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谷本議員と一緒に飛行機を降ろされたもう一人の人物・高橋清隆氏について

 

 

 

谷本議員らがノーマスクで強制降機! 釧路空港のエアドゥ機、「憲法違反を公然と行う航空各社への行政指導を国交省に求める」

 

 

一緒に飛行機を降ろされた反ジャーナリスト高橋清隆氏による、谷本誠一議員のインタビュー動画です。

 

 

 

 

 

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タグ:電子伝達系
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電子伝達系(呼吸鎖)について分かりやすく説明してみた②複合体Ⅲ~Ⅴ

 

電子伝達系の後半になります。前半は以下です。

 

 

電子伝達系(呼吸鎖)について分かりやすく説明してみた①複合体Ⅰ~Ⅱ

 

 

前半でも少しお話しましたが、「電子伝達系」の説明は情報源によってバラバラです。

 

 

簡単な生化学の本ではだいたい同じような説明になっていますが、さらに一歩踏み込んで調べようとすると、非常に複雑で、どの情報も言っている事が微妙に違います。そんなのネットだけだろ、と思われるかもしれませんが、本もです。

 

 

今回、調べた情報をまとめて、だいたいの流れを書きましたが、元ネタがそのような状態なので、私としても半信半疑です。

 

 

調べれば調べる程、納得のいかない事がでてくるので、何回書き直したか分かりません。

 

 

もっと時間をかけて調べて、完全に分かってから記事を公開しようと思っていたのですが、気が済むまで調べ始めると何時公開できるか分かりません。従って、今後修正するという前提で、現時点でまとめた事を公開することにしたのです。

 

 

なので、本記事の説明は、あくまで現在言われている説の1つだという感じで捕らえるようにして下さい。

 

 

それでは、続きの「複合体Ⅲ」から説明します。

 

 

 

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③ユビキノール:シトクロムcレクターゼ複合体(複合体Ⅲ)

 

 

「複合体Ⅰ」や「複合体Ⅱ」から離れた「ユビキノール」は、「ユビキノール:シトクロムcレクターゼ複合体(複合体Ⅲ)」に到着します。

 

 

ユビキノールは複合体Ⅲへ

 

 

「複合体Ⅲ」は、「複合体Ⅰ」や「複合体Ⅱ」から生じたユビキノールの電子を「シトクロムc」に伝達する役割と、

 

 

マトリックスの「H+」を、膜間腔に放出する役割があります。

 

 

構造はこのようになっています。

 

 

ユビキノール:シトクロムcレクターゼ複合体(複合体Ⅲ)

 

 

「シトクロムc」や「Fe-S(鉄硫黄クラスター)」については、前半でお話しました。

 

 

「QH2サイト」は、ユビキノールを受け入れる所、「Qサイト」はユビキノンやセミキノンを受け入れる所です(※セミキノンは後で説明します)。

 

 

「bL」「bH」は、ヘムタンパク質で、「シトクロムb」と言います。「bL」のことを「b562」、「bH」のことを「b566」と表記しているものもあります。

 

 

中には「bL」と「bH」は繋がった構造をしていて、酵素内を貫通している・・・と説明している情報もあるのですが、そのように書いていない情報が圧倒的だったので、「bL」「bH」と別々に描きました。

 

 

それでは、話を戻します。

 

 

この「複合体Ⅲ」での電子のやり取りは、2段階です。

 

 

まずはステップ1です。

 

 

複合体ⅠやⅡから来た「ユビキノール(QH2)」は、複合体Ⅲの「QH2サイト」に結合します。

 

 

 

ユビキノール(QH2)はQH2サイトに結合

 

 

「QH2サイト」や「Qサイト」の記載がなく、「QH2はシトクロムbに結合する」と書いてある情報もあります。

 

 

 

「ユビキノール(QH2)」は、電子(e+)を2つ、水素イオン(H+)2つを運んできたわけですが、「電子」の1つを「Fe-S」に、もう1つを「bL」に渡します。

 

 

 

そして、残った「水素イオン」2つは膜間腔に放り出されます。

 

 

電子をFe-SとbLに伝達し、水素イオンを膜間腔に放出

 

 

 

「QH2(ユビキノール)」は水素を失ったので、酸化型の「Q(ユビキノン)」になります。

 

 

その後、ユビキノンは、「Qサイト」へ移動します。

 

 

そして、「bL」に移動した電子は、「bH」を経て「Qサイト」に結合した「Q(ユビキノン)」に渡されます。

 

