年末、根管治療中に痛み、腫れ、しびれに悩まされましたが、S先生になんとか症状悪化を食い止めてもらい、正月を乗り切りました。

 

年が明けてから、改めて紹介状を持って、大きな病院の歯科・口腔外科に検査に行きました。ちなみに、年末に救命救急で診てもらった病院の歯科・口腔外科です。

 

 

S先生に診てもらってから症状が治まってきて、この病院で検査をするころには、ほとんど腫れも引いていたので、骨髄炎の心配はほぼ消えていました。ですが、油断は出来ません。

 

現地に到着し、レントゲンを取って、歯科衛生士の方に歯をチェックされ、その後、治療椅子の上で先生を待ちました。

 

 

担当してくれたのは、歯科・口腔外科のO先生です。

 

 

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私の症状は骨炎だった

 

 

まず、結論から言います。私の症状は「骨髄炎」ではなく、「骨炎」とのことでした。

 

 

家に帰って調べてみると、まず、細菌によって炎症が周囲の組織まで広がる疾患は色々あって、これらを総称して「歯性感染症 しせい・かんせんしょう」と呼ぶそうです。

 

 

以下は「歯性感染症」の症状です。

 

 

『慶応義塾大学病院 医療・健康情報サイト 歯性感染症』より引用

 

症状

 

炎症の波及程度や病期により症状は異なりますが、急性炎症は局所症状として発赤、熱感、腫脹、疼痛、さらに開口障害、咀嚼(そしゃく)障害、嚥下(えんげ)障害などの機能障害が強く発現します。

 

急性炎症の末期では膿瘍と呼ばれる膿の集まりを形成することが多くあります。慢性炎症ではこれらの症状が軽微なことが多いです。

 

 

この中で私に起こったものは、熱感、腫脹、疼痛、嚥下障害です。ちなみに、場所は下顎で、全身の発熱はありませんでした。

 

 

で、歯性感染症は、「炎症がどこまで広がっているか」によって、以下のように分類されています。

 

 

 

智歯周囲炎

 

局所症状として歯肉の発赤、腫脹、圧痛、疼痛がみられ周囲組織に波及すると開口障害、嚥下痛、顎下リンパ節の腫脹と圧痛がみられます。全身症状として発熱、倦怠感、食欲不振がみられることがあります。

 

 

歯槽骨炎

 

原因歯の疼痛、打診痛とよばれる歯をたたいた時の痛みや動揺があり、その症状は隣の歯に及ぶことがあります。また、周囲歯肉の発赤、腫脹、圧痛があり、顎下リンパ節の腫脹、圧痛、膿瘍形成を認めることがあります。また、全身症状として発熱を認めることがあります。

 

 

顎骨骨膜炎

 

上顎骨骨膜炎の初期は、顔面の腫脹、硬結と圧痛および拍動性の疼痛が認められます。炎症が進展すると耳下腺部の腫脹、硬結、眼窩周囲の腫脹が認められることがあります。前歯部が原因のものは唇の腫脹を伴うこともあります。下顎骨骨膜炎は智歯に起因するものが多く、下頬部から顎下部にかけて広範囲な腫脹と発赤がみられます。強い疼痛と熱感、圧痛を伴う硬結があり、顎下リンパ節の腫脹、圧痛も著明です。顎骨周囲の膿瘍や蜂窩織炎を併発することが多くあります。

 

 

顎骨骨髄炎

 

上顎骨骨髄炎の症状は炎症の初期から原因歯やその近くの歯の動揺、打診痛、拍動性の強い疼痛と38~39℃の発熱があり、全身倦怠感、食欲不振、不眠なども発現することがあります。歯肉や顔面の腫脹は一般的に軽度です。下顎骨は表面の固い皮質骨が厚く、内部は骨髄の部分が多いため定型的な骨髄炎症状が発現します。症状は上顎骨とほぼ同様ですが顎下リンパ節炎や下顎骨内には下歯槽神経という知覚神経が走行しているため、その支配領域である下唇やオトガイ部の知覚過敏やしびれが発現する場合があります。

