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これまで、根管治療体験を7回にわたって記録してきました。今回からは、根管治療中に学んだ事を中心にお話したいと思います。
本記事では、先生を変えるべきかどうか悩んでいる人に向けて、私の体験をお話します。
その前にまず、現在の症状がどうなのかを報告しておきます(以下の根管治療体験⑦のその後です)。
根管治療体験⑦口腔外科にて下唇の腫れや痺れの原因は歯槽骨炎と判明
S病院の歯科・口腔外科で診てもらった結果、現時点では骨髄炎の心配はないということでした。
その後、「年末の段階では骨髄炎の一歩手前だったかもしれない」と言う事も含めて、口腔外科での診断をS先生に報告しました。S先生の方にもFAXが届いたらしく、このまま治療を続けてくださいという事でした。
この日の治療から塞ぐ処置になりました。これまで、歯の蓋をせずオープンにしていたことで圧が高くなることもなくなり、痛みも炎症も治まっていたからです。
ただ、この日は万が一の為に少し穴を開けておいてくれました。「また痛くなるようでしたら、すぐに来て下さい」と言われましたが、嬉しい事に、炎症も腫れも痛みもなく過ごすことができました。
なので、その次の治療の時に、痛みなど何も問題がなかった事を報告しました。こうして完全に塞ぐ方法になりました。今は、腫れ、痛みはありません。
快適な治療を継続中です。前の事を思うと本当にありがたいです。
もし今不自由があるとすれば、年末に腫れた箇所が硬くなって、少し残っていることです。歯槽骨が広がった感じがします。ハッキリ言って邪魔です。外から見てわかりませんが、口の中に何か異物があるような感覚です。
膿に押されて骨が変形した可能性があるそうです。治るまでに時間がかかると言われたので、もう少しかかりそうです。もし炎症が治まらなかったら、この変形はもっと酷かったかもしれません。
一応、骨が変形するのは大変な症状だと思ったので、ネットで調べたところ、「骨隆起」という症状がありました。
先生に「これは骨隆起ですか?」と訪ねたところ、私の場合は「骨隆起」とはまた違うそうです。私の場合は単純に骨が押されただけなので、中が空洞化しているような状態だから元に戻るそうなのです。
これに対し「骨隆起」の場合は骨が増殖するので、元には戻らないのだそうです。「骨隆起」ではないとの事で安心です。
『ムシバラボ お口の中にできた固いコブ、骨隆起ってどんなもの?治療は必要?』より引用
骨隆起とは
骨隆起とは外骨症(がいこつしょう)とも呼ばれ、単に骨が過剰に発育したものです。腫瘍のような悪いものではなく、特に病的なものではないため、生活に支障がなければ治療の必要性はありません。
子供の時に見られることはほとんどなく、年を取るとともに出現し、男性よりも女性に多く見られる傾向があります。人口の半数ほどの人に見られるありふれたものです。
40歳くらいから膨らみが出てきてずっと同じ大きさでとどまることもあれば、だんだんと大きくなっていく場合もあります。小さくなることはありません。また、左右対称に出ることがほとんどです。
このように小さくなることはないと書いてあります。
私の場合は「増殖」ではなく、「変形」です。口の中の硬い違和感は完全には取れていませんが、回復に向かっているので、このまま残りの治療も問題なく進むと思います。
問題が一段落したので、ここで改めて今回の事を振り返って、事前に知っておきたかった事や、(もう体験したくないですが)次に活かしたい事をまとめます。
それでは、冒頭でお話した、先生を変えるかどうかについてお話しします(以下の体験を元にお話します)。
根管治療体験⑤悩んでいる時間はない!私が治療途中で歯医者を変えた理由
根管治療体験⑦口腔外科にて下唇の腫れや痺れの原因は歯槽骨炎と判明
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歯科医師の違い
今回、同じ症状でも、歯科医師によって「意見」や「治療法」が違うということを目の当たりにしました。
