「ロコモティブ・シンドローム」について色々調べたけど、どの情報も歯切れが悪くて、いまいち納得できない。
もしかしたら、「ロコモティブ・シンドローム」予備軍かも・・・。
そんな不安を抱えている人達の為に、「今何故ロコモティブ・シンドロームが増えているのか」ということと、「ロコモティブ・シンドロームの対策」についてお話します。
その謎を解く鍵は、「メタボリック・シンドローム」にあります。
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原因が曖昧
「ロコモ」と「メタボ」に何の関係があるんだ?
と思われたかもしれませんが、「ロコモ」だけを調べていったら行き詰まります。だから別の角度から見る必要があるのです。
それを説明する前に、まず「ロコモティブ・シンドローム」とは何なのか、基本的な事をおさえておきましょう。
私がこの記事を書く数日前に、以下のようなニュースが流れました。
『若い女性に「ロコモ症候群」が急増 2つのテストで「ロコモ度」診断』より引用
「ロコモ」とは、ロコモティブ・シンドローム(運動器症候群)の略で、関節や筋肉が弱くなり、「座る」「立つ」「歩く」などの日常的に必要な動作ができなくなってしまう状態だ。これが今、若い女性に急増している。
(中略)
ロコモの主な症状は、「歩くとすぐに疲れる」「階段が登りにくい」「つまずきやすい、転びやすい」「椅子から立ち上がりにくい」「重いものを持つとすぐに疲れる」といったものがある。この原因としては、「筋力の低下」「バランス能力の低下」「骨、関節、筋肉の病気」「使わないことによる身体機能の衰え」などが挙げられる。
ロコモアドバイスドクターで東京大学医学部付属病院整形外科・脊椎外科の山田恵子医師によると「もともとロコモというのが、日本語で運動器症候群といって、骨や関節、筋肉、神経などの体を動かす部分、こういったものの障害が原因で、立ったり座ったり、階段を上ったり、簡単な日常生活に必要な移動ができなくなる、もしくは低下している状態」だという。
丸の内で働く20代・30代女性352人にテストを実施した結果、30%の女性に移動機能障害がすでに始まっている傾向が見られ、さらに4%に「障害が進行中」という調査結果が出た。
ロコモの大きな原因は、慢性的な運動不足と言われている。
現代社会では、車による「ドア to ドア」の移動が増えていたり、エレベーターやエスカレーターを使ったりなど、日常的に体を動かす機会が減ってきていることが理由の1つだ。
また、社会人になると運動する機会は極端に減り、男性に比べて女性は筋肉量が少ないため、「ロコモティブ症候群」になりやすいという。さらに、偏った食生活で筋肉や骨、軟骨が適正に作られない、神経細胞の機能が落ちるといったことも大きな要因であると言われている。
原因が曖昧でハッキリしないので、こんなものを読めば、不安になる人もいるでしょう。
この記事で気になった部分は以下です。
>骨や関節、筋肉、神経などの体を動かす部分、こういったものの障害が原因で、立ったり座ったり、階段を上ったり、簡単な日常生活に必要な移動ができなくなる、もしくは低下している状態
↑「骨や関節、筋肉、神経などの体を動かす部分に何故問題が起きるのか」ということが説明されていません。
その辺のことがもう少し知りたいと思ったので、さらに調べてみました。
ロコモティブ症候群(ロコモティブしょうこうぐん、locomotive syndrome)とは、運動器の障害や、衰え(関節可動域の制限やサルコペニア等の筋力低下など加齢や生活習慣が原因といわれる)によって、歩行困難など要介護になるリスクが高まる状態のこと。
一言で言えば、運動器機能不全のことである。
日本整形外科学会が2007年に提唱した呼称(和製英語とされる)で、予防啓発を行っている。ロコモと略されたり、ロコモティブシンドローム、ロコモーティブシンドローム、ロコモーティブ症候群、運動器症候群などと呼ばれることもある。
やはり、ウィキペディアでも
>運動器の障害や、衰え(関節可動域の制限やサルコペニア等の筋力低下など加齢や生活習慣が原因といわれる)
・・・とありますが、いまいちハッキリしません。
「運動器が何故おとろえるのか」、「どんな生活習慣をした場合ロコモになるのか」といった、一番知りたいことが全く説明されていないのです。それが分からなければ、気をつけようがありません。
さらに言わせてもらえば、若い女性に増えている原因もこれでは説明できません。
なったらやっかいだし、原因は分からないし、増えているし、・・・では、心配になります。
しかし、このように「ロコモティブ・シンドローム」についていくら調べても、根本的な原因はでてこないのです。
一応、「症候群(シンドローム)」というのは、「原因がわからない症状」に対してつけられる用語だから、その名前がついている「ロコモ」の根本的な原因が分からないのは仕方のない事なのかもしれません。
