「和食はヘルシー」と言われているので、欧米化する前の純粋な和食を有難がる人は多いです。
昔ながらの和食
・・・というイントロは、とても耳障りが良く、牧歌的で健康的なイメージです。
しかし、イメージだけで物事を判断するのは軽率です。実態をみなければいけません。
確かに「昔の日本人」は、粗食であるにも関わらず、現代人がとても真似出来ないような重労働をしていました。
その部分だけにフォーカスを当てると、確かに凄いですし、「彼らの食事である粗食に、パワーの秘密がある」と考えたくなるのは分からないでもないです。
しかし、もう1つの事実である「昔の日本人は寿命が短かった」という事を無視してはいけないと思うのです。
もし、昔の人が本当に短命だったなら、果たしてそれは、我々現代人の目指すべき姿でしょうか。
それとも、「昔ながらの和食を真似して食べる人達」は、「重労働ができるけど短命な、昔の人のような人生」に憧れているのでしょうか。
・・・決してそんな事はないはずです。
「和食をヘルシーだと思って、真似して食べる人達」は、前者の「昔の日本人は、重労働に耐えられる強靭な体力があった」という部分だけを見て、後者の「寿命が短い」という部分が見えていないのです。
また、見えないように誘導されているのです。
そうでもなければ、好き好んで、短命になるような食事はしません。
ハッキリ言って、一般的な現代人にとって、「生きていくのに困らないだけの体力があれば、健康で長生きできる人生」の方が価値があると思います。
和食ファンには悪いですが、昔ながらの和食、そして、それを食べていた日本人は、「健康で長生きを目的とする人」の目指す方向ではありません。
「和食はヘルシー」という説は、信憑性に欠けるものばかりだからです。
本記事では、何故、昔ながらの和食が良くないのか、そして、それを食べていた人の健康状態がどうだったのか・・・についてお話します。
スポンサーリンク
和食のイメージと現実
あなたがもし、病気になりたくない、いつまでも若くいたい、長生きしたいと思うのであれば、「昔ながらの日本食」を目指してはいけません。
和食は「ヘルシー」ではないからです。
栄養的にみると、実は糖質過多、タンパク質不足、脂質不足なので、健康を損ねたり、短命になる食事です。
「昔ながらの日本食を食べる習慣」がある人は、「健康にならない道を歩んでいる」と、自覚した方がいいです。
自覚さえあれば、その気になった時に何時でも方向転換できるからです。
知らなければ「おかしいな、おかしいな」と思いながら、そのまま突き進んでしまいます。
何故私が、和食をここまで悪く言うのかというと、私自信、ほんの少し前まで、「和食を始めとした植物性中心の食事こそ、人間の体を健康にする」と考えていて、その通り実践して、長年体がとても弱かったからです。
「植物性食品を増やし、動物性食品を増やす」という、人間の食性と間逆の事をしていたのですから、弱るのは当たり前です。
しかし、「和食はヘルシーだ」と思っていた当時の私は、「不健康になる道」を歩んでいる自覚はなく、「健康的な食事をしている」と思っていました。
だから、「健康にならないな、おかしいな」と思いながら、方向転換する事はありませんでした。
健康に気をつける人が不健康になる
「健康に気をつけよう」と思った人が行き着くのは、ほとんどの場合、「和食」です。
- 和食は無形文化財
- 世界が認めた和食
- 健康的な和食
・・・等の、和食の良いイメージだけを植えつけられている為、糖質過多、タンパク質不足、脂質不足・・・という「和食の栄養的な欠点」を見ようとしません。
しかも、和食とは素材の味を生かすどころか、砂糖などの調味料無しでは、味が成り立たない料理なのです。
和食は素材の味を生かした料理だという嘘と、日本人が不健康な白米を止められないワケ
私は糖質制限を始めてから、「調味料を極端に減らした和食」を何度も作ってみました。
しかし、どう頑張っても、「肉じゃが」、「筑前煮」、「ほうれん草の胡麻和え」・・・等、お馴染みの味にはなりませんでした。
調味料がなければ、素材の味はします。しかし、それぞれの「料理名の味」はしませんでした。
改めて「美味い美味いと思って食べていたあれは、実は調味料の味だったんだな」と思い知らされました。
「和食は素材の味を生かした調理法」と言われているのに、ぜんぜん素材の味じゃありません。「言われている事」と「実態」が違うわけです。
酷い嘘です。
なので、栄養面で嘘が多かったとしても不思議ではありません。
スポンサーリンク
食の欧米化にはメリットがあった
「昔ながらの和食」は良いイメージで語られることが多いです。
