お知らせ

 

 

私達は憲法によって言論の自由が守られているので、

食や健康等の問題を主張する事ができます。

 

 

 

 

元々憲法改正賛成派だった人の解説です。

 

 

 

 

谷本議員と一緒に飛行機を降ろされたもう一人の人物・高橋清隆氏について

 

 

 

谷本議員らがノーマスクで強制降機! 釧路空港のエアドゥ機、「憲法違反を公然と行う航空各社への行政指導を国交省に求める」

 

 

一緒に飛行機を降ろされた反ジャーナリスト高橋清隆氏による、谷本誠一議員のインタビュー動画です。

 

 

 

 

 

身近な人が被害に合った時の為に

とりあえずブックマークをお願いします。

 

 

 

 

 

 

カテゴリー:病気
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末期癌が改善して退院できた

 

 

 

...このような話は、「怪しげな健康食品の宣伝」か、「ネットのデタラメ情報」のように捕らえられるかもしれません。

 

 

 

しかし、本記事で紹介する癌が改善したという話は、病院で行なわれた癌治療によるものです。

 

 

 

 

不安に思われた方も安心したのではないでしょうか?

 

 

 

 

論より証拠なので、まずその現場の話を紹介して、後で癌の仕組みについて簡単に説明します。

 

 

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断糖食(ケトン食)+高濃度B+C点滴で末期癌が改善

 

 

 

糖質制限をしている人はご存じかもしれませんが、2016年末、「末期癌患者が回復した」という話が流れました。

 

 

 

これは健康食品会社が言っているのではなく、一部の医療関係者達が発信した情報です。

 

 

 

癌の餌はブドウ糖です。

 

 

 

従って、糖質制限が有効的です。

 

 

 

 

しかしそれまでは、「癌に餌(ブドウ糖)を与えない糖質制限でも、末期癌は治らない」という話でした。しかし、一部の医療関係者がネット上で情報のやりとりをして、この結果に繋がったとのことです。

 

 

 

その事を知っていたので、このニュースを読んだ時は、「とうとう画期的な治療法が確立されたか」と思いました。

 

 

 

『藤川徳美医師 Facebook 12月1日』より引用

 

 

ガンと診断された方へ、一年前とは世界が変わっていることに気付いて直ちに行動すべき

 

 

断糖食(ケトン食)+高濃度B+C点滴でガンは治る時代になった。

 

 

これが発見されたのが一ヶ月前。

 

 

飲水も出来なくなっていた末期ガン患者が歩いて退院できた。

 

 

凄い時代になった。

 

 

最大のポイントは断糖食(ケトン食)でケトン体を上げることに尽きる。

 

 

これは患者自身の自己学習が最も大切。

 

 

ガンと診断された方、宗田哲男先生、新井圭輔先生、西脇俊二先生、古川健司先生の本は必読です。

 

 

荒木裕先生、福田一典先生の本も読むべきです。

 

 

理解できなければ繰り返し読み、頭の中に叩き込むこと。

 

 

パラダイムシフト好きの外科医先生のブログも全て読むこと。
http://blog.livedoor.jp/skado1981/

 

 

水野先生のブログも全て読むこと。
http://ameblo.jp/naikaimizuno/

 

 

ビタミン・ケトン療法グループに参加すること。
https://www.facebook.com/groups/vktherapy/

 

 

自分のノート、生化学的に正しいがん治療~断糖食(ケトン食)+高濃度B+C点滴、がんは脚気+壊血病、も全て読むこと。

 

 

そして直ぐに行動することが必要。手探りでも良いから断糖食を始める。

 

 

この段階まで来て初めて「断糖食(ケトン食)+高濃度B+C点滴」のスタート台に立てる。

 

 

このような治療は一年前には存在していなかったし、一年前にはこのようなことができるようになるとは想像さえしていなかった。ネットで優秀な医師達と情報交換しているうちに急激に進歩した。

 

 

一年前とは世界が変わってしまったことに気付いて直ちに行動すべきだ。行動を起こしたもののみ救われる。

 

 

 

以下が現場の様子です。

 

 

『パラダイムシフト好きの外科医のblog 奇跡が起きました。』より引用

 

 

奇跡が起きました。

 

 

大腸癌術後2年、腹膜播種により腹水が大量にたまっていた方にビタミンC20gの点滴を3日連続で行ってみました。

 

 

しかも、血中の総ケトン体が6000μM/Lを超えた状態です。

 

 

入院時は、水も飲めない、胃液も吐いてしまう。胃の中にチューブを挿入すると、1000mlも胃液がたまっている状態でした。

 

 

腹膜播種により十二指腸が閉塞しかけ、胃腸の蠕動運動もほとんどない。

これまでの常識であれば、腹水を抜いて利尿剤を使うくらい。

その他に出来ることと言えば、モルヒネを使って症状緩和するだけ。

はっきり言って、指をくわえて亡くなるのを待つだけ。

もって、1~2週間。

 

 

これまで様々な先生方のfacebookやブログからアイデアを頂いてきました。

高ケトン+高濃度ビタミンC療法、この人に行わずに誰に行うのか。

そんな想いで患者さんにも説明し、この治療にかけてみることにしました。

 

 

入院してから、完全な断食・断糖。飲水は口を潤す程度。

イントラリポス250ml、毎日点滴。

ビタミンB製剤も、連日多めに点滴。

ビタミンCは1日4g。

 

 

腹水が増えないよう、輸液量は1日合計500mlにとどめました。

胃液の逆流による食道炎に対して、対症療法として制酸剤の点滴を行いました。

この治療で入院時に500μM/Lだった総ケトン体が、4日間で6600μM/Lまで急上昇。

徐々に水を飲めるようになり、明らかに元気になってきました。

 

 

その段階で、ビタミンC20gを3日間。

腹水が全くたまらなくなりました。

 

 

飲める水も少しずつ増え、入院一週間目には500mlのペットボトルの水を1日に1本は飲めるようになりました。

 

 

何とか一旦退院できる状態にまでいけそうです。

面会者と話もしっかりできる。

暇過ぎて、本を4冊も読んでしまったそうです。

腫瘍マーカーや腫瘍の大きさなどでの、客観的な効果判定はまだしていません。

 

 

しかし腹水を抜かず利尿剤も使わず、ジャブジャブだった腹水がたまらなくなった。

胃液すら流れない状態でしたが、水をしっかり飲めるようになった。

 

 

これを奇跡と言わず、何と呼ぶのか。

 

 

 

 

はい。

 

 

 

ここまで読んでも、何故こんな事で癌が治ったのか?と思う人は多いと思います。

 

 

 

 

 

 

もしそう思っているのだとしたら、「癌は複雑難解な病気だ」と勘違いしている可能性があります。その発想を捨てて下さい。

 

 

 

 

 

まず、ハッキリと言います。

 

 

 

癌の情報は複雑難解になっていますが、実はとてもシンプルな病気なのです。

 

 

 

シンプルな仕組みを複雑難解に見せられているだけです。

 

 

 

 

小学生程度の知能があれば、「あぁ、なるほどな」と分かります。

 

 

 

 

では、次はその癌のシンプルな仕組みについて説明していきます。

 

 

 

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ブドウ糖は癌の餌

 

 

 

冒頭で、「癌の餌はブドウ糖」といいました。つまり、糖質ですね。

 

 

 

このブログでは、「私達にとって身近な糖質が、いかに体にダメージを与える物質なのか」ということについて、様々な記事を書いてきました。

 

 

 

大きな病気から、ちょっとした不調まで、多種多様な疾患の原因が「糖質」という1つの物質によって引き起こされているわけです。

 

 

 

共通しているのは、どの疾患も「原因は糖質である」と認識されていない、気付かれていない・・・ことです。

 

 

 

本当の原因を取り除く努力がされない為、「原因である糖質を摂りながら治療を行なう」というトンチンカンな治療が行なわれています。

 

 

 

 

例えば、以下の話など、糖質の摂取を止めないことで、何度も再発する典型的な例です。

 

瞼に脂肪の塊ができる「眼瞼黄色腫」の放置は要注意!意外な原因と解決方法とは

 

 

 

 

とにかく、糖質が絡む病気は必ずこの構図になっています。

 

 

 

そういう話を何度もしているので、長く読んで下さっている方は、「他のどの病気が同じようなパターンでも不思議ではない」と思っているかもしれません。

 

 

 

 

で、マンネリで申し訳ないですが、実は今回話す「癌」も、ご多分に漏れず糖質が関係しています。正確に言うと「ブドウ糖(英語:グルコース)」です。

 

 

 

 

 

そして、「ブドウ糖を分解してできた物質」が、ある条件で「乳酸」になるのですが、この「乳酸」の蓄積が癌を生み出しているのです。

 

 

 

 

糖質を食べる

 

 

ブドウ糖にまで分解される

 

 

さらに分解される

 

 

そうしてできた物質が、ある条件で「乳酸」に変わる

 

 

 

 

 

 

 

 

こうしてできた「乳酸」が蓄積すると癌化します。

 

 

その流れを、簡単に説明します。

 

 

 

 

①乳酸の蓄積によって、血液が酸性化する

 

 

②そのせいでミトコンドリアが機能不全になる

 

 

③細胞がガン化

 

 

④ガン化した細胞はブドウ糖を餌にする

 

 

 

 

 

「ミトコンドリア」とは、細胞の中にある発電所です。ここで生きていく為に必要なエネルギー物質を多く産生します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「乳酸」は体を酸性化させて、ミトコンドリアを機能不全にさせるので危険です。

 

 

 

 

ミトコンドリア機能不全になった細胞

 

 

 

・・・これが癌の正体です。

 

 

 

 

 

つまり、大量のブドウ糖が入ってきて「乳酸」が増えなければ、血液が酸性化することもないし、ミトコンドリアも機能不全になりません。

 

 

 

だから乳酸の原因になる糖質を制限することが、ガン治療には必要不可欠になってくるのです。

 

 

 

よく、癌になって「昔ながらの和食」や「野菜中心」のメニューにする人がいますが、これは大きな間違いです。

 

 

 

糖質まみれの和食を食べながらガンを治そうとすれば悪くなるのは当たり前です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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乳酸は体に良いという説は本当なのか

 

 

 

癌の原因は乳酸、ブドウ糖である。

 

 

 

・・・このように書くと、疑問を持たれる方もいると思います。

 

 

 

何故なら、ここまでのお話は、「糖質は悪い」、「ブドウ糖は悪い」、「乳酸は悪い」という概念がなければ成立しない話だからです。

 

 

 

この概念があるかないかで、受ける印象は変わってくると思います。

 

 

 

 

ご存知の方もいると思いますが、近年「乳酸が疲労物質であるとか、体に悪いというのは誤りだった」という新説が浸透しつつあります。

 

 

 

乳酸=いい奴、みたいな風潮なのです。

 

 

 

今私が話したような、乳酸 → 血液の酸性化 → ミトコンドリア機能不全 → ガン化 という乳酸悪のシナリオと矛盾します。

 

 

 

 

私も一瞬、新説を信じ、最初は、「乳酸は悪い」というのは本当に間違いなのか...と思いました。

 

 

 

でも、「乳酸の蓄積=悪」の概念を発展させて、一部の医療関係者がガン患者の治療に「厳しい糖質制限」を取り入れて、実際に末期ガンが治ったのです。

 

 

 

・・・ということは、「乳酸は良くないもの」という概念で間違いはないということです。それに、糖質の害は私もよく知っています。

 

 

 

癌の元になるなら、なるべく蓄積させない方がいいに決まっています。

 

 

 

それなのに、世間では、何故か「乳酸は悪くない」という話が目立つのです。

 

 

 

 

不審に思ったので、「乳酸を悪者にしない説」について調べてみました。

 

 

 

 

『Knowledge Notes 筋肉疲労にクエン酸と乳酸の真実  NOTE #28』より引用

 

 

「Science」誌論文が、"乳酸は疲労物質”の常識を否定

 

 

2004年8月に「Sience」誌に掲載された論文でそれまでの乳酸についての常識とされた乳酸疲労物質説が否定された。

 

 

「これまで筋肉の疲労と乳酸とは、同一と考えられてきたが、むしろ逆に乳酸は筋肉疲労を和らげてくれる物質と分かった。」というものだ。

 

 

国の疲労研究グループのリーダーも、いろいろな研究をやって来た中で、乳酸が疲労の原因物質だということは、全く常識に反して間違いだったことが分かってきた、と言う。

 

 

乳酸は、運動すると一時的に上がって、しばらくすると下がる物質。

 

 

以前はこれが疲労の原因物質ではないかと言われていたが、現在では、乳酸はむしろ疲労を和らげてくれる物質で、エネルギーが足りないところを補ってくれる物質という考えを持っている。

 

 

 

 

『みんな元気!2012年3月10日 (土) 乳酸と疲労回復物質』より引用

 

 

ところが2年の夏、世界的権威である米国の科学誌「サイエンス」に、「運動したときに増える乳酸は筋肉の疲れをやわらげ、動きをよくしている」という論文が掲載された。今までとまったく逆の内容である。

 

 

日本の疲労研究で第一人者の大阪市立大学・渡辺恭良教授も「乳酸は脳の神経細胞の栄養源にもなっており、疲労の原因どころか回復の味方です」と力説する(2005年、国際疲労学会シンポジウムより)。

 

 

実際、ネズミに大量の乳酸を注射しても、少しも疲れた様子を見せない。乳酸の無実が実証されたといえそうだ。

 

 

 

 

『SECOND STAGE 「乳酸」は疲労物質ではない?』より引用

 

 

「乳酸」は疲労に関係がないだけでなくメリットも

 

 

しかし、最近の研究では、「乳酸」の蓄積と疲労は直接の関係がないという考え方が主流になってきています。

 

 

「乳酸」は老廃物ではなく、運動中でも運動後でも使われているのです。

 

 

「乳酸」は糖に変わったり、二酸化炭素に変わったりして完全に分解され使われてしまいます。また、「乳酸」が分泌されることによって成長ホルモンも分泌されるので、代謝も促進されるという良い面もあるのです。

 

 

Jason Karp,MS(ジェイソン・カープ、修士)はその講義の中で、「乳酸」は疲労の原因として関係がないだけでなく、心臓を動かす唯一のエネルギー源である糖が体内で足りなくなった時の代用として使われたり、肝臓で新しいグルコース(ブドウ糖)に変えられたりするので、“「乳酸」は身体に悪い”と言うイメージを取り去り、自分の友達なんだと思った方が良い、と語っていらっしゃいました。

 

 

 

さて、これらの「乳酸は危険じゃない」という説をどう捕らえるかですが、あなたはどうお感じになられましたか?

 

 

 

私は、疲労と関係なかったとしても、ガンの原因になるのなら、乳酸は少ない方が良いと考えます。

 

 

 

 

先程お話した「ガンの原因の話」を知らなければ、疲労物質じゃないなら良かった良かった・・・と思うかもしれませんが、「乳酸の蓄積がガンの原因になる」と知った後で、これらの良い面ばかりを強調した話を読めば、何かひっかかると思います。

 

 

 

それだけではありません。「乳酸は悪くない」説には、以下のような特徴があります。

 

 

 

 

  • 脳の神経細胞の栄養になるから大事

 

  • 不自然な“乳酸”礼賛

 

  • 筋肉疲労には触れるが、「ガンの原因」には触れない

 

 

 

 

 

賢明な方なら、もうお察しだと思います。これは、糖質制限が否定される時と、話の展開が同じです。

 

 

 

 

糖質も、

 

 

 

 

  • ブドウ糖は脳の唯一の栄養素だから大事

 

  • 不自然な“糖質”礼賛

 

  • 糖質がいかに良いかということは説くが、「糖化」には触れない

 

 

 

 

こうして害を弱小に偽って、警戒を解き、食べさせようとします。

 

 

 

 

ガンの原因になることに触れないで、「乳酸は良い物質だから警戒するな」とは、糖質制限つぶしと手口がそっくりです。

 

 

 

 

悪いですが、「乳酸が疲労物質ではなかった」という説、ガンを治されない為の捏造の可能性も疑っています。

 

 

 

いつも言っていますが、性善説の視点だけで物事を見る人は、このような社会的な背景を視野に入れて分析する事ができません。

 

 

 

従って、そういう人は、新しい説にふれてそうか、今までの説は勘違いだったんだ、新しい説が正しいんだ」・・・と疑いなく思います。

 

 

 

ですが、それだけでは真実は見えてきません。

 

 

 

考えてみてください、

 

 

 

乳酸は体に悪くない、乳酸は脳にいい、乳酸は私達の友達、蓄積しても大したことない...この延長線上にあるのは何でしょうか?

