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脂質やタンパク質などの「動物性食品」を食べると体に悪いと思っている人がいます。
また、「食の欧米化」や「ジャンクフード」は悪く言われることが多いですが、叩かれるのは、動物性食品の部分です。
その量をはるかに凌駕するご飯や、パン屋や、麺の存在は無視されることが多いです。
しかし、体に悪いのはタンパク質や脂質ではなく、糖質です。
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タンパク質や脂質の摂取で病気になる理由
一般的に「脂質やタンパク質ばかり食べると癌になる」とか、「死亡率が上がる」等と言われています。
ですが、その説の元になっているのは、「糖質を摂りながら、脂質やタンパク質を食べて病気になった」というデータです。
「糖質を徹底的にそぎ落として、脂質やタンパク質ばかり食べたから病気になった」というデータではありません。
この2つは全く違います。
糖質+脂質+タンパク質 = 病気になる
断糖+脂質+タンパク質 = データなし
前者のデータを元に「脂質」と「タンパク質」にイチャモンをつけているのです。
この2つの食事がどう違うかは、以下をお読み下さい。
『低糖質ダイエットは危険なのか?中年おやじドクターの実践検証結果報告 マイルドな(中等度の)糖質制限で脂肪摂取が増えるとかえって危険かもしれない』より引用
この記事では、反糖質制限派の主張する「糖質制限を続けると死亡率が上昇するから危険である」とする論文や報告について、条件付きで肯定しようと思います。
初めに結論を申し上げておきますと、能登先生や、反糖質制限派の提示している比較研究の対象は、「江部先生の推奨している糖質制限食」vs「糖質60%の通常の高糖質食」ではありません。
「糖質30~40%のマイルドな糖質制限でカロリー制限してない食事スタイル」vs「糖質60%の通常の高糖質食」です。
「マイルドな糖質制限食でカロリー気にしない」と、「糖質60%の一般的な食事」これらの両者を比較した時には、前者の方が分が悪い、病気になりやすいようだというのは、真実かもしれません。
「カロリー制限をしないマイルドな糖質制限」で安心しちゃうとひどい目に遭うかもしれないのです。
(中略)
いずれの報告においても、糖尿病をはじめとする生活習慣病の発症のみならず、致死的な合併症の発症などを見ると、「高糖質(糖質60%以上)・低脂肪(脂肪20%以下)食」の方が、「中糖質(糖質30~40%)・高脂肪(脂肪30~40%)食よりも危険性が低い。
つまり、食事として優れているとしています。
これは能登先生や、糖質制限たたきをする研究グループの意見と同じですね。
これら、糖質制限が危険だとするグループが想定している糖質制限食事群は「糖質摂取量30~40%」です。
「糖質制限」とする糖質摂取量がどのぐらいなのかの定義、ここに実は、両者の主張が乖離する落とし穴があったのですね 。
糖質制限肯定派が推し進めようとする「スーパー糖質制限食」と、糖質制限批判派が否定しようとする「マイルドな糖質制限食」は全く別の食事スタイルなのです。
2013年の1月20日の記事で江部先生がこのことを指摘されています。
*****
結局、このメタアナリシスは、高糖質群(60~70%)と中糖質群(30~40%)の比較であり、糖質制限食(糖質10~20%) の群はどこにも登場しません。
中糖質群で、例えば2000kcal/日摂取したら、糖質は150~200g/日1回の食事の糖質量は50~66gであり、追加インスリンの大量分泌が生じます。
食後高血糖も生じます。
インスリンの過剰分泌に発ガンリスクがあることには、多くのエビデンスがあります。
そして食後高血糖にも発ガンリスクのエビデンスがあります。
すなわち中糖質食では、発ガンリスクは減らせないということが言えます。
糖質制限食(糖質10~20%)なら、インスリン過剰分泌と食後高血糖という明確な発ガンリスクが、ほとんど生じないという大きな利点があります。
結論としては中糖質群(30~40%)は高糖質群(60~70%)と比べて、相死亡率が優位に増加したという研究です。
糖質制限食には無関係の研究です。
http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-category-33.html
*****
(中略)
では、どうして中等度の糖質摂取では、高度糖質摂取群よりも健康によくない結果が出るのか?癌だけでなく、ハワイの日系移民で見られた動脈硬化や糖尿病の増加などについて考えてみましょう。
江部先生が書かれているように、中等度の糖質摂取(糖質30~40%)の場合、食後高血糖は防ぎようがないので、高血糖による血管内皮障害は必ず起こります。
