「ロコモティブ・シンドローム(運動器機能不全)」は、高齢者だけでなく、働き盛り、若い女性、さらに子供までなるそうです。
なので、「ロコモティブシンドロームに気をつけよう!」・・・と、今後色んなところで言われると思います。
一見、健康を考えてくれているように見えるので、この呼びかけは親切に感じるかもしれません。
普通の人は、特に疑問を持たないでしょう。
しかし、その煽りっぷりが、基準を厳しくし、ほとんどの人に「不健康」のレッテルを貼ってしまった「メタボリック・シンドローム」の時と同じなのです。
煽って、煽って、基準を狭くしていって、「メタボ」と同じように、全員が「ロコモ」に該当するようになっています。
子供までが「ロコモ」になる・・・という話を読んで、「さすがにおかしい」と思いました。
胡散臭いので、本当にそんな症状があるのか?と思いました。
とはいっても、若者や子供の運動機能が低下しているのは紛れもない事実です。
従って、その状態を「ロコモだ」と言われたら、普通の人は信じてしまうでしょう。
そこで、何故「ロコモ」だと思われるような症状が現代人に増えているのかについて考えてみました。
すると、「ロコモ」の、おかしな点がいくつも見られたのです。
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「ロコモ」の説明に見られるおかしな点
私が最初にロコモの説明を読んだ時に「おかしい」と思った点を挙げます。
(1)、「ロコモ」の大きな原因は慢性的な運動不足。車、エスカレーター、エレベーターの使用などで、体を動かす機会が減っている。
(2)、男性に比べて女性は筋肉量が少ないので「ロコモ」になりやすい。
(3)、偏った食生活が原因で、筋肉や軟骨が適正に作られない、神経細胞の機能が落ちる。タンパク質とカルシウムをしっかり含んだバランスの良い食事を気をつけた方が良い。
これらのどこがおかしいのか順番に説明します。
本記事では、(1)の慢性的な運動不足が「ロコモ」の原因だという説について取り上げます。
乗り物の使用等で、運動不足になったことで、ロコモが増えた・・・というのは辻褄が合いません。
乗り物の使用はここ最近始まったことではない
最近、若い女性の間で「ロコモ」が急増している、異変が起きている
・・・と、わざわざニュースにするぐらいなので、これは、「2017年現在の若い女性」の事を言っていることになります。
なので、何故、「現在急に」、それも「若い女性に」増えているのか知りたいです。
しかし、その理由は、「ロコモの原因は、車、エスカレーター、エレベーターといった、乗り物の使用が増えたことによる運動不足だ」・・・ということになっています。
これは、全く説明になっていません。
考えてみてください。
ハッキリ言って、車社会、エスカレーター、エレベーター社会になったのは、最近の話ではありません。
一昔前の若者だって、これは同じ条件なのです。
車や家電、エスカレーターなど、歩かなくてもいいような社会環境は現在、50代、60代の人が若い時だって同じことです。60代前半~50代は確実です。彼らが18歳になる頃は、普通に車の免許を取って、マイカーを乗り回していたのです。
特に羽振りのよかったバブル世代の方が不摂生をしたり、車を持ったりして、楽をしていたのではないでしょうか。
「一家に1台車を持つなんて考えられなかった」とか、家電が出たときに感動した思い出があるのは、80代以上の世代です。
「80代の若い頃」と、「現代の若者」を比べて「最近の若者は運動不足だ」というならまだわかりますが、60代より下の世代は、どんぐりの背比べです。
運動不足はなにも今に始まったわけではありません。
それなのに、今の50代~60代はどうして若い時に「ロコモ」じゃなかったのでしょうか。同じ運動不足なのに、今の若い人だけが「ロコモ」なるのは辻褄が合わないと思いませんか。
それとも、本当は、昔も「ロコモ」の若者は存在していたけど、「ロコモ」という言葉が発明されていなかったから認識できていなかっただけなのでしょうか。
でも、それはありえません。
何故なら、ニュースに若い女性、ロコモ、急増、異変・・・と書いてあるのですから。
「急増」と「異変」というキーワードが使われています。そこまで書くということは、本当に昔はいなかった、現代にのみ見られる現象なのでしょう。
では何故、「今の40代50代60代が若い頃」と、「現代の若者」は、「運動不足」という条件は変わらないのに、今の20代、30代に限って「ロコモ」の症状が若いうちからでているのか
・・・この説明をしてくれないと納得できません。
なので、ロコモの原因を考えてみます。
私は「100%運動不足が原因ではない」とは思いませんが、どちらかというと、「ロコモの原因」は運動不足以外にあるのではないか・・・と、考えています。
