- 投稿 2018/08/01
- 分かりやすいシリーズ - 男性の健康 - 病気 - 痛風 - 食事
「酸性食品」、「アルカリ性食品」...という判断基準は、「食品そのもののpH」ではなく、「食品に含まれているミネラルの性質」で決まります。
その基準で判断すると、肉は分解すると酸を発生させる「含硫(がんりゅう)アミノ酸」が多く含まれているので、「酸性食品」に属することになります。
「肉は酸性食品だから血液を酸性化させる」...という説について調べると、酸性化させるのは「血液」であるという説と、酸性化させるのは「尿」であるという2つの説に遭遇します。
以下の記事では、酸性食品を摂取しても、血液のpHには影響しない、そのかわり尿のpHは酸性化させる...という話をしました。
酸性食品とアルカリ性食品の定義と影響について分かりやすく説明してみた
酸性食品の動物性タンパク質によって骨粗鬆症になる説の真相と、含硫アミノ酸のメリット
今回はその続きです。
pHがちょっとでも酸性に傾くとヤバイのは「血液」です。
「尿」はそこまでではありませんが、pHが酸性化して全く問題がないわけではありません。
「痛風」の原因とされる「尿酸 にょうさん」の濃度が上がりやすくなるからです。
細胞の構成成分の1つである「プリン体」を分解して、最終的にできるのが「尿酸」です。老廃物ですので、通常は尿として排泄されます。
しかし、「尿のpH」が酸性に傾いた状態だとこうなります。
尿を酸性化させる食べ物(肉等)の過剰摂取
↓
尿のpHが酸性化する
↓
尿酸が溶けにくくなるので排泄されにくくなる
↓
血液中の尿酸値が高くなる(高尿酸血症)
↓
高尿酸血症が続いて、尿酸が結晶化すると痛風になる
この流れでは、「痛風を始めとした疾患になる原因は、肉の過剰摂取による尿酸値の上昇」...と解釈する事ができます。
これも「肉やタンパク質を避ける原因」になるので、本記事では、「尿酸」に焦点をあてます。
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尿酸値とは
「酸性食品ではなく、アルカリ性食品を摂取した方が良い」は、「尿酸値」が高い時にも言われます。
「尿酸値(血清尿酸値、血中尿酸値)」とは、血液中の尿酸の濃度の事です。
尿酸は、尿とともに排出されますし、「尿酸」という字から、「尿の酸性度」を調べるイメージをしてしまいそうですが、そうではありません。
「尿酸値」は血液検査で調べます。
この数値によって、「血液 1dL(100mL)の中に、尿酸が何mg含まれているか」を知ることができます。
正常値は「 4.0~7.0mg/dl」で、
7.0 mg/dl以上...と、尿酸値が高い状態を、「高尿酸血症 こうにょうさんけっしょう」と言います。
ちなみに、「尿酸」と「尿素 にょうそ」も名前が似ているので、間違えないように違いを書いておきます。
- 尿素・・・「タンパク質」が体の外へ捨てられる時の最終的な姿
- 尿酸・・・「核酸」が分解されたり、「ATP」が代謝されたりして、「プリン体」になり、さらに代謝された姿
尿酸とは
「尿酸」は、「プリン体」を分解して最終的にできた物質です。そのパターンがこちらです。
- 食品の摂取によってプリン体を摂取、尿酸へ変換
- 細胞の分解(核酸)によってプリン体が生じ、尿酸へ変換
- 激しい運動(ATP)によってプリン体が生じ、尿酸へ変換
元となった「プリン体」は、食品から摂取するイメージが強いですが、その量はわずか2~3割です。
7~8割は生きているだけで体内で作られています。こちらを簡単に説明します。
- 核酸(細胞の核を構成する)の構成成分 → 古い細胞が分解されるとプリン体が生じる
- ATP(エネルギー物質)の構成成分 → 激しい運動をすると、分解されて尿酸になる
