- 投稿 2018/10/13
- 健康食品・サプリメント - 分かりやすいシリーズ - 食事
ファイトケミカルは、第7の栄養素として注目を集めています。
抗酸化作用、癌予防...といった様々な効能が紹介されていたり、
ファイトケミカルを摂取する為のレシピや、サプリメントもよくみかけます。
このような環境だと、病気予防や体質改善に積極的に取り入れようとしてしまいます。
しかし、本当にファイトケミカルは、言われているように病気予防や体質改善に効果があるのでしょうか?
メリットばかり強調されることが多いので、鵜呑みにする人は多いと思います。
しかし、なんとなくイメージがよさそうだから、とりあえず摂っておこう...というのは要注意です。
ファイトケミカルが体にどれほどの変化を与えるのか、私なりの見解をお話します。
まずは、ファイトケミカルの定義について説明します。
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ファイトケミカル(フィトケミカル)とは
ファイトケミカル(phytochemical)とは、植物性の化学物質という意味です。
「phyto」は、ギリシャ語で「植物」、ファイト、あるいはフィトと呼ばれます。
「chemical」は、英語で「化学物質」です。
「植物性の化学物質」とは、例えば、
野菜、果物、豆類、イモ類、ハーブ...といった、植物の色素、香り、アク、辛味、粘々、苦味...等に関与する成分です。
そのためか、独特の風味があったり、色が鮮やかだったり、癖の強い植物に含まれている場合が多いです。
バラエティに富んでいるので、人間の目線から見ると「色んな用途に使える便利な成分」です。
しかし、これらの成分は、植物にとっては武器に相当します。
動けない植物が外的から身を守る為に作り出している物質である...ということを忘れてはいけません。
ファイトケミカルは、薬の成分になったり、毒物や幻覚剤として利用されてきた歴史があります。
なので、体に良いものばかりではないのです。
次は、このファイトケミカルの、栄養素としての位置づけについてお話します。
ファイトケミカルは第7の栄養素
第7の栄養素であるファイトケミカルにスポットを当てる前に、まずは、栄養の種類や特徴について説明します。
以下がお馴染み、5大栄養素です
- 炭水化物(糖質+食物繊維)
- タンパク質
- 脂質
- ビタミン
- ミネラル
この5大栄養素は、代謝に関わっているので、生命維持に必要な栄養素です。
ただし、以下の点は注意して下さい。
「タンパク質」、「脂質」、「ビタミン」、「ミネラル」は、自ら合成することができないので、食事から摂取する必要があります。
これを「必須栄養素」と言います。
そして、「炭水化物」は、「糖質+食物繊維」のセットの事です。
「糖質」は、生命維持に必要ですが、その量はわずかで、過剰になると毒になります。また、「糖質」は「糖新生 とうしんせい」というシステムによって、合成することができるので「必須栄養素」ではありません。その為、食事から摂取する必要もありません。
人間の身体に必要な糖質量を血糖値の視点から分かりやすく説明してみた
「食物繊維」は、動物食性動物である人間の体に必要な栄養素ではありません。植物食性の消化器官ではない為、負担がかかるのです。しかし、腸内環境を重視する人達の間では、第6の栄養素...等と言われています。
これらに続いて第7が「ファイトケミカル」...というわけです。
第6の時点で胡散臭いので、第7も同じように感じますが、とりあえず話しを先へ進めます。
第7の栄養素は、他の栄養素とは何が違うの?...と疑問を持たれたかもしれません。
決定的な違いについてお話します。
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ファイトケミカルの特徴
糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、ファイトケミカル...
栄養素は数が多いのですが、大きく二つに分けて考えることをお勧めします。
- 代謝に関係する栄養素
- 代謝に関係しない栄養素
体にとって重要なのは前者です。これを上手く調節する事が、栄養療法の本質と言えます。
5第栄養素はこれに該当します。
しかし、「ファイトケミカル」は後者になります。
ファイトケミカルまたはフィトケミカル(英: phytochemical)は、植物中に存在する化合物であるとされる。
直訳すると植物性化学物質となり、化学的には毒物などすべてを含む植物中の化学物質全般を指すが。
一般的には「通常の身体機能維持には必要とされないが、健康によい影響を与えるかもしれない植物由来の化合物」を意味する用語として使用されている。
このため、植物栄養素(しょくぶつえいようそ、英: phytonutrient)とも呼ばれる。
「ファイトケミカル」は、必須栄養素ではありません。
通常の身体機能維持には必要とされない
...とあるように、通常の代謝には不要なので、摂取しなくても問題なく、当然欠乏症もありません。
あったらいいけど、なくてもいい...
