伝達系」という反応で、さらに多くの「ATP」を産生する。

 

 

その流れを図にするとこんな感じです。

 

 

嫌気的解糖と好気的解糖

 

 

 

右に進んだ場合、ミトコンドリアのマトリックス内の「クエン酸回路」では、このような順番で反応していきます。この部分は後で「糖新生」の説明でも登場するので、覚えておいて下さい。

 

 

 

クエン酸回路(TCA回路)

 

 

 

この「クエン酸回路」の後、ミトコンドリアの内膜で「電子伝達系」という反応が起きるのですが、本記事の趣旨からそれるので今回は説明しません。

 

 

ちなみに、ミトコンドリアの「マトリックス」と「内膜」の場所が以下になります。

 

 

 

解糖系とクエン酸回路と電子伝達系

 

 

 

それでは、「解糖系」と「クエン酸回路」の流れを頭に入れたうえで、本記事の本題である「糖新生」について説明していきます。

 

 

この説明は簡略化しているので、詳しくは以下の記事を参考にして下さい。

 

 

エネルギー代謝について分かりやすく説明してみた

 

 

また、エネルギー代謝で産生される「ATP」に関してはこちらをどうぞ。

 

 

ATP(アデノシン三リン酸)について分かりやすく説明してみた

 

 

 

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糖新生の流れ

 

 

さて、冒頭で、糖新生とは「解糖系」の逆行であると言ったので、もう一度エネルギー代謝の「解糖系」の部分に注目します。

 

 

便宜上、「解糖系」を以下のように簡単に説明することが多いのですが、実はこれ、かなり省略しています。

 

 

 

グルコース

 

 

(何段階か反応)

 

 

ピルビン酸

 

 

 

(何段階か反応)・・・の部分を省略せずに全部書くとこうなります。

 

 

 

グルコースからピルビン酸の代謝

 

 

 

※④から⑤の部分が分かりにくいので説明します。

 

 

「フルクトース-1.6-リン酸」は、「グリセルアルデヒド-3-リン酸」と、「ジヒドロキシアセトンリン酸」という2つの物質に変化します(※この変化に使われる酵素は「アルドラーゼ」です)。

 

 

このうち「ジヒドロキシアセトンリン酸」は、そのままの状態では次の反応に進めないので、「グリセルアルデヒド-3-リン酸」になります(※この変化に使われる酵素は「ホスホトリオースイソメラーゼ」です)。

 

 

こうして「グリセルアルデヒド-3-リン酸」は次の反応へ進みます。

 

 

「糖新生」は解糖系の逆行ではあるのですが、実は、この矢印の逆向きにそのまま進むことはできません

 

 

というのも、このようになっているからです。

 

 

 

糖新生の不可逆的な所

 

 

 

 

 

 

 

 

⑩のピルビン酸から、①のグルコースに向かって遡りたいところですが、上の図を見てもらったら分かるように、逆に進めない所が3ヶ所あります。

 

 

⑩から⑨の道、④から③の道、②から①の道です。

 

 

 

 

⑩~⑨:「ピルビン酸」  →  「ホスホエノールピルビン酸」

 

④~③:「フルクトース-1,6-ビスリン酸」  → 「フルクトース-6-リン酸」

 

②~①:「グルコース-6-リン酸」  →  「グルコース」

 

 

 

でも大丈夫です。

 

 

この3ヶ所は、「行き道とは別の方法」で進みます。

 

 

というわけで、次からは、目的地である「グルコース」になるまでの「糖新生」の基本的な流れについて解説します。

 

 

くどいですが、「糖新生」が行なわれるのは、肝臓(と腎臓)です。

 

 

 

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「ピルビン酸」からクエン酸回路を経由して「ホスホエノールピルビン酸」へ

 

 

まず、最初の⑩→⑨の反応です。

 

 

 

ピルビン酸からホスホエノールピルビン酸

 

 

 

進もうにも、いきなりこの状態ですから、⑨の「ホスホエノールピルビン酸」に行く為に、少々遠回りをします。

 

 

どうするのかというと、「クエン酸回路」を経由させるのです。

 

 

 

ピルビン酸とピルビン酸カルボキシラーゼ

 

 

 

図を解説すると、

 

 

