- 投稿 2016/10/29
- 注意
脂質を食べるから太る。
そう勘違いされている方がいまだに多いです。調理の時や食事の時、肉の脂をせっせと落とし「ヘルシー」と言っている人をよく見かけます。
でも、本当は脂質を食べる事こそが「ヘルシー」なのです。
しかし、脂質はいまだ悪者です。そして、捨ててしまうのです。
太るから? 成人病になるから?
でもそれ、勘違いです。脂質を食べて、「不健康になる理由」、「太る理由」はもっと別のところにあります。
ここの誤解が解けないと、脂質を食べる事に抵抗を感じてしまいます。
特に、「脂質悪」のまま、糖質制限を始める人は、脂質の摂取を避けます。そうすると、エネルギー不足になり、体調を崩し失敗します(私もこれをやらかしました)。
脂質は素晴らしい栄養素です。私も脂質をしっかり食べるようになってから、体に良い変化が表れました。例えば、
糖質制限を初めて間もない頃、バターの品薄状態に遭遇し、バターの量を10~20gにケチった時がありました。そういう事がしばらく続くと、その後にくる生理に影響がでます。同じ日に来ず、けっこう遅れるのです。
実にわかりやすい。
しかし、バターを50g以上に増やすと、再びほぼ同じ日に来るようになります。
また、脂質をしっかり摂ると肌が潤います。潤うといっても、よくある化粧水で水浸しにしたような見せ掛けの潤いではなく、中からくる潤いです。
試してみて初めて、「脂質って重要だったんだ」と思いました。それまでは、理屈ではわかっていても、「脂質悪」のイメージの方が強かったのです。
このように多くの人は、コレステロール、動脈硬化・・・という危険なイメージを脂質に対して持っている為、人間にとって必要な栄養素であるにも関わらず、脂質を避けようとしてしまいます。でも、それではもったいないですよね。
なので、脂質自体は危険ではないと、声を大にして言いたいです。
安心して脂質を摂るためには、何故、脂質で不健康になったり、太ったりするのか、その理由を正確に知る事が必要ではないでしょうか。
「脂質が太る原因じゃなかった」事を実感した、私の体験をお話します。
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糖質だけなら、いくら食べても太らなかった
まず、私の体質を述べておきます。
私は糖質制限を始める前は、「糖質中心」のライフスタイルをおくっていました。
太ると思われるでしょうが、何故か私は子供の頃から糖質だけなら、いくら食べても太らない体質でした。ご飯でも、お菓子でもです。
胃が弱いので、量は食べられませんでしたが、唯一底なしに食べられるものがありました。
それは、アイスクリームです。
溶けてしまうからなのか、胃が弱くても、アイスクリームだけは、カップ入りのものを何個食べても苦にはなりませんでした。また、チョコレートも同じ理屈なのか結構食べられました。
お菓子を食べるあの至福の時が大事だったので、お菓子は質よりも量が大切でした。「おいしいスイーツをちょこっと」なんて満足できません。1分で無くなりますから。かといって、消耗品にお金をかけるのも嫌だったので、スーパーで手に入る、安くてボリュームのあるアイスやチョコを毎日食べていました。
基本的に、病気の時以外は欠かした事はありません。
それでも、全然太りませんでした。学生の時はクラスの中でも特に細かったです。人に挨拶をすると、「ご飯ちゃんと食べてる?」と返ってくるぐらいです。
クラスメートに「チョコレートを食べるとすぐ太る」という人がいましたが、まったく信じられませんでした。私は毎日欠かさず食べても太らないですから。
糖質では全く太らない体質ですが、そんな私が「脂質をたくさん摂ってどうなったか」についてお話します。
食パンとバターで太り始めた
「糖質では全く太らない体質」の私が、一時期、バター(脂質)をたくさん食べた事がありました。
20歳の時、ケーキ屋でバイトをしていた時、バターにハマったのです。
まかないが食パンだったのですが、みんな、それにバターをつけて食べていました。
私は、甘党なので、それまでは、パンにつけるとしたら、バターではなく、蜂蜜やジャムばかりでした。バターはそんなに美味しいとは思えず、せっかく食べるなら甘くて美味しい方が良いという考えだったので、パンもお菓子の様に甘くして食べていました。そもそも、パン自体もあまり好きではありませんでした。
ですが、ケーキ屋のバターがメチャクチャ美味くて、これをつけて食べたパンは格別でした。「パンってこんなに美味いんだ」と思いました。
ケーキ屋のでっかいオーブンで香ばしく焼いた食パンの上に、そのバターをたっぷり塗る・・・というか、載せて食べていました。バターが溶けてパンに浸透したところも美味しいですが、溶けかけのところもいけるんです。おかわりもしてました。
・・・で、そういう事を続けていたら、
何故か、楽勝で太りました。
糖質をいくら食べても一切太らなかったのに、バターを食べるようになっただけで、簡単に太ってしまったのです。
パンを食べていたのは朝の一食だけだったので、体重はそんなに変わらなかったです。人からはわからないほどです。しかし、自分では「太った」と、ハッキリわかりました。
手を後ろにひねって背中を掴むと、ありえないところに肉がついているわけです。
え゛っ・・・!?
