- 投稿 2018/08/10
- 食事
健康の為に、メディアや医療従事者の情報を鵜呑みにして、せっせと野菜や果物を食べている人は多いです。
私は過去に何度も、これらのビタミンやミネラルが当てにならない事や、糖質が多い事を理由に、不足した栄養素はサプリメントで摂取する方が良いと主張してきました。
例えば、こちらです。
ウコンが原因と見られる肝臓の障害は、本当に鉄が問題なのか考えてみた
サプリメントを過剰摂取しても問題ないケースと、その結果について
私はこれらの記事で、「栄養はサプリメントからではなく、食品から摂取した方が良い」...という一般的な考えに対して、
「現代の食物は、昔と比べて栄養素が不足しているので、サプリを使わないと足りない」と説明しました。
「現代の食物は栄養素が不足している」という説は、医療、栄養、農業...と、様々なところで言われているので、あえて具体的な資料は提示していませんでした。
しかし、その詳細が知りたいとコメントを頂きました。
僕の投稿に対して詳細にご回答くださって、ありがとうございます。アリヤさんのご指摘に納得する箇所が多く、自分の考えの手抜かりを反省します。
最後に、一点だけ教えてほしいことがあります。
「自然の食物にミネラルやビタミンがわずかしかないのは、人間が環境を作り替えてしまったからです」に関することです。
今の食べ物が昔に比べて低栄養であることは、僕もどこかで読んで知っています。
ですが、どれくらいの変化があったのか具体的な数値はあるんでしょうか?ご存知でしたら、教えていただけると助かります。
具体的な根拠があった方が、いまだに「食品に含まれている栄養素」を過信している人もその危険性に気付いてくれるのではないか...とも思ったので、本記事でその根拠を紹介しておきます。
また「栄養はサプリからではなく食品から」...等と言う医療従事者や栄養士の方々にも、その言葉がどんな結果をもたらすのかよく考えていただきたいと思います。
一応言っておくと、私がこれらの職業についていたら恐ろしくて言えないですね。
その理由がこちらです。
『Yoshinori Yamamoto(山本義徳)氏 ツイッター』より引用※元は『ヒロちゃんファーム』から転載されたもの、さらにその元は『科学技術庁』です。
昭和26年・昭和57年・平成14年の食品に含まれている栄養の変化だそうです。
昔の人と同じようにビタミン・ミネラルを摂取しようとしたら、何倍も食べなければなりません。食費がかかってしょうがないです。
また、それだけの量を食べたら、当然そこに含まれている糖質も大量に摂取してしまいます。
ここまで地に落ちている食品を「栄養たっぷり」、「ヘルシー」...等と言って食べさせようとするわけです。
それを真に受けた消費者が「中身がスカスカな物」を「良い物である」と勘違いして買う...
ブラックボックスの「食品」だから許されているようなものですが、これが「車」とか「パソコン」とか「宝石」...といった他の物だったら詐欺ですね。
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野菜や果物の栄養が減っているという説に対する反対意見
何でもそうですが、ある事象の問題点を指摘すると、決まって「それは危険ではない」と反対意見を唱える人が現われます。
例えば、「糖質は身体にダメージを与えるから制限した方が良い」と指摘すると、「糖質は身体にとって必要だから摂取しなければいけない、糖質制限は危険だ」...等と主張する人が現われます。
また、「遺伝子組み換え食品」を食べて腫瘍だらけになったマウスの実験結果があると思えば、反対に「遺伝子組み換え食品は安全である」とする実験結果も存在します。
・・・このように、「危険だ」と注意勧告すると、それを火消しする者が現われるわけです。
で、「野菜や果物の栄養が減っている」という説も、ご多聞に漏れず反対意見が存在します。
「成分表を根拠に野菜の栄養が減っているという話は誤解だから、栄養補給はサプリメントに頼るのではなく、野菜を食べよう」...という意見を紹介します。
『kk-information 『<食と健康>「現代野菜の栄養価は低い」は本当か?』に対する私なりの考察。』より引用
<食と健康>「現代野菜の栄養価は低い」は本当か?
