- 投稿 2016/11/03
- 見解
気付いていない方は多いのですが、糖質の過剰摂取は、糖尿病、癌、膠原病、動脈硬化、高血圧...等、あらゆる慢性疾患の原因になります。
糖質制限は「ダイエット効果」ばかり強調されますが、一番のメリットは、これらの疾患を予防できる事です。
この事を多くの方に知ってもらいたいと思って、私は常に「糖質の害」と、「糖質を制限する事のメリット」を伝えているわけですが、
「糖質は必要だ」とか、「糖質には害はない」と言われる事が多いです。
でも、そう思われるのも無理はありません。
世の中には糖質ばかりを食べているのに元気なお年寄りがいるからです。
そして、糖質の害を訴えると、必ずこの部分を指摘してくる人がいます。糖質が悪いなら、これは一体どういう事なのか・・・と。
私も長寿の人に密着したテレビ番組を見た事があります。
長生きの秘訣は何かを追っていくと、食生活は様々でした。肉や卵を食べられる人もいましたが、和食中心の人も多かったです。
また、「昔ながらの和食」で健康を保っている人が書いた本も、これまで何冊も出版されてきました。
糖質制限を始める前の私は、そのような本を参考にして、「バランスの良い」、「野菜多め」のスタイルを真似していましたが、一向に健康になりませんでした。
私はそのような食事を止めて、糖質制限に切り替えたことで健康になったわけですが、
「私の体験」と、「昔ながらの和食のような糖質の多い食事で健康になっている人の体験」は、理論上かみ合いませんね。
なんとなく「糖質は悪いかもしれない・・・」と思っている人も、この矛盾点が引っ掛かって「糖質の害」を信じ切れないのではないでしょうか。
糖質は本当に毒なのか?
毒だとしたら、何故、食べても平気な人がいるのか?
・・・について考えてみたいと思います。
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糖質をたくさん食べても健康で長生きな人の謎
和食の醍醐味である穀物や野菜には、たくさんの糖質が含まれています。
醤油、みりん、砂糖、酒、酢・・・と、調味料にもこれまたたくさんの糖質が含まれています。
日本の料理はご飯に合う「甘辛い」ものが多いです。
このように、和食中心の食生活は、糖質過多ですから、糖質制限の理屈で考えると「体を傷つける食事」になります。
しかし、糖質をしっかり食べているにも関わらず、元気で長生きをする人がいるのは確かです。その様子を見て、
「糖質をたくさん食べても病気にならない人がいるから、糖質は大したダメージではない。だから、糖質を食べても問題はないんだ」
・・・と、解釈する人が出てきます。
では本当に、食べても平気な人がいるから、糖質は毒ではないのでしょうか・・・
糖質制限否定派も、肯定派も疑問に思うこの部分を、素人の私の現時点での考えを書いておきます。
まず、化学的な理由ですが、ハッキリ言います。
私にも分かりません。
糖質を食べて健康に生きられる人の体の中でどんな化学反応が起きているのかは分かりません。
糖質の処理が出来るように体の構造が変化した人なのではないか、
という説もありますが、それを確認する為には、そういう人の体を徹底的に調べてみないと正確にはわかりませんし、私は医者でも研究者でもないので調べる事はできません。
でも、私的には、糖質の処理が得意な構造に人体が変化したわけではないと思っています。
何故「変化はしない」と考えているのかというと、
「糖質を食べ続けていたら、体が糖質に適した体になる」というのは、「生物が進化する」という前提があって成り立つ展開だからです。
「進化論」を信じている人はその話に乗っかるでしょうが、私は「進化論」は仮説に過ぎないと思っています。
信憑性について疑っていますので、今のところ「進化」をベースに理論を展開しません。従って、「糖質の処理が得意な構造に変化(進化)することはない」と考えています。
もし、生き物が本当に「状況に応じて進化する」のであれば、地球上のほとんどの人間は、もう長い間、糖質を食べているわけですから、もっと大勢の人に「糖質に適した体になる」現象が起こらないと不自然です。
糖質に対応できる体に変化できるなら、「糖質が原因の病気」はこれほど蔓延してないでしょう。
「糖質が原因の慢性疾患が多い」という事は、「糖質に適応するように進化していないと見受けられる人」の方が圧倒的に多いという事です。