 

電子はシトクロムcとユビキノン(Q)へ渡される

 

 

「ユビキノール」から「Fe-S」に移動した電子は、「シトクロムc1」を経て、独立したヘムタンパク質である「シトクロムc(酸化型Fe3+)」に渡されます。

 

 

シトクロムcの酸化型(Fe3+)と還元型(Fe2+)

 

 

「シトクロムc」は、電子を受け取ることで「還元型(Fe2+)」となり、複合体Ⅲを去ります。

 

 

シトクロムcは複合体Ⅲを去り、ユビキノンはH+を取り込む

 

 

電子を1つもらった「Q(ユビキノン)」は、マトリックス側から「水素イオン(H+)」を取って「・Q-(セミキノン)」となります。

 

 

「ユビキノン」に2つの水素がつくと「ユビキノール」ですが、1つの水素がつくと「セミキノン(ユビセミキノン)」です。

 

 

ユビキノンとセミキノンとユビキノール

 

 

 

ここまでが「複合体Ⅲ」の第一段階です。まだ終わりではありません。

 

 

 

ここからはステップ2です。

 

 

次に、また別の「QH2」が「QH2サイト」に結合します。

 

 

複合体Ⅲステップ2

 

 

そして、ステップ1と同じように、「QH2」は電子を「Fe-S → シトクロムc1 → シトクロムc」と渡し、シトクロムcを還元型にします。

 

 

同じく「H+」は膜間腔に放り出されます。

 

 

そして、「ユビキノール(QH2)」は、「ユビキノン(Q)」になります

 

 

この説だと、ステップ2によって、酸化された「QH2サイト」にいる「ユビキノン」はこの後どうなるか不明です。

 

 

そして、もう1つの電子は「bL → bH → ステップ1によって生じたセミキノン」に渡されます。

 

 

電子を得た「セミキノン」は、マトリックスから「H+」を取り込み、還元型の「ユビキノール(QH2)」になって、複合体Ⅲを出て行きます。

 

 

これで「複合体Ⅲ」の流れは終わりです。

 

 

しかし、もう1つ別の説も紹介します。もちろん、どちらが正しいかは分かりません。こちらもステップ1と2に分けて説明します。

 

 

 

では、別の説のステップ1です。

 

 

まず最初に、「QH2」が「QH2サイト」に結合します。そして、電子(e-)を「Fe-S」と「bL」に1つずつ渡し、残った水素イオン(H+)を膜間腔に放り出します。

 

 

ここまでは同じで、違うのはここからです。

 

 

電子と水素イオンを渡した「ユビキノール」は還元型の「ユビキノン」になるのですが、「QHサイト」から「Qサイト」へ移動しません。

 

 

電子はシトクロムcとユビキノンへ、ユビキノンはH+を取り込む

 

 

そして、「bL」が受け取った電子は、「bH」を経て、別の「ユビキノン」に渡されます。

 

 

電子を受け取った「ユビキノン」は、マトリックスから「水素イオン(H+)」を1つ取り込んで「セミキノン」になります。

 

 

一方、「Fe-S」が受け取った電子は、「シトクロムc1」を経て、「シトクロムc」に渡されます。「シトクロムc」は還元型(Fe2+)になります。

 

 

シトクロムcとユビキノンは複合体Ⅲを離れ、セミキノンはとどまる

 

 

そして、「QH2サイト」にいた「ユビキノン」と、還元型になった「シトクロムc」は複合体Ⅲを去ります。

 

 

「セミキノン」は「Qサイト」に留まります。

 

 

 

ここからステップ2です。

 

 

別の「QH2」がやってきて、電子を「Fe-S」と、「bL」に渡し、水素イオンを膜間腔に放りだします。

 

 

QH2は電子を伝達し、水素イオンを膜間腔に放り出す

 

 

「Fe-S」に渡された電子は、「シトクロムc1」を経て、「シトクロムc」へ、

 

 

「bL」に渡された電子は、「bH」を経て、ステップ1で生じた「セミキノン」へ渡されます。

 

 

電子はシトクロムcとセミキノンへ、セミキノンはH+を取り込む

 

 

「セミキノン」はマトリックスから「水素イオン(H+)」を取り込んで「ユビキノール」になります。

 

 

ユビキノン、ユビキノール、シトクロムcは複合体Ⅲから離れる

 

 

還元型になった「シトクロムc(Fe2+)」と、

 

 