と思いました。肩甲骨のまわりとか、わずか短期間で、皮下脂肪がついていたわけです。
すぐにバターが原因だって悟りました。
それまでも、食パンは食べていましたが、蜂蜜やジャムはいくらたっぷりつけても太りませんでしたから、食パンが原因だとは考えにくかったのです。その当時摂り過ぎていたのはバターでした。
(※ちなみに、私はラストまで働いていたわけではないので、「残ったケーキを持って帰る」という事はありませんでした。従ってケーキで太ったわけではありません。持って返ったのは2回だけです)
思ったとおり、ケーキ屋を止めた後、「バターをたっぷり塗ったパン」を食べなくなって、元に戻りました。(やや時間はかかりましたが)
その時、「私の体には糖質は合うけど、バター(脂質)は合わない」と思いました。
「脂質は太る」とばかり思っていました。
ですが、勘違いでした。
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太った本当の理由
当時、「私がバターを食べて太ってしまった原因」についてお話します。その当時はわかりませんでしたが、今ならハッキリとわかります。
結論から言うと、悪いのは「バター」ではなく、「バターと糖質の組み合わせ」でした。
わかりやすくする為、現在と比較してみます。
現在、私は糖質制限をしている為、基本、糖質は一日10g以下です。私のエネルギー源は脂質ということになります。肉の脂+バター(脂質)をたくさん食べても太りません。
ケーキ屋バイト時代、パンに塗っていたバターの量をはるかに凌駕するバターの量を、毎日食べていますが、全く太りません。今はケチって毎日50gしか食べていませんが、昨年毎日100g食べていた時期も、やはり太りませんでした。
この事実一つ見ても、「太った原因はバター(脂質)じゃない」・・・そう感じていただけるのではないかと思います。
現在と過去の違いは、そこに糖質が加わったかどうかです。
詳しく説明すると、
「パンにバターたっぷり」は、「糖質と脂質の組み合わせ」なので太ります。
それに対し現在は、バターを食べても、糖質は一日で10g以下です。なので、ほぼ「脂質のみ」の摂取になります。しかも、調味料やわずかな野菜に含まれる糖質と合わさらないように、バターを食べる時は、あえて時間を開けて食べるようにしています。糖質を減らしていれば、脂質だけ食べても太りません。
昔の私は、脂質という「物質」に気を取られて、「組み合わせ」が悪いとは思わなかったのです。だから「脂質が悪い」と勘違いしたのです。
●脂質を食べて太った(勘違い)
●糖質と脂質が合わさったから太った(真実)
確認しないと、こんな単純なカラクリにも気が付かないものです。
脂質だけだと太らない・・・まだ信じられないかもしれませんが、冷静に考えてみてください。
私が「バターをたっぷり塗ったパン」を食べて太ったのは20歳の時です。若い時は太ったのに、30代の今はそれより多い量のバターを食べても太らないのです。普通に考えると、20歳と30代では代謝能力は20歳の方が上です。
バターを食べて、20歳でも太ったのなら、代謝の落ちている今の方がもっと太らなければならないはずです。
「脂質が太る」という説と、「脂質だけだと太らないが、脂質に糖質を加えると太る」という説では、辻褄が合うのは後者です。
この経験から、「脂質と糖質」、あるいは「タンパク質と糖質」は組み合わせてはいけないと思っているので、外食等で糖質を食べた日は、習慣であるバターもプロテインも摂らないように心がけています。それが医学的に見て正しいのかどうかはわかりませんが、なんとなく混ぜたくはないので、私はこのようにしています。
脂質に対しての勘違いが少しでも無くなってくれれば嬉しいです。ついでに言うと、糖質制限を安全にするには、このような勘違いを多く正す必要があります。
今回は脂質で太った事は勘違いだったという「私の体験」の話でしたが、次の記事では、その「理屈」について詳しく説明します。
糖質制限に対する勘違い