これ以上は普通に探しても見つからないので、別の視点から原因を探そうと思いました。
そこで、私が着目したのは「メタボリック・シンドローム」との共通点です。
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「ロコモティブ・シンドローム」と「メタボリック・シンドローム」の共通点
「メタボリック・シンドローム(内臓脂肪症候群)」とは、「内臓脂肪型の肥満」に加えて、「高血糖」、「高血圧」、「脂質異常症」のうち2つ以上の症状がでている状態のことをいいます。
なので、運動器機能不全の「ロコモティブシンドローム」とは全く違う症状ですね。
確かに「症状」というくくりで捕らえれば、2つは別の症状です。
しかし、「社会的な背景」を比べると、この2つはとても良く似ているのです。
「ロコモティブ・シンドローム」に限らず、医療の問題というのは、「医学」「栄養学」の視点だけで見ていたのでは、真相は見えてきません。
なので、「メタボ」と「ロコモ」の概念が登場した背景を考えます。
「ロコモ」は、2007年に「日本整形外科学会」が言い出したものです。
それに対し「メタボ」は、2004年に以下が合同で公表しました。
- 日本肥満学会
- 日本動脈硬化学会
- 日本糖尿病学会
- 日本高血圧学会
- 日本血栓止血学会
- 日本循環器学会
- 日本内科学会
- 日本腎臓学会
「メタボ」は病院、テレビ、サプリメーカー、雑誌・・・等、いたるところで大々的に宣伝されたおかげで、もはや知らない人はいない程常識化しました。「メタボ」にならないように、生活習慣に気をつけている人も多いと思います。
一見、国民の健康の為を思っているかのようにスタートした呼びかけでしたが、蓋を開けてみるととんでもないインチキでした。
診断基準が厳しすぎて、ほとんどの人が「メタボリック・シンドローム」に該当してしまうのです。これによって、本来健康な人まで「メタボ」というレッテルを貼られてしまうようになったのです。
厳しくした理由は、そうすることで、病人(見込み客)を増やせるからです。健康な人からするとたまったもんじゃありません。
2008年の読売新聞で、「メタボリック・シンドローム」の基準を作成した医師達が、製薬会社から寄付金を受け取っていたことが報じられているので、ピンとくる方もいらっしゃると思います。
子飼いの専門家を使って、基準値を厳しくすることのメリットは、たくさんあります。
『メタボリックシンドローム対策市場規模は1兆6000億円 - 富士経済調べ』より引用
富士経済の調査によると、メタボリックシンドローム対策市場の2007年における規模は対前年比14.1%増の1兆4,000億円であり、2008年には同18.7%増の1兆6,613億円に拡大する見込みだ。
なお、同市場には食品や外食・中食商品、一般用医薬品に加え、衣類/機器類/ソフト/ネットサービス/フィットネスクラブなどの商品・サービスを含む。
基準値を捏造する専門家、そしてそれをコントロールする製薬会社が叩かれますが、彼らだけが儲かっているわけではないのです。
「寄付金を貰っていた」というニュースを読んで、
「寄付金を受け取っていた医師は悪い奴だ」
「製薬会社はとんでもない」
・・・と思った人は多いはずです。
でも、彼らを否定しても、もし、自分の勤める会社が「メタボ」を利用して商売をしていた場合は、改善しないわけでしょう。
健康関連とは全く関係ない職業についている人達も、ここで一旦「インチキだった」と納得しても、実際に「メタボ」を指摘されたら不安になるわけでしょう。
お金のやり取りをして、不正な基準値を作った張本人も悪いですが、問題は、このような嘘がバレたのにも関わらず、一向に社会が変わらないことです。
医療問題でバッシングを受けるのはいつも決まって、製薬会社と子飼いの専門家です。彼らを叩けば膿が出るかというとそうではありません。
「メタボリック・シンドローム」のシステムの発明に関わった人達が叩かれても、システム自体が存続しているということは、叩かれた人達は、所詮駒に過ぎないということです。
彼らを隠れ蓑にして、このシステムを維持したい人達がいるということです。
一度ついた嘘は頑ななまでにつき通す
・・・そして、それが繰り返され、常識化してしまえば、ほとんどの人は「これが本当なんだろう」と思ってしまいます。
私は、「メタボリック・シンドローム」の実態を知っていたので、「なんちゃらシンドローム」と名がつくものは、基本、疑ってかかるようにしています。
そこで、引っ掛かったのが、「ロコモティブ・シンドローム」なのです。
私はロコモが若い女性に増えているというニュースを読むまでは「ロコモ」のことは知りませんでしたが、記事を読むにつれ、健康な人を病人に仕立て上げた「メタボ」と同じ流れになるのではと感じました。
その理由を説明します。