「QH2サイト」にいた「ユビキノン(Q)」と、「Qサイト」の「ユビキノール(QH2)」は、複合体Ⅲを離れます。

 

 

以上が複合体Ⅲの流れになりますが、このように情報がハッキリしないので大まかな流れだけ覚えるようにした方がよさそうです。

 

 

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④シトクロムcオキシターゼ複合体(複合体Ⅳ)

 

 

複合体Ⅲを離れた還元型の「シトクロムc」は、電子伝達系の最後である「シトクロムcオキシターゼ複合体(複合体Ⅳ)」に辿り着きます。

 

 

還元型のシトクロムcは複合体Ⅳへ

 

 

この複合体Ⅳは、シトクロムCから電子を預かって酸化型のシトクロムcにし、

 

 

電子を酸素(O2)に渡して、水素イオンも取り込み、水(H2O)を生成します。

 

 

「複合体Ⅳ」は、13個のサブユニットから構成されているとのことなのですが、酵素活性の機能的な中核となるのは「サブユニットⅠ」と「サブユニットⅡ」だそうで、調べてみると以下のようにサブユニットⅠ~Ⅲまでを描いている画像が多かったです。

 

 

複合体Ⅳのサブユニット

 

 

で、機能的な中核であるⅠとⅡは、このようになっています。

 

 

シトクロムcオキシターゼ複合体(複合体Ⅳ)

 

 

「サブユニットⅠ」に2つあるのは、「CuA」です。「Cu」は胴です。

 

 

「サブユニットⅡ」には、2種類のヘム、「ヘムa」「ヘムa3」

 

 

そして、「CuB」があります。

 

 

「ヘムa」は「Cyt a」、「ヘムa3」は「Cyt a3」と表記している情報もあります。

 

 

流れはこうです。

 

 

「シトクロムc」が「複合体Ⅳ」に到着すると、電子は「CuA」に移動します。その後、電子は「CuA」、「ヘムa」、「ヘムa3」、「CuB」と移動していきます。

 

 

 

電子はCuA、CuA、ヘムa、ヘムa3、CuBと移動する

 

 

電子を伝達した「シトクロムc」は酸化型の「Fe3+」に戻り、「複合体Ⅳ」を離れます。

その後、また還元型の「Fe2+」が電子をつれてやってきます。そして、同じように電子を伝達します。

 

 

酸化型のシトクロムcは去り、還元型のシトクロムcが来る

 

 

 

電子回分によって、「ヘムa3 (Fe3+)」と、「CuB (Cu2+)」が還元されます(※Feは鉄です)

 

 

ヘムa、ヘムa3、CuB

 

 

 

●(Fe3+) → 還元 → (Fe2+) 

●(Cu2+) → 還元 → (Cu+)

 

 

それによって、「酸素分子」が結合できるようになります。

 

Fe2+とCu+の間に酸素分子が結合する

 

 

 

すると、酸素はその電子を受け取ります。

 

 

酸素は電子をもらって還元される

 

「酸素分子」はさらに電子を2つ受け取り、マトリックスから水素イオンも取り込みます。

 

 

酸素分子は電子2つと水素イオン2つを受け取る

 

 

すると、結合もなくなります。ここまで「酸素分子」が手に入れたのはこれだけです。

 

 

酸素の結合が切れ、Fe-OH HO-Cuになる

 

 

そして、「水素イオン(H+)」を2つ取り込みます。

 

 

Fe-OH HO-Cuは水素イオン2つを取り込む

 

 

「O2」は、シトクロムcから「電子(e-)」つと、ミトコンドリアのマトリックスから、「水素イオン(H+)」つ受け取ったことになります。

 

 

酸素分子と電子4つと水素イオン4つ

 

 

それで、2分子のが生成されます。

 

 

水分子H2O

 

 

電子の伝達はこれで終了です。

 

 

「ミトコンドリアでの代謝には酸素が必要」と言われるのは、内膜の「電子伝達系」の最後で、電子の受け取り手である「酸素」が必要だからです。

 

 

で、この酸素が水分子になるまでの流れは、別の説もあります。一応紹介しておきます。

 

 

酸素が電子2つによって還元されるところまでは同じです。

 

 

酸素分子が電子によって還元される

 

 

3つめの電子が1つ取り込まれて、水素イオンも1つ取り込まれます。

 

 

電子1つと水素イオン1つを取り込む

 

 

そして、4つめの電子が1つ取り込まれて、水素イオンも1つ取り込まれます。その後結合が切れます。

 

 