脂質に対する勘違いについて述べた時に、「糖質制限を安全にするには、このような勘違いを多く正す必要がある」と言ったので、その代表的な例を一つ挙げておきます。
ズバリ、「糖質制限は危険である」という勘違いです。
病気になるとか、死亡率が上がるとまで言われています。
どうしてそういう勘違いが産まれるのか、そのカラクリの1つを説明します。しかし、これを理解するには、まず「糖質制限の種類」について知っておかなければなりません。
糖質制限の種類
一口に「糖質制限」と言っても、以下のように「糖質の減らし具合」によってタイプが分かれます。
●スーパー糖質制限 糖質摂取目安は1日30~60g
●スタンダード糖質制限 糖質摂取目安は1日80~120g
●プチ糖質制限 糖質摂取目安は1日120g~170g
糖質量を見てもらったらわかりますが、「スタンダード」と「プチ」は糖質の減らし方が「緩め」ですね。
私が数年前にチャレンジしたのは、「スタンダード」と「スーパー」の間くらいにあたる「緩い糖質制限」でした。
そして、今は、糖質摂取は一日10g以下なので、上の3つよりさらに「厳しい糖質制限」になります。この3つでいうと「スーパー糖質制限」です。
単純に考えたら、糖質の量が違うだけなので、一見「スーパー」も、「プチ」も、「スタンダード」も同じようなものに見えます。しかし、「糖質を制限する事の本質」を理解したら、これらは全くの別物だと言えます。従って、結果は全く違います。
私は両方を試したので、まず、結果を言います。
「緩い糖質制限」は体調を壊しましたが、「厳しい糖質制限」は健康になりました。30代で過去最高に調子が良いです。
詳しく言うと、
20代後半で「緩めの糖質制限」をしたのですが、自分では「少しだ」と思って摂っていた糖質のせいで、糖化も改善されず、無知から脂質を避けたせいでエネルギー不足になり、体調が悪化し、止めました。
その後、栄養のバランスを重視したり、野菜多め、一日一食、定期的な断食など、世間一般でいう「ヘルシー」な食生活に戻りました。昔から喫煙、飲酒もしませんし、運動もしていました。食品の質に拘っていましたし、健康食品にも結構お金を使いました。でも、どんどん弱っていきました。
30代で「厳しい糖質制限」を始めて、体調もよくなり、肌質もよくなり、花粉症も消えました。どんどん丈夫になっていきました。
どの糖質制限を選ぶかによって、これだけ差がでます。これが現実でした。
「厳しい糖質制限」を始める時、過去と同じ失敗をしないように、「厳格に糖質制限を行なっていた人」のやり方を事前に調べて、理論を頭に入れて試したので、上手くいくとはわかっていましたが、本当に成果が出た時は嬉しかったです。
仕組みを理解しているか、していないかによっても、結果は変わって来ます。
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勘違いの原因
「糖質制限は危険だ」と思っている人は多いです。危険なケースも確かにあります。私も失敗したのでよくわかります。
過去に「同じ糖質制限でも、糖質を徹底的に制限するのと、糖質をそこそこ摂るのは違うんだ」というお話をしました。
【脂質+タンパク質】は良くて【糖質+脂質+タンパク質】が良くない理由
この記事でも紹介しましたが、もう一度書きます。以下は両方とも「糖質制限」ですが、体の中で起こる事が違います。
●「緩い糖質制限」・・・食後高血糖になる、異所性脂肪沈着が起こる
●「スーパー糖質制限」・・・食後高血糖にならない、異所性脂肪沈着が起こらない
(※「異所性脂肪」とは本来あるべきでない場所に存在する脂肪のことです。これが臓器に沈着すると、機能が低下します。)
後者に比べ、前者の方が健康に良くない事がおわかりいただけるかと思います。
それを裏づけるように、前回紹介した引用元の記事にも、「緩めの糖質制限は死亡リスクが高まり、普通の食事の方が健康的だ」というデータがあります。
我々があらゆる場所で目にする「脂質やタンパク質を多く食べると、病気や死亡リスクが高まる」という主張は、
