マクロビオティックについて(後編)食材を陰と陽に分ける根拠

前編と後編に分けて、「マクロビオティック」について思っている事を書いています。

 

 

前編は「玄米食」について、

 

 

そして後編は、根拠がわからなくて、長い間私の頭を悩ませてきた「マクロビオティックの陰陽論」についてお話したいと思います。

 

 

 

 

 

 

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栄養学とマクロビオティックの違い

 

 

「マクロビオティック」を知らない人が読んだら「?」となりますので、まず、食材の陰陽について説明します。

 

 

一般の栄養学では、一つの食材を分析する時に、カロリー、たんぱく質、脂質・・・といった情報を数値で客観的に表します。

 

 

 

例えば大根だと、

 

 

『旬の食材百科 大根(だいこん):栄養価と効能』より引用

 

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このように、測って、その数値で特徴を分析するわけです。

 

 

 

こういった、基本情報に加えて、補足として、ジアスターゼ、アミラーゼ、フラボノイド等の成分が含まれていて・・・

 

 

というウンチクが加わります。これが一般的な栄養学における大根の情報です。

 

 

 

これに対して、マクロビオティックは、食品を「陰性」「中庸」「陽性」に分類します。

 

 

ここで、問題です。大根は、陰性、中庸、陽性のうち、どれに属すと思いますか?

 

 

 

正解は・・・

 

 

 

大根は「陰性」です。

 

 

 

しかし、「陰陽表」によって微妙に言う事がバラバラです。

 

 

 

例えば、以下のサイトにある表では、大根は「陰性」ではなく「中庸」となっています。

 

『IN YOU 陰陽調和|体を暖める食べ物と冷やす食べ物を知ろう』より

 

 

 

これを最初見た時「ええ~っ?」っと、思いました。曖昧すぎるからです。

 

 

「マクロビオティック」をされてる方のサイトに、「陰陽が受け入れられないのは、西洋の思想にはまっているからだ」とか、「学校で習わなかったからだ」と書かれてありましたが、そうではありません。

 

 

 

受け入れられないのは、根拠がなくて理路整然としないからです。

 

 

 

 

陰陽の基準

 

 

陰陽に分ける時の基準を紹介します。

 

 

 

陰性 → カリウムが多い、煮えやすい、柔らかい、暑い土地で取れる、広がる

 

 

陽性 → ナトリウムが多い、煮えにくい、硬い、寒い土地で取れるもの、縮まる

 

 

 

食材を陰陽で分けるところまではなんとか理解できます。しかし、

 

 

 

「例えば「陰性の食材」を食べたら、体の中でどのような化学反応を経て体を冷やすのか」

 

・・・という部分を答えてくれないと納得できません。でないと「本当にそれが体を冷やしているかどうか」なんてわからないわけです。

 

 

それだけではありません。

 

 

この曖昧さだけでも混乱するのに、同じ食材でも場所によって陰陽が変わるそうです。例えば、大根なら葉の部分が陰、根の部分が陽だそうです。

 

 

「あぁ、そうか」とすんなり受け入れられる人は凄いと思います。

 

 

食べ物が体に入ると化学反応が起きます。これは避けられません。

 

 

その化学反応がどうなるかを知るためには、食品にどんな成分がどれくらい含まれているのか正確に分析する必要があります。

 

 

分析が「西洋的」とか「東洋的」とか、そんな事はどうでもいいのです。大切なのは「正確さ」です。

 

 

なので、「何が陰」で「何が陽」なのか、決まっているようで決まっていない曖昧な基準で捕らえることに疑問を感じました。

 

 

私が「曖昧」だと思ったのは、判断する人の感性によって「広がる⇔縮まる」、「柔らかい⇔硬い」、「暑い⇔寒い」の感じ方は違うからです。

 

 

ある場所を、寒いと感じるも人もいれば、暖かいと感じる人もいます。人はそれまでの経験と照らし合わせて、相対的に物事の位置づけをします。暑いか寒いかは、その人の経験が反映されます。

 

 

例えば北海道は、我々日本人からすれば寒いところですが、シベリアの人からすると暖かいところでしょう。人の感性なのです。

 

 

「食材の分析」を人のイメージや思いつきで決めていいんだろうか・・・と思ったわけです。

 