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これでもかと煽ってくる「ロコモティブ・シンドローム」
「メタボ」はこれまで相当煽られてきたので、私があえて説明するまでもありません。
ここで注目してほしいのは、同じように「ロコモ」も危険性を煽っていることです。
『公益社団法人 日本整形外科学会 もっと知ろう!「ロコモティブ・シンドローム」』より引用
実は、全体の約2割は運動器の障害が原因であることがわかっています。
さらに男女別に見ると、男性は脳卒中が4割を超えて圧倒的に多いのですが、一方、全要介護者の約7割を占める女性の場合は3割近くが運動器疾患によるものです。
脳卒中を予防するために重要なことは、高血圧、高コレステロール血症に気をつけること、すなわちメタボリックシンドローム予防ということになります。 一方、女性にとってはロコモ予防が重要ということになります。
介護予防のためには、「男性はメタボに気をつけて、女性はロコモに気をつけよう」というわけです。
ところで、現在ロコモの人口は予備軍も含めて4700万人と言われています。これは、東京大学22世紀医療センターの吉村典子准教授よる和歌山県における調査結果*9によるもので、2000人のレントゲン検査、骨密度検査からの推計値です。
(中略)
ずっと「自分の足で歩ける!」ことが、ロコモ予防の目標です。
特に女性の方、「女性はロコモに気をつけよう!」ですよ。
男性はメタボ、女性はロコモに気をつけろと言っています。男性も女性も、どちらも取りこぼさない念の入れようです。女性に対しては2回も注意を促してくれています。
それにしても、4700万人とはおいしい市場ですね。
これだけではありません。もっと、もっと、煽っています。
『6割が「ロコモ」該当 大磯町が2年間の健診まとめ』より引用
歩行能力などを診断する「ロコモ健診」を足掛かりに健康寿命の延伸を目指す大磯町で、2年間にわたる先駆的な取り組みの結果がまとまった。
受診者約800人のうち、6割ほどが骨や関節などが衰える「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)に該当。
体操の継続で改善することも判明し、町などは介護予防に向けた運動機能向上の必要性を訴えている。
(中略)
介護予防の観点からロコモに着目した町は15年、東海大や医療機器メーカー「アルケア」と協力し、特定健康診査(集団健診)に歩行能力や下肢筋力などを測定するロコモ健診を導入。ロコモ判明者には体操教室への参加も促し、改善を図ってきた。
町によると、集団健診の受診者は2年間で2695人(重複あり)。ロコモ健診を初めて受けたのは798人(平均年齢65・8歳、重複なし)で、このうち約6割がロコモに該当した。メタボリック症候群の2割を大幅に上回る値だった。
ご他聞に漏れず大学や医療機器メーカーがからんでいます。
しかも、「ロコモ」の該当者は「メタボ」より多いとのことです。
で、調べてみると、あれこれと理由をつけて、様々な世代に向けて危険を煽っています。
例えば、以下は30代に向けてです。
『PRESIDENT Online 健康寿命考 30代女性、約50%が不安を感じるロコモとは?』より引用
昨年実施された20代から70代以上の男女計5019名を対象にした意識調査(ロコモチャレンジ!推進協議会実施/2014年度ロコモティブシンドローム生活者意識全国調査)で、全体の約半数がロコモに「該当する」および「不安をかなり/やや感じる」と回答。
男性よりも女性のほうが不安度が高く、30代女性ですでに約半数の47.1%、40代、50代の女性は2人に1人が不安を強く感じているという結果が出ています。
続いて40代に向けてです。
『日経トレンディネット メタボより怖いのは「ロコモ」!? 40代からの対策で“大きな差”』より引用
40代男女の5人に4人が“ロコモ予備群”!?
「要介護」「要支援」という言葉を聞いても、働き盛り世代にはまだまだ遠い先の話に思え、ピンと来ないかもしれない。
しかし文科省による新体力テスト調査の結果(平成21年度)では、男女ともに40代後半から体力が低下することが判明。“ロコモ予防”は40代からの対策が必要であることが明らかになった。
現在、ロコモは予備群を含めると約4700万人といわれるが、40歳以上の男女の5人に4人が“ロコモ及び予備群”と推定されているのだ。
続いて50代です。
『SBS イブニングeye 1月16日放送「50代の7割がロコモ及び予備軍 新・国民病 ロコモとは?」』より引用
『ロコモ』 耳慣れない言葉ですが、可愛らしいネーミングとは裏腹に、恐ろしい国民病のことを言います。
運動器、つまり骨や筋肉、関節が衰えて、これをほおっておくと寝たきりになってしまう、またはそのリスクが高い状態のことを言います。
50歳以上のおよそ7割がこのロコモ予備軍と言われているほど…他人事ではありません!!!