電子1つと水素イオン1つを取り込み、結合が切れる

 

 

後は水素イオンを2つもらうので同じです。

 

 

細かい違いなので、「酸素に電子4つと、水素イオン4つが結びついて水分子になる」というところだけ覚えておくとよいでしょう。

 

 

ところで、水を生成する為に、マトリックスから「水素イオン(H+)」が4つ取り込まれたわけですが、

 

 

複合体Ⅳでは、これとは別に4つの「H+」が取り込まれ、膜間腔に放り出されます。

 

 

複合体Ⅳは水素イオンを膜間腔に放り出す

 

 

 

「電子」の伝達は終わりましたが、まだ膜間腔に放り出された「水素イオン(H+)」と、5つ目の複合体である「ATP合成酵素」が残っています。

 

 

 

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⑤ATP合成酵素(複合体Ⅴ)と酸化的リン酸化

 

 

「電子伝達系」の目的はATPを作ることです。

 

 

ここからは、内膜でどのようにして「ATP」が合成されるのか説明していきます。

 

 

複合体Ⅰ~Ⅳの間を電子が渡っていくエネルギーで汲み出された「水素イオン(H+)」は、やがて膜間腔の中で溢れ、マトリックス側より「H+」の濃度が濃くなります。

 

 

膜間腔の水素イオンの濃度が濃くなる

 

 

ここで思い出してほしいのが水力発電です。

 

 

水力発電は、ダムに溜めた水が流れる力でタービンを回して発電します。その仕組みと「ATP合成酵素」は良く似ていて、膜間腔に溜まった「H+」がマトリックスに流れる力を利用して、「ADP」と「リン酸」から「ATP」を作ります。

 

 

 

これを「酸化的リン酸化 さんかてきりんさんか」と言います。

 

 

ただし、基本的に内膜は「水素イオン(H+)」を通さないので、どこからでもマトリックスに戻れるわけではありません。

 

 

「H+」がマトリックスに戻る道が、5つ目の複合体「ATP合成酵素(複合体Ⅴ)」で、タービンに相当するものがついています。

 

 

従って、「世界最小のモーター」と言われています。

 

 

ATP合成酵素(複合体Ⅴ)

 

 

説明の為に、ポイントとなる部分だけデフォルメして描きましたが、厳密にはもっと入り組んでいて形も歪んでいます。

 

 

「ATP合成酵素」は、大きく「F0」と、「F1」に分けられています。

 

 

「a」の部分が「H+」をローターに導きます。

 

 

そして、「H+」が膜間腔から「F0」を通ってマトリックスへ移動すると、膜に埋まっている「ローター」と、その下の「軸」が回転します。

 

 

H+がマトリックスに移動

 

 

そして、マトリックス側にぶら下がって、「b」に固定されているのが「ATP」を合成するところです。

 

 

こちらが断面図です。正確に言うと、中心の軸は非対称になっています。

 

 

αとβの2種類のサブユニット

 

 

「α」と「β」の2種類のサブユニットが、3個ずつ交互に並んでいます。

 

 

この部分が立体構造を変えながら、「ADP」と「リン酸」から「ATP」を作ります。

 

 

ADPとリン酸からATPを作る

 

 

 

一方、マトリックスに戻った「水素イオン(H+)」は、再び膜間腔に放出されたり、水分子の生成の為に取り込まれたりします。

 

 

 

最後に

 

 

始めにお話した通り、「電子伝達系」については、私も迷いながら書いています。

 

 

説明の内容だけでなく、複合体の形まで人によって言うことが違うからです。

 

 

それに、複合体の説明ででてくる専門用語を調べている過程で、「まだ解明していない」という記述も何度か読みました。

 

 

そもそも、目に見えない世界なので、情報が食い違っていても、何が間違いで、何が正しいのか確認しようがありません。

 

 

確証がない事を書くのは嫌いなのですが、今後健康の事を語っていく上で外せない部分です。なので、迷っているところや、分からないところを含めてそのまま記事にしました。

 

 

間違っているところもあると思いますが、さすがに全て間違いということはないので、鵜呑みにせず、参考程度にとどめていただければと思います。

 

 

なお、記事全体としても気に入らないところが多いので、本記事は時々修正します。

 

 

 

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電子伝達系(呼吸鎖)について分かりやすく説明してみた①複合体Ⅰ~Ⅱ

 

「好気呼吸を行なう代謝」の最終段階の反応である「電子伝達系 でんしでんたつけい」の話になります。別名には、「呼吸鎖 こきゅうさ」や、今は教科書で使われなくなった「水素伝達系」があります。