 

 

 

 

細胞のガン化です。

 

 

 

 

たとえ乳酸が疲労物質でなかったとしても、ガンの原因になる以上、健康の事を考えたら蓄積させない方がいいに決まっています。警戒した方がいいでしょう。

 

 

 

それなのに、都合の悪いことを隠して、乳酸礼賛をするわけです。その背景には、乳酸を溜めて欲しい、ブドウ糖をもっと摂って欲しいという思惑が隠れているということです。

 

 

 

こう言うと、「乳酸は悪くないと言っている人たちは、そこまでのことは考えて言っていない」と思われるかもしれませんが、それはありえません。

 

 

 

少なくとも、公の場で主張するということは、それなりの地位、学歴のある人です。しかも乳酸について意見を言うのですから、「乳酸とガンの関係」を知らないわけがありません。そんなにバカなら、頭を使う職業にはついていません。

 

 

 

乳酸は疲労物質なのかどうか、本当のところは私にもわかりません。唯一分かるのは、「癌細胞の中は乳酸で溢れている」ということと、「末期癌患者の治療に乳酸を抑える食事(断糖食)を用いて効果がある」という事実です。

 

 

 

どちらにせよ、この新説を利用して、ガンの原因である乳酸に警戒を抱かせないような流れを作り出しているのは間違いありません。

 

 

 

そして、乳酸の害に対して白を切りとおすのであれば、「乳酸が体に悪い」という説の方が真実であると見た方がよいでしょう。

 

 

 

 

乳酸については、以下の記事で詳しく説明しています。 

 

乳酸のエネルギー源としての働きと、疲労との関係について分かりやすく説明してみた

 

 

 

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癌細胞の特徴から考える予防と対策

 

 

冒頭で紹介した「断糖食(ケトン食)+高濃度B+C点滴」ですが、現在も行なわれていて、成果を出しています。

 

 

 

『藤川徳美医師 facebook 2017年3月25日』より引用

 

 

ビタミンケトン療法(VKT)を開始して1ヶ月の大腸がん患者、かなり元気になられました

 

 

症例;80代前半、男性。
妻と二人暮らし。

 

 

娘さんは数年前から糖質制限+メガビタミンを継続されており、とてもよく勉強されている。

 

 

本人は元々糖質過多の生活で、お菓子を一日中食べ続けるような食生活だった。

 

 

H30.1、大腸がんステージ4にて近くの総合病院で手術を受けるも、すべてを取り切れず余命半年と言われ、抗がん剤投与を勧められた。

 

 

娘の説得で、H30.2より高タンパク/低糖質食を始め、抗がん剤は断った。

 

 

 

H30.2、当院受診。
顔色が悪く、肌つやが悪い。

 

お菓子、米、小麦は全て処分して、卵、肉、魚、チーズを食べ始めたと言う。

 

 

アルブミン、2.2。
ヘモグロビン、7.7。
HgbA1c、6.2。
フェリチン、580(炎症のための高フェリチンと判断)。

 

 

→プロテイン20*2を指示。
サプリメントは娘さんが下記のメニューで用意。

 

 

A 25000IU。
ベンフォチアミン (150 mg )5錠。
ナイアシンエステル(500mg )5錠。
B50 5錠。
C 4000mg。
D 10000IU。
E (d-α400IU) 5錠。
Zn(30mg) 5錠。
Mg(200mg) 3錠。
Se 200mcg。
Fe36mg*2錠

 

 

週1回ペースでイントラリポス+B、C点滴+陶板浴を行っている(今まで計4回)。

 

 

内容は、20%イントラリポス50ml、
生食250ml、B1は100mg、B2は40mg、ナイアシンは100mg、B5は100mg、B6は100mg、Cは30g。

 

 

1ヶ月経過して、点滴を行うと元気が出てファイトが出ると言われる。

 

 

食欲は旺盛で、卵、肉、魚をしっかり食べている。

 

 

下痢はなく、むしろ便秘傾向(栄養の吸収は良い様子)。

 

ケトン体は0.3~0.5で推移。

 

1ヶ月前と比べると、明らかに顔色、肌つやが良くなり元気になった。

 

現在では、余命半年と言われている人には見えない。

 

 

アルブミン3.3↑。
ヘモグロビン9.8↑。
HgbA1c、5.1↓。

 

 

以下は娘さんのコメント、

 

 

Mg と、ナイアシンエステル、B50、Cはカプセルを外して粉にして、プロテインに適当に入れているよう。

 

Cとプロテイン、Mg に関しては、何度言っても、大量摂取に抵抗あるようで、日に日に少なくなっていると思われます。

 

 

いまだに母は、サプリメントを薬、薬と言います。
昨日より、アセチルLカルニチン(500mg)を2錠追加。
プロテインを多目に飲む決心。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

しかし、総合病院の医者、低タンパク血症(低アルブミン血症)、貧血があるのにそれの改善を図らないで抗がん剤をしましょう、なんて自分には理解不能。

 

 

キッチリ糖質を減らしており、HbgA1cの数値が素晴らしい。

 

 

ケトン体が上がりにくい体質なので、アセチルLカルニチンを追加、1gで開始し3gに。

 

プロテイン、C、Mgはさらに強化する必要がある。

 

 

プロテインは20g*2を厳守を。

 

Cは10~20g入れたい。

 

 

アルブミン、ヘモグロビンの回復が素晴らしい。

 

 

もう1~2ヶ月でアルブミン、ヘモグロビンは正常化するものと思われる。

 

 

これが継続出来れば寿命が5~10倍延長できると考えている。

 

 

 

栄養療法に詳しくない人は意味が分からないと思うので、とりあえず、癌の原因が乳酸という事だけ覚えておいて下さい。

 

 

 

 

本記事でお伝えした、癌が発生するシンプルな理由ですが、抗癌剤治療や手術をする前...いや、できれば癌になる前に知っておいて欲しいです。

 

 

 

 

これから、この治療ででてきた栄養が何故必要なのかについて説明していきます。仕組みが分からないと予防も治療もできませんからね。

 

 

 

 

「癌細胞」は、「正常な細胞」に比べるとかなり変わり者です。完結にその特徴を書きます。

 

 

 

 

  • 正常な細胞と比べて、何倍ものブドウ糖が必要

 

  • ミトコンドリアが機能不全になっている

 

  • 嫌気的解糖系

 

  • 解糖系なので、ガン細胞の中では乳酸が溢れている

 

  • 癌の周辺は酸性である

 

  • ビタミンCが弱点

 

 

 

 

こんな特徴があるんだな・・・くらいで構いません。次回以降、詳しく説明していきます。

 

 

 

癌細胞と癌家系について分かりやすく説明してみたへ続く

 

 

 

早く癌の予防の方法を知りたい方は以下の記事をお読み下さい。

 

ベジタリアンや糖質を止められない人が、健康の為に摂っておきたい栄養素とは

 

 

実際に癌になられた方や、家族が癌の方は、1度以下の記事を読んでおいて下さい。

 

病気の治療法や食事を巡って家族や身内と大ゲンカ...にならない為の注意点

 

 

 

癌の理屈はシンプルなのに、何故複雑難解になっているのか...その理由は以下の記事を読むと分かると思います。

 

サプリメントが批判される理由を社会背景から考えてみた

 

 

 

 

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「〇〇炎」と名がつく疾患は多いです。

 

 

身近で不快な症状なので、なってしまうと慌てて治そうとします。

 

 

 

しかし、「炎症」が起こっている時、どうなっているのか、何が原因なのかを分かっていないと、筋違いの治療を選択してしまいます。

 

 

 

メカニズムを詳しく知っておいて損はないので、本記事では「炎症」の本質についてシンプルにお話します。

 

 

 

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「炎症」と「免疫」の違い

 

 

 

まず、混同しやすい「炎症」と「免疫」の違いを明確にしておきます。

 

 

 

免疫

 

 

「免れる」「疫病(えきびょう)」と書いて「免疫 めんえき」です。これは、「自己と、非自己を区別して、非自己を排除する」仕組みのことです。

 

 

概念としては、「システム」、「生体の能力」、「力」です。

 

 

 

炎症

 

「炎症」というのは、「生体が何らかの刺激を受けた時に、これを取り除いて再生する為の」反応のことです。

 

 

概念としては、「症状」、「状態」、「反応」です。

 

 

 

 

「免疫」が、お巡りさんや防衛軍のイメージ、

 

「炎症」は、戦闘のイメージです。

 

 

 

 

 

免疫(システム)の異常

 

 

後の説明で必要なので、もう少しだけ「免疫」の話にお付き合い下さい。

 

 

免疫とは、「自分」と「自分じゃないもの」を区別して排除するシステムですから、「外から入ってくる病原体、ウイルス等」は当然排除されます。

 

 

体を守る為にイイ仕事をしてくれているのです。

 

 

しかし、このシステムに異常が起きる事もあります。

 

 

「アレルギー」と、「自己免疫疾患 じこめんえきしっかん」です。

 

 

「ある異物」に対して、免疫が必要以上に働いてしまうのが「アレルギー」です。「花粉症」や、「気管支ぜんそく」、「アトピー性皮膚炎」等がこれにあたります。

 

 

これに対して、

 

 

「自己」と「非自己」の認識がおかしくなって、自己組織に攻撃してしまうのが「自己免疫疾患」です。「慢性関節リウマチ」や「膠原病」等がこれにあたります。例え自分自身であっても、免疫が 「これは自分ではない」 と判断したら、「敵」として攻撃してしまうのです。自分の攻撃であっても、体は傷つきます。

 

 

 

「アレルギー」は、「自己」と「非自己」の認識には問題はないので、攻撃対象はあくまで外敵です。

 

しかし、外敵に対して過剰に攻撃をしてしまうので、これはこれで、「周りの正常な組織」に被害が波及します。

 

 

 

「アレルギー」や「自己免疫疾患」も、「炎症」なので、なってしまうと非常にしんどい症状です。

 

 

 

それでは、ここから、本題の「炎症」について話をすすめます。

 

 

 

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炎症の徴候

 

 

外敵に対して、体が反応しているのが「炎症」です。

 

「炎症」の徴候は、以下です。

 

 

 

  • 赤くなる・・・・・「発赤 はっせき」

 

  • 腫れる・・・・・・「腫脹 しゅちょう」

 

  • 熱くなる・・・・・「発熱 はつねつ」

 

  • 痛い・・・・・・・「疼痛 とうつう」

 

  • 動かせない等・・・「機能障害」

 

 

 

 

痛々しいですね...。

 

 

炎症が長く続いたり強すぎたりすると、体に負担がかかります。

 

 

それでも、外敵に負けるわけにはいかないので、体を守る為、修復する為に、反応するのです。

 

 

 

 

炎症の原因

 

 

 

免疫が「防衛軍(の仕組み)」なら、自国を守る本土決戦、戦火が「炎症」です。

 

 

 

では、外敵(有害な刺激)とはどんなものかというと、以下の3つに分けられます。

 

 

 

 

  • 生物学的因子・・・細菌、真菌、ウイルス、原虫、寄生虫...等

 

  • 化学的因子・・・・化学物質...等

 

  • 物理的因子・・・・捻挫、筋肉痛...等

 

 

 

 

このうち、私達が最も注意を怠りやすいのが「化学的因子」です。

 

 

「化学的因子」には、酸、アルカリ、薬・・・等、色々ありますが、実は、ほとんどの人が毎日食べている「糖質」も炎症の原因になります。

 

 

毎日食べている・・・ということは、毎日「炎症の原因」を作り出しているということです。だからヤバいのです。

 

 

 

 

なので、ここからは、炎症の原因である化学的因子のうちの一つ、「糖質」に絞って話を進めたいと思います。他の因子と違って、「糖質が炎症を引き起こす」という事実を、まだ知らない人が多いからです。

 

 

 

関節リウマチ、アルツハイマー、膠原病・・・これらの病気に「糖質」が関わっている事は、糖質制限実践者の間では常識です(「糖質制限=お気軽なダイエット」という認識の人は除く)。

 

 

従って、これらの病気は、原因である糖質を減らす事が鍵となります。

 

 

 

特に、難病である「膠原病 こうげんびょう」は、糖質制限で劇的に良くなるという報告があります。

 

 

 

米を一口も食わない覚悟がいるそうですが、驚くほど回復するそうです。

 

 

 

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膠原病の本当の原因と治し方

 

 

 

「膠原 こうげん」は、「コラーゲン」のことです。

 

 

そして、「膠原病」は、以下のような病気です。

 

 

 

『東京女子医科大学付属 膠原病リウマチ痛風センター』より引用

 

 

膠原病とは

 

 

「膠原病」は、真皮・靱帯・腱・骨・軟骨などを構成する蛋白質であるコラーゲンに全身的に障害・炎症を生じる様々な疾患の総称です。

 

 

関節リウマチは代表的な膠原病ですが、関節リウマチ単独でその他の膠原病すべて合わせたよりも患者数が多いこと、その他の膠原病に比べると皮膚・内臓病変が少なく、関節症状が主体になること、従って本邦においては比較的最近までは整形外科医が治療の中心にあったことなどから、他の膠原病とは区別されることが多いです。

 

 

関節リウマチとその他の膠原病は、共に自己免疫が病態背景にあるため、合併することはまれではありません。

 

 

 

簡単に言うと「膠原病」とは、全身に炎症が起こる病気です。

 

 

 

「炎症」とは、何かの刺激に対して起こる「受動的な反応」です。ということは、当然、「炎症」の前に「何か」が先にあったということになります。

 

 

 

それは「糖質」の摂取です。

 

 

 

糖質を食べると「糖化反応 とうかはんのう」が起きて、体の細胞を劣化させます。

 

 

その結果、毒性の強い「AGE エージーイー」という物質が生じます。

 

 

 

『花粉症は1週間で治る / 著者:溝口徹』より引用

 

 

AGEは、近年、老化をもたらす要因として注目されている物質で、細胞内の酸化酵素を活性化して、酸化を促進させます。

 

 

つまり、体内で活性酸素による酸化作用が起こる前の段階でAGEがかかわっているのです。

 

 

体内のタンパク質のなかで、とくにAGEの害を受けやすいのが、コラーゲンです。

 

 

(129p)

 

 

 

「膠原病」は、コラーゲンに全身的に障害・炎症を生じる疾患です。

 

 

 

コラーゲンにダメージを与える糖化反応やAGEの元になるのは糖質です。「膠原病」は糖質を制限した方が良いのは、こういう理由だからです。

 

 

 

 

 

 

 

ここで、以下の記述をご覧下さい。

 

 

 

『Wikipedia 膠原病』より引用

 

 

 

膠原病 (こうげんびょう、英: connective tissue disease [disorder]) とは、全身の複数の臓器に炎症が起こり、臓器の機能障害をもたらす一連の疾患群の総称。

 

 

(中略)

 

 

原因としては、血液中にある抗体が細胞核などと反応をして免疫複合体を形成しつつ、『(A)組織に沈着したり、(B)組織を攻撃する』ことで発病すると考えられ、死亡に至る場合もある。

 

 

典型的な症状として発熱・皮疹・倦怠感・関節痛・関節炎・筋肉痛・内臓病変・レイノー現象などがあげられ、女性に多いのも特徴である。

 

 

遺伝的要因と環境要因が発症に関与するとされる。

 

 

慢性に経過し、寛解と再燃を繰り返しながら進行することがある。

 

 

多くの場合に自己免疫疾患としての機序が関与していると考えられており、完全な病態の解明は、未だ成されていない。

 

 

 

 

最後に「完全な病態の解明は、未だ成されていない。」と書かれています。

 

 

 

しかしですね、

 

 

 

私が膠原病は糖質が原因だから糖質制限が劇的に効くという事を知ったのは2年前(2015年)です。それなのに、いまだに原因がわかっていないことになっていて、「糖質」のことなど、一切書かれていないのです。

 

 

 

これが定説です。

 

 

 

「慢性に経過し、寛解と再燃を繰り返しながら進行する」と書かれていますが、糖質を止めなかったら、そうなるのは当然です。何故なら、ほとんど多くの日本人は、非常に糖質の多い食事をしているからです。

 

 

 

和食は素材の味を生かした料理だという嘘と、日本人が不健康な白米を止められないワケ

 

 

 

原因をハッキリさせなければ、誰も気をつけません。

 

 

 

ですが、これは「膠原病」に限った話ではありません。

 

 

「糖質が原因で起こる疾患」はどれも同じです。他の原因については小難しい言葉で、あーでもない、こーでもないと説明するくせに、何故か決まって糖質については触れようとしません。

 

 

 

「体質」、「ストレス」、「老化」、等に誘導し、最後は

 

 

「原因は分からない」

 

 

で締め、話は終了です。

 

 

 

 

例えば、癌も全く同じで、原因である「乳酸の蓄積」には触れません。乳酸の蓄積は、元を辿ると「糖質の食べすぎ」、それに加えて「ビタミンB群」の不足が原因です。

 

余命わずかの末期癌患者が退院できたのは病院での栄養療法のおかげだった!

