時々、身近な人から健康相談をされます。
そんな時は、今に至るまでに集めた知識を総動員して、出来る限りのアドバイスをします。
それが好きなので、苦にはなりませんが、時々疲れる事があります。それは、
同じ事を何度言っても、理解せず、注意したのにも関わらず、同じ過ちを繰り返し、また同じ相談をしてくる
・・・というパターンです。これがキツイ...。
このような事が何回あったかわかりません。「またか・・・」という感じですが、今度こそは分からせたいと思って説明します。
今回もまたです。
祖母に相談されました。
せっかくですので、このやりとりが具体的にどんな感じになるのかをお話しようと思います。
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脊柱管狭窄症による傷み
相談は始めてではありません。
一番最初に相談されたのは、今から約2年前です。
祖母は「脊椎管狭窄症 せきちゅうかん・きょうさくしょう」と診断されました。
「腰から足にかけて痛い」と言っていたのですが、今も症状は良くなっていません。むしろ、酷くなって、時々、痛くて寝られない時もあります。
「脊椎管狭窄症」とは、腰の脊柱管が何らかの原因で狭くなって、神経が圧迫されることによって痛みや痺れが出る疾患です。
『介護ポストセブン 「脊柱管狭窄症」の痛みを緩和!高齢者も注目の治療って?』より引用
脊柱管狭窄症の症状は坐骨神経痛と間欠性跛行が特徴
脊柱管狭窄症の原因の多くは、加齢による骨の変形や、骨周囲の組織の変形や炎症にあります。
特徴的な症状には、「坐骨神経痛」と「間欠性跛行(かんけつせいはこう)」が挙げられます。
まず、坐骨神経痛ですが、脊髄の通り道である脊柱管が狭くなることによって神経が圧迫され、下半身のしびれや痛みが生まれるのです。
ある日突然痛みが出たので、「今までこんな事はなかったのに...」とか、「歩けなくなるかもしれないからどうすればいい?」と相談されました。
それは、私が糖質制限を始めて間がない頃でした。
スーパー糖質制限によって劇的な体質の変化を感じていた真っ最中だったので、祖母も「糖害を減らせば少しはマシになるかもしれない」と思いました。
そこで私は、身体を傷つける糖質を止めて、脂質やタンパク質をしっかり摂って体を回復させるようにアドバイスをしました。
どんな疾患であろうと、身体の修復の為には、栄養は必要だと思ったからです。
祖母に糖質制限を教えたのはその時です。元々虚弱体質なので、ちょうどいいと思いました。
ここで、「脊柱管」の問題だから食事は関係ないだろ・・・と思う方の為に、何故「糖質制限」が必要なのかを説明します。
上の引用元に、
>原因の多くは、加齢による骨の変形や、骨周囲の組織の変形や炎症
・・・とありますが、
「組織の変形や炎症」の原因として最も考えられるのは「糖質」です。
組織の変形や炎症の原因
まず、「組織の変形」について説明します。
人体を構成している成分のうち、「水」約59%の次に多いのが「タンパク質」です。体の約18%を占めます。
「タンパク質」は体の材料です。
糖質は余ると、体内の「タンパク質」と結びついて「糖化反応」します。
そうすると、「タンパク質」が変性します。
そして、その人の「先天的に弱い部分」から症状が表れていきます。
関節かもしれないし、骨かもしれないし、肌かもしれないし、内臓かもしれない。
「遺伝的に弱い部分」は人それぞれなので、同じように糖質を摂っていても、現れる症状は人によって様々です。
症状も一つだけとは限りません。糖化している人は一箇所だけではなく、いくつも症状が表れます。
私も糖化が酷かったのですが、胃下垂、関節から音がなる、髪質が悪くなる、セルライトができる...等、複数表れました。
これらは、一見「老化」に見えますが「糖化」です。
祖母も症状の一つとして「脊柱管狭窄症」があるだけで、その他にも糖化による症状が見られます。
気付いていない人は多いですが、糖質は体にダメージを与えます。
しかし、祖母は糖質を食べすぎです。
体に表れている様々な不具合に、食生活が影響していることは間違いありません。
従って、「脊柱管狭窄症」の対処療法だけでなく、食事を見直す必要があるのです。
そしてこれは、「脊柱管狭窄症」に限った話ではなく、他の疾患にも言えることです。
よく、年齢のせいにしたり、「食事は関係ない」と言う人がいますが、体を細胞レベルで強くするのも弱くするのも、日々の栄養です。体という素材が弱っていては、どんな健康法も治療法も効果は薄れるでしょう。
では、「どんな風に栄養に気を配ればいいのか」についてお話します。
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質的な栄養失調