『みたかヘルスケアクリニック 健康で幸せな生活のために。 痛風・高尿酸血症について』より引用
尿酸とはプリン体という物質であり、体内の細胞の老廃物です。
尿酸という言葉は「尿に排泄される酸」という性質に由来しているそうで、通常は代謝の経過で腎臓から燃えカスとして尿と共に一定量排泄されるものです。
尿酸の血液内における濃度、いわゆる尿酸の基準値は、おおよそ「 4.0~7.0mg/dl位」が正常とされています。
ふつう体内では、毎日0.5g程の新たな尿酸が自己生成され、更に食物から0.1g程を吸収されて、常に体内外を循環しています。
作られた「尿酸」のその後です。
- 体内で一定量ためられる(尿酸プールと呼ぶ)
- 「余分な尿酸」は7割が尿、3割が汗や便として排泄される
「尿酸」の産生と排泄のバランスがくずれると、尿酸値は上がります。
- 尿酸がたくさん作られる → 尿酸値が上がる
- 尿酸が排泄されない → 尿酸値が上がる
ここからは、後者についてお話します。
血液の尿酸値が高くなる原因の1つに、「尿のpHの酸性化」があります。というのも、尿酸には、以下のような特徴があるからです。
- 「アルカリ性の尿」に溶けやすい
- 「酸性の尿」に溶けにくい
このような性質があるので、尿が酸性に傾くと「尿酸」が溶けにくくなって、体の外に排泄されにくくなります。
その結果、血液中の尿酸の濃度が上がります。
『KIRANAHLIFE 尿酸値が気になる皆様。ぜひ血液pHを気にしてください。』より引用
②尿が酸性であると血液に尿酸が増加。
pH5.5以下の尿には尿酸が排出されなかったという報告があります。尿酸の溶解度の影響だと考えられます。
pH7.4付近である血液には尿酸はよく溶けますが、高度にpHが制御されていなければ命にかかわるので尿酸濃度が高まってもH+が優先的に腎臓に排出されると考えられます。
すると腎臓のpHは酸性側になり、腎臓では血液の尿酸は排出されず血液中に留まり、肝臓からは新たな尿酸が供給されますので血中の尿酸値は上昇します。
だから、尿を酸性化させる「酸性食品」を控えよう...という対処法があるわけです。
次は、尿酸値が上がった場合、体にどんな問題が起きるのか説明します。
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尿酸値が上がることで起きる疾患
尿酸値が7.0mg/dL以上が「高尿酸血症」です。
この状態が長期化すると、尿酸が結晶化して全身で悪さをする...と言われています。結晶化した尿酸によって、以下のような疾患になります。
- 関節に溜まる → 痛風
- 皮下組織や関節などに沈着 →「 痛風結節」を作る
- 腎臓の中に沈着 → 痛風腎を引き起こして腎臓の機能を低下させる。腎不全(老廃物を尿として排泄できない)になれば透析になる
こうなると、尿を酸性化させる食品である肉を食べない方が良い...と考えさせられてしまいます。
動物性食品の摂取は尿が酸性になる
動物食性(肉食)動物の尿は、酸性です。
「含硫アミノ酸」の影響なのでしょう。
健常者の尿は、ほとんどが弱酸性(pH6.0〜6.5前後)です。
しかし、尿のpHは食べ物や運動などの生活習慣によって大きく変動するので、健常者でもpH4.5~8.0の間で変動します。
アルカリ尿と診断されるのはpH8.5以上、酸性尿と診断されるのはpH4.5以下とされています。
肉食動物の尿は酸性側で、猫だとpH5.5 ~7.0くらいだそうです。
草食動物之尿はアルカリ性側で、ウサギだとpH7.6~8.8くらいだそうです。
動物食性(肉食)動物の尿は酸性ですが、痛風はありません。
彼らの体の構造が、「尿酸」が溜まりにくい仕組みになっているからです。
人間も肉食(動物食性)動物ですが、彼らと違うのはこの部分です。
尿酸を分解する酵素ウリカーゼ