1:「ピルビン酸」はまずミトコンドリアの中に入ります。

 

 

2:「ピルビン酸」は、「オキサロ酢酸」に変換されます。この変換の為に使われる酵素は「ピルビン酸カルボキシラーゼ」です。

 

 

3:次に「オキサロ酢酸」は「リンゴ酸」に変換されます。この変換の為に使われる酵素は「リンゴ酸デヒドロゲナーゼ」です。

 

 

4:「リンゴ酸」はミトコンドリアの外に出ます。

 

 

「オキサロ酢酸」は、ミトコンドリアの膜を通過する事ができませんが、「リンゴ酸」はミトコンドリアの膜を通過する事ができます。

 

 

 

オキサロ酢酸からホスホエノールピルビン酸

 

 

 

5:ミトコンドリアから脱出した「リンゴ酸」は、細胞質基質で、再び「オキサロ酢酸」に戻ります。この反応に使われる酵素も「リンゴ酸デヒドロゲナーゼ」です。

 

 

6:そして「オキサロ酢酸」は、⑨の「ホスホエノールピルビン酸」へと変換されます。この反応に使われる酵素は、「ホスホエノールピルビン酸カルボキシキナーゼ」です。

 

 

この⑩→⑨の変化が一番ややこしいです。

 

以降の反応からはもう少しシンプルになります。

 

 

⑨→⑩の「解糖系」の時は、「ピルビン酸キナーゼ」という酵素で反応が進みます。

 

 

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ホスホエノールピルビン酸からグルコースまでの反応

 

 

もう2か所「一方通行」の所がありますが、それ以外のところは「解糖系」の逆向きに反応していきます。

 

 

「ホスホエノールピルビン酸」以降の流れを順番に解説していきます。

 

 

まずは、⑨→⑧の反応です。

 

 

⑨ホスホエノールピルビン酸 → ⑧2-ホスホグリセリン酸

 

 

⑧2-ホスホグリセリン酸

 

 

⑨ホスホエノールピルビン酸

 

 

⑨→⑧に変える酵素は、「エノラーゼ(別名:ホスホピルビン酸ヒドラターゼ)」です

 

 

⑧→⑨の「解糖系」の時の酵素も同じ「エノラーゼ」です

 

 

次は⑧→⑦の反応です。

 

 

 

⑧2-ホスホグリセリン酸 → ⑦3-ホスホグリセリン酸

 

 

⑦3-ホスホグリセリン酸

 

 

⑧2-ホスホグリセリン酸

 

 

 

⑧→⑦に変える酵素は、ホスホグリセリン酸ムターゼです。

 

 

⑦→⑧の「解糖系」の時の酵素も同じ「ホスホグリセリン酸ムターゼ」です。

 

 

次は⑦→⑥の反応です。

 

 

⑦3-ホスホグリセリン酸 → ⑥1,3-ビスホスホグリセリン酸

 

 

⑥1,3-ビスホスホグリセリン酸

 

 

⑦3-ホスホグリセリン酸

 

 

 

⑦→⑥に変える酵素は「ホスホグリセリン酸キナーゼ」です。

 

 

⑥→⑦の「解糖系」の時の酵素も同じ「ホスホグリセリン酸キナーゼ」です。

 

 

次は⑥→⑤の反応です。

 

 

⑥1,3-ビスホスホグリセリン酸 → ⑤グリセルアルデヒド-3-リン酸

 

 

 

 

 

 

⑥→⑤に変える酵素は「グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ」です。

 

 

⑤→⑥の「解糖系」の時の酵素も同じ「グリセルアルデヒド-3-リン酸デヒドロゲナーゼ」です。

 

 

「グリセルアルデヒド-3-リン酸」 → 「ジヒドロキシアセトンリン酸」の酵素は、「解糖系」の時と同じ「ホスホトリオースイソメラーゼ」です。

 

 

次は⑤→④の反応です。

 

 

 

⑤グリセルアルデヒド-3-リン酸、ジヒドロキシアセトンリン酸 → ④フルクトース-1,6-ビスリン酸

 

 

 

 

 

⑤→④に変える酵素は「アルドラーゼ」です。

 

 

④→⑤の「解糖系」の時の酵素も同じ「アルドラーゼ」です。

 

 

次は④→③です。

 