多くの人は何も変化していないわけですから、「糖質を食べても平気な体になった」という進化論的な発想はできません。
糖質を食べても大丈夫な一部の人は、体の構造が変化したのではなく、別の理由があると考えています。
もし、「糖質を食べても食べても、健康で長生きな人」がいたとしたら、それは、糖質が安全だからでもなく、体の構造が進化したからでもなく、ただの特異体質だと思います。
つまり、「ダメージに強い」特殊な例です。
単純に、私は「その人の体が、たまたま丈夫だった」という風にみています。
生き物には「丈夫な個体」と、「弱い個体」がいます。
たくさんの個体を扱うとわかるのですが、数多くの生き物を、同じ環境で飼育すると、「全く同じ種類でも個体差がある」事に気付きます。
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生物は、同じ種類でも均一ではない
随分前に、メダカとグッピーを3~4年飼っていました。
メダカは屋外のカメにほぼ放置・・・でも元気でした。コケがついても気にならないので、カメの中を水槽のようにゴシゴシ洗った事はありません。時々水を替えるくらいです。
一方、グッピーは熱帯魚ですので、屋内の水槽にヒーターを入れて飼っていました。
カメと違って、水槽は水質の悪化が目立ちます。そこですぐ対処すればいいのですが、後回しにしてました。
すると、病気になる個体が多くて、とくに「松かさ病」という鱗が逆立つ病気はよくなっていました。
でも、同じ環境でも、病気になる個体と、ならない個体がいます。
同じ親から生まれて、同じ餌を食べて、同じ汚い水の中です。
同じ条件なのに結果に差があるわけです。
この差を説明しようとすると、「水の質(害)」や、「体の質(構造)」は関係ないと思いませんか。私には生命力の違いしか思いつきません。
これは体のシステムの違いではなく、単純な体の強弱の違いです。
害がないのではなく丈夫なだけ
基本的に汚い水は、どの個体にとっても良くありません。
普通は、ダメージを受けて弱っていきます。
しかし、そんな環境でも耐えられる個体がいるのは事実です。
でも、だからといって「汚い水は害ではない」事にはなりません。
例えば、ブラック企業の過酷な環境に耐えて働ける労働者がいたとしても、それは、「耐えられる人がいるんだから、ブラック企業は問題ないだろ」ということにはなりませんよね。
「悪い環境に耐えられる固体が一定数いること」と、「その環境は害があるのかどうか」は、全く別の問題なのです。
「水」や「ブラック企業」を、「糖質」に置き換えて考えてみます。
糖質は人間の体には合わないので、摂取すればするほど、普通はダメージを受けて弱っていきます。しかし、それでも耐えられる人がいるのは事実です。
でも、だからといって「糖質は害ではない」事にはなりません。
病気になる人とならない人
糖質は人の体にダメージを与える物質ですが、それに「耐えられる人」もいます。
しかし、「耐えられる人」がいるからといって、そのダメージはダメージではない、問題のない物質になる・・・かというとそれは違う。
この↑「糖質」のところを、「酒」や「タバコ」など、他の害になりそうなものに置き換えて考えるとわかりやすいと思います。
例えば、同じ年齢で、同じ性別で、同じ戦場に出向いても、PTSDになる人とならない人がいます。
wikipediaより引用
心的外傷後ストレス障害(しんてきがいしょうごストレスしょうがい、Post Traumatic Stress Disorder、PTSD)は、命の安全が脅かされるような出来事、戦争、天災、事故、犯罪、虐待などによって強い精神的衝撃を受けることが原因で、著しい苦痛や、生活機能の障害をもたらしているストレス障害である
この障害になる兵士が増えていると、テレビで放送しているのを何度か見た事があります。
でも、私は年配者から、戦時中の話を聞く機会が多かったのですが、このPTSDになったという話は、身近では一度も聞いた事がありません。
戦争中の事を聞いても、わりと普通の昔話のように語ってくれます。
最初は、「最近の若者は弱くて、昔の人は根性がすわっていたからPTSDにならなかったのだろう」と思っていました。でも、調べてみると、昔の人でもPTSDになっている人はいるみたいです。
この病気も、時代は関係なく、なる人とならない人がいるわけです。
ここで、さっきの話に当てはめると、同じ状況でもPTSDにならない人がいるんだから、PTSDなんて障害は存在しない・・・という理屈にはなりません。