私は、同じ日に、同じ症状を2人の歯科医師に診てもらったわけですが、診立ては間逆でした。
腫れの症状を見て、
A先生は、「ちょっと腫れてますね」と言い、
S先生は、「すごい腫れですね」と言いました。
また、しびれや、顎に穴が開いている状態について、私が骨髄炎の可能性はないかと訪ねたところ
A先生は、「それはないと思います」と言い、
S先生は、「その可能性は0ではないです」と言いました。
ちなみにS先生は、私が歯科衛生士さんに説明している話を聞いて、私から質問する前に、「しびれ」があることを心配する説明をしてくれました。
そして、これらの判断の違いが、私が紹介状を書いて欲しいと言った時の対応にも表れていました。
A先生は、痛み、腫れ、しびれは、根の治療中にはよくあることだからと、軽く考えていた為、緊急性はないと判断し、すぐに紹介状を書く事なく、様子を見ようとしたんだと思います。
S先生は、私の症状や訴えを深刻に捕らえてくれていたからこそ、私のお願いに対し、迅速に対応してくれたんだと思います。
このように、診断の結果が対応に表れます。
私が救命救急を受診した時、当直でいた口腔外科の先生に診てもらう事なく伝言で済まされたのは、「緊急性がない」と判断されたからだと思います。
ちなみに、後日検査の日に、その病院の口腔外科のO先生に、A先生に根の治療中はよくあることなのでと言われた事を説明したら、「確かに」と頷いておられました。
なので、根管治療中の痛み、腫れ、しびれは、軽く見られるのが一般的なのかもしれません。
そして、治療も違いました。
A先生は私が、痛いと訴えようが、腫れると訴えようが、しびれると訴えようが、3回とも蓋をしたのに対し、
S先生はその方法で症状が悪化している事を聞いて、それまでと違う、蓋をせずオープンにする方法をとってくれました。
口腔外科のO先生によると、オープンは古いやり方で、蓋をして中に細菌が入らないようにするのが最近の治療法だそうですが、状況を把握せず、常に最新の方法を用いてくれたA先生より、状況を把握した上で、状況に合わせた対応をしてくれたS先生の方が私には合っていました。
このように、同じ症状でも、診立てや対処が医師によって違い、その結果も変わるという事を身を持って体験しました。
だから、もし治療中に思ったような対応をしてもらえなくて、痛みが取れないとか、腫れるとか、症状が酷くて生活に支障が出る場合でも、解決してくれる医師を探す等、自分が納得がいくまで追求する事が大切です。少なくとも、私は今回そのようにして正解だったと思います。
痛みの対応について、以下の本が参考になります。
『歯は一日で治る 自分の歯を守る驚異の根管治療法 /著者:谷口 清』より引用
腫れてきた、夜中に痛む
痛んでいるときは手をつけられない、というバカな科白(セリフ)
骨膜炎とか、歯根幕炎というような病気の場合である。
歯が痛んでいるときは手をつけないほうがいい、なんて、こんなバカな科白を吐く歯医者がかなりいるらしい。いるらしいというのは、そういわれたという患者があらわれるからで、しかも、こんなバカバカしい説明をなんとなく信じている。
痛んでいるから歯医者に行ったのに、その痛みの止めかたを知らないからと、そのまま患者に何もせずお帰り願うとは、患者を帰す前に、歯科医師免許証を国に帰してほしいものだ。
腫れてズキズキ痛むようなときは、まず前の歯医者の処置不完全なのだから、そのインチキ治療をとりのぞくことからはじまる。
このタイプの痛みとは、歯の中、またはその周辺に、ガスやウミがたまっていて、その出口がないために内圧が高まり、それが神経を圧迫しているのだから、そのガスやウミを出してやれば、それだけでかなり楽になる。同時に、抗生物質と消炎剤で原因をたたき、腫れをひかせる。
軽度の場合、これだって一回で終了してしまう。
(109P~110P)
私は納得がいかなかったので、ネットや本で調べたり、違う医師に診てもらいたいと思いました。
ですが、調べるのはともかく、この「先生を替える」という行為をするべきか、しないべきか・・・これに悩みました。
私は基本的に、辻褄の合わないデタラメな健康情報に対しては、「ここがおかしいと思う」と、ハッキリ言うタイプです。