「昔の野菜と比べて現代の野菜の栄養価は低い」といううわさが根強く流通しています。
文部科学省発行「日本食品標準成分表」の古い版より新しい版の方が、同じ野菜でも栄養価分析値が低い、という情報が根拠になっています。
しかし成分表をよく読むと、どうも話が違うようです。管理栄養士の成田崇信さんのリポートです。【毎日新聞医療プレミア】
私がこのうわさを初めて聞いたのは20年以上も前でした。
「栄養価が低く、ただ野菜の形をしているだけなので食べても意味がない」という極端な話までありました。
栄養価が低くなった原因として、次の3点がセットで挙げられることが多いようです。
(1)化学肥料の使い過ぎで土地が痩せ、野菜がしっかり育たない
(2)味や見た目を重視し、栄養価の低い品種が多く栽培されるようになった
(3)旬を外れた栄養価の低い野菜が通年流通するようになった--。
そして、これらの説を裏付ける資料に「日本食品標準成分表」が使われているのです。
◇ニンジンの栄養価分析値を比べてみると
日本食品標準成分表は1950年に初版が発行され、これまでに7回改訂されています。最新版は2015年版(7訂)です。
50年の初版と2015年版で、ニンジンの栄養価を比べてみると、確かに数値が違います。
ニンジンに含まれる鉄分は初版が2mgで、最新版は0.2mg。
またビタミンAも1万3500I.U(International Unit)から720μg(マイクログラム)になっています。
数字は減っていますが、同時に単位も変わっています。
こうした数値の違いを読み解くカギは、最新版に書かれていました。
「食品成分表の策定に当たっては、初版から改訂までのそれぞれの時点で最適な分析方法を用いており、技術の進歩により分析方法に違いがある。このため食品名が同一でも、各版の成分値の比較は適当ではないことがある」。
ビタミンA減少という誤解については、栄養価を表す単位の変化が関係しています。
初版では、ビタミンAは国際単位=I.Uで表されています。
物質が体にもたらす効力でその量を表す国際単位です。初版から4訂まではこのI.U表示でした。
ところが5訂以降は、ビタミンAの主成分レチノール0.3μgを1単位とする「レチノール活性当量」表示に変わりました。
この単位の変遷を考慮せず、単純に数字を比べても意味はありません。
「ニンジンのビタミンAは、1万3500から720に激減した」と比べるのは間違いなのです。
一般の人にとってなじみのない単位に変わったため、このような誤解が生まれたのでしょう。
分析技術の向上だけでなく、単位の変化や体内での利用効率の見直しなどで、数値は変化してきたのです。
◇「おいしく食べること」は栄養価と同じぐらい大切
成分表のデータだけで、野菜の栄養価を評価できないことがおわかりいただけたと思います。それぞれの説についても、私の専門である栄養学の側面から見てみましょう。
<化学肥料の使い過ぎ説>=有機栽培した野菜の方が栄養価が高いという印象を持ちがちですが、過去50年間に発表された論文を系統的にレビューした結果、有機農法と通常栽培の野菜の栄養価に明確な差はなかった、という報告があります。
<味や見た目を重視し、栄養成分を犠牲にした品種が増えている説>=栄養価の高い在来種のホウレンソウが出回らなくなり、西洋種やえぐみの少ない品種が増えたため、栄養価が下がったケースがあるかもしれませんが、すべての野菜には当てはまりません。
例えば西洋カボチャの多くは、ビタミンAやビタミンCが日本の在来カボチャよりも豊富です。
また、甘みが強くて味が濃厚なフルーツトマトやミニトマトも、大玉の桃太郎トマトより栄養価が高いと評価されています。栄養価が向上した野菜もたくさんあります。
<旬の時期を外れた栄養不足の野菜が出回るようになった説>=望ましい時期に育った野菜の栄養価はもちろん高いのですが、栄養価が低くても季節を問わず好きな野菜を食べることができる幸せもあります。栄養摂取の側面も大切ですが、食べる喜びも栄養の一つ、と私は考えています。
