- 投稿 2018/06/12
- 食事
私は3年以上糖質制限をしていますが、「糖質の吸収を抑える為の薬やサプリメント」は一度も使った事がありません。
サプリメントはいくつも飲んでいますが、目的が違います。
私は、「何らかの健康法によって解毒をしているからといって、完全にチャラにはできない、不摂生を止めないのは良くない」と何度も主張しているのですが、
読者さんから、糖分の摂取が悪いのではなく、摂取後に小腸から吸収されなければ大丈夫なのではないか?、そして、その働きをする薬についてどう思うか...という質問をいただきました。
糖質を食べながら、糖質の吸収を抑える薬やサプリメントを飲む
・・・これは我慢が必要ないので、ウケはいいと思います。
そういう商品を紹介する人はメリットばかり話します。
ですが、構造がマッチポンプなので疑ってかかるべきです。
みんな都合の悪い事は言わないので、この楽な方法の問題点について調べた事をお話します。
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質問
読者さんから頂いた質問がこちらです。
はじめまして。
貴サイトの中でもこの記事のコメント欄なら意見を聞けるのではないかと思いコメントしました。
先に私の状況を説明すると、健康上の問題は何も抱えておらず、アンチエイジングのための情報を探して実践してく中で、抗酸化と抗糖化に目をつけ、このサイトを見つけました。
全記事読ませていただいて思ったのが、
「糖分の摂取が悪いのではなく、摂取後に小腸から吸収されなければ大丈夫なのではないか?」という考えです。
ブドウ糖であれば舌下吸収されてしまいますが、アカルボースに代表される、
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/アカルボース
グルコシダーゼ阻害薬について、コメントか記事でアリヤ様の意見を伺いたく思います。
ワガママかもしれませんが、糖化は嫌ですがラーメンもイタリアンも諦めたくないのです。
まず、質問内容を要約します。
- 現時点で健康上の問題はない
- 老化を防ぐ方法を探している
- 糖質が悪いのではなく、小腸から吸収されなければよいのだと考えている
- 「糖の吸収を抑える薬」についてどう思うか
- 糖化は嫌だが糖質は止めたくない
健康に問題がなく、アンチエイジングにも関心があるようなので、そこまでは良いと思います。
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吸収率が下がる事は良い事なのか
>「糖分の摂取が悪いのではなく、摂取後に小腸から吸収されなければ大丈夫なのではないか?」
糖分の摂取は悪いです。
・・・が、少量であれば比較的安全にさばききれます。私でも1日10gは摂取しています。
体が元から「摂取後に小腸から吸収されるシステム」になっている以上、体の中に入った糖質はその流れに沿って進むのが健全...という事になります。
そのルートを悪者にして、強引に変えてしまう事が、体にとって本当にいい事なのか考えなくてはいけません。
体に有害な糖質の吸収を阻害する...と言えば聞こえはいいですが、本来のシステムを阻害することによって目的を達成するわけですから、簡単に考えるべきではないと思います。
以下が、紹介していただいた「アカルボース」の基本的な情報です。
アカルボース(Acarbose)は、2型糖尿病を治療するための経口血糖降下薬で、四糖の一つである。
前糖尿病の治療薬として承認している国もある。
バイエル社によって、1973年放線菌Actinoplanes属のアミノ糖産生菌の培養液中から分離され、1990年ドイツにおいて医薬品として承認された。
ヨーロッパではGlucobay、日本ではグルコバイ、北アメリカではPrecose、カナダではPrandaseというブランド名で販売されている。
多糖からグルコースを切りだすα-グルコシダーゼの阻害剤として働く。
作用機序
アカルボースは、炭水化物の消化に必要な消化酵素、特に小腸から分泌されるα-グルコシダーゼや膵臓から分泌されるα-アミラーゼを阻害する。
α-アミラーゼは小腸内腔でデンプンをオリゴ糖にまで分解し、さらに小腸の刷子縁細胞に結合するα-グルコシダーゼがオリゴ糖、三糖、二糖をグルコース等の単糖に分解する。
これらの機構を阻害すると、炭水化物の消化率が落ち、グルコースの体内への吸収量が減る。
糖尿病患者に対して、この薬物治療法は短期間で血糖を下げることができ、さらに長期的にもグリコヘモグロビン値(HbA1c)を低下させる効果がある。
投薬
アカルボースは、炭水化物の消化を阻害するものであるため、食事の最初に摂取する必要がある。
食事に含まれる炭水化物の量によるが、大人の場合、1日あたり、50mgあるいは100mgを3度摂取するのが一般的である。
