- 投稿 2016/10/16
- 健康食品・サプリメント - 食事
人間の体にはブドウ糖が必要ですが、その量はごくわずかです。
そして、その必要なブドウ糖は、自分の体で作り出すことができます。これを「糖新生 とうしんせい」と言います。
しかし、多くの人は、そのシステムがあるにも関わらず、毎日大量の糖質を摂っています。
その糖はエネルギー源として使われますが、量がとんでもないので、余って、脂肪になったり、糖化反応を起こしたりします。
怖いのは「糖化反応」です。
「糖化反応」とは、余った糖と体のタンパク質がくっついて、変性することです。
細胞が変性するので、糖化は起こって欲しくない反応です。これによって、細胞レベルで体が弱ります。
「糖化反応」と、糖化反応によって作られる毒性の強い物質「AGE」については以下をお読み下さい。
最近では、糖化を食い止めるために、「このサプリメントが良い」、「この食品が良い」・・・と、様々な物や方法が紹介されています。
このように、糖化を防ぐ事を「抗糖化 こうとうか」と言います。
「抗酸化」が酸化を防ぐという意味で、「抗糖化」は糖化を防ぐという意味ですね。
私は糖質制限をしているので、人よりも、糖化しないように気をつけています。
しかし、抗糖化食品やサプリメントを使って糖化を防ごうとはさらさら思っていません。糖質を制限できた上で、「抗糖化」商品に頼るなら良いですが、それをせずに、「糖質を我慢するのが嫌だからこれらを利用しよう」という考えでは糖化は防げないからです。
本記事では、糖質制限をしている私が「抗糖化」の商品を快く思っていない理由と、「抗糖化」対策の罠についてお話します。
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抗糖化対策の罠
私は、糖化を防ぐ基本は、「糖質を食べない事」だと思っています。「何かの商品に頼って糖化を防ぐ」というのはオススメしません。その理由はいくつかありますが、1つは、「抗糖化」対策には胡散臭いものがあるからです。
この世には、「抗糖化」と謳っていながら、糖化を防ぐどころか、糖化を促進させるような対策があります。
例えば、「糖化を防ぐ為に、抗糖化食品を積極的に摂取しましょう!」・・・という情報がありますが、私がこれまで見てきた「抗糖化食品」のほとんどが植物性です。
植物性ということは、「抗糖化食品」であっても、その中には糖質が含まれているということです。その指示に従うと、糖化を防ぐ為に、糖質を食べる事になります。
以前、祖母が見せてくれた健康雑誌の糖質制限特集に、「抗糖化レシピ」と称して、玉ねぎを使ったピクルスが紹介されていました。
表向きは「抗糖化」という名前が付けられていますが、中身は、材料は糖質の高い玉ねぎ、味付けも甘酢・・・。
正直言って、糖化を防ぎたいのなら、これを食べない方がいい・・・と思いました。
お金を貯める特集で、貯金が減るような情報を載せているようなものです。
「玉ねぎの糖分を余計に取る事」と、「そこに含まれる抗糖化のパワー」と、どっちが勝るかは検証しようがありませんが、少なくともその玉ねぎに含まれる糖分はだいたい想像がつきます。
抗糖化の為に、甘酢味の玉ねぎの糖分を摂る・・・糖化したいのか、糖化したくないのか、どっちなのかよくわからない特集でした。
これを読んで、私はそう思ったわけですが、人によっては「抗糖化の効果がある」という情報に目を奪われて信じるかもしれません。
結果的に、以下のようになります。
●「糖化を防いでくれる」と思っていたものが、実際には糖化を防いでくれるどころか、促進させるものだった。
●防いでくれると思っていたから、油断して糖質はガッツリ食べていた。
・・・これでは話になりません。
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楽をする代償
「糖質制限の特集」で、糖質の害を指摘しながらも、「糖質の多い抗糖化食品を食え」という構図はなんだか変です。糖質を否定したいけど、否定しきれない葛藤が伺えます。
しかし、「糖質を摂っても、チャラにして欲しい」と期待している人は、その矛盾に気付きません。