その一方で、「食の欧米化」はよく悪者にされます。
しかし、「食の欧米化」にはメリットもありました。
周知の事実ですが、タンパク質不足や、脂質不足が解消されて、寿命が延びたのです。
寿命だけではありません。
昔の日本の子供は栄養不足だったのですが、それも解消したのです。
ここで、メリットとデメリットを整理します。
-
- メリット:タンパク質、脂質不足が解消され、体格が良くなったり、寿命が延びた
- デメリット:【糖質まみれの日本食 + タンパク質、脂質が豊富な欧米の食品】で病気のリスクが上がった
デメリットの【糖質 + タンパク質、脂質】の組み合わせが、どうして好ましくないのかについては、以前記事を書きましたので、こちらをご覧下さい。
次は、昔の子供、それも昭和の子供達がどう栄養不足だったのかについてお話します。
昔の子供は健康的だったという話
あなたは「今の子供は、アレルギーや喘息などで弱っているが、昔の子はそんなことなく元気で、外を走り回っていた」・・・といった話を聞いた事がありませんか。
実際に聞くこともありますし、粗食を推す、料理本や健康の本を読むと、たいていこのような話が書いてあります。
このような話を見聞きすると、「現代の若い人は粗悪なものを食べているから体が弱っていて、反対に、昔の人は食事が良かったから元気だったんだ」と思わされてしまいます。
しかし、調べてみると、昔の子供達もしっかりと栄養不足の症状が出ていました。
決して健康体ではありません。
過去の事は検証しずらいですから、なんとでも言えるわけです。
スポンサーリンク
昔の子供は感染症にかかりやすかった
「昭和初期の子供達が不健康だ」などと言うと、俄かには信じられないでしょう。
実は、元気そうに見えるだけで、昔の子供は感染症にかかりやすい体質だったのです。
喘息やアレルギーになる現代人と、「病気の種類」が違うだけで、昔の子供も不健康には変わりありません。
現代の子供達にはほとんど見られませんが、昔の子供達の多くは、青い鼻水をたらしていました。
これはタンパク質が不足している事が原因だそうです。
つまり、青い鼻水をたらした子が多い=タンパク質不足の子が多い ということになります。
「昔ながらの日本食」が健康的で理想的なら、このような子供は存在しなかったはずです。
しかし、そんなに遠くない昔、日本中にそういう子供が多くいました。
では、何故栄養不足でそのような症状になるのか、根拠が以下になります。
『三好耳鼻咽喉科クリニック』より引用
A:あれはつまり蓄膿症という慢性副鼻腔炎
私自身が子どもの頃には、世の中には鼻垂れ小僧さんがいっぱいいました。
青っぱなを見事に垂らして、いつもそれを啜り上げているだけでなく袖で擦り取ろうとするものですから、仕舞には袖がテカテカに光ってしまったりして。昔は子どもでも黒い学生服を着ていたものですから、ことに袖がてかり易かったような気がします。
そう言えば最近は見なくなりましたが、子どもが昼寝をしていると必ず鼻提灯を膨らませたりする光景が、誇張ではなく日本中至る所で見られました。
あれはつまり蓄膿症と呼ばれた慢性副鼻腔炎で、鼻の脇にある骨の空洞に膿が貯留して鼻の外まではみ出す、それがあの懐かしい青っぱなだったのです。
蓄膿症に限りません。当時は明らかに感染症が多くて、乳児死亡率も決して低くなかったのです。
このような感染症は現在では激減し、代わりに花粉症などアレルギー疾患が、ものすごく増えました。
これは衛生環境が劇的に改善し、感染する機会が極端に減ったことと、1970年前後から日本人の動物性蛋白質と動物性脂肪の摂取量が多くなり、免疫能力が高まったためと考えられています。
その背景ですが、免疫細胞に感染症を担当するTh1と呼ばれるタイプと、アレルギーに関与するTh2とが存在し、Th1の勢いが強い感染状態ではTh2が抑えられ、逆にTh2の強いアレルギー状態ではTh1の勢いが弱い、そんな状況のあることが動物実験で証明されています。人間ではその原理が、蓄膿症が減少と花粉症の増加として表われているものと思われます。
「当時は感染症が多かった事」、そして、「動物性蛋白質と、脂質の摂取量が増えた事で免疫能力が高まった事」が書かれてあります。
また、以下のサイトも参考になります。
寒い冬に子供たちが垂らしていた青っ洟の正体は、実は白血球の死骸、膿なのです。なぜ白血球の死骸が鼻水の中にたくさん出ていたのでしょうか。
ふつう風邪の原因となる何種類かのウィルスが鼻粘膜に侵入すると鼻粘膜では血管拡張と炎症反応が起こります。炎症を起こした場所では血管が拡張し、血管壁の透過性が亢進するため血液の水成分が漏れ出てきます。これがいわゆる水っ洟で、風邪の初期やアレルギー性鼻炎、花粉症でみられるタイプの鼻水です。