このケースでも、「害」は確かに存在します。
「ダメージを受けにくい個体」がいるからといって、その害が無害ではないはずです。
また、その個体が「人と違った進化」をしているようにもみえません。
問題点を履き違えない
汚い水、ブラック企業、糖質、PTSD・・・は、ダメージを生じます。
それでも耐えられる人がいるのは、単純に害の攻撃力より、防御力が勝っていただけの話ではないかと思うのです。
同じ環境でも、病気になる人とならない人がいるのはその為でしょう。
もう一度言いますが、「丈夫か、丈夫でないか」の問題であって、「ダメージの種類が悪いとか良いの問題」ではありません。
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単純な理屈
「症状」や「毒性」といった化学的な事のみに気を取られると、「個体の強弱」という単純な事が見えなくなります。
生命力 < 害
生命力 > 害
前者はダメージが表れやすいけど、後者はたくましく生き延びる・・・
単純に「生命力の値が勝る」か、「ダメージの値が勝る」かです。
髪の毛も、
抜け毛が100本でも、新しい髪が150本生えてくれば、ハゲません。
抜け毛がたった10本でも、新しい髪が5本しか生えてこないのなら、いずれハゲます。
お金も、
毎月の出費が50万でも、給料が100万なら黒字です。
毎月の出費がたった10万でも、給料が5万なら赤字です。
このように、「ダメージ」と「回復力」を天秤にかけて、どちらが勝っているかです。
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体力のある人の真似をするという事
丈夫な人は防御力だけでなく、回復力も違うので、ダメージを受けてもヘッチャラです。その様子を見て、その回復力を持たない人が「真似をしてみよう」と考えるのは軽率です。
分かりやすいので、お金に置き換えて話てみます。
年収1億円の人にとっての「借金1000万」は、ダメージは少ないです。
平均的な収入の人にとっては、「借金1000万」は、かなりのダメージです。
例えば、年収1億の人が「1000万ぐらいすぐに返せますよ」と言っているのを聞いて、「自分でもすぐに返せる」と真に受ける普通の人はいないでしょう。
すぐに返せるというのは、「1000万に耐えられる資金力がある」という前提があっての話だからです。従って、資金力のない万人の参考にはなりません。平均的な収入の人が、金持ちのように浪費をしたら破産します。
健康も同じです。普通の体の人が、丈夫な人の真似をしたら体を壊します。
前も言いましたが、人間は「動物食性動物」です。消化器官もそのようになっています。
(追記)食性と体の構造については以下の記事を参考にして下さい。
「人間が肉食か草食かは、歯を見れば分かる」という説は正しいのか
遺伝子の99%が同じでも、人間とチンパンジーの消化器官の構造は違う
その構造に背けば、いきなりは壊れなくても、なんらかの不具合が生じてきます。「体が弱い人」は症状が早く表れますが、「丈夫な人」はかなり耐えられるでしょう。
そこで、丈夫な人が「私はこの食事でも健康だから、植物性食品だけを食べる生活をしても問題がありません」・・・と言っても、それは万人の参考にはなりません。これもやはり、「元々生命力が強い」という前提があって実現出来る事だからです。
(追記)人間は動物食性動物なので「植物性の食品」は合いません。しかし世の中には、青汁一杯で生きている人、ベジタリアンで生きている人もいます。しかし、人間の体の構造に合わないので、真似をすると以下のようなリスクもあります。
ローフーディストやベジタリアンの真実。肉を避け野菜や果物を多く食べる人に見られる肌の特徴と、健康上の問題
人は「他人の体の感覚」は分かりません。
体が丈夫な人は、体が弱い人の感覚は分かりませんし、体が弱い人は、体が丈夫な人の感覚は分かりません。
丈夫な人は、糖質は何の問題もない(と感じている)ので、「誰でも出来る事だ」と思って、「糖質を摂りながら健康になる方法」を勧めているのかもしれませんが、
「糖質を食べながら元気で長生きになる」は、世界中で糖質過多による生活習慣病が蔓延している事からみても、万人には向いていません。この食事で健康を維持するのは、体の構造に背いている為、ハードルが高いのです。