 

 

癌細胞と癌家系について分かりやすく説明してみた

 

 

【注意】癌の本質を理解していないと症状が悪化する治療法を選択します

 

 

 

癌も膠原病も、本当の原因が見えない状態だから「難病」なのですが、蓋を開けてみると簡単な理屈で、難病でもなんでもありません。

 

 

 

話を戻しますが、

 

 

 

全身に炎症が起こる「膠原病」は糖質が原因です。根本的に治す為には「糖質」を徹底的に断ち、修復に必要な「タンパク質」が多く必要です。

 

 

 

米を食べながら治療、お菓子を食べながら治療は論外です。

 

 

 

野菜や果物は・・・と言うと、こちらも糖質が多いので注意が必要です。

 

 

 

 

私は過去に健康の為に食べていた野菜や果物で体を弱らせたので、これらを嗜好品として楽しむならともかく、健康の為に食べるべきではないと考えています。

 

 

野菜や果物は健康的というイメージの盲点。ビタミン・ミネラルに注目しすぎる事で気付かれない糖質の害

 

 

ローフーディストやベジタリアンの真実。肉を避け野菜や果物を多く食べる人に見られる肌の特徴と、健康上の問題

 

 

 

 

なお、「薬を使用している」人、「低フェリチン」の人、「LowT3症候群」の人の場合は、回復に時間がかかるそうです。

 

 

 

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糖質が炎症を引き起こすメカニズム

 

 

どうして糖質が炎症を起こすのか・・・については、以下の記事が参考になります。

 

 

 

『糖質制限で18kgやせた医師の記録 炎症性、アレルギー性、自己免疫性…』より引用

 

 

炎症とは、免疫反応です。

 

異物に対して、免疫細胞が集まるために血流を増やすので腫れて、赤く見えるわけです。周りの神経を圧迫して痛みもあります。

 

糖質が、炎症を促進する理由は

 

 

 

1.糖質コルチコイドを抑制するから

 

 

糖質コルチコイドは、血糖値を上昇させる働きがあるとともに抗炎症(炎症を防ぐ)作用を持ちます。(人体に存在するステロイド)

 

つまり、糖質過剰摂取により血糖値が上昇すると糖質コルチコイドの放出が止まり、抗炎症作用も得られなくなります。

 

 

 

2.脂肪細胞が炎症性サイトカインを放出するから

 

 

過剰な糖質は、体内で体脂肪に変換されます。

 

脂肪細胞は炎症性サイトカインといわれる情報伝達物質を放出し体内の炎症を促進します。

 

 

 

3.全身のタンパク質をAGE化するから

 

 

糖質はタンパク質に作用し、AGE(終末糖化産物)化します。

 

身体にとっては、AGEは変性した不要なタンパク質なので排除しようと免疫が働き、炎症を起こします。

 

 

 

1.~3.の理由により、糖質は炎症を促進します。

 

 

 

以前も紹介しましたが、こちらの動画でも、糖質と炎症について述べられています。(3:03~から)

 

 

 

 

 

「糖質」以外にも炎症を起こす食べ物はあります。

 

 

しかし、いつも言っているように、糖質は他の物質に比べて、取り込むが半端ないのです。

 

 

普通の人は1日100gとか200gの糖質を、平気で食べるでしょう。他の物質はここまでは食べません。

 

 

「膠原病」は、全身に「炎症」が起こる病気なので、糖質を食べながら治療はありえない・・・というのがお分かりいただけるかと思います。

 

 

 

そして、「膠原病」の回復には多くの「タンパク質」が必要と言いましたが、非常に重要なポイントなので、その理由についても説明しておきます。

 

 

 

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タンパク質不足も自己免疫疾患の原因になる

 

 

全身に炎症が起こる「膠原病」は、自己免疫疾患の一種です。

 

 

「自己免疫疾患」とは、身体を守ってくれる「免疫」という防衛軍が、敵と味方の区別がつかなくて、自己組織に攻撃をしてしまう疾患です。

 

 

 

「タンパク質不足」は、その敵と味方の区別がつかない勘違いを引き起こす原因になります。

 

 

 

生体は、アミノ酸を材料に、タンパク質を作るのですが、常に

 

 

 

作る → 壊す → 作る → 壊す...

 

 

を繰り返しています。

 

 

すると、当然、「アミノ酸」も古くなります。「原子団」や「ミネラル」が結合し変形します。その場合、再利用には相応しくないので破棄されるわけです。

 

 

しかし、「タンパク質貧乏」の場合は事情が違ってきます。

 

 

新しい材料が調達できないのですから、痛んだ材料を再利用するしかありません。捨てるなんてもったいない事しません。

 

 

痛んだ材料を再利用

 

 

・・・等と言うと、一見エコっぽいですが、これこそが「自己免疫疾患」の原因なのです。

 

 

「変形したアミノ酸」は、身体(免疫)にとってはもはや「味方」ではなく「曲者」です。

 

 

 

なんだこいつはっ!!と、攻撃してしまうのです。

 

 

 

古いアミノ酸を捨てる為にも、常に新鮮な「タンパク質」を摂る必要があります。

 

 

 

ここでは「膠原病」を例にしましたが、糖質を原因とする「炎症」には、この知識は応用できます。

 

 

糖質を減らして、修復に必要なタンパク質をしっかり摂る、これが回復の条件です。

 

 

では、ここで再び話を「炎症」に戻します。

 

 

 

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「酸化」と「糖化」と「炎症」は関係がある

 

 

ここまでの話を読んで、

 

 

糖質=炎症

 

 

は、結びついたと思いますが、実は「酸化」も炎症に関係するそうです。

 

 

 

『医療法人社団医献会 辻クリニック facebook 2012年11月19日』より引用

 

 

人の3大劣化は『酸化』『糖化』『炎症』であり、これらはすべてリンクする化学反応である。

 

 

*糖化→AGEs(糖化最終産物)→活性酸素発生、炎症発生

 

*活性酸素→酸化、炎症反応発動

 

 

(中略)

 

 

この『タンパク質劣化』が

 

 

*皮膚で起これば?

 

*血管で起これば?

 

*神経細胞で起これば?

 

*筋肉で起これば?

 

*骨/関節軟骨で起これば?

 

*肝臓で起これば?

 

*腎臓で起これば?

 

 

 

と考えれば、『老化と疾患』が理解できる。

 

カラダの中で細胞レベルで発生する『酸化・糖化・炎症』を止めない限り、いくら外から治療(内科的・外科的含め)を施したところで、最終的には「モグラ叩き」と同じように対処きしれないことは明らかである。

 

 

 

『予防医療/抗老化医療』というものは

 

 

1:酸化・糖化・炎症の素を減らす努力(生活改善)

 

2:抗酸化・抗糖化・抗炎症

 

 

 

が同時に行われることによってその効果を最大限にすることができる。

 

 

そして、医療が提供できるのは『2』であり、『1』は本人の自覚のもとに行われなくてはならない。このことをしっかりと伝えることも、医療の役割のひとつであろうと考えている。

 

 

 

 

「膠原病」や「関節リウマチ」などの、大きな炎症になっていないから関係ないと思わないで下さい。本人が自覚できるレベルの「炎症」もあれば、本人が自覚できない小さな「炎症」もあるからです。

 

 

 

一例ですが、瞼の上に脂肪の塊ができる「 眼瞼黄色腫 がんけん・おうしょくしゅ」も、まず炎症が起こるそうです。切っても切っても再発するそうなのですが、それは、「炎症」の元を止めないからです。

 

 

瞼に脂肪の塊ができる「眼瞼黄色腫」の放置は要注意!意外な原因と解決方法とは

 

 

 

炎症が酷いと体にダメージが大きいので、時には薬で抑える事も必要です。

 

 

 

しかし、元となった原因を排除するという視点を忘れるべきではありません。それは、化学的因子に限らず、物理的因子、生物学的因子も同じです。

 

 

次は炎症が起きている時、どんな事が起こっているのかについてお話します。

 

 

 

 

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炎症=今治しているよ

 

 

炎症には、赤くなる、腫れる、熱くなる、痛い、動かせない等がありますが、そうなるには理由があります。

 

 

「それぞれの炎症の声」について、分かりやすく書かれている以下の記事を紹介します。

 

 

 

『るいネット Life Journal vol.5【不快な症状も体の声~病気が治っていく過程で生じる治癒反応】』より引用

 

 

まずは、痛み腫れの声についてです。

 

 

1.「痛み・腫れ」の声=「今、壊れた部分を治している」

 

 

痛みや腫れは傷ついた組織を修復するときに必要不可欠なステップです。

 

 

病気の多くは、交感神経の緊張状態で発症します。交感神経が緊張すると、血管は絞られ血流が悪くなるとともに、顆粒球がふえて活性酸素による組織破壊が起こります。(リンク)病気を治すためには、これとは逆のプロセスをたどる必要があります。

 

 

すなわち、副交感神経が優位になって血管を開き、血流をふやして傷ついた組織を修復するのです。この修復作業のときに働くのは、プロスタグランジンというホルモン様物質です。

 

 

プロスタグランジンには、①血管を開く、②痛みを起こす、③発熱させるという3つの働きがあります。

 

 

私たちが不快と感じる痛みや発熱、患部の腫れといった症状は、プロスタグランジンの作用で血流がふえ、組織を修復する際に生じるものです。

 

 

最も分かり易い例が「しもやけ」です。寒さで血流が悪くなり組織が破壊されると、体はそこに血液を送り込んで修復します。プロスタグランジンが産生され、血管を拡張して血流をふやした結果、患部が赤く腫れ、痛がゆくなるのです。これは組織を修復しているときに起こる症状です。

 

 

「関節リウマチ」も関節に炎症が起こって、体のあちこちの関節が腫れたり、痛くなったりします。これは関節内の異常になった自己細胞をリンパ球が処理し、傷ついた組織を修復するときに現れる症状です。

 

 

血流障害を解消するとき、破壊された組織を修復するときなど、体は血管を拡張し、血流をふやし炎症を起こして対応します。

 

 

病気の種類が違っても、治癒反応は同じ過程をたどります。

 

 

痛みや腫れ、炎症があるときは「今、壊れた部分を治している」と受け止めてください。

 

 

 

次は発熱の声についてです。

 

 

 

2.「発熱」の声=「今、リンパ球が闘っている」

 

 

発熱は、究極の自然治癒力ということができます。

 

 

体内に侵入してきたウィルスなどの微生物を排除するとき、壊れた組織を修復する時には、体の代謝(体内での利用と排出)を高める必要があります。代謝を上げるには、発熱のエネルギーが必要なのです。

 

 

わかりやすい例は、カゼによる発熱です。

 

 

リンパ球が活性化するためには熱が必要で、だいたい37~38℃に体温が上がったときに、最も攻撃力が強くなります。

 

 

そこで体内にウィルスの侵入を認めると、発熱を起こす物質が次々に放出されて臨戦態勢を整えるのです。

 

 

カゼで熱が高いときは、「今、リンパ球が闘っている」と理解し、解熱剤で下げないようにしましょう。水分をじゅうぶんにとって休んでいれば治ります。

 

 

 

最後はかゆみです。

 

 

 

3.「かゆみ」の声=「体が毒を排出したがっている」

 

 

体がかゆみを生じさせる目的は、体内の毒物を排泄することにあります。

 

 

体内に抗原が入ってくると、体はIgE抗体(免疫グロブリンE)という抗体を作り、抗原を無毒化しようとします。

 

 

アレルギー反応はこの抗原と抗体、そしてもう一つ、マスト細胞(肥満細胞)が関わって起こります。

 

 

IgEはマスト細胞の表面にあり、侵入してきた抗原と結びつきます。

 

 

その刺激でマスト細胞の細胞膜が壊れ、細胞内からヒスタミンやロイコトリエンなどの炎症物質が周囲に放出されます。

 

 

ビスタミンは炎症を起こして皮膚を赤く腫れさせたり、かゆみを起こしたりします。この一連の反応は血流をふやして、抗原を洗い流すため生じるものです。

 

 

皮膚は排泄器官の1つです。体が拒絶したものはここから排泄しようとします。

 

 

この場合、アレルギー反応のように形のあるものだけでなく、心にたまった毒も皮膚から排泄しようとします。これは、「いやなもの反射」が皮膚に起こった場合です。

 

 

自分の大嫌いなものに出くわした時、体中にかゆみが走ることがありますよね。

 

 

かゆみや湿疹が出たときは「体が毒を出したがっている」と思ってください。

 

 

かゆみを解消するには、体を温めて血行を促し、体の毒出し作業を応援することが大切です。

 

 

 

不快な症状を薬で抑える事も時には必要ですが、これら「炎症の声」を覚えていていただければと思います。

 

 

 

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動脈硬化が話題になる時、ほとんどの場合、注目されるのは「悪玉コレステロール」です。

 

 

しかし、よく調べてみると、「コレステロール元凶説」はどれも信憑性に欠けていました。

 

 

絶対に悪い結果になるような不自然な条件で実験を行なったり、都合のいいデータだけを根拠に論文をまとめたり・・・と、真面目に真実を追究する姿勢ではありませんでした。

 

科学や論文のインチキはコレステロールが教えてくれる

 

 

そういう歴史があるので、私は「コレステロールを悪く言う」説に対しては常に疑いを持っています。どんな新説であろうとです。

 

 

そもそも、動脈硬化は血管の疾患なので、血管そのものにもっと目を向けるべきではないでしょうか。

 

 

なので、本記事では、「動脈硬化の原因に、本当にコレステロールが関係しているのかどうか」と、「血管はどうやって劣化していくのか」に焦点を当ててお話します。

 

 

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動脈硬化について

 

本題に入る前に、動脈硬化がどういうものなのか、簡単に説明しておきます。

 

動脈硬化には3タイプあります。

 

 

 

  • アテローム性動脈硬化(粥状動脈硬化)

 

  • 細動脈硬化

 

  • 中膜石灰化硬化(メンケベルグ硬化)

 

 

一般的に言う「動脈硬化」とは、「アテローム性動脈硬化」の事を指している場合が多いです。「脳梗塞」や「心筋梗塞」の原因になります。

 

 

なので、ここからは「アテローム性動脈硬化」に焦点を当てます。

 

 

 

アテローム性動脈硬化とは

 

「アテローム性動脈硬化」は、一言で言うと、血管の中に「お粥状の塊」ができた状態です。

 

その塊の事を、「アテローム性のプラーク(粥状の隆起)」とか、「粥腫(じゅくしゅ)」と呼びます。

 

 

『動脈硬化症 Wikipedia』より引用

 

アテローム性動脈硬化

 

アテローム性動脈硬化とは、動脈の内側に粥状(アテローム性)の隆起(プラーク)が発生する状態。

 

 

「お粥状」・・・といっても、内訳は脂質やカルシウム等です。

 

『アテローム Wikipedia』より引用

 

 

病理学においてアテロームとは、脂質(コレステロールや中性脂肪)、カルシウムや様々な線維性結合組織を含んだ細胞(ほとんどマクロファージ)や細胞の死骸から構成された動脈血管内での蓄積物であり固まりである。

 

心臓や動脈で問題になるアテロームは、通常、粥腫である。

 

アテロームは、不健康な状態であるが、ほとんどの人で見つかっている。

 

 

 

 

アテローム性動脈硬化の成り立ち

 

 

意味を理解したところで、次は「アテローム性動脈硬化」がどのようにしてできるのか説明していきます。

 

以下は、動脈の大まかな構造になります。血管の壁に注目して下さい。

 

 

 

 

動脈硬化に関係があるのは、「内膜」と「中膜の内半分」です。膜はさらに複雑になっていますが、後で詳しく説明しますので、ここではシンプルに考えて下さい。

 

 

そして、以下が一般的に言われている「アテローム性動脈硬化」の成り立ちになります(※つまり、「アテローム性のプラーク」の出来方です)。

 

 

 

①「血管」は血圧が高かったり、喫煙することで内膜の「内皮細胞」が傷つけられる

 

 

②傷ついた「内皮細胞」の隙間から、LDL(悪玉)コレステロールが内膜の内側に入り込んでいく

 

 

③内皮細胞の内側に入り込んだLDLは、活性酸素によって酸化される

 

 

④不要な酸化LDLを排除する為に、単球(白血球の一種)も内膜の内側へ入っていく

 

 

⑤「内皮細胞」の間から内膜へと入り込んだ単球は、「マクロファージ」の姿に変身して掃除を行なう

 

 

 

 

⑥マクロファージは、次々と酸化LDLを食べていくので大きくなる(泡沫細胞という)

 

 

 

 

⑦泡沫細胞が蓄積すると、アテロームになる

 

 

⑧アテロームができると、血管壁が厚くなって、血管内部は狭くなる

 

 

 

泡沫細胞(ほうまつさいぼう)とは、マクロファージが「酸化LDLコレステロール」を溜め込んで「泡状」になった細胞です。これが集まったものが「粥状」のアテロームです。)

 

 

 

あなたは、この過程を読んでどう思われましたか?

