骨格に問題があって鼻詰まりになっている人は少なくないようです。ネットで調べると、手術の体験記が多いですから...。
その原因、実は子供の時の栄養不足が関係しています。
脳や頭蓋骨は、だいたい6歳までに、成長を完了するのですが、頭蓋骨の上の部分(写真左)が先に成長を終えます。
そして、下顎(写真右)は、10歳くらいから、さらに成長します。
(矢印が「上顎骨 じょうがくこつ」)
頭蓋骨の真ん中に位置する「上顎の骨(上顎骨)」も、6歳でほぼ成長を終えます。
こちらの記事では、上顎の骨の成長と「不正咬合」についてとりあげたのですが、今回は上顎の骨の成長と「鼻の機能」の関係についてお話します。
何故なら、「上顎の骨」というのは、口の骨であると同時に、空気の通り道である「鼻腔」を形作っている骨でもあるからです。
ということは、
「上顎の骨(特に横幅)の成長が上手くいかない」ということは、「不正咬合」はもちろん、
「鼻腔の成長」にも影響するということなのです。
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鼻の骨の構造
模型で説明します。「上顎骨」を取ってみました。
茶色い骨は鼻骨(びこつ)です。
割ってみました。
空洞の部分が分かりにくいので、今度は他の骨を取り除きました。
割ってみました。
空洞になっているのがわかりますね。
ちなみに、上から見たのが左で、後ろから見たのが右です。
これが「上顎骨」です。
この「上額骨」が上手く成長しないと、「下に位置する口」だけでなく、「上に位置する鼻」に問題が生じます。
上顎の骨のすぐ上は
(中略)
あまり見慣れないと思いますが、よく見てみると、上顎の骨のすぐ上は鼻です。上顎骨が左右に広がりますと当然鼻の部分も広がります。余談ですが鼻の形は鼻骨ですから、鼻は大きくなりません。広がるのは鼻の通りです。
「鼻の通りが良い」を説明するより、「鼻の通りが悪い」を説明するほうが分かりやすいと思います。
鼻の通りが悪いと、まず1番目に挙げられるのは、口で息をする習慣が出来てしまう事です。このことを口呼吸(こうこきゅう)と呼びます。
口呼吸をすると、口の中が乾いてしまい色々と弊害が出てきます。乾くと唾液が口の中で循環しなくなります。そうなると、虫歯が出来やすく、歯石が付きやすく、歯に汚も付きやすくなります。
それと鼻は人体の空気清浄機です。鼻を通る間に、ホコリ等のゴミを取り除きますし、細菌等を体内に入れない防護もになっています。また空気を暖める作用や完走した空気に適度な湿度を与える作用もあります。口呼吸だと鼻を通しませんので、ホコリ等のゴミを直接喉(のど)に送り込みます。細菌も無条件で喉まで達してしまいます。すぐ喉が腫れたり、風邪をひくなら喉が荒れる人は口呼吸も原因の1つかもしれません。
空気を暖める作用が鼻にはあります。冷たい空気を直接吸うのは実はかなり体には負担が大きいようです。お医者さんのホームページなどに書いてあるのですが、冷たい空気を吸うと気管支喘息や狭心症の発作の引き金になると書いてあります。
ちょっと話を大きくしてしまったようですが、体にかかる負担が結構大きいことがお分かりいただけますか。
鼻の通りが悪い事と口呼吸は必ずしもイコールでは無いのですが、叢生の人は口呼吸が多いのも事実です。特に夜寝る時に口呼吸をしている人は、自覚もあまりありません。
上顎の成長が鼻にまで影響を与える事は、すぐ隣であるのに担当が歯科と耳鼻科に分かれるからか、あまり考えられていません。鼻で息を吸うのを鼻呼吸(びこきゅう)といいますが、鼻呼吸の大切さがお分かり頂けたと思います。
さらに、口呼吸は「脳が冷却されない」という問題もあります。パソコンと一緒です。
『医者は口を診ない、歯医者は口しか診ない 医科しか連携で医療は大きく変わる 著者/相田能輝』より引用
口呼吸を行なっている患者の頭蓋部の断面を観察すると、鼻からの呼吸による冷却ができず脳が「オーバーヒート」を起こしており、いわゆる頭に血が上った状態が常に続いていることが明らかになっています。