 

 

④フルクトース-1,6-ビスリン酸 → ③フルクトース-6-リン酸

 

 

④→③は、2つ目の「一方通行」地点です。

 

 

しかし、⑩→⑨の時のように複雑ではなく、いたってシンプルです。

 

ここでは、行き(解糖系)とは違う酵素を使うことによってクリアします。

 

 

 

③フルクトース-6-リン酸

 

 

④フルクトース-1,6-ビスリン酸

 

 

 

③→④の「解糖系」の時は、「ホスホフルクトキナーゼ」という酵素で反応が起きますが、

 

④→③の「糖新生」の時は、「フルクトース-1.6-ビスホスファターゼ」という酵素で反応が起きます。

 

 

 

次は③→②の反応です。ここは、「解糖系」と「糖新生」の酵素が同じです。

 

 

 

③フルクトース-6-リン酸 → ②グルコース-6-リン酸

 

 

②グルコース-6-リン酸

 

 

③フルクトース-6-リン酸

 

 

③→②に変える酵素は、「グルコース-6-リン酸イソメラーゼ」です。

 

 

③→②の「解糖系」の時の酵素も同じ「グルコース-6-リン酸イソメラーゼ」です。

 

 

②→①は、最後の「一方通行」地点です。

 

 

 

②グルコース-6-リン酸 → ①グルコース

 

 

こちらもシンプルで、先ほどと同じように行き(解糖系)とは違う酵素を使ってクリアします。

 

 

 

①グルコース

 

 

②グルコース-6-リン酸

 

 

 

①→②の「解糖系」の時は、「ヘキソナーゼ」という酵素で反応が起きますが、

 

②→①の「糖新生」の時は、「グルコース-6-ホスファターゼ」という酵素で反応が起きます。

 

 

ちなみに、「糖新生」が行なわれる「肝臓」と「腎臓」は、この「グルコース-6-ホスファターゼ」の活性が強いです。

 

 

 

 

 

これで⑩の「ピルビン酸」から、目的の①の「グルコース」まで辿り着けたことになります。

 

 

ここまでの流れが頭に入ったところで、次は「糖新生」に使われる材料が、それぞれどのようにして合成されていくのか、材料別にお話します。

 

 

 

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糖新生の材料

 

 

wikipediaによると、糖新生の材料は、

 

 

『Wikipedia 糖新生』より引用

 

 

糖新生(とうしんせい、gluconeogenesis)とは、飢餓状態に陥った動物が、グルカゴンの分泌をシグナルとして、ピルビン酸、乳酸、糖原性アミノ酸、プロピオン酸、グリセロールなどの糖質以外の物質から、グルコースを生産する手段・経路である。

 

 

ピルビン酸、乳酸、糖原性アミノ酸、プロピオン酸、グリセロールなど・・・とあるので、材料は他にもたくさんあるのかもしれません。

 

 

ただし、メインとなるのはタンパク質を分解した「アミノ酸」です。食事から得られる場合はそれを使い、足りない場合は筋肉を分解して取り出します。

 

 

体内に蓄えられた中性脂肪から得られる「グリセロール」、そして、嫌気的解糖で生じた「乳酸」も糖新生の材料として有名です。

 

 

ここでは、この3つについて解説していきます。

 

 

  • アミノ酸(のうち糖原性アミノ酸)

 

  • グリセロール

 

  • 乳酸

 

 

 

これらの材料は、いずれも、血液中に放出された後、肝臓に運ばれて「糖新生」が行なわれます。

 

 

 

まず、「糖原性アミノ酸」から解説していきます。

 

 

 

糖原性アミノ酸を材料にグルコースを合成する

 

 

アミノ酸は全部で20種類あります。

 

その中で「グルコース(糖質)を合成することができるアミノ酸」が18種類あります。

 

これを「糖原性(とうげんせい)アミノ酸 」と呼びます。

 

その名前がこちらです。

 

 

  • アスパラギン

 

  • アスパラギン酸

 

  • アラニン

 

  • アルギニン

 

  • イソロイシン

 

  • グリシン

 

  • グルタミン

 

  • グルタミン酸

 

  • システイン

 

  • スレオニン(トレオニン)

 

  • セリン

 

  • チロシン

 

  • トリプトファン

 