「ファイトケミカル」は、名前の響きから、なんだか凄いパワーがありそうですが、代謝に関係ない時点で、栄養素としての重要度は低いです。
ここがポイントです。
5大栄養素が本質なら、
「ファイトケミカル」は、それ以外の枝葉の栄養素です。もちろん、第6の栄養素と言われる「食物繊維」も同等です。
ファイトケミカルが重要ではない理由
健康を語る上で重要なのは、枝葉ではなく、本質である「代謝に関係する5大栄養素」です。
そして、5大栄養素が以下のような状態だと体に問題が起きます。
- 糖質 過多
- タンパク質 不足
- 脂質 不足
- ビタミン 不足
- ミネラル 不足
例えカロリーが足りていても、このように栄養の質が悪い状態の事を「質的な栄養失調」と言います。
その結果、体の材料不足、エネルギー不足、代謝の悪化に繋がるので、慢性疾患になったり、そこまではいかなくても虚弱体質になったりします。
ちなみに、「バランスの良い食事」は、人間の体の構造を無視した栄養モデルなので、これを食べていると「質的な栄養失調」になります。
もちろん、「バランスの良い食事」をしている限り改善しません。
「質的な栄養失調」は、以下のようにして改善させます。食事だけに頼るのではなく、プロテインやサプリメントを使うと効果が速いです。
糖質過多 → 糖質を制限する
タンパク質不足 → タンパク質を補う
脂質不足 → 脂質を補う
ビタミン不足 → ビタミンを補う
ミネラル不足 → ミネラルを補う
一方、「ファイトケミカル」は、必須栄養素ではないので重要ではありませんし、摂らなくても「質的な栄養失調」には該当しません。
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ビタミン様物質との違い
わざわざ摂取する必要はないけど、なんだか重要な働きをしてくれそうな栄養素が「ファイトケミカル」です。
同じように、わざわざ摂取する必要はないけど、重要な働きをしている栄養素があります。
「ファイトケミカル」とごっちゃになってはいけないので、その栄養素の事も説明しておきましょう。
以下の物質を見て下さい。
- α-リポ酸
- カルニチン
- ユビキノン
- イノシット
- コリン
健康食品の中に配合されていたりするので聞いた事があると思いますが、これらは「ファイトケミカル」ではなく、「ビタミン様物質」です。
「ビタミン様物質(ビタミン関連化合物)」とは、代謝に重要な影響を与えるけど、体内で合成することができる有機化合物の事です。
わざわざ摂る必要がない栄養素...という部分では「ファイトケミカル」と同じですが、代謝に深く関わっている点が決定的に違います。
要約します。
- ファイトケミカル・・・代謝に不要・摂取する必要はない
- ビタミン様物質・・・・代謝に必要・摂取する必要はない
「ビタミン様物質」は、「ビタミン」に似た生理作用を持ちます。両者は代謝に必要で、違いは合成できるか、できないかです。
こちらも要約します。
- ビタミン・・・・・・代謝に必要、合成できないので摂取する必要がある
- ビタミン様物質・・・代謝に必要、合成できるので摂取する必要はない
ビタミン様物質は合成できる...とはいっても、仮に、「合成が行なわれる臓器」が壊れていたり、「合成に必要な材料」が不足したら、不足します。
また、年齢と共に合成能力が衰える事も考慮します。
その場合は、代謝に必要な物質が不足するとマズいので、サプリ等で必要量を補うと効果的です。
ただし、値段的には ビタミン < ビタミン様物質 な感じがします。
以上のような理由から、「ビタミン様物質」は、不足に注意した方がいいと考えています。
一方、「ファイトケミカル」は、代謝にも関係なく、摂取の必要もないので、「不足している」と思い込んでうろたえる必要はないと考えています。
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ファイトケミカルを摂る場合の注意点
私は健康管理の為にサプリの使用を推奨しています。
プロテイン、ビタミン、ミネラル、そして、先ほど紹介したビタミン様物質です。
その為か、時々、「〇〇のサプリは飲んだ方がいいでしょうか」
...と聞いた事がないような成分が入った国産サプリについて質問してくる方がおられます。