 

 

蜂窩織炎(ほうかしきえん)

 

局所症状として好発部位である舌下部、顎下部、オトガイ下部、頬部の浮腫性腫脹、発赤、疼痛、開口障害、嚥下障害、所属リンパ節の腫脹や圧痛などがみられます。全身症状としては38℃以上の高い発熱、倦怠感、頭痛、食欲不振が発現します。重症例では呼吸困難や肺に膿がたまる膿胸、縦隔炎、敗血症などで死亡する可能性もあります。

 

 

歯性上顎洞炎

 

通常は片側性で急性上顎洞炎では一般の急性化膿性炎と同様に発熱、全身倦怠感、食欲不振などが発現し、局所的には歯痛、頬部痛、扁桃痛、前額痛、眼窩下部の腫脹や圧痛が発現します。鼻症状として鼻漏、鼻閉、臭覚異常が発現することがあります。原因歯には浮いた感覚があり、打診痛も見られます。慢性上顎洞炎では全身的にも局所的にも炎症症状は軽く、炎症がおこっている側の鼻閉感、頭重感、偏頭痛、前額痛、軽度の頬部圧痛、悪臭のある膿性の鼻漏を認めることがあります。

 

 

 

私が「骨髄炎」を心配したのは、下唇がしびれたからなのですが、上の「顎骨骨髄炎 がくこつ・こつずいえん」の項目にも「その支配領域である下唇やオトガイ部の知覚過敏やしびれが発現する場合があります。」と書いてあります。

 

 

ですが、私の症状は、O先生に「骨炎」と診断されたので、上の「歯槽骨炎 しそうこつえん」に該当することになります。

 

 

炎症については、以下の記事の最初と、最後に詳しく書きました。

 

炎症と自己免疫疾患について分かりやすく説明してみた

 

 

 

診断方法

 

 

診断方法は以下の4つでした。

 

 

 

 

  • レントゲン

 

  • 顔下半分~喉の触診

 

  • 歯を直接診たり、叩いたりする

 

  • 問診

 

 

 

触診では「ちょっと、リンパが腫れていますね。」と言われました。

 

 

ちなみに、この時は歯を叩かれても痛くなくなっていました。

 

 

 

特に時間をさいてもらったのが、最後の問診です。

 

 

年末に起こった事を、細かく時系列に聞かれたのですが、痛かった時の数日間は、記憶が飛んでいるところもあったので、説明するのに苦労しました。

 

 

「おちついて、ゆっくり話して下さい」と言われました。

 

 

 

5日間の出来事を全部話し、それをパソコンに打ち終えたO先生が、近くに来て話し始めました。

 

 

 

O先生:「大変でしたね」

 

 

私:「はい、相当焦りました。」

 

 

O先生:「現時点では骨髄炎ではないと思います。おそらく「骨髄炎」ではなく「骨炎」ですね。」

 

 

私:「「こつえん」ですか?」

 

 

O先生:「そうです。調べたら出てくると思いますよ。」

 

 

 

私が根管治療について調べ上げた事を話したので、O先生はそう言いました。

 

 

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骨炎と骨髄炎の違い

 

 

「骨炎」と「骨髄炎」の違いを簡単に説明されました。

 

 

記憶に残っているのは、「骨髄炎」になっているとレントゲンを撮ると白く写っていたり、骨が壊死して形成された腐骨というものがあったりするそうです。

 

 

私のレントゲンには、それらはないそうです。そして、このように言われました。

 

 

 

O先生:「さっき歯を叩いた時に「痛くない」ということだったのですが、これが骨髄炎だとものすごく痛いんです。おそらく、年末の一番酷い状態の時は叩くと痛かったとは思いますが、今は落ち着いているので大丈夫だと思います。」

 

 

