糖質を食べると、体のタンパク質に余った糖が結びつく「糖化反応」が起きます。
この反応によって細胞が劣化するので、体が弱っていきますが、いきなりではありません。
体が人よりも弱い人は、わりと早く影響が表れますが、丈夫な普通の人は、後で影響がでるので、遡って「あの時の糖質が原因だった」とは思いません。
まぁ、気付かないのが普通です。
その為、糖質の過剰摂取をしてもなんとも思いませんし危機感もありません。
昔、私は体が弱かったので、なんとかして体を元気にしたいと思ってアレコレと試しましたが、何を試してもほぼ効果がなく、体が丈夫にはなりませんでした。
その原因は、糖質が悪いと思っていなかったので、「糖質」以外を気をつけていたことにありました。
糖質には警戒心がなかったので、無防備に食べ続けていたのです。
しかし、その後、糖質制限を始めて、糖質を徹底的に排除しました。
糖質制限の効果を確かめたかったので、摂取していた健康食品は止め、食品添加物や遺伝子組み換え食品等、それまで気を付けていたものは余り気にしなくなりました。
それまでと間逆ですが、体が驚くほど元気になりました。
その結果分かったのは、それだけ糖質の毒性が強いということです。
私も昔はその知識がなかったので、ずいぶん体を壊しました。その経験から言える事は、
糖質を食べ続ける生活をおくっているにも関わらず、現段階で不調を何も感じられなかったとしても、本人が気付いていないだけで影響を受けている可能性は十分にあるということです。
そして、そういう場合は、後でジワジワと症状が表れます。
「糖質をたくさん食べているけど別に何も起きない」という考えの方は、私の様に体を痛めるまでに気付いて、食べるならせめて、糖質に対して「体に合わないものを食べているんだ」という自覚を持って欲しいと思います。
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体に合わないものを食べる
「食べられる事」と「食べたものが本来の食性に合っているかどうか」は別の問題です。
当たり前ですが、一応、「食べたら体に悪いもの」でも、口の中に入れれば「食べる事」は可能です。
また、多くの人が主張される様に、「合わない物」を食べても、場合によっては症状が出ず、元気で過ごせる場合もあります。
しかし、何も起きなかったからといって、イコール「その食品がその動物の体に合う事」にはならないと私は思います。
例えば、牛は本来は「草」を食べる動物ですが、「トウモロコシ」も食べることができます。
アーロン・ウールフ監督の「キング・コーン 世界を作る魔法の一粒」というドキュメンタリー映画があるのですが、
「体に合わないコーン」を食べさせられている牛は、やはり、体を壊してしまうそうです。
ですが、そうならないように大量の抗生物質が使われます。
牛に穀物を与える場合、120日以内の牛であれば問題ないそうですが、それ以上の牛に与えると胃潰瘍ができたりするそうです。
このように、例え食べる事はできても、「本来食べるべきでないもの」を食べると弊害が起きるのです。
そして、「コーン」よりもヤバイのが一時期問題になった「肉骨粉」です。
あれなど「植物食性の牛」に動物性食材を与える行為です。
そして、「合わない食べ物」があるのは牛だけではありません。
私は昔、大型犬を飼っていたのですが、私の食べるお菓子を時々与えていました。
しかし、ずいぶん後に、ネットで犬について調べていたところ、「犬にチョコレートを与えてはいけない」と書いてありました。
ネギ科の植物と、骨付きの鶏肉(骨が縦に裂けて危険だから)はダメだというのは知っていましたが、食べさせてはいけない物は、まだまだたくさんあり、他にも知らずに食べさせていたものがいくつかありました。知らなかったとはいえ、恐ろしい事をしていました。
また、犬を通じて仲良くなった人も、同じように人間の食べ物を日常的に与えておられました。「人間用のケーキ」を犬に食べさせたと聞いたときにはさすがにビックリしました。
さらに言うと、ペットフードが一般的ではなかった時代、ほとんどの飼い主が人間の食べ残しを与えていました。ですから、結果的に多くの人が、犬に「食べさせてはいけない物」を食べさせていたと思います。ご飯に味噌汁をかける等は定番です。
そんなものでも、犬は「食べる事」は出来ますし、いきなり病気になったりしません。