 

「マクロビオティック」だけで終わっている話なら無視できますが、「マクロビオティック」以外にこの考えが広まっているのです。

 

 

「マクロビオティック」の思想は、色んなところに影響を与えており、「マクロビオティック」をしていない人でも、「体を温める〇〇を食べましょう」とか「陰陽のバランスをとって」という言葉を使います。

 

 

健康雑誌や、治療家の書かれた本の食事の項目に、さりげなくこの陰陽論が出てきます。あなたも見た事があるかもしれません。

 

 

皆さん、大真面目に語っているので、そのたびに私は頭を抱えていたわけです。

 

 

以下のサイトに、

 

『マクロビオティック羅針盤 マクロビオティックとは? その2 「陰陽の考え方-無双原理・陰陽の特徴」』

 

 

どんなものが陰で、どんなものが陽か、なんとなく湧いたイメージが正しい。

 

 

 

色であればは冷たく、暗く、湿っているから陰、は明るく、活発で、乾いているから陽。

 

 

等と書いてありますが、私なら紫は陰と判断しません。何故なら紫は赤と青を混ぜた色だからです。

 

 

従って紫は誰が何と言おうと「中庸」です。

 

 

このように「なんとなく湧いたイメージ」を頼りにすると、人によって答えが変わります。

 

 

そもそも、陰陽という考えになんでも当てはめるというのが無理なわけです。

 

 

この世には、陰陽に当てはめられるものと、当てはめられないものがあります。

 

 

男が陽性で女が陰性というのは納得できます。子供の反対が大人とかも・・・このように、元々2パターンしかないものであれば分けるのも可能です。

 

 

でも、それ以外のもの、例えば、「犬」が陽性で、「猫」が陰性とか言われたら「え?」って思いませんか?

 

 

「鳥」とか「ハムスター」とか「熱帯魚」はどうなんだ?と思いませんか?

 

 

「人参」が陽性で、「サツマイモ」が陰性というのもそれに匹敵します。

 

 

 

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カリウムとナトリウム

 

 

食品を陰陽に分ける基準の中で、一番説得力があるのが「ナトリウム」と「カリウム」での区別方法です。

 

 

 

陰性 → カリウムが多い

 

 

陽性 → ナトリウムが多い

 

 

 

ウィキペディアにも次のように書かれています。

 

 

『wikipedia マクロビオティック』

 

 

桜沢は左玄の陰陽論をヒントに、食品を「陰性」「中庸」「陽性」に分類することを追求した。

 

 

産地の寒暖や形而上の特徴から牛乳・ミカン類・トマト・ナス・ほうれん草・熱帯産果実・カリウムの多いものなどを「陰性」とした。

 

 

玄米・本葛粉(他のデンプンを混合した物は、「中庸」ではない)は「中庸」、塩や味噌・醤油・肉などナトリウムの多いものは「陽性」とした。

 

 

桜沢は当時の科学にも結び付けたと主張している。これは現在の栄養学的、科学的な分類とは異なる。

 

 

「ああ、なるほど」と思う人もいると思いますが、私からすれば、そもそも何故「カリウム」と「ナトリウム」を基準に理論を展開するのかわかりません。

 

 

 

ミネラルの種類はたくさんありますが、その中でも人間の体に必要な「必須ミネラル」は16種類あります。

 

 

 

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この中の「カリウム」と「ナトリウム」だけに注目するのは、バランスを欠いています。

 

 

「カリウム」や「ナトリウム」を気にするのが無意味だと言っているのではありません。他のミネラルを無視するべきではないといっているのです。

 

 

というのも、ミネラルというのはチームワークで働いているので全体を満遍なく摂る必要があります。「カリウム」と「ナトリウム」だけを特別扱いするべきではないのです。

 

 

「バランスを重要視するマクロビオティックが、なんで偏った分析をするようになったのかなー」と思って調べてみると、やはり、当時は分析する力がなかったからでした。

 

 

『とらねこ日記 マクロビと呪術』より引用

 

 

マクロビ(食養)では、食品を陰性のもの陽性のものに分類し、そのバランスが大切である、と説いています。

 

 

その食の陰、陽の分類は、石塚左玄が提唱した食べ物に含まれる代表的(?)なミネラルであるカリウムを陰、ナトリウムを陽として食品中の成分比を元にして行われたものを基本にしています。