 

 

「クエン酸回路」は、ミトコンドリアの「マトリックス」で反応が起きましたが、

 

 

「電子伝達系」の反応が行なわれる場所は、ミトコンドリアの「内膜」です。

 

 

「膜」は「リン脂質」という油成分でできています。

 

 

ミトコンドリアの外膜、内膜、膜間腔

 

 

「外膜」と「内膜」の間は、「膜間腔 まくかんくう」と言うのですが、ここも少し関係あります。

 

 

ちなみに、内膜のヒダ状のところは「クリステ」と言います。

 

 

では、内膜や膜間腔でどんなことが起こるのか・・・ですが、イメージとしてはこんな感じです。

 

 

 

①堤防で仕切った反対側(膜間腔)へ、ポンプで水を送る

 

 

②溜まった水が発電機のある通り道を通って元の場所(マトリックス)に向かって流れる

 

 

③発電機のタービンが回って発電する

 

 

 

②~③は「水力発電」と似ています。

 

 

そして、①では、特定の順番にそって電子が運ばれていくので、この反応のことを「電子伝達系」と呼ぶのです。

 

この「電子伝達系」では、馴染みのない物質がたくさん出てきます。なので、混乱することがないように、流れを説明する前に、物質の紹介をします。

 

 

 

 

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内膜に埋め込まれている複合体

 

 

まず、ミトコンドリアの内膜の構造についてお話します。

 

 

内膜には「タンパク質」が埋め込まれているのですが、それぞれⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴと番号がつけられています。

 

 

複合体Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅴ

 

 

これらは「膜タンパク質」と言って、それぞれ以下のような名前がついています。

 

 

  • 複合体Ⅰ・・・NADH:ユビキノンレクターゼ複合体

 

  • 複合体Ⅱ・・・コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体

 

  • 複合体Ⅲ・・・ユビキノール:シトクロムcレグターゼ複合体

 

  • 複合体Ⅳ・・・シトクロムcオキシターゼ複合体

 

  • 複合体Ⅴ・・・ATP合成酵素

 

 

 

複数のサブユニットからなる複雑な構造をしているので「複合体」と言われています。情報源によって「呼吸鎖複合体」とか、「酵素複合体」とか、「タンパク複合体」と表現されています。

 

 

このⅠ~Ⅳの「複合体」を、水素の持つ「電子(e-)」が移動していくわけです。

 

 

水素原子の陽子と電子

 

 

 

そして、一番最後の「複合体Ⅴ(ATP合成酵素)」は、分子サイズのモーターで、例えるなら水力発電のタービンです。ATPはこのモーターが回る時のエネルギーによって作られます。

 

そして、そのタービンを回すのが「水素イオン(H+)(陽子の事)」です。

 

 

「電子(e-)」と「水素イオン(H+)」という言葉がでてきたので、これについても簡単に説明します。

 

 

 

原子について

 

 

物質を分解していくと、「分子」になります。

 

その「分子」をさらに分解していくと、「原子」になります。

 

 

 

物質と分子と原子

 

 

水は分解していくと、「H2O」という「分子」になります。

 

水分子「H2O」を分解すると、水素(H)が2つ、酸素(O)が1つに分けられます。

 

その1つ1つが「原子」です。

 

以下が原子の構造です。「水素原子」と「ヘリウム」を例にします。

 

 

 

水素原子とヘリウム原子の構造

 

 

 

ここで、「電子(エレクトロン)」がでてきました。

 

原子の中心にあるのは、「陽子 (プロトン)」と「中性子 (ニュートロン)」です。そして、その周囲を衛星のように「電子」が回っているわけです。

 

 

ただし、「水素原子」は、「中性子」がない原子です。

 

 

「中性子」は電荷がゼロで、プラスでもマイナスでもない中性。

 

「陽子」はプラスで、「電子」がマイナスです。

 

 

日本人の感覚からすると、「陽」がプラスなら、マイナスは「陰」のはずですが、マイナスは「陰子」ではなく「電子」という名前がつけられています。先にマイナスの電子が発見されて、その後で「陽子」と「中性子」が発見されたから・・・という理由らしいですが、分かりにくいから名前を整備して欲しいですね。

 

 

ちなみに、「電子」の数と「陽子」の数は同じです。

 

 

  • 水素原子・・・電子1つ、陽子1つ

 

  • ヘリウム原子・・・電子2つ、陽子2つ

 