多くの動物は、「ウリカーゼ(別名:尿酸オキシダーゼ)」という酵素を持っています。
この酵素は、「尿酸」をさらに「アラントイン」という無害な物質に分解します。そのおかげで、「尿酸」が蓄積しないのです。
核酸
↓
プリン体
↓
尿酸
↓
ヒドロキシイソ尿酸
↓
アラントイン
例え肉ばかりを食べて尿が酸性に傾いたとしても、「尿酸」が溜まりにくい体の構造なので害はありません。痛風にもなりません。
一方、人間や一部の霊長類は、「ウリカーゼ」を持っていません。このような肝臓のシステムでは、分解は「尿酸」止まりなので蓄積しやすいです。
尿酸はほとんどの動物では分解され、体内にたまりません。
ところが人間と一部の霊長類は尿酸を分解する酵素(尿酸酸化酵素)が遺伝的に欠損しており(遺伝子はあるが壊れています)、尿酸がたまる傾向があります。
核酸
↓
プリン体
↓
尿酸(ここまで)
「尿酸」を「無害な物質」に分解できない以上、溜め込まないのが理想。その為には、「尿酸」の排泄を妨げる原因になる「酸性食品」の摂取を控えた方が良い...という理屈になります。
人間は、胃や腸は動物食性動物の構造をしていますが、肝臓のこのシステムは、動物食性に向いていないようにも見えます。
何故人間には「尿酸を分解するウリカーゼ」がないのか?考えられる理由は後でお話します。
とりあえず先に、「尿酸が蓄積しやすい体の構造の人間」が、肉食をするとどうなるのかを見ていきます。
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糖質制限による高タンパクで尿酸値は上がるのか
「酸性食品である動物性食品」の大量摂取によって、尿が酸性化し、それによって「尿酸」が排出されにくくなり、血中の尿酸値が上がる...という流れでした。
すると、動物性食品を大量に食べている糖質制限実践者は、尿酸値が高い事になります。
どうやら、そうなるみたいです。
まず、私自身の体験談から。
糖質制限を開始して、尿酸値、上がりました。
ずっと5台だった尿酸値が、半年で7まで上昇。
しかし、また半年で5台へ低下しています。
代謝に切り替わりとともに上昇、代謝が安定してくると下降してくるのだと考えています。
痛風発作も起きず、結果として5台へ戻ったので、全く支障はありませんでした。
また実際に尿酸値が12でも発作が起きない方もいれば、尿酸値7をきった6.8でも発作が起きる人もいます。
また、江部医師の話も参考になります。
『ドクター江部の糖尿病徒然日記 糖質制限食と血清尿酸値について。2015年3月。』より引用
尿酸値に関しては、糖質制限食実践で、減少する人、不変の人、増加する人と個人差が大きいです。
もともと尿酸が高値だったのが糖質制限食で基準値になる人がいますが、これは問題ないですね。
肥満がある人が糖質制限食で減量に成功したら、尿酸値が基準値になることは考えられます。
もともと尿酸値は正常だったのに、糖質制限食実践で高値となる人がいます。
一番多いのは、低カロリー過ぎた場合です。
糖質制限食開始後、急に尿酸値が上昇したときは、大多数の人が、摂取エネルギー不足でした。
2012年4月4日の毎日新聞の記事によれば、『激しい関節痛を起こす痛風の発症は、原因物質の尿酸を尿から出す機能だけでなく、腸から排出する機能が低下することも一因』とのことです。
『尿酸は3分の2が腎臓から、3分の1が腸から排出される』とは、初めて知りました。
この腸からの排泄機能も、個人差に関係しているのでしょうね。
体内で尿酸をつくり過ぎるか、尿からの排泄が悪いため、高尿酸血症になると考えられてきましたが、これらに腸からの排泄障害も加わることとなりました。
あくまでも私見ですが、この腸からの尿酸排泄は、生活習慣やストレスの影響を一番受けやすいような気がしますね。
ただ、低カロリーすぎると、どんな内容の食事でも、尿酸値が上昇するので注意が必要です。