「(緩い糖質制限に相当する)糖質を食べながら、脂質やタンパク質を大量に摂取した人が不健康になった」というデータを元にして語られています。
これらのデータは、「糖質を徹底的に排除したうえで、脂質やタンパク質を大量に摂取した人」の病気や死亡率を表すものではありません。
違うデータなのです。
このデータの結果が悪いからといって、「糖質制限は危険だ」と思わないで下さい。
そして、糖質制限で「上手くいかない」と言っている人の食事内容を聞くと、糖質の減らし具合が甘い。しっかり食ってる・・・。私もそれで失敗したからよくわかります。制限になっていない量なのです。
でも、この人達は、糖質をしっかり食いながら「糖質は食べていない」と言うんです。
もちろん体質的な理由や、ビタミン、ミネラル等の不足から、真面目に糖質制限をやって上手くいかない場合もあります。(その解決法は別の機会に譲ります。)
しかし、不健康になる「緩めの糖質制限」を実践して「成果がでない」と言っている人が多いのです。
そもそも、「スーパー糖質制限」をする人口は少ないですし、この食事法が世間に広まってから、そんなに時間は経っていません。つまり、「スーパー糖質制限を続けた結果のデータ」はまだ十分に揃っていないという事です。
それに対して、「糖質を摂りながら、脂質やタンパク質を多めに食べる人」のデータはあります。何故なら、一般的に言われている「食の欧米化」は、「和食(糖質中心)」+「西洋料理(脂質・タンパク質たっぷり)」の組み合わせですから、体験者は多いです(※「糖質+脂質+タンパク質」の組み合わせは、「一般的な栄養バランスの食事」よりも、病気のリスクが高まるというデータです)。
世の専門家が糖質制限を批判する時は、後者のデータを持ち出し、鬼の首を取ったように糖質制限を批判しています。糖質を摂りながら脂質やタンパク質をたっぷり食べる事だけを批判すればよいものを、ドサクサに紛れて「スーパー糖質制限」まで叩こうとします。
その結果、
違うデータ + それを元にした専門家の意見 + 中途半端が原因で失敗した人大勢
= 勘違いが定着
このようになります。これは強力で、時に真実を消してしまう程の威力があります。
確かに、「緩い糖質制限」も、糖質制限だということになっています。また、「ただ体重を落としたいだけの人」は、「緩い糖質制限」でも良いでしょう。目的別にいろいろなタイプがある事は悪い事ではありません。
ただ、「緩い糖質制限」をするのであれば、それだけ糖質の害を受ける事になります。従って「それなりの効果しか期待できない事」や、「リスク」は把握しておいた方がいいでしょう。
特に、体が弱い人の場合は、少々の糖質でも害を受けやすいです。
私はこれまで何度も、糖質制限の効果を述べてきましたが、
「断糖肉食レベルの糖質制限をして効果が出ました」と言っているのであって、決して「緩い糖質制限で効果が出ました」と言っているのではありません。
だから、「緩い糖質制限」で悪い結果が出たからといって、「スーパー糖質制限」まで同じようになると言われると、それは違うと主張します。
私個人としては、糖質制限の最大の魅力は、「病気の予防が出来る事」、「身体が細胞レベルで元気になる事」だと思っています。だから、「病気の予防にならない糖質制限」にはあまり価値を感じません。いくら体重が減ろうがです。血糖値を上げないこと、糖化しないこと、これらが出来てなんぼなのです、私にとっては。
(※「スーパー糖質制限」が万能だと言っているのではありません。「体質的な理由で実践できない人」、「すぐには馴染めない人」、「途中で調整が必要なケース」はあります。それについても別の機会でお話します。)
というわけなので、「糖質を限りなく制限+脂質+タンパク質」の組み合わせと、「糖質+脂質+タンパク質」の組み合わせは、全く別物であるという事を、今一度強調しておきます。
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