 

 

マクロビでは何でもかんでも玄米で病気が良くなると主張するのは、石塚左玄が陰陽の調和が優れている食品を探した結果、玄米が最も優れている事を発見したからなのです。

 

 

左玄は根拠としてナトリウムとカリウムの比が色々な食品の中で中位に位置する5:1の割合で含まれる食品であるため玄米は優れていると結論づけました。

 

 

ところが、当時の分析技術の限界もあって当時のデータは実は不正確で、実際に玄米に含まれるナトリウムとカリウムの比率は左玄が適正と考えた比率では無い事が明らかになっております。

 

 

寧ろ、左玄が適切な比と考えた5:1の比に近い食品に位置するのは実は『食肉』だったりするのです。

 

 

石塚左玄は食の陰陽という考えを科学的に理解しようと、ミネラルバランスに着目しました。しかし当時の技術には限界があって、実際のミネラルバランスではありませんでした。

 

 

主張の根拠となる配分に誤りがありながら、提唱者の主張には誤りがないと考える・・・この構造はホメオパシーに似ているように感じます。

 

 

ここに書かれているように、当時(年)はミネラルの事がよくわかっていなかったんでしょうね。

 

 

少なくとも、「ナトリウム」と「カリウム」の存在は認知していたから、これになんでもかんでも当てはめて理論を組み立てたということではないでしょうか。

 

 

 

わからない事はしょうがないです。

 

 

問題は、「ごめん、間違っちゃった」とならないことです。しかも、訂正されないどころか、あらゆる健康情報に影響を与えています。

 

 

現代の栄養学にも言える事ですが、理論が間違っていた時は速やかに訂正して欲しいものです。

 

 

ここで、先ほど登場した人物について詳しく見ていきましょう。

 

 

 

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マクロビオティックを作った人達

 

 

始めに「マクロビオティック」の起源を遡ってみます。

 

 

『wikipedia マクロビオティック』より引用

 

 

マクロビオティックの運動のはじまりとしては、1928年に桜沢如一が行った講習会であると桜沢の夫人が述べている。

 

 

現在ではさまざまな分派が存在するが、桜沢如一に端を発した食に関する哲学や独自の宇宙感に関してほぼ同じ考えを保っており、また各集団も連携している

 

 

(中略)

 

 

起源

 

思想的な基盤は、食育で著名な明治時代の薬剤監であり医者であった石塚左玄の食物に関する陰陽論である。

 

 

桜沢は左玄の結成した食養会で活躍することを通して食事療法(食養)を学び、独自に研究した。

 

 

左玄の著書に『化学的食養長寿論』というものがあり「化学的」と冠しているが、左玄は当時の科学に敬意を持ち当時の栄養学では重要視されなかった栄養素のナトリウムとカリウムを陰陽のバランスと見て重要視し独自の理論を提唱した。

 

 

もとが中医学ではないため、この分類は中医学の陰陽論に基づく分類とはかなり異なる。

 

 

左玄は「白い米は粕である」として玄米には栄養が豊富に含まれていると主張してきた。

 

 

当初、桜沢は左玄の考え方に従い、鳥・魚・卵を少しなら食べてもよいとしていたが、晩年にそれらも食べない菜食が正しいという見解に到っている

 

 

陰陽でも、「中医学の陰陽論ではない」というところが面白いですね。

 

 

陰陽の考え方がどこからきたか知りたいので、ここに登場した「桜沢如一」と「石塚左玄」という人物にも迫ってみたいと思います。

 

 

『wikipedia 桜沢如一』より引用

 

 

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櫻澤 如一(さくらざわ ゆきかず、生来はにょいち。1893年10月18日 - 1966年4月24日)は、思想家・食文化研究家。マクロビオティックの提唱者として有名で、海外ではジョージ・オーサワ(George Osawa)の名で知られている。

 

経歴

 

和歌山県新宮市(当時の東牟婁郡)の貧しい武士の家系に生まれる。

 

流布される京都生まれは間違いである。14歳で祖父三四郎、父孫太郎等一家で京都に転居するも貧窮の中で職を転々とする中で病気に苦しみ、二十歳の頃、食養家・後藤勝次郎を通して石塚左玄の「食養生」に触れ、健康を回復する。

