- 投稿 2016/11/07
- 分かりやすいシリーズ - 調査
高血圧には2種類あります。
1つは、「他の疾患」や「薬剤」や「ホルモン分泌異常」が原因で起こる「二次性高血圧 にじせい・こうけつあつ」。
そしてもう1つは、原因がハッキリしない「本態性高血圧 ほんたいせい・こうけつあつ」です。
- 二次性高血圧・・・原因がハッキリしている
- 本態性高血圧・・・原因不明
本記事で取り上げるのは、後者の「本態性高血圧」です。なんと、高血圧になる人の90%がこちらだそうです。
つまり、一般論では高血圧の90%は原因がよく分かっていない・・・と、いうことになります。
一般論にそう言われると、それだけで「高血圧」は凄く難しい事のような気がしてきます。
私も情報が偏るのは嫌なので、「一般的な説」も、「一般的じゃない説」も満遍なく紹介したいと思ったのですが、さすがに「90%が分かっていない」となると話は別です。「分かっていない状態で述べられた一般論」は、あてにはなりませんから。
従って、前回の記事では、以下のような「一般的ではない血圧の説」を主にご紹介しました。
血圧が高いほど健康で長生きできる!原因を根本的に間違えている高血圧の食事や治療
内容を要約すると以下の通りです。
- 塩分と血圧は関係ない
- 高血圧には糖質制限が効果的
- 歳をとって高血圧になるのは健康
世間一般で言われている事と間逆なので、これを読まれた方は驚かれたと思います。
しかし、私が調べたところ、これらの説は、「どれが正しい」という以前に、どの説も非常にシンプルに感じられました。そして、「原因がわからないようなもの」ではありませんでした。例えば、
- 健康であれば、「摂りすぎた塩分」を排出することができるので塩分で高血圧にはならない
- 血圧が歳とともに高くなるのは、血液を送り出す必要があるからで、自然である
・・・等、どれも非常に理にかなった仕組みです。
これを難しく複雑に語る方が逆に難しいと言えます。それなのに、頭の良い人たちが「分かっていない」ということらしいです。
ここでもう一度、前回引用した「高血圧の原因が分かっていない」という記事を読んでみて下さい。
『ナースが教える仕事術 動脈硬化になると大変!知らないと怖い高血圧の症状と血圧を下げる方法』より引用
では、高血圧は何が原因で発生するのでしょうか?
高血圧の原因は「塩分」!?
実は高血圧の90%は原因がよくわかっていません。
「本態性高血圧」は、身体に特に異常がないのに血圧が高くなる症状です。実は本態性高血圧で高血圧になる方は、全体の90%だといわれています。
そして、残りの10%は「二次性高血圧」と呼ばれ、腎臓病やホルモン異常などの病気が原因で高血圧になる方です。ただ、「二次性高血圧」の場合は、原因となる病気が治ると、血圧も正常になります。
というわけで、厄介なのは原因が不明な「本態性高血圧」です。何しろ、原因が不明なんです。
このようにハッキリと、「本態性高血圧」は原因がわからないと書いてあります。
なので、本当に血圧の仕組みが複雑難解なのかどうか調べてみました。
通常は、「重要だと思った部分」をそのまま引用させていただくのですが、今回はよりシンプルな説明にしたいので、参考にさせていただいた記事の中から、私が学んで「分かりやすい」と思った箇所を、私なりに整理してお伝えします。参考先は以下になります。
低糖質ダイエットは危険なのか?中年おやじドクターの実践検証結果報告 糖質制限ダイエットで高血圧が治せる理由
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血圧とは
「血液が血管の壁を押す力」を、血圧と言います。
「血液が血管を押す力が強くなること」を、血圧が上がると言います。
圧力が上下する理由
血管が以下の様な状態によって、血圧は上下します。
- 硬さ・・・血管の壁が硬い
- 太さ・・・血管が狭い
- 長さ・・・血管が長い
↑これら3つのうち、血圧に大きく関係しているのは、「血管の硬さ」と「血管の太さ」だそうです。
「血管の長さ」は関係ないみたいです。血管は伸び縮みしないので、長さが変化しない以上、それによる血圧変化もないという事です。
シンプルですね。
- 血管が柔らかく、広く、短い → 血圧は低くなる
- 血管が硬く、狭く、長い → 血圧は高くなる
これもまたシンプルです。複雑な事は一つもありません。
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血圧が上がる原因
血圧が上がる原因は色々あります。
血管の状態が原因
- 血管の壁が硬くなる(動脈硬化)
- 血管が狭くなる(血管狭窄)
その他の原因
- 体質が酸性になる
- インスリン抵抗性になる ※インスリンが正常に働かなくなった状態
血管の状態が原因の高血圧
血管の状態が硬くなったり、狭くなったりする事で血圧は上がります。しかし、血管が硬くなったり、狭くなったりするのは理由があります。それが「動脈硬化」や、「血管狭窄 きょうさく」です。