高糖質食を食べている方ほどではないにしても、必ず起こります。
この時になにが起こるかと言えば、インスリンが上がって、糖質は肝臓などに取り込まれますが、取り込まれた糖質の大部分はすでに余剰ですから、脂肪に変換されます。
毎食、糖質30~40%摂取している人ではグリコーゲンは常にフル充電状態で、細胞内に「糖質」として蓄える余地はもうありません。
もちろん、昔の農民や労働者のように労働量が今に比べて格段に多かった時代であれば消費するから大丈夫だったでしょう 。
でも、現代人では糖質30~40%摂取したら、常にグリコーゲンは筋肉にも肝臓にも満ち満ちて、糖質は常に余るのです。
その状態では、糖質から変換された脂肪も肝臓には蓄えることができず、溢れて血中に放出されて脂肪細胞に吸収されます 。
これも食事のたびに常時繰り返されているので、脂肪細胞にも脂肪を蓄える余地がなくなり、脂肪は血中に余っていきます 。
これはどこにも行く場所がないので「異所性脂肪沈着」と呼ばれる状態に陥ります。
本来、脂肪細胞の存在しないところに脂肪細胞ができて脂肪を必死で蓄えようとする「異所性脂肪沈着」、この状態を我々 はよく知っています。
和牛肉で高級品とされる霜降り肉は筋肉内に脂肪が異所性沈着した状態。
鴨に無理やり食わせて脂肪肝を作り出すフォアグラは、肝臓に脂肪が蓄えられ、その上にさらに脂肪細胞が増えて異所性沈着した状態。
霜降り肉もフォアグラも、作り方を見ればそっくりですよね。
(中略)
異所性脂肪沈着は、糖質摂取率30~40%という、中等度の糖質摂取であっても発生している事象だと考えられます。
60%以上摂取者に比べればましとはいえ、糖質から変換された脂肪が血中にあふれかえっている状態です、そこに高濃度の脂質が入ってくるとどうなるのか?
異所性脂肪沈着は急激に進むのです。
それが、中等度の糖質摂取者で生活習慣病が増える原因になるのではないかと私は考えています。
中等度の糖質摂取で、その分、脂質摂取を増やすと、高糖質低脂肪よりもむしろ血管にとってよくない状況が引き出されるのではないか。
それが、朝日新聞に掲載された研究の本体ではないかと。
朝日新聞に掲載された「糖質制限を5年以上続けると死亡率が上がる」という学会発表は、正確に言い直せば、「「糖質30~40%のマイルドな糖質制限食だけどカロリー制限してない食事スタイル」を5年以上続けると「糖質60%の通常の高糖質食」に比べて死亡率が上がる。」というものです。
「糖質制限」という言葉は一般的になってきましたが、糖質の減らし具合は様々です。
- 山田悟医師の緩い糖質制限
・1食糖質20~40g
- 江部康二医師の糖質制限
・プチ糖質制限(1日糖質120~170g)
・スタンダード糖質制限(1日80~120g)
・スーパー糖質制限(1日30~60g)
- 釜池豊秋医師の糖質ゼロ食
・1日1食、糖質5g以下
糖質には害があるので、減らし具合が少ない方が病気のリスクも上がります。
ちなみに癌や膠原病などの難病を糖質制限で治す場合、糖質を極限まで減らしますが、これも、糖質に害があるからです。減らした方が回復に効果があるからです。
脂質もタンパク質も糖質もそこそこ食べて病気になった場合、何故か、糖質は叩かずに、タンパク質と脂質ばかりが叩かれます。
しかし、悪いのは「脂質」や「タンパク質」ではありません。それに「糖質」を組み合わせるから悪いのです。
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異所性脂肪沈着とは
さきほど出てきた「異所性脂肪沈着 」について調べてみました。
すると、この「異所性脂肪 いしょせいしぼう 」は、沈着部位臓器機能を低下させるようです。
『低体温、低代謝、メタボの改善講座 異所性脂肪のでき方と減らし方』より引用
以前書いたように、異所性脂肪とは本来あるべきでない場所に存在する脂肪のことです
主な異所性脂肪は
*肝臓:脂肪肝
*筋肉:霜降り
です
これはただ単に「脂肪が過剰に沈着している」と考えるより深刻で、その沈着部位臓器機能を低下させてしまうのです
脂肪肝は
*エネルギー合成能力
*解毒能力
*代謝能力
筋肉内脂肪は
*筋機能
*柔軟性
*持久力
などを確実に低下させます
身体の2大体温産生臓器は筋肉:80%と肝臓:10%です
この2つの臓器に異所性脂肪が沈着してしまうと、単純な皮下脂肪沈着に加え、熱産生能が低下するので、代謝の低下まで認められるようになるのです
異所性脂肪のほとんどは高GI糖質の摂取によって発生します
食後高血糖になったり、異所性脂肪沈着が起こる「緩い糖質制限」と、
食後高血糖にならない、異所性脂肪沈着が起こらない「厳しい糖質制限」は、
両方とも「糖質制限」ですが、体の中で起こっている事を比べれば、全く別物であることがわかります。