犬も牛も人間も、動物には「食べない方がいい食材、栄養素」があります。「それぞれの動物に合った食性」というものがあるからでしょう。
では何故、なんでもバランス良く食べないのでしょうか。
それどころか、食べるものが絞られていて、わざとバランスが悪いように設計されているといえます。
次はこの「バランス」について考えてみます。
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バランスという不自然
同じ物ばかり食べる様子は、「人間の価値観」で見ると偏っているように見えます。
それを「極端だ!」と表現する人もいます。そして、バランスの大切さを主張されます。
ですが、基本的に生物は自らの食性に合った極端な食性をもっています。
そもそも「食べる物が限られている」というのは、バランスが悪い事なのでしょうか。理にかなっていない事なのでしょうか。
私はそうは思いません。
自然が創り上げるものは、上手くできているものです。
もし、「バランスが悪い、偏った食事」をするように元から体が設計されているとしたら、それは自然が創りだしたものです。
その状態がその生体にとって正常なのです。
それにこうも考えられます。
もし全ての動物が同じ物を食べていたら、そればかりがなくなります。奪い合えば、当然弱い者は食にありつくことができません。
「競争相手が存在しない事」、「食性がみんな少しずつ違う事」は、地球規模で考えると、メリットです。そうでないと逆に不都合が生じると思います。
全体的な事を考えると、動物によって食べるものがバラバラで、偏っているのはとても自然な事です。
- 植物食性動物は植物性ばかり
- 動物食性動物は動物性ばかり
※「両方に対応できる内臓」を持ち合わせている生き物は、両方いける
昆虫のように、成長過程で食性が変化する生き物もいますが、それはその生物の設計図の範囲内での変化です。
幼虫からさなぎになると、外見だけでなく内臓も変化するそうです。幼虫と成虫の食べるものが違うのはその為らしいです。
これは私達が考えるような「雑食」ではありません。
表面的にみれば「違う性質のもの」を食べているので、「雑食」と言えなくもないかもしれませんが、前提として内臓の構造が変化しているので、他の動物とは明らかに違います。
普通は内臓の構造は変わりませんから。
このように、性質の違うものを食べるには、虫のように途中で変化するなど、特殊な内臓の構造が必要です。
内臓が追いつかない状態で不自然に雑食をすると、問題が起きても不思議ではありません。
人間もそうですが、人間に飼われている犬などのペットにも当てはまります。犬も、偏っていると言われている糖質制限食で元気になったという話が増えています。
虫のように変わった内臓をもちあわせていない動物は、本来の食性に合った、「偏った食事」をする方が自然です。人間も動物ですから、そういう極端な性質があって当たり前です。
他の動物がそうであるように、人間もバランスは関係なく、自らの設計図に合った食事をする方が理にかなっていると思います。
内臓や食性を無視して、「バランスが良ければいい」と考える事は、むしろ不自然で偏った考えなのです。
設計を無視し、人間の考えたバランスに従って、本来必要ない栄養素を摂ると、いきなりは壊れないかもしれませんが、不具合が起きる可能性が高くなります。
まず、構造や仕組みを理解し、「それには何が必要で、何が必要じゃないのか」を見極めた上で、相応しい栄養素を摂るのが正解でしょう。
対象を何も見ず、ただ「バランス」と言うのは、稚拙としか言えません。
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合わないものを大量に摂るとどうなるか
人間にとって不必要な栄養素といえば、ダントツで糖質です。
私も過去に「食品添加物」を避けたり、「遺伝子組み換え食品」を避けたり、害となるあらゆるものを避けていました。それらも摂りたくないものです。
ですが、それらと比較しても糖質の害だけは突出しています。
とにかく、摂取する量が尋常ではありません。
料理に含まれる食品添加物を取り出して測ったとしても、おそらく一日に食べる量は100gも満たないと思います。ですが、糖質は100g程度なら余裕で越えます。
その量の糖質を毎日毎日摂っていたら、体に以下のような影響を与えます。遅効性で、どこに害がでるか分からない特徴があります。