例えば断食(絶食)をすると、尿酸値は急激に上昇します。断食前6mg/dlが、断食中は9~10mg/dlに上昇したりします。
さて糖質制限食を実践すれば、相対的に高タンパク・高脂質食となります。一般に高タンパク食だと尿酸値が上昇するとされていますが、ことはそれほど単純ではありません。
例えば、江部康二は、2002年以来13年間、スーパー糖質制限食実践で130g~150g/日のタンパク質を摂取していて、かなりの高タンパク食です。
しかしながら、尿酸値はこの10年間、一貫して2.4~3.5mg/dl(3.4~7.0)程度と低い方です。
尿酸は体内の酸化ストレスに対抗する物質という説があります。
私はスーパー糖質制限食で体内の酸化ストレスが少ないので、尿酸も少なくてすんでいるというポジティブな仮説もありかと考えています。
通常、糖質制限食でいったん尿酸値が上昇した人も、摂取エネルギーが足りているならば、数ヶ月~1年で元の値に戻ることが多いので経過をみることが多いです。
ただ、過去痛風発作を起こしたことがある人は、内服も考慮する必要があります。過去痛風発作を起こしたことがない場合は、尿酸8~9mg/dlとかでも、経過をみてよいと思います。
過去尿路結石のあった人や家系的に腎臓結石持の方々は、尿酸が高値となったときは、梅干しを食べるとか、わかめ・ほうれん草・大根・キャベツ・茄子・しいたけなど摂取で尿をアルカリに保って尿酸が結晶化しにくいようして、尿酸値が基準値にもどるのを待つのが安全と思います。
尿酸値は、従来、肉の摂りすぎや、ビールの飲み過ぎで高値となるということが常識だったのですが、食事由来の尿酸は約100mgで、一日に生産される総量約700mgに比し、かなり少ないということが判明しました。
自らが痛風患者であり、痛風専門医でもある、元鹿児島大学病院内科教授、納(おさめ)光弘先生によれば、食事よりストレスや肥満のほうが、尿酸値への影響が多いことがわかってきました。
長いので要約します。
- 糖質制限による尿酸値の変化は個人差が大きい
- 糖質制限によって尿酸値が上昇する事があるが、一定の期間が過ぎると元に戻ることも多い
- 尿酸は腎臓だけでなく、腸からも排泄される
- 尿酸値はカロリー不足で高くなる
- 尿酸値はストレスの影響を受ける
- 過去に通風発作を起こした事がある人はアルカリ性食品を食べた方がよい
そして、糖質制限と言えば「ケトン体」です。
ケトン体と尿酸値
「ケトン体」は酸性物質なので、これの影響でも尿酸値は上昇するようです。
『糖尿病ネットワーク 31. 痛風・高尿酸血症と糖尿病』より引用
なお、減量を急ぐあまり、絶食するなど極端に摂取カロリーを減らしすぎると、体内でエネルギー源として脂肪が利用される結果、ケトン体が発生します(ケトーシス)。
血液中のケトン体濃度が高くなると尿酸は排泄されにくくなり、尿酸値が逆に上昇してしまいます。
肉食中心は尿酸値が上がる要素があるのは間違いありませんね。
ケトン体と尿酸値についてはあまり情報がないので、ケトン体の値が高い人の尿酸値の情報が見つかれば書き加えます。
余談ですが、酸性物質のケトン体によって血液は酸性化しないそうです。
『ガンの特効薬はミトコンドリア賦活剤 ブドウ糖を絶てばがん細胞は死滅する!』より引用
「絶食と同じような効果があって体力も栄養状態も悪化させない食事療法としてケトン食があります。」
正常細胞はケトン体を使ってATPを作ることができますが、ガン細胞はケトン体を利用できません。
つまりミトコンドリアはケトン体をエネルギー源として利用できますが、解糖系はケトン体を利用できないということです。
ケトン体は酸性物質ですが、ミトコンドリアがケトン体をATPに変えられるので、身体が酸性に傾かないようです。