しかし、「60%」→「30%~40%」に減らした人にとっては、食後高血糖になったり、異所性脂肪沈着が起こるレベルでも、「糖質制限」です。
私は「緩めの糖質制限」をする気にはなれません。
「緩めの糖質制限」を続けていたら、体の中でこれらの現象が起きるわけですから、癌や動脈硬化、糖尿病になっても不思議ではないからです。
断糖肉食を選んだわけ
私は糖質制限をしていますが、糖質量は1日10g以下です。
ほぼ断糖で、「スーパー糖質制限」に属します。
私が糖質制限を始める時に、どうして「緩め」ではなく「スーパー」の方を選んだのかというと、一つは私が糖質制限について学んだ時、よく参考にしていた方が厳しい糖質制限をされていたからです。
「ダイエット目的」ではなく、「病気を治す事」や「病気を予防する事」を目的にされていたので、その真剣さも惹かれるものがありました。
病気を治す程のものなら、健康に悪いはずがありませんから。
そして、もう一つの理由は、私は以前「自己流・緩めの糖質制限」で失敗したからです。
その後、調べると「糖質を徹底して制限すれば成果が出る」という事が分かりました。
「試してみる価値がある」と思いましたし、過去に「緩め」で失敗したので、また同じ「緩め」をする気になれませんでした。
こうして、「糖質を徹底的に排除した、脂質やタンパク質中心の食事」で体質が改善しました。
「緩め」と「スーパー」の両方を試したから分かるのですが、
「緩めの糖質制限」が上手くいかなかった原因は、やはり「糖質をそこそこ摂りながら、脂質やタンパク質をたくさん食べた」事なのです。
「緩めの糖質制限」を実践していた当時、自分では糖質を減らしていたつもりでしたが、体にとってはまだまだ減らしたうちに入らず、そのせいで、胃の糖化が一向に治りませんでした。
糖化した胃は、脂質やタンパク質を食べると気持ち悪くなりますから、「この食事は私には合わない」、「前の食事の方が食べられていた」と思いました。
肉を食べると胃が気持ち悪くなるが、野菜や穀物や甘い物はいくらでも食べられる理由とは
体調の方も、一時調子が良くなって、その後、頼みの綱のタンパク質が食べられなくなり、体力が落ちていきました。
今のように「糖質を徹底排除したうえで、脂質やタンパク質を食べた時」と、全然結果が違うのです。
その違いから、体験的に「脂質とタンパク質だけ」の組み合わせなら良いが、そこに「糖質」を加えると不具合が生じると感じています。
「脂質+タンパク質+糖質」が悪いのであって、「脂質+タンパク質」が悪いわけではありません。
しかし、未だにこの二つは「同じ事」として認識され、「糖質が加わることによって結果が変わる」という本質が無視されています。
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緩い糖質制限も全くダメではない
ただし、「緩い糖質制限」が全くダメではありません。
糖質を極限まで抑えた「スーパー糖質制限」をいきなり始めると、体がついていかない人がおられます。
糖質を極端に減らした状態を、体が「飢餓状態だ」と勘違いして、「リバースT3」という物質を大量に作り出し、それによって、「眠い」、「疲れやすい」、「だるい」、「冷える」等といった症状が出ます。
それをlow T3 症候群(低T3症候群、Sick Euthyroid Syndrome)といいます。
この症状が出る人が糖質制限を成功させるには、体が「飢餓状態だ」と勘違いしないように、徐々に糖質を減らしていく必要があります。
そのような人は移行期間が必要です。
最初は「一食だけ主食を抜く」といった風に、「緩めの糖質制限」から始めます。
しかし、始めは「緩めの糖質制限」でも構いませんが、あくまで「体が慣れるまで」です。
「緩めの糖質制限」が良いと言ったのは、「スーパー糖質制限に移行する下準備に良い」という意味です。
なので、いつまでも「緩い糖質制限」が良い・・・という意味ではありません。
「緩めの糖質制限」をずっと続ける人もいれば、「スーパー糖質制限」をずっと続ける人もいます。
どちらを選択するかは実践者によってバラバラです。
ただ、もし私が人から「続ける場合、どちらが良いですか」と聞かれたら、迷わず「スーパー糖質制限が良い」と答えます。
病気のリスクが少ないからです。
タンパク質や脂質と糖質を組み合わせない方がいい
「緩めの糖質制限」は、通常のバランスの良い食事より糖質は少ないですが、減らし具合が甘いので、どうしても多少の糖質を摂取する事になります。
なので、「緩め」だと、どうしても糖質を摂りながら、脂質やタンパク質を摂取するスタイルになります。
それは、慢性疾患の元であり、スーパー糖質制限のような断糖肉食とは全く違う食事であることを強調しておきます。
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