動脈硬化の原因
まず、血管が硬くなる(動脈硬化)原因ですが、一般的に言われているように「コレステロールが原因」ではありません。
「余った糖」と「体のタンパク質」が結びつく事によって起こる糖化反応が動脈硬化の真の原因です。
糖化によって体のタンパク質は劣化します。血管もタンパク質で出来ていますから、糖化によって劣化します。
血管の糖化のイメージとしては、血管が砂糖漬けになって脆くなった姿を想像していただければと思います。
血管狭窄の原因
続いて、血管が細くなる(血管狭窄)原因ですが、一般論では「コレステロールが付くから血管が細くなる」ということになっています。
確かに、「血管が細くなった箇所」を摘出して確認すると、コレステロールもあるそうです。
しかし、それ以上に圧倒的に多いのが「血小板」と「白血球」だそうです。
どういうことか説明します。
血液は、液体部分である「血しょう」と、血球である「赤血球」「白血球」「血小板」に分けられます。
血管が細くなった所に集まる「白血球」と「血小板」は、傷口を塞いだり、バイ菌の侵入を防ぐ役割を果たしている成分です。
これらの成分が「血管が狭くなっている所」に集中している・・・ということは、その部分が傷の修復が必要だったという事になります。
つまり、傷があったから、「血小板」や「白血球」が集まっていたのです。従って、傷などなければ、これらはそこにはいません。
何らかの原因で傷ができる
↓
傷口に「白血球」や「血小板」が集まる
↓
血管が狭くなる
↓
よく見たらコレステロールも付いていた
↓
コレステロールが悪い
しかも、「コレステロール」も、血管の傷が原因で集まっていたそうです。
動画の重要なポイントを書き出しました。
(1:46~)
ティータ博士によるとコレステロールが悪者になった理由は かつての心疾患患者の血管内にコレステロールが発見されたという理由であり
ティータ博士によるとコレステロールは無意味に血管内にたまるのではなく 体が血管内に起きる炎症を修復するためだと提言しています。
つまりコレステロールが元々の原因ではなく血管内の炎症によるものです
体が炎症を察知するとそこにコレステロールを送って血管を修復する仕組みになっています
・・・このように述べられています。「血小板」と「白血球」だけでなく、「コレステロール」も傷の修復の為に集まっていたのです。
で、血管の傷とは炎症です。
さらに、糖質は「高血糖による血管のダメージ」を引き起こすので注意が必要です。
また、他の血管が傷つく原因に、「ビタミン12」の不足があるそうです。それによって、「ホモシステイン」というアミノ酸の一種がたまって血管がボロボロになるそうです。
「傷」「炎症」が、血管の狭窄の原因です。
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体質が酸性になることが原因の高血圧
「血管の状態」とは別の理由で、血圧が上がる事もあります。
「体質が酸性になることで血圧が上がる理由」についてお話します。
体質が酸性になると、体に酸素が上手く行き届かなくなるので、高血圧になります。
酸素濃度と同じくらい重要なのが、血液の「ph値」です。
数値が低いと酸性が強いということになります。
人間の場合は、7.35~7.45が正常だと言われています。そして、生命の危険があるのは7.1以下です。
人間の体は「弱アルカリ性」になっています。
「弱アルカリ性」の状態だと、「血液によって運ばれてきた酸素」は、細胞に受け取られます。
で、「ミトコンドリア」は、酸素を使って、生体に必要なエネルギー物質「ATP エーティーピー」を作り出しています。
(細胞)
「ミトコンドリア」が「ATP 」を順調に作れなくなるのが、ph7.3以下だそうです。
「ミトコンドリア」の働きが低下すれば、生命活動に必要な「ATP」が不足するので、様々な体の不調がでてきます。
で、体が酸性になる原因を探ると、糖質が関係しています。
食事で糖質を摂取すると、まず「ブドウ糖」まで分解されます。
そして、さらに「ブドウ糖(グルコース)」を「ピルビン酸」という物質に分解して、エネルギー物質「ATP」を作るのですが、その後、副産物として乳酸が発生することがあります。
(左のルートは「乳酸」が発生します)
乳酸は酸性です。
この「乳酸」が蓄積していくと、体は酸性になります。
糖質を摂れば必ずこのルートになるわけではありませんが、そうなりやすい条件を持っている人はいます。
乳酸の蓄積により、体が「酸性」になると、「血液によって運ばれてきた酸素」は、うまく受け取ってもらえなくなります。
すると、体中に酸素が行き渡らなくなります。
酸欠です。
その結果、酸素を送るために心臓が頑張ります。
血圧が上がります。つまり、
糖の摂取
↓
乳酸発生、蓄積
↓
体が酸性になる
↓
体の酸欠
↓
酸素を送るため心臓が頑張る
↓
血圧が上がる
というわけです。これも元を辿れば「糖質」が原因ということになります。
