ATP(アデノシン三リン酸)について分かりやすく説明してみた

 

厚生労働省と農林水産省が推奨している「食事バランスガイド」を健康的だと思っている人は多いです。

 

 

 

しかし、これを真面目に守っていれば、確実に「質的な栄養失調」になります。

 

 

 

質的な栄養失調とは、「糖質過多 タンパク質不足 脂質不足 ビタミン不足 ミネラル不足」の状態です。

 

 

 

 

これの何がいけないのかというと、

 

 

 

生物が活動する為に必要なATP(えーてぃーぴー)というエネルギー物質が足りなくなるからです。

 

 

 

 

「ATP」は小さな分子です。

 

 

 

 

「ATP」が十分にあることで、心臓も動き、呼吸し、体を動かすことができます。

 

 

 

 

もし「ATP」が不足すると、多くの慢性疾患を引き起こします。そして、どの生物も「ATP」が無くなると死にます。

 

 

 

 

「質的な栄養失調」が原因で、生命活動に必要な「ATP」が不足する...

 

 

 

 

そうなってはいけないので、「ATP」について理解し、不足させないように栄養に気を配る事が大事なのです。

 

 

 

 

食事には、「自分の体を作り出す為の何か」と、「生きていく為に必要なエネルギー」が含まれています。

 

 

 

しかし、「体の材料」と違って、「エネルギー」は目に見えません。その為、ピンとこない人もいると思います。

 

 

 

 

なので、本記事では「ATP」について分かりやすく説明します。

 

 

 

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食事をするということ

 

 

 

生体が生きていく為(生命維持や、細胞活動)には、エネルギーが必要です。

 

 

 

熱、運動、化学反応・・・働きは「細胞の種類」によって様々ですが、これらの仕事を遂行する為に、エネルギー物質である「ATP」を使います。

 

 

 

  • 筋肉を動かす

 

  • 細胞が分裂する

 

  • 体を構成する物質の合成をする

 

  • 体温を維持する

 

 

 

私達が食事をする一番の目的は、「ATP」を作り出すこと・・・と言っても過言ではありません。

 

 

 

細胞は、食事から摂れる「糖質」、「脂質」、「タンパク質」を処理することで「ATP」を作りだしています。

 

 

 

つまり、「三大栄養素」と言われるものが、「ATP」の材料になるわけです。

 

 

 

ちなみに、「ATP」を作る時に「ビタミンC」が必要なので、これが足りないと、「ATP」を上手く作ることができません。

 

『優しく生きたい 教育問題と医療問題について 藤川先生講演会(2016.12.4)』より引用

 

・ATP→ADP→AMPとなるときにエネルギーを放出

 

・AMP→ADP→ATPとATPを合成するときにビタミンCが必要

 

・厚労省推奨の1日ビタミンC100mgでは足りない
→人によって500mg~10gは必要

 

 

次は「ATP」の構造について説明します。

 

 

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ATPとは何か?

 

 

「ATP」とは略語です。

 

 

正式名称は、「アデノシン3リン酸」です。

 

 

英語でadenosine triphosphate(アデノシン・トリ・ホスフェート)。

 

 

「T」は「トリ」と読みます。意味はです。

 

 

なんで「3」なのかというと、「アデノシン」という物質に、「リン酸」が3つくっついた構造をしているからです。

 

 

 

記事の一番上のイラストを簡略化したのが以下になります(向きが逆ですが)。

 

 

 

 

ATP(アデノシン三リン酸)の構造

 

(アデノシン・3・リン酸(ATP)の構造)

 

 

 

「エネルギー」というと、形の無い物を思い浮かべてしまいますが、そうではなく、「ATP」は「エネルギーを貯蔵できる物質」です。

 

 

 

この物質を介してエネルギーのやりとりを行なう・・・というわけです。

 

 

 

だから、「ATP」は、別名「生体内のエネルギー通貨」と呼ばれています。

 

 

 

また、エネルギーが蓄えられる(エネルギーがつまった)物質なので、「充電式の電池」ともいえます。

 

 

 

ネットや本を調べると、「ATP」は「小さな分子」であるとか、「物質」であるとか、「化合物」であるとか、「化学物質」であるとか、様々な言い方がされています。

 

これだとピンとこないので「エネルギー通過」や、「充電式の電池」のイメージの方がわかりやすいと思います。

 

 

 

 

ATPはどうやってエネルギーを蓄えるか

 

 

糖質、脂質、タンパク質・・・といった、違う物質から「ATP」を作って、様々な事に利用する...

 

 

 

使用方法は「通貨」にそっくりです。

 

 

 

しかし、エネルギーの産生方法は、「充電式の電池」に似ています。充電したり、使用したりするからです。

 

 

 

エネルギーがつまった状態を「ATP」、エネルギーが空の状態を「ADP」と言います。

 

 

 

材料を分解する時に出てきたエネルギーを「ADP」の空の電池につめて、「ATP」にします。

 

 

 

 

 

ADP → ATP(充電)

 

 

 

 

  • 「ATP」はアデノシン・トリ・ホスフェートです。トリ(Tori)は、です。つまり、アデノシンにリン酸が3つくっついています。この3つ目のリン酸をくっつけるのに大きなエネルギーが必要です。

 

 

 

 

 

  • 「ADP」はアデノシン・ジ・ホスフェートです。ジ(Di)は、です。こちらはリン酸が2つくっついています。3つ目のリン酸が外れて2つになる時に、エネルギーが放出されます。

 

 

 

 

 

わかりやすく「電池」と表現しましたが、図で表すと、全然電池風ではありません。

 

 

 

以下のように、3個目のリン酸をくっつけたり、外したりして、エネルギーの貯蔵と放出をしているわけです。

 