副作用
アカルボースは、炭水化物のグルコースへの分解を阻害するため、炭水化物がそのまま小腸に残留する。結腸では細菌が炭水化物を分解するため、屁(患者の78%)や下痢(14%)等の副作用がある。
これらの副作用は投薬の量に比例するため、一般的に、始めは少ない量で薬を服用し始め、希望する効果が表れるまで徐々に量を増やすようにという指導が行われる。
アカルボースを使うことによって逆に低血糖に苦むようになれば、フルーツジュースやグルコースタブレットのような単糖を含むものを食べればよい。
アカルボースは多糖の消化を阻害するため、アカルボースを服用している患者がデンプン質のものを食べても、低血糖の改善にはつながらない。
アカルボースの服用が心血管事故を抑制する可能性があり、この原因として高血糖の抑制に加えて、呼気中に水素ガスの増加が認められ、この増加した水素の抗酸化作用で心血管事故を抑制するメカニズムが想定されている。
グルコースの体内への吸収率が下がる...との事なので、良さそうには見えます。
では、本当にこれを使うことが良い事なのか考えてみます。
私は、事情があってどうしても糖質が制限できない人、例えば、ベジタリアンの方、付き合いが多い方、お供え物をする方...等に対して、糖質の害を最小限に抑える方法を紹介しています。
ベジタリアンや糖質を止められない人が、健康の為に摂っておきたい栄養素とは
この方法では、プロテインやビタミン等サプリメントを使います。
何かを飲んで糖質の害を最小限に食い止める...ので、一見同じように見えますが、薬を使う方法とは根本的に異なります。その違いを簡単に言うとこうです。
- ビタミン・・・代謝をより活発にする(体の機能を阻害しない)
- 薬・・・・・・吸収させない(体の機能を阻害する)
前者は健康的ですが、後者は体に負担をかけています。
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栄養療法と薬の違い
栄養療法と薬の違いが分かりやすく書かれた記事を紹介します。
『藤川徳美医師 facebook 2017年12月18日』より引用
代謝が良いと生命力が向上して寿命が延長するが、薬は・・・
代謝が良い、代謝が悪い、と言う言葉がある。
エネルギー代謝から見れば、代謝が良いとは好気性解糖でATPが多く産生され高体温(36.5~37℃)、代謝が悪いとは嫌気性解糖でATPが少なく低体温(35℃)。
もっと端的に言うと、代謝が良いとは「代謝酵素反応がスムーズに行われる」ということに他ならない。
主酵素はタンパク質、補酵素はビタミン(もしくは補因子としてのミネラル)。
つまり、タンパク不足、ビタミン不足、ミネラル不足があれば代謝酵素反応が滞って代謝が悪くなる。
(中略)
一方、ほとんどの薬は代謝酵素阻害作用を持つ。
薬とは、代謝酵素を阻害して、体内の特定の物質を増やしたり減らしたりするもの。
代謝酵素阻害作用は、拮抗薬、阻害剤(インヒビター)、ブロッカー、アンタゴニストなどと表現される。
胃潰瘍治療薬:
PPI(プロトンポンプインヒビター)、
H2ブロッカー、
降圧薬:
βブロッカー、
Ca拮抗剤、
ACE阻害薬、
抗精神病薬:
SDA(セロトニンドーパミン・アンタゴニスト)、
抗うつ薬:
SSRI(セロトニン再取り込み阻害薬)。
つまり、薬は症状を軽減する作用はあるが、寿命短縮作用があると言うことになる。
すべての薬を否定するわけではなく必要な人もおられるのは事実だが、できるだけ少量で済むことが望ましいことは間違いない、
『藤川徳美医師 facebook 2017年7月17日』より引用
(超基礎編-19)、ほとんどの医者はメガドーズのビタミンが薬として作用することを知らない、そして日本でもビタミンへの攻撃が行われている
薬の多くは自然界には存在しない合成物質であり、代謝阻害薬である。
つまり、特殊な合成物質のため特許で守られている。
代謝阻害作用により、血圧を下げたり、血糖値を下げたりする作用がある。
代謝阻害薬なので、治療域と中毒域の幅が極めて狭いのが特徴である。
例えば、抗精神病薬ジプレキサでは2.5mg~20mg、抗うつ薬ジェイゾロフトでは25mg~100mg。
薬をメガドーズで投与すれば体に害があることは誰でも知っている。
アメリカ政府FDAが規定したRDA(推奨食事摂取量)でのビタミン量は馬鹿げたほど低い値が設定されている。
さらに、Tolerable(or Safe) Upper Limit(安全上限量)というものまで記されている。
これは、RDAを設定した医者がビタミンを薬と同じ感覚で理解し、治療域、中毒域という枠にはめているということになる。
RDA,Tolerable(or Safe) Upper Limitには科学的根拠はない。