それは、ほんの数十年前と、現代の社会環境は違うからです。
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ここ10~20年で急速に変わったもの
私が考える、「今の若者が過ごしている環境」と、「一昔前の若者が過ごしていた環境」の決定的な違いを思いつく限り書き出してみます。
- 少子化→遊び相手が少ない→外で遊ぶ機会も減る
- 社会全体に細かいルールが増え、外で遊びにくくなっている(公園でボール禁止等)
- 携帯の基地局が増え、電波が飛び交う中で生活している
- ブルーライトを発する製品を使用する機会が増えた
- 昔に比べると「遺伝子組み換え食品」「人工甘味料」等、普段口にしているものが健康を害する
- 骨格的な不正咬合による運動器機能不全
- 鉄不足
私が今思いつくのはこれだけです。かなりありますね。
このうち、上の2つは「運動不足」に関係するものです。
これは、最近の子供の事です。私が子供の時は、そこまで少子化じゃなかったですし、ボール遊び禁止といったルールもなかったので、普通に外で遊んでいました。
現代の子供が「運動不足」である事は事実です。
ですが、「運動不足」よりも、深刻な環境の変化があることに気付いて下さい。
下の5つは、人間の体に大きなダメージを与えている可能性があります。
少しシンプルにしてみます。
- 電磁波
- LED
- 遺伝子組み換え食品
- 人口甘味料
- 不正咬合(かみ合わせの悪さ)→バランスの悪さ
- 鉄不足(神経伝達物質の合成が上手くいかない)
賢明な方はピンとくると思いますが、これらは、脳に影響を与えるものです。
言うまでもありませんが、身体というのは、脳が指令を送るからまともに働くわけです。なので、運動機能を語るのであれば、脳にも注目する必要があります。
その脳にダメージを与える条件が、ここ20年の間で急速に増えている事に気付かないといけません。私達はこの中で生活をしているのです。
そして、20代前半より下は、生まれた時からこれらの中で生活しているのですから、負担が大きいでしょう。
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脳の働きを無視して運動能力を語ってはいけない
「ロコモ」の説明を読んでいると、運動と脳を別々に切り離して考えているように思えます。
「ゲーム」や「パソコン」をする・・・ときたら「=外で遊ばないから運動不足になっているだろう」、という発想なのです。
ゲームやパソコンのやりすぎで、運動不足になるから「ロコモ」になるというより、「ゲーム」や「パソコン」から出る「ブルーライト」や「電磁波」が脳に影響を与え、それが運動機能に影響を与えている可能性だってあります。
かつて、アップルの「スティーブ・ジョブズ」氏は、自分の子供にiPhone や、iPadを使わせなかったといいます。
何がどう悪いのか、その理由は語られませんでしたが、子供に悪い影響を与えるとわかっていたから使わせなかったのです。
それが、脳や運動機能に影響を与えるだったとしても不思議ではありません。
「ロコモ」は整形外科が提唱しているので、しょうがないかもしれませんが、こういった体のパーツ以外の視点がないのです。
なので、簡単ではありますが、現代特有の社会環境が脳や運動機能に与える影響について触れておきます。
電磁波の中で生活
20年前、高校生がPHSや携帯を持つようになった時、街中でも「圏外」になることはザラでした。
今はどうでしょうか。
アンテナだらけで、街中で「圏外」になることはほとんどありません。
電磁波が人体に与える影響が良いか悪いかは別として、20年前にはなかった環境であることは間違いありません。
LEDの中で生活
これはここ数年の傾向ですね。
LEDに多く含まれる「ブルーライト」は、目や脳にダメージを与えます。詳しくは以下に書きました。
LEDの安全性は疑わしい。ブルーライトで目の奥や頭が痛くなる理由
遺伝子組み換え食品や人工甘味料
現在、ほとんどの加工品に入っている「遺伝子組み換え食品」と「人工甘味料」ですが、脳に影響を与えます。
さらに「人工甘味料」は「神経毒」と言われています。
遺伝子組み換え食品から学んだ、学問に不毛な議論が発生する本当の理由
余談ですが、「遺伝子組み換え食品」は、生殖能力に影響を与えます。
草食系男子が増える原因は、価値観の変化でも女性の強さでもなく、生殖能力に影響を与える環境である
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不正咬合と運動機能の関係
骨格的な不正咬合は深刻です。治すのが難しいですから。
そして、「不正咬合」は運動能力に影響を与えます。
以下は噛みあわせと体の関係がよく説明されています。
『日本噛み合せ研究センター 噛み合せが全身に及ぼす影響』より引用