 

 

ATPとADP

 

 

 

 

 

ちなみに、「 ATP ⇔ ADP 」の変換は、何度でも行なうことができます。

 

 

 

充電が完了した「ATP」が多い程元気なのですが、

 

 

 

次はこれが不足するとどうなるのかについてお話します。

 

 

 

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ATPが不足すると起きる問題

 

 

生体はまず、「ATP」を作ります。

 

 

 

そして、この「ATP」を「ADP」に変換する時に放出されるエネルギーを使って熱、運動、化学反応といったさまざまな活動をしています。

 

 

 

従って、活動資金である「ATP」が十分足りていれば「健康」ですが、不足すると、体に様々な問題が起きます。

 

 

『ガンの特効薬はミトコンドリア賦活剤 生体のどこかでATPが不足すると人間は病気になる』より引用

 

 

私たち人間はATPという生体エネルギー通貨によって、すべてを動かして生きています。ATPが不足すれば、あらゆる臓器や筋肉・神経などに不具合が生じ、衰弱して死にます。

 

 

ATPの95%を作っているのが、ミトコンドリアです。体の痛みやコリは、ミトコンドリアが衰弱してATPが不足していることを教えてくれています。

 

 

それを放置していれば、やがてガン・糖尿病・心臓病・リウマチなどが悪化し、大変なことになります。

 

 

アルツハイマーやうつ病なども、ミトコンドリア機能障害によるATP不足からきています。

 

 

 

活動の元が断たれるので、どこに問題が起きても不思議ではありません。

 

 

 

 

ですが、必ず「みんなが同じ病気」になるわけではありません。どんな病気になるかは、その人の遺伝的な弱点によって違います。

 

 

 

 

また、病気とまではいかなくても、以下のような小さな不調も「ATP」不足が原因だったりします。

 

 

 

  • 熱が生産されなくなることで体温が低くなる

 

  • 糖質制限が上手くいかない

 

 

 

次はATPの材料について説明します。

 

 

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ATPの材料

 

 

食事から糖質、脂質、タンパク質を摂っても、そのままではエネルギーとして使用できません。

 

 

 

これらは、少しずつ分解されて、その際に発生したエネルギーを「ATP」という形で蓄えて、利用できるようにするわけですが、そうなるまでには化学反応が何段階も起こります

 

 

 

 

材料になる「糖質」、「脂質」、「タンパク質」は、違う物質で、以下のような特徴があります。

 

 

 

 

  • 糖質・・・・・・身体の成分にはならない。燃料のみになる。※「必須糖質」というのはない。

 

 

  • 脂質・・・・・・身体の成分であり、燃料となる。※「必須脂肪酸」というのがある。

 

 

  • タンパク質・・・身体の主成分となる。一部が燃料となるが、生体を維持するための十分な燃料ではない。※「必須アミノ酸」というのがある。

 

 

 

 

「ATP」を作る材料は、主に糖質脂質ということになります。

 

 

 

一方、飢餓時など、糖質や脂質の供給が追いつかない時は、タンパク質を材料にして「ATP」を作ります。これを「糖新生 とうしんせい」といいます。

 

 

 

 

より多くATPが作れる材料は

 

 

エネルギー源としてあてになるのは、「糖質」と「脂質」です。

 

 

 

この2つのうち、どちらが燃料として優れているかについてお話します。

 

 

 

まずはブドウ糖(糖質)の場合です。

 

 

 

 

「ATP」を作る時は、通常、「酸素」を使うのですが、糖質の場合は、酸素が無くても「ATP」を作ることが可能です。

 

 

 

 

「糖質」は、酸素を使用せず「ATP」を作る場合と、酸素を使って「ATP」を作る場合と、2つの方法があります。

 

 

 

  • ブドウ糖から酸素でATPを作る

 

  • ブドウ糖から酸素でATPを作る

 

 

 

この2つは、作られる「ATP」の数が違います。

 

 

 

無酸素での作り方だと、1分子のブドウ糖から、「ATP」は2分子作られます。少ないです。

 

 

 

でも、酸素を使えば、1分子のブドウ糖から、「ATP」は38分子作られます。なかなかです。

 

 

 

 

次に脂質です。

 

 

 

1分子のパルミチン酸(飽和脂肪酸)だと、「ATP」は129分子作られます。高エネルギーです。

 

 

 

 

脂質に比べると、糖質は得られるエネルギーが少ないです。

 

 

 

ご飯やお菓子を、食べても食べても満足できない...という人がいますが、これが原因の1つです。

 

 

 

「ATP」がたくさんあると元気になりますが、「ATP」が少ないとエネルギー不足になります。

 

 

 

糖質は、食べても作られる「ATP」が少ないので、「エネルギー不足」を解消する為に過食してしまう...というわけです。

 

 

 

 

 

ATPの合成経路

 

 

 

「ATP」を合成する反応ルートは複数あります。以下がその名称です。

 

 

 

  • 解糖系(かいとうけい)

 

  • クエン酸回路(くえんさんかいろ)

 

  • 電子伝達系(でんしでんたつけい)

 

 

 

これらの反応が起きる場所は以下になります。

 

 

 

  • 解糖系・・・・・・細胞質基質(さいぼうしつきしつ)

 

  • クエン酸回路・・・ミトコンドリアのマトリックス

 

  • 電子伝達系・・・・ミトコンドリアの内膜(ないまく)

 

 

 

解糖系とクエン酸回路と電子伝達系

 

(ATPを作っている場所)

 

 

 

反応については、以下の記事でお話します。

 

 

 

エネルギー代謝について分かりやすく説明してみたへ続く

 

 

 

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