しかし、実際に治療にあたってくれる人の診断や、治療法に対して、面と向かって疑うような事や、途中で止めてしまう事には、さすがに抵抗がありました。
最終的には情や義理を捨てたわけですが、そこに至るまでは「先生に対して悪い」とか思っていたからです。
悪意のある人や行為であれば、バッサリ切ることが出来ます。しかし、悪意なく治療に当たってくれている人の意見や治療法が「合わない」と感じた場合、悩みます。特に先生が良い人そうだった場合、途中で止めるのは罪悪感があります。相談するにしたって、その時やってくれている治療を間接的に否定することになりますから。
「根管治療なのに、なんでCT撮らないんですか?」なんて聞き辛いです。CTを取って欲しいとはずっと思っていたのですが、すぐに言えませんでした。
やっとCTを撮ってもらえないかと言い出せた時に、一瞬間を置いて「ん、何の為に?」と不自然な笑顔で言われたので、そのリアクションから「言っちゃマズい事だったのかな」と思いました。
根管治療体験⑤悩んでいる時間はない!私が治療途中で歯医者を変えた理由
このような事で悩む人は(特に年配の人に)多いのではないかと思います。そこで、私がA歯科へ行く事を止め、予約をキャンセルした理由についてお話します。
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先生を替えたくなる心理
私は歯科医を替えたわけですが、別に冷たくバサッと見限ったわけではありません。「途中で止めては申し訳ない」という葛藤がありました。それでも止めたのは何故かというと、それは
「痛み」よりも「不信感」です。
私はA先生を信じる事が出来ませんでした。その理由は3つです。
理由1、「診立て・予測」と「実際に起こる事」が違った事
私はA歯科に3回通いましたが、治療後は毎回痛みがありました。私も根管治療中には痛みがでることはネットから情報を得ていた為、ある程度は仕方が無いと思っていましたが、毎回「痛くないと思いますよ」的な事を言われるのに痛くなることが不安でした。
理由2、言動が二転三転した事
私が「通いたくない」と思った決定的な理由は、紹介状を一度は書くと言ったのに、後で撤回したことでした。言う事が二転三転する人は不安です。あの状況で「明後日来てなんともなかったら紹介状を書く」的な事を言われたのですが、それは私にとって「それまで、その症状に黙って耐え続けろ」と言われているに等しかったのです。なにより悪化していく症状を放置する事はありえないと思いました。
最初は「紹介状を書いてもらうのはハードルが高い事なのかな」とも思いましたよ。
でも、S先生は私の状態を見て、検査をしたいという私の思いを汲んでくれてすぐに書いてくれました。それも、他所で治療している途中でいきなり飛び込んだのにです。急ぎたい時に、時間をかせがずに対応してくれるS先生は心強かったです。私はフライングでもいいので早期発見したいタイプなので、このような対応をしてくれる先生に診てもらいたいです。
理由3、自信が大きすぎて相談し辛いと感じた事
自信が大きすぎる医師には意見が言いにくいと感じました。A先生には、患者の想定外の意見に耳を傾けない雰囲気がありました。あからさまに嫌な顔はしませんが、微妙に感じ取れます。
悪い人ではないと思うのですが、話をしていて、質問に対して答えがなかったり(こちらが聞いてやっと答える)、答えても「煙にまくような回答」が返ってきます。それがたまになら良いのですが、何度かあると不信感が湧きますし、ちゃんと答えられない時点で「この人本当にわかっているのかな」と思ってしまいます。わからない事は、正直に「わからない」でいいんです。ただハッキリして欲しいというのが私の希望です。
また、つっこんだ質問をした時に満面の笑みなのですが、「発言」、「タイミング」と「笑み」が微妙に合っていないので、「カチンときたのを、すかさず笑顔で誤魔化したな」というのが伝わってきます。
まぁ、確かに私は、めんどくさい患者だと思います。納得いかない事にはつっこみますので。
でも、それにはちゃんと理由があります。