その成分のほとんどは、「ファイトケミカル」に該当するものです。
ここでちょっと考えて欲しいのですが、
栄養状態が問題で体の調子が悪くなる場合、原因は、「代謝に関係している栄養素」の欠乏か、
「代謝に悪影響を与える糖質」を過剰に摂りすぎているから...と言い切っても過言ではありません。
つまり、「質的な栄養失調」の状態です。
決して、代謝に関係ない「ファイトケミカル」が不足することで、体に不具合が起きているわけではありません。
「聞いた事がないような成分」に依存して生きているわけではないからです。
ここを間違えないようにして下さい。
当ブログで紹介している「メガビタミン」や「メガプロテイン」は、栄養が不足しているから、足りるまで増量していきます。
不足しているからこそ、補うと効果を発揮するのです。
「ファイトケミカル」は夢の成分のようなイメージで宣伝されていますが、
本来必要でもない、不足してもいない、欠乏症が存在しない栄養素を無理して補うことが、そんなに重要な事なのか...よく考えて下さい。
効果が全くない...とは言いませんが、優先順位はかなり下の方です。
それを取り入れるより先にやるべき事があるでしょう...と言いたいです。
「代謝に関係する基礎的な栄養素」を整えずに、いきなり「ファイトケミカル」を選択しようとするのは、賢い判断ではありません。
むしろ、「ファイトケミカル」を摂取することで安心して、必須栄養素の欠乏や、糖質の過剰摂取をそのまま放置する方が問題です。
それに、代謝に関係する栄養素の改善を無視して、先に「ファイトケミカル」を補ったところで、効果はしれているでしょう。
...というのも、栄養の摂り方には、効果が上がる優先順位があるからです。
例えば、タンパク質不足のまま、ビタミン、ミネラルをたくさん摂取しても効果が半減します。
『精神科医こてつ名誉院長のブログ「質的な栄養失調」を「鉄タンパク不足」と呼ぶ理由』より引用
「質的な栄養失調」を「鉄タンパク不足」と呼ぶ理由
「質的な栄養失調」=糖質過多+タンパク不足+脂肪酸不足+ビタミン不足+ミネラル不足
「質的な栄養失調」と言っても一般の人には意味不明だと思うので、「鉄タンパク不足」と呼んでいます
これなら一般の人でもイメージが出来やすいはずです
なぜ、鉄タンパク不足と言うのか?
その理由について解説します
1.鉄、タンパク質は生体の構造そのものである
生体はタンパク質を作っては壊しを繰り返しており、動的平衡状態にある
この事が生きていることと同義
タンパク不足=タンパク質代謝の低下=生命力の低下
タンパク不足では脂肪酸の吸収能力も低下し、燃料不足になります
鉄はミトコンドリア膜にあり、電子伝達系には必須です
鉄不足→電子伝達系機能低下→クエン酸回路機能低下→ATP不足、嫌気性解糖主導
つまり、鉄不足では脂肪酸を燃料として使用できなくなります
鉄不足=ATP不足=生命力の低下
2.生体膜成分、燃料としての脂肪酸
細胞膜、ミトコンドリア膜、核膜などの生体膜は、不飽和脂肪酸ーリン脂質ー飽和脂肪酸の二重膜構造
不飽和脂肪酸のω6を減らしてω3を増やすと体内の慢性炎症を軽減します
脂肪酸は好気性解糖(ミトコンドリアにおけるクエン酸回路+電子伝達系)の燃料となります
ちなみにグルコースは燃料として使用されるがグリコーゲン(燃料の貯蔵)以外は体の成分にはなりません
グルコースが不完全燃焼するとピルビン酸が乳酸に変わる嫌気性解糖主導となります
3.エネルギー代謝の補酵素としてのビタミン、ミネラル
B群、Mg、Znはエネルギー代謝の補酵素です
グルコースが好気性解糖に入るためにはピルビン酸をアセチルCoAに変換する必要があります
ピルビン酸→アセチルCoAの補酵素は、B1、B2、ナイアシン、B5、αリポ酸
クエン酸回路の補酵素は、B群、Mg、Zn
上記に加え、CoQ10、αリポ酸、Lアセチルカルニチンなども有用なはず
つまり、1→2→3の順番で栄養を改善させれば最も効率的に改善できるはず
手順前後があると効果が乏しくて非効率的なはず
すなわち、1、2を改善せずにCoQ10を飲んでも全く無意味
「ビタミン様物質」でさえ、優先順位は下の方なのです。
「ファイトケミカル」がそれより重要だと考えるのは、判断基準に問題があると言えます。