 

 

私は①の「内膜の傷が悪い」と思うのですが、

 

②以降の「LDL(悪玉)コレステロールが悪い」と考える人も多いのではないでしょうか。「コレステロール元凶説」は根強いですからね。

 

 

なので、先に「LDLコレステロール」について話をします。

 

 

 

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コレステロールとは

 

テレビ等で「LDLコレステロール」が紹介される時、その絵は悪者のように描かれています。あのせいで、「LDLコレステロール」に対しておかしな先入観を持っている人は少なくないと思います。

 

なので、コレステロールがどういうものなのかを説明します。

 

 

コレステロールは、血液の中に単体で存在しているのではありません。コレステロールは、中性脂肪やタンパク質(アポタンパクと言う)とセットになって存在しています。

 

このセットを「リポタンパク」と呼びます。

 

このような姿で血液の中に存在しているのは理由があります。

 

血液は水分で、コレステロールは脂です。水と脂は馴染みません。

 

 

だから、水と馴染みにくい「エステル型コレステロール」と「中性脂肪」は、比較的水と馴染みやすい「遊離型コレステロール」「リン脂質」「アポたんぱく」にくるまれることによって、血液の中に存在しているというわけです。

 

 

 

 

 

日常的に使われている「善玉コレステロール」とか、「悪玉コレステロール」といった言葉は、この加工された「リポタンパク」のことを指していて、「コレステロール分子」自体を指しているわけではありません。

 

 

リポタンパクの種類

 

 

このリポタンパク(一般的に言うコレステロール)は、善玉と悪玉の他にもいくつかあります。

 

 

  • (カイロミクロン(キロミクロン)/ 英語:chylomicron)

 

  • (超低比重リポタンパク / 英語:Very-Low-Density Lipoprotein cholesterol)

 

  • (中間比重リポタンパク / 英語:Iintermediate Density Lipoprotein cholesterol)

 

  • (低比重・リポタンパク /英語:Low-Density Lipoprotein cholesterol)→ 悪玉コレステロール

 

  • (高比重リポタンパク / 英語:High Density Lipoprotein cholesterol)→ 善玉コレステロール

 

 

 

 

脂質の比率密度合成される場所によって、このように分けられています。

 

様々なサイトを参考に、それぞれのサイズを図にしておきました。一番小さいのが善玉と呼ばれる「HDLコレステロール」です。

 

 

 

 

で、本題は悪玉と呼ばれる「LDLコレステロール」・・・でしたね。

 

なので、次は先ほど書いた、アテローム性動脈硬化の成り立ちのこの部分を詳しくみていきます。

 

 

②傷ついた「内皮細胞」の隙間から、LDL(悪玉)コレステロールが内膜の内側に入り込んでいく

 

 

 

有益なLDLコレステロールが悪いと言われる理由

 

ここからはリポタンパクの中で2番目に小さい「LDLコレステロール(ロウ・デンシティ・リポプロテイン・コレステロール)」が本当に悪いのか検証していきます。

 

 

冒頭でもお話した通り、私はこのコレステロールの話は胡散臭いと思っているので、調べたことを解説しますが、基本信じていないので文章的に「断言」する形をとっておりません(その理由は後で述べます)。なので、「こんなことが世間で言われているんだな」・・・という感覚でお読み下さい。

 

 

LDLコレステロールは「悪玉」などと呼ばれていますが、「新鮮なコレステロールを全身に配達する」という体にとって重要な役割を担っています。

 

良い仕事をしているのです。

 

 

よくよく調べてみると、「LDLコレステロール」そのものが悪いのではなく、「変性したLDLコレステロール」が悪いのだそうです。

 

 

 

〇 正常なLDLコレステロール

 

× 変性したLDLコレステロール

 

 

そして、「変性したコレステロール」にもいくつかパターンがあるみたいですが、多くは活性酸素によって酸化したLDLコレステロールだそうです。

 

 

「正常なLDLコレステロール」は、マクロファージに相手にされませんので、先ほどお話した「泡沫細胞」を作ることはありません。

 

しかし、「酸化したLDLコレステロール」は毒性が強く、マクロファージから見ると有害物質なので、食べられます。すると、「泡沫細胞」を作って動脈硬化を進行させてしまいます。

 

 

「酸化LDLコレステロール」が危険視されているのは、以上の理由からです。

 

では、何故、LDLコレステロールは酸化してしまうのか・・・その理由が気になると思うので解説します。

 

 

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LDLコレステロールが酸化する理由

 

 

実は、「悪玉」と呼ばれるLDLコレステロールは、2種類あるそうです。

 

 

 

  • 通常サイズの LDLコレステロール

 

  • 小型サイズの LDLコレステロール(small dense LDL スモール・デンス・LDL)

 

 

後者を、悪玉コレステロールと呼びます。

 

そして「小型LDLコレステロール」が「超悪玉」と言われる根拠が以下になります。

 

 

『川村内科診療所 脂質代謝系 2015年5月19日 火曜日 小型LDLの重要性 平野勉教授』より引用

 

① 血液中に滞在する時間が、通常のLDLの場合は平均2日なのに比べ、5日と長いこと

 

② 血管壁のプロテオグリカンに付着しやすいこと

 

③ 小型の粒子なので血管内皮下に侵入しやすいこと

 

④ 通常のLDL粒子に比較してコレステロール含有量が少ないが、それ以外にも脂溶性の抗酸化ビタミンなどの抗酸化物質が乏しいため酸化されやすい

 

⑤ 酸化されるとマクロファージに取り込まれ、泡沫化し、動脈硬化層へと進展していく

 

 

「プロテオグリカン」とは、多糖類を含むタンパク質の一つです。細胞と細胞をつなぎ合わせたり、細胞を保護する働きがあります。

 

 

『生研 small, dense LDL はなぜ動脈硬化惹起性が強いのでしょうか?』より引用

 

small, dense LDL(sd LDL)は、LDL を異化する LDL レセプターに対する親和性が低下しており、血中滞在時間の長いことが知られています。

 

一般的に正常サイズの LDL の血中滞在時間は2日、sd LDL のそれは5日と言われています。このため、sd LDLは血管壁と接触する機会が多いと言えますが、それ自身が小型であることと相まって血管壁に侵入しやすく、酸化変性というストレスにさらされやすいという側面を有しています。

 

さらにこの酸化ストレスに対して、正常サイズの LDL はビタミン E やユビキノール10といった抗酸化物質によって保護されていますが、sd LDL は抗酸化物質に乏しく酸化変性を受けやすいという特徴も有しています。

 

以上のことから、sd LDLはアテローム性動脈硬化の主因である酸化LDLの良き原料と考えられています。

 

 

「小型LDLコレステロールの特徴」と、それによる不都合な展開を完結にまとめるとこうなります。

 

 

  • 滞在時間が長い → 血管壁と接触する機会が多い

 

  • サイズが小さい → 血管壁に侵入しやすく、侵入した先で酸化される

 

  • 抗酸化物質が乏しい → 活性酸素に対する防御力が弱いので酸化しやすい

 

 

「小型LDLコレステロール」は、このような条件がそろっているので、毒性の強い「酸化コレステロール」になりやすいというわけです。だから「超悪玉」と言われています。

 

 

「小型LDLコレステロール」は、よく「小型だから悪い」と言われていますが、厳密に言うと「内皮細胞に入ると酸化するから悪い」ということになります。

 

 

以上が「LDLコレステロールは動脈硬化の原因になる」・・・と悪く言われる所以です。

 

 

しかし、忘れてはいけません。

 

酸化コレステロールは泡沫細胞の蓄積を招くので「アテローム性動脈硬化」を進展させますが、あくまで二次的なものです。

 

コレステロールの前に注目しなければいけない過程があります。

 

それが、最初に起こる「内膜の傷」です。

 

 

 

内膜の傷

 

 

確かに、酸化コレステロールは良くない性質をもっています。

 

しかし、元になった「小型LDLコレステロール」を溜めない事が動脈硬化を防ぐ一番の方法か・・・というと、私はそうは思いません。

 

コレステロールに気をつけるよりも、①の血管そのものの健康に気をつける方が、根本的な解決に繋がると思うのです。

 

 

その根拠をお話します。ここでもう一度、「アテローム性動脈硬化」の流れを見て下さい。

 

 

 

①「血管」は血圧が高かったり、喫煙することで内膜の「内皮細胞」が傷つけられる

 

 

②傷ついた「内皮細胞」の隙間から、LDL(悪玉)コレステロールが内膜の内側に入り込んでいく

 

 

③内皮細胞の内側に入り込んだLDLは、活性酸素によって酸化される

 

 

・・・

 

 

そもそも、①が起こらなければ「内皮細胞」は傷つかないということになりますよね。

 

そして、「内皮細胞」が傷つかなければ、「小型LDLコレステロール」が隙間から入ることもありません。

 

 

そして、LDLコレステロールの酸化は「内皮細胞」に入り込んだ先で起きるので、入り込まなければ酸化LDLコレステロールは作られない・・・ということになります。

 

 

マクロファージは「酸化LDLコレステロール」にならなければ攻撃してこないそうなので、その後の「泡沫細胞」になる展開も起こりません。

 

 

結局、元をたどれば「血管にLDLが入ってしまう傷ができる事」、「内皮細胞に入ってしまう事」が悪いのであって、「小型LDLコレステロールが悪い」・・・というのはなんか違うような気がします。コレステロールに関する説はインチキが多いので、無駄に大騒ぎしすぎかなと思います。

 

しかし、既に内皮細胞に傷が多い人は、小型LDLが入り込む確率が増しますし、そうなれば酸化してマクロファージの攻撃対象ですから、どうにもなりません。その場合は小型LDLコレステロールを減らす努力をした方が良いでしょう。

 

 

 

また、「小型だから内皮細胞に入りやすい」・・・ということですが、それを言うなら「HDL(善玉)コレステロール」も小型です。何故こちらは内皮細胞に入っていかないのか・・・

 

 

謎はありますが、とりあえずコレステロールの話は置いておいて、ここからは「血管の状態」に注目します。

 

 

 

 

血管の状態に注目する

 

 

「動脈硬化」という疾患は「血管の症状」なので、そこを流れている「コレステロール」に注目するよりも、「血管の質」そのものに目を付ける方が理に適った分析だと思います。

 

 

動脈硬化を予防したい人は、コレステロールの心配をする前に、血管の質が悪くならないような生活を心がけた方が良いでしょう。

 

しかし、その為には、何故、血管の質が悪くなるのかについて知っておく必要があります。

 

 

まずは、コレステロールから頭を切り替える為に以下をお読み下さい。

 

 

『日本人よコレステロールを恐れるな / 著者:長谷川元治』より引用

 

「コレステロールが高い=動脈硬化」ではない。

 

 

みなさんが健康診断などを受けたとき、コレステロールが高いと、動脈硬化を起こしている(あるいは起こすおそれがある)と言われます。しかし、実はここに大きな落とし穴があるのです。

 

 

たとえば、高血圧かどうかを調べるときには血圧そのものを測定します。その結果、血圧の値が高かった人がすなわち高血圧ということになります。血圧が高いことを高血圧というのですから、これはあたりまえです。

 

 

ところが、動脈硬化の場合は違います。血管の病変であるにもかかわらず、血管そのものをなんらかの形で検査。測定するのではなく、血中コレステロールという“別のもの”を測って、間接的に診断を下しているにすぎません。

 

 

これば、血管そのものの状態を直接調べる簡易な検査法が少なく、行なう場合には特別な機器や技術が必要だったため、会社や地域の健康診断や人間ドックなどで実施しにくかったという事情もあるでしょう。

 

 

しかし、その結果、不幸なことに「コレステロールが高い=動脈硬化」という図式が世の中に浸透してしまいました。

 

 

本来、血中コレステロールが高いということは、血液中にコレステロールが多いという状態を示しているにすぎず、それ以上でも以下でもありません。

 

 

血管の状態そのものは調べていないのですから、動脈硬化かどうかはほんとうにはわからないはずです。にもかかわらず、わかったことにしている、つまり動脈硬化を起こしている(起こすおそれがある)とみなしているのが現在行なわれている検査・診断であるといえるでしょう。

 

 

実際には、コレステロールが高くても動脈硬化を起こさない例があり、逆にコレステロールが低くても動脈硬化を起こしている例も多いことがさまざまな研究・調査によって、また私自身の研究によっても明らかになっています。

 

 

(p37~38p)

 

 

こちらは、1998年に出版された本です。言うまでもありませんが、あの当時「動脈硬化はコレステロールが原因ではない」という説を唱えるのは凄いことです。

 

 

ですが、ここに書かれてある内容は、考えたら当たり前のことです。小学生でも分かる理屈ではないでしょうか。

 

 

しかし、みんなが「動脈硬化=コレステロール」と言うと、なんとなく「そうかな・・・」と思うようになるのです。

 

 

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動脈硬化の定義

 

動脈硬化が何かよく分かっていないと原因もわかりません。

 

 

なので、まず動脈硬化の定義をハッキリさせます。

 

 

血管の“しなやかに伸び、力強く復元する”という機能が失われる。

 

動脈硬化とは何かという問題を考えるとき、二つの側面からのアプローチがあります。

 

一つは“血管機能”の面から論じる場合、もう一つは“病理組織学”の面から検討した場合です。

 

このうち、血管機能の面から動脈硬化を論じるのは、実はそれほどむずかしいことではありません。一言で言えば、動脈が本体持っている「しなやかに伸び、力強く復元する」という機能が低下し、失われた状態を動脈硬化と呼ぶのです。

 

 

(中略)

 

 

正常な動脈、よい動脈とは何でしょうか。

 

 

医学的にいろいろな側面から表現することはできますが、要はこの“しなやかに伸び、力強く復元する”機能を維持しているということに尽きるでしょう。

 

 

動脈硬化を起こすと、血管はこのような機能を失ってしまいます。

 

 

実際、不幸にも亡くなられたかたがたの大動脈をとり出し、手で引っぱってみると、正常な血管は柔らかくて、よく伸びるのですが、動脈硬化を起こした血管はガチガチに硬く、まったく伸びません。

 

 

こうした状態では、動脈は血液を全身のすみずみまでつつがなく送り届けるという大事な役目を果たすことができなくなってしまいます。

 

 

(139p~142p)

 

 

機能的に良い動脈がどういう状態か分かったので、次は顕微鏡を使って病気の細胞と組織を検査する「病理組織学」から見た動脈硬化の定義をみていきます。

 

 

冒頭でも少し解説しましたが、動脈壁は、「内膜」、「中膜」、「外膜」の3つに分けられます。

 

 

 

 

この構造を頭に入れた上で続きをお読み下さい。

 

 

動脈硬化とは血管の組織が“病的老化”を起こした状態。

 

 

一方、病理組織学の面から見た場合はどうでしょうか。こちらは実はなかなかむずかしい問題なのですが、できるだけわかりやすく説明してみたいと思います。

 

 

動脈の血管壁の組織は、内膜、中膜、外膜という三つの層を重ね合わせた形でできています。

 

 

このうち、動脈硬化に関係が深いのは内膜と中膜(の内側半分)です。図23に正常な動脈の断面拡大図を示しました。

 

 

 

 

内膜は表面のタンパク膜、内皮細胞、内弾性板(エラスチン)から成り立っており、そのうちの内皮細胞は一層で構成されています。

 

 

中膜は平滑筋細胞を中心として、弾性繊維という太い線維性のタンパク質(エラスチン)、細い線維性のタンパク質(コラーゲン)、それらの間を埋めるしなやかなゼリー状、にわか状のタンパク成分(グリコサミノグリカンス、糖タンパク)によって構成されています。

 

 

動脈の「しなやかに伸び、力強く復元する」というすばらしい機能を担っているのはこれらの材料です。

 

 

エラスチンは平滑筋細胞の間に繊維状に分布しており、「しなやかに伸びる」という機能を専門に受け持っています。

 

 

一方、コラーゲンはエラスチンの要所、要所に密着して存在しており、「力強く復元する」という機能を受け持っています。細胞やゼリー状、にわか状のタンパク成分はこの二つの機能がスムーズに働くように、いわば手助けをします。

 

 

年をとるにつれて、これら動脈壁を構成する成分の形と質は徐々に劣化し、その機能もしだいに低下してきます。

 

 

したがって、結果として動脈は硬くなってきますが、そのとき“病的な成分”が発生していなければまだ「生理的老化」の段階であり、動脈硬化を起こしているとは言えません。

 

 

それに対して動脈壁に“病的な成分”が発生している場合を「病的老化」と呼び、私はこれをイコール動脈硬化と定義しています。

 

 

上の画像を参考に、「内膜」と「中膜」の構造をシンプルにしておきます。

 

まずは、「内膜」です。水色の部分は後で説明しますので、ここでは以下の名前を覚えて下さい。

 

 

 

 

 

 

次は「内膜」です。

 

 

 

 

 

 

それぞれの役割をまとめます。

 

 

  • エラスチン・・・「しなやかに伸びる」機能

 

  • コラーゲン・・・「力強く復元する」機能

 

  • 細胞・ゼリー状・にわか状のタンパク成分・・・2つの機能のサポート

 

 

 

年をとって、これらの成分、質、機能が低下したら、動脈は硬くなりますが、以下の違いがあります。

 

 

 

動脈壁に病的な成分が発生していない状態(動脈硬化を起こしていない)

 

 

動脈壁に病的な成分が発生している状態(動脈硬化と定義)

 

 

 

後者が「動脈硬化」です。

 

 

 

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動脈硬化のプロセス

 

 

定義がハッキリしたところで、次は動脈硬化になるプロセスです。

 

 

さっきの「アテローム性動脈硬化」のプロセスの説明では見られなかった話なので、楽しんで読んで下さい。

 

 

病的老化のプロセスを簡単に説明しましょう。図24―①、②をごらんになると、よりわかりやすいと思います。

 

 

 

 

まず細胞、生理的なエラスチン、コラーゲンが破壊され、形がくずれ、量的にも減少してきます。その間を埋めているゼリー状、にわか状のタンパク成分もやはり破壊され、量が減ってきます。

 

 