 

 

イオンとは

 

「原子」は電気的に中性です。

 

プラスの「陽子」と、マイナスの「電子」の数が同じだからです。

 

 

しかし、元々は電気的に中性でも、電子の数が変わって、マイナスかプラスの電荷をおびると、原子は「イオン」になります。

 

 

イオンには「陽イオン」と「陰イオン」があります。

 

 

 

陽イオン

 

 

 

陽イオン

 

 

元々は電気的に中性でも、何らかの原因で「電子(マイナス)」を失うとします。すると、「陽子(プラス)」の数が勝つので、原子は全体としてプラスの電気を帯びます。

 

これを「陽イオン」と言います。

 

 

「陽イオン」は、記号の右横に小さく「+」を書きます(※ちなみに、電子を2個失った場合は「2+」と書きます)

 

 

 

水素原子は、中性子がなく陽子(プロトン)が1つしかありません。従って、電子を失ってしまうと陽子だけになります。

 

その為「水素イオン(H+)」のことを「プロトン」と呼ぶことがあります。

 

 

 

陰イオン

 

 

「電子」は失うこともあれば、増えることもあります。

 

 

陰イオン

 

元々は電気的に中性でも、何らかの原因で「電子(マイナス)」を受け取るとします。すると、「電子(マイナス)」の数が勝つので、原子は全体としてマイナスの電気を帯びます。

 

これを「陰イオン」と言います。

 

 

「陰イオン」は、記号の右横に小さい「-」を書きます(※ちなみに、電子を2個受け取った場合は「2-」と書きます)

 

 

 

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「NADH」と「FADH2」

 

 

「電子伝達系」では、「酸化 さんか」と「還元 かんげん」という言葉が繰り返しでてくるので、意味を書いておきます。

 

 

酸化・・・水素を失う事、電子を失う事

 

還元・・・水素を得る事、電子を得る事

 

 

 

「解糖系」や「クエン酸回路」で生じた「NADH」や「FADH2」は、「電子伝達体」と言って、水素原子(の持つ電子)を預かって運ぶ働きがあります。

 

 

「NADH」と「FADH2」は還元型なので、水素(の持つ電子)を得た状態です。水素を得る前は、それぞれ、酸化型の「NAD+」、「FAD」でした。

 

 

NAD+とFADの酸化型と還元型

 

 

酸化型の「NAD+」は、2つの水素原子によって、還元型の「NADH(厳密には NADH + H+ のセット)」になり(分かりにくいので図にします)、

 

 

NAD+2H→NADH+H+

 

 

酸化型の「FAD」は、2つの水素原子によって、還元型の「FADH2」になります(※こちらは単純なので図にしません)

 

 

 

こうして「NADH」と「FADH2」の預かった水素は、「電子伝達系」でATPを合成する為に使われます。

 

 

電子伝達系では、「NADH」は「複合体Ⅰ」で、「FADH2」は「複合体Ⅱ」で利用されます。

 

 

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CoQとシトクロムC

 

 

「電子伝達系」では電子が「複合体」を移動していくわけですが、それ以外にも、電子の移動の「足場」となるものが存在します。

 

それが「CoQ」と、「シトクロムc」です。

 

 

CoQとシトクロムc

 

 

※ⅠとⅢの間には「Ⅱ」がありますが、分かりやすくする為にこの図では省略しました。

 

 

 

CoQ(ユビキノン)

 

 

「Q」と記したのは、「CoQ」です。「Co」は、「コエンザイム(補酵素)」と読みます。なので、「CoQ」は、「補酵素Q」です。

 

先ほど「内膜は油成分でできている」と言いましたが、「CoQ」は疎水性なので、膜の油の中を浮遊して動いています。

 

この「CoQ」は、「複合体Ⅰ → 複合体Ⅲ」「複合体Ⅱ → 複合体Ⅲ」と行き来し、電子を伝達します。

 

 

なお、「CoQ」には別名が多く、「補酵素Q」の他に、「コエンザイムQ10(キューテン)」、「ユビデカレノン」、「ビタミンQ」、「ユビキノン(UQ)」があります。

 

酸化型を「ユビキノン」、還元型を「ユビキノール」と言います。

 

なので、本記事では、「Q」を「ユビキノン」と言う事にします。

 

 

 

シトクロムC

 

 

「C」と記したのは、「シトクロムC(シトクロームC)」です。「Cyt c」等と表示されることもあります。

 