代謝に関係する栄養を十分摂取して、それでも思ったような効果が出ない場合、+アルファとして「ファイトケミカル」を取り入れる...順番としてはこれが1番無駄がなく、効果的です。
この事を頭に入れた上で、「ファイトケミカル」の効能をみていきます。
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有益なファイトケミカル一例
代謝に関係ないのに、何故こんなに「ファイトケミカル」がもてはやされているかというと、例えば、以下のようなメリットがあるからです。
- 抗菌作用
- がん予防
- 免疫力強化
- 肥満予防
このように、病気の予防や身体機能を整える働きが期待されているわけです。
その種類はとても多く、だいたい1500種類見つかっているそうです。10000種類以上ある...との見解もあります。
良い成分もありますが、毒に利用されるくらいなので、ダメージを与えるような成分もあります。
ここでは、良い成分を紹介します。
唐辛子に含まれているカプサイシン
- 肥満予防
- 血行を良くする
- 殺菌作用
生姜に含まれているジンゲロール
- 血行を促進
- 殺菌作用
- 抗酸化作用
トマトに含まれているリコピン
- 抗酸化作用が強い(ビタミンEの100倍以上)
- 血糖値を下げる
- 動脈硬化の予防
お茶に含まれているポリフェノール
- 抗酸化作用
- 血圧を下げる
- 癌予防
ニンニクや玉ねぎに含まれているアリシン
- 疲労回復
- 殺菌作用
- コレステロール値を抑制
- 血流を正常化
- 血糖値を抑制
唐辛子、生姜、ニンニク、玉ねぎ、トマト、お茶...ここで紹介した食品は、私の大好きなものです。糖質制限をする前は、ほぼ毎日のように摂取していました。
しかし、言われているような効果を感じた事はありませんでした。
生姜を生でかじると異常発汗し、真冬に薄着で外に出ても暑くなりますが、それは一時的な反応です。
サケやイクラに含まれる赤い色素であるアスタキサンチンも、ファイトケミカルです。
これは「藻」や「プランクトン」が作るアスタキサンチンを食べて体に取り込んでいるので、魚が合成しているわけではありません。アスタキサンチンは、ビタミンEの1000倍の抗酸化力があります。
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スパイス(香辛料)の効能
スパイスには、ビタミンやミネラルの他に、ファイトケミカルも含まれています。
効能も多く、国によっては、家庭で香辛料を薬代わりに使用します。
すごく良さそうなので、20代前半から私も真似していました。
しかし、私は普通の日本人より、多くスパイスを食べていましたが、普通の人より体が弱かったです。
「質的な栄養失調」の状態では、第7の栄養素を摂ってもあまり意味がありません。
そして、ビタミン・ミネラルが豊富でも、糖質過多、タンパク質不足の状態では、効果が半減します。
なので、実際に使用し続けた感想としては、大したことはありません。
効能を感じたのは、歯が痛い時にクローブを噛んでいたら痛みがかなり楽になったり、包丁で指を切った時にターメリックで止血できたことでしょうか...。
あと、寒い日にグリーンチリをかじると、一時的に汗がでるほど暑くなるので、暖め効果があるのは間違いありません。
確かに効能はあるのですが、どちらかというとこれらの反応は薬的な要素が強く、対処療法のような気がします。
その為か、慢性的な症状であった、寒がりも、花粉症も、胃もたれも全く改善しませんでした。
スパイスには、「ファイトケミカル」だけでなく、ビタミンやミネラルも含まれていますが、サプリを使った栄養療法のような効果は期待できません。
だから今では、スパイスは、香りを楽しむ嗜好品として摂取しています。
以下は私がよく使っていたスパイスなのですが、効能の一部を紹介します。
クミン
- 食欲増進
- 消化促進
- 癌予防
- 貧血予防
コリアンダー(パクチー、香菜の種子)
- 抗菌作用
- デトックス効果
- 美肌効果
- 消化器官の不調の改善
マスタード
- 抗炎症作用
- 筋肉痛の緩和
- 癌予防
- 糖尿病予防
- コレステロール値を下げる
ターメリック
- 美肌効果