 

 

その後貿易商として活動する傍らで、石塚の主宰していた大日本食養会に参加。1924年には同会会長となり、石塚の死後伸び悩んでいた同会の復興・指導に専念する。

 

 

1939年、大日本食養会本部付属・瑞穂病院の閉鎖を機に同会を脱退、翌1940年、無双原理講究所を滋賀県大津市に開設する。

 

 

その傍ら執筆活動を続け、石塚の唱えた「夫婦アルカリ説」「ナトリウム・カリウムのバランス論」を易経の陰陽に当てはめた無双原理を提唱。

 

 

ここに出てきた「無双原理」という言葉ですが、

 

 

「無双」とは、「比べるものがない程優れている」という意味で、「無二」とか、「無類」のことです。だから、「無双原理」とは、「比べるものがない程優れた原理」という事です。

 

 

これは、ちょっと学問じゃないですね。

 

 

以前、「どんな方法にも一長一短あるから、一つのやり方を万能だと思い込むのは良くない」という記事を書いた事があります。

 

 

全て~が原因だった」は信じるな!病気の原因を特定する為の5つの視点

 

 

 

「これが原因じゃないだろうか」、「これなら治るかもしれない」と仮説を立てるのと、「これが原因だ」とか「これで治る」とか「この理論は何でも当てはまる」と決め付けるのは違います。

 

 

前者は「分析」「研究」で、後者は「信仰」です。

 

 

健康について考える時、「信仰」で物事を見ると、真の原因を見誤ります。

 

 

教育と洗脳は紙一重、確認をしなければどんな学問もただの信仰である

 

 

そして、「無双原理」を提唱した「桜沢如一」に影響を与えたのが、「石塚左玄」です。

 

 

 

『wikipedia 石塚 左玄』より引用

 

 

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石塚 左玄(いしづか さげん、嘉永4年2月4日(1851年3月6日) - 明治42年(1909年)10月17日)は、明治時代の日本の医師・薬剤師、であり陸軍で薬剤監、軍医を勤めた。 玄米・食養の元祖で、食養会をつくり普及活動を行った。

 

 

玄米・食養の元祖とありますので、「マクロビオティック」に影響を与えているのは間違いないありません。

 

 

医者でありながら食に携るところが、現代の医師とは違いますね。

 

 

では、この人のつくった「食養会」とは何か見てみましょう。

 

 

『wikipedia 食養会』より引用

 

 

食養会(しょくようかい)とは、石塚左玄が提唱した“玄米菜食を基本とした食養”を普及・実践する団体である。

 

 

左玄の食養を実践する団体としては「帝国食育会」という団体が先にあったが、食養会は会長に石塚左玄を迎えて創設された。

 

 

設立は、内務省の意向でもあった。食事療法や書籍の刊行、会の趣旨に適う健康食品の販売などを通じて、食事で健康を養うための独自の理論を展開した。

 

 

概要

 

1907年(明治40年)に設立。左玄が陸軍の要人であったことから、発起人には陸軍関係者や財政会の面々が名を連ねた。

 

 

1937年(昭和12年)、桜沢如一が会長となる。月刊誌は購読者1万人であった。

 

 

1940年(昭和15年)ごろ、会長の桜沢如一は何冊もの著書を出版し、華族にも近づいており、食養会は興隆していた。しかし、理事たちから反発を買った桜沢は、食養会を逐われる。

 

 

1942年頃、厚生省の意向で食養会と「家庭国民食中央会」が統合され、社団法人の「国民食協会」となったが、食養の実践にはつながらなかった。

 

 

団体は、第二次世界大戦(1945年終結)後にはGHQ(連合国軍最高司令官総司令部)によって公職追放された。

 

 

格式の高い団体です。

 

 

玄米・菜食は庶民から発生したものではなかったんですね。

 

 

続いて、この食事法を実際に試した人の話を紹介します。

 

 

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マクロビオティックの体験

 

 

「僕が菜食をやめた理由」という貴重な体験記から、「マクロビオティック」について語られている部分を紹介します。

 

 

『しあわせごはんとあやつneem 僕が菜食をやめた理由 ⑧』より引用

 

 