糖質制限食の第一人者である江部医師は、スーパー糖質制限食を実践してケトン体の値が高いのですが、血液のpHは7.45で充分な弱アルカリ性でした。
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尿酸値が上がる原因
糖質制限をしていると、動物性食品中心になりますし、ケトン体を利用するようになります。
尿酸値が上がる条件は揃っていますが、それでも、必ず高くなるわけではありません。
他の原因もからんでいるので、もっと大局的に分析する必要があります。
痛風にならないように気をつける場合、
これまでのように、「尿のpHを酸性化させないようにしよう」とか、「尿酸の元になるプリン体を控えよう」...だけではなく、他の原因も注意するべきです。
なので、何によって尿酸値が上がるのか、他の原因を紹介します。
意外かもしれませんが、「プリン体の摂取を控える」は、重要度が低いのです。
『ドクター江部の糖尿病徒然日記 Q&A 糖質制限食と高尿酸血症②』より引用
尿酸を確実に上昇させるのは、重要なものから順番に
1、ストレス
2、肥満
3、大量の飲酒
4、激しい運動
5、プリン体の摂りすぎ
です。
1 ジミーさんの仰る通り、実はストレスが一番尿酸値を上昇させます。鹿児島大学の納(おさめ)光弘先生もご自身が痛風になられて徹底的に自分で人体実験をされて、ビールより何よりストレスが高尿酸血症の原因と断定しておられます。
2 体重増加も尿酸を増加させる要因なので、 糖質制限食で減量することは良い方に向く可能性があります。
3 飲酒
アルコールを大量に(日本酒1日3合程度以上)飲めば尿酸値は上昇し、断酒すれば下降します。アルコールが尿酸値に影響を与える要因は二つあります。
一つは、アルコールが代謝の途中で乳酸になり、乳酸が腎臓からの尿酸排泄を抑制すること。
もう一つは、継続的に多量にアルコールを摂取したときに(日本酒1日4合以上を毎日)、アルコールが尿酸の代謝を促進させて尿酸値があがることです。
なお、お酒に含まれているプリン体自身の量は、体内の尿酸プールの量に比べて少ないのでほとんど影響はありません。ビール大瓶633㏄中に、プリン体は32.4㎎しか含まれていません。
なお適量のアルコールならストレスが解消され尿酸値を下げます。(適量の目安:日本酒、焼酎で1日1.5合程度、ビール約750㏄、ワイングラス2杯、焼酎のお湯割りコップ2杯)
4 激しい運動は尿酸を上昇させますが、軽い有酸素運動は大丈夫です。
5、下記のプリン体が多い食品はさすがに大量にはとらない方がいいでしょう。しかし、日常的な食生活の中では、プリン体を気にするほどのことはなさそうです。下記の如く食事由来の尿酸は約100mgで、一日に生産される総量約700mgに比し少ないからです。
☆プリン体の多い食品
(1)きわめて多い(100g中、300㎎以上)鶏レバー、白子など
(2)多い(100g中、200~300㎎)豚レバー、牛レバー、かつお、まいわし、大正えびなど
☆尿酸の生成と排出
一日で産生される尿酸の量 700㎎
・ 食事から摂取 約100㎎
・ 体内でプリン体が利用された後に分解され、尿酸が生じる経路 約600㎎
☆一日で排出される尿酸の量 700㎎
・ 尿から排泄 約500㎎
・ 汗や便から排泄 約200㎎
☆尿酸の体内プール 約1200㎎
・ 健康な人の体内には、つねに1200㎎程度の尿酸がプールされています。
尿酸は、このように毎日、生産と排泄を繰り返しながら、一定量を保っています。しかし、尿酸の排泄がうまくいかなくなったり、尿酸が体内で作られすぎると、尿酸値が上がります。
「プリン体」について補足です。江部医師の記事で、
>『尿酸は3分の2が腎臓から、3分の1が腸から排出される』
...という話がありましたが、食事から摂取したプリン体は、「尿酸」に変わらずに排泄される...という説があります。