いや、本当は気付いているのかもしれませんが、「楽な方」を信じる為に、見てみぬフリをしているのかもしれません。
「糖質を止める」という覚悟ではなく、「あくまで糖質は止めない。その上で健康になりたい」という甘い考えがそこにはあります。
そして、「糖質を止めなくてもいい」という夢を与えてくれるのが「抗糖化」商品です。
ほとんどの人は、糖質を止めたくありません。だけど健康を損ねるのは嫌なわけです。
しかし、それは「浮気はしたいけど、離婚はしたくない」と言っているのと同じです。そんな都合のいい話はありません。みんなわかっている事です。
ですが、糖質の話になると、そういう都合のいい話があることを期待してしまうのです。
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危険視されていない糖質
ちょっと厳しい事を言いましたが、糖質は依存性があるので、お酒やタバコを止める時のように、最初は覚悟が必要です。
半額のキットカットが売られているのを、見なかった事にして通り過ぎなければいけません。楽じゃないのが普通です。
その代わり、糖質は本来人間が食べなくても良い物なので、ある時期を過ぎれば無くても全く平気になります。
しかし、その少しの期間も我慢できないのは、甘い事を言われるからです。
●糖質はそんなに体に悪くない
●ダメージがあっても、後で気をつければチャラになる
・・・こんな事を言われれば誰も気をつけません。
こういう「免罪符」のような話は、糖質以外ではどうでしょう。
「酒を飲んでもこれを食べたらチャラ」とか、「タバコ吸ってもこれを飲んだらチャラ」とかあまり聞きませんね。
むしろ「禁酒」、「禁煙」という言葉があるように、これらの害を防ぐには「禁欲」が一番の対策だと多くの人は認識しています。対策商品もあるにはありますが、どちらかというと補助的な対策です。メインではありません。
酒やタバコには、「抗酸化」「抗糖化」のように「抗〇〇」という専門用語もありません。
「禁」という言葉からは、「止めた方がいいんだ」という考えが伝わってきます。そこに「甘さ」はありません。
反対に、糖質には、「抗糖化」という言葉はありますが、「禁糖」という言葉はありません。
緩いですね。
体は「酸化」と、「糖化」によってダメージを受けます。
しかし、「酸化」の原因となる酸素は生きていく上で必要なので、「禁酸」は無理です。
ですが、「糖質」は食品から摂る必要はないですし、摂りすぎることで害になる物質です。酒やタバコのように我慢する事が出来る物質なので「禁糖」という言葉があってもいいはずです。
なのに何故、こちらは「禁欲」が一番じゃないのでしょうか。
「我慢しなくてもチャラに出来る裏技」を作ることで「禁欲」の意欲は薄まります。
「抗糖化」という対策自体はいいのです。問題なのは「こうすれば食った糖質がチャラになるから、少しぐらい糖質を食べても大丈夫ですよ、糖質は必要なんですよ」と安心させて、糖質の害に対する危機感を薄めてしまうことです。こんな「楽な道」を用意されたら、誰も危機感なんて抱きません。
「抗糖化できる」という甘えがある事によって、「糖質を我慢する覚悟」が決まらなくなります。
「抗糖化」という逃げ道があると、安心して「少しの糖質を摂りながら、脂質やタンパク質を食べる中途半端な糖質制限」をしてしまう人が出てきます。
糖質をある程度とりながらの脂質タンパク質大量摂取は危険です。私もこれで一度糖質制限に失敗しました。
肉を食べると胃が気持ち悪くなるが、野菜や穀物や甘い物はいくらでも食べられる理由とは
【脂質+タンパク質】は良くて【糖質+脂質+タンパク質】が良くない理由
逆に「それしかない」と追い詰められれば、糖質の我慢くらい出来てしまいます。確かに、糖質制限が体質的にできない人や、糖質制限に慣れるまで時間がかかる人もいますが、そういうケースでもなければ、しんどいのはせいぜい最初の数週間です。
くどいですが、糖化を防ぐ為に一番いいのは糖質を食べない事です。
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抗糖化食品の効果は疑わしい