このとき、エラスチンは壊れるだけですが、コラーゲンはしだいに変性したものがつくられてきます。簡単にいうと、質のよいコラーゲンと悪いコラーゲンのうち、悪いコラーゲンがふえてくるのです。

 

 

それとともに病的なゼリー状、にわか状の成分も塊状にふえてきます。こうしたまったく機能をなさないさまざまな病的なタンパク質が増加するうちに、細胞は異常にふくれ上がり、のちに萎縮し、ついには消失して(死んで)しまいます。

 

 

そして、最後にこれらの現象に輪をかけるように、血管壁に大量のコレステロールやカルシウムが集まり、アテロームや石灰化が形成されるのです。

 

 

 

 

このように血管壁の組織を構成する主な成分が破壊され、減少、消失し、病的な成分が発生、増加した結果、動脈は本来持っている機能をついには失ってしまいます。

 

 

つまり、しなやかに伸びなくなり、力強く復元しなくなるのです。病理組織学の視点から論じた場合、動脈硬化はまさにこの病的老化が起きた時点をもって始まると言ってよいでしょう。

 

 

(143p~147p)

 

 

 

 

「病理組織学」の視点で見た動脈硬化のプロセスを簡単にまとめるとこうなります。

 

 

 

①エラスチン、コラーゲン、ゼリー状、にわか状のタンパク成分が破壊され形が崩れ、量が減少する

 

 

②変性したコラーゲンが増え、病的なゼリー状、にわか状の成分は塊状に増える

 

 

③病的なタンパク質の増加によって細胞が膨れ、萎縮、消失する

 

 

④血管壁に大量のコレステロールやカルシウムが集まる

 

 

⑤アテロームや石灰化が形成される

 

 

⑥動脈は本来持っている機能を失う

 

 

 

 

どうでしょう。

 

 

先に紹介した「アテローム性動脈硬化」になるプロセスとは、ちょっと違いますね。

 

 

一般的な「アテローム性動脈硬化」の説明は、動脈壁が傷つく様子を軽く触る程度で、その後の「コレステロールが~」ばかりを強調していました。

 

 

しかし、こちらの説明では、諸悪の根源である動脈壁の変性ぶりが丁寧に描写されています。私はここがミソだと思っています。

 

 

コレステロールと関係なく動脈の変性は起こるのです。

 

 

 

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動脈硬化になることで失われる機能

 

 

動脈硬化になると、どんな不都合な事が起こるのかみていきましょう。

 

 

血管は「栄養呼吸」を行なっています。

 

 

しかし、病的な老化(動脈硬化)をしたものは、その機能を失ってしまうのです。以下はその実験の様子です。

 

 

私達の体を構成する組織はすべからく、栄養分や酸素をとり入れて、かわりに浪費物を排出する「栄養呼吸」を行なっています。

 

 

動脈壁のように常に動きつづけている組織の場合には、なおさらこの栄養呼吸が非常に活発に行なわれていることが予想されます。もしそうでなければ、動脈壁の組織は疲労とエネルギー不足に陥って、伸び縮みを繰り返しつづける“激務”にはとても耐えきれないはずだからです。

 

 

では、動脈壁の組織の栄養呼吸はどのような仕組みになっているのでしょうか。実は、これが動脈硬化の発生する原因を知るうえで重要なポイントになります。私たちは次のような実験を行いました。

 

 

まず人間(や動物)の動脈組織を短く切ってとり出し、それを人工心臓を中心とした特殊な装置にとりつけます。

 

 

この装置は心臓の拍動や血液を生体同様に再現する仕組みになっており、作動させると脈動流が起きて、溶液が管腔の中に送り出され、動脈の口径は体内にあるときと同様に広がったり、元に戻ったりを繰り返します。このとき、動脈の組織に必要な栄養素をとかした液体(よく見えるように着色してある)を送り出して、どうなるかを観察してみたのです。

 

 

すると、正常な動脈(や生理的老化を起こしている動脈)では、口径が広がったときに溶液が血管壁の組織に十分に吸い込まれ、元に戻るときに溶液が吐き出されることが確認できました。血管壁の断面図でいうと、中膜組織の内側半分にまで深く溶液は出入りしています。

 

 

つまり、動脈壁はその伸び縮みに連動して、実に活発に栄養呼吸を繰り返していることがわかったわけです。心臓は1日に10~11万回は拍動しますから、動脈の栄養呼吸も同じ回数だけ行なわれていることになります。

 

 

では、動脈硬化=病的老化を起こしている動脈の場合はどうだったでしょうか。同様の実験を行なってみたところ、栄養液は血管壁の組織表面の浅いところに貯留して(たまって)しまい、そこから奥には入っていきませんでした。

 

 

つまり、栄養呼吸が障害されているか、ほとんど行なえなくなっていたのです。肺呼吸になぞらえて言うと、“浅く息を吸い、浅く息を吐く”といった、まるで呼吸困難に陥った重症の肺炎のような呼吸の仕方でした。

 

 

このような状態では動脈壁の組織は栄養不足に陥ってボロボロになっていくのは当然だと言えるでしょう。

 

 

病的な老化を起こしている動脈

 

 

栄養呼吸が障害される

 

 

血管が栄養不足でボロボロ

 

 

 

・・・悪循環ですね。

 

 

ところで、もう一度言いますが、この本は1998年、今から約20年前に書かれています。

 

 

従って、所々「LDLコレステロール=悪者」という当時の概念で話を展開されていますが、「LDLコレステロールは悪くない」と事実が分かる前なので、考慮して続きを読んで下さい。

 

 

さらに、私たちは着色した「LDLコレステロール」をとかした液を使って同様の実験を行なってみました。LDLコレステロールは俗に“悪玉コレステロール”と呼ばれ、動脈壁の中に侵入してアテロームをつくる原因となり、ひいては動脈硬化を引き起こす元凶であると一般には言われているものです。

 

 

実験の結果、正常な動脈では、LDLコレステロールはまったくといってよいほど血管壁の中には侵入できませんでした。もちろん栄養呼吸は活発に行なわれているのですが、LDLコレステロールは入っていきません。

 

 

それに対して、動脈硬化を起こしている血管では、LDLコレステロールがまるで土足で人の家に踏み込むように、血管壁の組織の中に侵入していったのです。しかも、組織内に入ったLDLコレステロールはそこに居ついてしまって、外に出てくることはありませんでした。

 

 

以上の結果をまとめてみますと、正常な動脈ではスムーズに栄養呼吸が行なわれており、必要な栄養素は組織の中にとり入れられますが、LDLコレステロールは侵入できません。つまり、必要な成分は入れて、害になる成分は撃退するという一種の「取捨選択機能」(バリア)が働いているわけです。

 

 

一方、動脈硬化=病的老化を起こしている動脈では栄養呼吸はほとんど行なわれておらず、必要な栄養素を組織内にとり入れることができませんが、逆にLDLコレステロールはどんどん侵入していきます。

 

 

つまり、動脈がもともと持っているはずの取捨選択機能が壊れているわけです。

 

 

(148p~151p)

 

 

 

 

血管壁の組織の中にLDLコレステロールが入るのは良くないそうです。この点は先ほどの「アテローム性動脈硬化」の説明と同じです。

 

 

内皮細胞の中に入ると酸化されてしまいますから。

 

 

でも、ふと思いました。

 

 

「血管壁の組織の中にLDLコレステロールが入るのは良くない」・・・と言うと「入らない方がいい物質=害」と考え、「やっぱりLDLコレステロールは悪いんだ」と結論づけてしまうかもしれません。

 

 

「悪玉」という概念があると、そういう発想につながりやすいです。

 

 

しかし、「入らない方が良い」からといって、必ずしもそれが「害」だからとは限りません。

 

 

例えば、「水」は体にとって必要です。

 

 

胃の中に入れば有益ですが、肺の中に入ったら有害です。「肺に入ると悪いから、水は体に悪い」・・・ということにはなりませんよね。

 

 

それと同じように、血管壁の組織の中に「LDLコレステロール」が入らないようになっている、または、入ったら都合が悪い現象が起きるのは、

 

 

単純に、「LDLコレステロールは血管壁の組織の中に機能的に相応しくないだけ」・・・ともとれるわけです。

 

 

従って、私は小型だろうが普通サイズだろうが、以下のように捉えています。

 

 

 

×  LDLコレステロール=有害成分

 

 

〇  LDLコレステロール=正常な血管壁の組織には不要成分

 

 

 

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タンパク成分の膜の存在

 

 

血液中を流れる「LDLコレステロール」が、内膜の内皮細胞の中に入ったら良くありません。

 

 

次は、血液に面している「内膜」の構造に焦点を当てます。

 

 

動脈壁の内膜の表面には「内皮細胞」がびっしり綺麗に並んでいます。

 

 

 

 

 

 

この「内皮細胞」が血液と触れている・・・と思われるかもしれませんが、そうでもないようです。

 

 

実は、「内皮細胞」の上にが存在しています。

 

 

血液に触れているのは「タンパク成分の膜」です。

 

 

 

私たちは「走査電子顕微鏡」という何千、何万倍という倍率で、しかも組織を立体的に見ることができる高性能の顕微鏡で、動物や人間の動脈をつぶさに観察しました。

 

 

その結果、動脈壁のいちばん内側、つまり血液と接している面にゼリー状、にわか状のタンパク成分(グリコサミノグリカンス、糖タンパク)でできた「膜」を発見しました。

 

 

(中略)

 

 

私たちがこの膜を発見したのは、動物実験がきっかけでした。

 

 

麻酔をしたウサギの心臓が拍動しているうちに、ごくわずかの固定液を血液中に流します。

 

 

そして、走査電子顕微鏡で動脈の組織を観察したところ、明らかに内皮細胞群の直上に膜が一面一様に存在することを確認できたのです。内皮細胞が無数に並んでいる様子を拡大してみると、まるで“キャベツ畑”のようですが、この膜はあたかも霜などの害からキャベツを守るために張られたビニールシートのようにも見えます。

 

 

その後、固定液の用い方など、実験や観察の方法にさらに工夫を重ね、他の動物や人間のいろいろな動脈の血管壁にも同様の膜が存在することを突き止めました。

 

 

(中略)

 

 

しかも、その後の研究で、タンパク膜は動脈壁の表面だけでなく、組織内のすみずみにまで張りめぐらされていることもわかりました。

 

 

先に述べた平滑筋細胞やエラスチン、コラーゲンなどの間を埋めるしなやかなゼリー状、にわか状のタンパク成分が、こうした膜の働きをつかさどっているのです。

 

 

この膜がかなり重要な役割をするのです。

 

 

しかし、「タンパク成分の膜が存在している」とハッキリと書かれている本がある一方で、「血液に触れているのは内皮細胞である」とタンパク膜がなかったかのように書かれている情報源があります。どちらかというとこちらの方が多いです。例えば、

 

 

『一生切れない、詰まらない「強い血管」をつくる本 著者:島田 和幸』より引用

 

 

内皮細胞の“バリア機能”と“活性化機能”

 

 

血管病のメカニズムを知ると、血圧や血糖値、LDLコレステロール値が高い人は、「このままでは危ないかも・・・」と不安な気分になってしまうかもしれません。

 

 

しかし、血管は、若返りが可能な器官です。

 

 

疲れて老化しかけた血管も、セルフケアで強くよみがえらせることができ、それによって怖い血管病も防げるのです!

 

 

その生まれ変わりのカギを握るのが、“内皮細胞”です。

 

 

血管壁の最も内側に位置する内皮細胞は、一層の細胞だけが並ぶ薄い層ですが、血管内腔(血管の内側の空洞)との境にあるので、血管内を流れる血液につねに接しています。

 

 

そのため、血液と血管壁の仲介者のような役割を持ち、血管を守り、強くするよう働いているのです。

 

 

バリア機能は「防壁機能」とも呼べるもので、血液中に存在する成分が血管壁内に侵入するのを防いでいます。

 

 

血液の循環を川の流れにたとえると、内皮細胞は、川の水があふれないように保ち、よどみない流れを促す堤防のようなものです。

 

 

一方、活性化機能は、内皮細胞自身が作る物質に関係しています。

 

 

内皮細胞は、防壁となって血管壁を守るだけでなく、血管を健康に保つための物質を自らが生み出し、活用しているのです。

 

 

そのおもな物質が“NO(一酸化窒素)”です。NOは排気ガスにも含まれていますが、人の体内で生み出されるNOはとても良い働きをします。

 

 

その驚くべき作用を発見した研究者はノーベル賞をもらったほどです。

 

 

内皮細胞から生まれたNOは血管壁に良い刺激を与え、血管壁を広げるよう働きます。すると、血圧が下がり、血管の負担が減ってきます。

 

 

また、NOが血液中に放出されると、血液がかたまりにくくなり、脳梗塞や心筋梗塞の引き金になる血栓(血のかたまり)ができにくくなります。

 

 

そのため、内皮細胞がイキイキしていると、血管自体も若さと強さを保てます。

 

 

逆に、内皮細胞が疲れていると、本来の役割を果たせなくなり、血管の老化が早まって、40代や50代でも血管病に襲われてしまうのです。

 

 

つまり、内皮細胞をどうケアするかが、血管ケアの最大のカギとなるのです。

 

 

違いをまとめてみます。

 

 

 

  • 内皮細胞は血液に常に接していると書かれている

 

  • 「バリア機能」の事には触れるが「タンパク成分の膜」は触れない

 

  • 「活性化機能」について書かれている

 

 

 

気になるのは、「タンパク成分の膜」について触れられていない事です。他にもネットや本を色々探したのですが、どの情報にも書かれていません。

 

 

その後、「膜の名前が変わった」のか、「やっぱり膜はなかったことになった」のかは分かりませんが、「内皮細胞は血液に接している」というものばかりです。

 

 

 

長谷川氏の本には、私たちは発見したと、

 

 

「その後、固定液の用い方など、実験や観察の方法にさらに工夫を重ね、他の動物や人間のいろいろな動脈の血管壁にも同様の膜が存在することを突き止めました。」

 

 

・・・と、膜が存在していると具体的に書いてあるので、何故その他の情報に、「タンパク成分の膜」のことが記されていないのか不思議です。

 

 

しかも、「図23 正常な動脈壁の断面拡大図」には膜がハッキリと描かれています。

 

 

スッキリしませんが、先に進みます。

 

 

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タンパク膜の役割

 

再び長谷川氏の話に戻ります。

 

 

「タンパク成分の膜」が存在していて、どういう役割を果たしているのかをみていきます。

 

 

動脈というと堅固なゴムチューブのようなものを思い浮かべがちですが、実は拡大して見ると動脈壁の組織はスポンジのような構造になっており、無数の微小な管孔(通路)が動脈内腔(血液と接する部分)に開口しています。

 

 

栄養素などの血液成分はこの微小管孔を通って動脈壁組織の奥深くまで入っていくのですが、管孔(かんこう)の開口部も内側もすべて取捨選択機能を持ったゼリー状、にわか状のタンパク膜でおおわれており、そこでもまた、こまかな栄養呼吸が行なわれているのです。

 

 

これら動脈壁内外のタンパク膜が正常でしっかりしていれば、動脈壁の栄養呼吸はスムーズに行なわれ、必要な栄養分はとり入れられて、かわりに老廃物は排出されます。また、LDLコレステロールなどの有害な成分はシャットアウトされます。

 

 

逆に膜の質が悪くなったり、あるいは壊れたりすると動脈壁の栄養呼吸は十分に行なわれず、必要な栄養分がとり入れられなくなり、老廃物もきちんと排出できなくなります。

 

 

その結果、動脈壁の組織は栄養不足に陥ってボロボロになり、さらにはLDLコレステロールなどの有害成分も侵入してくるのです。

 

 

 

タンパク膜の役割です。

 

 

  • 栄養呼吸(栄養を取り込み、老廃物を排出)

 

  • 不要成分をシャットアウトするバリア機能

 

 

情報源によって、ところどころ食い違いますが、血管壁が「不要な成分をシャットアウトするバリア機能」を持っていることは確かです。

 

 

 

sdLDLコレステロールが酸化される場所

 

 

「バリア機能」は重要です。

 

 

100歩譲って「sd(小型)LDLコレステロール」が悪かったとしても、膜の不具合(バリア機能に問題)がなければ中に入れないので問題はないようです。

 

 

何故なら、「小型LDLコレステロール」は、血液内で酸化されるのではなく、膜に入った後で酸化されるからです。

 

 

以下の動画の0:37でも、酸化は動脈壁の内部の化学反応で起こると説明されています。その部分を文字起こししてみました。

 

 

コレステロール、脂肪、細胞はいきせい生物など、血中内を移動する物質は動脈壁の損傷領域の内部で蓄積します。

 

蓄積した物質内で起こる化学反応によりコレステロール分子は酸化されます。

 

 

 

動画がこちらです。

 

 

 

 

 

 

極端に言えば、膜がきちんと機能していて、動脈壁に入らなければ酸化されないので、血液の中に「小型LDLコレステロール」が多かろうが少なかろうが問題はありません。

 

 

少なくとも、理論上はそういう事になります。

 

 

 

(膜があると守られているので、LDLも単球も中には入れない)

 

 

 

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電気化学的な面から見た動脈硬化

 

 