『熱血ナースMrs.GAGAのダイエット支援ブログ!!〜低糖質に愛をこめて〜 尿酸値と血糖値』より引用
食べ物から吸収されたプリン体の多くは、肝臓で処理され尿酸に変わると思われていましたが、研究が進み、食べ物由来のプリン体は、腸で分解されて尿酸に変わることなくそのまま排出されることがわかってきました。
さらに、尿酸値が高くなる原因を紹介します。
それはインスリンです。
「インスリン」は血糖値を下げる働きがあります。
血糖値が上がった時に大活躍するホルモンなのですが、実は、インスリンには「尿酸」の排泄を抑制する働きもあるのです。
血糖値の上昇
↓
インスリンの分泌
↓
尿酸の排泄を抑制
↓
尿酸値が上昇
『熱血ナースMrs.GAGAのダイエット支援ブログ!!〜低糖質に愛をこめて〜 尿酸値の高い方にも糖質制限はオススメです。』より引用
インスリンは、尿酸の排泄を抑制する働きがあります。つまり、糖質制限してインスリンの分泌を抑えたら、尿酸の排泄がスムーズになるということです。
忘年会といえばアルコールとおいしい食事!ですが、糖質制限を心がけていれば、尿酸はいつもより溜まりません。
血糖値が上がらなければ、インスリンの追加分泌は起きません。
血糖値を直接上昇させるのは「糖質」、間接的に上昇させるのは「タンパク質(糖新生)」です。
糖質制限をしているのに血糖値が高いのは、糖新生が原因かもしれません
気をつけなければならないのは前者です。
そして、3の「飲酒」で生じた「乳酸」も、尿酸の排泄を抑制する働きがありましたが、「糖質」も代謝しきれなければ「乳酸」を発生させます。
糖質の摂取は、尿酸の排泄を抑制する「インスリン」と「乳酸」の発生のリスクがあるわけです。
肉食は尿酸値が上がる条件が揃っていましたが、それ以外の食事でも尿酸値が上がる条件が揃っているようです。肉ばかりを叩いている場合ではありません。
タンパク質でも「糖新生」によって血糖値が上がれば同じ事なのですが、糖質の摂取による血糖値の上昇の方が酷いケースが多いので、先にこちらを注意した方が良いです。
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プリン体と糖質の組み合わせ
ところで、「タンパク質&脂質」に「糖質」を組み合わせる「緩い糖質制限」は慢性疾患の原因になります。
しかし、「糖質」を組み合わせない「厳しい糖質制限」は健康的になります。
この2つは全く違う結果になるにも関わらず、「タンパク質&脂質」に「糖質」を組み合わせる「緩い糖質制限」の結果を理由に、「厳しい糖質制限」まで危険であるようにイメージ工作がされています。
【脂質+タンパク質】は良くて【糖質+脂質+タンパク質】が良くない理由
「組み合わせ」が悪いのに「単体」を悪いかのように言う...「プリン体」もその流れと似ているので、胡散臭いです。
『熱血ナースMrs.GAGAのダイエット支援ブログ!!〜低糖質に愛をこめて〜 尿酸値の高い方にも糖質制限はオススメです。』より引用
以前もお伝えしましたが、尿酸はコレステロールと同じで、食事性のものより身体で作られる方が多いのです。
プリン体の多い食品をことさらに避けることは、余り意味はありません。
プリン体の多い食品は栄養価も高いこともお伝えしました。むしろ、食べすぎない程度に食べることをオススメします。
プリン体の多い食品と、糖質の多い食品の組み合わせが最悪なのです。ついでに悪い油(劣化したサラダ油や加工食品に多く含まれるトランス脂肪酸)を使った揚げ物などと組み合わせたら、
「糖化→酸化→炎症」と痛風への道まっしぐらです。
「プリン体」を分解してできた「尿酸」は、単体だけの問題ではなく、「炎症」が関係しているみたいです。
また実際に尿酸値が12でも発作が起きない方もいれば、尿酸値7をきった6.8でも発作が起きる人もいます。
この違いは何でしょうか?