成分表を根拠に野菜の栄養価が下がっているという話は、単なる誤解でした。
ですから、栄養補給をサプリメントに頼らず、おいしい野菜をどんどん食べてほしいと思います。
参照元:yahoo!ニュース
この記事では、作物の栄養が減った説である「化学肥料の使い過ぎ」「栄養を犠牲にした品種が増えている」「旬の時期を外れた栄養不足の野菜が出回るようになった」...に対して反論されています。
しかし、やはり1番気になるのは、成分表のデータだけでは野菜の栄養価を評価できないという、「数値が減っている事」に対する反論ではないでしょうか。
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人参のビタミンAの数値が減ったのは、単位がI.Uからμgに変わったからなのか
数値が減っているのは本当にただの勘違いなのか、「人参のビタミンA」を例に検証します。
1番古いものと、1番新しいものです。
- 初版(1950年/昭和25年)・・・13500I.U(International Unit)
- 最新版(2015年/平成27年)・・・720μg(マイクログラム)
数字が減ったのは、単位が変わったから...
そう言われたら、「減ったのは勘違いで、実は減っていなかったんだ」...と思ってしまいます。
しかし、私は納得できなかったので考えました。ポイントは以下の部分です。
- 初版(昭和25年)から4訂まではI.U表示
- 5訂以降は「レチノール活性当量」表示
Wikipediaの日本食品標準成分表の改訂の歴史を調べたところ、4訂は昭和57年からでした。
平成12年が5訂ですから、4訂が使われていた平成11年までがIU表示でしょう。
で、もう一度最初の表の「人参のビタミンA」を見てみます。
ちなみに、この表は「科学技術庁 食品成分分析調査 mg/100g」とあります。
「科学技術庁」とは、1956年~2001年までに存在した日本の中央省庁の1つで、現在は廃止されて業務は「文部科学省」に継承されました。だからこの表は文部科学省発行の「日本食品標準成分表」とイコールです。
昭和26年と、昭和57年を見て下さい。
昭和26年もIU表示、昭和57年もIU表示...ということになりますが、やはり、13500から4100に減っています。
昭和26年(13500I.U )→ 昭和57年(4100I.U)
次は平成14年を見て下さい。
この表にある平成14年は、5訂なのでIU表示ではありません。なので、人参のビタミンAの単位はμgです。これが1400μgになります。
そして、この表には書かれていませんが、最新版の2015年版(7訂)の人参が720μgなら、同じ単位でありながら、やはり減っていることになりませんか。
平成14年(1400μg)→ 平成27年(720μg)
「初版」と「最新版」を比較すれば、確かに単位は変わっています。それは間違いではないです。
しかし、同じ単位が使われていた年代同士を比較しても数値が減っているのも事実です。
従って、「単位が変わったから減った」では説明がつかないので、「勘違い」で片づけるべきではありません。
ちなみに、脂溶性のビタミンは「I.U」が使われていますが、それ以外のビタミンやミネラルは「mg」が普通に使われています。
鉄は「mg」ですから、単位は変わっていないはずです。
で、人参の鉄分の量はというと、
2 (昭和26年)
↓
0.8(昭和57年)
↓
0.2(平成14年)
...減っています。
こちらも単位の変化による勘違い等ではありません。
勘違いだったから、栄養はサプリメントではなく食材から...というのは無理があります。
次は、「化学肥料の使い過ぎ」「栄養を犠牲にした品種が増えている」「旬の時期を外れた栄養不足の野菜が出回るようになった」...といった話が本当なのか別の視点から考えてみます。
ビタミンやミネラルが不足した野菜や果物は味や調理にも影響していたへ続く
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