私が「断糖」にこだわって、「抗糖化」商品を推進しない理由はもう一つあります。それは、私の経験上、「抗糖化食品」の効果が疑わしいからです。
「抗糖化食品」には、生姜、ニンニク、シナモン、クミン、黒胡椒、リンゴ、レモン、いろいろなお茶などがあります。
私はインド料理が好きなので、以前はよく作って食べていました。
オリジナルのレシピは油が多いので、かなり減らして作っていました。
当然スパイスを使うわけですが、「抗糖化食品」である、生姜、ニンニク、シナモン、クミン、黒胡椒はよく使っていました。他のスパイスや玉ねぎも使います。
生姜は抗糖化効果ダントツらしいです。そして、私は生姜、ニンニクは、ほぼ毎日のように料理に使っていました。
これら「抗糖化食品」を習慣で食べていたことになりますが、体はしっかり糖化していました。
レモンはあらゆる料理、例えばドレッシングに使ったり、焼き魚にかけたりして使っていました。こちらも習慣で食べていました。
これも「抗糖化食品」です。
そして「リンゴ半分」を半年間、健康の為にお菓子を止めて食べ続けたところ、肌が劣化してシワが増え、そのおかげで糖化の恐ろしさに気付きました。
「抗糖化食品」であり、「抗酸化食品」でもあるリンゴによって、糖化を防ぐどころか、糖化を促進させました。
「抗酸化作用」も「抗糖化作用」も感じられませんでした。
また、お酒もジュースも好きではないので、私は年中様々なお茶を愛飲していますが、過去の私の体の糖化ぶりを考えると、お茶の葉が糖化に効果があるとは思えません。
もしかしたら、多少の糖化防止効果はあるのかもしれませんが、これらの食生活を数年続けてきた私にはそういう実感はありませんでした。
過去の私はこれらを「抗糖化食品」だから食べていたのではありません。リンゴ以外は、ただ好きだから食べていただけです。偶然にも好きな物が「抗糖化食品」だったのですが、糖化で体がガラクタのように弱かったです。
ここに挙げた「抗糖化食品」を普通の人より多く摂取していたにも関わらず、相当体が糖化していたので、このような評価をせざるをえません。
(追記)健康食品も摂っていましたが、糖質の過剰摂取を止めなかったので、健康食品の効果もありませんでした。糖質を代謝する時にビタミン・ミネラルを消費してしまうので、その影響だと思います。
例え「抗糖化食品」を摂っていたとしても、糖質の毒性が強すぎるのです。効果を感じられない程、糖質によって体が弱ります。
サプリメントは、食品よりは効果があるかもしれませんが、糖質の毒性は強いので油断しない方が良いでしょう。
そして、何故「体が弱かった原因が糖化が原因だ」と言いきれるのかというと、スーパー糖質制限を始めてガラクタのようだった弱い体がどんどん丈夫になっていったからです。しかし、それでも、重度の糖化である胃下垂や、関節から音が鳴るなどの症状は治っていません。
糖化は元に戻りにくい
「後で対策をすれば、チャラになるだろう」というのは甘い考えです。
分かりやすい糖化に「セルライト」がありますが、あれはなかなか落ちません。入れ替る細胞でも糖化を治すのは大変なのです。
そして、体には、脳や目、卵子など、入れ替らない細胞があるので、こういうところが糖化(劣化)したら終わりです。
「抗糖化」食品を頼るよりも、糖質そのものを摂らない方が何倍も体に優しいです。それは実証済みです。
「抗糖化」商品は、「糖質をとってもチャラにしてくれる」という甘い夢を見させてくれます。
しかしながら、その効果は本当に微妙です。商品がショボイのではなく、糖質の害が強すぎるのです。体の弱い人は負けてしまいます。丈夫な人も歳を摂れば弱り負けてしまいます。
糖化の危険性を訴えながら「断糖」の道を示すのではなく、商品等の楽な道を最初に示されたら、一度立ち止まって考えてみてください。
予防法は優先順位を間違わないようにする必要があります。
(追記)サプリメントや健康食品は、不摂生をしながら飲むと効果が半減しますが、食事に気をつけた上で足りない栄養素を補うのであれば効果的に働いてくれます。
以下は、食事制限をしながら鉄サプリを半年間飲んだ感想です。
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