余計なものが中に入らないように守ってくれている「タンパク成分の膜」ですが、どうやって不要な成分をシャットアウトしているのか、もしこれが壊れたらどうなるのかを、みていきます。

 

 

少し話がむずかしくなりますが、動脈硬化の発生・進行を電気化学的な面から説明してみましょう。

 

 

赤血球や白血球、リンパ球、血小板をはじめ、LDLコレステロールなどの有害成分も含めて、すべての血液の有形成分はマイナスの電気を帯びています。

 

 

一方、動脈壁のタンパク膜は正常な状態では電気的にはほとんどゼロ、つまりプラスもマイナスも帯びていない状態です。

 

 

したがって、血液中の成分と動脈壁のタンパク膜とは電気的にお互いに反発し合うので、くっつくことはありません。

 

 

ところが、このタンパク膜は質が悪くなったり、壊れたりすると、急速にプラスに荷電してくるのです。

 

 

そうなると、マイナス電気を帯びている血液成分とお互いに引き合うようになりますから、それらの成分がタンパク膜の表面に集まってきて、たくさんくっついてしまいます。

 

 

こうした状態がつづくと、いろいろな余計な成分が膜の上に蓄積し、さらに病的なコラーゲンなども膜の上に雑草のように生えてきて、やがて厚くて硬い層ができ上がります。

 

 

タンパク膜や内皮細胞はその下にいわば“生き埋め”になってしまうわけですから窒息状態になり、破壊され、ついには消失してしまいます。

 

 

そして、膜の消失した部分から分子量の小さいLDLコレステロールなどの有害な成分がどんどん動脈壁の中に入り込むようになるのです。

 

 

 

電気の状態を図にしてみました。

 

 

 

 

 

 

つまり、こういうことです。

 

 

 

①左の「正常な膜」だと血液中の成分はくっつかない

 

 

②膜が劣化すると、膜と血液中の成分はくっつく

 

 

③余計な成分が膜の上に蓄積する

 

 

④タンパク膜や内皮細胞は、窒息、破壊、消失する

 

 

⑤壊れたところから分子量の小さいLDLコレステロールが侵入

 

 

 

 

ただし、この電荷の話は分からないことが多いです。

 

 

「血液中の成分の電荷」と「動脈壁の電荷」について色々調べていたらこんな話もありました。

 

 

『CRCグループ リポ蛋白分画の検査法の違いを教えてください。』より引用

 

 

また、リポ蛋白はその表面に存在するアポ蛋白のアミノ酸残基を反映して陰性に荷電しています。

 

この陰性荷電はLDL、VLDL、HDLの順に増加し、CMはほとんど荷電が認められません。

 

 

 

「LDLコレステロール」は他のリポタンパクに比べてあまり陰性に荷電していない・・・ともとれます。

 

 

で、悪玉である「LDLコレステロール」より、善玉である「HDLコレステロール」の方が陰性が強いということは、善玉は正常なタンパク膜にくっつきにくい・・・ということになります。

 

 

でも膜が劣化してプラスに変わったらくっつきます。

 

 

 

そして、以下は間逆です。

 

 

『脂質異常症(高脂血症)』より引用

 

 

LDLはプラスに荷電している。

 

 

一方、平滑筋細胞や内皮細胞において産生される糖タンパクであるプロテオグリカンはかなり強くマイナスに荷電している(プロテオグリカンは細胞外基質である)。

 

 

プラスに荷電したLDLがマイナスに荷電したプロテオグリカン(糖鎖の部位)に引き付けられるように強固に結合すると、LDLの構成タンパクであるApo-Bタンパクは構造変化して血管壁から外へ出ることはない。

 

 

なんと、いきなり「LDLはプラスに荷電している」・・・ときました。

 

 

そうすると「正常なタンパク膜(ほどんどゼロ)」の時より、「劣化したタンパク膜(プラス)」の時の方が反発してよりくっつきにくくなる気がします。

 

 

しかし、ちょっと気になったのが、以下の部分です。

 

 

 

>平滑筋細胞や内皮細胞において産生される糖タンパクであるプロテオグリカンはかなり強くマイナスに荷電している(プロテオグリカンは細胞外基質である)。

 

 

 

「プロテオグリカン」・・・

 

 

内皮細胞の上にある「たんぱく成分の膜」膜は、「グリコサミノグリカンス、糖タンパクで出来た膜」と説明がありました。

 

 

一応「グルコサミノグリカンス」と「プロテオグリカン」について調べてみました。

 

 

『グリコサミノグリカン wikipedia』より引用

 

グリコサミノグリカン(glycosaminoglycan)は、長鎖の通常枝分れがみられない多糖。動物の結合組織を中心にあらゆる組織に普遍的に存在する。狭義のムコ多糖。GAGと略される。

 

 

硫酸基が付加した2糖の繰り返し構造からなる。

 

 

うち1つはアミノ糖(ガラクトサミン、グルコサミン)であり、もう1つはウロン酸(グルクロン酸、イズロン酸)またはガラクトースである。

 

 

多数の硫酸基とカルボキシル基を持つために、強く負に帯電している。

 

 

多くのグリコサミノグリカンは、プロテオグリカンとしてコアタンパク質と呼ばれる核となるタンパク質に付加した形で存在している。唯一の例外は、ヒアルロン酸であり、プロテオグリカンとしては存在していない。

 

 

「グルコサミノグリカンス」は強く負に帯電しているとのことです。

 

 

『プロテオグリカン wikipedia』より引用

 

プロテオグリカンは、動物成分の多糖類(グリコサミノグリカン:glycosaminoglycan)の研究中に見つけ出された成分である。

 

 

グリコサミノグリカンとしては、ヒアルロン酸や軟骨から分離されたコンドロイチン硫酸(1889)などが有名であるが、これらのグリコサミノグリカンの構造解析を行っている中で、1970年にグリコサミノグリカンとコアタンパク質(CoreProtein)が一定の結合様式で結合した糖タンパク質が発見され、プロテオグリカンと命名された。

 

 

イマイチ何が言いたいのかよく分からない説明ですが、

 

 

グルコサミノグリカン + タンパク質 = プロテオグリカン

 

 

・・・ということなので、「プロテオグリカン」とは、「タンパク膜」のことを指しているのでしょう。ハッキリ「膜」と言えばいいのにと思います。

 

それを踏まえた上で、以下の部分をもう一度読みます。

 

 

>平滑筋細胞や内皮細胞において産生される糖タンパクであるプロテオグリカンはかなり強くマイナスに荷電している(プロテオグリカンは細胞外基質である)。

 

 

「グルコサミノグリカン」が強く負に帯電しているので、この「プロテオグリカン」は強くマイナス・・・ということだと思うのですが、

 

 

そうすると、最初に紹介した「グルコサミノグリカンスと糖タンパクでできているタンパク膜は、電気的にほとんどゼロ」という話と食い違います。

 

 

混乱してきたので図にします。

 

 

「正常な膜」を「ほとんどゼロ」から「マイナス」に、血液中の成分の中の「LDLコレステロール」だけを「マイナス」から「プラス」に変えると、

 

 

「血液中の成分」と「タンパク成分の膜」がくっつくか、くっつかないかの話が、先ほどと違ってきます。

 

 

 

 

仮に正常な「タンパク膜」が強いマイナスと過程して、さらに、「LDLコレステロール」もプラスと仮定したら、「LDLコレステロール」と正常な「タンパク膜」はくっつきます。

 

 

でも、「タンパク膜」が劣化してプラスになれば、「LDLがコレステロール」がプラスだった場合は反発することになります。

 

 

膜が傷ついていても「LDLコレステロール」が中に入りにくいことになります。

 

 

どっちが本当なのかよく分からないですね。

 

 

検証のしようがないので、とりあえず「電荷」の件は保留にします。

 

 

 

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カルシウムによる石灰化

 

 

タンパク成分の膜が壊れると問題が起こります。

 

 

その一つが、組織の「石灰化」です。

 

 

もう一つ、ここでたいへん興味深い現象が起きることがあります。台風などで河川の堤防が決壊すると、そのときは本格的な修理をしている余裕などはありませんから、応急処置として破壊された部分に砂袋などを積み重ねます。

 

 

実はこれと似たようなことが動脈の組織で起きるのです。

 

 

タンパク膜の質が悪くなって動脈壁が栄養不足に陥ると、組織を構成している重要な成分であるエラスチンやコラーゲンの新陳代謝も低下し、作り替えが行なわれなくなって、やがては壊れて量が減ってきます。すると、組織はあわてて手近にある他の材料で代用して、このすき間を埋めようとするのです。

 

 

その代用品がカルシウムです。

 

 

血液中のカルシウムイオンが組織内にとり込まれて、リン酸カルシウムとなり、エラスチンやコラーゲンがあった場所を埋めるのに使われてしまいます。動脈硬化が進行すると、組織の石灰化(リン酸カルシウムの沈着)が見られるのは、こうした理由からなのです(146ページ・図24―②参照)。

 

 

このように、動脈硬化が起きるそもそもの原因は、動脈壁内外に存在するタンパク膜の形態や機能が悪くなることにほかなりません。

 

 

動脈硬化を引き起こす“主役”はこのタンパク膜の変性や破壊であり、コレステロールやカルシウムも関係はしていますが、あくまでも途中から加わる“脇役”にすぎないのです。

 

 

タンパク膜の変性がなぜ起きるのかについては現在研究中ですが、遺伝的素因にさまざまな要因が加わって生じるものと思われます。

 

 

したがって、血中のコレステロール濃度がどんなに高くても、膜が正常である限り動脈硬化は発生せず、LDLコレステロールが動脈壁にくっついたり侵入したりすることもありません。逆に血中のコレステロール濃度が低くても、膜の質が悪くなれば動脈硬化は発生し、LDLコレステロールも動脈壁にくっついたり侵入したりするのです。

 

 

これは、高脂血症でも動脈硬化を起こさない例がたくさんあり、逆にコレステロール値が低くても動脈硬化を起こす人が非常に多いという、これまでに多くの臨床研究で得られている結果とも一致しています。

 

 

(151~158p)

 

 

動脈硬化の原因ですが、

 

 

>動脈硬化を引き起こす“主役”はこのタンパク膜の変性や破壊であり、コレステロールやカルシウムも関係はしていますが、あくまでも途中から加わる“脇役”にすぎないのです。

 

 

とあります。

 

 

 

これが答えです。

 

 

つまり、動脈硬化を根本的に防ぐには、タンパク膜の変性や破壊を防がなければならないというわけです。カルシウム対策は二の次ということです。

 

 

しかし、

 

 

>タンパク膜の変性がなぜ起きるのかについては現在研究中ですが

 

 

・・・とあるように、「変性の具体的な原因」までは、この時点で判明していないようです。

 

 

先ほども言ったように、ネットや本で調べても、書かれているのは、文章、イラスト共に動脈壁の「内皮細胞」までで、その上の「タンパク膜」について触れられていません。

 

 

そして、動脈硬化の説明は、「膜が壊れたところ」からスタートしているので、膜が変性する具体的な理由も見つかりませんでした。

 

 

「タバコ」、「ストレス」、「老化」、「何らかの原因で...」・・・とかなり曖昧です。

 

 

なので、私が「タンパク膜」が変性してしまう理由についてお話します。

 

 

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タンパク質の変性

 

 

タンパク質はデリケートな分子です。従って、何かの「影響」によって、立体構造が変化し、性質が変わってしまうのです。

 

 

これを「タンパク質の変性」と言います。

 

 

「影響」とは、例えば、加熱、攪拌、酸、アルカリ、尿素などです。

 

 

そして、「糖質」もタンパク質を変性させます。これを「糖化反応」と言います。

 

 

変性の原因の中でも大きいのが「糖化反応による変性」です。その理由は、あらゆる有害物質の中で「糖質」が最も取り込む量が多いからです。

 

 

「糖質」は血管に炎症を起こす原因にもなりますが、体のタンパク質を変性させる原因にもなります。

 

 

で、「タンパク成分の膜」ですから、当然糖化対象でしょう。さらに言えば「エラスチン」と「コラーゲン」と「細胞」もタンパク質ですから、糖化対象です。

 

 

糖質をバクバク食べていれば、血管を構成するタンパク質は糖化します。

 

 

だから、動脈硬化ではなく「動脈糖化」です。

 

 

私は長年糖質過多だったので、糖化によって体がボロボロになりました。その為、多くの人に糖化の危険性について知ってもらいたいと思っているのですが、現代の医療関係者でも「糖化」にはほとんど触れません。

 

 

この本が出版された1998年は、「糖化」という概念は広がっていませんでした。だから、「タンパク膜」が変性する可能性として「糖化」は考え付かなかったのだと思います。

 

 

しかし、この本に「糖化」という単語はでてきませんが、それを思わせる記述がいくつも書いてありました。

 

 

「糖化によって「タンパク膜」が変性破壊された」・・・と考えれば整合性がとれます。

 

 

糖質を大量に食べている人なら、「糖化」が起きても不思議ではないのです。

 

 

「糖化反応」は血管だけに起こるわけではありません。関節、肌、内臓、卵子・・・等、全身に起こります。症状は一見「老化」に似ています。具体的にどうなるか知りたい方は以下の記事をお読み下さい。

 

 

糖化反応(メイラード反応)について分かりやすく説明してみた

 

 

ちなみに血液検査で測る「ヘモグロビンA1c」ですが、あれは、タンパク質である「ヘモグロビン」に糖がどれぐらいくっついているかを測っているのです。糖質は、血管だけでなく、血液成分にも影響を与えるのです。

 

 

 

動脈硬化の対策

 

 

動脈硬化の一番の予防は、体のタンパク質を変性させたり、炎症の原因になる「糖質」を控えることです。

 

 

その上で、既にバリア機能のあるタンパク膜が壊れている人は、「小型LDLコレステロール」を減らす努力も必要です。

 

 

「酸化」と「糖化」を防ぐ為に...

 

 

『AGEエージーイー牧田クリニック AGEとは?』より引用

 

 

AGEは2つの仕組みで、アテロームによる動脈硬化を進行させます。

 

 

動脈硬化の最初の引き金になるのは、血液中に増えすぎた悪玉コレステロールの血管への蓄積です。

 

 

血管に蓄積した悪玉コレステロールは、AGEによる悪玉修飾を受けます。悪玉修飾を受けた悪玉コレステロールは、処理をするために出動したマクロファージに摂り込まれて「泡沫細胞」となります。この泡沫細胞がアテロームをつくったり、動脈の内側を厚くしたりするのです。これが第1の仕組みです。

 

 

もう1つ、AGEには血管に対する直接的な悪影響もあります。

 

 

血管の内側にある「血管内皮細胞」には、AGEをキャッチするアンテナ(受容体)があります。この受容体にAGEが結合すると、動脈硬化を進め炎症反応がおこります。

 

 

AGEとは「終末糖化産物」の事です。

 

 

AGE(終末糖化産物)について分かりやすく説明してみた

 

 

 

そして、もう一つ大事なことがあります。

 

それは、タンパク質を増やす事です。その根拠が以下になります。

 

 

 

ご存じのように、生体の臓器や器官はすべてタンパク質でできていますが、このタンパク質を合成しているのは臓器や器官に存在する細胞です。

 

 

動脈壁の組織においても、細胞は栄養呼吸によってとり入れられた栄養分に養われながらタンパク質を合成し、日々新陳代謝を営んでいます。

 

 

血管の構造や機能を正常に保つためには、こうした細胞による新しいタンパク質の合成が活発に行なわれ、老化や障害を起こしたタンパク質との交換がきちんと行なわれていることが必要です。

 

 

さらに注目すべきなのは、栄養呼吸をつかさどっている動脈壁内外のタンパク膜自体も動脈壁の細胞によって合成されているという点です。

 

 

動脈硬化を防ぐためには、このタンパク膜の新陳代謝がスムーズに行なわれ、常にリフレッシュされていることがいちばん重要となります。

 

 

(179~180p)

 

 

タンパク質は体の材料なので、体の修復の為には、絶対必要です。

 

 

今回紹介した長谷川氏の本ですが、1998年の時点で、コレステロールと動脈硬化は関係ない事、糖質を減らした方が良い事を述べられています。

 

 

それだけでなく、中高年が肉を減らすのは大間違い、タンパク質+脂質の割合を50%ぐらいにはした方が良いとも言われています。

 

 

当時の私が読んだら「何言ってんの?」と思ったでしょうが、今考えると糖質制限の概念もなかったこの時代に、このような主張をするのは凄いと思います。

 

 

長谷川氏は、血管を研究する人なので、動脈硬化の「血管の状態」を詳しく述べられていてとても参考になりました。

 

 

現在、動脈硬化を研究している学者には、大きく分けて三つのグループがあります。

 

 

一つは、主に血液を研究しているグループで、簡単にいうと、血液中に含まれる成分やその作用などを明らかにすることによって、動脈硬化の原因を突き止めようとしています。

 

 

血液に含まれる成分を研究するのがいわば本職で、得意分野ですから、その成分の一つである血中コレステロールに注目しがちな傾向があります。「コレステロール元凶説」を唱える学者の多くは、このグループの人たちです。

 

 