私:「そうですか。ところで、骨炎を放置すると、骨髄炎になったりするんですか?」

 

 

O先生:「そうです。」

 

 

 

こう言われたので、帰って調べてみました。

 

 

骨炎 → 骨髄炎  の流れはこのように書いてありました。

 

 

『コトバンク 歯槽骨炎』より引用

 

歯槽骨炎の場合、細菌の菌力が強いときや局所の抵抗力が減弱しているときには、炎症は歯槽骨にとどまらず顎骨骨体部にまで拡大し、顎骨骨膜炎、顎骨骨髄炎、さらには周囲軟組織の口腔(こうくう)底炎、顎骨周囲炎、扁桃(へんとう)周囲炎、頬部蜂窩織炎(ほうかしきえん)などをおこすことがある。

 

 

 

ちなみに、骨髄炎を放置すると・・・

 

 

『札幌町の歯医者さん 歯ぐきが腫れる原因:顎骨骨髄炎』より引用

 

 

 

顎骨骨髄炎を放置するとどうなる?

 

顎骨骨髄炎という病気にかかると、その治療がとても大変なものになります。この病気自体がとても重い病気であるために、病名がわかった時点でその後の治療方法を早く決めて取りかからなければなりません。何故なら少しの迷いの間にも症状がかなり進んでしまうからです。

 

骨の病気ですから最悪の場合は骨が腐ってしまいます。そうなるとその患部近くの歯を抜歯して、腐った骨の部分を切除するような大きな手術をすることになるでしょう。

 

一般的な顎骨骨髄炎の治療方法

 

顎骨骨髄炎は、治すのがとても難しい病気です。しかしその始まりは虫歯の場合が多く誰でもかかりえる病気です。あごの腫瘍や骨折などから化膿、炎症が起こる場合もあります。

 

顎骨骨髄炎の治療方法は、顎の骨の腐ってしまった部分を取り除く手術療法、抗生剤を使って骨髄炎の範囲を小さくしていく薬物療法、抗菌薬を含んだ液で洗い流す局所洗浄療法、骨髄への血流循環を改善して回復をはかる高圧酸素療法があります。

このうちのいくつかを組み合わせて治療することが多く、痛みの強い急性期には安静にして抗生剤をつかい、痛みが落ち着いたところで細菌の感染源となっている虫歯の抜歯や腐骨の切除手術を行い、後療法として局所洗浄療法や高圧酸素療法を行うといった具合です。

 

 

・・・なんと、恐ろしい。

 

 

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治療の説明

 

 

次に、私がこれまでしてもらった治療の詳細を説明をしてくれました。

 

 

 

O先生:「根の下に膿が溜まって、上が蓋で下に骨があるので、圧が高くなった、というS先生の見立てで合っていると思います。フレアーアップというのですが。だから蓋をしない事で圧が上がらないように処置をされたんだと思います。オープンって言うんですけど。処置が良かったから、治まったんだと思います。」

 

 

O先生:「ただ、最近の根管治療のやり方では、蓋をして細菌が中に入らないようにするのが主流なんです。オープンは少し古いやり方になります。だから、A先生がした処置も間違いではない。」

 

 

 

続いて、頭蓋骨の模型と、顎の解剖図を持って来て、しびれのメカニズムを詳しく説明してくれました。

 

 

 

O先生:「顎の骨の内側に小さな穴があるんですけど、ここから、顎の前の穴(オトガイ孔)に向かって神経が通っています。腫れてこの神経が圧迫されるとしびれます。」

 

 

 

オトガイ神経が通っている穴です。

 

 

 

 

 

根幹治療はやっぱり難しかった

 

 

そして、根管治療の難しさについての話になりました。

 

 

 

私:「根管治療が成功する確率は、保険診療だと2分の1なんですよね。」

 

 