私はこれまで、歯科治療は歯医者さんに丸投げで、ただ椅子の上で口を開けているだけでした。どの歯を、どういう目的で、どんな治療をするのか、それをするとどんな状態になるのか、メリットとデメリットは・・・等、説明を受けた記憶がほとんどありません。記憶が残っていないということは、たいした説明もなく、また、自分も質問せず漠然と治療を行なっていたのだと思います。
その結果、現在、歯の状態をレントゲンで確認すると「なんでこんなに神経を抜いた歯があるんだろう」というくらい悲惨な状況です。
自分自身に「治療している」という自覚が足りなかったから、こういう状態になったのです。それを後悔しているから、どういう目的で、どんな治療をするのか、何故そうなるのかを、確認、相談しながら治療する事にしているのです。
しかし、自信がありすぎると、それを崩すような意見には気を使います。
相手の機嫌を損ねないように・・・を考え出すと、今度は正直に相談できなくなってしまいます。もう痛くないはずだと自信に満ちた表情で「どうですか?」と聞かれたのに、全く変化が無かった時に、まだ痛いですと訴えづらい。(それでも言いますけど)
なので「先生の考えとズレる事を言っちゃマズいのかな」という空気を感じさせる人は、私には合わないと思いました。私的には「違う意見」を言われた時に動じない人が良いです。
自信を持っている事は良いと思うのですが、それが強すぎると困った事になります。
治療をしても症状がどんどん悪くなっているので、私は骨髄炎を心配して、大きな病院で検査をしたいとA先生に言いました。
しかし、帰ってきた答えは「今日は紹介状は書きません。次回まだ痛むようでしたら紹介状を書きます。根の治療中にはよくある事なので。骨髄炎の心配はありません。明後日来て下さい。違う化膿止めを出しておきます」というものでした。
付け加えるなら「大丈夫です。治ります。」とも言われました。1回目の治療の時は「2分の1の確率」と言われたわけですが・・・。
ここで、「いや、それでも心配だから書いて下さい」と言う気は起きませんでした。この人には頼めないなと思ったので、「そぅ・・・ですか・・・。」と言ってしまいました。
「大丈夫です。治ります」とハッキリ言われても、私は治るか、治らないかを聞きたかったのではなく、「何かあってはいけないから検査をしたい」と求めたのです。「説明すればきっと力になってくれるだろう」と思っていただけに、見当違いの答えが返ってきたときは、我が耳を疑いました。
そして、CTの何を根拠に「骨髄炎の心配はありません。」と自信満々で言ったのかわかりません。それらしき説明はありませんでしたから。
例えば、CTを見て「こうこうこういう理由だから、骨髄炎の心配はありません。」と根拠を述べてくれれば、私も納得するのですが、根拠もなく「心配はありません。」と言われたら納得できませんし不安です。
少なくとも、後日検査してくれたS病院の歯科・口腔外科のO先生は、レントゲンを見て、その画像から骨髄炎ではない理由を明確に説明してくれました。このように本当に理由がわかっていれば、説明できないという事はないはずなのです。
一番の問題は、A先生はCTを見た後で「骨髄炎の心配はありません」と言いましたが、その同じ人物がCTを撮る数分前に、CTを見ても骨髄炎かどうかはわからないとキッパリ言った事です。
こんなだから、「ちゃんとわかる人に診てもらいたい」と思いました。
別に、「よ~し、これからこいつを疑ってやるぜ」と、わざと疑っているわけではありません。なんというか、自然に信じられない。
疑う時に限って、「疑っちゃダメだ、疑っちゃダメだ」と心の中で連呼するものです。この心理状態では、手に汗握る治療になってしまいます。これでは、患者にとっても、歯科医にとってもよくありません。
自然に信じられる先生に治療をお願いするのが大切です。当たり前ですが。
従って、信じられない時や、正直に相談できない医師なら変えた方が良いと思います。
根管治療を完璧に行なうのはほぼ不可能。神経を抜いた歯の再治療の成功率が落ちる理由とはへ続く
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