乳酸が蓄積し、体が酸性化すると、ミトコンドリアが機能不全になり、細胞が癌化します。これも、元を辿れば「糖質」が原因です。詳しくは以下をご覧下さい。
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糖質制限で効果のある高血圧と、効果のない高血圧
「90%の高血圧の原因はよく分かっていない」というのが定説ですが、こうしてみてみると、「糖質」が本態性高血圧に関係している事は明白ですね。
高血圧の予防は「塩分」を控えるのではなく、「糖質」を控えるのが正解でしょう。
カルピンチョ氏の記事を参考に、高血圧を改善する為に、糖質制限で効果がある場合とない場合(糖質制限することで血圧が下がる人と下がらない人)を整理してみました。
おそらくほぼ全員効果的
- 2型糖尿病の人
- 高血糖で境界型と言われている人
おそらく効果的
- 「耐糖能異常」はなくても、「肥満(BMIが25以上)があって高血圧」の人
効果的
- リンゴ型体型で(内臓脂肪が多くて)高血圧の人
効果がある場合と、効果なない場合がある
- 肥満ではない、血糖値異常もない、だけど高血圧であるという人
注意して欲しいのは、一番下の「効果がある場合と、効果がない場合」です。
「肥満ではない、血糖値異常もない、だけど高血圧であるという人」というのは、以下のような人達のことを意味しています。
- 血圧を上げるホルモンを産生する腫瘍ができている人
- 腎臓の血管が生まれつき細い人
- 家族性の原因不明の高血圧症がある人
この場合、「インスリン」や「血糖値」が原因の高血圧ではありません。「元の病気」が高血圧の原因という事です。氏によると、この場合の高血圧は、「元の病気」を突き止めて治していくしかないそうです。
おそらく、これが一般論の言う、元の病気を治療すれば、血圧も正常になる、10%の「二次性高血圧」の事でしょう。
そして、糖質制限で効果がある残りの高血圧とは、一般論の言う90%の「本態性高血圧」の事でしょう。
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改めて高血圧の仕組みについて考える
つまり、一般論の言う「原因不明の90%の本態性高血圧」は、糖質制限で効果があるという事です。全員糖質制限をしたら、原因不明の高血圧の人は、ほとんどいなくなるのではないでしょうか。実に単純明白な理屈です。どこが難解なのでしょうか。
それを「わからない、わからない」と言っているわけです。
ただし、注意して欲しい事があります。私はここで、「90%も糖質制限で血圧が下がるからいい」と言っているのではありません。それだと、「血圧は、低いのが良くて、高いのが悪い」という従来の常識からは抜けきれていません。
前回の記事にも書きましたように、「血圧が高くてはいけない」という概念自体を改める必要があります。その人の血管の状態や、年齢や病状などを総合的に判断して、その人にとって最適な血圧である事が望ましいのではないかと思っています。
実際に血圧が高い事で健康を保っているお年寄りがいるのです。
血管が脆くなって、血管が破れる心配がある人や、病気が原因で必要以上に血圧が上がっている人は、血圧を下げる必要があると思いますが、特に体に異常がない人の場合の高血圧は下げなくてもいいと思っています。
しかし、これは素人判断は難しいと言えます。自己判断で薬を勝手に止める人もいるようですが、「自分がどちらのタイプ」なのか判断できない以上、それはかえって危険です。もし「血管がボロボロで薬によって下げなければならないタイプ」なのにも関わらず、止めてしまったら危ないです。
今の医療は、血管が丈夫だろうが、丈夫じゃなかろうが、血圧が上がっただけで薬を出そうとします。「薬が必要な人」と、「そうじゃない人」まで一緒くたにしています。血管が丈夫なのにも関わらず、血圧を下げる必要がないにも関わらず、一定の数値を超えたら「高血圧」と診断されます。
私としては、少なくともこのぐらいの選択肢はほしいです。
- 10%の人は、元の病気を治して血圧を下げる
- 90%の人は、原因が糖質なら糖質を控えて血圧を下げる
- 健康な人は無理に血圧を下げない
血圧に対する認識を改めないといけないと思います。「糖質制限に理解のある医師」が必要なのは言うまでもありません。
前回の記事では、高血圧のお年寄りの方が長生きな様子が書かれている記事を紹介しました。他にも、私が色々な情報を調べたところ、中には「高血圧は(疾患ではなく)、生理作用」と書いている人もいました。
「高血圧は悪」だと決め付けている人は、受け入れられない話かもしれません。しかし、歳をとると血管に柔軟性がなくなって、その力が弱まってくるので、脳や体に血液を送るために圧力を上げる必要が出てきます。
何もしなくても血圧は上がる、それは自然な事なのです。
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