健康を保つ為には、栄養の質が重要です。
カロリーが足りていても、栄養の質が悪い状態の事を「質的な栄養失調」と言います。
そして、以下が「質的な栄養失調」の条件です。
糖質過多 + タンパク質不足 + 脂肪酸不足 + ビタミン不足 + ミネラル不足
この状態では、健康を維持することは難しいです。
これを解決するには、「質的な栄養失調」の条件を潰していけばいいのです。
そして、ここがポイントなのですが、現代人(特にバランスの良い食生活を送っている人)のほとんどは、質的な栄養失調に陥っています。
例外もありますが、日本人の食生活では、糖質過多、タンパク質不足、脂肪酸不足になりやすいからです。
そして、それによって起こる状態が以下です。
- 糖質過多・・・糖化、炎症
- タンパク質不足・・・体を作る材料がないので、体の組織が弱る
- 脂肪酸不足・・・エネルギー不足
「脊柱管狭窄症」は、糖質過多とタンパク質不足の影響が大きいです。
私が祖母に、糖質を減らしてタンパク質や脂質を多く摂る「糖質制限」を薦めたのはこのような理由からです。
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体質と食生活
糖質制限をする前の私は、体がとても弱かったのですが、そのほとんどは糖化が原因でした。糖質を断ったことで、それまで何をやっても改善しなかった疾患や不快な症状の多くは、あっけなく消え去っていきました。
なので、私と体質が似ている祖母も同じである可能性が大きいです。
ですが、虚弱レベルは私より酷いです。
祖母はこれといった大病はしていないのですが、体のあちこちが満遍なく弱く、食も細いです。60歳過ぎてから健康食品をあれこれと飲むようになり、多少元気に動けるようになったそうです。
その上「アスペルガー症候群」と「多動性障害」の特徴があります。
しかし、祖母の姉妹は80過ぎですが、みな長生きです。だから、私の判断では、本来は「長生きの家系」なのだと思います。
従って、祖母が虚弱体質なのは、「栄養状態の悪さ」が原因である可能性が高いのです。
食生活は、昔の私のように、動物性の食品を避けて、植物性の食品が中心で、甘いもの好きです。特にリンゴが大好きです。これでは、糖質過多で、脂肪酸とタンパク質が足りません。
そして、彼女の現在の食の嗜好から、過去の食生活を想像すると、人生を通して「質的な栄養失調」だった事は間違いないと思います。
ひ弱でも長く生きているという事は、「質的な栄養失調」を改善すれば、かなり健康になるのではないかと思っています。
ただし、発達障害である「アスペルガー症候群」と「多動性障害」に関しては、祖母の栄養状態が悪い・・・というより、曾祖母が祖母を妊娠中に、鉄タンパク不足だった可能性があります。
鬱や睡眠障害や発達障害の原因を栄養の視点から考える。鉄不足が脳に与える影響は深刻だった
栄養状態
一番最初に相談を受けた時、2年前の祖母の栄養状態はこんな感じでした。
- ミネラル + ビタミン はそこそこ足りている
- タンパク質不足
- 脂肪酸不足
- 糖質過多
祖母の場合は、60代から健康食品を飲んでいます。それによって、ビタミンやミネラルは普通の人よりは足りていると思います(60代で少し元気になったようですから)。
飲んでいて、それでも体調が悪いという事は、それ以外のところに問題があるという事です。
この状況を俯瞰で見た場合、ビタミンやミネラルをもっと増やすよりも、まず先にやる事があります。
それが、タンパク質不足、脂肪酸不足、糖質過多をなんとかする・・・解決させなければならないのはこの部分です。
これは祖母だけではなく、過去の私にも当てはまります。
過去の私も、健康食品は飲んでいましたし、ビタミン・ミネラルの摂取を意識した料理を作っていました。
しかし、そこを気をつけても、気をつけても一向に元気になりませんでした。それ以上ビタミン・ミネラルを強化しても、お金がかかるだけでした。
でも、効果がなかったのは、当然です。
問題は「糖質過多」と「脂肪酸不足・タンパク質不足」なのに、それを解消する努力を怠っていたのですから。
栄養を補うのは大事ですが、「何が多すぎて、何が足りていないのか」を考えないでやると効果がありません。
どんなに成績が優秀でも、素行が悪かったら、進路に影響しますよね。そこで素行の悪さを正さず、さらに学業だけ磨いても、問題である素行の悪さはそのままですから、結果は変わりません。
自分が正すべきところは何かを良く考えて努力したほうが、圧倒的に効率が良いです。
というわけで、祖母には糖質を少なくして、動物性の食品を多く摂るように言いました。
そして、寝る前にプロテインを30g飲むようになりました。
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糖質過多と脂肪酸不足