さらに、大人だけでなく子供も該当するそうです。
『子供に増える「ロコモ症候群」の症状 原因となる運動不足に注意を』より引用
子どもの「ロコモ症候群」増加。対策は?
ロコモ症候群は、高齢者だけの症状ではない
突然ですが、あなたの子どもはちゃんとしゃがめますか?また、フラつかずに片足立ちができますか?「そんなこと、気にしたことがない」という場合は、子どもができるかどうか試してみてください。
実は今、子どもたちの体に「異変」が起きているのです。
特に基本動作である「(1)片脚立ち左右5秒間ずつ」「(2)肩を180度挙上」「(3)しゃがみ込み」「(4)体前屈」についてチェックしてみましょう。
(1)ではバランス、(2)~(4)では身体のかたさを調べることがでいます。
このうち1つでもできないと、何らかの運動器機能不全を有していることになり、運動器機能調整力不足の状態にあるといえます。
こうした状態を放置したまま成長すると、高齢者に多い「ロコモティブシンドローム(ロコモ症候群/運動器症候群)」になるリスクが高くなると専門家も危機感を募らせているのです。
子供の「ロコモ」については、ウィキペディアにも以下のような事が書かれています。
若年者のロコモティブ症候群
埼玉県医師会(文部科学省からの委託)による検診調査では、幼稚園児から中学生にも、すでに運動器にロコモティブ症候群の兆候が見られる例があったという。
この少年少女のロコモティブ症候群の原因の傾向について、「運動量・運動経験が少ない子」もしくは「運動量は多いが、単一運動・1種目しか運動していない子」の2パターン、
さらに食事による栄養摂取面を要因とする指摘がある(2016年)。
ここまでくると、笑ってしまいます。
該当する世代を書き出してみます。
- 運動量・運動経験が少ない子
- 運動量は多いが、単一運動・1種目しか運動していない子
- 若い女性
- 30代
- 40代
- 50代
なんだかんだ理由をつけて、結局、全ての人が該当するようになっています。
あからさまに「全員が当てはまります」と言えば胡散臭いですが、こうして個別にターゲットを絞って発信することで、「全員、ロコモじゃん!!」と突っ込まれにくくなりますし、情報を受け取った側も「俺(私)のことかも」と思いやすくなります。
俯瞰で見たら全員が該当するようになっているのですが...。
ロコモティブシンドロームのチェック項目
日本整形外科学会が公表している、ロコモティブシンドロームの「自己チェック項目」というのが全部で7つあります。
このうち1つでも当てはまると「ロコモティブシンドロームの可能性がある」と言われています。
試しに当てはまるかどうか確認してみて下さい。
『ロコモチャレンジ! 日本整形外科学会公認 ロコモティブシンドローム予防啓発公式サイト ロコチェック』より引用
1、片脚立ちで靴下がはけない
2、家の中でつまずいたり、滑ったりする
3、階段を上るのに手すりが必要である
4、家のやや重い仕事が困難である(掃除機の使用、布団の上げ下ろしなど)
5、2kg程度の買い物をして持ち帰るのが困難である(1リットルの牛乳2本程度)
6、15分くらい続けて歩くことができない
7、横断歩道を青信号で渡り切れない
どうですか?
該当しない、あぁ良かった・・・と思われた人、
それでも、こんな意見があるので油断なりません。
『日経トレンディネット メタボより怖いのは「ロコモ」!? 40代からの対策で“大きな差”』より引用
この自己チェック項目にあてはまらなかったとしても、安心はできない。
このチェック項目は「今現在すでに運動器がかなり衰えている人」がターゲット。
これは、これまでのロコモ対策は「要介護の一歩手前の人が寝たきりにならずに自立していくために何をするべきか」が狙いだったためだ。
しかしこれからはその前の世代、今まさに働き盛りの人にロコモ予備軍にならないことが重要という考えが広がっている。
そのために日本整形外科学会では、健康な人が「ロコモ予備軍かどうか」をチェックできるガイドラインを作成しようとしているとのことだ。
こうやって、どんどん基準を厳しくしていって、「本来は該当しなかった人」まで病人にしてしまうのです。
私が「メタボと同じだ」と言った意味が分かっていただけたかと思います。あまりにバカらしくて、心配する気も失せますね。
ただ、実際に若者の運動機能が低下しているのは事実です。
だから、安心はできません。
次は現代人の運動機能低下の原因について考えてみます。
若者や子供がロコモティブシンドロームになる原因は、ただの運動不足ではない
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