- 止血効果
- 防腐効果
- 抗炎症作用
カルダモン
- 抗炎症作用
- 花粉症の改善
- 疲労回復
- 体を暖める
シナモン
- 抗糖化作用
- 抗酸化作用
- 血糖値の安定
- 殺菌作用
クローブ
- 殺菌・防腐作用
- 抗酸化作用
- 消化促進
- 歯痛がマシになる
ブラックペッパー
- 血行促進
- 消化機能を整える
- 殺菌・防腐作用
- 栄養の吸収率を上げる
- 抗酸化作用
次は「ファイトケミカル」の悪い面についてお話します。
ファイトケミカルの危険性
実は「ファイトケミカル」の危険性についての情報は少ないです。
では、安全なのかというと、私はそうは思いません。
何故なら、ファイトケミカルは、成分によっては、毒になるわけですから。
それなのに、良いことばっかりが強調されているので胡散臭く感じます。
『THE ROUND TABLE 騙されるな。有機野菜が「美味しくて、健康的」とは限らない。』より引用
フィトケミカルが、人間の体に良いとは言えない(虫や動物に悪い成分=人間にも悪影響がある場合が当然ある。
むしろ、植物が作り出す天然化学成分の方が、残留化学農薬よりもはるかに危険である場合も指摘されている。)
『日刊ゲンダイ ヘルスケア 免疫力アップと注目だが 「ファイトケミカル」の落とし穴』より引用
女子栄養大学副学長で、分子栄養学の専門家である香川靖雄栄養学部教授に聞いた。
■遺伝子によっては健康被害も
生物に欠かせない糖質、脂質、タンパク質、ビタミンなどの栄養素は、それをつくったり、利用したり、分解する酵素や遺伝子はほぼ共通で数も限られている。
そのため個別に代謝酵素が用意されており、人種差や個体差は比較的小さい。
しかし、ファイトケミカルはそうではない、という。
「ファイトケミカルは薬、お酒、たばこと同じで生体にとってゼノバイオティクス(異物)です。
その種類が極度に多いので個別の代謝酵素でなく、第1相解毒、第2相解毒というゼノバイオティクス共通の2つの装置によって代謝されます。
そのため、人種や個体により吸収・分解の能力に大きな差があります。
その結果、期待したようなメリットが表れず、健康被害となる恐れもあるのです」
もし「ファイトケミカル」に抗酸化作用や抗癌作用があるなら、この世で1番癌になりにくいのは、ベジタリアンということになります。
しかし、ベジタリアンはシワが多いですし、普通に癌で亡くなられます。
癌と言えば、
「ファイトケミカル」を推奨する人達は、抗癌作用をやたらと強調するくせに、癌の本質である
糖質の過剰摂取(つまり質的な栄養失調)
↓
乳酸の蓄積
...については、一切触れません。
解決すべき順番が間違っている事は先に述べた通りです。
もう少し詳しく説明します。
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ファイトケミカルのメリットに隠れるデメリット
ファイトケミカルについての情報を探すと、やたらと強調されている事があります。
要約するとこうです。
- ファイトケミカルは抗酸化力があるので、たくさん野菜を摂取しましょう。
- 特定のファイトケミカルだけを多量に摂取するのではなく、多くの種類を摂る方が良い。サプリメントもいいが、バランスの良い食事を摂りましょう。
...お気づきでしょうか。
慢性疾患の最も大きな原因である「糖質」を食べさせようとする手口が、ここでも使用されています。
「ファイトケミカル」を薦めているように見えますが、「糖質」を薦めているのです。
私はこれまでも、野菜や果物、食物繊維のメリットばかりを強調して、そこに含まれている「糖質」をたっぷり食べさせようとする論調に注意した方がいいと主張してきました。
野菜や果物は健康的というイメージの盲点。ビタミン・ミネラルに注目しすぎる事で気付かれない糖質の害
以下のような話の展開になったら注意が必要です。
- 糖質を多く含む食べ物の抗酸化成分だけを強調する
- 「バランスの良い食事」が良い物であるかのように見せかけて、糖質中心の食事を食べさせようとする
この結果、実践した人に待っているのは、糖化と、乳酸の蓄積です。
話の流れはこうです。
野菜や果物はビタミン・ミネラルが豊富に含まれているからしっかり食べましょう...と宣伝する(実は品種改良のやりすぎでビタミン・ミネラルはわずかで、糖質が高い状態なのを隠している)。
