- 投稿 2017/01/11
- パーツ別 - 歯
本記事は以下の続編です。
根管治療体験⑤悩んでいる時間はない!私が治療途中で歯医者を変えた理由
A歯科で治療したものの、思うような改善が見られず、おまけに、その日に紹介状を書いてもらう事もできませんでした。
痛みと腫れ、しびれが酷い(と自分では思っている)のに、「根の治療中にはよくあることなので」と言われたのです。
でも、自分の感覚では、日に日に酷くなっていて、どう考えてもおかしいのです。素人である自分の感覚を信じるか、A先生の意見を真に受けるかで迷ったのですが、自分の感覚を信じました。
といっても、私は素人です。正確な診断は出来ません。
なので、以前親知らずを抜いてくれた、ちょっと遠い「S歯科の先生」に見てもらう事にしたのです。
A歯科に行ったその日の4時に、S歯科の予約を取ることができました。
我慢するつもりでしたが、痛みが酷く、予約時間の1時間前にロキソニンを飲みました。
まさか、一日に3件の歯科に行く事になるとは思いませんでした(※最初のT病院は診察すらしてもらえなかったので行ったうちにも入りませんが...)。
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細かい説明と柔軟な対応
別のところで治療してもらって、同じ日の午後にS先生に見てもらうことになりました。治療途中の歯を丸投げする形で対処してもらうことになったので申し訳ないと思いました。
ですが、結論から言うとS歯科に来て良かったです。この状態にも関わらず、S先生はとても誠実に対応してくれました。
椅子に座ると、最初、歯科衛生士さんに事情を聞かれたので、経緯を説明しました。
別の歯科で治療してもらったけど、痛みが酷く、腫れやしびれがあること。治療してもらったのに、膿はほとんど取ってもらえなかったので腫れが改善されない事・・・等々、混乱していましたが、伝えられるだけ伝えました。
それを傍で聞いていたS先生がやってきました。
「ちょっと、誤解があったみたいなのですが・・・」
・・・と、いつものように詳しい説明をしてくれました。
その説明によると、なんでも、膿は一度には全部取れないそうなのです。その理由は記憶が飛んで覚えていないのですが、どちらにせよ、説明されたことで納得できました。
そういう説明を受けたのは始めてだったので安心しました。
さらに、昔取ったレントゲンで、現在の状況を想定しながら説明は続きます。
色々と話してくれた後、先生の方から「しびれがあるのが心配だ」と言ってくれました。はじめてこの部分を気にかけてもらえました。
私は思わず、
「ネットで調べたら、「唇に痺れがある場合、大きい病院の口腔外科に見てもらった方が良い」と書いてあったのですが、この痺れは骨髄炎の可能性はありますか?最近撮った画像ではこの数年前のレントゲン写真よりもかなり骨が溶けていたのですが・・・」
そう言うと、
「その可能性は0ではないです。」
と数年前に取ったレントゲンを見て言ってくれました。最近取ったレントゲンほどではないですが、よくみるとその画像でも根の部分がやや黒くなりかけています。
その過去の写真から、現在の状況を推察して、そういう危険性があると示唆してくれたので、私はダメもとで、
前にかかった歯科の先生に、骨髄炎だった場合、なるべく早く対処したいから、大きな病院で検査をしたいことを伝えたら、一度は承諾してくれたものの、後で書かないと言われて不審に思った事、何もなければないでいい、フライングでもいいから、早期発見がしたい事、それらを伝えて、
「紹介状を書いてもらえませんか」と、お願いしました。すると、
「いいですよ」
と、嫌な顔一つせず、快く引き受けてくれました。一瞬の間もなくすんなりとです。
「少し待っていただくようになりますが、お時間は大丈夫ですか?」
と言ってくれました。S先生に一番面倒を押し付けたのですが、誰よりも私の気持ちを汲んでくれ、誠実に対応してくれました。これがどれほど有難かったかは言うまでもありません。
他所で治療していた歯を丸投げしたわけですから、先生も最初は「どこまでいじっていいのかわからない」と言っていました。
S先生のここまでの対応を見て、ここに来ようと決意した私は、「もう行きたくない・・・。治療して下さい。」とお願いしました。
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違う意見
その後、口がどういう状況か、診察をしてもらいました。口の中を見て
S先生:「すごい腫れですね」
と言われました。やっと、そう言ってもらえたので、ちょっとホッとしました。
私:「これでも3分の1は取ってもらったからマシなのですが、これより腫れていたのに「ちょっと、腫れてますね」って言われました。」
S先生:「えっ、そうなんですか」
その後、
S先生:「一部分だけレントゲンを撮らせて下さいね。」
こうして、小さいレントゲンを撮りました。
その後、現在のレントゲン画像を見ながら、再び説明をしてくれました。
●蓋を外してみたら、血の混じった膿がでていたので、外しっぱなしにする。(開放)
●歯の一部だけレントゲンを撮ると歯の根が太くなっていた。それは細菌から守るために太くなった
●そこに膿がたまると上は蓋、下は骨で逃げ場がなくなって圧がどんどん高くなる、腫れて、それがオトガイ神経に障って唇がしびれたのだろうと。
●「ただし、骨が解けているので心配なのが・・・」と言われたので、「骨髄炎とかですか?」と聞くと、「そうですね」と。
●腫れたところは、硬くなっているので骨が変形している可能性がある。時間はかかるけど元に戻るとのこと。
・・・等々、他にも色々と教えてくれたのですが、知らない情報量が多すぎた為、良く覚えていないのです。ですが、考えられる症状のメカニズムと、その対処法等、素人でも分かるように説明してくれました。これによって、自分の置かれている状況が腑に落ちました。
これだったんですよ。私が聞きたかったのは。