ウィルスに感染すると、鼻粘膜の抵抗力が落ちるため細菌感染にもかかりやすくなります。
さらに鼻水自体タンパク質に富んでいることもあり細菌の増殖が起こります。そうすると細菌や炎症反応ための白血球の死骸、鼻粘膜の一部などが混り、鼻水の色が黄色から膿のような緑色の青っ洟に変化していきます。
昔は免疫抗体の原料であるタンパク質の摂取が不足していたために白血球にはウィルスを殺す力があまりありませんでした。白血球を作って送り込んでも送り込んでも、ウィルスを退治する事が出来ません。他に方法がなく無駄に大量生産されて青い鼻水になったのです。
そのころの子供は、成長期でもありタンパク質が不足する事が多く、白血球が無駄にたくさん作られて青っ洟と呼ばれる、緑色の鼻水が大量に分泌されていました。ですから栄養状態の良かった裕福な家庭の子供には青っ洟は少なかったようです。
最近の子供も栄養状態が良いので青っ洟を見かけなくなりました。もう今では青っ洟に会える時と言えば、感染系の鼻水の色の変化で一番最後になる鼻水としてでしょう。
水溶性の鼻水から粘性の鼻水へ、粘性の鼻水から白濁の鼻水へ
白濁の鼻水から黄濁の鼻水へ、黄濁の鼻水から緑濁の鼻水(青っ洟)という順に悪化していきます。
治る時は逆の順序で治っていきます。
ここで言う「栄養状態が良い」は、「タンパク質が摂れている」事を意味します。
つまり、タンパク質が不足している、昔の裕福ではない子供達はこういう事になります。
タンパク質の不足 = 免疫抗体の原料の不足 → 弱い白血球
白血球は血液中にあります。
役割は体の中のお巡りさんですから、それが弱いと話になりません。
このような理由から、昔の子供は感染症に弱かったのです。
ちなみに、身体が感染症に弱くなる原因は、「タンパク質、脂質不足」の他に、「糖質の過剰摂取」があります。
糖質による、「高血糖」と、「糖化」は、免疫機能を弱らせるので、感染症に弱くなります。
糖質をたくさん食べて、それが余ると、体のタンパク質と反応して細胞が変性します。これを「糖化」というのですが、免疫細胞もタンパク質でできているので劣化します。
もし、「今の子供に比べて、昔の子供は元気だった」と、したり顔で言う人がいたら、その時代、鼻たらした子はいなかったかを聞いてみましょう。絶対普通にいたはずですから。
そういう子がいたということは、昔の子供は実は元気ではなかったのです。
「感染症にかかりやすい子供が多い時代でもあり、健康な子供が多い時代でもあった」・・・なんてチグハグな事はありえません。
感染症が蔓延する時点で、健康ではないのです。
スポンサーリンク
昭和の子供が現代の子供より強そうに見える理由とは
現代の子も不健康ですが、昔の人も、違う種類の不健康でした。
しかし、昔の子供は元気そうなイメージです。昔の人の話を聞いていると、野生的なたくましさがあります。
ただ、
どちらかと言うと、昔の人の元気は、「健康」ではなく「気合」というやつです。
「免疫力が弱い、気合の入った子供」が多かっただけです。
それを、さも「健康な人々で溢れていた」ように見せかけるのはどうなのでしょうか。
昔の子供達は常に外で遊んでいたが、今の子供達は部屋にこもりっきりで元気がない。それは食事が悪いから・・・等と言ったりするわけです。
これも酷い話です。
栄養と関係ありません。
今の子供は「不健康だから部屋にこもりっきり」、「ゲームがやりたいから部屋にこもりっきり」になっているわけではないと思います。
おそらく逆でしょう。
外で遊びたくても、遊べる場がどんどん縮小されていった結果、部屋しか遊ぶ所がなくなっただけだと思います。以下を読んでもらったら分かりますが、現代は公園で遊ぶのも難しいようです。
NAVER【何すりゃいいの?】最近、公園の『禁止事項』が厳しすぎる・・・
これらを禁止した大人達は、子供時代に、野球をして窓ガラスを割ったり、鳩を飼ったり、ウナギとったり、よその庭に生えてる柿をとったり・・・やりたい放題やっていたわけです。
で、大人になってルールを作りまくり「最近の子供は家にこもって、けしからん」等とのたまうわけです。
なので、「子供が外に行かないから元気がない」と言う話もまた、真に受けない方がいいでしょう。
以上、総合的に判断すると、現代の子供が特別不健康かというとそうでもなく、
過去の子供も不健康なので、わざわざ彼らがしていた食事を真似する必要はないと思います。
両方不健康、どっちもどっちです。
スポンサーリンク