ガイドライン的には尿酸値で判断します。
この違いが説明できません。
そして、起こっている事から逆に考えれば、尿酸は高いだけでは発作は起きない、という考えが導き出されます。
では、尿酸値12で発作が起きない人はどんな状況でしょうか。
これは「炎症」が鍵になると考えます。炎症についてはコチラ。
「炎症」が尿酸を結晶化させ、痛風発作を起こす引き金である可能性があります。
あくまで可能性ですが、信憑性はあります。
酸性食品を食べようが、糖質の多いアルカリ性食品を食べようが、尿酸値が上がる可能性があるわけですから、問題は「尿酸値が高い事」よりも、「炎症」や「結晶化」にある気がします。
で、「炎症」といえば糖質です。
尿酸値が上がる原因は1つではないので、状況を観察して、原因に合った対処をするべきですね。
尿酸が結晶化する事で生じる「痛風」も、本当の原因を改善する必要があります。
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痛風の本当の原因
あまり知られていない「痛風」の原因を紹介します。
『医療法人社団楡樹会 稲毛エルム歯科クリニック 痛風の本当の原因』より引用
尿酸はプリン体から合成されることから、プリン体を多く含む食事を控えるよう、医師から指導されることがあります。
プリン体とは核酸の成分であるアデニンやグアニン、電子伝達系で補酵素として働くNAD(ナイアシン)、FAD(ビタミンB2の誘導体)など、生体にとって必須の栄養素が含まれます。ですからプリン体を制限することは、様々な栄養欠乏をもまた引き起こすことになるのです。
そもそも、痛風の原因がプリン体の過剰摂取というのは迷信です。プリン体の摂取を控えることで痛風を予防することはできませんし、痛風の人がプリン体を控えても、症状が改善することはありません。
(中略)
尿酸は腎臓で尿に排泄されます。痛風のほとんどは、腎臓での尿酸の排泄障害によって起こります。
腎臓はなぜ尿酸をうまく排泄できなくなるのでしょう?
それは、腎臓が糖化することによって機能障害が起こるからです。
腎臓の糖化に特に関係していると考えられているのが、果糖です。果糖はブドウ糖のおよそ7~10倍も糖化能力が高く、強力に細胞を傷害します。
また果糖の大量摂取は、肝臓で無機リン酸の欠乏を引き起こし、ATPの枯渇と高尿酸血症を引き起こします。
さらに果糖は血液のpHを酸性(アシドーシス)にすることによって、尿酸の結晶化を促進します。果糖が痛風の原因となるのなら、糖尿病患者に痛風が多いことも理解できます。
痛風の本当の原因はプリン体では無くて果糖であり、果糖を多く含む物(砂糖や異性化糖)の過剰摂取が痛風を引き起こすのです。
甘い物はむし歯だけでなく、さまざまに体を蝕むのですから、一切摂らないようにすべきなのです。
痛風の本当の原因は、「果糖」による腎臓の糖化...。
先ほど、腸からの尿酸の排泄機能が低下する...という話がありましたが、糖化によって「腎臓の尿酸の排泄障害」が起こるなら、腸も同じように、糖化の影響で尿酸の排泄障害になる可能性はあります。
尿酸値が高くても、必ず痛風になるわけではないのは、別の要素があるからなんですね。
ちなみに、痛風について色々なネットの記事や本を読みましたが、「腎臓の糖化」について触れられているものは、ほとんどありませんでした。
他の疾患と同じで、やはり「糖化による害」は触れられないようです。
「糖化による害」を誤魔化す為に、別の食品や栄養を悪者にする例は、いろんな疾患で見られるのですが、「プリン体」もその1つでしょうか...。
「プリン体の多い食品」を控えることで重要な栄養が欠乏するなら、制限はしない方が良いです。
また、「食品由来のプリン体」は腸で分解されて「尿酸」にならずに排泄される...という説が本当なら、安心して摂取する事ができます。
ここまでを振り返ります。
- 尿酸値が上がる原因は様々
- 尿酸値が高くても痛風発作が起きるとは限らない
- 痛風の原因はプリン体ではなく腎臓を糖化させる果糖
尿酸値が上がる原因も色々考えられますし、尿酸値が高くても痛風発作が起きるとは限らず、さらに痛風の原因である腎臓の糖化はあまり知られていない...