ステップ 1 : 噛み合わせがズレると筋肉のバランスがおかしくなる
まず、噛み合わせがズレると、下あごが上あごとしっかり合わなくなります。
頭蓋骨と下あごは咀嚼筋などの「筋肉」でつながっています。
そのため、しっかり上下が合わなくなると、筋肉への力のかかり方が、前後左右上下の3次元でバランスしなくなり、結果的に頭部が傾いてきます。
ステップ 2 : 頭部の不安定を身体全体でバランスしようとする
頭部はとても重く、身体の中でもっとも上に位置しています。
つまり、頭部の筋肉のバランスが崩れるとまっすぐ立ったり、歩行ができなくなってしまいます。
とはいえ、人間は二足歩行していますから、なんとかそれを補正しようと、無意識に今度は身体全体でバランスをとろうとします。
ステップ 3 : 身体全体のバランスが変わる
身体全体が無理にバランスをとろうすることで、体中の筋肉が無理な力を受けます。ここで単純な例で考えてみましょう。
例えば、噛み合わせが悪く、頭が右に傾いたとします。すると、その傾きを補正するために左の肩に力がかかります。
すると左肩がつらくなってくるので、右の腰で補正しようとします。
今度は右腰がつらくなるので、左足でバランスをとろうとする。
これだけでも、身体のバランスがあちこちでおかしくなってしまうのが分かるかと思います。
もちろん、実際には前後左右上下がありますから、もっと複雑に身体全体に影響を及ぼしているのはいうまでもありません。
ステップ 4 : 筋肉から骨格や神経、内臓にまで影響が及ぶ
このように、噛み合わせの不具合によって、全身の筋肉のバランスが崩れ、さらに筋肉に過度の力がかかり続けるとやがて骨格が歪みはじめます。
そして、最終的には神経や内臓にまでダメージを与えてしまうのです。
原因がはっきりしない様々な症状、例えば、めまい、肩こり、腰痛、不良姿勢、喘息、不眠、生理痛、高血圧症、更年期障害、自律神経失調症、不定愁訴などが、噛み合わせ調整で解消するケースが多いのもよくお分かりいただけるかと思います。
不正咬合が体を歪めるわけです。
そして、歪んだ体では、まともな運動ができるわけはありませんよね。
アスリートが矯正治療をしたら、記録を伸ばしたり、練習後の疲労が少なくなったという話があるくらいなのです。
また、このように続けられています。
また、最近の研究では、噛み合わせの不具合が「脳」の活動にも影響しているといわれています。
噛み合わせがおかしくなることで、「脳」への刺激のかかり方が不均等になり、認知症や様々な脳の病気と関連しているのではないかとも言われています。
噛み合わせの専門医は、内科・外科・整形外科には存在せず、また、歯科でも噛み合わせを研究したドクターでなければ、これを治すことはなかなか困難です。
原因不明の体調不良で悩んでいる方は、もしかするとこうした噛み合わせが原因かもしれません。もし噛み合わせが原因だとわかってしまえば、後は適切な方法で治療するだけです。
早期治療で健康な毎日を1日でも早く取り戻しましょう。
噛み合せは、脳にも影響を与える可能性があると書かれています。
そして、整形外科に噛み合せを診立てる人はいないということは、整形外科では、不正咬合に起因する運動器機能不全でも、真相は分からないわけです。
「運動不足です。」で終わりです。
運動している人は「運動の仕方が悪い。」と言われて終わりです。
これは、現代医療の問題です。
様々な専門に分かれていますが、それ故に、自分の科以外を視野に入れて診立てられる医師が少ないように思います。
ここで、「噛み合せ」を整えることで、体が元気になった事例を紹介しておきます。
『医者は口を診ない、歯医者は口しか診ない 医科歯科連携で医療は大きく変わる /著者:相田能輝』より引用
咀嚼運動と脳の関係
NHKの人気番組「ためしてガッテン」で、咀嚼運動が脳に与える影響が紹介されました。
ほぼ寝たきり状態だった高齢者の歯を治療して口から食事を摂れるようにすると、なんと自立歩行するまで回復したというのです。
また、終日ベットに横たわり、介護者の問いかけににも反応しなかった男性に、歯科医師が義歯を製作して装着すると、QOLが劇的に回復しました。「気力が甦った」といきいきとした表情で述べる男性の姿が印象的でした。
(中略)
歯の組織には、歯根膜という、歯根と歯槽骨をつなぐ繊維性結合組織が存在します。咀嚼と脳をつなぐ重要な働きをするのが、この歯根膜です。
歯根膜は、歯と歯槽骨をつなぐという役割以外にも、「噛み応え」を感じるという役割や、咀嚼の際に歯にかかる衝撃を和らげる役割があります。それだけではありません。
歯根膜は、脳内の三叉神経につながっているのです。
咀嚼運動によって発生した刺激は、歯根膜から三叉神経を通じて脳の中枢に送られます。そして、脳内の運動、感覚、記憶、思考、意欲を司る前頭前野まで活性化させます。
(中略)