僕はアメリカでマクロビオティックを確立させ日本へ逆輸入した立役者、久司道夫の書いた辞典のような分厚い本「ザ・マクロビオティック」を隅から隅まで目を通しました。

 

 

各病状に対するマクロビオティックの対処法が書かれていますが、何の役にも立ちません。ほぼ全てを「動物性食品、焼きしめた小麦粉、砂糖入りのお菓子、熱帯産果物やジュース」が原因であるとひたすら書き記しており、本当に効くのか分からない家庭療法が書き連ねてあるだけです。(例え家庭療法が効いたとしてもマクロビオティック自体に病気になる原因があるので、一生抜けられない無限ループに嵌ります)

 

 

マクロビオティックをやりながらも低血糖症である自覚があったので、現在生きている中で最も影響力が強い講師の1人、奥津典子氏の書いた「本当に怖い低血糖症」に救いを求めました。もちろん何の解決策にもなりません。

 

 

「脳の唯一のエネルギーはブドウ糖」

 

「低血糖症を治すには、ご飯をしっかり食べる事」

 

「動物性食品を摂らないこと」

 

 

など、治すどころか低血糖症を悪化させる生理学的に大嘘な事ばかり書き連ねてあります。

 

 

意図的にしているかと思うほどのデタラメな記述ですが、おそらく素でやっています。僕も同じだったので、悪意は無いことは分かります。(悪意を持っているのはもっと上にいる人達です)

 

 

そして、そこがまた問題なのです。悪意が無いから一生懸命伝えます。知識がない人や素直な人は、まさか嘘を言っていると思わず信じ込みます。この無限ループが続いていきます。

 

 

そもそもマクロビオティックに何の根拠も研究もありません。石塚左玄の食養理論は間違った部分こそあったものの栄養学に基づいた今のオーソモレキュラーの先駆けとも言えるものだったそうで、この時代にカリウムとナトリウムのバランスを発見したのは画期的でした。

 

 

桜沢如一は、もともと栄養学的であった石塚左玄の「夫婦アルカリ論」に独自に易学の陰陽理論、仏教の世界観をプラスし、食から宇宙真理に繋がるという哲学「無双原理 (マクロビオティックの根幹となる陰陽論です) 」を創り上げました。

 

 

この無双原理になんの根拠もなく、桜沢のただの思い付きによって考案された宗教的なものです。桜沢の一生を追った書籍「桜沢如一。100年の夢」によれば、

 

 

「食養は幸福の密教である。」

 

「指導原理はたったひとつの世界観、宇宙観でなくてはならない。」

 

「世界新秩序を建設する」

 

 

など桜沢如一自身が発言しており、宗教的感覚に思いっきりハマっている事が伺えます。

 

 

と、いうよりも、もはや最初から宗教・・・

 

 

僕自身も、目が覚めた後に、石塚左玄と桜沢如一の理論はまったく別物である事を長尾周格先生から教えていただきました。

 

 

栄養学ではなく、宗教とのこと。実践した人の話だから説得力があります。

 

 

で、以下のような記述もあります。

 

 

『wikipedia マクロビオティック』より引用

 

 

思想としての側面

 

マクロビオティックはむしろ「思想」に近いものであり、病状などに即して栄養学的にメニューを調整するといった食事療法とは根本的に異なり、生活そのものを改善するような平和運動を伴った思想が根底にあるとされる。

 

 

さらに、陰陽思想を食のみならず、生活のあらゆる場面で基礎とすべく、万物を陰と陽に分類する無双原理という哲学を提唱した。そして、この独自の哲学を含む食生活運動へと発展させた。

 

 

思想ですと。

 

どうりで勉強しようとすると、頭に入ってこないわけです。

 

 

辻褄の合わないこと、理路整然としない事はどんな説であっても納得できません。まぁ、これは栄養学にも言えることですが。

 

 

「マクロビオティック」に限らず、何か食事法を熱心にやると、傍から見たら宗教にハマったように写ることがあります。

 

 

宗教・・・と、イメージで判断するのは良くありませんが、創始者が「指導原理はたったひとつの世界観、宇宙観でなくてはならない。」等と述べているなら、その中身は学術的ではなく、宗教的と判断せざるを得ないでしょう。

 

 