そのような状態だと、小児においては、集中力や学力が伸びないなど、さまざまな弊害が起こるようになります。
普通、人は鼻で加湿した空気を送り込むことで、脳を冷却しています。しかし、口呼吸だとそれができません。それどころか、口呼吸は鼻のフィルターを通さず直接器官に空気を送り込むため、扁桃を刺激して、免疫の異常を引き起こすなど、健康にも悪影響を及ぼすことになります。
(136p~137p)
流れを整理します。
上顎骨が左右に広がらない
↓
鼻も広がらない(鼻の通りが悪い)
↓
口呼吸
↓
脳に影響
「鼻の通りが悪い」というと、軽く聞こえますが、体には相当負担がかかっていることが分かります。
そして、骨(上顎骨)だけではなく、「鼻中隔軟骨という軟骨」の成長不全についても考える必要があるのです。
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鼻中隔軟骨の構造
「鼻中隔軟骨」は軟骨です。
どんな軟骨なのかというと「鼻の支え」です。
鼻腔は、右と左に分かれていて、喉の奥で左右に繋がって1つになっています。この鼻腔を左右に分けている壁が、鼻中隔軟骨(びちゅうかく・なんこつ)です。
この軟骨は、鼻の形態には 鼻骨とともに 重要な役割を担っています。
以下の図が分かりやすいかと思います。
『VERITE CLINIC 鼻中隔延長術~第2章 : 鼻の構造を理解しましょう』より引用
この「鼻中隔軟骨の成長」と、「上顎骨の横幅の成長」には密接な関係があるそうなのです。
それを裏付けるかのような話を紹介します。
『肉食鍼灸師の食養ブログ 『食生活と身体の退化』 栄養と発育の驚くべき相関関係』より引用
受け口と鼻づまり
僕はもともと歯並びが悪くて上下のかみ合わせが逆になった「受け口」です。もう、初めからそうなので、これは遺伝だと思っていました。(家族や親戚に受け口はいないのですが)
さらに、僕の鼻柱は曲がっています。
骨格がはっきりしてくる中学生のころに気が付いたのですが、鼻の軟骨がはっきりと曲がっていて、まっすぐじゃない。
顔のことなので、若い頃はとても気にしていました。
鼻は曲がっているだけじゃなく、通りも悪かった。子供のころから慢性的な鼻炎で、いつも口呼吸をしていました。
ある時、鼻から息を吸えることに気がついて、あれ??鼻って息吸えるんだ!!と「発見」した記憶があります。それは、たしか小学校の3年生ごろでした。とうことはその頃、日常的に口呼吸していたということ。そもそもいつも詰まっていたので、鼻から息を吸えませんでした。
なぜこのようなことを書くかと言うと、これは、顔の真ん中部分のの発育の悪さと関係があるからです。
鼻中隔軟骨の発育
その関連性は『食生活と身体の退化』を読んで初めて知りました。
そもそも歯並びや噛み合わせが悪くなるのは、上あごや、顔の中段ゾーンの発育不良が原因のようです。
「鼻中隔軟骨」という、顔面の真ん中辺りにある軟骨がありますが、これが十分に発達することで、シッカリとした鼻腔が形成されます。
鼻腔とは、鼻の穴とその奥につながる空洞です。ここは結構重要な場所で、外から入ってきた空気を温め、湿らせ、鼻毛などで異物を取り除きます。もちろん細菌やウイルスから身を守る「免疫機能」にも重要なところ。
そして、嗅覚。
生物としては臭いをかぎわけることはとても重要ですよね。嗅覚を司る神経は脳にダイレクトにつながっていて、嗅覚は脳機能や精神状態、自律神経にも大きな影響を与えると言われます。
鼻の通りが良ければこれらの機能が正常に働き、脳に適切な刺激が伝わるでしょう。逆に、いつも鼻が詰まっていれば、それが妨げられてしまいます。
「鼻柱が曲がっている症状」を、「鼻中隔彎曲症 びちゅうかく・わんきょくしょう」と言うそうです。
曲がるメカニズムが以下に書かれていました。
『一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会【はなの病気Q&A】鼻中隔彎曲症』より引用