しかし実際は、B、Cの水溶性ビタミンは高用量投与しても過剰症はない。
ビタミンは低用量ならビタミンとして働き、メガドーズのビタミンは薬として働く。
しかし、医学部ではこのことは全く教えない。逆に、権威筋からは、”メガドーズのビタミンが効くなんてインチキだ”、”メガドーズのビタミンは危ない”などと言われている。
そういう理由で、ほとんどの医者はメガドーズのビタミンが薬として作用することを知らない。
『精神科医こてつ名誉院長のブログ 2年前は新薬と発がん性についての話題』より引用
2年前の記事
99%の新薬はミトコンドリア阻害薬であり発癌作用がある
特許の取れる新薬=自然界にない物質=生体内では異物として認識される
大多数の薬は代謝阻害作用を持つ
代謝阻害→ミトコンドリアの好気性解糖(クエン酸回路+電子伝達系)を抑制→嫌気性解糖が亢進→乳酸が蓄積して細胞内が酸性化→慢性疾患や癌を生じやすくなる
生体内異物は小胞体でのチトクロームP450で異化される→大量の活性酸素を生じる→慢性疾患や癌を生じやすくなる
ヒトでは発癌物質に暴露後、可視的な癌を生じるまで10-15年要する
新薬の臨床治験、長期試験は最長1年→発癌性の確認を行うのは不可能
古くからある薬で抗癌作用が確認されているのはメトホルミンのみ
このように、薬というのは、生体にとって異物であり、発癌作用の心配があります。
しかし、「糖質を食べながら、糖質の吸収を抑える薬を使う」場合、糖質を食べ続ける限り飲み続ける事になります。
もし、その薬によってエネルギー代謝が「嫌気性解糖 けんきせいかいとう」に傾けば、癌に限らず慢性疾患のリスクが上がります。
糖化を防ぐ為に行なった策によって、別の病気になったら意味がありません。
「糖化」だけ防ぎたいのではなく、健康になる事が目的なのですから。
ここまで、薬が代謝を阻害する事についてみてきました。
この事を頭に入れたうえで、次は「αグルコシダーゼ阻害薬」に焦点を当てます。
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αグルコシダーゼ阻害薬の効果と副作用
「αグルコシダーゼ阻害薬」については、カルピンチョ医師がいくつか記事にされていますので、その一部を紹介します。
『低糖質ダイエットは危険なのか?中年おやじドクターの実践検証結果報告 糖尿病の治療薬を見れば低糖質食が優れた糖尿病食とわかります。』より引用
2009年から日本でも認められた境界型糖尿病の進行予防薬に、実は糖質の吸収を抑制する薬剤があります。(ずっと以前から糖尿病治療薬としては使われていたものです。)
αグルコシダーゼ阻害剤というものです。
低糖質食とか糖質制限食のことを激しく批判する糖尿病専門医の方々はいまだに数多くいらっしゃいますが、そういう先生方に訊きたいです。
糖尿病治療薬の一つであるαグルコシダーゼ阻害剤の作用はどんなものかもう一度思い出してみてください。
あるいは、豆鼓やグァバ茶などの血糖を下げる効果があるとされる「トクホ」の食品の効果も見てみてください。
ここでαグルコシダーゼ阻害薬についてWikipediaの説明を引用しましょう。
*****
アルファ・グルコシダーゼ阻害薬 (αGI薬) は食物性糖質の1000倍も親和性の強い糖質類似物質(アナログ)である。
糖質が吸収されるためには澱粉のような多糖類から消化酵素の作用を得て二糖類(麦芽糖や蔗糖)、単糖類(ブドウ糖や果糖)に分解される必要がある。
その酵素、α-グルコシダーゼを阻害し、消化吸収を緩徐にすることで、血糖の上昇をおさえるので、食後過血糖改善薬ともいわれる。
*****
このように、この薬は食事から糖質が吸収されるのを阻害する薬です。
そしてこのαグルコシダーゼ阻害剤は糖尿病の治療薬、あるいは境界型糖尿病の予防薬として認められて(ベイスン)いますよね。
「低糖質食否定派」の先生方も使ったことがあるはずです。
これらの薬剤やトクホ食品の作用はでんぷんを分解して単糖化するαグルコシダーゼの機能を阻害して、その結果、血糖値の上昇を遅らせるものです。
そうすることが糖尿病の治療薬として、あるいは境界型糖尿病の進行予防薬として認められているわけです。
豆鼓やグァバ茶をずっと摂取し続けることで血糖を下げる効果があると認められていることについても、薬理作用的には糖質の吸収を遅らせるということが重要だとわかっています。
以下は副作用について詳しく書かれています。
『低糖質ダイエットは危険なのか?中年おやじドクターの実践検証結果報告 αグルコシダーゼ阻害薬の副作用を回避するには?』より引用
前の記事で糖尿病の治療薬であり、かつ、境界型糖尿病の進行防止薬でもあるαグルコシダーゼ阻害薬(認められているのはその作用が最も強力なベイスン)のことについて触れました。
この薬、糖尿病の治療薬でしょ?