歯が抜けると歯根膜も失われますが、その場合には口腔内の軟組織が歯根膜の代わりを果たすことが明らかになっています。義歯でも噛むことができれば、脳は活性化します。
近年では、義歯を装着することによって車椅子を使用していた高齢者が自立歩行できるようになった事例を日本歯科医師会が再三にわたり紹介しています。
理由として、食物の経口摂取が可能になって体力が回復したことに加え、正しい咬合を回復したことで身体のバランスを取りやすくなったことが、大きな理由として指摘されています。
(152p~154p)
このように、噛み合せは大事なのです。
じゃあ、不正咬合にならなければ良いと思いますよね。
しかし、妊娠中の母親が栄養不足(特に鉄不足)だと、生まれた子供の上顎の成長に影響します。
なってしまったら後が大変ですから、妊娠前から気をつける必要があります。
子供が骨格的な不正咬合になるメカニズムについては以下を参考にして下さい。
子供の歯並びが悪くなる真の原因。骨格的な不正咬合の予防は母親にかかっている
骨格が原因の鼻詰まりは子供の時の成長で決まる。口呼吸が招く脳への悪影響
鉄不足
先ほど、子供の不正咬合が母親が妊娠中の「鉄不足」にあると言いました。
「鉄」は他に、とても重要な働きをするのです。
鉄が不足すると、酸素を運ぶヘモグロビンが作られないので、体か酸欠になります。
脳の機能も低下します。
そして、神経伝達物質が上手く合成されないなど、様々な悪影響を及ぼします。
鬱や睡眠障害や発達障害の原因を栄養の視点から考える。鉄不足が脳に与える影響は深刻だった
発達障害を遺伝として片づけない。母親の鉄不足が子供の脳に与える影響とは
「ロコモ」の7つのチェック項目に「重いものを持つと疲れる」というのがあるにですが、鉄不足だと非常に疲れやすくなるので、当然、ちょっとの重さでもしんどく感じます。
私も以前これでした。
現代人は鉄鍋や鉄の包丁を使わなくなったので、鉄不足になりやすいと言われています。
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「ロコモ」の原因
以上、昔と今の環境の違いについて述べてきました。ここで紹介した環境は、人間の脳、運動機能に影響を与えるものばかりです。
複数の影響を同時に受けている可能性だってあります。
この環境に晒されることで弱り、そこに運動不足が加わったら、「ロコモ」になりやすい・・・ことも考えられます。
どうでしょうか。
「運動不足が原因だ」という説明では、現代の若者に「ロコモ」が増えている理由にはなりませんが、その他の社会環境が影響しているから現代の若者に「ロコモ」の症状が表れる
・・・と過程したら辻褄が合います。
少なくとも「運動不足」だけよりは説得力があると思います。
これらの可能性を視野に入れず、「ロコモの原因は運動不足が大きい」と言われては、
いやいや、待って下さい。
もうちょっと考えましょうよ、となります。
先ほども言ったように、一昔前の運動不足の若者は若くして「ロコモ」にはならなかったのですから。
ただの運動不足で「ロコモ」になるなら、バブル世代ですでに若者の「ロコモ」は大発生しています。
原因を中途半端に決めて、本当の原因を模索しないのは問題です。
ロコモの原因を「運動不足」になすりるけることで、本当の原因を隠している可能性だってあります。
先ほど紹介した「遺伝子組み換え食品」「人工甘味料」「電磁波」「ブルーライト」などです。
これらは、危険だといわれたり、危険じゃないと言われたりして、どっちが本当か分かりにくくなっています。
安心・安全が大好きな日本!でも何故か「健康を損ねる物質」への規制だけは甘い
ですが、「ロコモ」のように、それまでみられなかった症状が、ある世代から出始めるということは、実は危険で、どれかが影響している可能性は十分に考えられるわけです。
一斉に同じ症状が表れているなら、大変な事です。
しかし、運動機能に問題が生じても、「あ、それロコモだよ、運動不足が原因で、みんななっているよ」と言われれば、そこで思考停止です。
本当の原因は運動不足じゃなく、みんなが毒の影響を受けて不調になっていたとしても、誰も真相を追求しません。
健康を害している物質は野放しです。
何故、若い「女性」に増えているのか
本記事では、「運動不足」以外のその他の社会環境が影響しているから、最近の若者に「ロコモ」が増えているのではないかと言いました。
ですが、これだけでは、若者でも特に「女性」に多いことの説明にはなっていません。
次回は、同じ若者でも、何故「女性」に多いのか、何故「男性」ではないのか・・・その説明もしようと思います。
ロコモティブシンドロームが若い女性に増えている原因と、対策について考える
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