「シトクロムc」は、単独のタンパク質です。膜の中を泳いでいた「CoQ」と違って、水っぽい性質があり、内膜の膜間腔側に存在しています。

 

「シトクロームC」は、「複合体Ⅲ」から電子を受け取って、「複合体Ⅳ」に伝達します。

 

酸化型は「フェリシトクロムc」、還元型を「フェロシトクロムc」と言います。

 

 

なお、この他にも「シトクロム」という名前がついたものがいくつか出てくるので混乱しないようにして下さい。

 

 

一通り紹介が終わったので、ここから本題の「電子伝達系」についてお話します。

 

 

 

電子伝達系の流れ

 

 

まず、全体の流れを先に説明します。

 

 

「NADH」や「FADH2」が預かった水素(電子(e-)と水素イオン(H+))は、切り離されて、それぞれ別の使われ方をします。

 

 

「電子」の方は、膜に埋め込まれた複合体Ⅰ~Ⅳに向かってリレー(伝達)され、最後は水になります。

 

 

 

 

 

一方、「陽子(H+)」の方は、リレーで生じたエネルギーによってマトリックスから膜間腔へ移動します。

 

 

 

 

 

 

 

  • 電子(e-)   → Ⅰ~Ⅳを伝達

 

  • 陽子(H+) → 伝達する時のエネルギーで膜間腔へ

 

 

 

そして、膜間腔の「陽子(H+)」が、「複合体Ⅴ」を通ってマトリックスに移動する時のエネルギーで、ATPが合成されます。

 

 

 

 

 

 

シンプルに言うとこうなのですが、一つ一つを見ていくと細かくて面倒です。

 

 

まずは複合体Ⅰから説明します。

 

 

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①NADHデヒドロゲナーゼ複合体(複合体Ⅰ)とNADH

 

 

「複合体Ⅰ(NADHデヒドロゲナーゼ複合体)」を大雑把に図にするとこんな感じです。

 

 

複合体Ⅰ(NADHデヒドロゲナーゼ複合体)

 

 

この酵素の役割は、「NADH」を「NAD+」に還元し、「Q(ユビキノン)」を「QH2」に還元することです。そして、その時のエネルギーで「水素イオン(H+)」を膜間腔にくみ上げます。

 

流れはこうです。

 

 

「NADH」は、酵素である「複合体Ⅰ(NADHデヒドロゲナーゼ)」の中に入って、「FMN」に電子(e-)2つと、「H+」を渡します。

 

 

FMNの還元

 

 

「FMN(フラビンモノヌクレオチド)」とは、電子伝達系でNADHの電子を一番最初に受け取る「電子伝達体」です。ビタミンB2から合成される為、これが不足すると「FMN」も不足し、電子伝達系が上手く働かなくなります。

 

酸化型の「FMN」は、マトリックスから「H+」を1つとりこんで、還元型の「FMNH2」になります。

 

 

ここで注意です。実はこの過程にはいくつもの説があります。

 

 

例えば、「NADH」は複合体の中に入らずに、以下のように電子(e-)だけが複合体の中に入っていき、電子を「FMN」に渡す・・・とだけ説明しているものもあります。でも、この説だと、「じゃあどうやってH+を手に入れてFMNH2になるんだ」と言いたくなります。

 

 

FMNの還元

 

 

また、「NADHとH+が、「電子」と「H+」を2つずつFMNに渡す」という意見もありました。

 

 

情報源によって説明がバラバラで、私が説明したことも1つの説に過ぎません。私もどれが正解か分からないので、とりあえず辻褄が合うものを紹介していますが、信じていません。

 

 

従って、「電子が伝わっていく」という、どの情報にも共通している大まかな流れだけ頭に入れておいて下さい。

 

 

 

では話を先ほどの説に戻します。

 

 

電子を渡した「NADH」は、酸化型の「NAD+」となって、複合体Ⅰから出ます。

 

 

 

 

鉄硫黄クラスター

 

 

そして「FMNH2」は、電子(e-)を「Fe-S」に伝達します。

 

 

 

「Fe-S(鉄硫黄クラスター)」は、鉄と硫黄からなるクラスター(集合体)です。ここでは簡略化して描きましたが、「Fe-S」は7~8個存在していて、この間を電子が飛び移っていきます。

 

 

 

そして、電子は、「ユビキノン(Q)」にバトンタッチされます。ユビキノンは、電子2つを1つずつ受け取り、

 

 

 

ユビキノンの還元

 

 

 