『老けたくなければファーストフードを食べるな 老化物質AGEの正体 著者:山岸昌一』より引用
AGEの正体は何かといいますと、糖化物質です。体内にあるタンパク質が糖化した結果、本来のタンパク質とは似ても似つかないものになった。
AGEはちょうどお菓子のように、表面にベタベタと糖がくついたような姿を想像されたらいいと思います。元はきれいなタンパク質だったのに、砂糖でまぶしたようにベトベトになって、本来の働きがまったくできなくなった。
糖尿病が進行するとそれらが体中のいたるところに広がり増えていきます。唾液にも、爪にも、皮膚にも、髪の毛にも、いろいろな臓器にも.....。でも唾液を構成するタンパク質と、皮膚を構成するタンパク質では種類が違います。ですから、できあがったものはそれぞれ違う。一つの名称では呼べません。
そこでタンパク質が糖化したことを「AGE化」したと呼び、AGE化した糖化物質をひとまとめにして「AGE」と名付けたのです。
AGEには、元のタンパク質によってさまざまな種類があります。糖のたんこぶがタンパク質のどの部分に、どんなふうにつくかによっても性質が変わってきます。もちろん、くっつく 糖の種類によっても違います。
一説によると、AGEは何十種類もあるのではないかと言われています。
皮膚のように一ヶ月で入れ替わるもの、ヘモグロビンを含む赤血球のように四ヶ月で入れ替わるもの、骨のコラーゲンのように二~一〇年で入れ替わるもの、それぞれAGEから受ける影響も変わってきます。
目の水晶体を構成するクリスタリンというタンパク質は一生変わりません。つまり、生まれたときからのAGEの蓄積をそのまま受けつづけます。
神経細胞も心筋細胞も一生変わりません。そういう場所のAGEはずっとたまったまま、組織に影響を与えつづけています。
また、AGE化は体中で進行していますが、患者さんによっては腎臓だけが悪くなって、目はまだ大丈夫な人もいます。個人差もあります。
もし白内障の原因が100%AGEだとすると、どんな人でもAGEがたまりつづければ、必ず白内障が起きるはずです。
しかし現実にはそうはなりません。
なぜなら同じ量のAGEがあっても、パンクしてしまう臓器とまだ耐えられる臓器がある。低い量のAGEしかなくても、別の因子が加わったために、障害が出てしまう臓器もあるからです。
つまりAGEがそれぞれの臓器に与える障害の度合いは、他の因子によって薄められたり、濃くなったりするのです。AGE化は体中で起きていますが、症状のあらわれ方は臓器それぞれ、人それぞれだということです。
(38p~39p)
原因は同じ糖質によって引き起こされますが、「症状のあらわれ方は臓器それぞれ、人それぞれ」という部分がポイントです。
これは、私にも言えることです。
私は胃が弱かったですが、腸は普通です。お腹を壊すこともほとんどありませんし、便秘になることもありません。山岸氏が指摘されるように、それぞれの臓器の強弱によって、影響を受けやすいところと、受けにくいところがあるのだと思います。
弱いところから痛むと思った方がいいです。
私の場合、他の臓器に比べて胃が格段に弱かったから、内臓では胃にばかり目立った症状がでました。
ですが、糖質中心の食事を続けていたら、近い将来、他の臓器もイカれていたと思います。
このことから分かるように、「この症状にならないから、俺は糖質食ってもセーフなんだ」というのは錯覚です。
勘違いしない為にも、部位別、症状だけを見るのではなく、体のどこかに「糖化特有の症状」が出ていないかに注目することが重要です。
ここで一つ注意してほしいのですが、「私の胃が弱かったのは糖化が原因だった」といいましたが、だからと言って、胃が悪かったら全て糖化が原因とは限りません。
当たり前ですね。例えば胃に穴が開いていたらそれは違う病気なわけです。
仮に原因がストレスなら、食事ではなく、置かれているストレスの元を解決しないと胃は元気にならないと思います。
症状に注目して、原因を正確に突き止めて、それに見合った対処をする事が大切です。
引用した内容を読んでお分かりいただけたかと思いますが、糖化は人によって、どこにどんな症状ででてくるかわかりません。だから原因が糖質だと気付きにくいのです。
ですが、「糖化した場合はどんな症状になるのか」をあらかじめ知っておく事で、糖化に気付きやすくなります。今は前例が多くあるので、それと照らし合わせれば、糖化なのか糖化じゃないのか、ある程度予測することが可能です。