私がアドバイスをして2年近く経ちましたが、症状が酷くなりました。
何度も言ったのですが、タンパク質の量以外は以前とほとんど変わっていません。
以下は、祖母の今年の初めの栄養状態です。
- 2年前からプロテインを飲んでいるので、タンパク質は以前よりは足りている
- バターや肉の脂身などは、ムカムカして食べられない
- 仏壇のお供えと称してリンゴを食べ、頂き物をもらえば食べる...で糖質過多
「タンパク質不足」は多少解消されたようですが、「脂肪酸不足」と、「糖質過多」は治っていません。
一応、気にはしているみたいで、昔よりはお肉を買うようになりました。しかし、脂はあまり摂っていません。
ムカついて食べられないというのもありますが、医者に「コレステロールは良くない」と言われて脂を摂る事を恐れるのです。
「コレステロールが上がるから、脂を控えてバランスの良い食事をしろ」という理論は、糖質過多(バランスの良い食事)に傾きます。
一番の問題は、糖質をなかなか減らさないことです。
そして、糖質を減らさなければ「胃の糖化」が治らないので、肉や脂が気持ち悪くて食べられません。悪循環です。
肉を食べると胃が気持ち悪くなるが、野菜や穀物や甘い物はいくらでも食べられる理由とは
糖質は体の回復力の足を引っ張り、体を傷つけます。不調の原因が「糖質過多」なのですから、減らさなければ悪化して当然です。
注意をすると、たまに減らしますが、すぐに元に戻ります。これの繰り返しです。
注意する
↓
そのときは納得
↓
気をつける
↓
また元に戻る
↓
調子が悪くなる
↓
また聞く
相変わらず痛いようで、彼女の方から「このライフスタイルは健康に良いかどうか」を聞いてきます。
しかし、何度も同じ事を言う事になります。
原因が同じだからそうなります。
同じ事を繰り返す理由は、「考えていない」、「表面的な情報に流される」、「甘え」です。
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同じ事を注意しても改善しない理由
私は糖質制限が何故効果があるのか、その理屈を何度も丁寧に話しました。参考になりそうな書籍はもちろん、ネットで有益な情報があったら、拡大コピーして、ファイルにまとめて読んでもらいました。
祖母はいわゆる学校のお勉強(文系です)は大好きなタイプなので、本や資料等はめんどくさがらずに読んでくれます。
しかし、自分で考えるのは苦手のようです。
そのおかげで分析ができませんし、情報に流されます。
これが困るのです。
今回は、知り合いに、「足が痛いのは、後縦靭帯骨化症じゃないか」と言われたみたいで、その信憑性はどうなのかを私に聞いてきたのです。
祖母から健康系の月刊誌を手渡されたので見てみると、「後縦靭帯骨化症(こうじゅうじんたい・こつかしょう)」という病気の事が特集されていました。
祖母の症状に当てはまるみたいで、「とりあえず読んで欲しい」と言われました。
なので、それを預かってきました。
情報を貰ってくる事自体は悪くないのですが、私が言った本質を全く忘れて、常に新しい情報、新しい情報と流れていく事が問題なのです。
この「後縦靭帯骨化症」の説明も読んでみると、本質には触れられていませんでした(詳しくは次回お話します)。
・・・こういう事は、一度や二度ではありません。
考えない人×情報錯乱=得る物はない
祖母には、私の他に健康のアドバイスをしてくれるお友達や親戚がいます。年齢が年齢なので、人と話をすると健康の話題が多いです。
また、「ネットワークビジネスで健康食品を売っている人」が周囲にいるので、そちらからの情報もあります。
アドバイスをする側は親身になって情報提供しているのですが、テレビや雑誌、あるいは「自身のやっている健康関連の商売」から得た知識なので、病気の本質には絶対触れない情報なのです。
祖母の為を思ってわざわざ情報提供してくれた事自体は非常にありがたい事です。
でも、この流れは断ち切らないといけないので、私は心を鬼にして厳しい事を言います。
何故私が、心を鬼にするかというと、それが情報錯乱に他ならないからです。
甘え
改善出来ないのは、本人の気持ちの問題・・・もありますが、誘惑に負けてしまうような環境の問題も大きいです。
何故、多くの人が「健康に気をつけよう」と思っているのにも関わらず、途中で挫折してしまうのか・・・。
それは、「つい甘えたくなってしまう罠」が散らばっているからです。
次回はその罠と、「後縦靭帯骨化症」の原因についてもお話します。
人の健康管理と相談②食事制限が出来ない理由と後縦靭帯骨化症の原因へ続く
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