  • バリン

 

  • ヒスチジン

 

  • フェニルアラニン

 

  • プロリン

 

  • メチオニン

 

 

これに「リシン」、「ロイシン」を加えると全部で20種類になります。

 

 

血流に乗って肝臓に到着した「糖原性アミノ酸」は、「ピルビン酸」、「α – ケトグルタル酸」、「スクシニルCoA」、「フマル酸」、「オキサロ酢酸」のつのうちのどれかに変化します。

 

 

そして、それぞれの地点からグルコースに向かって進みます。

 

 

 

糖原性アミノ酸を材料にした糖新生の経路

 

 

 

  • トリプトファン、アラニン、スレオニン、グリシン、セリン、システインの場合は、「ピルビン酸」から先ほど説明した流れで反応が進みます。

 

 

  • アルギニン、プロリン、ヒスチジン、グルタミン、グルタミン酸の場合は、「クエン酸回路」の「α-ケトグルタル酸」に合流し、「リンゴ酸」まで進み、ミトコンドリアの外に出て続きの反応が進みます。

 

 

  • メチオニン、イソロイシン、スレオニン、バリンの場合は、「クエン酸回路」の「スクニシルCoA」に合流し、「リンゴ酸」まで進み、ミトコンドリアの外に出て続きの反応が進みます。

 

 

私が持っている本ではスレオニンは「スクニシルCoA」に合流するとなっていますが、Wikipediaでは「ピルビン酸」となっています。

 

『Wikipedia 糖原性アミノ酸』

 

 

  • フェニルアラニン、チロシンの場合は、「クエン酸回路」の「フマル酸」に合流し、「リンゴ酸」まで進み、ミトコンドリアの外に出て続きの反応が進みます。

 

 

  • アスパラギン酸とアスパラギンの場合は、「クエン酸回路」の「オキサロ酢酸」になるので、「リンゴ酸」に進み、ミトコンドリアの外に出て続きの反応が進みます。

 

 

次は「グリセロール」について解説します。

 

 

 

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グリセロールを材料にグルコースを合成する

 

 

中性脂肪を分解すると、「脂肪酸」と「グリセロール」が生成されます。

 

このうち「糖新生」の材料にできるのは「グリセロール」です。「脂肪酸」は糖新生を行なう為のエネルギー源にはなりますが、糖新生の材料にはなりません。

 

 

 

 

 

 

さて、材料の「グリセロール(別名:グリセリン)」ですが、以下のような流れでグルコースが合成されます。

 

 

 

グリセロールを材料にした糖新生の経路

 

 

肝臓に運ばれた「グリセロール」は、まず「グリセロール-3-リン酸」に変化します。この変化に必要な酵素の名前は「グリセロールキナーゼ」です。

 

そして、「グリセロール-3-リン酸」から「ジヒドロキシアセトンリン酸」に変化した後は、最初に説明した流れでグルコースへと変わっていきます。

 

 

次は「乳酸」です。

 

 

 

 

 

 

乳酸を材料にグルコースを合成する

 

 

「乳酸」とは、「ピルビン酸」から生じた物質です。

 

 

 

「乳酸」は処理できる量であれば問題ないのですが、pH5程度の酸性物質なので、蓄積すると体質が酸性に傾くので、癌等の原因になります。

 

 

余命わずかの末期癌患者が退院できたのは病院での栄養療法のおかげだった!

 

 

「乳酸」は血液にのって肝臓に運ばれた後、「ピルビン酸」に変換されます。この変換に使われるのは「乳酸脱水素酵素」です。

 

 

 

「ピルビン酸」から先は同じ流れです。

 

 

 

乳酸を材料にした糖新生の経路

 

 

 

糖新生に使われるATP

 

脂肪酸のところで少しお話しましたが、糖新生を行なうためには、材料だけではなくエネルギーも必要です。

 

グルコース1分子を合成するために必要な「ATP(エネルギー物質)」の量は、どの地点からスタートするかによって変わってきます。

 

 

ピルビン酸から・・・6分子のATP

 

クエン酸回路から・・・4分子のATP

 

グリセロールから・・・2分子のATP

 

 

 

糖質制限をしているのに血糖値が高いのは、糖新生が原因かもしれませんへ続く

 

 

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