O先生:「そうなんです。神経を抜いた歯の再治療になると、成功する確率はグッと低くなります。歯の治療はここ10年ですごく進化したんですね。良い器具が開発されたことで良くなったんですけど、それが凄い高いんですよ。でも、もし、保険診療の歯科でそういう器具を使うと大赤字になっちゃうので、使えないんです。」

 

 

私:「やっぱり、そうなんですね。保険外診療だったら、確率が90%になるのはそういう理由もあるからなんですね。」

 

 

O先生:「そうなんです。根管治療を保険外でやってくれる先生は、県内では・・・僕が知っている限りでは・・・一人。僕も根管治療は保険外でやってもらっているんですが、お金もかかるので、10万円以上、そこまでお金がかけられないっていう方ももちろんいます。でも、歯を長持ちさせたいのであれば、保険外診療の方が質の良い治療が受けられます。まぁ、これは価値観の問題なので、将来の事を良く考えて決められたら良いと思いますよ。」

 

 

 

私:「最初は高いと思いましたが、何度か、この痛みを消してくれるなら、保険外診療には価値があると思いました。」

 

 

 

 

O先生:「今、オープンにされて、お正月休みがあって結構時間が開いていると思うのですが、なるべく日にちを明けないで早めに塞いでもらって下さい。口の中は細菌が多くて、歯糞は排水溝と同じくらい汚いって知っていますか?」

 

 

私:「はい、それは聞いた事があります。」

 

 

 

そして、今後、私はどうすればい良いかを相談しました。

 

 

私:「先生、私、知らなかったんですが、歯の神経を抜くと、血管を抜く事になるんですよね。ということは、血管がないから免疫細胞である白血球がこの神経がない部分に行けないんですよね。つまり、ここ(歯の中)は細菌の無法地帯だから、いくら体を鍛えようが、免疫力がアップしようが、この部分には通用しないって事ですよね?」

 

 

 

O先生:「よくご存知ですね。」

 

 

 

私:「神経を抜いた歯は、こうならないように、一生メンテナンスをし続けていった方がいいですか?特に今回、こんなに骨に穴が開いてるのに、気が付かなかったのがショックだったんです。知らせてくれる神経がないから・・・」

 

 

O先生:「そうですね。例えばレントゲンを定期的、1年とか、半年に一回撮って診てもらうとか。レントゲン見てもわかるように、結構神経を抜かれているようですから、そういう事もS先生と相談されたら良いと思いますよ。」

 

 

 

私:「そうですね。神経を抜いてしまったことを凄く後悔しています。」

 

 

 

 

で、最後に、あまりに情報量が多かったので、S先生にどう要約して伝えたらよいかを相談しました。すると、

 

 

 

O先生:「現時点では、骨髄炎の心配はありません。CT等の追加の検査は必要ありません。」

 

 

O先生:「ただし、年末の一番酷い状態の時は骨髄炎になりかけていたかもしれないです。その時検査してないから正確にはなんとも言えないですが、状況を聞いた限りではそういう状態だった可能性もあります。一歩手前ですね。」

 

 

O先生:「S先生にお手紙を書いておきますね。ちょっと外で待っていて下さい。」

 

 

私:「ありがとうございます。」

 

 

 

以上が、覚えている限りですが、O先生にされた説明です。

 

ここでCTは撮りませんでしたが、この時の状態が良かったので、撮らなくても心配はありませんでした。それに加えて、O先生の客観的で分かりやすい説明に納得がいったので、満足のいく検査でした。

 

これで、「骨髄炎」の心配は完全に無くなったわけですが、

 

 

>年末の一番酷い状態の時は骨髄炎になりかけていたかもしれないです。

 

 

こう言われた時、

 

 

 

 

危なかった~!!

 

 

と、思いました。あのまま圧が高くなり続けたら、ヤバかったということでしょう。

 

助けてくれたS先生には本当に感謝しています。例え、古いやり方だったとしても、それがなければ、あの状況は変わらなかったと思います。

 

 

歯医者を変えたい、今の先生は信頼できない、と思っている人に言いたいことへ続く

 

 

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