私もこの事がわからなかったから、長年「食材の陰陽説」に出会うたび、頭が混乱していました。思想を学問のように捕らえれば、そうなるのは当然です。

 

 

考えて混乱するだけならまだいいですが、実践するとなると厄介です。真面目に勉強して実践していた内容が、実は思想でしたというオチになるわけですから。

 

 

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陰陽に疑問を持つ人はいる

 

 

最後にパティシエの弓田亨氏の著書より、マクロビオティックの陰陽論について記述された部分がありましたので紹介します。

 

 

『失われし食と日本人の尊厳 荒廃した日本の食と闘う鬼才パティシエが追い求めた「真実のおいしさ」/ 著書 弓田亨』より引用

 

 

《陰陽の考え方》

 

 

そしてなによりも理解に苦しむのは、陰陽の概念です。

 

なにも論理的な根拠は説明されていません。どうして野菜や食材に陰陽があるのでしょう。食材を長く煮ると陽の傾向が出て、短いと逆の傾向が出るのでしょう。

 

 

「陰陽」というのは易から出ているのでしょうが、どうしてそれが今の日本の食に当てはまるのでしょう。

 

 

この陰陽の思想が生まれた中国においてさえも、当時と現在では風土と産物、社会事情は大きく異なるはずですし、当時は有用であった考え方でも今の中国には会わないかもしれません。

 

それがどうして唐突に現在の日本に当てはめることができるのだろうか、というのが素朴な疑問です。

 

 

おそらく創始者達も理解していると思われるマクロビオティックの論理的矛盾を取り繕い、神秘さを与えるために、「身土不二」「一物全体」「陰陽」という猫騙しの言葉がぺたぺたと貼り付けられたように思えます。

 

 

玄米や豆乳、全粒粉などに既存の価値観を一見うまく張り合わせ、それでも隠せない考え方の矛盾をあやふやにするために、これらの神秘性をもった言葉を持ち込んだ、それこそがこのマクロビオティックのすべてではないでしょうか。

 

 

これらのことはマクロビオティックの中枢の方々にとって、最も大事な食をあくどく利益追求するための単なる1手段としてしか考えていないことを明確に示していないでしょうか。

 

 

(中略)

 

 

マクロビオティックのこのような、狂気に染まった料理を食べ続けることは、まるで難行苦行に挑み続ける修行僧の苦しさを味わうようなものに思えます。しかもその苦しみの後には人間の心と身体の尊厳の破壊しかありません。食事には心からの「おいしさ」と「楽しさ」がなくてはなりません。

 

 

私の教室の生徒さんで、親しい友達からマクロビオティックをしきりに勧められている人がいました。彼女も関心を持っているようでした。

 

 

私は「マクロビオティックなんて始めたらとんでもないことになるよ」と止めました。そして何ヵ月後かに私は「マクロビオティックの友達はどうしてんの」と聞きました。

 

 

「先生のいう通りでした。身体を壊して今、入院しています。もうマクロビオティックは止める」と言っていたとのこと。まぁ、まったく当たり前の結果です。それにしても私に入会を止められた生徒さんはとても運が良かったと思います。

 

 

マクロビオティックの料理法は辰巳氏らのものとまったく同質のものであり、この日本の社会にさらに大きな災厄をもたらすのです。

 

 

もうマスコミも彼らの本質を理解しなければなりません、それにしても私が読んでいる朝日新聞の最近のウィークエンドのページに「マクロビオティック」が2ページに亘ってとても肯定的に取り上げられているのには驚き、呆れてしまいました。

 

 

朝日新聞も食の領域では正しい視点を持ち得ない時代の愚かさを追認するだけの存在なのでしょう。以上のことはマクロビオティックの料理を長く食べ続ければ、きわめて高い確率で重篤な病に陥ることを示しています。

 

 

(154p~156p)

 

 

「食にたずさわる仕事をする人でも、陰陽に疑問を感じている人はいるのだな」と思わせる内容です。

 

 

思想なら思想で構いません。しかし、それなら「これはフィクションです」と端の方に書いておいて貰わないと、疑問に感じたり、迷ったりする人がでてきます。

 

 

というわけですので、これから先、食材の陰陽論が出てきた時、悩まないようにして下さい。

 

 

 

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