↓
それを食べた人は糖質の害を受けるので健康被害に合う
腸内環境を整える為に食物繊維をとりましょう...と宣伝する(実は人間の腸の構造は食物繊維が負担である事を隠す)。
↓
食物繊維は糖質とセットになっているので、結局、食物繊維を食べる為に糖質も過剰摂取してしまう。
↓
それを食べた人は糖質の害を受けるので健康被害に。
この構図が繰り返されているにすぎません。
動物食性動物である人間に、「ファイトケミカル」を口実にして、植物性の食品、つまり糖質を食べる理由づけを行なっているのです。
そんなことを意図的にするか?...と思われるかもしれませんが、根拠はあります。
「抗酸化」ばかりを強調しているからです。
植物性の食品を美化する人は、「糖化」や「乳酸の蓄積」に触れないか、触れたとしても弱小に扱います。
まず、この状況をおかしいと感じるべきです。
何故なら、「酸化」と「糖化」は、密接に関係しているからです。
『医療法人社団医献会 辻クリニック facebook 2012年11月19日』より引用
人の3大劣化は『酸化』『糖化』『炎症』であり、こがれらはすべてリンクする化学反応である。
*糖化→AGEs(糖化最終産物)→活性酸素発生、炎症発生
*活性酸素→酸化、炎症反応発動
(中略)
この『タンパク質劣化』が
*皮膚で起これば?
*血管で起これば?
*神経細胞で起これば?
*筋肉で起これば?
*骨/関節軟骨で起これば?
*肝臓で起これば?
*腎臓で起これば?
と考えれば、『老化と疾患』が理解できる。
カラダの中で細胞レベルで発生する『酸化・糖化・炎症』を止めない限り、いくら外から治療(内科的・外科的含め)を施したところで、最終的には「モグラ叩き」と同じように対処きしれないことは明らかである。
『予防医療/抗老化医療』というものは
1:酸化・糖化・炎症の素を減らす努力(生活改善)
2:抗酸化・抗糖化・抗炎症
が同時に行われることによってその効果を最大限にすることができる。
そして、医療が提供できるのは『2』であり、『1』は本人の自覚のもとに行われなくてはならない。このことをしっかりと伝えることも、医療の役割のひとつであろうと考えている。
「糖化」が活性酸素を発生させて、それが「酸化」の原因になるのですから、
「酸化」ばかり叩いて、「糖化」に触れない...というのは酷い矛盾です。
本当に不健康なものを避けて欲しいなら、「酸化」と「糖化」のリスクを両方扱うのがフェアです。
また、糖質の摂取は「糖化」だけでなく、「乳酸」が蓄積しやすいという問題もあります。
この乳酸もまた酸化の原因です。
『ガンの特効薬はミトコンドリア賦活剤 乳酸はpH5の酸化剤で電子を奪う物質』より引用
乳酸は、相手を酸化させる酸化剤です。
乳酸=酸化剤→相手を酸化させる物質→相手から電子(e-)を奪う物質だと連鎖的に分からないといけません。
糖質の摂取 → 糖化 → 酸化
糖質の摂取 → 不完全燃焼だと乳酸が発生 → 酸化
「酸化」を問題視するのであれば、野菜や果物等からの糖質の摂取を問題視するべきです。
また、酸化の原因になる「乳酸」ですが、これが癌の根本的な原因です。
大量に摂取した糖質の代謝のせいで、ビタミンB群が不足するので、代謝が不完全燃焼になります。
そうなると、「乳酸」が発生し、蓄積していきます。
行き着くのは「癌」をはじめとした慢性疾患です。
癌予防の為に抗酸化作用の重要性を訴えながら、糖質中心の「バランスの良い食事」を薦めてはいけないのはこういう理由です。
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ファイトケミカルのスープやジュースを癌予防に飲んではいけない
「ファイトケミカル」を目的に、野菜や果物をたくさん摂ったら糖質過多になり、確実に糖質の害を受けます。
例えば、「糖化」は細胞の劣化で、「老化」とイコールなので、アンチエイジングどころではありません。
ローフーディストやベジタリアンの真実。肉を避け野菜や果物を多く食べる人に見られる肌の特徴と、健康上の問題
ファイトケミカルの効能と同時に、糖質の害も受けている...と認識するべきです。
私の経験上、