Q 1)鼻中隔彎曲症〈びちゅうかくわんきょくしょう〉とはどんな病気ですか。
A 鼻中隔が強く曲がっているために、いつも鼻がつまって口呼吸やいびき、においがわからないなどの症状がある場合を鼻中隔彎曲症といいます。鼻血(鼻出血)が出ることもよくあります。アレルギ-性鼻炎や慢性副鼻腔炎(蓄膿症)があると、その症状はひどくなります。
Q 2)鼻中隔はなぜ曲がるのですか。
A 鼻中隔は軟骨〈なんこつ〉の板と、骨の板とでできています。顔の発育とともに鼻も発育しますが、骨の板より軟骨の板のほうが発育が盛んなので、その違いのために彎曲がおこります。この発育は思春期までが盛んです。軽い鼻中隔彎曲は赤ちゃんにも見られ、年齢とともにその率が上がります。児童では70%、成人では90%と言われるように、ほとんどの人がある程度曲がっています。したがって、鼻中隔が少し曲がっているだけで、鼻の症状がほとんどない場合は病気とはいえません。
冒頭でも言いましたが、「鼻中隔彎曲症」についてネットで検索したら、体験談が多いです。
普通、病気について、病名だけで検索した場合、多いのは医院のHPや、医療情報なのですが、この「鼻中隔彎曲症」は、医院や医療情報よりも体験談が目立ちます。
つまり、それだけ多い疾患だということです。
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鼻詰まりと口呼吸による身体への悪影響
で、子どもの鼻がずっと詰った状態だと、どう成長に影響するのかは、以下が参考になります。
『共働き、両親頼れない!けど2人目産んじゃった(・ω・)ノ 「鼻のせいかもしれません」鼻づまりによる悪影響と手術について。』より引用
わたしも、上の子もアレルギー性鼻炎。副鼻腔炎になりがち、扁桃腺が腫れやすい。
点鼻薬や飲み薬を処方されますが、授乳中はのみたくないし、面倒になって飲まなくなりひどくなって受診、のループになってしまいます。鼻水の薬はぼーっとしますし…。
上の子にはこのような思いをさせたくありません。
最近若い社会人と接すると、集中力がなかったり、ぼーっとしている人が多くなった気がして気になっていました。口に締まりがなくて覇気がなくて。
聞いてみると、だいたい蓄膿や鼻づまり。鼻が詰まっているから口が開く、ぼーっとするのかな?と常々思っておりました。
上の子も口が開くことが増えて気になっていました。
ボーっとするのは、脳がオーバーヒートを起こしているからかもしれません。
『パパの育児宣言!子育て情報受信中 子どもの口呼吸は放っておくと発育に悪影響!?鼻炎歴37年のわたしが本気で治そうと思ったワケ』より引用
鼻づまりの子は、ある意味「重い甲ら」を背負わされてるいるようなものなんですよ。だから本当はもっと集中力があってイライラすることもないのに、そんなもん背負っているから本当の力が発揮できないかもしれないのです。
(中略)
本書では鼻づまりが睡眠障害をもたらすということを細かく説明されていますが、ここではその睡眠障害がもたらす子どもの弊害を簡単に紹介します。
・昼間に眠くなる
・集中力の低下
・学習能力の低下
・キレやすいなど攻撃的行動
・情緒不安定
・意味もなく動き回る
・知能の発達障害など
鼻詰まりにはいろんな原因があると思いますが、私が今回テーマにした、「骨格に起因する鼻詰まり」はやっかいです。物理的に問題があるのですから、薬の治療も難しいでしょう。
だから、そうならないように気をつけるのがベストなのです。
その「気をつけなければならない人」は誰かと言うと、子どもではなく、その子を生む母親です。
次回は、子どもの「軟骨」や、「上顎骨」がまともに成長する為には、どんな栄養が必要なのかについてお話します。
何故、現代人の顔は細いのか?子供の骨格が正常に成長する為に必要な条件とは
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