さらに、マトリックスにある「H+」を2つ受け取って、「QH2」になります。分かりやすくするとこうです。

 

 

 

酸化型のユビキノンと還元型のユビキノール

 

 

 

そして、「QH2」は複合体Ⅰから離れて、複合体Ⅲに進みます。

 

 

さて、複合体Ⅰの中を電子が飛び移っていったわけですが、この時のエネルギーで、マトリックスにある「H+」が膜間腔にくみ上げられます。

 

 

 

プロトンポンプ

 

 

(NADH1分子の)2つの電子が移動すると、膜間腔に4つの「H+」が移動します。

 

 

「H+(プロトン)」をくみ上げるので、これを「プロトンポンプ」と言います。

 

 

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②コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体(複合体Ⅱ)とFADH2

 

 

 

「NADH」は、「複合体Ⅰ」で電子を渡しました。

 

 

一方、「FADH2」は、「複合体Ⅱ」で電子を渡します。

 

 

複合体Ⅱは、「コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体」という名前です。これは「クエン酸回路」でコハク酸をフマル酸へ変える時にでてきた酵素と同じものです。

 

クエン酸回路(TCA回路)について分かりやすく説明してみた

 

 

 

こちらの記事でも書きましたが、この酵素によって「コハク酸」が水素原子を2つ失って「フマル酸」になる時に、酸化型の「FAD」が、還元型の「FADH2」になりました。

 

 

今回の話は、その「FADH2」のその後です。

 

 

「複合体Ⅱ」も、人によって言う事が違うので曲者なのですが、とりあえず調べてポイントを整理した構造がこちらです。

 

 

 

複合体Ⅱ(コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体)

 

 

このように、4つのサブユニットから構成されていて、AとBが親水性。CとDが疎水性です。「Sdh」というのは、「succinate dehydrogenase(コハク酸デヒドロゲナーゼ)」のことです。

 

 

詳しく見ると、「Sdh A」に「FAD」が結合していて、「Sdh B」には「Fe-S(鉄硫黄クラスター)」が含まれています。

 

 

CとDは小難しくてよく分からないのですが、この2つの間に「ヘム」が結合し、「Q(ユビキノン)」が還元されるようです。

 

 

しかし、4つのサブユニットに分けて説明されている情報がほとんどなく、たまに見つけても小難しい言い回しばかりで理解に苦しみます。なので、今分かる範囲で簡潔に説明します。

 

 

まず、「コハク酸 → フマル酸」の過程を思い出して下さい。

 

 

 

コハク酸とFAD

 

 

 

「コハク酸」は水素2つを失って、「フマル酸」になります。

 

 

 

フマル酸とFADH2

 

 

 

「FAD」は、水素によって「FADH2」に還元されます。

 

 

すると、すぐに「Fe-S(鉄硫黄クラスター)」に電子を渡します。と同時に「H+」をマトリックスへ戻します。

 

 

 

鉄硫黄クラスター

 

 

 

こうして「FADH2」は、「FAD」になります。

 

 

「Fe-S」は厳密には3種類あって、これらを電子が1つずつ移動します。そして、「ユビキノン(Q)」が受け取ります。

 

 

と同時に、マトリックスの「H+」を2つ取り込み、「ユビキノン(Q)」は、「ユビキノール(QH2)」になります。

 

 

 

ユビキノンの還元

 

 

「ユビキノール」は、「複合体Ⅲ」へ向かいます。

 

 

ところで、「複合体Ⅰ」は、電子が伝達するエネルギーによって「H+」を膜間腔に移動させる機能がありました。しかし、「複合体Ⅱ」にはその機能がありません。

 

 

そのため、電子伝達系の説明で「複合体Ⅱ」は省略される事が多いのです。

 

 

ちなみに、この流れを、4つのサブユニットに分けて説明している説ではこのような図になっています。

 

複合体Ⅱ(コハク酸デヒドロゲナーゼ複合体)

 

 

 

 

③ユビキノール:シトクロムcレクターゼ複合体(複合体Ⅲ)

 

 

「複合体Ⅰ」と「複合体Ⅱ」から離れた「ユビキノール」が行き着く先が「複合体Ⅲ」です。

 

 

ユビキノールと複合体Ⅲ

 

 

ただ、話が長くなるので、ここで一旦切ります。

 

 

次回、電子伝達系(呼吸鎖)について分かりやすく説明してみた②複合体Ⅲ~Ⅴで「複合体Ⅲ」以降を説明していきます。

 

 

 

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