一方、「糖質を制限して脂質タンパク質中心」は、基本的に人間本来の食性に合っているので、(やり方に注意すれば)ほとんどの人は誰でも健康になれます。
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例外の存在について
人間の食性を無視した、「糖質たっぷりのメニューを食べながらの健康維持」は、ハードルが高いです。しかし、それで健康を維持できている人が存在しているので、「特殊な人の為の、特殊な方法」が存在したって、それはそれでいいでしょう。
しかし、そのやり方を「それを真似ることのできない万人」に、簡単な事のように薦めるべきではないと思います。
「少数や例外を無視しろ」と言っているわけではありません。しかし、数少ない例外に捕らわれる事で、本質が見えなくなっては意味がありません。
健康になる方法を、「真似が難しい特異体質の(丈夫な)人達」を基準に開発したら、脱落者が多いでしょう。「一部の人しかできないような、再現性の低い解決策」よりも、「誰でも再現できるような方法」の方が使えるわけです。
特異体質や生命力の強い人の真似をする時は、真似出来る事か、そうじゃないかをよく考えて挑戦した方がよいです。
そして、丈夫であれば糖質を控える必要がないか・・・というと、そうでもありません。ハッキリ言って、糖質という害を制限したらもっと健康になれます。
ドラゴンボールでは体に付けている重りを外したら戦闘力がアップしますよね。あれと同じです。
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実は健康そうに見えるだけで劣化している可能性も...
これまで「丈夫な人」について述べてきましたが、ここでは、「その人が本当に丈夫なのか」について考えてみたいと思います。
丈夫に見えているだけの可能性もあるからです。
体が特定の害でダメージを受けていないように見える理由は、以下のように考えられます。
●ダメージはあるけど、高い防御力のお陰で酷く傷つかない(ダメージの減りが遅い)。でもダメージはダメージなので、小さい傷はある。しかし、周囲の人と比べると元気なので傷がないように見える。
●傷ついても、回復力が上回っているので、傷ついていないように見える
そして、「ダメージがどんなものか知らない」というのも、丈夫に見える原因になります。
「糖質を食べても何も問題がない」と言う人は多いですが、本人が気付いていないだけで、実はしっかり不健康の症状が表れていたりします。何故、気が付かないのかというと、それだけ「糖質」の正しい知識が広まっていないからです。無知故に「何もない」と勘違いしているのです。
あまり知られていませんが、例えは、以下の症状は糖質によるものです。
・糖質は食べられるが肉や脂質が受け付けず、消化が悪い
・骨や歯、爪が弱い
・髪が痛んでいる
・菌やウイルスへの抵抗力が弱い
・怪我が治りにくい
・関節が鳴りやすい
・肌の劣化
・痩せていても締りがない
・セルライトがある
・痔
・アレルギー
・歯槽膿漏
・胃下垂
ここに紹介した症状は、体のタンパク質が、摂りすぎて余った糖とくっついて変性した「糖化」です。
歳をとったから~ではなく、糖質とタンパク質と熱の化学反応によって、細胞が劣化した症状です。
劣化ですから、健康ではありません。
「私は糖質を食べているけど健康だ!」と豪語している人も、ここに述べた症状の一つくらい当てはまるのではないでしょうか?
糖化については以下の記事をご覧下さい。
「丈夫だ」「平気だ」と思っている人も、本当にそうなのか冷静に観察した方がいいです。
確率的親和力とは
(追記)この記事は、2016年の11月に書いたものです。
この時私は、体質の違いに「生命力」とか、「個体の丈夫さ」という表現を使いました。
しかし、その後調べていくと、このような「体質の違い」は、「確率的親和力の違い」である事が分かりました。
同じような食事をしても、「病気になりやすい人」と「病気になりにくい人」がいるのは何故か・・・その体質の違いを、以下の記事で「癌になりやすい人」を例にお話しています。
「確率的親和力 かくりつてき しんわりょく」は後半に書いています。
癌はブドウ糖(糖質)を分解した時に発生する乳酸の蓄積が原因です。癌家系の人で、糖質をたくさん食べている人は是非読んでみて下さい。
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