と、書いたのですが、それは間違いないのですが、こういう反論もあります。
「αグルコシダーゼ阻害薬αグルコシダーゼ阻害薬は糖尿病治療薬として第一選択ではない、他のが効かなければ使う最後の補助的手段だ。そもそもあの薬は腹部膨満感や肝機能障害などの副作用が重要な問題であり、私はできるだけ使うべきではないと思っている。」
そうですか、わかりました。
そうおっしゃるのであれば副作用を回避する手段をお教えしましょう。
αグルコシダーゼ阻害薬を服用して腹部膨満感が生じるのはなぜだかお分かりでしょうか?
αグルコシダーゼの作用が阻害されて、小腸ででんぷんが単糖類までに分解されずに吸収されなかった結果、大腸に下りて行って、そこで腸内細菌による発行が進んで大量のガスが発生することが原因です。
それならば、そのでんぷんを減らせばその腹部膨満感は解消します。
そう、低糖質食を食べればいいだけのことです。
肝機能障害はどうするのだと?
αグルコシダーゼ阻害薬による肝機能障害の原因は便中に排出されるべき薬が腸に長時間滞在して吸収されることが問題です。
一番良い方法は、腸管粘膜の膜酵素であるαグルコシダーゼに薬剤が結合することなくスムーズに流れていくこと。
それなら、αグルコシダーゼ阻害薬を飲まないでも糖質吸収量が減るように、低糖質食にすればいいのです。
高糖質食を食べさせておいて、糖質吸収を妨げるαグルコシダーゼ阻害薬を飲むこと自体がマッチポンプでおかしいのです。
αグルコシダーゼ阻害薬をの副作用を防ぐベストの選択は、低糖質食にすることです。
単純明快です。
答えはでたようなものですね。
それでは、ここまでの話をまとめます。
- 薬は元々生体にとって異物で、代謝酵素阻害作用がある
- 「αグルコシダーゼ阻害薬」は、酵素である「α-グルコシダーゼ」を阻害する
- 「αグルコシダーゼ阻害薬」の副作用は、「腹部膨満感」や「肝機能障害」
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薬を飲むメリット
代謝を阻害して、副作用があったとしても、それでも糖質の吸収が防げるなら良い
...と思う方もいるかもしれません。
ですが、最初に引用した「作用機序」のところを見て下さい。
>これらの機構を阻害すると、炭水化物の消化率が落ち、グルコースの体内への吸収量が減る。
どのくらい「消化率」が落ち、「吸収量」が減るのか具体性がありません。
落ちる...ということは、「完全に消化されなくなる」わけではなく、
減る...という事は、「完全に吸収されなくなる」わけではないという事です。
「これを飲んでいるから安心だ」と糖質を沢山食べて薬を飲んでも、いくらかは消化吸収されるわけです。
摂取量が多ければ、当然吸収される量も増えるでしょう。
また、「糖の吸収を穏やかにする」というのも曲者です。借金を分割で払っても、借金自体が減るわけではありません。糖質もそれと同じです。
また、薬は飲み続けていると効かなくなる事もあります。
健康な人が、発癌リスクや副作用のデメリットを背負ってまで飲むメリットがあるのでしょうか。
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糖質との付き合い方
>糖化は嫌ですがラーメンもイタリアンも諦めたくないのです。
化学反応なのでこれはもう諦めて下さい。条件が揃ったら反応は起こります。
薬を飲んで糖化を防げたとしても、その薬によって別の疾患になる可能性が高いです。
そして薬の種類が変わっても、代謝酵素阻害作用があれば、やはり、体には悪いです。
「ラーメン、イタリアン」のところを「麻薬」に置き換えて考えてみると良いかもしれません。
糖質制限をしていても糖質を一生食べられないわけではありません、危険性を知った上で
一生食べないのか、
1年に1回は食べるのか、
1ヶ月に1回は食べるのか、
人との付き合いの時だけ食べるのか、
・・・制限のパターンを決めれば、たまには食べる事ができます。私もそうしています。
旅行中は糖質制限を一時的に止めて、サプリメントだけにしました
サプリメントも薬も適切に使えば効果があります。
しかし、適当に使ったり、それを使っているからと安心して、問題を改善しなければ、体調を崩します。
そして、一番良くないのは、危険性があるにも関わらず、それを過小評価する事です。
「これを飲めば大丈夫」とか、「悪いのは糖質じゃない」...とダメージを無かった事のように錯覚すると、ダメージに気が付かなくなります。
体に悪い物を食べる時は、それが悪いものだとしっかり認識した上で、覚悟を持って摂取する事が重要です。
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