ファイトケミカルの効能 < 糖質の害
...ですね。
ファイトケミカルのスープや、ファイトケミカルのジュースは、高糖質ドリンクです。
これを健康や美容の為に飲まれる方は多いですが、体にダメージを与えます。
最悪なのは、癌予防と称して野菜や果物のスープや、ジュースを飲む事です。
これらを飲む事で摂取してしまうブドウ糖は、癌細胞の大好物なので癌を育ててしまいます。
抗癌作用があるから...という理由で、野菜から「ファイトケミカル」を積極的に摂取するよう薦める傾向があります。
これはとんでもない話です。
例えば、「抗癌作用があるから、お茶をたくさん飲みましょう」...というなら分かります。
また、「抗癌作用があるから、サプリメントから摂取しましょう」...というのも分かります。
これらは、糖質がほぼないからです。
これなら、糖質の害を抑えて、「ファイトケミカル」の効能だけを上手く摂取できるでしょう。
しかし、「抗癌作用があるから、野菜や果物から摂取しましょう」...というのはおかしな理論です。
「野菜」や「果物」には、糖質がタップリ含まれているので、「ファイトケミカル」は摂れるかもしれませんが、それより多い糖質の害を受けてしまいます。
糖質の摂取を控えないと、癌は改善しませんし、予防にもなりません。
また、免疫力がアップする...等というキャッチコピーも曲者です。
何故なら血糖値が120以上になると、免疫力は75%も低下するからです。
で、血糖値を120以上にする食べ物と言えば、野菜、果物、穀物...といった植物性の食品です。
糖化によって酸化し、癌細胞を増殖させ、免疫力を下げる...
これと引き換えに、植物性の食品からファイトケミカルの効能を手に入れたいでしょうか?
冷静に考えたら割に合いません。
ファイトケミカルを摂るという建前で、糖質をはじめ毒を多く含む植物を摂らせたり、
ファイトケミカルという枝葉に注目させることで、栄養の本質を疎かにさせたり...
ファイトケミカルに走れば走るほど健康からは遠ざかります。
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ファイトケミカルが注目されるもう1つの理由
ファイトケミカルは凄く種類が多いです。
その中には、限られた植物からしか得られない成分もあるでしょう。
それが、流行る理由の1つだと考えています。
消費者側の視点ではなく、それを売る側の視点で見て下さい。
例えば、ビタミンやミネラルのサプリだと、アメリカのiHerbで買えばかなり安いです。
ビタミンやミネラル等の代謝に関係する有名な栄養素の場合は、すでに安くて良い商品があるので、後発組がそれより高い商品を出せば、値段を吊り上げていると思われます。
なので、ライバル社と同じ種類の商品の値段を下げられない企業の場合、「うちの商品は質が良いから値段が高い、安いサプリは質が悪い」...等と言うしかありません。
国産サプリメーカーを扱う人が、海外製品をバカにする時によく言われます。
大企業と闘う力がない企業にとっては、代謝に関係するビタミンやミネラルのサプリは、高く売りづらいので、おいしくないわけです。
一方、メジャーではないファイトケミカルの場合、ライバルが商品化していない成分だと、高く売りやすくなります。
〇〇という山奥の、
〇〇という長寿民族が伝統的に使ってきた、
〇〇という植物から、わずか〇%しかとれない希少な成分
...等と言っておけば、高いサプリを作っても、買う側を納得させやすくなります。
すでに安いものが出回っているビタミンやミネラルでは、この方法は通用しません。
またファイトケミカルは、新しい成分がいくらでも見つかる可能性があります。
ということは、例え他社に真似されて飽和しても、また別の植物から新しい成分が見つかった事にして乗り換えれば、それでまた売ることができます。
...そういう事を考えると、ファイトケミカルが代謝に関係する栄養素を差し置いて注目されるのは、売り手都合のような気がします。
薬として利用できることもあるのでファイトケミカルが全くダメだとは言いません。
しかし、代謝に関係する栄養素以上に重要視する流れになったら要注意です。
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