この日は、圧が高くなるので、蓋をせずにお薬を詰めて開放し、開いたところに綿をつめてもらいました。替えの綿を出しておくので時々変えて下さいとのことでした。
そして、こんな説明もされました。
S先生:「このまま(膿の)腫れが消えなければ、横から切って膿を取り出す事もできますが、ただし、膿には麻酔が効かないので、相当な激痛が・・・自然と腫れが治まればいいのですが。」
・・・・・・
あぁ、そういうことか!!(心の声)・・・と、思いました。
A歯科で歯茎(頬に近いところ)を切ってもらった時に、麻酔をしてもらったにも関わらず激痛だった理由がようやくわかりました。
要するに麻酔が効いてなかったのです。確かにあれは痛かった。
せっかくですので、その後、腫れた部分に麻酔が効かない理由を調べてみました。
『よしなか歯科クリニック 炎症が強いと麻酔が効きにくいことが多いのはなぜ?』より引用
キーワードは
麻酔効果
酸塩基平衡
pH
です。高校の化学のお話が出てきますが、なるべくわかりやすく書いてみたいと思います。
リドカイン(よしなか歯科クリニックで使用している局所麻酔薬)を代表とする局所麻酔薬は
化学式では
RN・HClという塩酸塩で表されます。それが組織内へ入ると
RNH+⇔RN+H+
という酸塩基平衡の状態になります。
ここで一つ目のキーワードです。
次にこの酸塩基平衡となっているうち、RNの方が神経内へ浸透し、麻酔効果を発現します。
つまり麻酔効果があるのはRNのみとなります。
つまり麻酔液の100%が効果があるわけではないのですね。
ここで二つ目のキーワードです。
次に炎症が起こっている場所でのpHが問題となります。
炎症部位では組織がpHが低くなっています。
酸性に、H+が多く存在しているということになります。
この酸性が多い環境では先ほどの酸塩基平衡がどうなるか?それは
H+の数を減らすように分かれていたRNとH+が結びつき、RNH+の数が多くなります。
つまり麻酔効果のあるRNが少なくなることになります。
そのため麻酔が全く効かないという状況になってしまいます。
これが炎症部分に麻酔が効きにくい理由です。
麻酔が効かないのはこういうことらしいです。
話を元に戻します。
症状が把握できて、麻酔の謎も解けました。治療後、
S先生:「前のところでお薬はもらいましたか?」
私:「はい、これをもらいました。(といってジスロマックを見せる)」
S先生:「じゃあ、お薬は出さなくて大丈夫ですね。」
診察室を出た後、紹介状をもらって帰りました。
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治療で開放してもらった後の状態
S先生の判断、処置が良かったので嬉しい事に、治療後、全く痛くありませんでした。治療後から今にいたるまで一度もロキソニンを飲んでいません。先生の見立て通り、蓋をしない事で中の圧が上がらず、腫れの勢いが無くなったようでした。
ところで、「ジスロマック」という化膿止めは、結構きつかったです。
お腹が緩くなると聞いたのですが、腹には異常なく、飲んで30分後にものすごい倦怠感に襲われました。殺菌効果が半端ないのでしょうが、免疫機能にもダメージを与えているのでは?というくらい強い副作用でした。
前にもらった「メイアクトMS錠100」という化膿止めはこんな事はなかったのですが...。
「抗がん剤は癌を攻撃するけど正常な細胞にもダメージを与える」とはよく聞きますが、「あれと似た様なもんかな」と思いました。
この薬は、一回で止め、前の「メイアクトMS錠100」がまだ残っていたので、そちらを飲む事にしました。
薬の副作用以外は何の問題も起きませんでした。歯の痛みから完全に解放され、この日は4日ぶりに熟睡できました。
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傷みが消え、腫れや痺れが小さくなっていった
朝起きたら、痛みがないだけでなく、腫れとしびれが少し小さくなっていました。
嬉しかったのは舌を動かしても痛くなかったことです。この日から水も普通に飲めました。
しびれの原因が「腫れ」だった為、歯の中に圧がかからないようにすることで、腫れが悪化することもなく、それによるオトガイ神経への圧迫も無くなる、ということだと思います。
しびれが一番怖かったので、これが縮小した時は本当に嬉しかったです。
いきなり完全に治ったりしませんが、S先生の処置を境に症状の悪化が止まり、回復の方向に向かいました。それは、この日だけではなく、これ以降も少しずつ、少しずつ回復していきました。S先生には本当に感謝しています。
しかし、この日は体に激痛が・・・。
ベットから起き上がった途端、前日にこけた時の痛みを感じました。
「あぁ、そういえば階段から落ちたわ」そう思いました。
左大腿骨の上、肋骨 膝、肩、右の上腕二頭骨の上・・・と、体のあちこちに打ち身の痛さがありました。前日、全く痛くなかったのが不思議です。頭蓋骨に響く歯の痛みから解放されたことで、体の痛みを強く感じる気がしました。
でも、歯の痛みに比べたら、全然平気でした。
歯の痛みは座っていても、寝ていても、何をやっていても痛かったですから。無理矢理体を動かして、痛みを紛らわせるくらいしかできませんでした。
ネットを開いても、心配で歯の事ばかり調べていました。「なんとか解決しないとヤバイ」という思いがあったので、他の事が全く手につきませんでした。
痛みと、この先どうなるんだろうという不安から開放されてホッとしました。
その後、S先生に年末までに2回見てもらいましたが、痛みは全く無く、腫れと、しびれの範囲はどんどん狭くなって行きました。炎症が縮小していく感じでした。
そして、年が明けて、紹介状を持って大きな病院の歯科・口腔外科に行ったのでした。年末に救急で診てもらった病院です。
根管治療体験⑦口腔外科にて下唇の腫れや痺れの原因は歯槽骨炎と判明へ続く
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