患者数も多く、完治しずらい...となっているあたり、「尿酸」と「それにまつわる疾患」は胡散臭いと感じます。
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動物性食品の摂取による尿酸値の結果はバラバラ
ここで、「動物性食品の摂取」と「尿酸値」は関係ないのでは?...と思われるような話を紹介します。
まず、以下は「肉を多く食べても尿酸値が上がらないケース」です。
イヌイットの人たちには痛風がいないそうです。
彼らは食事の中の肉食の割合が非常に高いですがそれでも痛風にならない(尿酸値が上がらない)のは、彼らの環境に適応するための体質の進化もあることながら、動物性たんぱく質が尿酸値を上げることは無いということを示しているのではないでしょうか。
一方で、「動物性食品」を殆ど摂取していなかった明治以前の日本には、痛風患者はほとんどいなかったそうです。
ポルトガル人宣教師のルイス・フロイスや、ドイツ人医師のベルツによってその記録が残されています。
動物性食品をたくさん食べても痛風にならない「イヌイット」、動物性食品をほぼ食べなくて痛風にならない「明治以前の日本人」の例を紹介しました。
ちなみに、イヌイットは人種的には日本人と同じモンゴロイドです。
このような事実から、「尿酸」と食品はあまり関係ないような気もしてきます。
一応、2015年の春から「1日10g以下のスーパー糖質制限」をしている私の尿酸値も紹介しておきます。
血液検査を始めたのは、2017年の1月からです。それ以前は検査をしていないので分かりません。そして、検査をした時に前回の結果を聞いています。
だいたい3ヶ月に1回、「フェリチン」目的で検査をしています。「尿酸」を気にした事は一度もなく、今回改めて見たところ、かなりバラつきがあります。
食事内容はほとんど変わっておらず、違いと言えば3ヶ月ごとにサプリの種類を増やしている事くらいです。なので規則性は感じません。
では、新しい順からです。
2018年の3月が6.9。この日から「マグネシウム(ビタミンD、亜鉛、カルシウム入り)」を開始。
2017年の12月が4.7。この日から「ビタミンB50コンプレックス」と「ベンフォチアミン」を開始。
2017年の9月が5.1。この日から「ビタミンC」と「ビタミンE」を開始。
2017年の5月が4.3。この少し後から「ナイアシン」を開始。
2017年の1月が5.0。この日から「鉄」を開始。
私の食事は、肉、卵、魚...と、動物性食品のオンパレードです。糖質10g以下なので、野菜はほとんど使えません。
でも、「高尿酸血症」は7.0 mg/dl以上なので、いまのところ問題ありません。
閉経前の女性の場合、尿酸の排泄を促す「エストロゲン(女性ホルモン)」のお陰で、尿酸値は低くなりやすいようなので、男性だったらもう少し高いかもしれません。
次回は、何故人間には「尿酸を分解するウリカーゼ」がないのか?について考えます。
動物性食品の摂取で尿酸値が上がる理由と、尿酸のメリットについて考えてみたへ続く
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