二つ目は、血管壁の表面の細胞(内皮細胞)や組織内の細胞(平滑筋細胞)をとり出して培養し、その生態や病態を観察・研究するグループです。

ただし、この場合も主としてウサギの細胞を実験の対象としており、病態をつくり出すためにはコレステロールなどを負荷する方法が用いられます。結局は、一つ目のグループの研究と連動していることが多く、「コレステロール元凶説」を裏づけることをその研究の目的としていると言ってよいでしょう。

 

 

三つ目は、主に血管そのものを研究しているグループです。血管を構成している材料、血管の状態や働きなどを検討することによって、動脈硬化の原因をさぐっていきます。私自身はこちらのグループに入るでしょう。

 

 

問題は、現状では前の二つのグループのほうが圧倒的に人数が多いということです。

 

 

血液研究グループ+細胞培養研究グループが9・5に対して、血管研究グループは0・5ぐらいの割合でしょうか。

 

 

そのため、どうしても血液研究グループや細胞培養研究グループのほうが力も強く、声も大きくなりがちで、「コレステロール元凶説」が有力になったという背景もあるのです。

 

 

(43~44p)

 

 

20年近く経っているので、現在の状況は分かりませんが、貴重な、血管そのものを研究しているグループに属する人の意見です。

 

 

長くなるので、最初は要約しようかと思ったのですが、私が分かったような事を言うよりも、直接血管を観察している人の主張をそのまま紹介した方が説得力があるので、引用をメインにしました。

 

 

改めて動脈硬化の原因について考える

 

 

本気で動脈硬化を避けたいのであれば、血管を傷つけない事、その原因になる糖質の量に気をつけることです。

 

 

しかし、動脈硬化の原因を探していると、内皮細胞が傷つくのは、高血圧、糖尿病、喫煙、ストレス・・・とサラッと流し、コレステロールの小難しい話に突入します。判で押したようにこのパターンが多いです。

 

 

 

コレステロールが悪い

 

 

悪玉LDLが悪い

 

 

小型LDLが悪い

 

 

 

・・・と、コレステロールに関しては細かい話をするくせに、肝心なところにダメージを与えるであろう「糖質が与える影響」についてはほぼ無視です。

 

 

糖尿病、高血圧・・・ときたら、もう一歩踏み込んで「糖質」をあげないとおかしいわけです。コレステロールを追求する時の勢いと違います。

 

 

ちなみに、90%の人がなる「本態性高血圧」は糖質が原因です。

 

 

血圧と、本態性高血圧の原因について分かりやすく説明してみた

 

 

コレステロールを下げる薬を飲んでいる人は多いようですが、根本的な原因である血管を傷つける糖質をバクバク食べていたら、血管はボロボロになります。

 

 

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「コレステロールが高い」と言われたら、多くの人は以下のように連想するのではないでしょうか。

 

 

コレステロールが高い → 動脈硬化 → 心筋梗塞や脳梗塞 → 死

 

 

そして、「脂質=悪」というイメージもあるので、その反動で、野菜や果物などの植物性の食品を「ヘルシー」と言って有難がる・・・

 

まだまだそんな人は多いですね。

 

脂質はとても大切な栄養素なのですが、この間違った思い込みのせいで、脂質を控える人が後を経ちません。

 

一度定着した常識は、なかなか覆らないものです。

 

 

本記事では、その元となった「コレステロール元凶説」の信憑性についてお話します。

 

 

本題に入る前に、簡単にコレステロールの説明をします。

 

 

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体内の脂質

 

 

人体を構成している物質を多い順に言うと、水分が59%、タンパク質が18%、脂質が17%、無機塩類が5%、その他(炭水化物や核酸)が1%です(※情報源によって微妙にパーセンテージが違ったりするので、だいたいこんなもんだと思って下さい)。

 

 

脂質は3番目に多いですね。

 

そして、脂質は4種類あります。

 

 

 

 

  • 脂肪酸

 

  • 中性脂肪

 

  • リン脂質

 

  • コレステロール

 

 

 

この4種類を「役割」で分けると以下のようになります。

 

 

 

  • 脂肪酸、中性脂肪・・・エネルギー源

 

  • リン脂質、コレステロール・・・体の構成要素、材料

 

 

 

脂質の特徴

 

 

脂質の役割を具体的に説明します。

 

 

エネルギー源としての脂質

 

 

「脂肪酸 しぼうさん」・・・すぐ使えるエネルギー源

「中性脂肪 ちゅうせいしぼう」・・・貯蔵して待機しているエネルギー源

 

 

 

脂肪酸とグリセロールが結びつくと、「中性脂肪」になります。

こうして脂肪細胞の中に蓄えておいて、必要に応じて、また「脂肪酸」に戻ってエネルギーとして使われる・・・というわけです。

 

 

 

 

体の材料としての脂

 

 

「リン脂質」・・・細胞膜の主成分

 

「コレステロール」・・・細胞膜を構成する成分の一つ、ホルモンや胆汁やビタミンDの原料

 

 

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コレステロールとは

 

 

コレステロールは血液中に単体では存在していません。

 

 

コレステロールは、中性脂肪とセットになって、その周囲を「アポタンパク」という名前のタンパク質が囲っています。

 

 

この加工された全体を「リポタンパク」と呼びます。

 

 

そして、「リポタンパク」のことを一般的に「コレステロール」と言ったりするわけです。

 

 

↓英語でも「リポプロテイン・コレステロール」と言います。

 

 

(高比重リポタンパク / 英語:High Density Lipoprotein cholesterol)→ 善玉コレステロール

 

 

(低比重・リポタンパク /英語:Low-Density Lipoprotein cholesterol)→ 悪玉コレステロール

 

 

 

リポタンパクの構造

 

 

リポタンパク = 一般的に言うコレステロール

 

 

・・・ですが、ここでは何故コレステロールは「リポタンパク」に加工されているのか、どんな構造をしているのかについて説明します。

 

 

「主成分が水」である血液の中に、「脂」であるコレステロールは溶けません。

 

 

その為、脂質は、水と相性が良いタンパク質(アポタンパク)と結合することによって水溶性になります。

 

「リポタンパク」という複合体粒子に加工された状態で血液に溶けているというわけです。

 

 

「リポタンパク(一般的に言うコレステロール)」の基本構造は、

 

「アポタンパク」、「トリアシルグリセロール(中性脂肪)」、「リン脂質」、「エステル型コレステロール」、「遊離コレステロール」からなっています。

 

 

 

 

(疎水性)である「エステル型のコレステロール」は、「リポタンパク」の内部に。

(親水性)である「遊離型のコレステロール」は、「リポタンパク」の表面にあります。

 

 

 

ちなみに、

  • 脂肪酸と結合している(疎水性)→ エステル型コレステロール(約70%)

 

  • 脂肪酸と結合していない(比較的親水性)→ 遊離型コレステロール(約30%)

 

 

 

 

リポタンパクの種類

 

 

「リポタンパク」がどんなものか頭に入ったところで、次は「リポタンパク」の種類について説明をします。

 

 

「水に溶けない物質」を「水に溶けやすい物質」で覆っている構造の「リポタンパク」ですが、

 

脂質の比率密度合成される場所によって、以下のように分けられています。

 

 

 

  • (カイロミクロン(キロミクロン)/ 英語:chylomicron)

 

  • (超低比重リポタンパク / 英語:Very-Low-Density Lipoprotein cholesterol)

 

  • (中間比重リポタンパク / 英語:Iintermediate Density Lipoprotein cholesterol)

 

  • (高比重リポタンパク / 英語:High Density Lipoprotein cholesterol)→ 善玉コレステロール

 

  • (低比重・リポタンパク /英語:Low-Density Lipoprotein cholesterol)→ 悪玉コレステロール

 

 

 

 

比重が大きいほど、「アポタンパク質」の割合が高く、「脂質」の割合が低いそうです。

 

 

ここでようやく、有名な「善玉コレステロール」と、「悪玉コレステロール」がでてきました。

 

 

次は、動脈硬化と結び付けられる「悪玉コレステロール」について説明します。

 

 

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善玉コレステロールと悪玉コレステロールの違い

 

 

先程言ったように、「善玉」も「悪玉」も、どちらも脂質の比率や密度の違いはありますが、同じ「リポタンパク」です。

 

ですが、役割はちょっと違います。「悪玉コレステロール」が宅配屋なら、「善玉コレステロール」は回収屋です。

 

 

コレステロールは血流に乗って全身の組織へ届けられます。

 

しかし、生体は常に「新しい組織」と「古い組織」が入れ替っているので、古いコレステロールの回収もしなければなりません。

 

前者の役割を「悪玉」が、後者の役割を「善玉」が担当しているというわけです。

 

 

 

  • 悪玉・・・宅配屋(新鮮なコレステロールを配達)

 

  • 善玉・・・回収屋(古いコレステロールを回収)

 

 

コレステロールは生命を維持するうえで欠かせません。

 

それを必要な場所へ運ぶ「LDLコレステロール」が悪玉ということになっているのです。

 

 

 

LDLが悪玉になった経緯

 

 

体に必要なコレステロールを届ける「LDL」が、何故か悪玉と呼ばれています。

 

 

いい仕事をしてるのにです。

 

 

ここでは、「LDLコレステロール」が悪者にされてしまった根拠を紹介します。

 

 

『100歳まで長生きできるコレステロール革命 / 著者:大櫛陽一』より引用

 

 

LDLは「火事の現場に駆けつけた消防車」だった!

 

では、なぜLDLコレステロールが「悪玉」にされてしまったのか、その理由をお話しましょう。

 

ひと言で言えば、「動脈硬化の犯人」にされてしまったからです。

 

アメリカの死亡原因のトップは心筋梗塞なのですが、この病気は心臓の血管の動脈硬化によって引き起こされると考えられていました。

 

そこで動脈硬化を起こした血管を調べたところ、血管内にLDLコレステロールが見つかりました(※ただし、最近の研究で、わずか1%にすぎないことがわかっています)。それにより、誰もが「LDLコレステロールこそ、動脈硬化の犯人だ」と思い込んでしまったのです。

 

そして、「あいつこそが悪さを働くコレステロールだったんだ」という話になって、「心筋梗塞を防ぐには、悪玉であるLDLコレステロールを減らすほうがいい」という方向へ流れていってしまったわけです。

 

ところが、近年の研究で「別の真犯人」の存在が判明したのです。

 

その真犯人が「血管の炎症」。

 

動脈硬化を起こす本当の原因は血管の炎症であり、LDLコレステロールは、その炎症を修復する目的で細胞膜の材料を届けに集まっていたにすぎないということがわかったのです(Libby P:Scientific American,May,29-37,2002)。

 

かいつまんで説明しましょう。

 

血管に炎症が発生すると、すかさずLDLコレステロールが駆けつけて、血管壁の傷ついた部分を修復します。これで済めば問題はないのですが、炎症が持続的に起こっていると、修復が繰り返されて、その部分がカサブタのように盛り上がってきます。

 

これが「プラーク」と呼ばれる塊。

 

この塊が大きくなると、心筋梗塞や脳梗塞の危険がグッと高まるのです。すなわち、プラークそのものが血液の流れを塞いだり、プラークが破裂して血液が凝固してしまったり、破裂した内容物が流れていって細い血管で詰ったりというもろもろの緊急事態が起こることになるわけです(※もっとも、最近はプラークと動脈硬化の因果関係はもちろん、動脈硬化と心筋梗塞の因果関係をも疑問視する研究が出てきて、心筋梗塞の新の原因は血液凝固と考えられるようになりました)。

 

とにかく、この動脈硬化のプロセスにおいて、LDLコレステロールは、別に悪さを働いているわけでも何でもなく、「細胞膜の修復」という自分の役割を忠実に果たしているだけです。

 

たとえば、火事の現場に消防車が集まってきた場面を思い浮かべてみてください。火事が血管の炎症だとすれば、それを消しにやってきた消防車がLDLコレステロールです。言ってみれば、せっかく火を消しに駆けつけてきたというのに、「たくさん集まっているから火事の原因だ」と勘違いされ、濡れぎぬを着せられてしまったことになります。

 

ちなみに、「本当の火事の原因=血管の炎症」がどうして起こるのかというと、いまのところ、喫煙、トランス脂肪酸、高血糖、極度の肥満(BMI35kg/㎡以上)、ストレス、老化などが要因として挙げられています。こうした要因から起こる血管の炎症がなければ、プラークはできないし、心筋梗塞や脳梗塞にもならないことになります。

 

すなわち、心筋梗塞や脳梗塞の真の原因は血管の炎症であって、コレステロールは、基本的に無関係なのです。

 

むしろ、血管の炎症があるときに、無理にLDLコレステロールを下げてしまうと、細胞膜修復などの体の修復機能が働かなくなってしまうことになります。

 

LDLコレステロールが、これまでいかに「無実の罪」を着せられてきたか、みなさんおわかりいただけましたでしょうか。

 

(21~25p)

 

 

動脈硬化の原因は「炎症」だとハッキリと述べられています。

 

 

流れを簡略化するとこういうことですね。

 

 

 

①「何か」が原因で炎症が起こる

②血管が傷つく

③修復する為にLDLコレステロールが集まる

 

 

 

①~②の過程を無視して③だけを見て「コレステロールが悪い」と判断していたのです。

 

 

 

 

 

 

炎症の原因

 

 

「血管の炎症」の原因は、喫煙、トランス脂肪酸、高血糖、極度の肥満、ストレス、老化・・・と挙げられていましたが、この中でも一番影響が大きいのは高血糖です。

 

 

「喫煙」は嗜好品なので、満遍なく多くの人の原因になるとは考えにくいです。

 

「極度の肥満」も、多くの人に当てはまりません。

 

「ストレス」「老化」はかなり曖昧で、なんとでも言えます。

 

 

これらに比べると、「高血糖」はほとんどの人に当てはまります。ご飯を中心とした糖質過多の食事を好む日本人は、1日3回「高血糖」になります。従って、糖質が原因で血管に炎症が起こっていることになります。

 

 

「トランス脂肪酸」も確かに悪いですが、摂取量は「糖質」ほどではありません。

 

 

「炎症の仕組み」と、「糖質が炎症を起こす理由」については、以下の記事で述べています。

炎症と自己免疫疾患について分かりやすく説明してみた

 

 

 

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悪者にされた理由は偶然か

 

傷ついた血管を修復していたら、コレステロールは動脈硬化の犯人にされたわけですが、

 

これだけではありません。

 

この話は、いかにも勘違いで間違った・・・みたいな話の展開になっていますが、調べてみると、世の中にはわざとコレステロールを悪者にしようとしているとしか思えないような話がいくつもあります。

 

有名なのは「アンセル・キーズ博士の説」と、「アニスコフのウサギの実験」です。

 

 

アンセル・キーズ博士の説

 

 

まずは「アンセル・キーズ博士の説」からです。

 

以下の動画の2:00以降で述べられています。

 

 

 

 

要約するとこういうことです。

 

アンセル・キーズ博士は、6カ国のデータを使って、「脂肪を摂った量と、心疾患の関係」を調べました。

 

そのデータから得られた結論は、脂質を摂ると心臓病が増えるというものでした。

 

「コレステロール元凶説」の裏づけになったデータですが、これがとんでもないインチキでした。

 

実は博士は、6カ国ではなく22カ国のデータを持っていたのです。

 

22カ国のデータを見ると、心臓病の発生は脂質の摂取量に関係なくランダムに起きているので、真相は「脂質の摂取量と心臓病の関係は全くなかった」のです。

 

 

しかし、脂質の摂取量が低くて、心臓病が少なかった「日本」、脂質の摂取量が多くて、心臓病が多かった「イタリア」や、「カナダ」等、都合のいい6カ国だけを抽出して論文をまとめていたのです。

 

 

 

その論文が大手の雑誌やメディアに取り上げられて定説が作られたのですが、

 

 

「脂質をたくさん食べるけど、心臓病が少なかった国」や、「脂質の摂取量は低いけど心臓病は多い国」を排除して説を作り上げただけですから、手口としては極めて幼稚ですよね。

 

 

これを読む限り、アンセル・キーズ博士が単独でやっている事ではないことがわかります。

 

 

『日本人よコレステロールを恐れるな / 著者:長谷川元治』より引用

 

②コレステロールの研究は公的な研究費の助成を受けやすい。

 

大学の研究室や医学研究所は国から研究費の助成を受けています。どこにいくら研究費を援助するかを決定するのは担当官庁の役人たちですが、彼らもやはり「コレステロール元凶説」は疑うべくもない定説であると考えています。

 

つまり「虚血性心疾患を減らすためにコレステロールの研究をする」というのは役人に理解されやすく、受け入れやすいテーマなため、研究費をとりやすいのです。極端に言えば「コレステロールが悪い」と言いつづけていれば、研究者はお金に困らないですむわけです。

 

ちなみに現在のアメリカでは「コレステロール」「タバコ」「公害」のいずれかをテーマに選ぶと研究費をとりやすく、また世に出やすい、つまり、学会やマスコミに認められやすいといわれています。

 

(40p~41P)

 

しかし、騙す方も騙す方なら、信じる方も信じる方です。

 

私はこのような話を読むたびに、ナチスドイツの宣伝大臣だったゲッべルスの「確かめない奴は必ず騙せる」という言葉を思い出します。

 