一番はお医者さんが、病院で普通に「これは、糖化が原因ですね。」と診断してくれれば良いのですが、そこまで世の中が変わるには時間がかかるので、当分は個人が自分で分析するしかありません。
その為、分析ができる人とそうじゃない人で、健康状態に差が出てくると思います。
心配なのは体の弱い人より、体の丈夫な人です。
「糖質を食べても自分は何も起きないから大丈夫」と主張する人は、体が丈夫な人です。
丈夫なのはいいのですが、目立った症状がないのをいいことにバクバクと糖質を食べ続けます。本当は大丈夫じゃないのですけどね。
なんとか危険を伝えたいのですが分かってもらえないので苦労します。
「症状がでないから大丈夫」と調子に乗るのは最も危険なのです。
私も昔そうだったので、特に思います。
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甘いものは私の体に合っているという勘違い
私は糖質大好きなので、糖質制限を始める前は、かなりの糖質を食べていました。
しかし、私は糖質を食べても全然太らない体質です。
ご飯をおかわりしようが、甘いものをいくら食べようが肥満とは無縁でした。学生の時、周囲のほとんどの女の子は、私のこの体質を羨ましがっていました。
私もこの体質をいいことに
「私は普通の人が太る炭水化物や甘いものを食べても太らない」と調子に乗り、中学生の頃から毎日カップのアイスクリームを2つ食べていました。安売りの時は3つとか、箱入りのを一日で食べるとかしていました。
全く太りませんでしたから、「甘いものは私の体に合っている」などと思っていました。
当時は「糖化」とか「酸化」という言葉もありませんし、世間一般で目の敵にされていたのは、「脂質」や「塩分」です。
糖質で言われていたのは、「甘いものを摂りすぎると虫歯になる」、「骨が溶ける」くらいでしょうか。
しかし、どんなに甘いものの恐さを訴えられても、私は甘いものによって悪い影響を受けているとは思えませんでした。太らなかったわけですから。
現実の伴わない常識には聞く耳を持たないものです(今から考えると、しっかり悪い影響がでていたのですが、当時は情報がなく認識できていませんでした)。
太ると言われても太らない様に、「骨も溶けないだろう」、「特に何も問題はないだろう」と考えていたのです。
しかし、それは影響がなかったのではなく、
たまたま「太る」という方向に症状が出なかっただけです。
そして、私がそれに気が付いていなかっただけです。
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症状は1つではない
先程紹介した本にあったように、「糖質」という1つの原因で、様々な慢性疾患になります。
従って、起きる症状は人それぞれです。
なので、「糖質は太る」という図式も、実は半分正解で、半分間違っています。太る人もいれば、私の様に痩せてしまう人もいるのです。
理解に苦しむかもしれませんが、正反対の症状のどちらも糖質の影響です。
ちなみに、私が食べ続けた糖質は、常識とは別のところに問題を起こしました。何故私が太らなかったか、その理由は恐ろしいものでした。
アイスクリームをバクバクと毎日欠かさず食べた私ですが、もし、太っていたら、糖質を食べ過ぎないように気をつけていたでしょう。
「甘いもの=太る」という図式しか頭になかった事は問題でした。
こうして症状を決め付けると、他の可能性は疑いません。
だから「この症状がでないから問題ない」という発想に繋がったのです。
その為、胃が弱かろうが、爪がペラペラだろうが、関節から音がでようが、自身の糖分の摂りすぎを問題視することはありませんでした。
で、他のことを気をつけて、糖質を食べ続けながら、「なんでこんなに不健康なんだろう」と思うわけです。
知らないとはこういうことです。
まとめ
私は糖化によって、体にかなりダメージを受けたので、しつこく糖化についてお話ししています。同じように体を弱らせてしまっている人に気付いてほしいからです。
糖質制限はダイエットのイメージが強いですが、私は糖質制限の一番のメリットは「糖化」を抑えられることだと思っています。
糖化は体を弱らせます。そうならない為にも、糖質の量には気をつけて下さい。
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