 

 

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アニスコフのウサギの実験

 

胡散臭い話はまだまだあります。アンセル・キーズ博士よりも前、

 

ロシアのアニスコフ(Anitschkow)という医学者が、1931年に、「動脈硬化とコレステロールが関係している」という報告をしました。

 

こちらは有名ですね。

 

ウサギにコレステロールを多く含む餌を食べさせたら、コレステロールが沈着して動脈硬化が起こった・・・というあの話です。

 

この実験は、「ウサギの体で起こったことは、人間には当てはまらない」として、現在では間違いだった事が知られています。

 

何故、人間に当てはまらないかというと、人間は「動物食性動物」であり、ウサギは「植物食性動物」だからです。

 

これも、ちょっとした間違いだった・・・かのように言われていますが、以下を読むと、偶然間違えたというのは無理があります。

 

人間の場合、小腸で吸収されるコレステロールは一定量以下。

 

食生活とコレステロールについて考えるとき、重要かつ興味深い問題があります。

 

それは、食べ物を通じて口からとったコレステロールと血液中のコレステロールはイコールなのかという問題です。

 

言いかえると、コレステロールを多く摂取すると血中コレステロール値も高くなるのか、ということです。

 

世間では「コレステロールの多い食品を食べると、コレステロール値が上がる」ということは疑いのない事実のように考えられており、高脂血症の人はもちろん、そうでなくても中高年になったら肉や卵などコレステロールの多い食品は控えるようにと言われていますが、これは医学的にほんとうに正しいことなのでしょうか。

 

結論から言うと、こうした“常識”に反して、実はほどんどの人の場合、食事でコレステロールをたくさん摂取したからといって、すぐに血中コレステロール値が上昇するということはありません。

 

あるいは、上昇したとしても生体として必要な値までにとどまり、それ以上、無制限に上昇することはないのです。

 

これは、動物学的に見て、人間が基本的に「肉食動物」であるということと大きく関係しています。

 

ご存じのように、哺乳動物は「草食動物」と「肉食動物」に大別されます。その違いを簡単にいえば、一方は草を常食とし、他方は肉を常食としているということになるでしょう。

 

セルロースなどの食物繊維を消化する酵素を持っているのが草食動物、持っていないのが肉食動物という分け方もあります。

 

草食動物はウサギ、ヒツジ、ウシ、ゾウなどで、肉食動物はライオン、トラ、ヒョウ、イヌなどであるということはみなさんも知っているでしょう。

 

ウサギに1日1gのコレステロールを与えると、血中コレステロール値が正常の50mg/㎗から急上昇して、500~1500mg/㎗もの超高脂血症になります。

 

ところが、ふつうのイヌ、ネズミなどにいくらコレステロールを与えても高脂血症は発生しません。同様にライオン、トラ、ヒョウにも発生しないでしょう。

 

私は他の記事で、人間は「動物食性動物」であることを述べていますが、その根拠は「消化器官の構造」です。

 

「人間が肉食か草食かは、歯を見れば分かる」という説は正しいのか

 

遺伝子の99%が同じでも、人間とチンパンジーの消化器官の構造は違う

 

 

なので、ここでも、内臓の構造の違いに注目して下さい。

 

まず、動物食性動物の内臓についてです。

 

 

コレステロールを与えて高脂血症を発生する動物と発生しない動物とはどこがどう違うのでしょうか。

 

そのキーポイントは小腸にあります。

 

ウサギにコレステロールを含んだエサを与えると、そのまま小腸に到達し、小腸の粘膜から無差別に吸収されてしまうのです。与えられたコレステロール分だけほぼ100%吸収され、そのまま血液中に放出されて、血液濃度が正常の10倍、20倍、30倍になって超高脂血症が起きてくるわけです。

 

一方、ライオンなど肉食動物はいくらコレステロールを大量に与えても、1回の食餌、1日の食餌量から小腸が吸収するコレステロール量は決まっています。必要な分だけ吸収して、それ以外は便から体外に排出されるので、血中のコレステロールも上昇しません。

 

つまり、肉食動物の場合、小腸におけるコレステロール(脂肪)に対する“バリア”の機能が高いのに対し、草食動物の場合はその機能が低い、もしくはほとんどないのです。

 

私は究極的には、この小腸の取捨選択機能こそが草食動物と肉食動物とを区別する最も重要なポイントだと考えています。

 

人間は肉も魚も野菜も穀類もなんでも食べるため、俗に「雑食動物」などと言われます。しかし、動物学的にいうと、小腸の機能から見て、基本的に肉食動物なのです。

 

個人差はありますが、人間の場合、小腸で吸収されるコレステロールは一定量以下で、100%吸収されるなどということはありません

 

実際、人体実験でバターを毎日1/4ポンド(約113g)、コレステロール量にして毎日20gを与えても高脂血症は発生しなかったという報告もあります。つまり人間の場合もライオンと同様に小腸におけるコレステロールに対する“バリア”の機能が高く、コレステロールを必要な分だけ吸収して、それ以外は便から体外に排出してしまうわけです。

 

また、人間を含む肉食動物では、小腸でコレステロールを多少多めに吸収しても、不要な分は肝臓で分解されてしまうことがわかっています。

 

このことからも、食事でコレステロールをたくさん摂取したからといって、即、血中コレステロール値が上昇するとは考えられません。

 

余談になりますが、以前、私が10ヶ月間つまり約300日の間に脂肪の多いリブロース・ステーキを200回食べたという経験があります。そんなことをしたのは、ステーキが大好物だということもありますが、自分の体を使って、実験してみたかったというのが理由です。その結果、やはり血中コレステロール値が上昇することはありませんでした。

 

(84p~88p)

 

 

 

続いて、植物食性動物「ウサギ」の内臓です。

 

 

一方、草食動物であるウサギもやはり体内でコレステロールを合成しているのですが、人間とは合成している場所が違います。

 

どこで合成していると思いますか?

 

実は驚いたことに盲腸で、なのです。

 

人間の場合は、盲腸は専門的には「遺残器官 いざんきかん」といい、今ではあってもなくてもよい存在ですが、ウサギの盲腸は消化・分解・合成・吸収・便形成まですべて一貫して行なってしまうスーパー器官です。

 

そのため、大きさもウサギの体に比しては大きく、体積もあり、形もまるでカタツムリのような複雑な構造をしています(図11―下)。

 

 

もっとも興味深いのは、口から食べた草や木の芽、皮など、草食動物独自の食物をコレステロールなどの脂肪につくりかえる機能を持っていることです。

 

図11―下はウサギの盲腸の断面図です。

 

小腸の末端は盲腸につながっていますが、断面の内側をよく見ると、らせん状に溝が刻まれており、中心部に向かっています。

 

この内側溝を回転しながら、消化された食べ物が通過するうちに分解・合成・吸収が行なわれます。

 

草や木の芽や皮が盲腸のまん中に行き着くまでに脂肪やタンパク質や糖に変わってしまうのですから不思議というしかありません。

 

さらに驚いたことに、らせんのまん中を今度は便の材料になる残り物が消化・分解された食べ物と逆行して盲腸の入口まで戻り始めるのです。

 

その戻り道で、あのウサギ特有の球形の便が形づくられ、盲腸の出口から分かれて大腸に行き、排便が行なわれます。

 

もちろん、人間の盲腸にはこうした機能はありません。

 

逆に人間やライオン、トラ、ヒョウ、イヌなどの肝臓は、小腸から吸収された栄養分をさらに分解・解毒・合成するなど、いわば化学工場の役目を持っていますが、ウサギの肝臓はそうした作用を持ち合わせていません。

 

ちなみに草食動物であり、反芻動物であるウシの場合は四つある胃袋のうち「第4胃袋」でコレステロールの合成を行なっています。ウシの場合も肝臓でコレステロールを合成しない点はウサギとまったく同様です。

 

このような脂肪をはじめとする栄養代謝のメカニズムから見ても、人間のルーツはまぎれもなく肉食動物だといえるでしょう。

 

第一章の冒頭で、1913年のアニスコフによる実験を皮切りに、ウサギにコレステロールを経口投与して動脈硬化をつくる実験は今でも行なわれており、「コレステロール元凶説」の根拠の一つとなっているということを述べました。

 

しかし、ここまで見てきたように、草食動物と肉食動物では小腸の機能や脂肪代謝の仕組みがあまりに違いすぎます。

 

まぎれもない草食動物であるウサギにコレステロールを食べさせた実験の結果を肉食動物である人間にそのまま適用するのは、まったくナンセンスであるということをあらためて強調しておきたいと思います。

 

(88p~91p)

 

 

 

植物食性動物であるウサギに起こった実験結果を、動物食性動物である人間に当てはめようとするのは無理があります。

 

動物の選択を間違っただけでなく、実験の方法もかなり酷いです。

 

 

 

まず指摘したいのは、これらの一連の実験でウサギに投与されるコレステロールは途方もなく大量だということです。

 

アニスコフの実験でウサギに投与されるコレステロールの量を人間に換算すると、どのくらいになると思いますか?

 

なんと1日に鶏卵ならば40個、牛ロースなら18kgも食べなければならない計算になるのです。こんな食生活が現実的に不可能なことは言うまでもありません。

 

こうした極端な実験の結果を根拠に、コレステロールが動脈硬化を引き起こす元凶であるとするのはあまりに乱暴です。

 

 

なんとしても、コレステロールを悪者にしたいという執念が感じられます。

 

 

医学者が、なんの理由もなく「ウサギにコレステロールを食べさせたらどうなるか」・・・と思い立って、バカみたいに大量の餌をたべさせら動脈硬化になった。コレステロールは悪いんだ・・・

 

と、なったとでもいうのでしょうか。

 

メチャクチャなストーリーです。

 

結果が分かっていたから、あえてウサギを選んだのではないでしょうか。

 

しかも、人間とウサギでは、動脈硬化のタイプまで違うようです。

 

 

さらに重要なのは、コレステロールを大量に与えたときにウサギの動脈に発生するアテロームと、人間の動脈硬化のアテロームでは見た目も構造もまったく違うということです。

 

ウサギのアテロームは、コレステロールをそのまま動脈壁の上に投げ捨てたような感じです。動脈壁の表面にコレステロールがそのままベタベタとくっついており、医学用語で言うところの“沈着”という表現がまさにあてはまります。

 

一方、人間の動脈硬化のアテロームは、表面がタンパク線維でできた模様のものでおおわれていて、その中にコレステロールがたまっているという形です。作ってから何日もたったまんじゅうのように、カチカチの皮の中にあんこ(コレステロール)が入入っている状態と言えばわかりやすいでしょうか。

 

ウサギの動脈硬化の発生は血中コレステロールの濃度に正比例します。つまりウサギを高脂血症にすると必ずといってよいくらい動脈に病変が発生し、コレステロールの沈着が認められ、しかも血中コレステロール値が高くなるほど、その程度はひどくなります。これは大動脈に限らず、頚動脈、脳動脈、冠動脈も同様です。

 

一方、人間はコレステロール値が高いからといって動脈硬化を起こすとは限らず、コレステロールが低くても動脈硬化を起こす例がたくさんあることは、これまで繰り返し述べたとおりです。

 

血中コレステロール濃度が高いほど、動脈にアテロームがより多く多く発生するというような相関関係は認められません。

 

第2章で、草食動物であるウサギと肉食動物である人間では、小腸におけるコレステロールに対する“バリア機能”が違うということを述べました。

 

ウサギの場合は摂取したコレステロールを小腸の粘膜からほぼ100%吸収してしまうが、人間の場合は必要な分だけ吸収して、それ以外は排出してしまうということでした。

 

実は、ウサギと人間とでは小腸だけでなく、動脈におけるコレステロールに対するバリア機能も大きく違うのです。もうお気づきのかたもいるかもしれませんが、このバリア機能に関係してるのが、私たちが発見した動脈壁のタンパク膜です。

 

ウサギの動脈壁にもタンパク膜は存在します。そもそも私たちがこのタンパク膜を発見したのもウサギを使った実験からでした。

 

しかし、もともと草食動物であるウサギのタンパク膜にはコレステロールの侵入を防ぐバリア機能がないか、あってもきわめて弱いのです。いわば素通しの状態なので、血中にコレステロールがふえたらふえただけ、どんどんコレステロールが動脈壁に沈着してアテロームが形成されます。

 

一方、人間の場合、前途したように血中コレステロール濃度が高くても、タンパク膜が正常である限りはコレステロールが動脈壁にくっついたり侵入したりすることは基本的にはありません。

 

これは小腸のバリア機能と同様に、人間がもともと肉食動物であることに由来していると考えられます。

 

以上をまとめますと、まずコレステロールの投与でウサギに発生する動脈硬化と、人間の動脈硬化ではアテロームの構造が違い、まったくタイプが異なります。

 

しかも、動脈のコレステロールに対するバリア機能もウサギと人間とでは大きな差があります。

 

ひと言でいって、人間の動脈硬化を研究するモデル動物としてウサギは適さない部分が多いのです。ウサギと人間との種の違いをきちんと認識したうえで実験を行い、その結果を分析するのならよいのですが、「ウサギを高脂血症にしたら、これこれこういう現象が起こった」ということをそのまま人間にあてはめるのは間違っています。

 

コレステロール添加食をウサギに与えて動脈硬化をつくる実験は今でも盛んに行なわれており、「コレステロール元凶説」を支える根拠の一つとされているわけですが、基本的なところで大きな誤りをおかしていると言わざるをえません。

 

(163p~167p)

 

 

アニスコフの後にアンセル・キーズ博士が説を発表するわけですが、医学者がすげ変わっても、切り口が変わっても、結果的にやっている事は同じです。

 

 

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高血圧と似ている話

 

 

以前、高血圧について調べると「歳をとって血圧が上がるのは正常」だということが分かりました。

 

血圧が高いほど健康で長生きできる!原因を根本的に間違えている高血圧の食事や治療

 

実は、コレステロールも同じなのです。

 

 

『100歳まで長生きできるコレステロール革命 著者/大櫛陽一』より引用

 

 

みなさんのなかには、「年をとるとともに、健康診断のコレステロール値が上がってきて、とうとう薬を勧められるようになった」という方もいらしゃるのではないでしょうか。

 

ただ、こういう場合も安易に医師の言葉に従ってはいけないと、私は思っています。なぜなら、加齢とともにコレステロール値が上がってきたのは「異常」ではなく、「正常反応」だと考えているからです。

 

何度も申し上げるように、コレステロールは60兆個の細胞の細胞膜となるのをはじめ、私たちの体の材料として欠かせない物質です。

 

ただ、年齢を重ねていれば、そうした細胞の新陳代謝にも衰えが出てくるでしょうし、免疫力も下がってくるでしょう。だから、こうした老化を補うため、コレステロールが増産されているのです。

 

体の細胞膜を強くし、免疫力を高めることによって、体を防衛してくれているのです。

 

すなわち、年齢とともにコレステロールが増えてくるのは、体にとって自然であり、必要な変化。数値が上がってきているのは、体を老化から守るためだったというわけです。

 

いかがでしょう。そのように考えれば、加齢とともに高くなってきたコレステロール値を薬で下げるという行為が、いかに愚かであるか、おわかりいただけるのではないでしょうか。

 

(55p~58p)

 

 

「老化によって血圧が上がる理由」は、年齢とともに血液を送り続ける力が弱まってくるので、全身に新鮮な血液を送り続ける為に、血圧を少しずつ上げなければならないからでした。つまり、歳を取って血圧が上がるのは元気な証拠でした。

 

そして、この記事に書いてあるように「コレステロール」もまた、歳とともに高くなるのが自然という事です。

 

 

>加齢とともにコレステロール値が上がってきたのは「異常」ではなく、「正常反応」だと考えているからです。

 

 

しかし、「血圧」にしろ、「コレステロール」にしろ、体を守る為に備わった正常な機能を「悪」と決めつけて、薬で無理矢理下げようとしたり、食生活を改めさせたりするわけです。

 

食生活を改善させるのは悪いことではありません。

 

問題はその方向性です。

 

 

 

インチキな知識を元に努力をしても結果は出ない

 

 

「本態性高血圧(高血圧の90%)」の原因は、「塩」になすりつけられていますが、調べてみると「糖質」が原因でした。

 

そして、「コレステロール」は動脈硬化と結び付けられ、その原因を「欧米化した食事」、「ストレス」、「タバコ」等になすりつけられていますが、最も大きな原因と思われるのは「糖質」です。

 

 

高血圧も動脈硬化も、原因が別のものになっているので、本当に気をつけなければならない「糖質」への対応が甘く、関係ない努力をするはめになります。

 

 

本当の原因を知るためには、「嘘の原因」を排除する必要があります。

 

高血圧と糖質の関係については以下の記事でお話しましたので、

 

血圧と、本態性高血圧の原因について分かりやすく説明してみた

 

 

動脈硬化にコレステロールがどこまで関係しているのか、そして、「糖質」がどう影響を与えているのかについては以下の記事でお話します。

 

動脈硬化は悪玉コレステロールではなく、動脈壁の劣化が原因だった

 

動脈硬化を改善・予防する方法を分かりやすく説明してみた

 

 

 

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